JP4580873B2 - アイオノマー組成物を用いたゴルフボール - Google Patents
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Description
第一成分:炭素数が2〜8個のオレフィンモノマー
第二成分:炭素数が2〜18個の不飽和カルボン酸、および、
第三成分:ジエンまたはジエン重合体
すなわち、本発明の要旨は、ゴルフボール用アイオノマー組成物として使用するアイオノマーのポリマー成分として、ジエンまたはジエン重合体のようなゴム成分を用いることによって、耐擦過傷性を損なうことなく打球感を改善することができ、反発性、耐擦過傷性および打球感のバランスが良いゴルフボールを一層高いレベルで実現できたという点にある。
本発明のゴルフボール用アイオノマー組成物は、少なくとも下記成分を構成成分として含有するポリマーのカルボキシル基の少なくとも10モル%以上が無機金属化合物で中和されていることを特徴とする。
第一成分:炭素数が2〜8個のオレフィンモノマー
第二成分:炭素数が2〜18個の不飽和カルボン酸、および、
第三成分:ジエンまたはジエン重合体
まず、少なくとも下記成分を構成成分として含有するポリマーについて説明する。
第一成分:炭素数が2〜8個のオレフィンモノマー
第二成分:炭素数が2〜18個の不飽和カルボン酸、および、
第三成分:ジエンまたはジエン重合体
前記第一成分は、炭素数が2〜8個のオレフィンモノマーである。ここで、オレフィンとは、分子内に二重結合を1つもつ脂肪族不飽和炭化水素である。炭素数が2〜8個のオレフィンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、へプテン、オクテンなどを挙げることができ、これらの中でもエチレン、プロピレンが好ましく、より好ましくはエチレンである。前記オレフィンモノマーは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて使用することができる。
中和度(モル%)=[COOM]/([COOH]+[COOM])×100
本発明のゴルフボールは、ゴルフボールを構成する材料として、前記ゴルフボール用アイオノマー組成物を使用したものであれば、特に限定されないが、具体的には、
(A)ゴルフボール本体を構成する樹脂成分として、前記ゴルフボール用アイオノマー組成物を用いることを特徴とするワンピースゴルフボール;
(B)コアと前記コアを被覆するカバーとを有するツーピースゴルフボールであって、
前記コアおよび/またはカバーを構成する樹脂成分として、前記ゴルフボール用アイオノマー組成物を用いることを特徴とするツーピースゴルフボール、より好ましくはカバーを構成する樹脂成分として前記ゴルフボール用アイオノマー組成物を用いることを特徴とするツーピースゴルフボール;
(C)コアと前記コアを被覆する中間層と前記中間層を被覆するカバーとを有するスリーピースゴルフボールにおいて、コア、中間層、および、カバーの少なくとも一つを構成する樹脂成分として、前記ゴルフボール用アイオノマー組成物を用いることを特徴とするスリーピースゴルフボール、より好ましくは最外層のカバーを構成する樹脂成分として前記ゴルフボール用アイオノマー組成物を用いることを特徴とするスリーピースゴルフボール;
(D)少なくとも4層以上のマルチピースゴルフボールにおいて、少なくとも一層を構成する樹脂成分として、前記ゴルフボール用アイオノマー組成物を用いることを特徴とするマルチピースゴルフボール、より好ましくは最外層のカバーを構成する樹脂成分として前記ゴルフボール用アイオノマー組成物を用いることを特徴とするマルチピースゴルフボール;および
(E)糸巻きコアと前記糸巻きコアを被覆するカバーとを有する糸巻きゴルフボールであって、前記カバーを構成する樹脂成分として、前記ゴルフボール用アイオノマー組成物を用いることを特徴とする糸巻きゴルフボール、より好ましくは最外層のカバーを構成する樹脂成分として前記ゴルフボール用アイオノマー組成物を用いることを特徴とする糸巻きゴルフボールを挙げることができる。
(1)スラブ硬度(ショアD硬度)
ゴルフボール用アイオノマー組成物またはカバー(中間層)用組成物を用いて、熱プレス成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板等の影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
ゴルフラボラトリー社製のスイングロボットに市販のピッチングウエッジを取り付け、ヘッドスピード36m/秒でボールの2箇所を各1回打撃し、打撃部を観察して、3段階で評価した。
評価基準
○:ゴルフボール表面に傷がわずかに残るがほとんど気にならない。
△:ゴルフボール表面に傷がくっきり残り若干毛羽立ちが見られる。
×:ゴルフボール表面がかなり削れ、毛羽立ちが目立つ。
ゴルフボールまたはコアに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にゴルフボールが縮む量)を測定した。
ツルーテンパー社製のスイングロボットにメタルヘッド製#W1ドライバー(10度)を取り付け、ヘッドスピード45m/秒でゴルフボールを打撃し、飛距離(発射始点から静止地点までの距離(ヤード))を測定した。測定は、各ゴルフボールについて10回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの飛距離とした。また、スピン速度、打出し直後の打出角(単位:度)およびボール速度は、打撃されたゴルフボールを連続写真撮影することによって求めた。
ゴルファー10人(プロ2人、ハンディキャップ5以下の上級アマ8人)により、メタルヘッド製W#1ドライバーを用いて実打テストを行って、打撃時の衝撃の反発感を下記基準に基づいて評価を行い、最も多い評価結果をそのゴルフボールの打球感とした。
○:反発感があって良い
△:普通
×:重い感じで反発感が弱くて悪い
(1)内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器に、エチレンとメタクリル酸の単量体混合物(エチレン:メタクリル酸=80:10質量比)と、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピロンアミジン]ハイドレート(和光純薬工業製V−057)を、単量体混合物に対して4質量ppmになるように供給し、反応器内の圧力を1600kg/cm2に保ちながら160℃で反応を行った。得られた共重合体と未反応のモノマーを調節弁を通して分離容器に取り出し、共重合体を分離して両末端にカルボキシル基を導入した共重合体を得た。得られたカルボキシル基両末端エチレン−メタクリル酸共重合体90質量部とジエン重合体としてポリブタジエングリコール(日本曹達社製ポリブタジエングリコールG−1000:分子量1000)10質量部とをトルエンに溶解して、そこに触媒として濃硫酸を加えて加熱還流して、カルボキシル基両末端エチレン−メタクリル酸共重合体とポリブタジエングリコールとを脱水縮合反応させた後、トルエンをエバポレーターで留去して、得られた反応生成物のカルボキシル基の50モル%を中和するように水酸化ナトリムを配合し、二軸混練押出機で押出ししてアイオノマー組成物1を得た。
(1)コアの作製
表1に示す配合のコア用ゴム組成物を混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃で20分間加熱プレスすることにより球状コアを得た。
アクリル酸亜鉛:日本蒸留製のZNDA−90S
酸化亜鉛:東邦亜鉛製の銀嶺R
硫酸バリウム:堺化学製硫酸バリウムBD
ジクミルパーオキサイド:日本油脂製のパークミルD
尚、硫酸バリウムは、得られるゴルフボールの質量が、45.4gとなるように適量加えた。
表2に示した配合材料を用いて、表3に示したように二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状のカバー(中間層)用組成物をそれぞれ調製した。押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は、押出機のダイの位置で160〜230℃に加熱された。
ハイミラン:三井デュポンポリケミカル(株)製アイオノマー樹脂
サーリン:デュポン社製のアイオノマー樹脂
エラストランXNY97A:BASF(株)製の熱可塑性ポリウレタンエラストマー
上記で得たカバー(中間層)用組成物を、前述のようにして得たコア上に射出成形することにより、前記コアを被覆する中間層および/またはカバーを形成した。成形用上下金型は、半球状キャビティを有し、ディンプル付きで、ディンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねている。上記ホールドピンを突き出し、コアを投入後ホールドさせ、80トンの圧力で型締めした金型に210℃に加熱した樹脂を0.3秒で注入し、30秒間冷却して型開きしてゴルフボールを取り出した。得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理をして、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.7mm、質量45.4gのゴルフボールを得た。尚、ゴルフボール表面には、表4及び図1〜図3に示したディンプルパターンを形成した。
Claims (7)
- ワンピースゴルフボール、コアと前記コアを被覆するカバーとを有するツーピースゴルフボール、コアと前記コアを被覆する中間層と前記中間層を被覆するカバーとを有するスリーピースゴルフボール、または、少なくとも4層以上のマルチピースゴルフボールにおいて、
ワンピースゴルフボールの本体を構成する樹脂成分、または、ツーピースゴルフボール、スリーピースゴルフボールもしくはマルチピースゴルフボールの少なくとも一層を構成する樹脂成分として、
少なくとも下記成分を構成成分として含有するテレケリック型共重合体の両末端にジエン重合体が結合しているポリマーのカルボキシル基の少なくとも10モル%以上が無機金属化合物で中和されているアイオノマー組成物を用いることを特徴とするゴルフボール。
第一成分:炭素数が2〜8個のオレフィンモノマー、および、
第二成分:炭素数が2〜18個の不飽和カルボン酸 - 前記ジエン重合体の数平均分子量が、500以上10,000以下である請求項1に記載のゴルフボール。
- 前記無機金属化合物が、周期律表の1族から17族、ランタノイド、および、アクチノイドの中から選ばれる1つの金属の水酸化物、炭酸化物、炭酸水素化物、酸化物、リン酸化物、硫酸化物のいずれかである請求項1または2に記載のゴルフボール。
- 前記ポリマー中の第一成分の含有率が1質量%〜95質量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフボール。
- 前記ポリマー中の第二成分の含有率が1質量%〜50質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴルフボール。
- 前記ポリマー中のジエン重合体成分の含有率が4質量%〜70質量%である請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフボール。
- 前記ジエン重合体成分が、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2−プロパンジエンからなる群より選択される少なくとも一種のジエンの重合体である請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴルフボール。
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