JP4585505B2 - 硬化性ポリビニルベンジル化合物およびその製造方法 - Google Patents
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また本発明の別の目的は、高周波領域で誘電特性、特に低誘電正接に優れ、かつ耐熱性にも優れた基板、プリプレグ、および樹脂付き金属箔を提供することにある。
下記一般式(2):
請求項2の発明は、前記ビニルベンジルハライドが、m−ビニルベンジルクロライドおよびp−ビニルベンジルクロライドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の硬化性ポリビニルベンジル化合物である。
請求項3の発明は、前記反応が、非プロトン性極性溶媒中および/または相間移動触媒の存在下で行われる請求項1または2に記載の硬化性ポリビニルベンジル化合物である。
請求項4の発明は、請求項1に記載の硬化性ポリビニルベンジル化合物に、これと共重合可能なモノマー、オリゴマーおよび/またはポリマーを配合してなる硬化性樹脂組成物である。
請求項5の発明は、請求項1に記載の硬化性ポリビニルベンジル化合物を硬化させて得られた硬化樹脂である。
請求項6の発明は、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られた硬化樹脂である。
請求項7の発明は、請求項1に記載の硬化性ポリビニルベンジル化合物を硬化させて得られた高周波用基板である。
請求項8の発明は、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られた高周波用基板である。
請求項9の発明は、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物を繊維材料に含浸して得られるプリプレグである。
請求項10の発明は、請求項9に記載のプリプレグを単独で、または積層して加熱、加圧に施して得られる高周波用基板である。
請求項11の発明は、請求項9に記載のプリプレグを単独で、または積層し、さらに金属箔を重ねて加熱、加圧に施して得られる金属張り高周波用基板である。
請求項12の発明は、金属箔上に、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物を塗工し、両者を一体化せしめてなる樹脂付き金属箔である。
請求項13の発明は、導電層上に請求項4に記載の硬化性樹脂組成物を塗工し重合・硬化させ、硬化物の上にさらに導電層を設けたことを特徴とする多層積層基板である。
また本発明によれば、高周波領域で誘電特性、特に低誘電正接に優れ、かつ耐熱性にも優れた基板、プリプレグ、および樹脂付き金属箔が提供される。
本発明の硬化性ビニルベンジル化合物は、前記一般式(1)で示されるフルオレン化合物の1種または2種以上、ビニルベンジルハライド、および必要に応じて炭素数2〜20のジハロメチル化合物をアルカリ存在下で反応させて得られる。該反応は、公知のビニルベンジル化反応の条件に準じて行うことができる。ビニルベンジル化反応は、例えば、L.J.MathiasらのJ.Polym.Sci.,Part B;36,2869(1998)、J.Polym.Sci.,Part A;35,587(1997)あるいはC.J.KellyらのJ.Chem.Res.(S),446(1997)に記載されている。
(1)重量減少開始温度:SII社製TG/DTA6200を用い、窒素気流下、昇温速度10℃/分で測定した。
(2)誘電特性:横河ヒューレットパッカード社製のLCRメーター4285A、4285Bを用い平衡ブリッジ法で測定した(1MHz)。
(3)1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR):テトラメチルシランを内部標準物質に、日本電子社製JNM−LA300を用いて測定した。
(4)IRスペクトル:日本電子社製フーリエ変換赤外分光光度計JIR-RFX3002FT-IR SPECTROPHOTOMETERを用いて測定した。
(5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC):昭和電工社製Shodex GPC System−21(カラム KF−802,KF−803、KF−805)を用い、カラム温度40℃、溶出液テトラヒドロフラン、溶出速度1ml/分で測定し、標準ポリスチレン換算分子量(Mw)で表示した。
(6)吸水率:1.5mm×50mm×50mmの試験片を25℃で24時間、水に浸漬し、乾燥時の重量と吸水後の重量から算出した。
温度調節器、撹拌装置、冷却コンデンサー、滴下ロートを備えた1リットルの四つ口フラスコにフルオレンを49.8g(0.3モル)、メチルイソブチルケトン200g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド2.91g(9×10-3モル)、ハイドロキノン0.73g、50重量%NaOH水溶液96g(NaOH純度95%、1.14モル)を仕込み、撹拌しながら62℃まで昇温して均一の溶液にした。濃青緑色の溶液にセイミケミカル社製ビニルベンジルクロリドCMS−AM(m−/p−異性体:50/50重量%混合物)117g(純度91%、0.7モル)を20分かけて滴下し、その後60〜61℃で7時間反応させた。得られた緑色の反応生成物に200mlのトルエンを追加してから、溶液を2N塩酸で中和した後、蒸留水で3回洗浄し、トルエンを減圧除去後、得られた淡黄色粘稠固体を新鮮なトルエンから再結晶することにより、DSCから融点が142℃の灰白色の固体73.4g(収率61.5%)を得た。これを化合物1とする。
化合物1の確認は1H−NMRスペクトル、IRスペクトル、GPC測定から行った。図1に1H−NMRスペクトルを、図2にIRスペクトルを示す。またGPCの測定結果からMwは400であり、これらの測定結果から生成物は9,9−ビス(ビニルベンジル)フルオレン(一般式1において、R2が水素原子であり、n=0に相当する。)であると判断された。
化合物1を150℃に加熱した金型に入れ、150℃で4.9MPa〜7.8MPa(50〜80kgf/cm2)で1時間、180℃で同圧力で5時間プレス硬化して樹脂板を作成し、各測定に必要な試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
参考例1で使用した反応装置に、フルオレンを49.8g(0.3モル)、トルエン220g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド2.91g(9×10-3モル)と50重量%のNaOH水溶液96g(純度95%、1.14モル)を加え、65℃に昇温した後、p−キシリレンジクロライド21g(0.12モル)を加えて2.5時間反応させた。少量の反応生成物の1H−NMR測定結果からp−キシリレンジクロライドが消費されていることを確認した後に反応系にCMS−AM54g(純度91%、0.36モル)を滴下し、65℃で6.5時間反応を続けた。反応液を室温まで冷却した後、2N塩酸を加えて反応混合物を中和し、有機層に蒸留水を加えて3回洗浄した。溶剤を減圧留去した後、得られた固体をメタノール中で粉砕・ろ過し、固形分を濾取した後、真空オーブン中50℃で乾燥して硬化性ポリビニルベンジル化合物を収率90%で得た。GPCでの分子量の測定結果はMw3100であった。またDSCから融点は75〜120℃であった。これを化合物2とする。この化合物の1H−NMRのスペクトルを図3に、IRスペクトルを図4に示す。化合物2は一般式1においてR1がキシリレン基であり、R2が水素原子であり、n=約10である(なお、n=0のものも混在していた)。
次に、化合物2をガラス板の間に流し込み、130℃で2時間、ついで160℃で2時間硬化且つ180℃で5時間アフターキュアを行った。得られた樹脂板を用いて各測定に必要な試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
実施例1で合成した化合物2が60重量%、およびジビニルベンゼン(純度82%)が40重量%からなる溶液を調製し、ガラス板の間に流し込み、100℃で6時間、ついで160℃で4時間硬化且つ180℃で2時間アフターキュアを行った。得られた樹脂板を用いて各測定に必要な試験片を作成した。その結果を表1に示す。
温度調節器、撹拌装置、冷却コンデンサー、滴下ロートを備えた1リットルの四つ口フラスコに、ジシクロペンタジエン骨格フェノール樹脂DPP−3H(日本石油化学社製特殊フェノール樹脂)45g(0.25当量)、ビニルベンジルクロライドCMS−AM(m−/p−異性体:50/50重量%混合物))38.1g(純度91%,0.25モル)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド2.4g、2,4−ジニトロフェノール0.038g、メチルエチルケトン200gを仕込み、攪拌溶解したものに75℃で50重量%NaOH水溶液40g(NaOH純度95%、0.475モル)を20分かけて滴下し、さらに75℃で4時間撹拌を続けた。室温まで冷却した後、2N塩酸で反応混合物を中和し、トルエン100gを追加した後、有機層を300gの蒸留水で3回洗浄した。メチルエチルケトンを減圧除去した後、反応物を300mlのメタノールに沈澱させ、固形分を濾取した後、真空オーブン中50℃で乾燥し、ビニルベンジルエーテル化合物を収率95%で得た。これを化合物3とする。
化合物3を実施例1と同様の方法で硬化成型して樹脂板を作成し、これを用いて各測定に必要な試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製;エピコート828(エポキシ当量188)100部に、2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成社製)2部を配合して樹脂組成物とした。これを化合物4とする。
化合物4をガラス板の間に流し込み80℃で2時間硬化後、150℃で2時間アフターキュアを行い樹脂板を作成し、これを用いて各測定に必要な試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
温度調節器、撹拌装置、冷却コンデンサー、滴下ロートを備えた1リットルの四つ口フラスコに1−メチルフルオレンを54.1g(0.3モル)、メチルイソブチルケトン200g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド2.91g(9×10-3モル)、ハイドロキノン0.73g、50重量%NaOH水溶液96g(NaOH純度95%、1.14モル)を仕込み、撹拌しながら62℃まで昇温して均一の溶液にした。濃青緑色の溶液にセイミケミカル社製ビニルベンジルクロリドCMS−AM(m−/p−異性体:50/50重量%混合物)117g(純度91%、0.7モル)を20分かけて滴下し、その後60〜61℃で7時間反応させた。得られた緑色の反応生成物に200mlのトルエンを追加してから、溶液を2N塩酸で中和した後、蒸留水で3回洗浄し、トルエンを減圧除去後、得られた淡黄色粘稠固体を新鮮なトルエンから再結晶することにより、DSCから融点が142℃の灰白色の固体75.1g(収率60.8%)を得た。これを化合物5とする。
化合物5の確認は1H−NMRスペクトル、IRスペクトル、GPC測定から行った。図5に1H−NMRスペクトルを示す。またGPCの測定結果からMwは410であり、これらの測定結果から生成物は1−メチル−9,9−ビス(ビニルベンジル)フルオレンであると判断した。
化合物5を150℃に加熱した金型に入れ、150℃で50〜80kgf/cm2で1時間、180℃で同圧力で5時間プレス硬化して樹脂板を作成し、各測定に必要な試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
化合物1の60%トルエン溶液をガラスクロスWEA18K105BZ2(日東紡(株))に含浸させたのち120℃で60分乾燥し、プリプレグを得た。このプリプレグ10プライを積層し、150℃2時間、180℃5時間、200℃5時間の加熱加圧成形(40kg/cm2)を行い板厚1.6mm、ガラス繊維含有量60%の積層板を得た。
この積層板に対し、下記方法により誘電特性および半田耐熱性を試験した。その結果、誘電率は4.0、誘電正接は0.0035、半田耐熱性は120秒以上であった。
誘電特性:HP社製ベクトルネットワークアナライザHP8753Eを用い、1.6mm×1.5mm×75mmの角柱状試験片を用いて空洞共振器摂動法で5GHzの誘電率および誘電正接を測定した。
半田耐熱性試験:JIS C 0054に準拠して行い、260℃の半田浴に120秒間浸漬し、表面状態や形状に変化がないことを確認した。
化合物1の代わりに化合物2を用いたこと以外は、参考例3を繰り返した。その結果、誘電率は4.0、誘電正接は0.0040、半田耐熱性は120秒以上であった。
化合物1の代わりに化合物5を用いたこと以外は、参考例3を繰り返した。その結果、誘電率は4.0、誘電正接は0.0038、半田耐熱性は120秒以上であった。
化合物1の100部と化合物2の120部を80部のトルエンに溶解した樹脂溶液を35μm銅箔(3EC/三井金属工業(株))に厚さ100μmになるように塗工し、100℃で60分乾燥し、さらに120℃2時間加熱して半硬化状態にした(2つ作製した)。この2つの樹脂付き銅箔の樹脂と樹脂が接触するように重ね合わせ、150℃2時間、180℃6時間の加熱加圧成形(40kg/cm2)を行い、得られた試料を用いてJIS C 6481の方法で銅箔の引き剥がし強さを測定した結果、1.2kgf/cmであった。
Claims (13)
- 下記一般式(1):
下記一般式(2):
- 前記ビニルベンジルハライドが、m−ビニルベンジルクロライドおよびp−ビニルベンジルクロライドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の硬化性ポリビニルベンジル化合物。
- 前記反応が、非プロトン性極性溶媒中および/または相間移動触媒の存在下で行われる請求項1または2に記載の硬化性ポリビニルベンジル化合物。
- 請求項1に記載の硬化性ポリビニルベンジル化合物に、これと共重合可能なモノマー、オリゴマーおよび/またはポリマーを配合してなる硬化性樹脂組成物。
- 請求項1に記載の硬化性ポリビニルベンジル化合物を硬化させて得られた硬化樹脂。
- 請求項4に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られた硬化樹脂。
- 請求項1に記載の硬化性ポリビニルベンジル化合物を硬化させて得られた高周波用基板。
- 請求項4に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られた高周波用基板。
- 請求項4に記載の硬化性樹脂組成物を繊維材料に含浸して得られるプリプレグ。
- 請求項9に記載のプリプレグを単独で、または積層して加熱、加圧に施して得られる高周波用基板。
- 請求項9に記載のプリプレグを単独で、または積層し、さらに金属箔を重ねて加熱、加圧に施して得られる金属張り高周波用基板。
- 金属箔上に、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物を塗工し、両者を一体化せしめてなる樹脂付き金属箔。
- 導電層上に請求項4に記載の硬化性樹脂組成物を塗工し重合・硬化させ、硬化物の上にさらに導電層を設けたことを特徴とする多層積層基板。
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