JP4585076B2 - 磁性薄板、積層磁心及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えばモデム用トランス等に用いられるものであって、特に作業性、積層性に優れた磁性薄板、積層磁心及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、積層磁心を製造する場合には、例えば帯状薄板材を順送り金型装置等で間欠移送させながら、この帯状薄板材の磁性薄板となる部分をプレス装置でプレスすることにより行っていた。従来の装置では、このプレスは、一方向からのパンチのみであったため、図9に示されるように、得られる磁性薄板16には主面外周縁部内側17にバリなどと呼ばれる凸部18が形成されることが避けられなかった。
【0003】
このように主面外周縁部内側に凸部が形成されていると、次に行われる熱処理工程で磁性薄板どうしが溶着してしまうことが多かった。溶着現象が起きると、その後積層工程に適用することができず不良となっていた。このような溶着現象を防止するために磁性薄板を1枚1枚個別に熱処理することも可能であるが、スペース的に1度に熱処理できる枚数に限りがあることから製造効率が必ずしもよい方法ではなかった。そのため磁性薄板を縦もしくは横に重ねた状態で熱処理することは製造効率の観点から重要なことであった。また、主面外周縁部内側17に凸部18が形成されていると、熱処理中に反り等の変形が生じてしまう恐れがあり、特にE型形状を初めとする角部分の多い磁性薄板では前述のように、磁性薄板を縦もしくは横に重ねた状態で熱処理することは必要であった。さらに、主面外周縁部内側にバリ等の凸部が存在すると、図10に示されるように、磁性薄板16を積層した際に、磁性薄板16間に空間19が形成されてしまい、占積率低下をもたらし、磁気特性の低下につながってしまうことがあった。
【0004】
特に、E型形状をはじめとする、角部分の多い磁性薄板では、このようなバリが各角部分で発生するため、積層磁心の特性低下が顕著になっていた。
【0005】
近年、このような積層磁心は様々な分野に用いられている。特に高速通信技術の発展に伴いモデム用トランスに用いる磁心として、種々の磁性材料からなる積層磁心が適用されるようになっている。しかしながら、従来の磁性薄板は上述のようなバリ等の凸部が存在することから占積率の向上が図れずモデム用トランスに用いた場合、必ずしも特性が十分ではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、一方向からのプレスにより作製された磁心用薄板には、主面外周縁部にバリなどが形成され、熱処理の際の溶着や反りの発生原因となっている。
【0007】
このような溶着や反りを防ぐため、凸部を研磨等により除去することが考案されている。しかしながら、このような研磨には精度の高い技術と、処理のための時間が要求される。例えば、このような研磨方法の一例としてバレル研磨が挙げられる。しかしながら、E型形状のような角部分の多い多角形状の磁性薄板にバレル研磨を適用したとしても各角部分に存在する凸部を完全に削り落とすことは難しかった。また、他の方法として直接的に凸部を削り落とす方法があるが、このような方法では製造時間が必要以上にかかってしまい、特に磁性薄板を多数枚積層する場合にはコストアップにつながっていた。
【0008】
また、このような凸部の研磨にかわり、熱処理の際に、台の上もしくは各磁性薄板間に溶着防止のための粉を引くことによって、溶着や反りを防止することも試みられている。このような方法により、溶着や反り等に対して一定の効果が認められている。しかしながら、熱処理の際に用いた粉を磁性薄板から完全に除去することは難しく、これらの磁性薄板を積層した際に、これらの粉が磁性薄板間に残ってしまい、占積率の低下が発生し、積層磁心の特性低下を招いてしまうこととなった。
【0009】
本発明は、上記したような問題を解決するためになされたものであって、作製が容易で、積層性に優れた磁性薄板を提供することを目的としている。また、本発明は、前記した磁性薄板を用いて作製され、占積率に優れ、特にモデム用磁心に適した積層磁心を提供することを目的としている。さらに、本発明はこれら磁性薄板、積層磁心を効率的に作製する方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁性薄板は、金属合金薄板を打抜いた後、さらに熱処理を行うことにより得られる磁性薄板であって、前記磁性薄板の主面外周縁部内側に形成された凸部の高さが1μm以上5μm以下、かつ平面度が0.006mm以上0.02mm以下であることを特徴とするものである。
【0011】
前記磁性薄板の主面外周縁部に形成された凸部は、主面外周縁部より20μm以下の範囲に形成されていることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の磁性薄板の作製に用いられる前記金属合金薄板は、主として軟磁性薄板からなることが好ましい。
【0014】
本発明の積層磁心は、前記磁性薄板を積層してなることを特徴とするものである。本発明の積層磁心は、占積率が90%以上97%以下であることが好ましい。特に、本発明の積層磁心ではモデム用積層磁心として適用することが好ましく、このような分野に適用すると高周波歪み率を向上させることができる。
【0015】
本発明の磁性薄板の製造方法は、金属合金薄板の一方よりプレスすることにより、前記金属合金薄板の厚さの一部を剪断加工する工程と、前記金属合金薄板の他方よりプレスし、前記剪断加工を行った部分を平押しする工程と、前記平押しを行った部分を、前記平押し工程と同一の方向より再度プレスすることにより打抜き、主面外周縁部内側に形成された凸部の高さが1μm以上5μm以下のものを得る工程と、この打抜かれたものを熱処理して平面度が0.006mm以上0.02mm以下の磁性薄板を得る工程とを具備することを特徴とするものである。
【0016】
前記金属合金薄板の剪断加工は、前記金属合金薄板の厚さの1/4以上3/4以下の範囲で行うことが好ましい。また、本発明の磁性薄板の製造に用いられる前記金属合金薄板は、結晶質材料よりなることが好ましい。
【0017】
本発明の積層磁心の製造方法は、前記した磁性薄板の製造方法により磁性薄板を製造する工程と、前記磁性薄板を積層する工程とを具備することを特徴としている。
【0018】
本発明の磁性薄板は、主面外周縁部内側に形成される凸部の高さを、5μm以下とすることによって、磁性薄板を熱処理する際の台または他の磁性薄板との溶着を抑制し、作業性を向上させるとともに、磁性薄板を効率的に積層させることが可能となる。
【0019】
前記凸部は、外周縁部より20μmまでの範囲とすることでより一層、台または他の磁性薄板との溶着を抑制し、磁性薄板を効率的に積層させることが可能となる。
【0020】
上記した本発明の磁性薄板は、特に、前記磁性薄板の厚さが1mm以下の場合に有効であり、積層した場合に占積率を向上させることが可能となる。
【0021】
さらに、本発明の磁性薄板においては、熱処理した後の平面度を0.02mm以下とすることによって、より一層占積率を向上させることが可能となる。
【0022】
本発明の磁性薄板は、主として軟磁性薄板からなるものとすることで、積層磁心の磁気特性を向上させることができる。
【0023】
本発明の積層磁心は、上記した磁性薄板を積層してなるものであり、磁気特性に優れたものである。積層磁心の占積率を90%以上とすることによってより一層磁気特性の向上が可能となる。
【0024】
本発明の磁性薄板の製造方法は、金属合金薄板の一方よりプレスすることにより、前記金属合金薄板の厚さの一部を剪断加工し、次に前記金属合金薄板の他方よりプレスし、前記剪断加工を行った部分を平押しし、さらに前記平押しを行った部分を、前記平押し工程と同一の方向より再度プレスし打抜くことにより、磁性薄板の主面外周縁部内側のバリの発生を抑制することが可能となる。このとき、剪断加工を金属板の厚さの1/4以上3/4以下の範囲で行うことにより、磁性薄板の主面外周縁部内側のバリの発生をより一層抑制することが可能となる。
【0025】
本発明の積層磁心の製造方法は、上記した磁性薄板を積層するものであり、占積率に優れるため、磁気特性に優れた積層磁心の製造が可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
図1は本発明の磁性薄板を示した外観図である。本発明の磁性薄板1においては、磁性薄板の主面外周縁部内側2に、従来の磁性薄板のような高い凸部がなく、主として磁性薄板の側面部3に凸部4が存在するものである。ここでいう凸部とは、磁性薄板の加工の際に発生する、例えばバリなどと呼ばれる部分のことである。
【0028】
本発明の磁性薄板では主面に高い凸部が存在しないため、熱処理において、台または他の磁性薄板との溶着を抑制することができる。また、主面に高い凸部が存在しないため、熱処理中に磁性薄板の湾曲、反り等の変形が発生するのを抑制することが可能となる。
【0029】
図2は本発明の磁性薄板の一部を示した断面図である。主面外周縁部内側2に存在する凸部5は、高さをHとし幅をLとすると、
H≦5μm
L≦20μm
である。
【0030】
凸部の高さが5μmを超えると、熱処理の際、隣接する磁性薄板の凸部どうしが接触するため、凸部どうしが溶着しやすくなる。また、凸部の高さが5μmを超えると、熱処理の際に磁性薄板に湾曲、反り等の変形が生じやすくなる。磁性薄板どうしを縦もしくは横に重ねた状態で熱処理を行った場合に影響を受けやすい。また、E型形状のような角部分の多い形状においても湾曲、反り等の影響を受けやすくなってしまう。従って、凸部の高さを5μm以下とすることによって、このような磁性薄板の溶着及び変形を抑制することが可能となる。
【0031】
また、磁性薄板の側面部3に形成される凸部4の高さをWとすると、
W≦10μm
であることが好ましい。側面部の高さWを10μm以下とすることによって、磁心としての寸法精度が安定し、積層したときに側面がずれることなく積層することが可能となる。
【0032】
さらに、本発明の磁性薄板では、厚さをZとした場合、
Z≦1mm
のものに用いることが好ましい。磁性薄板の厚さZが1mmを超える場合には、これらを積層しても、凸部5による占積率の低下はあまり問題とならない。また、磁性薄板の厚さZが1mmを超える場合には、熱処理による変形等も発生しにくい。このような占積率や変形が問題となるのは、磁性薄板の厚さが薄いとき、つまり厚さZが1mm以下の場合である。よって、本発明を、厚さ1mm以下の磁性薄板に適用することによって、より一層占積率を向上させ、磁気特性を向上させることができる。なお、本発明の厚さZは両球マイクロメーターにより求めた数値とする。
【0033】
図3は、本発明において、熱処理を施した後の磁性薄板を側面から見た場合の外観図である。本発明の磁性薄板では、平面度をSとした場合、
S≦0.02mm
である。ここでいう平面度とは、平面度(S)=(平面度公差t−板厚Z)で表されるものであり、平面度公差tとはJIS−B−0021「18.2 平面度公差」で定められたものである。磁性薄板の平面度Sが0.02mmを超えると、これらを積層して積層磁心等を作製した場合に占積率が低下し、磁気特性が低下する恐れがある。本発明では、磁性薄板の主面に形成される凸部の高さを5μm以下とすることによって、平面度Sを0.02mm以下とすることができる。
【0034】
このような本発明の磁性薄板としては、軟磁性材料からなるものが好ましい。磁性薄板に軟磁性材料を用いることによって、積層磁心等を作製した場合に、磁気特性を大幅に向上させることができる。このような軟磁性体としては、例えばパーマロイ等の結晶質材料や、アモルファス等の非晶質材料を用いることができる。
【0035】
以上、本発明の磁性薄板について説明したが、本発明の磁性薄板は図1に示されるような円板状のものに限られず、例えば図4に示されるようなE型をしたようなものにも有効である。図4に示されるような、角部分6、7、8等の多い形状のものは、角部分の主面上に、高い凸部が形成されるため、これが熱処理の際の溶着や変形を発生させてしまう。従って、このような形状のものに本発明を適用することによって、熱処理の際の溶着や変形を抑制することが可能となり、かつこれらを積層させた場合、占積率を向上させることが可能となる。
【0036】
次に、本発明の積層磁心について説明する。
【0037】
図5は、本発明の積層磁心を示した断面図である。本発明の積層磁心は、上記した本発明の磁性薄板1を積層して得られるものである。本発明の磁性薄板1は、主面外周縁部の凸部の高さが5μm以下と低く、かつ変形等も少ないため、これらを積層した本発明の積層磁心は占積率が高く、磁気特性に優れたものである。本発明の積層磁心の占積率は好ましくは、90%以上である。これは、占積率が90%未満であると、磁気特性が低くなるため実用的でなくなるためである。ここで、占積率とは、積層磁心の積層方向の断面積において、磁性薄板全体が占める面積比率のことである。
【0038】
次に本発明の磁性薄板の製造方法について説明する。図6〜図8は、本発明の磁性薄板を製造する際の工程を順に示したものである。
【0039】
図6は、本発明の磁性薄板を加工する前の状態を示したものである。磁性薄板の材料となる基材9は、その上下を上型10及び下型11によって挟まれている。また、上型10及び下型11には基材をプレスするための上パンチ12、下パンチ13が挿入される孔14、15が設けられている。上型10及び下型11の孔14、15は、上パンチ12、下パンチ13の径よりも若干大きめとなっている。
【0040】
図7は、本発明の磁性薄板を剪断加工する工程を示したものである。上パンチ12をプレスすることにより基材9を剪断加工する。この際、基材9を完全に打抜かないで、一部分が他の基材9とつながった状態にしておくことが好ましい。このようなプレスの幅としては、プレス幅をP、基材の厚さをZとした場合、
(1/4)・Z ≦ P ≦ (3/4)・Z
の範囲とすることが好ましい。プレス幅Pを(1/4)・Z未満とすると、従来のプレスによる磁性薄板の製造とあまり変わりがなく、抜き落としの際に磁性薄板の主面外周円部内側に高い凸部が形成されてしまうおそれがある。また、プレス幅Pを(3/4)・Zを超えるものとすると、最初の剪断加工において高い凸部が形成され、抜き落とし後も前記凸部が残ってしまうことがある。
【0041】
従って、プレス幅Pを上記の範囲にすることによって、磁性薄板の主面外周円部内側に形成される凸部の高さを抑えることができる。
【0042】
図8は、図7における剪断加工の後、下パンチ13により、前記方向と逆方向よりプレスを行い、基材9と磁性薄板となる部分の高さを合わせた状態を示したものである。さらに、この後、下パンチ13によりプレスを行い磁性薄板となる部分を打抜くことによって本発明の磁性薄板を作製することができる。
【0043】
このように、最初に上パンチにより上方からプレスを行い、次に下パンチにより下方からプレスを行い、分割してプレスを行うことによって、磁性薄板の主面上に凸部が形成されるのを抑制することが可能となる。また、このような上方及び下方からのプレスは、複数回行っても良く、基材の材質や厚さ等により適宜に選択することができる。基材としては、磁気特性に優れる軟磁性体を用いることが好ましい。また、このような主面上の凸部は、特に基材の厚さが薄い場合に問題となるため、基材の厚さが1mm以下の場合に有効である。
【0044】
本発明の磁性薄板の製造方法によれば、磁性薄板の主面上の凸部の高さを大幅に抑えることができ、これにより熱処理の際の溶着を抑制し、作業性を向上させることができる。また、積層した場合においても、主面上の凸部の高さが低いため占積率を向上させることができる。
【0045】
本発明の積層磁心は、上記のようにして得られた磁性薄板を積層することによって作製することができ、主面上の凸部が非常に低いため、積層した場合の占積率に優れ、磁気特性を向上させることが可能となる。
【0046】
【実施例】
実施例1、2、比較例1、2
磁性薄板を作製する際のプレス方法及び磁性薄板のバリ高さが、熱処理の際の溶着に及ぼす影響について調査を行った。また、これらの磁性薄板を用いて積層磁心を作製した場合の磁気特性等についても調査を行った。
【0047】
磁性薄板としては、厚さ(Z)が0.6mmのパーマロイ磁性合金薄板を図7に示されるように、まず上方よりパーマロイ磁性合金薄板をプレスし、次に図8に示すようにパーマロイ磁性合金薄板と磁性薄板となる部分が同じ高さになるように下方よりプレスを行い、さらに下方よりプレスし打抜くことにより作製した(プッシュバック方式)。この際、磁性薄板の主面上に発生するバリ高さの調整は、最初のプレス加工の際のプレス幅を変化させることにより行った、これらを本発明の実施例1、2とした。
【0048】
一方、本発明に対する比較として、一方向のみからプレスを行い磁性薄板を作製した(抜き落とし方式)。これらのうち、プレス加工の後にバレル研磨を行い、バリを研磨したものを比較例1、またバリ研磨を行わなかったものを比較例2とした。
【0049】
これら実施例1、2、比較例1、2の磁性薄板の主面上のバリ高さ、平面度を表1に示す。
【0050】
【表1】
次に、これら実施例1、2、比較例1、2の磁性薄板を30枚主面を接触させた積層状態で立てて台の上に配置して熱処理を行い、その際の溶着強度を測定した。溶着強度は、磁性薄板どうしを離す際に要する力(剥離力)を測定することにより行った。ここで、測定結果は、各実施例及び比較例について30枚×3回ずつ行った際の、測定値の範囲を表したものである。
【0051】
さらに、これら熱処理後の磁性薄板を積層して積層磁心を作製し、それらの占積率及び磁気特性(1kHzにおけるトランスインダクタンス特性)を調べた。
これらの結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
表2の結果からわかるように、本発明の磁性薄板はバリ高さが低く平面度に優れるために、熱処理の際に溶着が抑制され、剥離力が低く作業性に優れることが分かった。これに対して、一方向のみからプレスを行った比較例1、2では、プレス後に研磨をしなかったものについては、剥離力が非常に高くなることがわかった。また、プレス後に研磨を行ったものにおいても、剥離力が若干高く、作業性に劣ることが分かった。
【0053】
また、これらを積層した積層磁心においては、本発明の実施例では占積率に優れているため、トランスインダクタンス特性が高い値となった。これに対して、比較例では、研磨によりバリ高さを低くしたものでも占積率が若干低くなりトランスインダクタンス特性が低くなった。また、バリを研磨しなかったものでは、さらに占積率が低くなりトランスインダクタンス特性も低い値となった。
【0054】
以上のことより、本発明の磁性薄板はプレス後に研磨等の特別な処理を行わなくても、熱処理の際の溶着を抑制し、十分に剥離力を低減させることが可能となることがわかった。また、本発明の磁性薄板はバリ高さが低くかつ平面度に優れるため、これらを積層した本発明の積層磁心は占積率が高く、磁気特性に優れるものであることがわかった。次に、実施例1、2の積層磁心をモデムに組み込んだときの1kHzにおける高周波歪み率(dB)を測定した結果を表3に示す。この高周波歪み率とは、モデムの性能を示すために使われるパラメータのことで、波形をどれだけ正確に伝えることができるかを示すものであり、マイナスが大きいほど優れたモデムであることを示すものである。
【0055】
【表3】
表3から分かる通り、本発明の実施例の積層磁心を用いたものはいずれも高周波歪み率が−80以下と優れた特性を示すことがわかった。
【0056】
このことから分かる通り、本発明の積層磁心はモデム等の波形信号(パルス信号)を取り扱う分野の機器において優れた効果を発揮するものであることがわかる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の磁性薄板は主面上に形成される凸部の高さが低いため、熱処理の際に溶着や反り等が発生するのを抑制することが可能となる。従って、溶着や反り等による不良品発生を抑制するとともに、作業性等も向上させることができる。また、本発明の磁性薄板は主面上に形成される凸部の高さが低いため、これらを効率的に積層することが可能となる。本発明の磁性薄板を用いて作製される積層磁心は、占積率に優れ、磁気特性に優れるものである。特に、本発明の積層磁心はモデム用磁心として優れた効果を発揮するものである。
【0058】
本発明の磁性薄板の製造方法では、熱処理の際の溶着や反り等を抑制した磁性薄板を容易に作製することが可能となる。また、本発明の積層磁心の製造方法では、占積率及び磁気特性等に優れる積層磁心を効率的に作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性薄板の一実施例を表す外観図。
【図2】本発明の磁性薄板の一実施例を表す断面図
【図3】本発明の磁性薄板の一実施例を表す側面図。
【図4】本発明の磁性薄板の他の実施例を表す外観図。
【図5】本発明の積層磁心の一実施例を表す断面図。
【図6】本発明の磁性薄板の製造前の状態を表す断面図。
【図7】本発明の磁性薄板の一製造工程を表す断面図。
【図8】本発明の磁性薄板の一製造工程を表す断面図。
【図9】従来の磁性薄板を表す外観図。
【図10】従来の積層磁心を表す断面図。
【符号の説明】
1……磁性薄板
2……主面外周縁部内側
3……側面部
4……側面部の凸部
5……主面上の凸部
9……基材
10……上型
11……下型
12……上パンチ
13……下パンチ
Claims (10)
- 金属合金薄板を打抜いた後、さらに熱処理を行うことにより得られる磁性薄板であって、
前記磁性薄板の主面外周縁部内側に形成された凸部の高さが1μm以上5μm以下、かつ平面度が0.006mm以上0.02mm以下であることを特徴とする磁性薄板。 - 前記磁性薄板の主面外周縁部に形成された凸部は、主面外周縁部より20μm以下の範囲に形成されていることを特徴とする請求項1記載の磁性薄板。
- 前記金属合金薄板は、主として軟磁性薄板からなることを特徴とする請求項1または2記載の磁性薄板。
- 請求項1乃至3のいずれか1項記載の磁性薄板を積層してなることを特徴とする積層磁心。
- 占積率が90%以上97%以下であることを特徴とする請求項4記載の積層磁心。
- モデムに適用するための磁心であることを特徴とする請求項4または5記載の積層磁心。
- 金属合金薄板の一方よりプレスすることにより、前記金属合金薄板の厚さの一部を剪断加工する工程と、
前記金属合金薄板の他方よりプレスし、前記剪断加工を行った部分を平押しする工程と、
前記平押しを行った部分を、前記平押し工程と同一の方向より再度プレスすることにより打抜き、主面外周縁部内側に形成された凸部の高さが1μm以上5μm以下のものを得る工程と、
この打抜かれたものを熱処理して平面度が0.006mm以上0.02mm以下の磁性薄板を得る工程と
を具備することを特徴とする磁性薄板の製造方法。 - 前記金属合金薄板の剪断加工は、前記金属合金薄板の厚さの1/4以上3/4以下の範囲で行うことを特徴とする請求項7記載の磁性薄板の製造方法。
- 前記金属合金薄板は結晶質材料よりなることを特徴とする請求項7または8記載の磁性薄板の製造方法。
- 請求項7乃至9のいずれか1項記載の磁性薄板の製造方法により磁性薄板を製造する工程と、
前記磁性薄板を積層する工程と
を具備することを特徴とする積層磁心の製造方法。
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