JP4582400B2 - 光硬化性樹脂組成物およびそれを用いた入力キー - Google Patents

光硬化性樹脂組成物およびそれを用いた入力キー Download PDF

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本発明は、硬化が速く生産性の向上が図れ、樹脂成型品に対して接着強度と接着耐久性を有しながら、臭気が問題とされる用途にも使用可能な光硬化性樹脂組成物に関し、特に携帯電話に使用される入力キーの樹脂キートップとゴムキーパッドの接着に使用され、生産性向上、接着強度、接着耐久性、低臭気を与えることができる光硬化性樹脂組成物に関するものであり、また、樹脂キートップとゴムキーパッドを光硬化性樹脂組成物で接着してなる入力キーに関する。
従来から、紫外線など光照射によって硬化する光硬化性樹脂組成物は、一液、無溶剤、速硬化、インライン可能などの特長により生産性向上が図れるため、様々な分野で使用されている。樹脂キートップとゴムキーパッドを接着してなる入力キーにおいては、従来からシリコーン系接着剤が使用されていたが、硬化に時間がかかるため、生産性が低いという問題があった。その問題を解決するため光硬化性樹脂によって接着することが提案されている。ゴムキーパッドに対する接着力は、短波長紫外線照射、コロナ放電、プラズマ処理、フレーム処理、プライマー処理などの表面処理によって改善されることが提案されているが、キートップに使用されるアクリル、ポリカーボネート等の樹脂成型品に対する接着力、高温高湿度環境における接着耐久性は十分なものではなかった。一方で、入力キーに使用される接着剤では、接着剤の臭気が使用者に不快感を与えることがあり問題となっていた。
特開2000−243175号公報では、シラン化合物を含む接着剤を使用することが提案されているが、臭気については検討されておらず問題を解決するものではなかった。特開2003−231865号公報では、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド化合物、水酸基含有(メタ)アクリレートを含有する接着剤組成物が提案されているが、アクリルアミド化合物、水酸基含有アクリレートは、特有の刺激臭があるため、臭気の問題を解決するものではなかった。特公平7−47726号公報および特開平6−145276号公報では、ポリカーボネートウレタンアクリレートを含む接着剤組成物が提案されているが、硬化速度と硬化物の可とう性を両立させるために提案されたものであって、接着力、接着耐久性、臭気の問題を解決するものではなかった。特開2002−179953号公報では、ポリカーボネート系樹脂成型物への付着性に優れる樹脂組成物が提案されているが、塗膜硬度を高くする目的の組成物であるため、異種材質同士の接着では接着力を得られるものではなかった。
特開2000−243175号公報 特開2003−231865号公報 特公平7−47726号公報 特開平6−145276号公報 特開2002−179953号公報
本発明は、入力キー、特に携帯電話に使用される入力キーの樹脂キートップとゴムキーパッドの接着に使用される光硬化性接着剤に関し、特に樹脂成型品とゴムとの接着力、接着耐久性と、低臭気を同時に満たす光硬化性樹脂組成物を提案することを目的とする。
前記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の光硬化性樹脂組成物により接着力、接着耐久性と低臭気を同時に実現するに至った。
すなわち、
(A)ポリカーボネートジオールとポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート、
(B)トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、
(C)フェノキシモノエチレングリコールアクリレートおよびジシクロペンテニルモノエチレングリコールアクリレートを除く、アルキレンオキサイド変性された単官能(メタ)アクリレート、
(D)ヒドロキシアルキルメタアクリレート、
(E)光重合開始剤、
の上記(A)〜(E)を含有してなる光硬化性樹脂組成物を、樹脂キートップとゴムキーパッドを接着に用いることにより、前記課題を解決した。
本発明の光硬化性樹脂組成物を入力キー、特に携帯電話用入力キーの樹脂キートップとゴムキーパッドの接着に使用することによって、接着性、接着耐久性の要求を満たすと共に、接着剤の臭気によって不快感を与えることのない携帯電話用入力キーを高い生産性で製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明における(A)ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリカーボネートジオールとポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させて得られるものが使用される。具体例としは、特公平6−13692号公報に記載されているポリカーボネートジオール変性ウレタンプレポリマーが挙げられる。樹脂成型品に対する接着力と接着耐久性を与えるために使用される。組成物全体に対する含有量が15%より小さいと十分な効果を与えることができなくなる。
本発明における(B)トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレートは、低臭気でかつ、接着耐久性を与えるために使用される。この(B)成分の添加量は、(A)ウレタン(メタ)アクリレートに100重量部に対して20重量部から150重量部である。20重量部より少ないと、高い接着力と接着耐久性をが得ながら、且つ、低臭気を実現することができず、150重量部より多いと十分な接着力が得られなくなる。
本発明における(C)アルキレンオキサイド変性された単官能(メタ)アクリレートは、接着力、接着耐久性を与えるために使用され、臭気の強くないものが選ばれる。具体例は、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールプロピレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。フェノキシモノエチレングリコールアクリレートおよびジシクロペンテニルモノエチレングリコールアクリレートは、臭気が強く本発明の目的を達成しないため除外する。具体例の中でも特に好ましい例としては、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。この(C)成分の添加量は、(A)ウレタン(メタ)アクリレートに100重量部に対して20重量部〜150重量部である。20重量部より少ないと十分な接着力および接着耐久性が得られず、150重量部より多いと臭気が強くなる。
本発明における(D)ヒドロキシアルキルメタアクリレートは、接着力、接着耐久性を与えるために使用されるが、炭素数が1〜4の低級アルキル基を有するヒドロキシアルキルメタアクリレートが好ましく用いられる。具体例としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどが挙げられる。なお、ヒドロキシアルキルアクリレートは、臭気が強く本発明の目的を達成しないため除外する。この(D)成分の添加量は、(A)ウレタン(メタ)アクリレートに100重量部に対して40重量部〜180重量部である。40重量部より少ないと十分な接着耐久性が得られず、180重量部より多いと臭気が強くなる。
本発明における(E)光重合開始剤は従来から公知の光ラジカル重合開始剤を単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。具体例は、特開2003−231865号公報に挙げられているものが使用できるが、より好ましい例としては、揮発性が少ないもの、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパンオン}などが挙げられる。
本発明における光硬化性樹脂組成物は、接着性、接着耐久性、臭気を損なわない範囲で、その他の(メタ)アクリレートモノマー、添加剤を使用しても良い。添加剤の例として、安定剤、老化防止剤、無機充填剤、シラン化合物などが挙げられる。
本発明における樹脂キートップとゴムキーパッドの接着力をより強固にするために、ゴムキーパッドの接着面を、短波長紫外線照射、コロナ放電、プラズマ放電、フレーム処理などの前処理を行ってもよい。
合成例1(ポリカーボネートウレタンアクリレート1):温度計、攪拌機を備えたガラス製反応容器に、トリレンジイソシアネート19.0重量部、4−メトキシフェノール0.01重量部、ジブチルスズジラウレート0.02重量部を仕込み、撹拌しながら60℃に加温した。これに70℃に加温したポリカーボネートジオール(ニッポラン981 日本ポリウレタン工業製)72.6重量部を滴下し、滴下終了後80℃まで加温し、3時間撹拌して反応させた。ついで2−ヒドロキシエチルアクリレート8.5重量部を滴下し、滴下終了後80℃まで加温し3時間撹拌して反応させた。赤外分光によって、イソシアネート基が消失するのを確認して反応終了とし、ポリカーボネートウレタンアクリレートを得た。
合成例2(ポリカーボネートウレタンアクリレート2):ポリカーボネートジオール(ニッポラン981)の代わりにポリカーボネートジオール(プラクセルCD210 ダイセル化学工業製 なお、分子量はニッポラン981と同等)を使用する他は、合成例1と同様の添加量、手順でポリカーボネートウレタンアクリレートを得た。
比較合成例(ポリエステルウレタンアクリレート):ポリカーボネートジオールの代わりにポリエステルジオール(ニッポラン4002 日本ポリウレタン工業製 なお、分子量はニッポラン981と同等)を使用する他は、合成例1と同様の添加量、手順でポリエステルウレタンアクリレートを得た。
実施例および比較例:合成例1、2および比較合成例で得られたウレタンアクリレートを用いて、表1に示す配合割合にて光硬化性樹脂組成物を得た。なお、表中の配合割合は特に断りのない限り重量基準である。
接着力試験:シリコーンゴムコンパウンドを使用して作成したシリコーンゴムシートをコロナ放電によって表面改質し、実施例および比較例の組成物を使用してキートップ様のポリカーボネート片(5×10mm)を貼り付けて、紫外線照射して接着させた。そして、ポリカーボネート片の一端を引っ張り、引き剥がす時の加重を測定した。
接着耐久性試験:接着耐久性試験は、前記接着力試験と同等の手順で接着したものを、60℃×95%の高温高湿槽に120時間投入後、ポリカーボネート片の一端を引っ張り、引き剥がす時の加重を測定した。
臭気試験:臭気試験は、組成物を使用して10mm径1mm厚の硬化物を作成し、ガラス瓶に硬化物を入れて密栓し、1時間放置後、臭いセンサー(商品名:カルモアシグマ カルモア社製)を使用して臭気を測定した。尚、試験をした室内の測定値は360であった。数値が大きいほど、臭気が強いことを表している。これらの試験結果を表1に併せて示す。
Figure 0004582400
実施例1〜12は、接着力、接着耐久性について、実用上問題ない強度を示した。臭気については、室内での測定値と近い数値を示した。
比較例1は、接着耐久性が低かった。比較例2、3は、臭気が高い数値を示した。比較例4は、接着力、接着耐久性がともに低かった。比較例5は、接着耐久性が低かった。比較例6は、接着力、接着耐久性ともに十分ではなかった。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂成型品に対して接着力、接着耐久性を持ち、更に臭気が少ないため、電気・電子機器などで臭気が問題とされるものに有用である。入力キー、特に携帯電話の入力キーの樹脂キートップとゴムキーパッドの接着に使用でき、臭気の少ない入力キーを得ることが可能となる。

Claims (5)

  1. (A) ポリカーボネートジオールとポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ) アクリレートを反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート 100部
    (B)トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート 20〜150部
    (C)フェノキシモノエチレングリコールアクリレートおよびジシクロペンテニルモノエチレングリコールアクリレートを除く、アルキレンオキサイド変性された単官能(メタ)アクリレート 20〜150部
    (D) ヒドロキシアルキルメタアクリレート 40〜180部
    (E) 光重合開始剤
    を含有してなることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(A)成分の含有量が全体の15重量%以上である請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(C)成分が、フェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールアルキレングリコール( メタ)アクリレートから選ばれる1種または2種以上の成分である請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 前記請求項1〜3のいずれかの光硬化性樹脂組成物によって、樹脂キートップとゴムキーパッドを接着してなることを特徴とする入力キー。
  5. 前記入力キーが、携帯電話用である請求項4に記載の入力キー。
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