JP4582979B2 - 静圧ドライブ - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は様々なタイプの車両を駆動する静圧ドライブに関する。
【0002】
請求項1の特徴部分に記載の静圧ドライブが、DE−OS 2026910から知られている。この刊行物で開示された静圧ドライブのケースでは、第1油圧ポンプ、第1油圧モータ、第2油圧ポンプおよび第2油圧モータが、作業回路中に直列で配置される。2つの油圧モータが異なる車輪を駆動する場合は、車輪の一方がスリップした場合に、この車輪に接続された油圧モータが車両の駆動に寄与せず、したがって静圧ドライブの効率が低下するという問題が生じる。
【0003】
さらなる静圧ドライブが欧州特許第0547947A1号から知られている。この出版物で開示された静圧ドライブの場合、車軸に対して対向して存在する2つの車輪が、それぞれのケースで、共通の軸上に対で配置された2つの油圧モータによって駆動される。油圧ポンプによって作業回路に送出される作動液が、対に配置された油圧モータの上流で分岐する。対に配置された2つの油圧モータのうち一方の出口から出る作動液は、油圧ポンプに直接戻るが、同じシャフトに配置された他方の油圧モータの出口は、各ケースでさらなる油圧モータを介して油圧ポンプに接続され、このさらなる油圧モータは、別の車軸の車輪を駆動する。この出版物で開示された静圧ドライブの場合は、車輪の一方でスリップが生じた場合に、ドライブの効率が大幅に低下するのを防止する措置が設けられていない。
【0004】
欧州特許第0505254A1号は、異なる車輪を駆動する油圧モータが全て、油圧ポンプに並列に接続される静圧ドライブを開示している。個々の油圧モータの出力シャフトに速度センサを設ける。個々の出力シャフトで決定された速度の関数として、割り当てられた油圧モータを通して流れる圧力流体の量を、調節可能なスロットル付き分岐弁で調整することができ、したがって起こり得る速度差を等化し、特に操舵または正確な直線の運転が可能になる。しかし、この配置構成には、車輪の一方で生じたスリップを等化するという制限された用途しかない。
【0005】
欧州特許第0378742A2号は、コーナリング時に第1および第2ドライブ・トレーンが完全に相互から分離され、第1ドライブ・トレーンが第1油圧ポンプおよび第1油圧モータを有し、第2ドライブ・トレーンが第2油圧ポンプおよび第2油圧モータを有する静圧ドライブを開示している。可能な限り正確な直線の運転を可能にするため、油圧モータは、一方では直線運転時に機械的結合によって相互に機械的に接続することができる。他方では、分離された油圧作動回路は、直線運転時に弁によって相互に油圧で接続される。2つのドライブ・トレーンのうち一方でスリップが生じた場合に、効率が損なわれるのを防止する措置は、この出版物では開示されていない。
【0006】
本発明のベースとなる目的は、ドライブ・トレーンの一方でスリップが生じた場合に、効率が大幅に低下しない、複数のドライブ・トレーンを駆動する静圧ドライブを提供することである。
【0007】
目的は、一般的特徴と組み合わせた請求項1の特徴付けの機能によって達成される。
【0008】
本発明は、ドライブ・トレーンの一方でスリップが生じた場合に、このドライブ・トレーンに接続された油圧モータを迂回する切換弁によって、作動液をスリップの影響を受けていない他の個々の油圧モータに直接供給して、効率の低下に対抗できるという発見に基づく。したがって、油圧ポンプの全流体動力が、スリップの影響を受けていない油圧モータによって使用することができる。
【0009】
本発明の有利な開発点は、従属請求項で開示される。
【0010】
ドライブ・トレーンの一方でスリップが生じた場合、割り当てた切換弁がこのドライブ・トレーンに割り当てられた油圧モータを迂回することができるよう、切換弁を各油圧モータに割り当てると有利である。
【0011】
切換弁は、個々の切換弁に割り当てられた油圧モータにおける圧力低下によって、または他の1つまたは複数の油圧モータにおける圧力低下によって駆動することができる。ドライブ・トレーンにおけるスリップ発生の1つの基準は、このドライブ・トレーンに割り当てられた油圧モータにおける圧力低下の著しい減少、または他の1つまたは複数の油圧モータにおける圧力低下の著しい増加である。
【0012】
あるいは、スリップの発生は、異なるドライブ・トレーンにおける速度の比較によっても検出することができる。異なるドライブ・トレーンが、車両の異なる車輪を駆動し、車輪は、直径が等しいとスリップのない駆動時に同一速度で回転している場合、駆動が異なる車輪の速度偏差は、他方の車輪より著しく高い速度を有する車輪でのスリップ発生を指示する。
【0013】
本発明の例示的実施形態を、図面に関して以下でさらに詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の例示的実施形態の基本的回路図を示す。本発明による静圧ドライブ1は、調節可能な油圧ポンプ2で構成されることが好ましく、これは例えば内燃機関(図示せず)によって駆動される。作業ライン3は、第1作業ライン区間4、第2作業ライン区間5および第3作業ライン区間6を備える。
【0015】
まず最初に考慮すべき通常の状態で、本発明によるドライブ1でスリップが生じない状態では、第1作業ライン区間4が、切換弁8を介して油圧ポンプ2の第1接続部7を第1油圧モータ10の第1接続部9に接続する。第1油圧モータ10は、第1ドライブ・トレーン11を介して、例えば車両の前輪を駆動する。この通常の状態では、第2作業ライン区間5が、切換弁8を介して第1油圧モータ10の第2接続部12を第2油圧モータ14の第1接続部13に接続する。第2油圧モータ14は、第2ドライブ・トレーン15を介して、例えば車両の後輪を駆動する。最後に、第3作業ライン区間6が、第2油圧モータ14の第2接続部16を油圧ポンプ2の第2接続部17に接続する。
【0016】
切換弁8の第1切換位置18に相当する上述の通常の状態では、切換弁8が油圧ポンプ2の第1接続部7を第1油圧モータ10の第1接続部9に接続し、第1油圧モータ10の第2接続部12を第2油圧モータ14の第1接続部13に接続する。しかし、第2切換位置19では、切換弁8が第1作業ライン区間4を第2作業ライン区間5に直接接続しながら、第1油圧モータ10を迂回し、したがって油圧ポンプ2の第1接続部7は第2油圧モータ14の第1接続部13に直接接続される。この第2切換位置19では、油圧モータ10の2つの接続部9および12は、切換弁8を介して相互に短絡する。したがって、切換弁8は、例示的実施形態では4/2方弁として設計される。
【0017】
図1に示す例示的実施形態では、切換弁8は、第1油圧モータ10における圧力低下p−pによって、つまり第1油圧モータ10の第1接続部9における圧力pと第2接続部12における圧力pとの差によって駆動される。このため、第1油圧モータ10の第1接続部9に接続された第1圧力室20、および第1油圧モータ10の第2接続部12に接続された第2圧力室21とを設ける。
【0018】
第1ドライブ・トレーン11で、またはそれによって駆動される車輪でスリップが発生すると、これは第1油圧モータ10における圧力低下を減少させ、圧力pとpとの間の差p−pが比較的小さくなる。したがって、ばね22によって切換弁8に加えられる力は、圧力pとpとの差によって与えられる反対の力より優勢であり、切換弁8は第1切換位置18から第2切換位置19へと切り換えられる。その結果、第1ドライブ・トレーン11でスリップが発生すると、油圧ポンプ2の第1接続部7は第2油圧モータ14の第1接続部13に直接接続され、作業ライン3の油圧ポンプ2によって生成された油圧力は、第2油圧モータ14に直接伝達され、これはそれだけで駆動に使用可能である。上流の第1油圧モータ10を迂回することによって、発生したスリップのために駆動にもはや使用不可能になった第1油圧モータ10によるスロットル絞り動作が回避される。したがって、本発明による措置により、スリップの発生時でもドライブの効率が大幅に損なわれる経験をしないことを保証することができる。
【0019】
例示的実施形態では、切換弁8はタイマ23によって復旧し、これは例えば数秒という事前設定したタイム・クロックTで電気パルスを電磁石24に送信し、これは切換弁8を第1切換位置18に戻す。まだ第1ドライブ・トレーン11でスリップが生じている場合は、圧力pとpとの差p−pはまだ、ばね22が切換弁8を再び即座に第2切換位置19に戻すほど小さい。しかし、その間にドライブ・トレーン11でもはやスリップが発生していない場合は、切換弁8が、再び圧力pとpとの間に存在する著しいp−pを考慮して、第1切換位置18に残り、したがって第1油圧モータ10および第1ドライブ・トレーン11を介して、および第2油圧モータ14および第2ドライブ・トレーン15を介して、再びドライブが作動する。
【0020】
図2は、本発明の第2の例示的実施形態の基本的回路図を示す。連想を容易にするため、同じ要素または同じ動作を有する要素には、全ての図で対応する参照記号を設けてある。その範囲で、以上の説明を参照することができる。
【0021】
図2に示す例示的実施形態は、まず、第1切換弁8が第1油圧モータ10に割り当てられているばかりでなく、第2切換弁30も第2油圧モータ14に割り当てられているという点で、図1に示す例示的実施形態とは異なる。図2に示す通常の位置では、ばね22によって負荷がかかるので、切換弁8は第1切換位置18にあり、この通常の位置で、第2切換弁30は、ばね31によって負荷がかかるので、その第1切換位置32にある。したがって、この通常の位置で、第1油圧モータ10および第2油圧モータ14は油圧ポンプ2と直列に接続され、油圧ポンプ2の第1接続部7は、第1作業ライン区間4および第1切換弁8を介して第1油圧モータ10の第1接続部9に接続され、第1油圧モータ10の第2接続部12は、第1切換弁8、第2作業ライン区間5および第2切換弁30を介して第2油圧モータ14の第1接続部13に接続され、第2油圧モータ14の第2接続部16は、第2切換弁30および第3作業ライン区間6を介して油圧ポンプ2の第2接続部17に接続される。
【0022】
図示の例示的実施形態では、作業ライン3から逃げた圧力流体を補給するため、供給線35が逆止め弁34を介して第2作業ライン区間5に接続される。
【0023】
第2作業ライン区間5には第1圧力センサ36を設け、これは第2作業ライン区間5の圧力pを検出する。それに応じて、第3作業ライン区間6には第2圧力センサ37を設け、これは第3作業ライン区間6の圧力pを検出する。圧力センサ36および37は制御ユニット38、例示的実施形態では電子制御ユニットに接続され、これが圧力pとpとの差p−pを確立する。差p−pが予め設定した限界値を上回る場合、これは第1油圧モータ10における圧力低下が比較的小さいことを意味する。これは、第1ドライブ・トレーン11におけるスリップを示す。この場合、第1切換弁8を第1切換位置18から第2切換位置19へと切り換えるために電磁石24が起動し、ここでは第1油圧モータ10は迂回される。逆に、差p−pが予め設定した限界値に満たない場合、これは第2油圧モータ14における圧力低下が比較的小さいことを意味する。これは、第2ドライブ・トレーン15におけるスリップを示す。この場合、第2弁30を第1切換位置32から第2切換位置33に切り換え、したがって第2油圧モータ14を迂回するため、電磁石39が起動する。
【0024】
この例示的実施形態でも、タイム・クロックTを定期的に制御ユニット38に送信するタイマ23を設ける。この電気制御ユニット38は、このタイム・クロックTで電磁石24および39を一時的にオフに切り換え、したがって以前に切り換えられている切換弁8または30が、再び第1切換位置18または32に復帰する。割り当てられたドライブ・トレーン11または15でまだスリップが発生している場合は、上述した制御手段のため、対応する切換弁8または30が即座に再び第2切換位置19または33へと戻る。しかし、対応するドライブ・トレーン11または15におけるスリップがその間に解消された場合は、切換弁8および30が個々の第1切換位置18または32に残る。
【0025】
図3は、本発明による静圧ドライブ1の第3の例示的実施形態を示す。この例示的実施形態は、ほとんど、図2に関して既に説明した例示的実施形態に対応するが、電磁石24および39が圧力差ではなくドライブ・トレーン11および15における速度に従って駆動されるという違いがある。そのため、第1ドライブ・トレーン11に第1速度センサ40を設け、第2ドライブ・トレーン15に第2速度センサ41を設ける。制御ユニット38内で、第1ドライブ・トレーン11における速度nと第2ドライブ・トレーン15における速度nとの差n−nが決定される。差n−nの絶対置が予め設定した限界値より大きい場合、これは2つのドライブ・トレーン11または15のうち一方にスリップがあることを示す。この場合、他方のドライブ・トレーン15または11より大きい速度を有するドライブ・トレーン11または15がスリップしている。関連する切換弁8または30の電磁石24または39が起動し、したがって切換弁8または30が第2切換状態19へと切り換わり、スリップしているドライブ・トレーン11または15の油圧モータ10または14が迂回される。この場合も、リセットはタイマ23によって生成されたタイム・クロックTによってトリガされる。
【0026】
本発明は、図示した例示的実施形態に制限されない。特に、本発明は、直列に接続されている油圧モータが2つ以上ある場合に、同じ方法で使用することができ、例えば第3作業ライン区間6が第2油圧モータ14を、油圧ポンプ2に直接ではなく、さらなる1つまたは複数の油圧モータを介して油圧ポンプ2に間接的に接続する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の例示的実施形態の基本的な油圧および電気回路図を示す。
【図2】 本発明の第2の例示的実施形態の基本的な油圧および電気回路図を示す。
【図3】 本発明の第3の例示的実施形態の基本的な油圧および電気回路図を示す。

Claims (11)

  1. 少なくとも1つの油圧ポンプ(2)と、
    第1作業ライン区間(4)を介して少なくとも間接的に油圧ポンプ(2)に接続可能であり、第1ドライブ・トレーン(11)を駆動する第1油圧モータ(10)、第2作業ライン区間(5)を介して少なくとも間接的に第1油圧モータ(10)に接続可能であり、第2ドライブ・トレーン(15)を駆動する第2油圧モータ(14)と、
    第2油圧モータ(14)を少なくとも間接的に油圧ポンプ(2)に接続可能にする第3作業ライン区間(6)とを備え、
    第1作業ライン区間(4)および第2作業ライン区間(5)に、第1油圧モータ(10)および/または第2油圧モータ(14)における圧力低下(p2−p1、p4−p3)によって駆動される第1切換弁(8)が配置され、第1ドライブ・トレーン(11)でスリップが発生した場合に、これを介して第1作業ライン区間(4)が第2作業ライン区間(5)に接続可能である一方、第1油圧モータ(10)を迂回することを特徴とする静圧ドライブ(1)。
  2. 第1切換弁(8)が、第1切換位置(18)で油圧ポンプ(2)の第1接続部(7)を第1油圧モータ(10)の第1接続部(9)に接続し、第1油圧モータ(10)の第2接続部(12)を第2油圧モータ(14)の第1接続部に接続して、
    第2切換位置(19)で油圧ポンプ(2)の第1接続部(7)を第2油圧モータ(14)の第1接続部(13)に直接接続することを特徴とする請求項1に記載の静圧ドライブ。
  3. 第2作業ライン区間(5)および第3作業ライン区間(6)に第2切換弁(30)が配置され、第2ドライブ・トレーン(15)でスリップが発生した場合に、これを介して第2作業ライン区間(5)が第3作業ライン区間(6)に接続可能である一方、第2油圧モータ(14)を迂回することを特徴とする請求項1または2に記載の静圧ドライブ。
  4. 第2切換弁(30)が、第1切換位置(33)で第1油圧モータ(10)の第2接続部(12)を第2油圧モータ(14)の第1接続部(13)に接続し、第2油圧モータ(14)の第2接続部(16)を油圧ポンプ(2)の第2接続部(17)に接続して、
    第2切換位置(33)で第1油圧モータ(14)の第2接続部(16)を油圧ポンプ(2)の第2接続部(17)に直接接続することを特徴とする請求項3に記載の静圧ドライブ。
  5. 2切換弁(30)が、第1油圧モータ(10)および/または第2油圧モータ(14)における圧力低下(p2−p1、p4−p3)によって駆動されることを特徴とする請求項3又は4のいずれか一項に記載の静圧ドライブ。
  6. 第1油圧モータ(10)における圧力低下(p−p)が予め設定した限界値より低下した場合に、第1切換弁(8)が第1切換位置(18)から第2切換位置(19)へと切り換わることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の静圧ドライブ。
  7. 第2油圧モータ(14)における圧力低下(p−p)が予め設定した限界値より低下した場合に、第2切換弁(30)が第1切換位置(32)から第2切換位置(33)へと切り換わることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の静圧ドライブ。
  8. 第2油圧モータ(14)における圧力低下(p−p)が予め設定した限界値を上回る場合に、第1切換弁(8)が第1切換位置(18)から第2切換位置(19)へと切り換わることを特徴とする請求項1又は5から7のいずれか一項に記載の静圧ドライブ。
  9. 第1油圧モータ(10)における圧力低下が予め設定した限界値を上回る場合に、第2切換弁(30)が第1切換位置(32)から第2切換位置(33)へと切り換わることを特徴とする請求項3又は6から8のいずれか一項に記載の静圧ドライブ。
  10. 第1ドライブ・トレーン(11)に、第1ドライブ・トレーン(11)における速度(n)を決定する第1速度センサ(40)を設け、第2ドライブ・トレーン(15)に、第2ドライブ・トレーン(15)における速度(n)を決定する第2速度センサ(41)を設けて、速度センサ(40、41)によって決定された速度(n、n)の差(n−n)に従い、第1切換弁(8)および/または第2切換弁(30)を駆動する制御ユニット(38)を設けることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の静圧ドライブ。
  11. 第1切換弁(8)および/または第2切換弁(30)が、タイム・クロック(T)によって第2切換位置(19;33)から第1切換位置(18;32)へと切り換えられることを特徴とする請求項2、4、5、6、7、8または9のいずれか一項に記載の静圧ドライブ。
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