JP2010171438A - 寸法精度に優れた積層コア - Google Patents

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Abstract

【課題】寸法精度に優れた積層コアの製造方法を提供する。
【解決手段】コア構成部材が板厚0.2mm以下の薄板からなり、前記コア構成部材どうしが接着剤で接着され、前記薄板を積層してなる積層コアの製造方法であって、前記薄板のカエリ高さの最大値を30μm以下でかつカエリ高さの板面内バラツキを10μm以下と規定する。なお、前記薄板はSiを2.5〜7.0%含むことが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータ、リアクトル、トランス等に用いられるコアの構造に関し、さらに詳述すれば薄板を積層して構成される積層コアに関するものである。
薄板をコア構成部材とし、積層、接着したものは、モータ、リアクトル、トランスなどのコアとして従来より使用されてきた。薄板の中でも珪素鋼板は優れた軟磁気特性を持つため、トランスやモ−タのコア材として広く用いられている。この種の鋼板はSi含有量が増すほど鉄損が低減され、Siが6.5wt%では磁歪が0となり、最大透磁率もピ−クとなるなど優れた磁気特性を呈することが知られている。
積層コアを製造するに際し、コア構成部材どうしの接着方法としては、カシメ、接着皮膜などがあげられる。しかし、薄板が板厚0.2mm以下の場合は、上記方法により接着し積層コアを製造しようとするとカシメ部の強度不足や接着皮膜膜厚大に起因し所望の占積率を確保できない等の問題があり、一般的に工業レベルの量産は困難であった。
これに対し、積層コアの接着として樹脂系接着剤を用いることで工業レベルのコア量産を可能とした。
しかしながら、工業レベルのコア量産は可能となったものの、積層方向のタオレなど寸法精度を確保することが難しく、積層コアを用いたリアクトル、トランス、モータなどを製作する場合に量産を困難としているのが現状である。
本発明は、以上の問題を解決するためになされたものであり、寸法精度に優れた積層コアを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意研究した。その結果、コア構成部材としての薄板のカエリに着目し、前記カエリの最大値とそのバラツキを調整することにより、安定した寸法精度を有する積層コアが製造できることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]コア構成部材が板厚0.2mm以下の薄板からなり、前記コア構成部材どうしが接着剤で接着され、前記薄板を積層してなる積層コアであって、前記薄板のカエリ高さの最大値が30μm以下でかつカエリ高さの板面内バラツキが10μm以下であることを特徴とする寸法精度に優れた積層コア。
[2]上記[1]において、前記薄板はSiを2.5〜7.0mass%含むことを特徴とする接着強度に優れた積層コア。
以上、本発明によれば、寸法精度に優れた積層コアを得ることができる。また、寸法精度が安定しているので、コアを組み合わせてトランスやリアクトル、モータを製作する上で支障をきたす事がない。
積層コア内の薄板のカエリ高さの板面内バラツキと積層方向のタオレ量との関係を示す図である。 積層方向タオレ量の測定方法を示す模式図である。
本発明は、コア構成部材である薄板を積層・接着して得られる積層コアであり、その形状等は特に限定しない。例えば、鉄心タイプ、EIコア等が挙げられる。そして本発明の特徴は、コア構成部材である薄板のカエリ高さの最大値を30μm以下、かつ、板面内バラツキを10μm以下と規定することである。このようにカエリを規定した上で、薄板を積層・接着することにより寸法精度に優れた積層コアが得られる。
なお、本発明において、コア構成部材としては、板厚0.2mm以下の薄板とする。さらに、上記薄板としては、優れた軟磁気特性を持つ珪素鋼板が好ましく、Si含有量2.5〜7.0mass%の高珪素鋼板を使用することが好ましい。
以下に本発明の詳細を説明する。
まず、本発明において、コア構成部材である薄板のカエリ高さの最大値は30μm以下とする。カエリ高さが30μm超えでは、積層時にカエリが存在することにより層間抵抗が低下しコアとしての磁気特性が著しく劣化してしまう。また、カエリによりコアのせん断部分のフクレなどが積層時に発生し、積み厚精度が出ない。
次いで、積層コア内の薄板のカエリ高さの板面内バラツキと寸法精度との関係を調べるため、板厚0.1mmのSiを6.5mass%含有する珪素鋼板の薄板をコア構成部材とし、前記薄板を積層し、積層した薄板間をワニス含浸により接着固定し、積み厚10mmの積層コアを作成した。この時、薄板のカエリの高さは30μm以下とし、薄板を加工する際の金型の研磨を調整することにより、薄板のカエリ高さを変化させ、薄板板面内でカエリ高さにバラツキをもたせた。
寸法精度の評価としては積層方向のタオレを用いた。積層方向のタオレは図2に示すように積層方向厚みをa、タオレ量をbとした場合、b/a×100(%)で表し、コア積層後のギャップ管理などの点から1%以下を良好とした。図1に板面内カエリバラツキと積層方向タオレ量との関係を示す。図1においては、積層方向厚みが10mmなので、積層方向のタオレを1%以下とするためにはタオレ量を0.1mm以下とする必要がある。
また、カエリの変化は金型の摩耗によるクリアランス変化に伴い生じ、積み厚10mm(コア部材である薄板は100枚程度)の積層コア用に薄板を連続して加工する場合では各々の薄板間でのカエリの変化はほとんどない。ゆえに、図1において、各プロットは、各々の積層コアに対して、任意に抜き取った薄板10枚について積層方向のタオレを測定した場合の平均とした。
図1より、薄板のカエリ高さの板面内バラツキが10μm以下でタオレ量が0.1mm以下とタオレの発生が抑えられ良好な結果を示していることがわかる。これは、カエリのバラツキが大きいことによって、積層時に各所毎の積厚に差違が生じ、それがタオレとなるためと考えられる。以上から、本発明において、薄板のカエリ高さの板面内バラツキは10μm以下とする。
なお、本発明において、カエリ高さとは、JIS C 2550「電磁鋼帯試験方法」規定されている方法により測定される値である。また、バラツキは薄板板面内でカエリ高さの最大値−薄板板面内でカエリ高さの最小値である。
また、薄板のカエリ高さは、例えば薄板を加工する金型を研磨する事により本発明範囲内とすることができる。
本発明の寸法精度に優れた積層コアの製造方法は上記に規定する薄板のカエリ高さとその板面内のバラツキが本発明範囲内であれば良く、それ以外は特に限定しない。例えば、ア)打ち抜き加工等により所定の形状のコア構成部材である薄板を得、次いで前記薄板を接着剤に浸漬した状態で積層し、成型用治具等で拘束することにより成型し、その後乾燥焼付をする方法や、イ)ア)において、薄板を接着剤に浸漬する前にまず積層し、次いで接着剤に浸漬し、成型し、その後乾燥焼付をする方法などが挙げられる。そして、ア)イ)いずれも、打ち抜き加工等により所定の形状のコア構成部材である薄板を得る場合に、薄板のカエリ高さとその板面内のバラツキを本発明範囲内とすることが好ましい。
この時、使用する接着剤は特に限定しない。しかし、トランスやリアクトルの使用時にはコアの表面温度が発熱により100℃以上に達する場合があるので、接着剤としては高温
での接着強度の強いものを使用することが好ましい。例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等の接着剤が用いられる。
Siを6.5mass%含む板厚0.1mmの薄鋼板を用い、これを積層、接着してW50mm×L20mm×H20mmサイズのコアを作成した。この時、積層用薄板のカエリのばらつきを5μm間隔で30μmと変化させた。また、コア構成部材どうしの接着はアクリル系接着剤を積層後含浸させる方法により行った。得られたサンプルに対して図2と同様の方法で積層方向タオレ量を測定した。得られた結果を表1に示す。なお、積層方向厚みが20mmであることから積層方向タオレが1%以下となるのは、タオレ量が0.2mm以下の場合となる。
Figure 2010171438
表1より、バラツキが本発明範囲内である実施例ではいずれもタオレ量が0.2mm以下と低く寸法精度が優れていることがわかる。
一方、板面内カエリバラツキが15、20、25、30μmの4種の本発明範囲外の比較例では、積層方向タオレ量が大きく、寸法精度と劣っていた。

Claims (3)

  1. コア構成部材が板厚0.2mm以下の薄板からなり、前記コア構成部材どうしが接着剤で接着され、前記薄板を積層してなる積層コアを製造するにあたり、前記薄板のカエリ高さの最大値を30μm以下、かつカエリ高さの板面内バラツキを10μm以下と規定することを特徴とする寸法精度に優れた積層コアの製造方法。
  2. 前記薄板はSiを2.5〜7.0mass%含むことを特徴とする請求項1に記載の接着強度に優れた積層コアの製造方法。
  3. 積層コア用薄板の加工用金型の研磨方法であって、前記薄板のカエリ高さの最大値を30μm以下、かつカエリ高さの板面内バラツキを10μm以下となるように研磨することを特徴とする請求項1または2に記載の接着強度に優れた積層コアの製造方法に用いる加工用金型の研磨方法。
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