JP4584619B2 - 難燃性接着剤組成物およびこれを用いた接着剤シート - Google Patents
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Description
(A)ガラス転移温度が5〜30℃であって、反応性官能基を有するアクリル系ポリマー: 100質量部、
(B)非ハロゲン系エポキシ樹脂: 1〜40質量部、
(C)硬化剤: 1〜30質量部、
(D)硬化促進剤: 0.1〜5質量部、
(E)リン系難燃剤: 25〜60質量部、および
(F)無機充填剤: 10〜40質量部、
を含有してなる難燃性接着剤組成物、ならびに該組成物からなる接着剤層を有する接着剤シートを提供する。
本発明の組成物は、下記(A)〜(F)成分を含有してなるものである。なお、本明細書において、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等を、総括的に「(メタ)アクリル酸エステル」、「(メタ)アクリロニトリル」等という。
(A)成分の反応性官能基を有するアクリル系ポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が5〜30℃であって、アクリル酸エステルを主成分とし、これと少量の反応性官能基を有する不飽和モノマーから構成されるものであればよい。このガラス転移温度(Tg)は、好ましくは10〜25℃である。該ガラス転移温度が5〜30℃である場合には、接着剤シートは強度があり、場合により仮留め後に該接着剤シートの貼り換えを行うことも可能であるため、ハンドリング性に優れたものとなる。ガラス転移温度が5℃未満である場合には、タックが大きくフィルム強度のない接着剤シートとなるため、ハンドリング性に劣る。また、ガラス転移温度が30℃を超える場合には、接着剤シートは接着性に劣る。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定したものである。
なお、「反応性官能基を有する」とは、反応性官能基がアクリル系ポリマーに直接結合していても、反応性官能基がアルキレン基、オキシアルキレン基等の基を介してアクリル系ポリマーに結合していてもよいことを意味するものである。
なお、アクリル系ポリマーは、通常の溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等で調製することができる。
(a)成分のアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルは、アクリル系ポリマーに柔軟性を付与するものである。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸−n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル等が挙げられる。中でも、アルキル基の炭素原子数が1〜12、特に1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。これら(a)成分の(メタ)アクリル酸エステルは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
(b)成分のアクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルは、接着剤シートに、耐熱性、接着性および耐薬品性を付与するものである。
(c)成分のカルボキシル基、水酸基、およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する不飽和モノマーは、加熱時の架橋点となるものである。
(B)成分の非ハロゲン系エポキシ樹脂は、分子中に臭素等のハロゲンを有しないエポキシ樹脂であって、組成物に熱硬化性、そして接着剤シートに接着性を付与するものである。このエポキシ樹脂としては、一分子中にエポキシ基を平均2個以上、好ましくは平均2〜4個有するものであって、エポキシ当量が100〜1,000のものが望ましく、100〜500のものがより望ましい。エポキシ当量が100〜1,000である場合には、接着剤シートは優れた接着性を有するだけでなく、十分な反応性(即ち、熱硬化性)を有するものとなる。また、その分子骨格に、リン原子、硫黄原子、窒素原子等を含んでいてもよい。
(C)成分の硬化剤は、公知のエポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものであれば特に限定されない。この硬化剤としては、例えば、ポリアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール樹脂系硬化剤等が挙げられる。
(D)成分の硬化促進剤は、エポキシ樹脂とその硬化剤との反応の促進に用いられるものであれば、特に限定されない。この硬化促進剤としては、例えば、第三アミン類、イミダゾール類等が挙げられる。第三アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン等が挙げられる。また、イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。さらに、イミダゾールとトリメリト酸との造塩により潜在性(即ち、感熱性)を付与したもの、イミダゾールにトリアジン骨格を導入したもの等を使用することもできる。これらの中でも、イミダゾール類が好ましく、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール等が特に好ましい。
(E)成分のリン系難燃剤は、ハロゲンを有しないものであって、接着剤シートに難燃性を付与するものである。該リン系難燃剤としては、例えば、ホスファゼン化合物;リン酸エステルアミド化合物等のリン酸エステル化合物等が挙げられる。ホスファゼン化合物およびリン酸エステルアミド化合物は、分子中にリン原子および窒素原子を有するため、特に高い難燃性が得られる。
[式中、Xは同一または異なり、水素原子、またはハロゲン原子を有しない1価有機基を表し、nは3〜10の整数である]
で表されるものである。上記一般式中、nは、好ましくは3〜9の整数であり、より好ましくは3〜6の整数である。
(F)成分の無機充填剤は、難燃助剤として作用するものである。該無機充填剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、アルミナ、マグネシア、シリカ、二酸化チタン、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
上記(A)〜(F)成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で任意成分を配合してもよい。例えば、上記(A)〜(F)成分および任意成分は、無溶剤で接着剤シートの製造に用いてもよいが、有機溶剤に溶解または分散し、該組成物を溶液または分散液(以下、単に「溶液」という)として調製して用いてもよい。この有機溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン等が挙げられ、メチルエチルケトン、トルエン、メタノール、エタノールが好ましく、メチルエチルケトン、トルエンがより好ましい。これらの有機溶剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
・保護層
本発明の組成物は、常法にしたがって、上記各成分、および必要に応じて更に公知の配合成分を配合して混合すればよい。次いで、例えば、常法にしたがって、得られた難燃性組成物をフィルム状に形成したり、あるいは、該難燃性組成物を保護層に塗布、乾燥した後に、別の保護層を貼付したりすることにより、本発明の接着剤シートを得ることができる。
次に、本発明の好ましい実施形態である有機溶剤を含有する接着剤組成物を調製し、該接着剤組成物から保護層を有する接着剤シートを製造する方法について説明する。まず、予め所要成分と有機溶剤とを混合することにより液状に調製した接着剤組成物をリバースロールコータ、コンマコータ等を用いて、保護層に塗布する。接着剤組成物が塗布された保護層をインラインドライヤに通し、60〜140℃で短時間(例えば、2〜10分間)加熱して有機溶剤を除去することにより乾燥させ、半硬化状態とし、次いでロールラミネータを用いて別の保護層と圧着し、積層することにより接着シートが得られる。なお、「半硬化状態」とは、接着剤組成物が乾燥した状態、乃至、その一部において硬化反応が進行している状態を意味する。本発明の接着剤シートの膜厚は特に限定されないが、好ましくは10〜100μmであり、より好ましくは15〜75μmである。
[(A)アクリル系ポリマー]
(a)成分:アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル
(b)成分:アクリロニトリル
(c)成分:メタクリル酸グリシジル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸
[(B)非ハロゲン系エポキシ樹脂]
(1)エピコート 1001(商品名)(ジャパンエポキシレジン(株)製、ビスフェノールA型、エポキシ当量:450〜500)
(2)エピコート 154(商品名)(ジャパンエポキシレジン(株)製、フェノールノボラック型、エポキシ当量:176〜180)
(3)エピコート 604(商品名)(ジャパンエポキシレジン(株)製、グリシジルアミン型、エポキシ当量:110〜130)
[(C)硬化剤]
(1)フェノライト J-325(商品名)(大日本インキ化学工業(株)製、レゾール型フェノール樹脂、理論OH当量=65)
(2)フェノライト 5592(商品名)(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ変性レゾール型フェノール樹脂、理論OH当量=72)
(3)フェノライト TD-2093(商品名)(大日本インキ化学工業(株)製、ノボラック型フェノール樹脂、理論OH当量=104)
[(D)硬化促進剤]
(1)キュアゾール 2E4MZ(商品名)(四国化成工業(株)製、2−エチル−4−メチルイミダゾール)
(2)キュアゾール C11Z-CN(商品名)(四国化成工業(株)製、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール)
(3)キュアゾール 2MZA-PW(商品名)(四国化成工業(株)製、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、微粉砕タイプ)
[(E)リン系難燃剤]
(1)ホスファゼン SPE-100(商品名)(大塚化学(株)製、シクロホスファゼン化合物、リン含有量:13質量%、融点:110℃)
(2)リン酸エステル PX-200(商品名)(大八化学工業(株)製、芳香族縮合リン酸エステル、リン含有量:9.0質量%、融点:92℃以上)
(3)リン酸エステルアミド SP-703(商品名)(四国化成工業(株)製、芳香族リン酸エステルアミド、リン含有量:10質量%、融点:180〜185℃)
[(F)無機充填剤]
(1)水酸化アルミニウム
1.重量平均分子量
・GPC;東ソー(株)製、商品名:HLC-8020
・カラム;東ソー(株)製、商品名:TSKgel、GMHXL2本、THF、ポリスチレン標準換算
2.ガラス転移温度
・示差走査熱量計;セイコー電子工業製、商品名:DSC-200、昇温速度:5℃/分
(a)〜(c)成分を表1、表2の各欄に示す配合量で混合し、(A)成分のアクリル系ポリマーの15質量%−メチルエチルケトン(MEK)溶液を調製した。次いで、この溶液に、該アクリル系ポリマー(即ち、MEKの質量は含まない)を100質量部として、接着剤組成物の各成分(即ち、(B)成分〜(F)成分)を表1、表2の各欄に示す配合量で、常法にしたがって混合することにより、接着剤組成物1〜14、C1〜C6を調製した。
実施例および比較例で調製した上記接着剤組成物を保護層に、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布した。その後、120℃で10分間加熱して該接着剤組成物に含まれる有機溶剤を除去することにより、片面に保護層を有する半硬化状態の接着剤組成物を作製した。次いで、該接着剤組成物(即ち、接着剤層)に、別の保護層を当てて圧着することにより、接着剤シートを作製した。以下の方法にしたがって、この接着剤シートの特性について測定・評価した。得られた結果を、表1、表2に示す。
保護層を剥がした接着剤シートの両面を、片面FPC基板のポリイミドフィルム(商品名:カプトン50H、デュポン製、厚さ:43.5μm)2枚で挟み、160℃で40分間、3MPaの圧力をかけることによりプレス加工した。次いで、得られたプレス体を幅10mmとなるように切断し、剥離強度(ポリイミド−ポリイミド)測定用サンプルとした。
上記「1.剥離強度」の測定用に作製した剥離強度(ポリイミド−銅箔)測定用サンプルを、半田耐熱性測定用サンプルとして使用した。JIS C6471に準拠して、電解銅箔とポリイミドフィルムとを貼り合わせたサンプルを25mm角に切断し、サンプル片を作製した。
上記「1.剥離強度」の測定用に作製した剥離強度(ポリイミド−銅箔)測定用サンプルの銅箔を全面エッチングすることにより、難燃性評価用サンプルを作製した。
・(4−1)接着剤シートの保護層からの剥離性
接着剤シートから保護層を剥がす際に、接着剤シートに変形を生じさせずに剥がすことができた場合を「良好」と評価し、伸び等の変形が生じた場合を「不良」と評価した。
接着剤シートを片面FPCのポリイミドフィルム上に置いた後、再度、接着剤シートの置き換え(貼り換え)が可能なものを「良好」と評価し、タックが大きく接着剤シートの置き換えが不可能なものを「不良」と評価した。
Claims (5)
- (A)ガラス転移温度が5〜30℃であって、(a)アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル、(b)アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリル、ならびに(c)カルボキシル基、水酸基およびエポキシ基の少なくとも一種の官能基を有する不飽和モノマーのみから成り、重量平均分子量がゲル浸透クロマトグラフィーによる測定値で30万〜60万である共重合体であるアクリル系ポリマー: 100質量部、
(B)非ハロゲン系エポキシ樹脂: 1〜40質量部、
(C)レゾール型フェノール樹脂からなる硬化剤: 1〜30質量部、
(D)硬化促進剤: 0.1〜5質量部、
(E)ホスファゼン化合物、リン酸エステルアミド化合物、および芳香族縮合リン酸エステル化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種であるリン系難燃剤: 25〜60質量部、および
(F)無機充填剤: 10〜40質量部、
を含有してなる難燃性接着剤組成物。 - 前記(A)成分が、(a)アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを50〜80質量%、(b)アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルを15〜45質量%、ならびに(c)カルボキシル基、水酸基およびエポキシ基の少なくとも一種の官能基を有する不飽和モノマーを2〜10質量%含有してなる共重合体である請求項1に係る組成物。
- 前記(A)成分が、(a)アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを55〜75質量%、(b)アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルを20〜40質量%、ならびに(c)カルボキシル基、水酸基およびエポキシ基の少なくとも一種の官能基を有する不飽和モノマーを3〜8質量%含有してなる共重合体である請求項2に係る組成物。
- 前記(A)成分のガラス転移温度(Tg)が6〜25℃である請求項1〜3のいずれか一項に係る組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に係る組成物からなる接着剤層を有する接着剤シート。
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