JP4581308B2 - 電気自動車の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の駆動源としてモータジェネレータを備えた電気自動車(ハイブリッド車両も含む)の制御装置に関し、詳しくは、モータジェネレータの回生制動力の制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、モータの駆動力により走行する電気自動車(狭義の電気自動車)や、駆動源としてモータとエンジンを併用するハイブリッド車が実用化されている(以下、狭義の電気自動車とハイブリッド車を総称して電気自動車(広義の電気自動車)と呼ぶ)。これらの電気自動車は、通常、駆動源であるモータとしてモータジェネレータ(電動機兼発電機)を備えている。そして、運転者のブレーキペダル操作によりモータジェネレータを回生作動させ、車両に制動力を与えながらエネルギ効率の向上を図るとともに、運転者の要求するブレーキ力が得られるように機械ブレーキも併用して作動させている。
【0003】
しかしながら、このように複数の制動手段を制御する場合、モータジェネレータの回生制動力については応答性が良好であり、目標となる制動力を精度良く得ることができるが、機械ブレーキの機械制動力に関しては、機械ブレーキの応答遅れや機械ブレーキの倍力装置であるマスタバック負圧の変化等、さらには車両毎の個体差によってばらつきが生じる可能性がある。このように機械制動力がばらつくと、機械制動力と回生制動力を加算した実制動力と運転者が要求する要求制動力とに差が生じることとなり、特に実制動力が要求制動力よりも小さい場合には、運転者によるブレーキペダルの再度の踏み込みが必要となってブレーキフィーリングを悪化させてしまうことになる。
【0004】
このような課題に対し、特開平1−198201号に開示された技術では、目標減速度と実減速度の偏差に応じて回生制動力を制御し、機械制動力の不足を回生制動力で補うことによってブレーキフィーリングの向上を図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、目標減速度と実減速度の偏差に応じて回生制動力を補正するために、減速度の不一致が生じて初めて回生制動力の制御がなされることになる。通常、運転者は減速度が所望の減速度からずれた時点でブレーキペダルを踏み込むという再操作を実施することが多いため、制動力の不足判定が遅れることにより運転者によるブレーキ再操作と回生制動力の増大制御が重複して実行される可能性があり、急激な制動力の増大を招く虞がある。
【0006】
また、低μ路や坂路において車輪に制動力を加えた場合には車輪はロック傾向になりやすいが、上記従来技術では、目標減速度と実減速度の偏差に応じて回生制動力を補正するため、車輪のロックにより目標減速度よりも実減速度が小さくなった場合にも減速不足と判定して回生制動力を増大補正してしまい、ロックをさらに増長させてしまう虞がある。
【0007】
つまり、上記従来技術では、ある特定の運転条件のもとでは、急激な制動力の増大やロックの増長を招いてしまい、逆にブレーキフィーリングを悪化させてしまうという課題があった。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、ブレーキフィーリングの悪化を招くことなく機械制動力のばらつきを回生制動力で補償できるようにした、電気自動車の制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電気自動車の制御装置は、ブレーキ操作量検出手段により運転者のブレーキベダルの操作量を検出し、その検出結果に基づき回生制動力設定手段によりモータジェネレータによる目標回生制動力を設定するとともに、同様にその検出結果に基づきブレーキ液圧設定手段により機械ブレーキにおける目標ブレーキ液圧を設定する。そして、実ブレーキ液圧検出手段により機械ブレーキの実ブレーキ液圧を検出して比較手段により実ブレーキ液圧と目標ブレーキ液圧を比較し、その比較結果に基づき補正手段により目標回生制動力を補正する。また、実ブレーキ液圧が目標ブレーキ液圧以上の場合には目標回生制動力の補正を行わないようにする。
【0009】
機械ブレーキの制動力(機械制動力)はブレーキ液圧の上昇により発生し、この機械制動力と回生制動力とが車両に作用した結果、車両に減速度が作用することから、このように実ブレーキ液圧と目標ブレーキ液圧との比較結果に基づき目標回生制動力を補正することにより、実際に車両に減速度が作用する前に機械制動力と回生制動力とのトータル制動力を運転者のブレーキベダルの操作量に応じた適正な値に補正することができる。したがって、従来のように回生制動力の増大制御の遅れによよって運転者によるブレーキペダルの再操作と回生制動力の増大補正が重複して実行されることがなく、ブレーキフィーリングの悪化を招くことがない。
【0010】
また、上記制御装置によれば、低μ路や坂路において車輪のロックにより減速度に偏差が生じた場合でも、実ブレーキ液圧と目標ブレーキ液圧とに偏差が生じない限りは目標回生制動力の補正が行われないので、回生制動力の増大補正によってロックをさらに増長させることがなく、ブレーキフィーリングの悪化を招くことがない。
【0011】
さらに、従来技術では、ブレーキパッドの磨耗やベーパーロック(ブレーキ液沸騰)によって機械制動力が低下した場合にも、その低下分が回生制動力で補償されてしまうため、ドライバが機械ブレーキの異常に気付かない虞や、異常に気付くのが遅れてしまう虞があるが、上記制御装置によれば、ブレーキパッドの磨耗等による機械制動力の低下は補償されないので、速やかに機械ブレーキの異常に気付くことができる。
【0012】
実ブレーキ液圧が目標ブレーキ液圧以上の場合には十分な制動力が得ることができる一方、これを補償するように目標回生制動力を減少補正してしまうとモータジェネレータによる回生量が低下してしまう。したがって、目標回生制動力の補正は実ブレーキ液圧が目標ブレーキ液圧未満の場合とすることで、モータジェネレータによる回生量が増加する方向に回生制動力を制御することができ、エネルギ効率を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図4は本発明の一実施形態としての電気自動車の制御装置を示すもので、ここでは、広義の電気自動車の一種であるハイブッド車に本発明の制御装置を適用した場合について示している。
【0014】
図1の全体構成図に示すように、本実施形態にかかるハイブリッド車1の駆動系は、エンジン2,モータ3及びCVT(無段自動変速機)4を組み合わせた構成となっている。ここでは、エンジン2は一般的な内燃機関として構成され、その出力軸2aをクラッチ5を介してCVT4の入力軸4aに連結され、CVT4からデフギヤ7を介して左右の駆動輪8,8へ駆動トルクを伝達できるようになっている。
【0015】
また、モータ3は電力供給を受けると電動機として作動し、車両1の減速時等において回転駆動トルクを受けると発電機として作動しうるモータジェネレータとして構成されている。モータ3はその出力軸をCVT4の入力軸4aと共用しており、電動機として作動したときには入力軸4aに駆動トルクを入力してエンジン2及びCVT4を直接回転駆動し、発電機として作動したときには入力軸4aに負の吸収トルクを入力して駆動輪8,8に制動力(回生制動力)を作用させるようになっている。なお、モータ3が発生した電力は図示しないバッテリに蓄えられるようになっており、モータ3の駆動トルクが必要とされる場合にはバッテリに蓄えられた電力がモータ3へ供給されるようになっている。
【0016】
駆動輪8,8と従動輪9,9には、それぞれ油圧式のホイールブレーキ(機械ブレーキ)10が付設されている。各ホイールブレーキ10は油圧配管によりマスターシリンダ11に接続されており、ブレーキペダル6の操作量に応じてマスターシリンダ11から各ホイールブレーキ10に圧油(ブレーキ液)が供給されるようになっている。各ホイールブレーキ10は、マスターシリンダ11から供給されたブレーキ液の液圧(ブレーキ液圧)に応じた制動力(機械制動力)を駆動輪8,8及び従動輪9,9に作用させるようになっている。
【0017】
一方、車室内には、図示しない入出力装置,制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等),中央処理装置(CPU)及びカウンタ等を備えた制御装置としてのコントローラ(ECU)20が設置されている。コントローラ20の入力側には、ブレーキペダル6のストローク(BPS)を検出するBPSセンサ(ブレーキ操作量検出手段)21、マスターシリンダ11から各ホイールブレーキ10に供給されるブレーキ液のブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサ(実ブレーキ液圧検出手段)22、モータ3の出力軸(CVT4の入力軸)4aのアウトプット回転速度(NO)を検出する回転速度センサ23等の各種センサが接続されている。コントローラ20は、ドライバによるブレーキペダル操作時には、これらセンサ21〜23からの検出情報に基づいてモータ3の回生制動力を制御している。
【0018】
以下、図2、図3を用いて、コントローラ20によって行われるモータ3の回生制動力の制御について説明する。
図2の機能ブロック図に示すように、コントローラ20は、基本モータトルク算出部210とモータトルク補正部200に大別される。
まず、基本モータトルク算出部210は、本発明にかかる回生制動力設定手段に相当しており、BPSとアウトプット回転速度に応じた回生時モータトルクの基本値(目標回生制動力に対応)を算出する機能を有している。基本モータトルク算出部210は、回生発電トルクマップ検索部211、制動発電トルクマップ検索部213、乗算部212、214、加算部215及び下限リミッタ216から構成されている。
【0019】
回生発電トルクマップ検索部211は、回転速度センサ23で検出されたアウトプット回転速度に応じた回生発電トルクを回生発電トルクマップから検索する機能を有している。回生発電トルクマップは、モータ3による回生発電用の吸収トルク(回生発電トルク)を設定するためのマップである。モータ3の回生効率は回生発電トルクとアウトプット回転速度により決まり、アウトプット回転速度が異なれば高回生効率を与える回生発電トルクも異なるので、回生発電トルクマップには、モータ3の回生効率を高く維持するためのアウトプット回転速度と回生発電トルクの設定値との関係が記憶されている。
【0020】
制動発電トルクマップ検索部213は、BPSセンサ21で検出されたBPSに応じた制動発電トルクを制動発電トルクマップから検索する機能を有している。制動発電トルクマップは、モータ3による制動発電用の吸収トルク(制動発電トルク)を設定するためのマップである。上記の回生発電トルクも制動力として作用するが、回生発電トルクはアウトプット回転速度に応じて決まるものであってドライバのブレーキ操作を反映しない。そこで、回生発電トルクとは別に、ブレーキペダル6の操作量に応じた制動発電トルクを付与することによって、ドライバの意図したような制動力が得られるようにしている。
【0021】
制動発電トルクマップ検索部213で検索された制動発電トルクは、乗算部214においてNO依存ゲインの乗算によりアウトプット回転速度に応じた補正が施される。NO依存ゲインはブレーキフィーリングを良くするためのゲインであり、アウトプット回転速度が高いほど大きくなるように設定されている。NO依存ゲインが乗算された制動発電トルクは、さらに加算部215において回生発電トルクマップ検索部211で検索された回生発電トルクに加算される。なお、ここで加算される回生発電トルクは、乗算部212でのバッテリ温度補正ゲインの乗算によってバッテリ温度に応じた補正が施されたものである。こうして得られたモータトルク(負の吸収トルク)を下限リミッタ216によってバッテリが受け入れ可能な範囲内に規制した後、モータ3への指令信号に変換して出力することによって、目標とする回生制動力が得られることになる。
【0022】
一方、モータトルク補正部200は、本発明にかかる補正手段に相当しており、基本モータトルク算出部210で算出される回生時モータトルクを機械制動力の不足に応じて補正する機能を有している。モータトルク補正部200は、理想ブレーキ液圧マップ検索部201、比較部202、出力切換スイッチ203、乗算部204、205、206及び加算部207から構成されている。
【0023】
理想ブレーキ液圧マップ検索部(ブレーキ液圧設定手段)201は、BPSセンサ21で検出されたBPSに応じた理想ブレーキ液圧(目標ブレーキ液圧)を理想ブレーキ液圧マップから検索する機能を有している。理想ブレーキ液圧マップは、ブレーキペダル6の操作量に対する理想のブレーキ液圧を定めたマップである。ブレーキ液圧はホイールブレーキ10の効きに影響するので、ブレーキペダル6の操作量とブレーキ液圧との関係は常に一定であって且つ車両毎のばらつきが無いのが好ましいが、実際には車両毎に個体差があり、また、同一車両でも例えばマスターシリンダ11の倍力装置であるマスタバック負圧が変化することもあるので、ブレーキ液圧の多少のばらつきは避けられない。本発明は、このブレーキ液圧のばらつきによる機械制動力の不足をモータ3の回生作動力で補償するようにしたものであるが、そのばらつきの程度を測るうえでの基準として、この理想ブレーキ液圧マップが用意されている。
【0024】
比較部202は、理想ブレーキ液圧マップ検索部201で検索された理想ブレーキ液圧と、ブレーキ液圧センサ22で検出された実際のブレーキ液圧との偏差を算出して、その偏差を不足液圧として出力する機能を有している。この不足液圧に乗算部204で変換係数を乗算してトルクに変換し、さらに乗算部205でデフギヤ7のデフ比の逆数を、また、乗算部206でCVT4の変速レシオの逆数を乗算することによって、ブレーキ液圧の不足による機械制動力の不足をモータ3に補償させるためのモータトルク(M/G補償トルク)が算出される。
【0025】
なお、理想ブレーキ液圧と実ブレーキ液圧との偏差が0以下の場合、すなわち、実ブレーキ液圧が理想ブレーキ液圧以上の場合には、モータ3の回生制動力による機械制動力の補償は行わない。この場合は、理想よりも機械制動力が効きすぎることになるが、制動力が高いことに対するドライバのブレーキフィーリングの悪化は小さい反面、制動力を理想に近づけるようにモータ3の回生制動力を低下させるとモータ3によるエネルギの回生量が低下して燃費が悪化してしまうためである。このため、出力切換スイッチ203は、理想ブレーキ液圧と実ブレーキ液圧との偏差が正の場合には、その偏差を不足液圧として乗算部20に出力し、偏差が0以下の場合には偏差を強制的に0にセットして乗算部20に出力するようにしている。
【0026】
加算部207は、このようにして得られたM/G補償トルクを制動発電トルクマップ検索部23で検索された制動発電トルクに加算するようになっている。これにより、機械制動力が不足したときには、M/G補償トルクが制動発電トルクへ加算されることによるモータ3の回生制動力の増大によって機械制動力の不足が補償されることになる。
【0027】
以上のコントローラ20による回生制動力の制御をステップ毎に分かり易く示したのが図3のフローチャートである。まず、ステップS10では、回生発電トルクマップからアウトプット回転速度に応じた回生発電トルクを決定する。ステップS20では、この回生発電トルクにバッテリ温度補正ゲインを乗算することによってモータトルクA(A=回生発電トルク×バッテリ温度補正ゲイン)を得る。
【0028】
ステップS30では、制御発電トルクマップからBPSに応じた制御発電トルクを決定する。また、ステップS40では、理想ブレーキ液圧マップからBPSに応じた理想ブレーキ液圧を決定する。そして、ステップS50において理想ブレーキ液圧と実ブレーキ液圧との偏差、すなわち不足油圧を算出する。ステップS60では算出した不足油圧が正か判定し、不足油圧が0以下の場合にはステップS70で強制的に0にセットする。ステップS80では、ステップS50或いはステップS70で得られた不足油圧にデフ比の逆数及びレシオ比の逆数を乗算してM/G補償トルクを算出する。そして、得られたM/G補償トルクをステップS90においてフィルタ処理し、M/G補償トルク(M/G補償トルクの波形信号)からノイズ成分を除去する。
【0029】
次に、ステップS100では、ステップS30で決定した制動発電トルクにステップS90でフィルタ処理したM/G補償トルクを加算する。そして、ステップS110では、得られたモータトルクB(B=制動発電トルク+M/G補償トルク)を所定値で下限制限する。この下限制限は過充電によるバッテリの破損を防止するための処置である。また、ステップS120では、アウトプット回転速度よりNO依存ゲインを決定する。そして、ステップS130において、ステップS110で下限制限したモータトルクBにNO依存ゲインを乗算し、モータトルクC(C=B×NO依存ゲイン)を算出する。
【0030】
ステップS140では、ステップS130で算出したモータトルクCにステップS20で算出したモータトルクAを加算して、新にモータトルクD(D=C+A)を算出する。そして、ステップS150において、モータトルクDをバッテリ受入可能トルクで下限制限することにより、最終的な回生時モータトルク(補正後の目標回生制動力に対応)が算出される。この最終の回生時モータトルクをモータ3に出力することによって、ブレーキ液圧の不足による機械制動力の低下を補償した回生制動力が得られることになる。
【0031】
以上のように、本発明の一実施形態としての制御装置によれば、ブレーキ液圧の不足により機械制動力が低下した場合には、実ブレーキ液圧と理想ブレーキ液圧との偏差に基づき設定されたM/G補償トルクがBPSに応じた制動発電トルクへ加算されるので、モータ3の回生制動力の増大によって機械制動力の不足を補償することができ、ブレーキフィーリングの低下を防止することができる。
【0032】
また、ホイールブレーキ10の機械制動力はブレーキ液圧の上昇により発生し、機械制動力と回生制動力とが車両1に作用した結果、車両1に減速度が作用することから、実ブレーキ液圧と理想ブレーキ液圧との偏差に基づき目標回生制動力に対応する回生時モータトルクを補正することで、実際に車両1に減速度が作用する前に機械制動力と回生制動力とのトータル制動力をBPSに応じた適正な値にすることができる。その結果、制御の遅れによって運転者によるブレーキペダル6の再操作と回生制動力の増大補正が重複して実行されることがなく、ブレーキフィーリングの悪化を招くことはない。
【0033】
また、本制御装置によれば、低μ路や坂路において車輪8,8,9,9のロックにより減速度に偏差が生じた場合でも、実ブレーキ液圧と理想ブレーキ液圧とに偏差が生じない限りは回生時モータトルクの補正が行われないので、回生作動力の増大によってロックをさらに増長させてしまうことがなく、ブレーキフィーリングの悪化を招くことはない。
【0034】
さらに、本制御装置によれば、ホイールブレーキ10のブレーキパッドの磨耗やベーパーロックによる機械制動力の低下は回生制動力により補償されないので、ドライバはブレーキフィーリングの悪化により速やかにホイールブレーキ10の異常に気付くことができる。
また、図4は、BPSの変化や車速の変化が同一の条件において、ブレーキ液圧が正常な場合(破線で示す)とブレーキ液圧が不足している場合(実線で示す)とで要求されるモータトルクを比較実験した結果であるが、この比較結果からも明らかなように、本制御装置によれば、ブレーキ液圧の不足を利用してモータ3による回生量を増やすことができ、燃費を向上させることができる。また、本制御装置は、実ブレーキ液圧が理想ブレーキ液圧よりも低い場合にのみ回生制動力による補償を行い、実ブレーキ液圧が理想ブレーキ液圧以上の場合には回生制動力による補償を行わないので、モータ3の回生量を低下させてしまうことがない。
【0035】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施しうるものである。
また、上述の実施形態では本発明をいわゆるパラレル式のハイブリッド車に適用しているが、シリーズ式等他の形式のハイブリッド車は勿論、動力源としてモータのみを備えた狭義の電気自動車にも適用可能なことは言うまでもない。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の電気自動車の制御装置によれば、実ブレーキ液圧と目標ブレーキ液圧との比較結果に基づき目標回生制動力を補正することにより、ブレーキフィーリングの悪化を招くことなく機械制動力のばらつきを回生制動力で補償することができる。
【0037】
また、実ブレーキ液圧が目標ブレーキ液圧以上の場合には目標回生制動力の補正を行わないことで、モータジェネレータによる回生量が増加する方向に回生制動力を制御することができ、エネルギ効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるハイブリッド車両の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるコントローラの機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるブレーキ操作時の回生制動力の制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態にかかる制御装置の効果を説明するための図であり、(a)はブレーキ液圧が正常な場合(実線)と不足している場合(破線)とで要求されるモータトルクを比較した図であり、(b)は各場合のブレーキ液圧を示す図、(c)はBPSを示す図、(d)は車速を示す図である。
【符号の説明】
1 ハイブリッド車両
2 エンジン
3 モータ
4 CVT
6 ブレーキペダル
7 デフギヤ
8 駆動輪
9 従動輪
10 ホイールブレーキ
11 マスターシリンダ
20 コントローラ(制御装置)
21 BPSセンサ
22 ブレーキ液圧センサ
23 アウトプット回転速度センサ
200 モータトルク補正部
210 基本モータトルク算出部

Claims (1)

  1. 車両を駆動するためのモータジェネレータと、
    上記車両を制動するための機械ブレーキと、
    運転者のブレーキベダルの操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、
    上記ブレーキ操作量検出手段の検出結果に基づき上記モータジェネレータによる目標回生制動力を設定する回生制動力設定手段と、
    上記ブレーキ操作量検出手段の検出結果に基づき上記機械ブレーキにおける目標ブレーキ液圧を設定するブレーキ液圧設定手段と、
    上記機械ブレーキの実ブレーキ液圧を検出する実ブレーキ液圧検出手段と、
    上記実ブレーキ液圧と上記目標ブレーキ液圧を比較する比較手段と、
    上記比較手段の比較結果に基づき上記目標回生制動力を補正する補正手段とを備え
    上記補正手段は、上記実ブレーキ液圧が上記目標ブレーキ液圧以上の場合には上記目標回生制動力の補正を行わない
    ことを特徴とする、電気自動車の制御装置
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