JPH09163504A - 電気自動車の回生制動併用式ブレーキ装置 - Google Patents

電気自動車の回生制動併用式ブレーキ装置

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JPH09163504A
JPH09163504A JP26336596A JP26336596A JPH09163504A JP H09163504 A JPH09163504 A JP H09163504A JP 26336596 A JP26336596 A JP 26336596A JP 26336596 A JP26336596 A JP 26336596A JP H09163504 A JPH09163504 A JP H09163504A
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braking
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Hiroaki Yoshida
裕明 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、電気自動車の回生制動併用式ブレ
ーキ装置に関し、ブレーキフィーリングを良好なものに
しながらブレーキエネルギをより効率的に電気エネルギ
として回収できるようにする。 【解決手段】 回生ブレーキ装置と、倍力機構付きのマ
スターシリンダ12と車輪に機械ブレーキ力を与えるブ
レーキ作動部材23,24とを有する機械ブレーキ装置
と、電動機回転数に基づいて回生制動力を発生させる回
生制動手段26と、ブレーキペダル作動に基づいて運転
者の要求する要求制動力を算出してこの算出された要求
制動力と最大回生制動力算出手段26で算出された最大
回生制動力とに基づいて機械ブレーキ装置による機械ブ
レーキ力を算出する機械ブレーキ力算出手段27とをそ
なえ、機械ブレーキ力算出手段27で算出された機械ブ
レーキ力により倍力機構を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車におけ
るブレーキング時に回生制動を併用するようにして、回
生制動による回生ブレーキ力と機械ブレーキ装置の機械
ブレーキ力とにより所要のブレーキ力を得られるように
した、電気自動車の回生制動併用式ブレーキ装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、大気汚染の防止や車両による騒音
低減の観点から、電気自動車が注目されつつあるが、こ
のような電気自動車では、いわゆる回生制動を容易に行
なうことができる。この回生制動は、走行用電動機(以
下、モータという)を発電状態に切り換えることで行な
うことができ、回生制動時には、駆動輪に負荷を与えて
これを制動しつつこの駆動輪に生じている回転を電気エ
ネルギに変換して回収することができる。
【0003】このような回生制動は、アクセルペダルの
踏み込みを解除した時に発生するように制御され、アク
セルペダルの踏み込み解除時に、ブレーキペダルが踏み
込まれていなければ、内燃機関の自動車の場合のエンジ
ンブレーキに相当するような弱めの回生制動(この回生
を弱回生という)が発生するように制御が行なわれ、ブ
レーキペダルの踏み込み時には、一般に、ブレーキペダ
ルの踏み込み度合いに応じた回生制動力が発生するよう
に制御が行なわれる。
【0004】例えば図21は従来の電気自動車の回生制
動併用式ブレーキ装置を示す構成図であり、図21にお
いて、11はブレーキペダル、12は機械ブレーキ装置
(以下、メカブレーキという)を構成する負圧式ブース
タ(真空倍力機構)であり、負圧式ブースタ12は、ブ
レーキペダル11の踏込みに応じて作動する。この負圧
式ブースタ12には、負圧を供給するバキュームタンク
13が接続され、バキュームタンク13にはバキューム
タンク13内を減圧するポンプモータ14が付設されて
いる。
【0005】そして、メカブレーキでは、負圧式ブース
タ12から出力されたブレーキ操作力(踏力)はマスタ
ーシリンダ(図示略)でブレーキ液圧に変換され、この
ブレーキ液圧を図示しない車輪側のブレーキ作動部材
(例えばブレーキキャリパ)に供給することで、ブレー
キ作動部材を作動させ、車輪に機械ブレーキ力を与える
ようになっている。
【0006】また、15は走行用モータ2及びポンプモ
ータ14を制御するモータコントローラであり、回生制
動時には、このモータコントローラ15により、モータ
2へ回生指令してモータ2を発電状態に切り換えること
で駆動輪に負荷(即ち、制動力)を与え、駆動輪の回転
を電気エネルギとしてを回収し、図示しないバッテリに
充電させる。そして、モータコントローラ15は、ブレ
ーキペダル11の踏込み時には、このブレーキペダル1
1の踏込み度合いを検出するブレーキストロークセンサ
16からの検出情報に基づいて、回生指令値を設定して
回生制御を行なう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のメカ
ブレーキでは、ブレーキペダル11の踏込み状態に応じ
て一意的にメカブレーキ力(機械ブレーキ力)が決定さ
れる。このメカブレーキ力はブレーキペダル11の踏込
み量(ブレーキストローク)に対して線型に増加するわ
けではないが、ブレーキストロークの増大に応じてメカ
ブレーキ力が増大する。
【0008】このようなメカブレーキ力に上述の回生制
動によるブレーキ力(回生ブレーキ力)が加わったもの
が、車両のブレーキ力として発揮されることになるが、
この車両に発揮される全ブレーキ力(メカブレーキ力+
回生ブレーキ力)は、図22に示すように、ブレーキペ
ダル11の踏込みに対して線型に増加するか又は線型に
近い状態で増加するように設定したい。そうでないと、
ブレーキフィーリングが悪化する。
【0009】上述のように、メカブレーキ力はブレーキ
ストロークに対応して一意的に決まるので、ブレーキス
トロークと全ブレーキ力との関係を図22に示すように
設定すると、回生ブレーキ力も決まることになる。一
方、回生ブレーキとして発生しうるブレーキ力(最大回
生ブレーキ力)は、モータ回転数に応じたものになり、
ブレーキストロークには関係なく発生しうる。したがっ
て、ブレーキストロークが小さく要求される全ブレーキ
力の小さな領域では、全ブレーキ力の多くを回生ブレー
キ力で賄うことが可能である。
【0010】しかしながら、従来の電気自動車の回生制
動併用式ブレーキ装置では、メカブレーキ力が全ブレー
キ力の多くを回生ブレーキ力で賄うことができる領域か
ら発揮されるので、本来なら回生ブレーキ力により電気
エネルギとして回収可能なブレーキエネルギをメカブレ
ーキの作動による熱エネルギとして放出してしまうこと
になり、図22に示すように、エネルギ回収率が制限さ
れ、ブレーキエネルギを効率的に電気エネルギとして回
収しているわけではない。
【0011】なお、特開平1−126103号公報には
電動車両の制動装置が開示さており、特開平4−355
603号公報には電気自動車用ブレーキ制御装置及びそ
の制御方法が開示さているが、これらの技術では、回生
ブレーキ力によるエネルギ回収率を高めるために機械ブ
レーキ力の調整を車輪側のブレーキ作動部材に供給する
ブレーキ液圧自体の調整により行なっている。しかしな
がら、このようなブレーキ液圧自体の調整は、ブレーキ
フィーリングを良好に保つのが困難であり、高度な調整
技術が要求される。
【0012】また、特開平5−161213号公報には
電動車両の制動装置が開示さているが、この技術では、
ブレーキストロークの小さな領域では回生ブレーキ力に
よるエネルギ回収率を高めることができない。さらに、
特開平1−198201号公報には電動自動車の制動制
御装置が開示さているが、この技術は、前述の従来技術
と同等なもので、回生ブレーキ力によるエネルギ回収率
を特別高めることはできない。
【0013】また、特開平3−270602号公報に
は、機械式制動力による減速度を得るための負圧をブレ
ーキ踏力に応じた必要最小限度の値に制御するようにし
た技術が開示されている。しかしながら、このような技
術では、比較的減速Gの大きなブレーキ操作時には、十
分な制動力が得られない場合があった。
【0014】本発明は、上述の課題に鑑み創案されたも
ので、ブレーキフィーリングを良好なものにしながらブ
レーキエネルギをより効率的に電気エネルギとして回収
できるようにした、電気自動車の回生制動併用式ブレー
キ装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の電気自動車の回生制動併用式ブレーキ装置
は、車載のバッテリにより駆動される電動機に回生制動
力を発生させる回生制動装置と、車輪に直接作用する機
械ブレーキ装置とを有する電気自動車の回生制動併用式
ブレーキ装置において、該機械ブレーキ装置が、該ブレ
ーキペダルの踏力を倍力機構を通じて入力されて該踏力
を液圧に変換して出力するマスターシリンダと、該車輪
にそなえられて該マスターシリンダから出力された液圧
を受けて該車輪に機械ブレーキ力を与えるブレーキ作動
部材とをそなえるとともに、該電動機の回転数から最大
回生制動力を算出する回生制動力算出手段と、少なくと
も該回生制動力算出手段の算出結果に基づいて該電動機
に回生制動力を発生させる回生制動手段と、該車両に装
備されたブレーキペダルの作動を検出するブレーキペダ
ル作動検出手段と、該ブレーキペダル作動検出手段の検
出結果に基づいて運転者の要求する要求制動力を算出す
る要求制動力算出手段と、該要求制動力算出手段で算出
された該要求制動力と該最大回生制動力算出手段で算出
された該最大回生制動力とに基づいて該機械ブレーキ装
置による機械ブレーキ力を算出する機械ブレーキ力算出
手段とをそなえ、該機械ブレーキ力算出手段で算出され
た該機械ブレーキ力が該機械ブレーキ装置により発生す
るように該倍力機構を制御する機械ブレーキ制御手段が
そなえられていることを特徴としている。
【0016】また、請求項2記載の本発明の電気自動車
の回生制動併用式ブレーキ装置は、請求項1記載の構成
において、該機械ブレーキ制御手段が、該機械ブレーキ
力算出手段で算出された目標機械ブレーキ力と該機械ブ
レーキ装置により実際に発生した実機械ブレーキ力との
差に応じて該倍力機構を制御するように構成されている
ことを特徴としている。
【0017】また、請求項3記載の本発明の電気自動車
の回生制動併用式ブレーキ装置は、請求項1記載の構成
において、該ブレーキペダル作動検出手段が、該ブレー
キペダルの踏込み量を検出するブレーキペダル踏込み量
検出手段をそなえるとともに、該機械ブレーキ制御手段
が、該機械ブレーキ力算出手段で算出された目標機械ブ
レーキ力と該機械ブレーキ装置により実際に発生した実
機械ブレーキ力との差、及び該ブレーキペダル踏込み量
検出手段で検出された該ブレーキペダルの踏込み量に応
じて、該倍力機構を制御するように構成されていること
を特徴としている。
【0018】また、請求項4記載の本発明の電気自動車
の回生制動併用式ブレーキ装置は、請求項1記載の構成
において、該回生制動力算出手段が、該電動機の回転数
に応じて予め定められたマップから最大制動力を読み出
すように構成されていることを特徴としている。請求項
5記載の本発明の電気自動車の回生制動併用式ブレーキ
装置は、請求項1記載の構成において、該回生制動力算
出手段で算出された最大回生制動力が、該要求制動力算
出手段で算出された要求制動力よりも大きい場合には、
該回生制動手段が、該ブレーキ作動検出手段の検出結果
に基づいて発生する回生制動力を制御するように構成さ
れていることを特徴としている。
【0019】請求項6記載の本発明の電気自動車の回生
制動併用式ブレーキ装置は、請求項1記載の構成におい
て、該機械ブレーキ装置が、該機械ブレーキ制御手段か
らの指令に基づいて該倍力機構に発生する補助力を制御
する制御弁機構を有することを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図16を参照して、
図面により本発明の一実施形態としての電気自動車の回
生制動併用式ブレーキ装置を説明する。図1は本実施形
態の電気自動車の回生制動併用式ブレーキ装置を示す構
成図である。図1において、11はブレーキペダル、1
2は機械ブレーキ装置(メカブレーキ)を構成する負圧
式ブースタ(真空倍力機構付きマスタシリンダ)であ
り、負圧式ブースタ12は、ブレーキペダル11の踏込
みに応じて作動する。この負圧式ブースタ12には、負
圧を供給するバキュームタンク13が接続され、バキュ
ームタンク13にはバキュームタンク13内を減圧する
ポンプモータ14が付設されている。
【0021】そして、メカブレーキでは、負圧式ブース
タ12から出力されたブレーキ操作力(踏力)はマスタ
ーシリンダ12Aでブレーキ液圧に変換され、このブレ
ーキ液圧をブレーキ液配管22A,22Bを通じて車輪
側のブレーキ作動部材(例えばブレーキキャリパ)23
L,23R,24L,24Rに供給することで、ブレー
キ作動部材を作動させ、車輪に機械ブレーキ力を与える
ようになっている。後輪側のブレーキ液配管22A,2
2Bには、プロポーショニングバルブ(PCV)25,
25が介装され、後輪のメカブレーキ力を前輪よりも低
減させて、後輪のロック防止によるブレーキ時の車両姿
勢を安定させるようになっている。
【0022】ところで、負圧式ブースタ12には、負圧
制御ピストン機構18がそなえられる。この負圧制御ピ
ストン機構18は、負圧制御ピストン18Hと負圧制御
シリンダ18Aとが設けられ、第1電磁弁19,第2電
磁弁20,第3電磁弁21の3つの電磁弁により、負圧
式ブースタ(倍力装置)12の倍力比を制御しうるもの
である。
【0023】つまり、負圧制御シリンダ18A内の負圧
制御ピストン18Hは、図2に示すように、オペレーテ
ィングロッド18Bに固定され一体に進退し、負圧制御
シリンダ18Aの方がオペレーティングロッド18Bに
対して軸方向へ可動になっている。
【0024】そして、負圧制御シリンダ18A内の負圧
制御ピストン18Hの背面(ブレーキペダル側の面,図
中右方)には、空気室18Cが設けられ、負圧制御ピス
トン18Hの前面(ブースタ側の面,図中左方)には、
大気圧室18Dが設けられている。また、空気室18C
に通じるシリンダ制御ポート18Eには、第1電磁弁1
9を通じて負圧タンク13からの負圧を空気室18Cに
供給しうるようになっており、この空気室18Cに負圧
を導入すると、負圧制御シリンダ18Aが前方(ブース
タ側,図中左方)に移動する。
【0025】大気圧室18Dの外側には、ブースタ12
側の踏力アシスト用空気室12Aに通じる開口12Bを
閉鎖しうる可撓性の仕切り18Fが設けられており、負
圧制御シリンダ18Aが前方に移動すると、この開口1
2Bを閉鎖して、負圧制御シリンダ18Aが後退する
と、この開口12Bを開放する。さらに、踏力アシスト
用空気室12Aに通じるブースタ倍力制御ポート18G
がそなえられ、仕切り18Fによる開口12Bの閉鎖時
には、このブースタ倍力制御ポート18Gを通じて踏力
アシスト用空気室12A内に供給される空気圧に応じ
て、ブースタ12の倍力状態が制御されるようになって
いる。もちろん、開口12Bの開放時には、踏力アシス
ト用空気室12A内は大気圧状態となって、通常のブー
スタ12の倍力状態が発揮される。
【0026】ブースタ倍力制御ポート18Gには、第2
電磁弁20を通じて負圧タンク13から負圧が供給可能
であり、また、第3電磁弁21を通じては大気圧の供給
ができるようになっている。ここでは、これらの第2電
磁弁20と第3電磁弁21とのデューティ制御を通じ
て、踏力アシスト用空気室12A内の空気圧を調整し
て、ブースタ12の倍力状態を変更するようになってい
る。
【0027】そして、3つの電磁弁19,20,21の
制御モードは、図15に示すように、増圧モード,減圧
モード,保持モード,停止モード,禁止モードがある。
禁止モードは、例えばブレーキ非作動時や急制動時に選
択され、この禁止モードでは、図3に示すように、全て
の電磁弁19,20,21がオフとされる。このオフ時
には、各電磁弁19,20,21とも閉鎖される。
【0028】減圧モード及び停止モードは、例えばブレ
ーキペダル11の踏み戻し時に選択され、この減圧モー
ド及び停止モードでは、図4に示すように、第1電磁弁
19と第2電磁弁20とがオン、第3電磁弁21をオフ
とされて、踏力アシスト用空気室12A内が減圧される
ようになっている。また、保持モードは、例えば回生制
動作動時に選択され、この保持モードでは、図5に示す
ように、第1電磁弁19のみがオン、第2電磁弁20と
第3電磁弁21とがオフとされて、踏力アシスト用空気
室12A内の圧力が調整圧を保持するようになってい
る。
【0029】増圧モードは、例えばブレーキペダル11
の踏み増し時に選択され、この増圧モードでは、図6に
示すように、第1電磁弁19がオン、第2電磁弁20が
オフ、第3電磁弁21がオンとされて、踏力アシスト用
空気室12A内の圧力が増圧されて大気圧に近づくよう
になっている。再び、図1に戻ると、26は回生制動を
制御する回生制御部であり、回生制御部26は、モータ
コントローラ(回生制動手段)15内の一機能要素とし
て設けられ、モータ2へ回生指令してモータ2を発電状
態に切り換えることで駆動輪に負荷(即ち、制動力)を
与え、駆動輪の回転を電気エネルギとして回収してこれ
を図示しないバッテリに充電させる。
【0030】すなわち、後述するブレーキコントローラ
28において、ブレーキペダル11の踏込み時に、ブレ
ーキペダル11の踏込み度合いを検出するブレーキペダ
ル作動検出手段としてのブレーキ踏力センサ(又は、ブ
レーキストロークセンサ)17からの検出情報に基づい
て予め設定されたマップ(図16のブレーキ力特性線A
参照)を用いて回生指令値が設定されると、上記回生制
御部26では、電流センサ29により検出されるモータ
2の回生状態をフィードバックしながら回生制御を行な
う。
【0031】27は倍力指令部及び負圧制御部(機械ブ
レーキ制御手段)であり、この倍力指令部27及び負圧
制御部27によって、ブレーキ踏力センサ17からの踏
力情報、回生制御部26からの回生指令情報、電流セン
サ29からのモータ2の回生電流状態、液圧センサ30
からのブレーキ液圧情報に基づいて、各電磁弁19,2
0,21の状態が制御されるようになっている。なお、
電流センサ29により検出された電流値は、電流センサ
入力部29A及びフィルタ29B(ともに図7参照)を
介して倍力指令部27及び負圧制御部27に入力される
ようになっている。
【0032】また、図7は本装置のソフトウェアのブロ
ック図であり、図7に示すように、ブレーキコントロー
ラ28には、ブレーキペダル作動検出手段としての踏力
センサ〔又はブレーキストロークセンサ〕17からのブ
レーキペダルの踏力検出信号を入力される踏力センサ入
力部31と、液圧センサ30からのブレーキ液圧検出信
号を入力される液圧センサ入力部32とをそなえる。
【0033】さらに、走行用モータ2を制御するモータ
コントローラ15からのパルス信号からモータ回転数を
検出するモータ回転数入力部33と、モータコントロー
ラ15からの電圧からブレーキスイッチのオンオフを検
出するブレーキスイッチ入力部34とがそなえられる。
また、踏力センサ入力部31の出力側には、踏力センサ
信号を安定化させるためのフィルタ35がそなえられ
る。フィルタ35で処理された踏力信号は異常検出部3
6,緊急回避制動検出部37,コンピュータ39に送ら
れ、また、フィルタ35で処理される前のブレーキ踏力
信号はモータ回転数入力部33からの回転数信号ととも
に異常検出部38に送られるようになってる。
【0034】液圧センサ入力部32からの信号も、異常
検出部36に踏力信号とともに送られ、また、コンピュ
ータ39にも送られる。さらに、モータ回転数入力部3
3及びブレーキスイッチ入力部34からの信号もコンピ
ュータ39にも送られるようになっている。異常検出部
36では、ブレーキ踏力とブレーキ液圧とを比較して負
圧式ブースタ12の異常を検出し、異常検出部38で
は、フィルタ処理前のブレーキ踏力とモータ2の回転数
とを比較して回生ブレーキの異常を検出するようになっ
ている。また、緊急回避制動検出部37では、ブレーキ
踏力の変動から緊急回避制動を行なうべきかを検出する
ようになってる。
【0035】また、コンピュータ39は、モータ2の回
転数から最大回生制動力を算出する回生制動力算出手段
39Aと、踏力センサ17からの検出結果に基づいてド
ライバの要求する要求制動力を算出する要求制動力算出
手段39Bと、要求制動力算出手段39Bで算出された
要求制動力と最大回生制動力算出手段39Aで算出され
た最大回生制動力とに基づいて機械ブレーキ装置による
機械ブレーキ力を算出する機械ブレーキ力算出手段39
Cと、機械ブレーキ力算出手段39Cで算出された機械
ブレーキ力が機械ブレーキ装置により発生するように負
圧式ブースタ12を制御する機械ブレーキ制御手段27
とをそなえて構成されている。
【0036】そして、コンピュータ39では、入力され
る各信号に基づいて、モータ2の回生指令値を設定して
この信号を出力する。すなわち、この回生指令信号は、
デジタル・アナログ変換器(D/A)41を通じてデジ
タル信号からアナログ信号へ変換されて、モータコント
ローラ15へ送られる。また、コンピュータ39では、
入力される各信号に基づいて、電磁弁19,20,21
へゲートドライバ40を介して制御信号を出力する。
【0037】また、図8は信号回路を示すが、図示する
ように、ブレーキコントローラ28には、ブレーキ踏力
センサ(又は、ブレーキストロークセンサ)17から入
力されたブレーキ踏力(又は、ブレーキストローク)に
基づいて必要なブレーキ力を計算して、このブレーキ力
を回生ブレーキ力とメカブレーキ力とに振り分ける。こ
のような計算は図16に示すようなマップに基づいて行
なってもよい。
【0038】そして、設定した回生ブレーキ力に応じた
回生指令値をモータコントローラ15へ出力して、モー
タコントローラ15からモータ2への電流制御が行なわ
れるようになっている。このとき、モータ2の回転数の
検出結果が回生ブレーキ力にフィードバックされる。ま
た、回生電流もブレーキコントローラ28にフィードバ
ックされる。
【0039】一方、設定したメカブレーキ力に応じてデ
ューティ制御信号が電磁弁19,20,21へ送られ、
負圧ブースタ12の倍力状態が調整されて、この倍力の
調整に応じて、ブレーキ作動部材23L,23R,24
L,24Rへのブレーキ液圧が調整されるようになって
いる。また、このとき、ブレーキ液圧がメカブレーキ力
にフィードバックされる。
【0040】このように、電磁弁19,20,21をデ
ューティ制御しながら、ブースタ12の倍力状態を制御
することができるので、メカブレーキ力を自由に低減す
ることができる。もちろん、このメカブレーキ力は踏力
に応じて増大するが、その増大の程度を弱めるようにす
ることでメカブレーキ力の低減を行なえる。したがっ
て、例えば図16に示すブレーキ力特性線Aのように回
生ブレーキ力を設定して、全ブレーキ力からこの回生ブ
レーキ力を減算した値Bをメカブレーキ力として設定し
ても、このメカブレーキ力Bを確実に発生させることが
できるのである。
【0041】本発明の一実施形態としての電気自動車の
回生制動併用式ブレーキ装置は、上述のように構成され
ているので、ブレーキ踏力に応じて図16に示すような
特性線Aのように回生ブレーキ力を設定し指令しなが
ら、一方で、メカブレーキ力を例えば図9に示すように
して、各電磁弁を駆動しながら調整する。つまり、図9
に示すように、イニシャライズ(INITIAL)を行
なう(ステップA10)。このイニシャライズ時に電磁
弁19,20,21のチェックを行ない、正常(OK)
ならばステップA20へ進み、異常(FAULT)なら
ば制御を停止する。
【0042】ステップA20では、時間軸カウンタの値
T_countを初期化、即ち、0にする。そして、所
要周期(ここでは、5msec)が過ぎたか否かのタイ
マールーチン判定を行なって(ステップA30)、電磁
弁駆動指令にかかるスイッチ(SW)即ちブレーキスイ
ッチの読み込みを行なう(ステップA40)。このブレ
ーキスイッチの読み込みは、ブレーキ踏力センサ17の
検出値の読み込みに代えることができる。
【0043】そして、ブレーキスイッチがオン(ON)
か否か即ちブレーキ操作が行なわれているか否かを判定
する(ステップA50)。スイッチがオン(ON)なら
ば、ステップA60へ進み、オンでなければ、ステップ
A220へ進んで、ブレーキを踏みはじめてからのカウ
ント値E_countを初期化、即ち、0にする。一
方、ステップA60へ進むと、時間軸カウンタの値T_
countが初期値、即ち、0か否かを判定する(ステ
ップA60)。カウンタ値T_countが0ならば、
ステップA70へ進み、カウンタ値T_countを1
0に設定する。そして、例えば50msec毎にA/D
値(各センサの出力値)を読み込み(ステップA8
0)、そして、フィルタ(1次フィルタ)によるフィル
タリング処理として、現在の各センサ出力Xn と前回の
各センサ出力Xn-1 との平均値を制御に用いる出力値X
とする(ステップA90)。
【0044】さらに、ステップA100へ進み、異常検
出部36,38からの検出情報でシステム異常かあるか
否かを判定し、システム異常があれば、SR=5、即
ち、禁止モードを選択可能な状態とする(ステップA1
60)。システム異常がなければ、ステップA110へ
進み、非常回避すべき状態か否かを判定し、非常回避す
べき状態でなければ、ステップA120へ進み、デュー
ティ値(DUTY値)を決定して、カウンタ値T_co
untを更新して(ステップA130)、ブレーキを踏
みはじめてからの時間にかかるカウンタ値E_coun
tを更新して(ステップA140)、電磁弁の駆動を行
なう(ステップA150)。
【0045】一方、非常回避すべき状態であれば、ステ
ップA110からステップA170へ進み、カウンタ値
E_countが20よりも大きいか否かを判定して、
カウンタ値E_countが20よりも大なら、SR
1、即ち、増圧モードを選択可能な状態とし、カウンタ
値E_countが20以下なら、SR5、即ち、禁止
モードを選択可能な状態とする。次いで、ステップA4
0と同様に、電磁弁駆動指令にかかるスイッチ(SW)
即ちブレーキスイッチの読み込みを行ない(ステップA
200)。このブレーキスイッチがオフ(OFF)とな
ったら、ステップA20へ戻る。
【0046】上述のステップA110による、非常回避
すべき状態か否かの判定は、図10に示すように行なわ
れる。つまり、現在の踏力センサ17の出力値のA/D
値Kと1サンプル周期前の踏力センサ17の出力値のA
/D値Kn-1 との差ΔK(ただし、ΔK=K−Kn-1
は、踏力センサ17の出力値増加量であり、まずこの増
加量ΔKを算出する(ステップB10)。そして、この
増加量ΔKが所定値(ここでは2.0)以上か否かを判
定して(ステップB20)、この増加量ΔKが所定値以
上なら、回避制動を行なうように判定する(ステップB
40)。また、この増加量ΔKが所定値以上なくても、
現在の踏力センサ17の出力値K自体が所定値(ここで
は4.0)以上か否かを判定して(ステップB30)、
この出力値Kが所定値以上なら、回避制動を行なうよう
に判定する(ステップB40)。
【0047】即ち、ブレーキの踏み込みが急激に行なわ
れたり、また、ブレーキの踏み込み量自体が十分に大き
い場合には、回避制動を行なうように判定するのであ
る。また、上述のステップA120による、デューティ
値(DUTY値)の決定は、図11に示すように行われ
る。つまり、まず、モータ回転数及び回生ブレーキ力マ
ップ(図16の特性A参照)から最大回生ブレーキ力F
Rmaxを演算し(ステップC10)、次に、踏力セン
サ17の出力値及び踏力−ブレーキ力マップから、目標
ブレーキ力FTを演算する。
【0048】最大回生ブレーキ力FRmaxが目標ブレ
ーキ力FTよりも大きいか否かを判定して(ステップC
30)、大きければ、ステップC160で、SR=4、
即ち、停止モードを選択可能な状態とする。そして、回
生指令値を目標ブレーキ力FTに応じたものに演算し設
定して、出力する(ステップC170)。また、最大回
生ブレーキ力FRmaxが目標ブレーキ力FTよりも大
きくなければ、回生指令値を最大回生ブレーキ力FRm
axに応じて設定し(ステップC40)、次に、目標ブ
レーキ液圧PTを演算して演算し(ステップC50)、
目標ブレーキ液圧PTと実液圧(検出されたブレーキ液
圧)PRとの差M(=PT−PR)を算出して(ステッ
プC60)、この差分Mの大きさ(絶対値)が第1所定
値(1.0)よりも大きいか否かを判定する(ステップ
C70)。差分Mの大きさが第1所定値より大であれ
ば、これは、急激にブレーキ液圧を要求している場合で
あり、このときには、SR=5、即ち、禁止モードを選
択可能な状態とする(ステップC150)。
【0049】また、差分Mの大きさが第1所定値以下な
ら、差分Mの大きさ(絶対値)が第1所定値よりも小さ
い第2所定値(0.1)よりも小さいか否かを判定する
(ステップC80)。ここで、差分Mの大きさが第2所
定値よりも小さければ、これは、ブレーキ液圧が目標領
域にあると言えるので、制御の安定化のために、SR=
3、即ち、保持モードを選択可能な状態とする(ステッ
プC150)。
【0050】そして、差分Mの大きさが第2所定値より
も小さくなければ、差分Mの大きさは、第2所定値と第
1所定値との間であるから、この場合には、増圧制御又
は加圧制御を行なう。つまり、ステップC90で、差分
Mが所定値(−0.1)未満か否かを判定する。ここ
で、差分Mが所定値(−0.1)未満なら、実液圧の方
が過剰であるため、減圧が必要となり、SR=2、即
ち、減圧モードを選択可能な状態とする(ステップC1
20)。そして、差分Mの値に応じて、図12に示すよ
うなテーブル又は図13に示すようなマップに基づい
て、デューティ値V_countを計算する(ステップ
C130)。
【0051】ここで、差分Mが所定値(−0.1)未満
でなければ、実液圧が不足であるため、増圧が必要とな
り、SR=1、即ち、増圧モードを選択可能な状態とす
る(ステップC100)。そして、差分Mの値に応じ
て、図12に示すようなテーブル又は図13に示すよう
なマップに基づいて、デューティ値V_countを計
算する(ステップC110)。
【0052】なお、デューティ値V_countは、図
12のテーブルや図13のマップに示すように、差分M
の大きさの増加に対してステップ状に増加するように設
定されているが、この差分Mに対してデューティ値V_
countの設定は、これよりも細かなステップ状にし
たり、また、これよりも大まかなステップ状にしたりす
ることも考えられる。
【0053】このようにして設定されたデューティ値に
基づいた電磁弁19,20,21の駆動(ステップA1
50)は、図14に示すように行われる。つまり、ステ
ップD10の判定で、SR=1、即ち、増圧モードを選
択可能な状態となると、デューティ値V_countが
正か否かの判定(ステップD20)を経て、デューティ
値V_countが正であれば増圧モードを設定し(ス
テップD30)、デューティ値のカウント数をV_co
untからV_count−1に減らす(ステップD4
0)。デューティ値V_countが正でなければ、保
持モードを設定する(ステップD50)。
【0054】また、ステップD10,D60の判定で、
SR=2、即ち、減圧モードを選択可能な状態となる
と、デューティ値V_countが正か否かの判定(ス
テップD70)を経て、デューティ値V_countが
正であれば減圧モードを設定し(ステップD80)、デ
ューティ値のカウント数をV_countからV_co
unt−1に減らす(ステップD90)。デューティ値
V_countが正でなければ、保持モードを設定する
(ステップD100)。
【0055】また、ステップD10,D60,D110
の判定で、SR=3、即ち、保持モードを選択可能な状
態となると、保持モードを設定する(ステップD12
0)。ステップD10,D60,D110,D130の
判定で、SR=4、即ち、停止モードを選択可能な状態
となると、停止モードを設定する(ステップD14
0)。また、ステップD10,D60,D110,D1
30の判定で、SR=5、即ち、禁止モードを選択可能
な状態となると、禁止モードを設定する(ステップD1
40)。
【0056】このようにして、電磁弁19,20,21
を適宜制御することで、図16に示すように、全ブレー
キ力に対する回生ブレーキ力を割合を高めて、ブレーキ
エネルギをより効率的に電気エネルギとして回収できる
ようになる。なお、図16にエネルギ回収率曲線の一例
を示すが、従来例(図22)に比べて、特にブレーキ踏
力(又は、ブレーキストローク)の小さな領域でエネル
ギ回収率が大きく向上し、全体として、効率的に電気エ
ネルギとして回収できるようになる。
【0057】この結果、電気自動車の1充電(外部充
電)当たりの走行距離、即ち航続距離を大きく伸長させ
ることができるようになる。シミュレーションの結果で
は、例えば10%適度の走行距離の向上が期待できる。
また、ブレーキ液圧自体を直接制御するのでなく、ブレ
ーキ液圧自体をブースタ12の通じて制御するので、良
好なブレーキフィーリングを発揮してブレーキ制御を行
うことができる。
【0058】次に、図17〜図20を用いて、本発明の
一実施形態における変形例について説明すると、この変
形例では、上述の電磁弁19,20,21のデューティ
値(DUTY値)の設定が異なっており、これ以外は略
第1実施形態と同様に構成されている。以下、デューテ
ィ値の設定について説明すると、この変形例では、例え
ば、図20に示すようなフローチャートにしたがって、
デューティ値が設定される。 (a)目標ブレーキ液圧Pmの設定 まず、ステップS101では、図16に示すマップに基
づいて、目標ブレーキ力を設定し、この目標ブレーキ力
から、目標液圧Pmを設定する。
【0059】実際の負圧ブースタ12の入力と出力との
関係は、図17に示すような特性となっており、負圧値
(Pv)により出力が異なるので、この特性を加味し
て、以下の換算式により目標ブレーキ液圧Pmを設定す
る。 Pm=(F・Ped)/S+(α・Pv)/S・・・・(1) なお、Fはブレーキペダル踏力、Pedはペダル比、Sは
マスタシリンダ面積であり、F・Pedにより負圧式ブー
スタ12への入力が算出される。また、αは図17に示
す部分である。
【0060】また、負圧ブースタ12の特性とブレーキ
系の液圧剛性から、ブレーキ液圧−オペレーティングロ
ッドストローク特性が決まるので、この特性からオペレ
ーティングロッド18BのストロークStを算出するこ
とができる。 (b)実ブレーキ液圧Pm′の検出 次に、ステップS102において、液圧センサ30から
のブレーキ液圧情報に基づいて、実際に発生しているブ
レーキ液圧、即ち、実ブレーキ液圧Pm′を検出する。 (c)オペレーティングロッド18BのストロークSt
の演算 一方、ステップS103では、オペレーティングロッド
18BのストロークStが演算される。ここで、実ブレ
ーキ液圧Pm′とオペレーティングロッド18Bのスト
ローク量Stは、実験的に図18に示すような関係があ
ることが確かめられており、この時の実ブレーキ液圧P
m′とオペレーティングロッド18Bのストローク量S
tとは、以下の近似式(2)で算出することができる。
【0061】 Pm′=A・St2 +B・St+C・・・・・(2) したがって、式(2)よりストローク量Stは、 St=〔−B+{B2 −4A・(C−Pm′)}1/2 〕/(2A) ・・・・・(3) となる。 (d)1回の制御周期で可能な負圧の修正限界ΔPv50
を演算 次に、ステップS104では、1回の制御周期で可能な
負圧の修正限界ΔPv 50を演算する。各電磁弁19,2
0,21を1回の制御周期(ここでは、制御周期=50
msec)だけ開いたときの負圧ブースタ12の負圧変
位能力ΔPv50とオペレーティングロッド18Bのスト
ロークStとの関係は、図19に示すような特性となっ
ており、このグラフから各電磁弁19,20,21の5
0msec当たりの負圧変位能力は、下式(4)に示す
ようになる。
【0062】 ΔPv50=D・St+E・・・・・・・・・(4) そして、式(4)に、式(3)を代入することで、ΔP
50を実ブレーキ液圧Pm′の関数f(Pm′)として
表すことができる。 ΔPv50=f(Pm′)・・・・・・・・・(5) (e)1回の制御周期で可能なブレーキ液圧の修正限界
(ΔPm50)を演算ステップS105では、1回の制御
周期で可能なブレーキ液圧の修正限界ΔPm50を演算す
る。ここでは、例えば100mmhg当たりのオペレー
ティングロッド出力変位量を60kgfとする(即ち、
α=0.6)と、1回の制御周期(50msec)で調
整できるブレーキ液圧ΔPm50は、 ΔPm50=0.6×ΔPv50/S・・・・・・・(6) となる。そして、この式(6)に上述の式(5)を代入
して、ΔPm50を実ブレーキ液圧Pm′の関数F(P
m′)として表すと、下式(7)のようになる。
【0063】 ΔPm50=F(Pm′) ・・・・・・・・(7) (f)デューティ値の決定 そして、ステップS106では、上述の第1実施形態で
算出した、目標ブレーキ液圧と実ブレーキ液圧との差を
Mを用いて、下式(8)により、デューティ値を設定す
るのである。
【0064】 DUTY=M/ΔPm50(但し、M≦ΔPm50)・・・(8) なお、M>ΔPm50のときは、計算上はDUTY>1.
0となってしまうので、この場合はDUTY=100%
に固定する。そして、このようにして、ブレーキ液圧P
m′のみならず、オペレーティングロッド18Bのスト
ロークStによる負圧ブースタ12の特性変化を加味し
たデューティ値を設定することで、ブレーキ操作の応答
遅れや過応答を防止することができるようになる。
【0065】したがって、踏み増しブレーキのような比
較的減速Gの大きなブレーキ操作においてもブレーキ力
の立ち上がり遅れ等を解消することができ、ブレーキ力
が違和感なく出力されるようになるので、安全性が向上
する。また、急ブレーキに対するシステムの限界性能
(通常の高効率回生制御が行なえる領域)が向上し、さ
らには、ブレーキ時のフィーリングが向上するという利
点がある。
【0066】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の電気自動車の回生制動併用式ブレーキ装置によれ
ば、電動機の回転数から最大回生制動力を算出する回生
制動力算出手段と、少なくとも回生制動力算出手段の算
出結果に基づいて電動機に回生制動力を発生させる回生
制動手段と、車両に装備されたブレーキペダルの作動を
検出するブレーキペダル作動検出手段と、ブレーキペダ
ル作動検出手段の検出結果に基づいて運転者の要求する
要求制動力を算出する要求制動力算出手段と、要求制動
力算出手段で算出された要求制動力と最大回生制動力算
出手段で算出された最大回生制動力とに基づいて機械ブ
レーキ装置による機械ブレーキ力を算出する機械ブレー
キ力算出手段とをそなえ、機械ブレーキ力算出手段で算
出された機械ブレーキ力が機械ブレーキ装置により発生
するように倍力機構を制御する機械ブレーキ制御手段が
そなえられるので、回生ブレーキ力をより多く発揮しう
るようになり、ブレーキエネルギの電気エネルギへの回
収率を高めて、エネルギの有効利用を行なうことができ
る。特に、回収した電気エネルギにより、電気自動車の
航続距離を増大させることができる。
【0067】また、請求項2記載の本発明の電気自動車
の回生制動併用式ブレーキ装置によれば、機械ブレーキ
制御手段が、機械ブレーキ力算出手段で算出された目標
機械ブレーキ力と機械ブレーキ装置により実際に発生し
た実機械ブレーキ力との差に応じて倍力機構を制御する
ことにより、円滑なブレーキ制御を実現することができ
る。
【0068】また、請求項3記載の本発明の電気自動車
の回生制動併用式ブレーキ装置によれば、ブレーキペダ
ル作動検出手段が、ブレーキペダルの踏込み量を検出す
るブレーキペダル踏込み量検出手段をそなえ、機械ブレ
ーキ制御手段が、機械ブレーキ力算出手段で算出された
目標機械ブレーキ力と機械ブレーキ装置により実際に発
生した実機械ブレーキ力との差、及びブレーキペダル踏
込み量検出手段で検出されたブレーキペダルの踏込み量
に応じて倍力機構を制御することにより、ブレーキペダ
ルの踏込み量による倍力機構の特性変化を加味したデュ
ーティ値を設定できるので、ブレーキ操作の応答遅れや
過応答を防止することができる。したがって、ブレーキ
ペダルの踏み増し操作のような比較的減速加速度の大き
なブレーキ操作においてもブレーキ力が十分に出力され
るようになり、安全性が向上する。また、急ブレーキ時
に対するシステムの限界性能(通常の高効率回生制御が
行なえる領域)が向上する。さらには、ブレーキ時のフ
ィーリングが向上するという利点がある。
【0069】請求項4記載の本発明の電気自動車の回生
制動併用式ブレーキ装置によれば、回生制動力算出手段
が、電動機の回転数に応じて予め定められたマップから
最大制動力を読み出すので、回生効率を容易で且つ確実
に増大させることができ、エネルギ効率の向上に寄与し
うる。
【0070】請求項5記載の本発明の電気自動車の回生
制動併用式ブレーキ装置によれば、回生制動力算出手段
で算出された最大回生制動力が、要求制動力算出手段で
算出された要求制動力よりも大きい場合には、回生制動
手段が、ブレーキ作動検出手段の検出結果に基づいて発
生する回生制動力を制御することにより、ブレーキ力が
過剰になることがなく、ブレーキ作動フィーリングを良
好なものにできる。
【0071】請求項6記載の本発明の電気自動車の回生
制動併用式ブレーキ装置によれば、機械ブレーキ装置
が、機械ブレーキ制御手段からの指令に基づいて倍力機
構に発生する補助力を制御する制御弁機構を有すること
により、容易で且つ安定して機械ブレーキ力を制御しう
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての電気自動車の回生
制動併用式ブレーキ装置を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態としての電気自動車の回生
制動併用式ブレーキ装置の倍力機構を示す断面図であ
る。
【図3】本発明の一実施形態としての電気自動車の回生
制動併用式ブレーキ装置の倍力機構の電磁弁制御を示す
構成図である。
【図4】本発明の一実施形態としての電気自動車の回生
制動併用式ブレーキ装置の倍力機構の電磁弁制御を示す
構成図である。
【図5】本発明の一実施形態としての電気自動車の回生
制動併用式ブレーキ装置の倍力機構の電磁弁制御を示す
構成図である。
【図6】本発明の一実施形態としての電気自動車の回生
制動併用式ブレーキ装置の倍力機構の電磁弁制御を示す
構成図である。
【図7】本発明の一実施形態としての電気自動車の回生
制動併用式ブレーキ装置のソフトウェアブロック図であ
る。
【図8】本発明の一実施形態としての電気自動車の回生
制動併用式ブレーキ装置の信号回路図である。
【図9】本発明の一実施形態としての電気自動車の回生
制動併用式ブレーキ装置におけるブレーキ力制御を示す
メインフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態としての電気自動車の回
生制動併用式ブレーキ装置における非常回避制御を示す
フローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態としての電気自動車の回
生制動併用式ブレーキ装置における電磁弁のデューティ
値の決定を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態としての電気自動車の回
生制動併用式ブレーキ装置における電磁弁のデューティ
値に関するテーブルを示す図である。
【図13】本発明の一実施形態としての電気自動車の回
生制動併用式ブレーキ装置における電磁弁のデューティ
値に関する設定特性を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態としての電気自動車の回
生制動併用式ブレーキ装置における電磁弁の駆動制御を
示すフローチャートである。
【図15】本発明の一実施形態としての電気自動車の回
生制動併用式ブレーキ装置における電磁弁の駆動制御内
容を説明するテーブルである。
【図16】本発明の一実施形態としての電気自動車の回
生制動併用式ブレーキ装置のブレーキ力特性及びその効
果を説明するグラフである。
【図17】本発明の一実施形態としての電気自動車の回
生制動併用式ブレーキ装置の変形例を説明するための図
であって、実際の負圧ブースタの入力と出力との関係を
示すグラフである。
【図18】本発明の一実施形態としての電気自動車の回
生制動併用式ブレーキ装置の変形例を説明するための図
であって、実ブレーキ液圧とオペレーティングロッドの
ストローク量との関係を示すグラフである。
【図19】本発明の一実施形態としての電気自動車の回
生制動併用式ブレーキ装置の変形例を説明するための図
であって、負圧ブースタの負圧変位能力とオペレーティ
ングロッドのストローク量との関係を示すグラフであ
る。
【図20】本発明の一実施形態としての電気自動車の回
生制動併用式ブレーキ装置の変形例を説明するための図
であって、デューティ値の設定について説明するための
フローチャートである。
【図21】従来の電気自動車の回生制動併用式ブレーキ
装置を示す構成図である。
【図22】従来の電気自動車の回生制動併用式ブレーキ
装置のブレーキ力特性及びその課題を説明するグラフで
ある。
【符号の説明】
2 電動機(モータ) 11 ブレーキペダル 12 負圧式ブースタ(真空倍力機構付きマスタシリン
ダ) 12A 踏力アシスト用空気室 12B 開口 13 バキュームタンク 14 ポンプモータ 15 モータコントローラ(回生制動手段) 17 ブレーキペダル作動検出手段としてのブレーキ踏
力センサ(又は、ブレーキペダル踏込み量検出手段) 18 負圧制御ピストン機構 18A 負圧制御シリンダ 18B オペレーティングロッド 18C 空気室 18D 大気圧室 18E シリンダ制御ポート 18F 仕切り 18G ブースタ倍力制御ポート 18H 負圧制御ピストン 19,20,21 電磁弁 22A,22B ブレーキ液配管 23L,23R,24L,24R ブレーキ作動部材 25 プロポーショニングバルブ(PCV) 26 回生制御部 27 倍力指令部及び負圧制御部(機械ブレーキ制御手
段) 29 電流センサ 30 液圧センサ 28 ブレーキコントローラ 31 踏力センサ入力部 32 液圧センサ入力部 33 モータ回転数入力部 34 ブレーキスイッチ入力部 35 フィルタ 36 異常検出部 37 緊急回避制動検出部 38 異常検出部 39 コンピュータ 39A 回生制動力算出手段 39B 要求制動力算出手段 39C 機械ブレーキ力算出手段 40 ゲートドライバ 41 デジタル・アナログ変換器(D/A)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車載のバッテリにより駆動される電動機
    に回生制動力を発生させる回生制動装置と、車輪に直接
    作用する機械ブレーキ装置とを有する電気自動車の回生
    制動併用式ブレーキ装置において、 該機械ブレーキ装置が、該ブレーキペダルの踏力を倍力
    機構を通じて入力されて該踏力を液圧に変換して出力す
    るマスターシリンダと、該車輪にそなえられて該マスタ
    ーシリンダから出力された液圧を受けて該車輪に機械ブ
    レーキ力を与えるブレーキ作動部材とをそなえるととも
    に、 該電動機の回転数から最大回生制動力を算出する回生制
    動力算出手段と、 少なくとも該回生制動力算出手段の算出結果に基づいて
    該電動機に回生制動力を発生させる回生制動手段と、 該車両に装備されたブレーキペダルの作動を検出するブ
    レーキペダル作動検出手段と、 該ブレーキペダル作動検出手段の検出結果に基づいて運
    転者の要求する要求制動力を算出する要求制動力算出手
    段と、 該要求制動力算出手段で算出された該要求制動力と該最
    大回生制動力算出手段で算出された該最大回生制動力と
    に基づいて該機械ブレーキ装置による機械ブレーキ力を
    算出する機械ブレーキ力算出手段とをそなえ、 該機械ブレーキ力算出手段で算出された該機械ブレーキ
    力が該機械ブレーキ装置により発生するように該倍力機
    構を制御する機械ブレーキ制御手段がそなえられている
    ことを特徴とする、電気自動車の回生制動併用式ブレー
    キ装置。
  2. 【請求項2】 該機械ブレーキ制御手段が、該機械ブレ
    ーキ力算出手段で算出された目標機械ブレーキ力と該機
    械ブレーキ装置により実際に発生した実機械ブレーキ力
    との差に応じて、該倍力機構を制御するように構成され
    ていることを特徴とする、請求項1記載の電気自動車の
    回生制動併用式ブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 該ブレーキペダル作動検出手段が、該ブ
    レーキペダルの踏込み量を検出するブレーキペダル踏込
    み量検出手段をそなえるとともに、 該機械ブレーキ制御手段が、該機械ブレーキ力算出手段
    で算出された目標機械ブレーキ力と該機械ブレーキ装置
    により実際に発生した実機械ブレーキ力との差、及び該
    ブレーキペダル踏込み量検出手段で検出された該ブレー
    キペダルの踏込み量に応じて、該倍力機構を制御するよ
    うに構成されていることを特徴とする、請求項1記載の
    電気自動車の回生制動併用式ブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 回生制動力算出手段が、該電動機の回転
    数に応じて予め定められたマップから最大制動力を読み
    出すように構成されていることを特徴とする、請求項1
    記載の電気自動車の回生制動併用式ブレーキ装置。
  5. 【請求項5】 該回生制動力算出手段で算出された最大
    回生制動力が、該要求制動力算出手段で算出された要求
    制動力よりも大きい場合には、該回生制動手段が、該ブ
    レーキ作動検出手段の検出結果に基づいて発生する回生
    制動力を制御するように構成されていることを特徴とす
    る、請求項1記載の電気自動車の回生制動併用式ブレー
    キ装置。
  6. 【請求項6】 該機械ブレーキ装置が、該機械ブレーキ
    制御手段からの指令に基づいて該倍力機構に発生する補
    助力を制御する制御弁機構を有することを特徴とする、
    請求項1記載の電気自動車の回生制動併用式ブレーキ装
    置。
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