JP2001284116A - 磁性薄板、積層磁心及びそれらの製造方法 - Google Patents

磁性薄板、積層磁心及びそれらの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱処理の際の溶着を抑制することにより作業
性を向上させ、かつ積層した際に占積率に優れた磁性薄
板の提供。 【解決手段】 金属合金薄板を打抜いて得られる磁性薄
板であって、その厚さが1mm以下であり、かつ主面外
周縁部内側に形成された凸部の高さが、5μm以下であ
るもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えばモデム用トラ
ンス等に用いられるものであって、特に作業性、積層性
に優れた磁性薄板、積層磁心及びそれらの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、積層磁心を製造する場合には、例
えば帯状薄板材を順送り金型装置等で間欠移送させなが
ら、この帯状薄板材の磁性薄板となる部分をプレス装置
でプレスすることにより行っていた。従来の装置では、
このプレスは、一方向からのパンチのみであったため、
図9に示されるように、得られる磁性薄板16には主面
外周縁部内側17にバリなどと呼ばれる凸部18が形成
されることが避けられなかった。
【0003】このように主面外周縁部内側に凸部が形成
されていると、次に行われる熱処理工程で磁性薄板どう
しが溶着してしまうことが多かった。溶着現象が起きる
と、その後積層工程に適用することができず不良となっ
ていた。このような溶着現象を防止するために磁性薄板
を1枚1枚個別に熱処理することも可能であるが、スペ
ース的に1度に熱処理できる枚数に限りがあることから
製造効率が必ずしもよい方法ではなかった。そのため磁
性薄板を縦もしくは横に重ねた状態で熱処理することは
製造効率の観点から重要なことであった。また、主面外
周縁部内側17に凸部18が形成されていると、熱処理
中に反り等の変形が生じてしまう恐れがあり、特にE型
形状を初めとする角部分の多い磁性薄板では前述のよう
に、磁性薄板を縦もしくは横に重ねた状態で熱処理する
ことは必要であった。さらに、主面外周縁部内側にバリ
等の凸部が存在すると、図10に示されるように、磁性
薄板16を積層した際に、磁性薄板16間に空間19が
形成されてしまい、占積率低下をもたらし、磁気特性の
低下につながってしまうことがあった。
【0004】特に、E型形状をはじめとする、角部分の
多い磁性薄板では、このようなバリが各角部分で発生す
るため、積層磁心の特性低下が顕著になっていた。
【0005】近年、このような積層磁心は様々な分野に
用いられている。特に高速通信技術の発展に伴いモデム
用トランスに用いる磁心として、種々の磁性材料からな
る積層磁心が適用されるようになっている。しかしなが
ら、従来の磁性薄板は上述のようなバリ等の凸部が存在
することから占積率の向上が図れずモデム用トランスに
用いた場合、必ずしも特性が十分ではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、一方
向からのプレスにより作製された磁心用薄板には、主面
外周縁部にバリなどが形成され、熱処理の際の溶着や反
りの発生原因となっている。
【0007】このような溶着や反りを防ぐため、凸部を
研磨等により除去することが考案されている。しかしな
がら、このような研磨には精度の高い技術と、処理のた
めの時間が要求される。例えば、このような研磨方法の
一例としてバレル研磨が挙げられる。しかしながら、E
型形状のような角部分の多い多角形状の磁性薄板にバレ
ル研磨を適用したとしても各角部分に存在する凸部を完
全に削り落とすことは難しかった。また、他の方法とし
て直接的に凸部を削り落とす方法があるが、このような
方法では製造時間が必要以上にかかってしまい、特に磁
性薄板を多数枚積層する場合にはコストアップにつなが
っていた。
【0008】また、このような凸部の研磨にかわり、熱
処理の際に、台の上もしくは各磁性薄板間に溶着防止の
ための粉を引くことによって、溶着や反りを防止するこ
とも試みられている。このような方法により、溶着や反
り等に対して一定の効果が認められている。しかしなが
ら、熱処理の際に用いた粉を磁性薄板から完全に除去す
ることは難しく、これらの磁性薄板を積層した際に、こ
れらの粉が磁性薄板間に残ってしまい、占積率の低下が
発生し、積層磁心の特性低下を招いてしまうこととなっ
た。
【0009】本発明は、上記したような問題を解決する
ためになされたものであって、作製が容易で、積層性に
優れた磁性薄板を提供することを目的としている。ま
た、本発明は、前記した磁性薄板を用いて作製され、占
積率に優れ、特にモデム用磁心に適した積層磁心を提供
することを目的としている。さらに、本発明はこれら磁
性薄板、積層磁心を効率的に作製する方法を提供するこ
とを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の磁性薄板は、金
属合金薄板を打抜いて得られる磁性薄板であって、前記
磁性薄板の主面外周縁部内側に形成された凸部の高さ
が、5μm以下であることを特徴とするものである。
【0011】前記磁性薄板の主面外周縁部に形成された
凸部は、主面外周縁部より20μm以下の範囲に形成さ
れていることが好ましい。前記磁性薄板の側面部に形成
された凸部の高さは10μm以下であることが好まし
い。さらに、前記磁性薄板は、厚さが1mm以下である
ことが好ましい。
【0012】また、本発明の磁性薄板は、前記磁性薄板
を熱処理することによって得られる磁性薄板であって、
前記磁性薄板の平面度が、0.02mm以下であること
を特徴とするものである。
【0013】さらに、本発明の磁性薄板の作製に用いら
れる前記金属合金薄板は、主として軟磁性薄板からなる
ことが好ましい。
【0014】本発明の積層磁心は、前記磁性薄板を積層
してなることを特徴とするものである。本発明の積層磁
心は、占積率が90%以上であることが好ましい。特
に、本発明の積層磁心ではモデム用積層磁心として適用
することが好ましく、このような分野に適用すると高周
波歪み率を向上させることができる。
【0015】本発明の磁性薄板の製造方法は、金属合金
薄板の一方よりプレスすることにより、前記金属合金薄
板の厚さの一部を剪断加工する工程と、前記金属合金薄
板の他方よりプレスし、前記剪断加工を行った部分を平
押しする工程と、前記平押しを行った部分を、前記平押
し工程と同一の方向より再度プレスすることにより打抜
く工程とを具備することを特徴とするものである。
【0016】前記金属合金薄板の剪断加工は、前記金属
合金薄板の厚さの1/4以上3/4以下の範囲で行うこ
とが好ましい。また、前記磁性薄板はさらに熱処理する
ことが好ましい。本発明の磁性薄板の製造に用いられる
前記金属合金薄板は、結晶質材料よりなることが好まし
い。
【0017】本発明の積層磁心の製造方法は、前記した
磁性薄板の製造方法により磁性薄板を製造する工程と、
前記磁性薄板を積層する工程とを具備することを特徴と
している。
【0018】本発明の磁性薄板は、主面外周縁部内側に
形成される凸部の高さを、5μm以下とすることによっ
て、磁性薄板を熱処理する際の台または他の磁性薄板と
の溶着を抑制し、作業性を向上させるとともに、磁性薄
板を効率的に積層させることが可能となる。
【0019】前記凸部は、外周縁部より20μmまでの
範囲とすることでより一層、台または他の磁性薄板との
溶着を抑制し、磁性薄板を効率的に積層させることが可
能となる。
【0020】上記した本発明の磁性薄板は、特に、前記
磁性薄板の厚さが1mm以下の場合に有効であり、積層
した場合に占積率を向上させることが可能となる。
【0021】さらに、本発明の磁性薄板においては、熱
処理した後の平面度を0.02mm以下とすることによ
って、より一層占積率を向上させることが可能となる。
【0022】本発明の磁性薄板は、主として軟磁性薄板
からなるものとすることで、積層磁心の磁気特性を向上
させることができる。
【0023】本発明の積層磁心は、上記した磁性薄板を
積層してなるものであり、磁気特性に優れたものであ
る。積層磁心の占積率を90%以上とすることによって
より一層磁気特性の向上が可能となる。
【0024】本発明の磁性薄板の製造方法は、金属合金
薄板の一方よりプレスすることにより、前記金属合金薄
板の厚さの一部を剪断加工し、次に前記金属合金薄板の
他方よりプレスし、前記剪断加工を行った部分を平押し
し、さらに前記平押しを行った部分を、前記平押し工程
と同一の方向より再度プレスし打抜くことにより、磁性
薄板の主面外周縁部内側のバリの発生を抑制することが
可能となる。このとき、剪断加工を金属板の厚さの1/
4以上3/4以下の範囲で行うことにより、磁性薄板の
主面外周縁部内側のバリの発生をより一層抑制すること
が可能となる。
【0025】本発明の積層磁心の製造方法は、上記した
磁性薄板を積層するものであり、占積率に優れるため、
磁気特性に優れた積層磁心の製造が可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0027】図1は本発明の磁性薄板を示した外観図で
ある。本発明の磁性薄板1においては、磁性薄板の主面
外周縁部内側2に、従来の磁性薄板のような高い凸部が
なく、主として磁性薄板の側面部3に凸部4が存在する
ものである。ここでいう凸部とは、磁性薄板の加工の際
に発生する、例えばバリなどと呼ばれる部分のことであ
る。
【0028】本発明の磁性薄板では主面に高い凸部が存
在しないため、熱処理において、台または他の磁性薄板
との溶着を抑制することができる。また、主面に高い凸
部が存在しないため、熱処理中に磁性薄板の湾曲、反り
等の変形が発生するのを抑制することが可能となる。
【0029】図2は本発明の磁性薄板の一部を示した断
面図である。主面外周縁部内側2に存在する凸部5は、
高さをHとし幅をLとすると、 H≦5μm L≦20μm である。
【0030】凸部の高さが5μmを超えると、熱処理の
際、隣接する磁性薄板の凸部どうしが接触するため、凸
部どうしが溶着しやすくなる。また、凸部の高さが5μ
mを超えると、熱処理の際に磁性薄板に湾曲、反り等の
変形が生じやすくなる。磁性薄板どうしを縦もしくは横
に重ねた状態で熱処理を行った場合に影響を受けやす
い。また、E型形状のような角部分の多い形状において
も湾曲、反り等の影響を受けやすくなってしまう。従っ
て、凸部の高さを5μm以下とすることによって、この
ような磁性薄板の溶着及び変形を抑制することが可能と
なる。
【0031】また、磁性薄板の側面部3に形成される凸
部4の高さをWとすると、 W≦10μm であることが好ましい。側面部の高さWを10μm以下
とすることによって、磁心としての寸法精度が安定し、
積層したときに側面がずれることなく積層することが可
能となる。
【0032】さらに、本発明の磁性薄板では、厚さをZ
とした場合、 Z≦1mm のものに用いることが好ましい。磁性薄板の厚さZが1
mmを超える場合には、これらを積層しても、凸部5に
よる占積率の低下はあまり問題とならない。また、磁性
薄板の厚さZが1mmを超える場合には、熱処理による
変形等も発生しにくい。このような占積率や変形が問題
となるのは、磁性薄板の厚さが薄いとき、つまり厚さZ
が1mm以下の場合である。よって、本発明を、厚さ1
mm以下の磁性薄板に適用することによって、より一層
占積率を向上させ、磁気特性を向上させることができ
る。なお、本発明の厚さZは両球マイクロメーターによ
り求めた数値とする。
【0033】図3は、本発明において、熱処理を施した
後の磁性薄板を側面から見た場合の外観図である。本発
明の磁性薄板では、平面度をSとした場合、 S≦0.02mm であることが好ましい。ここでいう平面度とは、平面度
(S)=(平面度公差t−板厚Z)で表されるものであ
り、平面度公差tとはJIS−B−0021「18.2
平面度公差」で定められたものである。磁性薄板の平
面度Sが0.02mmを超えると、これらを積層して積
層磁心等を作製した場合に占積率が低下し、磁気特性が
低下する恐れがある。本発明では、磁性薄板の主面に形
成される凸部の高さを5μm以下とすることによって、
平面度Sを0.02mm以下とすることができる。
【0034】このような本発明の磁性薄板としては、軟
磁性材料からなるものが好ましい。磁性薄板に軟磁性材
料を用いることによって、積層磁心等を作製した場合
に、磁気特性を大幅に向上させることができる。このよ
うな軟磁性体としては、例えばパーマロイ等の結晶質材
料や、アモルファス等の非晶質材料を用いることができ
る。
【0035】以上、本発明の磁性薄板について説明した
が、本発明の磁性薄板は図1に示されるような円板状の
ものに限られず、例えば図4に示されるようなE型をし
たようなものにも有効である。図4に示されるような、
角部分6、7、8等の多い形状のものは、角部分の主面
上に、高い凸部が形成されるため、これが熱処理の際の
溶着や変形を発生させてしまう。従って、このような形
状のものに本発明を適用することによって、熱処理の際
の溶着や変形を抑制することが可能となり、かつこれら
を積層させた場合、占積率を向上させることが可能とな
る。
【0036】次に、本発明の積層磁心について説明す
る。
【0037】図5は、本発明の積層磁心を示した断面図
である。本発明の積層磁心は、上記した本発明の磁性薄
板1を積層して得られるものである。本発明の磁性薄板
1は、主面外周縁部の凸部の高さが5μm以下と低く、
かつ変形等も少ないため、これらを積層した本発明の積
層磁心は占積率が高く、磁気特性に優れたものである。
本発明の積層磁心の占積率は好ましくは、90%以上で
ある。これは、占積率が90%未満であると、磁気特性
が低くなるため実用的でなくなるためである。ここで、
占積率とは、積層磁心の積層方向の断面積において、磁
性薄板全体が占める面積比率のことである。
【0038】次に本発明の磁性薄板の製造方法について
説明する。図6〜図8は、本発明の磁性薄板を製造する
際の工程を順に示したものである。
【0039】図6は、本発明の磁性薄板を加工する前の
状態を示したものである。磁性薄板の材料となる基材9
は、その上下を上型10及び下型11によって挟まれて
いる。また、上型10及び下型11には基材をプレスす
るための上パンチ12、下パンチ13が挿入される孔1
4、15が設けられている。上型10及び下型11の孔
14、15は、上パンチ12、下パンチ13の径よりも
若干大きめとなっている。
【0040】図7は、本発明の磁性薄板を剪断加工する
工程を示したものである。上パンチ12をプレスするこ
とにより基材9を剪断加工する。この際、基材9を完全
に打抜かないで、一部分が他の基材9とつながった状態
にしておくことが好ましい。このようなプレスの幅とし
ては、プレス幅をP、基材の厚さをZとした場合、(1
/4)・Z ≦ P ≦ (3/4)・Zの範囲とする
ことが好ましい。プレス幅Pを(1/4)・Z未満とす
ると、従来のプレスによる磁性薄板の製造とあまり変わ
りがなく、抜き落としの際に磁性薄板の主面外周円部内
側に高い凸部が形成されてしまうおそれがある。また、
プレス幅Pを(3/4)・Zを超えるものとすると、最
初の剪断加工において高い凸部が形成され、抜き落とし
後も前記凸部が残ってしまうことがある。
【0041】従って、プレス幅Pを上記の範囲にするこ
とによって、磁性薄板の主面外周円部内側に形成される
凸部の高さを抑えることができる。
【0042】図8は、図7における剪断加工の後、下パ
ンチ13により、前記方向と逆方向よりプレスを行い、
基材9と磁性薄板となる部分の高さを合わせた状態を示
したものである。さらに、この後、下パンチ13により
プレスを行い磁性薄板となる部分を打抜くことによって
本発明の磁性薄板を作製することができる。
【0043】このように、最初に上パンチにより上方か
らプレスを行い、次に下パンチにより下方からプレスを
行い、分割してプレスを行うことによって、磁性薄板の
主面上に凸部が形成されるのを抑制することが可能とな
る。また、このような上方及び下方からのプレスは、複
数回行っても良く、基材の材質や厚さ等により適宜に選
択することができる。基材としては、磁気特性に優れる
軟磁性体を用いることが好ましい。また、このような主
面上の凸部は、特に基材の厚さが薄い場合に問題となる
ため、基材の厚さが1mm以下の場合に有効である。
【0044】本発明の磁性薄板の製造方法によれば、磁
性薄板の主面上の凸部の高さを大幅に抑えることがで
き、これにより熱処理の際の溶着を抑制し、作業性を向
上させることができる。また、積層した場合において
も、主面上の凸部の高さが低いため占積率を向上させる
ことができる。
【0045】本発明の積層磁心は、上記のようにして得
られた磁性薄板を積層することによって作製することが
でき、主面上の凸部が非常に低いため、積層した場合の
占積率に優れ、磁気特性を向上させることが可能とな
る。
【0046】
【実施例】実施例1、2、比較例1、2 磁性薄板を作製する際のプレス方法及び磁性薄板のバリ
高さが、熱処理の際の溶着に及ぼす影響について調査を
行った。また、これらの磁性薄板を用いて積層磁心を作
製した場合の磁気特性等についても調査を行った。
【0047】磁性薄板としては、厚さ(Z)が0.6m
mのパーマロイ磁性合金薄板を図7に示されるように、
まず上方よりパーマロイ磁性合金薄板をプレスし、次に
図8に示すようにパーマロイ磁性合金薄板と磁性薄板と
なる部分が同じ高さになるように下方よりプレスを行
い、さらに下方よりプレスし打抜くことにより作製した
(プッシュバック方式)。この際、磁性薄板の主面上に
発生するバリ高さの調整は、最初のプレス加工の際のプ
レス幅を変化させることにより行った、これらを本発明
の実施例1、2とした。
【0048】一方、本発明に対する比較として、一方向
のみからプレスを行い磁性薄板を作製した(抜き落とし
方式)。これらのうち、プレス加工の後にバレル研磨を
行い、バリを研磨したものを比較例1、またバリ研磨を
行わなかったものを比較例2とした。
【0049】これら実施例1、2、比較例1、2の磁性
薄板の主面上のバリ高さ、平面度を表1に示す。
【0050】
【表1】 次に、これら実施例1、2、比較例1、2の磁性薄板を
30枚主面を接触させた積層状態で立てて台の上に配置
して熱処理を行い、その際の溶着強度を測定した。溶着
強度は、磁性薄板どうしを離す際に要する力(剥離力)
を測定することにより行った。ここで、測定結果は、各
実施例及び比較例について30枚×3回ずつ行った際
の、測定値の範囲を表したものである。
【0051】さらに、これら熱処理後の磁性薄板を積層
して積層磁心を作製し、それらの占積率及び磁気特性
(1kHzにおけるトランスインダクタンス特性)を調
べた。これらの結果を表2に示す。
【0052】
【表2】 表2の結果からわかるように、本発明の磁性薄板はバリ
高さが低く平面度に優れるために、熱処理の際に溶着が
抑制され、剥離力が低く作業性に優れることが分かっ
た。これに対して、一方向のみからプレスを行った比較
例1、2では、プレス後に研磨をしなかったものについ
ては、剥離力が非常に高くなることがわかった。また、
プレス後に研磨を行ったものにおいても、剥離力が若干
高く、作業性に劣ることが分かった。
【0053】また、これらを積層した積層磁心において
は、本発明の実施例では占積率に優れているため、トラ
ンスインダクタンス特性が高い値となった。これに対し
て、比較例では、研磨によりバリ高さを低くしたもので
も占積率が若干低くなりトランスインダクタンス特性が
低くなった。また、バリを研磨しなかったものでは、さ
らに占積率が低くなりトランスインダクタンス特性も低
い値となった。
【0054】以上のことより、本発明の磁性薄板はプレ
ス後に研磨等の特別な処理を行わなくても、熱処理の際
の溶着を抑制し、十分に剥離力を低減させることが可能
となることがわかった。また、本発明の磁性薄板はバリ
高さが低くかつ平面度に優れるため、これらを積層した
本発明の積層磁心は占積率が高く、磁気特性に優れるも
のであることがわかった。次に、実施例1、2の積層磁
心をモデムに組み込んだときの1kHzにおける高周波
歪み率(dB)を測定した結果を表3に示す。この高周
波歪み率とは、モデムの性能を示すために使われるパラ
メータのことで、波形をどれだけ正確に伝えることがで
きるかを示すものであり、マイナスが大きいほど優れた
モデムであることを示すものである。
【0055】
【表3】 表3から分かる通り、本発明の実施例の積層磁心を用い
たものはいずれも高周波歪み率が−80以下と優れた特
性を示すことがわかった。
【0056】このことから分かる通り、本発明の積層磁
心はモデム等の波形信号(パルス信号)を取り扱う分野
の機器において優れた効果を発揮するものであることが
わかる。
【0057】
【発明の効果】本発明の磁性薄板は主面上に形成される
凸部の高さが低いため、熱処理の際に溶着や反り等が発
生するのを抑制することが可能となる。従って、溶着や
反り等による不良品発生を抑制するとともに、作業性等
も向上させることができる。また、本発明の磁性薄板は
主面上に形成される凸部の高さが低いため、これらを効
率的に積層することが可能となる。本発明の磁性薄板を
用いて作製される積層磁心は、占積率に優れ、磁気特性
に優れるものである。特に、本発明の積層磁心はモデム
用磁心として優れた効果を発揮するものである。
【0058】本発明の磁性薄板の製造方法では、熱処理
の際の溶着や反り等を抑制した磁性薄板を容易に作製す
ることが可能となる。また、本発明の積層磁心の製造方
法では、占積率及び磁気特性等に優れる積層磁心を効率
的に作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁性薄板の一実施例を表す外観図。
【図2】 本発明の磁性薄板の一実施例を表す断面図
【図3】 本発明の磁性薄板の一実施例を表す側面図。
【図4】 本発明の磁性薄板の他の実施例を表す外観
図。
【図5】 本発明の積層磁心の一実施例を表す断面図。
【図6】 本発明の磁性薄板の製造前の状態を表す断面
図。
【図7】 本発明の磁性薄板の一製造工程を表す断面
図。
【図8】 本発明の磁性薄板の一製造工程を表す断面
図。
【図9】 従来の磁性薄板を表す外観図。
【図10】 従来の積層磁心を表す断面図。
【符号の説明】
1……磁性薄板 2……主面外周縁部内側 3……側面部 4……側面部の凸部 5……主面上の凸部 9……基材 10……上型 11……下型 12……上パンチ 13……下パンチ
フロントページの続き (72)発明者 金子 裕一 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 辻本 和也 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 5E041 AA07 CA02 HB05 HB11 NN06 NN17

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属合金薄板を打抜いて得られる磁性薄
    板であって、 前記磁性薄板の主面外周縁部内側に形成された凸部の高
    さが、5μm以下であることを特徴とする磁性薄板。
  2. 【請求項2】 前記磁性薄板の主面外周縁部に形成され
    た凸部は、主面外周縁部より20μm以下の範囲に形成
    されていることを特徴とする請求項1記載の磁性薄板。
  3. 【請求項3】 前記磁性薄板の側面部に形成された凸部
    の高さが10μm以下であることを特徴とする請求項1
    乃至2のいずれか1項記載の磁性薄板。
  4. 【請求項4】 前記磁性薄板は、厚さが1mm以下であ
    ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載
    の磁性薄板。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1項記載の磁
    性薄板を熱処理することによって得られる磁性薄板であ
    って、 前記磁性薄板の平面度が、0.02mm以下であること
    を特徴とする磁性薄板。
  6. 【請求項6】 前記金属合金薄板は、主として軟磁性薄
    板からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか
    1項記載の磁性薄板。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか1項記載の磁
    性薄板を積層してなることを特徴とする積層磁心。
  8. 【請求項8】 占積率が90%以上であることを特徴と
    する請求項7記載の積層磁心。
  9. 【請求項9】 モデムに適用するための磁心であること
    を特徴とする請求項7または8記載の積層磁心。
  10. 【請求項10】 金属合金薄板の一方よりプレスするこ
    とにより、前記金属合金薄板の厚さの一部を剪断加工す
    る工程と、 前記金属合金薄板の他方よりプレスし、前記剪断加工を
    行った部分を平押しする工程と、 前記平押しを行った部分を、前記平押し工程と同一の方
    向より再度プレスすることにより打抜く工程とを具備す
    ることを特徴とする磁性薄板の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記金属合金薄板の剪断加工は、前記
    金属合金薄板の厚さの1/4以上3/4以下の範囲で行
    うことを特徴とする請求項10記載の磁性薄板の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 前記磁性薄板をさらに熱処理すること
    を特徴とする請求項10又は11記載の磁性薄板の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 前記金属合金薄板は結晶質材料よりな
    ることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項
    記載の磁性薄板の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項10乃至13記載のいずれか1
    項記載の磁性薄板の製造方法により磁性薄板を製造する
    工程と、 前記磁性薄板を積層する工程とを具備することを特徴と
    する積層磁心の製造方法。
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