JP4584376B2 - 装着補助装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ及びホイールの組立体の装着補助装置に関し、一層詳細には、自動車の車軸に対してタイヤおよびホイールの組立体を装着する際に、当該組立体の回転軸心と車軸を正確に揃えるためのタイヤおよびホイールの組立体の装着補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤおよびホイールの組立体(以下、単に組立体という場合がある)を車両の車軸に装着する作業は、タイヤおよびホイールの組立体の回転軸心と車軸中心軸線を一致させることが肝要である。
【0003】
しかしながら、この装着作業において、組立体の重量が重いこと、組立体の重心位置が車両の外側にオフセットされてていること等の原因によって、組立体の重心を車軸の回転軸心から下方に位置させようとするモーメントが常時作用することになる。この結果、車軸と組立体の回転軸心が一致せず、偏心した状態で装着が完了している場合があった。
【0004】
上記のように、重心が偏心した状態で車両を走行すると、バネ下から車両に加振力が作用するため振動が発生すると共に、タイヤに偏摩耗を生ずる。
【0005】
上記不都合を防止する装着方法として、組立体のタイヤを軽くたたきながら、組立体を回し、順次対角線位置にある取付ナット又はホイールボルトを少しずつ締め込み、前記ナット又はボルトの緩みがなくなるまで行い、最後にトルクレンチによる仕上げ締め込みを行う方法が従来から採用されている。
【0006】
しかしながら、上記方法は作業者の熟練度に依存する割合が高く、一般的とは言えなかった。
【0007】
そこで、本願出願人は、作業者間のバラツキを抑制し、組立体を偏心させることなく高精度に車両の車軸に装着するための装着補助装置および方法を提案している(特開平7−228102号公報)。すなわち、図8に示すように、装着補助装置2は、組立体4のタイヤ6の両側面(サイドウォール部)に挟み込み部材8、10を当接させ、ナット11で締めつけることにより、偏心円板12を挟み込み部材10に対してX方向移動不能とし、ハンドル14を回動させて偏心円板12のカム作用によって挟み込み部材8、10を相互に接近させ、タイヤ6を締め付ける。この状態でナット16によって偏心円板12を回転不能とする。これによって、締め付け状態をロックし、固定状態を確実に維持する。
【0008】
この状態で加振機18によって組立体4を加振させることによって、組立体4の振動が回転軸心の偏心を解消するように作用する。したがって、熟練作業者でなくてもハブボルトあるいはナットを加振させながら締め増すことによって車軸に精度良く装着させることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記装着補助装置2を組立体4に装着する場合には、偏心円板12を挟み込み部材10に固定する場合と、締め付け状態を維持する場合に、ナット11、16を工具を用いて締め付ける必要があり、煩雑であった。したがって、装着補助装置2(加振機18)の取付作業に対して、一層の効率化が望まれていた。
【0010】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、作業効率良くタイヤおよびホイールの組立体に加振機を取り付け可能とする装着補助装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の本発明は、タイヤおよびホイールの組立体をその両側面から挟み込むと共に、当該組立体を加振する装着補助装置であって、前記組立体の側面に当接され、相互に対向すると共に間隔を調整自在とされた第1挟持部材の第1当接部および第2挟持部材の第2当接部と、前記挟持部材の一方に固定された加振機と、前記第1挟持部材に当接されるように前記第2挟持部材上にスラスト軸受を介して配置され、回転することによって前記第1当接部と前記第2当接部の間隔を調整する第1偏心部材と、前記スラスト軸受を介して前記第1偏心部材を前記第2挟持部材上に圧接する第1ロック手段と、前記第1ロック手段によって前記スラスト軸受を介して前記第1偏心部材を前記第2挟持部材上に圧接する操作を行うと共に、前記スラスト軸受上で前記第1偏心部材を回転させる操作を行うハンドル部材と、を備え、前記ハンドル部材は、前記第1ロック手段である第2偏心部材を備え、第1方向に操作されることによって前記第2偏心部材が回転して前記第1偏心部材と前記第2偏心部材が圧接されて一体的に動くようにすると共に、前記第1方向と異なる第2方向に操作されることによって前記第2偏心部材と共に前記第1偏心部材を前記スラスト軸受上で回転させることを特徴とする。
【0012】
請求項1記載の発明の作用について説明する。
【0013】
本発明に係る装着補助装置は、車軸に組立体を装着する際に作用する。先ず、取付ナットあるいはホイールボルトのいずれか一方により車両の車軸に組立体を仮装着後、本発明に係る装着補助装置の第1挟持部材の第1当接部と第2挟持部材の第2当接部の相互間隔を調整してタイヤのサイドウォール部に当接させる。この状態で、ハンドル部材を操作して、第1挟持部材に当接させている第1偏心部材を、第1ロック手段によって、スラスト軸受を介して第2挟持部材に圧接する。ここで、第2挟持部材上にスラスト軸受を介して圧接された第1偏心部材を、ハンドル操作によってスラスト軸受上で回転させることによって、第1偏心部材、例えば、偏心カムの作用によって第1当接部と第2当接部の間隔がさらに縮まる。したがって、装着補助装置が組立体のタイヤに締め付け固定され、加振機によって組立体に振動が付与されても外れることは無い。この後、組立体に振動を与えながら、徐々に締め付けていくことによって、車軸とホイールの回転軸心が偏心することなく装着される。
【0015】
ハンドル部材に第2偏心部材が設けられていることによって、作業者は一つのハンドル部材を第1方向あるいは第2方向に操作するだけで、第1偏心部材を第2偏心部材に圧接することと、第1偏心部材を第2偏心部材と共に回転させ、第1当接部と第2当接部の間隔を縮めることができる。したがって、取付作業の作業効率が一層向上する。
【0016】
請求項2記載の発明は、第1当接部と第2当接部の間隔を一定に固定する第2ロック手段を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明の作用について説明する。
【0018】
第1と第2の挟持部材によって組立体を締め付けることによって、装着補助装置を固定した後、第2ロック手段によって締め付け状態(第1当接部と第2当接部の間隔)を固定することによって、加振機を駆動している場合でも確実に締め付け状態を維持できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係る装着補助装置について説明する。
【0020】
装着補助装置20は、図1および図2に示すように、一対の挟持部材22、24を有する。挟持部材22は、摺動部22Aと、摺動部22Aに直角に連続して形成された当接部22Bとからなる略アングル形状である。なお、当接部22Bには、タイヤに当接した際、タイヤを保護するための保護部材22Cが内側に装着されている。挟持部材24も同様である。
【0021】
挟持部材22上には、一対のガイド板26、取付プレート28、加振機30が固着されたアングル部材32がネジ34によって一体的に固着されている。
【0022】
この結果、挟持部材22(摺動部22A)、ガイド板26、取付プレート28によって形成された孔部36(図4参照)内を挟持部材24の摺動部24Aが摺動し、当接部22B、24Bの間隔を調整する。
【0023】
挟持部材24の摺動部24Aの摺動方向(矢印X1方向)端部には、摺動方向に延在する長孔38が形成されている。
【0024】
長孔38には、ピン部材40が挿通される。ピン部材40は、摺動部24A上で、スラスト軸受42、スラスト軸受42によって回転自在に支持された偏心円板46の回転中心(円板の中心からオフセットされている)を挿通している。このように構成されることによって、偏心円板46は摺動部24A上でピン部材40を中心として偏心回転可能とされている。
【0025】
偏心円板46の上部には、ハンドル部材48が配置されている。ハンドル部材48は、略円柱体の外周面の一部を切り欠いた偏心部50と、偏心部50の外周面に固着されたレバー52とから形成されており、偏心部50の中心部に形成された切欠53には、ピン部材40の頭部に形成されたリング状の係合部54が挿入されており、偏心部50の回転中心を挿通するピン56が係合部54を挿通されている。したがって、図3に示すように、偏心部50は、ピン56を中心として矢印Q方向に回動可能とされている。
【0026】
すなわち、ハンドル部材48は、ピン部材40を中心として矢印P方向に回動して偏心円板46を回転可能である(図4参照)と共に、ピン56を中心にして矢印Q方向に回動して偏心部50を回転可能とされている(図3参照)。
【0027】
摺動部24Aの下側では、ピン部材40がスラスト軸受58、後述する付勢機構60用の係合部材62、スプリング64に挿通され、先端部のネジ66にナット68が螺着されている。
【0028】
付勢機構60は、係合部材62を構成するリング状の係合部70とその外周面から突出形成されたシャフト部72と、当接部22Bに固定されシャフト部72の先端が挿通される押え部材74と、押え部材74と係合部70の間のシャフト部72に巻回されたスプリング76とから構成されている。したがって、スプリング76が係合部70(ピン部材40)を常時、矢印X2方向に押圧している。
【0029】
なお、アングル部材32には、ロック部材80のシャフト82が螺入されており、レバー84の回転によってシャフト82の先端が取付プレート28を押圧して、摺動部24Aと摺動部22Aが相互に摺動しないようにすることができる。すなわち、当接部22B、24Bの間隔を一定に保持することができる。
【0030】
このように構成された装着補助装置20を用いて組立体90を車軸に装着する方法について説明する。
【0031】
先ず、タイヤ92を所定内圧にし、適当なバランサによってアンバランス量をゼロ乃至これに近い値とした組立体90を車軸のハブに対して適当なガタを生ずる程度に緩く仮装着する。
【0032】
この際、ハンドル部材48のレバー52を、図3に示すように、摺動部24Aに略直角な方向に立った状態とし、偏心部50の円形の外周面50Aを偏心円板46に当接させている。また、偏心円板46において、回転中心から最短距離(距離L1)の外周面を取付プレート28の端部に当接させておく。
【0033】
続いて、タイヤ92の最大幅を超えるまで当接部22B、24Bの間隔を広げた装着補助装置20を組立体90の上部(タイヤ92のトレッド側)から嵌め込む。続いて、挟持部材22、24の摺動部22A、24Aの一方あるいは両方を摺動させることによって、当接部22B、24Bの保護部材22C、24Cをタイヤ92のサイドウォールに当接させる。この際、挟持部材22(当接部22B)と共に、押え部材74が矢印X2方向に移動することによって、付勢機構60のスプリング76が圧縮され、その弾性力によってピン部材40(偏心円板46)が矢印X2方向に押圧される。したがって、挟持部材22と共に取付プレート28が矢印X2方向に移動するが、偏心円板46も取付プレート28を追従して矢印X2方向に移動し、取付プレート28に対する当接状態を維持する。
【0034】
この状態でレバー52をピン56を中心にして矢印Q1方向に回転させることによって、偏心部50の平面部50Bが偏心円板46に当接する(図3→図5)。この結果、偏心円板46の上面からピン56までの距離が増加する(図3、距離D1→図5、距離D2)。
【0035】
ここで、ピン56からナット68までの距離は一定であるから、スラスト軸受42が摺動部24Aに圧接される。この結果、長孔38に沿ってピン部材40が移動することが不可能となる(摺動部24Aに対して固定される)。但し、偏心円板46は、スラスト軸受42によって荷重が支持されているため、回転可能である。
【0036】
なお、偏心部50の平面部50Bも偏心円板46に圧接され、偏心部50と偏心円板46が一体的に動くようになる。
【0037】
続いて、レバー52をピン部材40を中心として矢印P1方向に180度回転させる(図4、図5→図6、図7)ことによって、偏心円板46の回転中心から最長(距離L2)の外周面が取付プレート28に当接される。この結果、挟持部材22は、挟持部材24に対して(L2−L1)分、矢印X2方向に移動される。したがって、当接部22B、24Bの間隔が縮まり、タイヤ92を締め付けることができる。さらに、ロック部材80のレバー84を回転することによって、シャフト82の先端が取付プレート28を押圧し、摺動部22Aと摺動部24Aとを相互に固定する。
【0038】
このようして組立体90に装着補助装置20を固定した後、加振機30を駆動して組立体90を加振する。組立体90が振動している間に、複数個の取付ナットを順次少しずつ締め増しする(締めつけ順序は問わない)。締め増しが完了することで組立体90の回転軸心と車軸の軸心が正確に一直線状に揃う。
【0039】
なお、組立体90から装着補助装置20を取り外す場合には、ロック部材80のレバー84を回転してロック状態を解除し、レバー52をピン部材40を中心にして矢印P2方向に回転して偏心円板46を反転させ、ピン56を中心にして矢印Q2方向に回転してレバー52を立てることによって、偏心円板46の摺動部24Aに対するロックが解除され、当接部22B、24Bを相互に離間させてタイヤ92のサイドウォール部から離間し、取り外し可能とする。
【0040】
このように本実施形態に係る装着補助装置20は、組立体90に装着するのに、ハンドル部材48の操作のみで良く、ナットの締めつけ等の工具を要する作業がない。したがって、装着する作業効率が向上する。特に、ハンドル部材48は、二つの回転方向に回転可能とされているため、偏心円板46の摺動部24Aに対する固定と、偏心円板46の回転の双方を一つのハンドル部材48の操作で行うことができる。
【0041】
また、ロック部材80のレバー84を回転するだけで、取付プレート28が摺動部24Aに押圧され、当接部22B、24Bの組立体90に対する締めつけ状態を確実に維持できる。
【0042】
なお、本実施形態では、ハンドル部材48、ロック部材80としてレバー式のものを用いたが、工具不要で簡単に操作できるものであれば、これに限定されるものではない。
【0043】
【発明の効果】
本発明に係る装着補助装置では、工具などが不要でハンドル操作のみで簡単に組立体に装着することができる。したがって、装着作業の作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る装着補助装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る装着補助装置の分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る装着補助装置の当接状態を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る装着補助装置のロック状態を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る装着補助装置のロック状態を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る装着補助装置の締付状態を示す平面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る装着補助装置の締付状態を示す断面図である。
【図8】従来例に係る装着補助装置を示す側面図である。
【符号の説明】
20 装着補助装置
22、24 挟持部材
22B、24B 当接部
30 加振機
46 偏心円板(第1偏心部材)
48 ハンドル部材
50 偏心部(第2偏心部材、第1ロック手段)
80 ロック部材(第2ロック手段)
Claims (2)
- タイヤおよびホイールの組立体をその両側面から挟み込むと共に、当該組立体を加振する装着補助装置であって、
前記組立体の側面に当接され、相互に対向すると共に間隔を調整自在とされた第1挟持部材の第1当接部および第2挟持部材の第2当接部と、
前記挟持部材の一方に固定された加振機と、
前記第1挟持部材に当接されるように前記第2挟持部材上にスラスト軸受を介して配置され、回転することによって前記第1当接部と前記第2当接部の間隔を調整する第1偏心部材と、
前記スラスト軸受を介して前記第1偏心部材を前記第2挟持部材上に圧接する第1ロック手段と、
前記第1ロック手段によって前記スラスト軸受を介して前記第1偏心部材を前記第2挟持部材上に圧接する操作を行うと共に、前記スラスト軸受上で前記第1偏心部材を回転させる操作を行うハンドル部材と、
を備え、
前記ハンドル部材は、前記第1ロック手段である第2偏心部材を備え、第1方向に操作されることによって前記第2偏心部材が回転して前記第1偏心部材と前記第2偏心部材が圧接されて一体的に動くようにすると共に、前記第1方向と異なる第2方向に操作されることによって前記第2偏心部材と共に前記第1偏心部材を前記スラスト軸受上で回転させることを特徴とする装着補助装置。 - 前記第1当接部と前記第2当接部との間隔を一定に固定する第2ロック手段を備えることを特徴とする請求項1記載の装着補助装置。
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