JP4580312B2 - 二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、二輪車用空気入りタイヤにかかり、特に、ウエット路面での旋回性能を向上することのできる二輪車用空気入りタイヤに関する。
タイヤは、濡れた路面を走行するときに、路面とトレッド表面のゴムが水膜によって邪魔されることなく、良好な接地状態を得るために、トレッド部に溝を配置している(例えば、特許文献1参照。)。
即ち、タイヤトレッド部に配置した溝は、トレッドと路面によって搾り出された水の逃げ道となり、これらの水を効率的に排水する役目を持つ。
自動二輪車用のトレッドパターンについては、溝の配置の仕方が技術的な難しさであり、また、ウエット性能を左右する大きな要因である。
それゆえ、水を効率的に排水できる溝配置と、デザイン的な良さをうまくバランスさせながらタイヤのパターンは決定されている。
また、自動二輪車用のタイヤでは、乗用車用やトラック用のタイヤと異なり、車体を傾けて旋回するバイクの特性から、車体を傾けない直進走行時と、車体を傾けるコーナリング時とでは、地面に接地するトレッドの部位が異なる。そのため、自動二輪車用のタイヤでは、センター側とショルダー側でパターンの傾向に特徴を持たせる場合がある。
即ち、センター側はタイヤの前後方向(=赤道方向=周方向)の入力に対してトレッドが強くなるような溝配置にし、ショルダー側はタイヤの幅方向の入力(横力)とタイヤの周方向の入力(トラクション、ブレーキ)の両方に対して強い溝配置とするわけである。 ショルダー側に対しては、車体を傾けて旋回することを考えると、アクセルを開けずに、またはブレーキをかけずに一定速度で旋回するときには横力が主体的に掛かり、一定速度の旋回から加速するときには駆動力が掛かり、横力と駆動力の両方が掛かるわけであるから、ショルダー側は横力と駆動力の両方に強いパターンである必要があるわけである。
自動二輪車のタイヤのショルダー側については、前述のように、横力と駆動力に対して、グリップの良いタイヤが必要である。
車体の特性を考えると、駆動力が掛かるのは後輪タイヤのため、後輪は特に駆動力に対してグリップすることが必要である。一方、前輪は、駆動力は掛からないが、ブレーキング時に車体荷重が前輪に掛かるため、大きなブレーキ力がタイヤに掛かる。
前輪はブレーキに抵抗する前後方向のグリップと、横力に抵抗する横方向のグリップが必要である。特に、自動二輪車のレースの場合は、特に旋回時の操縦安定性能が重要となる。
雨天のコーナリング時において、ウエット旋回性能が低いタイヤではスピードが出せずに、ラップタイムを縮めることが出来ない。また、市販車においても、一般道でのウエット旋回性能が低いタイヤは、スリップの虞がある。
特開2003―211917号公報
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、従来よりもウエット路面での旋回性能を向上することのできる二輪車用空気入りタイヤの提供を目的とする。
ウエット性能に対し、従来より溝の深さ、及び溝の幅で決まる溝体積と陸部の面積とのバランスが重要視されてきた。自動二輪車のタイヤのショルダー側については、前述したように、制・駆動力に加えて横力が掛かるため、旋回性能を向上する上で非常に重要な部位となる。
車両旋回時のウエット性能に着目すると、トレッド部のショルダー側(トレッド端側)が路面と接地する。トレッドのショルダー側の溝形状について考えると、従来では、溝はある程度太くなくては十分な排水ができないと考えられてきた。そのため、十分に太い溝を配置した上で、陸部の面積やブロック剛性を確保する手法が考案されてきた。また、溝幅が1.0mm程度のサイプと呼ばれる細溝は、水の排水には不向きであり、このサイプをトレッド部に配置することは、単にトレッド部の陸部を刻むだけでブロック剛性を低下させて、ブロックの変形量を大きくし、グリップが低下すると考えられてきた。
サイプが自動二輪車用のタイヤに使われるのは、雪道や氷路といった特殊な気象条件下での路面状態においてのみであった。
溝の太いものは、水を十分に排水できる。自動二輪車用のタイヤにおいては、溝幅は3mm以上あるのが通常である。サイプのように溝の細いものは水の排水が十分でなく、ハイドロプレーニングする虞があるというのが一般的な知見であった。
発明者は、ウエット操縦安定性能の向上のための溝と陸部の配置について、特にブロック幅と溝幅の関係の面から鋭意研究を行った結果、サイプと呼ばれる細い溝でも十分に排水効果が得られることを発見し、溝をサイプのように細くすることで、陸部の面積が広く取れてグリップ力が向上する効果が得られることを発見した。また、細溝化により、タイヤ周上の溝間隔を狭めることもできるため、陸部と路面とに挟まれた水を直ぐに溝に流すことが可能となり、排水効果も高まることも発見した。
請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤは、上記事実に鑑みてなされたものであって、タイヤ赤道面を中心として、トレッドの展開幅の60%の領域をトレッド中央部、前記トレッド中央部のタイヤ幅方向外側をトレッド側部としたときに、前記トレッド側部には、溝幅が0.3〜2.5mmの範囲内に設定されてタイヤ周方向に対して90度未満の角度で傾斜して延びる傾斜溝のみがタイヤ周方向に100〜200本形成されるか、または溝幅が0.3〜2.5mmの範囲内に設定されてタイヤ幅方向に延びる横溝のみがタイヤ周方向に100〜200本形成され、前記トレッド側部のネガティブ率が5〜20%の範囲内に設定されている、ことを特徴としている。
次に、請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤでは、上記のようにパターンを工夫したので、旋回時に接地する部分の排水性とブロック剛性とを高次元で両立でき、従来よりもウエット路面旋回時に高いグリップ力が得られる。
トレッド側部において、タイヤ周方向の溝数が100本以上と比較的数が多く、かつネガティブ率が20%以下であることは、ブロックと細い溝が周方向に比較的細かい間隔で並んでいる状態を示している。なお、トレッド側部において、溝間隔は、等間隔であっても良く、等間隔でなくても良い。通常のタイヤは、走行時に発生する音(パターンノイズ)の周波数を分散するピッチバリエーションと呼ばれる溝の間隔を周上でずらす手法が取られており、本発明においても溝間隔を数種類用意しても良い。
トレッド側部において、タイヤ周方向の溝数を200本以下としたのは、200本を超えると、溝と溝の間に挟まれた陸部が細くなり過ぎて、剛性が低下するからである。200本を越えると、トレッドの剛性が低下して、トレッドが倒れ込み変形をして十分なグリップ力が得られなくなる。
トレッド側部において、タイヤ周方向の溝数を100本以上としたのは、細い溝で区切った場合、100本未満では、陸部の面積が大きくなり、陸部の踏面と路面との間の水が搾り出されて近くの溝に排水されるまでの距離が長くなり、ハイドロプレーニングし易いからである。
横溝、または傾斜溝の溝幅が0.3mm未満になると、十分な排水効果が得られず、また、溝を作るためのブレードと呼ばれるモールド部品の厚みが薄くなり過ぎてモールドの耐久性が得られなくなる。
一方、横溝、または傾斜溝の溝幅が2.5mmを超えると、排水効果は高くなるが、トレッド側部の陸部の表面積を極端に低下させてしまい、トレッドと路面とが接触する面積が小さくなってグリップ力を低下させてしまう。
なお、ここでいう溝幅は、トレッド側部内における平均値である。
細い溝でパターンを主体的に構成するのは、先にも述べたように、細い溝でも十分な排水効果があるかと言う点と、細い溝は陸部を削り取る割合が少なく、陸部の面積を広く保ち、路面とタイヤの接触面積を大きく出来てタイヤが路面にグリップしやすいという点が理由である。
なお、本発明において、横溝とは、赤道方向(周方向)に対して90度の溝のことを意味する。
溝の周上の本数とは、周方向(赤道方向)に射影したときの本数を意味する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記トレッド側部に形成される前記横溝、または前記傾斜溝は、前記トレッド側部の幅の50%以上の領域に渡って連続するように延びている、ことを特徴としている。
次に、請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
トレッド全幅の20%が一つのトレッド側部であるから、そのうちの50%以上はトレッド全幅の10%に相当することになる。したがって、幅狭横溝、または傾斜溝のタイヤ幅方向成分の長さがこれ以下では、溝自体の存在意義が薄れてしまい、溝の排水効果が不足することになる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記傾斜溝は、ショルダー側がタイヤ赤道面側よりもタイヤ回転方向の前方に位置するように傾斜している、ことを特徴としている。
次に、請求項3に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
二輪車においては、前輪には制動と横力が主体的に掛かり、後輪には駆動力と横力が主体的に掛かる。横力が掛かることは前後輪とも同じであるが、前後方向の力は前輪が制動力であり、後輪が駆動力である。
つまり、前輪では、傾斜溝をショルダー側がタイヤ赤道面側よりもタイヤ回転方向の前方に位置するように傾斜させることが、横力と制動が同時に掛かったときに、その合力の向きが傾斜溝の傾きに沿う形になり、陸部の変形を抑える上で好ましい。
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記傾斜溝は、タイヤ赤道面側がショルダー側よりもタイヤ回転方向の前方に位置するように傾斜している、ことを特徴としている。
次に、請求項4に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
請求項3の作用で説明したように、後輪には駆動力と横力が主体的に掛かる。後輪ではでは、傾斜溝をタイヤ赤道面側がショルダー側よりもタイヤ回転方向の前方に位置するように傾斜させることが、横力と駆動力が同時に掛かったときに、その合力の向きが傾斜溝の傾きに沿う形になり、陸部の変形を抑える上で好ましい。
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記傾斜溝のタイヤ周方向に対する角度は、タイヤ赤道面側からショルダー側へ向けて大きく設定され、タイヤ赤道面側で10〜30度の範囲内、ショルダー側で50〜90度の範囲内に設定されている、ことを特徴としている。
次に、請求項5に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
二輪車は、深いコーナリングを行う場合は、旋回中に大きく車体が傾き、タイヤのトレッド端部付近を用いている。このときは、前後方向の力よりも横方向の力の方が大きくタイヤに作用し、即ち、トレッド端部付近の細長い陸部は、この横方向の力の向きに沿っていた方が好ましい。次に、車体が大きく傾いた状態から加速して行くコーナーからの脱出時を考えると、横力に加え、後輪の場合は駆動力がこれに加わる。そして加速をするに従い、倒れていた車体は徐々に直立に近づく。即ち、タイヤが接地している場所は、トレッド端側から加速に伴ってタイヤ赤道面側に移ることになる。ここで、加速に伴って横力の割合が減り、駆動力の割合が増えるわけだから、その合力も横方向からタイヤ周方向に近づくことになる。
したがって、ショルダー側では傾斜溝の角度を50〜90度とし、タイヤ赤道面側では傾斜溝の角度を10〜30度の範囲内とすることが好ましい。
なお、傾斜溝の角度は、タイヤ赤道面の右側と左側とでは対称に設定する方が、右旋回と左旋回とでタイヤの性能が変わらないため好ましい。
また、タイヤ赤道面側とショルダー側との中間部分では、タイヤ赤道面側の溝角度とショルダー側の溝角度との中間の溝角度とし、タイヤ赤道面側からショルダー側へ向けて溝の角度を漸増させることが好ましい。
以上説明したように本発明の二輪車用空気入りタイヤによれば、従来よりもウエット路面での旋回性能を向上することができる、という優れた効果を有する。
[第1の実施形態]
次に、本発明の二輪車用空気入りタイヤの第1の実施形態を図1、及び図2にしたがって説明する。
(カーカス)
図1に示すように、本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10は、タイヤ赤道面CLに対して交差する方向に延びるコードが埋設された第1のカーカスプライ12及び第2のカーカスプライ14から構成されたカーカス16を備えている。なお、本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10は前輪用であり、タイヤサイズは120/60R17である。
第1のカーカスプライ12及び第2のカーカスプライ14は、各々両端部分が、ビード部18に埋設されているビードコア20の周りに、タイヤ内側から外側へ向かって巻き上げられている。
第1のカーカスプライ12は、被覆ゴム中に複数本のラジアル方向に延びるコード(例えば、ナイロン等の有機繊維コード)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、タイヤ赤道面でのタイヤ赤道面に対するコードの角度が80度に設定されている。第2のカーカスプライ14も、被覆ゴム中に複数本のラジアル方向に延びるコード(例えば、ナイロン等の有機繊維コード)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、タイヤ赤道面でのタイヤ赤道面に対するコードの角度が80度に設定されている。なお、第1のカーカスプライ12のコードと第2のカーカスプライ14のコードとは互いに交差しており、タイヤ赤道面CLに対して互いに反対方向に傾斜している。また、本実施形態では、コードの角度が80度に設定されているが、90度等の他の角度であっても良い。
(主交錯層)
このカーカス16のタイヤ半径方向外側に主交錯層26が配置されている。
本実施形態の主交錯層26は、第1のベルトプライ26A及び第2のベルトプライ26Bから構成されている。
第1のベルトプライ26Aは、被覆ゴム中に複数本のコード(本実施形態では、芳香族ポリアミド繊維を撚った直径0.7mmのコード。)を平行に並べて打ち込み間隔50本/50mmで埋設したものであり、タイヤ赤道面でのタイヤ赤道面に対するコードの角度が33度に設定されている。第2のベルトプライ26Bも、被覆ゴム中に複数本のコード(本実施形態では、芳香族ポリアミド繊維を撚った直径0.7mmのコード。)を平行に並べて打ち込み間隔50本/50mmで埋設したものであり、タイヤ赤道面でのタイヤ赤道面に対するコードの角度が33度に設定されている。
第1のベルトプライ26Aのコードと第2のベルトプライ26Bのコードとは互いに交差しており、タイヤ赤道面CLに対して互いに反対方向に傾斜している。
主交錯層26のタイヤ径方向外側には、トレッド28を形成するトレッドゴム30が配置されている。
なお、本実施形態では、主交錯層26を2枚のベルトプライで構成したが、3枚以上のベルトプライで構成しても良い。また、本実施形態では、カーカス16のクラウン部を補強するために主交錯層26を用いているが、近年の高性能用の二輪車用空気入りタイヤの構造に良く見られるスパイラルベルト層を用いても良い。
スパイラルベルト層は、例えば、1本のコードを未加硫のコーティングゴムで被覆した長尺状のゴム被覆コード、または複数本のコードを未加硫のコーティングゴムで被覆した帯状プライを螺旋状に巻き回すことにより形成されており、コード方向が実質的にタイヤ周方向とされている。スパイラルベルト層のコードは有機繊維コードであっても良く、スチールコードであっても良い。
より具体的には、スパイラルベルト層は、芳香族ポリアミド繊維を撚った直径0.7mmのコードを被覆ゴム中に埋設したものを、打ち込み間隔50本/50mmとなるようにスパイラル状に巻き付けることで形成することができる。
このようなスパイラルベルト層を、主交錯層26のタイヤ径方向外側に配置するような構成としても良く、あるいはスチールコードを用いたスパイラルベルト層を主交錯層26の代わりに用いても良い。
(トレッドパターン)
図2はトレッド28の展開図であり、この図2に示すように、トレッド28には、タイヤ赤道面CLの両側に、それぞれ周方向に延びる溝幅が4mmの周方向主溝40が2本形成されている。さらに、トレッド28には、タイヤ幅方向外側の周方向主溝40からトレッド端に向けて幅狭傾斜溝44が形成されている。
なお、以後、トレッド28を展開したときの展開幅をTWとしたときに、タイヤ赤道面CL中心として、トレッドの展開幅の60%の領域(2つの2点差線の内側の領域)をトレッド中央部、トレッド中央部のタイヤ幅方向外側(2点鎖線の外側の領域)をトレッド側部と呼ぶことにする。
トレッド側部においては、幅狭傾斜溝の本数をタイヤ周方向に100〜200本とし、ネガティブ率を5〜20%の範囲内に設定する必要がある。
実施形態では、トレッド側部に溝幅2.5mmの幅狭傾斜溝44が130本等間隔で形成されており、トレッド側部のネガティブ率が20%に設定されている。ちなみに、幅狭傾斜溝44で区画された陸部46の幅は12.5mmである。
なお、幅狭傾斜溝44は、トレッド側部の幅の50%以上の領域に渡って連続することが好ましい。ちなみに、本実施形態のトレッド28の展開幅は150mmであり、幅狭傾斜溝44は、トレッド端28Eからタイヤ赤道面側へ45mmの範囲において連続して形成されている。
幅狭傾斜溝44は、トレッド端側がタイヤ赤道面側よりもタイヤ回転方向側(矢印A方向側)となるように傾斜している。幅狭傾斜溝44のタイヤ周方向に対する傾斜角度θは、本実施形態では75度に設定されている。
なお、本実施形態のトレッドゴム30の厚みは、タイヤ赤道面CLからトレッド端28Eに渡って一律で8mmである。また、周方向主溝40、及び幅狭傾斜溝44の溝深さは、本実施形態では全て6mmである。
なお、幅狭傾斜溝44の溝幅は、0.3〜2.5mmの範囲内に設定することが好ましい。
なお、二輪車用のトレッド28は丸みを帯びているため、タイヤ赤道面CLでの径が最大で、トレッド端28Eの径はタイヤ赤道面CLの径よりも小さい。図2は、展開図であるため、トレッド端部分を、タイヤ赤道面部分の周方向長さと同じになるように、周方向に引き伸ばして描いている。また、本実施形態において、溝幅、陸部幅はトレッド側部における平均値である。
(作用)
次に、本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10の作用を説明する。
本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10は、二輪車の前輪に用いることにより、能力が発揮されるものである。即ち、本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10では、幅狭傾斜溝44をトレッド端側がタイヤ赤道面側よりもタイヤ回転方向側(矢印A方向側)となるように傾斜させているので、横力と制動が同時に掛かったときに、幅狭傾斜溝44その合力の向きが傾斜溝の傾きに沿う形になり(即ち、合力の向きが陸部46の長手方向に沿った方向に近づく。)、陸部46の変形が効果的に抑えられる。
また、トレッド側部において、幅狭傾斜溝44をタイヤ周方向に100〜200本形成し、ネガティブ率を5〜20%の範囲内に設定したので、旋回時に接地する部分の排水性とブロック剛性とを高次元で両立でき、従来よりもウエット路面旋回時に高いグリップ力が得られる。
なお、トレッド側部において、タイヤ周方向の溝数を200本以下としたのは、200本を超えると、陸部46が細くなり過ぎて、剛性が低下するからである。200本を越えると、トレッド28の剛性が低下して、トレッド28が倒れ込み変形をして十分なグリップ力が得られなくなる。
また、トレッド側部において、タイヤ周方向の溝数を100本以上としたのは、幅狭傾斜溝44で区切った場合、100本未満では、陸部46の面積が大きくなり、陸部46の踏面と路面との間の水が搾り出されて近くの溝に排水されるまでの距離が長くなり、ハイドロプレーニングし易いからである。
なお、幅狭傾斜溝44の溝幅が0.3mm未満になると、十分な排水効果が得られず、また、溝を作るためのブレードと呼ばれるモールド部品の厚みが薄くなり過ぎてモールドの耐久性が得られなくなる。一方、幅狭傾斜溝44の溝幅が2.5mmを超えると、排水効果は高くなるが、トレッド側部の陸部46の表面積を極端に低下させてしまい、トレッドと路面とが接触する面積が小さくなってグリップ力を低下させてしまう。
(フロントタイヤ試験)
本発明の性能改善効果を確かめるために、実車を用いたウエット路面での操縦性能比較試験をした結果を以下に説明する。フロント用の供試タイヤを用意し、フロントのみのタイヤを交換して実車試験を行った。リアのタイヤは常に従来のもので固定した。
試験は、供試タイヤを1000ccのスポーツタイプの二輪車の前輪に装着して、小雨の日にテストコースでかなり激しい(限界に近い)実車走行を行った。雨量は終日安定しており、常に均一なウエット状態であった。1つのタイヤについて、テストコースを4周走行し、4周の平均ラップタイムを求めた、なお、これらのタイヤのセンター部分は同じパターンであったため、違いが出たのはコーナーでの旋回性能であった。また、テストライダーのフィーリングによるウエット時の操縦安定性能を10点法で同時に総合評価した。また、テストライダーの評価コメントも付記して結果を示す。
先ず、供試タイヤに付いて説明する。
(実施例1のタイヤ)
図2のパターンを有する、前述した第1の実施形態のタイヤである。
(実施例2のタイヤ)
図3のパターンを有する。トレッド側部においてパターンを細溝化し、周上の溝本数を増加させ、ネガティブ率を減少させた。幅狭傾斜溝の溝幅は1.0mmであり、周上の溝数は170本、トレッド側部のネガティブ率は約9%である。幅狭傾斜溝の傾斜角度は実施例1と同一。なお、陸部46の幅は10.5mmである。
(実施例3のタイヤ)
図4のパターンを有する(図2のパターンを逆向きとしたもの。)。
(比較例1のタイヤ)
図5のパターンを有する。実施例1と比較するために作製したもの。実施例1のトレッド側部の陸部の幅を大きくし、周上の溝本数を減少させたパターン。幅狭傾斜溝の溝幅は実施例1と同様2.5mmであり、周上の溝数は78本である。周上の溝数において、本発明で指定した範囲を大きく逸脱している。幅狭傾斜溝の傾斜角度は実施例1と同一。なお、陸部の幅は22.5mmである。
(比較例2のタイヤ)
図6のパターンを有する。実施例1と比較するために作製したもの。実施例1のトレッド側部の陸部の幅を狭くし、周上の溝本数を増加させたパターン。幅狭傾斜溝の溝幅は、実施例1と同様2.5mmであり、周上の溝数は230本、トレッド側部のネガティブ率は約30%である。周上の溝本数、及びネガティブ率において、本発明で指定した範囲を大きく逸脱している。なお、陸部の幅は6.0mmである。
(比較例3のタイヤ)
図7のパターンを有する。従来のパターンにありがちな典型例。トレッド側部には溝幅が8.0mmの幅広傾斜溝42が形成されている。周上の溝数は57本、トレッド側部のネガティブ率は約24%である。溝幅、周上の溝本数、及びネガティブ率において、本発明で指定した範囲を大きく逸脱している。幅広傾斜溝42の傾斜角度は実施例1の幅狭傾斜溝44と同一。なお、陸部の幅は26mmである。
(実施例1の試験結果)
パターン:図2。
ラップタイム:52秒4
ウエット走行評点:9点
ライダーのコメント:大きく倒すコーナーで非常に安定している。直線からコーナーへの侵入で、フロントのブレーキ性能が高く、安心してコーナーに侵入できる。また、大きく倒して一定の速度で旋回する場合も、フロントタイヤは非常によくグリップし、操縦が楽である。
(実施例2の試験結果)
パターン:図3。
ラップタイム:51秒9
ウエット走行評点:10点
ライダーのコメント:基本的には実施例1と同じ感じがするが、実施例1のグリップレベルがさらに高まったように思う。
(実施例3の試験結果)
パターン:図4。
ラップタイム:53秒2
ウエット走行評点:8点
ライダーのコメント:基本的には実施例1と同じ感じがするが、実施例1と比べるとブレーキ時にタイヤがやわらかく感じて剛性感が足りなく感じた。
(比較例1の試験結果)
パターン:図5。
ラップタイム:55秒4
ウエット走行評点:4点
ライダーのコメント:グリップが少ないし、滑る。高速コーナーではハイドロプレーニングを感じ、危なくて速度を上げられない。直線からコーナーへの進入で、フロントのブレーキ性能が非常に低く恐い感じがする。
(比較例2の試験結果)
パターン:図6。
ラップタイム:54秒8
ウエット走行評点:5点
ライダーのコメント:直線からコーナーへの侵入で、タイヤがやわらかすぎる感じでグリップ低く、減速を十分にしないと安心してコーナーに侵入できない。また、大きく倒して一定の速度で旋回する場合も同様。
(比較例3の試験結果)
パターン:図7。
ラップタイム:55秒7
ウエット走行評点:4点
ライダーのコメント:直線からコーナーへの侵入で、フロントのブレーキ性能が非常に低く、グリップ感が無い。また、大きく倒そうとしても、グリップがないために車体を倒すことができない。
結果の検証。
実施例1〜2のタイヤは、比較例よりも明らかにウエット操縦安定性能が高かった。従来の平均的なパターンは、比較例3のように、溝の広いものを周上に配置するものが殆どであるので、本発明のタイヤが良く機能したことが確認できた。
実施例1〜2と比較例1〜2との関係から、溝をある程度の狭い間隔で配置し、かつ溝の幅を狭くして路面と接触しているゴムの面積を増やすことがグリップの向上に繋がることが分かった。今回の実車テストでは、実施例2が最もグリップが高かった。これは、溝幅をサイプのようの細くすることで、陸部の面積(路面との接触面積)が広くとれてグリップ力が向上すると共に、タイヤ周上の溝間隔が狭くなることで、陸部と路面とにはさまれた水をすぐに溝に流すことが可能となり、排水効果が高まった結果と考えられる。比較例3のように、溝の幅を広くとっても、排水効率は飛躍的に向上することはなく、溝はその幅が1mmでも十分に排水できることが分かった。
実施例1と比較例1との比較から、溝間隔を広げすぎると好ましくないことが分かる。細溝を用いる際には、本発明のように、タイヤ周上の溝数を100本以上確保できるようなネガティブ率にすることが良い。
実施例1と比較例2との比較から、溝間隔を狭めすぎることも好ましくないことが分かる。細溝を用いる際には、本発明のように、タイヤ周上の溝数を200本以下となるようなネガティブ率にすることが良い。
実施例1と実施例3の比較から、パターンの方向性が分かる。前輪の場合は、ブレーキが重要な性能であり、実施例1のような向きの方がブレーキがかかりやすい。これに対し、比較例3は、ブレーキと横力が加わったときにその合力の向きと溝の傾斜が一致しないために、グリップ力を失ったようだ。
本発明の適用された実施例のタイヤは、いずれも比較例のタイヤと比較して、大幅なウエット操縦安定性能の向上が確認された。
[第2の実施形態]
次に、本発明の二輪車用空気入りタイヤの第2の実施形態を図8、及び図9にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
(カーカス)
図8に示すように、本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10は、タイヤ赤道面CLに対して交差する方向に延びるコードが埋設された第1のカーカスプライ12及び第2のカーカスプライ14から構成されたカーカス16を備えている。なお、本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10は後輪用であり、タイヤサイズは190/50ZR17である。
第1のカーカスプライ12及び第2のカーカスプライ14は、各々両端部分が、ビード部18に埋設されているビードコア20の周りに、タイヤ内側から外側へ向かって巻き上げられている。
第1のカーカスプライ12は、被覆ゴム中に複数本のラジアル方向に延びるコード(ナイロン)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、タイヤ赤道面でのタイヤ赤道面に対するコードの角度が70度に設定されている。第2のカーカスプライ14も、被覆ゴム中に複数本のラジアル方向に延びるコード(ナイロン)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、タイヤ赤道面でのタイヤ赤道面に対するコードの角度が70度に設定されている。なお、第1のカーカスプライ12のコードと第2のカーカスプライ14のコードとは互いに交差しており、タイヤ赤道面CLに対して互いに反対方向に傾斜している。また、本実施形態では、コードの角度が70度に設定されているが、90度等の他の角度であっても良い。
(スパイラルベルト層)
このカーカス16のタイヤ半径方向外側にスパイラルベルト層22が配置されている。
本実施形態のスパイラルベルト層22は、 直径0.2mmのスチールコードを3本撚ったコードを被覆ゴム中に埋設したものを、打ち込み間隔60本/50mmとなるようにスパイラル状に巻き付けることで形成している。
なお、スパイラルベルト層22のタイヤ径方向外側にトレッド28を形成するトレッドゴム30が配置されている。
(トレッドパターン)
図9に示すように、トレッド28には、タイヤ赤道面CLの両側に、それぞれ周方向に延びる、溝幅が5mmの周方向主溝40が2本形成されている。本実施形態のトレッド28の展開幅は、240mmである。さらに、トレッド28には、トレッド側部に曲線状の幅狭傾斜溝52Aがタイヤ周方向に等間隔で形成されている。幅狭傾斜溝52Aは、トレッド端28Eからタイヤ赤道面側へ65mmの範囲に形成されており、タイヤ周方向に対する傾斜角度は、タイヤ赤道面側で17度、トレッド端側で60度に設定されている。さらに、この幅狭傾斜溝52Aの間には、3本の幅狭傾斜溝52Bが等間隔に、トレッド端28Eから50mmの範囲に形成されている。幅狭傾斜溝52A,Bの溝幅は1.0mmであり、トレッド側部における周上の溝数は170本、ネガティブ率は約8%である。また、幅方向傾斜溝間に形成される細長陸部56の幅は11.5mmである。
溝幅、細長陸部56の幅については、トレッド端28Eからタイヤ赤道面側へ30mmの位置で測定したものである。なお、二輪車用空気入りタイヤは、トレッド28の断面形状が非常に丸く、パターン端部が丸みを帯びているために、図9に描いたパターンを彫り付ける際には、ちょうど地球儀に貼られた紙のように、パターン端部に近いほど幅が狭くなる。本実施例でも、実際の溝の幅、陸部の幅とも、パターンの端部に近くなるほど狭くなるように加工されている。そのため、パターン側部の平均的な値を測定するために、トレッド端から30mmのところで、上述の幅となるように溝を彫り付けている。
(作用)
次に、本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10の作用を説明する。
本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10は、二輪車の後輪に用いることにより、能力が発揮されるものである。本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10では、幅狭傾斜溝52を、タイヤ赤道面側がトレッド端側よりもタイヤ回転方向側(矢印A方向側)となるように傾斜させているので、横力と駆動力が同時に掛かったときに、その合力の向きが傾斜溝の傾きに沿う形になり(即ち、合力の向きが細長陸部56の長手方向に沿った方向に近づく)、細長陸部56の変形が効果的に抑えられる。
また、本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10では、第1の実施形態と同様に、トレッド側部において、幅狭傾斜溝52をタイヤ周方向に100〜200本形成し、ネガティブ率を5〜20%の範囲内に設定したので、旋回時に接地する部分の排水性とブロック剛性とを高次元で両立でき、従来よりもウエット路面旋回時に高いグリップ力が得られる。
また、幅狭傾斜溝52A,Bの溝幅が0.3mm未満になると、十分な排水効果が得られず、また、溝を作るためのブレードと呼ばれるモールド部品の厚みが薄くなり過ぎてモールドの耐久性が得られなくなる。
ここで、二輪車が深いコーナリングを行う場合は、旋回中に大きく車体が傾き、タイヤのトレッド端部付近を用いているが、前後方向の力よりも横方向の力の方が大きくタイヤに作用するので、トレッド端付近の細長陸部56が横方向の力に沿った方向に延びていること、即ち、本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10のように、ショルダー側で細長陸部56を区画する各傾斜溝の角度を50〜90度の範囲内に設定することが好ましい。
また、車体が大きく傾いた状態から加速して行くコーナーからの脱出時を考えると、横力に加え、後輪の場合は駆動力がこれに加わり、加速をするに従い、倒れていた車体は徐々に直立に近づく。即ち、タイヤが接地している場所は、トレッド端側から加速に伴ってタイヤ赤道面側に移ることになり、加速に伴って横力の割合が減り、加速力の割合が増えるので、その合力も横方向からタイヤ周方向に近づくことになる。したがって、本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10のように、タイヤ赤道面側では各傾斜溝の角度を10〜30度の範囲内とすることが好ましい。
(リアタイヤ試験)
本発明の性能改善効果を確かめるために、実車を用いたウエット路面での操縦性能比較試験をした結果を以下に説明する。リア用の供試タイヤを用意し、リアのみのタイヤを交換して実車試験を行った。フロントのタイヤは常に従来のもので固定した。
試験は、供試タイヤを1000ccのスポーツタイプの二輪車の後輪に装着して、小雨の日にテストコースでかなり激しい(限界に近い)実車走行を行った。雨量は終日安定しており、常に均一なウエット状態であった。1つのタイヤについて、テストコースを4周走行し、4周の平均ラップタイムを求めた、なお、これらのタイヤのセンター部分は同じパターンであったため、違いが出たのはコーナーでの旋回性能であった。また、テストライダーのフィーリングによるウエット時の操縦安定性能を10点法で同時に総合評価した。また、テストライダーの評価コメントも付記して結果を示す。
先ず、供試タイヤに付いて説明する。
(実施例4のタイヤ)
図9のパターンを有する、前述した第2の実施形態のタイヤである。
(実施例5のタイヤ)
図10のパターンを有する。実施例4のパターンの曲線状の傾斜溝を、直線状にしたタイプ。溝の傾斜角度は、タイヤ周方向に対して50度である。幅狭傾斜溝の溝幅は1.0mm、トレッド側部における周上の溝数は170本、ネガティブ率は約8%となっており、実施例4と同じである。なお、陸部の幅は11.5mmである。
(比較例4のタイヤ)
図11のパターンを有する。実施例4の長い幅狭傾斜溝52Aを幅広傾斜溝50Aに置き換え、短い幅狭傾斜溝52Bを幅広傾斜溝50Bに置き換え、幅広傾斜溝50Aと幅広傾斜溝50Bとを交互に配置したタイプ。幅広傾斜溝50A,Bの溝幅は5.0mmであり、周上の溝数は127本、トレッド側部のネガティブ率は約30%である。なお、陸部の幅は11.5mmである。溝幅、及びネガティブ率において、本発明で指定した範囲を大きく逸脱している。トレッド側部において、全てが溝幅2.5mm以上の幅広傾斜溝となっており、流線型を基調とする従来パターンの典型的な例。
以下に、試験結果を示す。
(実施例4)
パターン:図9(細溝の流線型。)
ラップタイム:51秒9
ウエット走行評点:9点
ライダーのコメント:大きく倒すコーナーで非常に安定している。大きく倒した状態からアクセルを開けて加速するときに、しっかりとしたグリップ感を感じられた。トラクション性能が非常に良い。
(実施例5)
パターン:図10(細溝の直線型。)
ラップタイム:52秒5
ウエット走行評点:8点
ライダーのコメント:全体的にグリップレベルは高いが、大きく倒したところでのグリップ、及び車体をおこしながらアクセルを開けて加速していくところのグリップが、実施例4のパターンよりも少し低く感じる。
(比較例4)
パターン:図11(太溝の流線型。従来タイプ。)
ラップタイム:54秒8
ウエット走行評点:4点
ライダーのコメント:グリップが低い。大きく倒した状態からアクセルを開けて加速するときにタイヤが空転する。タイヤが滑ってしまって前に進まない。
効果の検証。
実施例4〜5の本発明のタイヤは、全て比較例4よりも明らかにウエット操縦安定性能が高かった。従来の平均的なパターンは、比較例4のように溝幅の太い溝のみからのみ構成されているので、本発明のタイヤが旨く機能したことが確認できた。
実施例4と比較例4の比較から、細溝でもウエット旋回性能は確保でき、十分に排水効果があったと考えられる。
実施例4と実施例5との比較から、溝の傾斜角度は、タイヤのセンターよりで赤道方向に対して10〜30度と小さく、トレッドの端部で50〜90度と大きくすることで、傾けてから車体を徐々に起こしながら加速するというバイクの特性に良くあったタイヤとなることが分かる。つまり、車体を大きく倒した場合は、特に横方向からの力の入力が強いため、溝を横方向に近づけ、車体を立てながら加速するときには加速方向の力が支配的になってくるので、溝を赤道方向に近づけた方が良いという結果である。
比較例4は、典型的な従来のタイヤの構成と考えられるが、本発明のパターンには及ばない性能であった。
即ち、本発明の実施例のタイヤは、何れも比較例のタイヤと比較して、大幅なウエット操縦安定性能の向上が確認された。
[その他の実施形態]
上記実施形態では、トレッド側部にタイヤ周方向に対して90度未満の角度で傾斜する幅狭傾斜溝が形成されていたが、幅狭傾斜溝に代えて、タイヤ幅方向に延びる幅狭傾斜溝をトレッド側部に形成しても良い。
第1の実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤの回転軸に沿った断面図である。 第1の実施形態(試験では実施例1)に係る二輪車用空気入りタイヤのトレッドの展開図である。 実施例2のトレッドの展開図である。 実施例3のトレッドの展開図である。 比較例1のトレッドの展開図である。 比較例2のトレッドの展開図である。 比較例3のトレッドの展開図である。 第2の実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤの回転軸に沿った断面図である。 第2の実施形態(試験では実施例4)に係る二輪車用空気入りタイヤのトレッドの展開図である。 実施例5のトレッドの展開図である。 比較例4のトレッドの展開図である。
符号の説明
10 二輪車用空気入りタイヤ
28 トレッド
44 幅狭傾斜溝
46 陸部
52 幅狭傾斜溝
56 陸部

Claims (5)

  1. タイヤ赤道面を中心として、トレッドの展開幅の60%の領域をトレッド中央部、前記トレッド中央部のタイヤ幅方向外側をトレッド側部としたときに、
    前記トレッド側部には、溝幅が0.3〜2.5mmの範囲内に設定されてタイヤ周方向に対して90度未満の角度で傾斜して延びる傾斜溝のみがタイヤ周方向に100〜200本形成されるか、または溝幅が0.3〜2.5mmの範囲内に設定されてタイヤ幅方向に延びる横溝のみがタイヤ周方向に100〜200本形成され、
    前記トレッド側部のネガティブ率が5〜20%の範囲内に設定されている、ことを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
  2. 前記トレッド側部に形成される前記横溝、または前記傾斜溝は、前記トレッド側部の幅の50%以上の領域に渡って連続するように延びている、ことを特徴とする請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  3. 前記傾斜溝は、ショルダー側がタイヤ赤道面側よりもタイヤ回転方向の前方に位置するように傾斜している、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  4. 前記傾斜溝は、タイヤ赤道面側がショルダー側よりもタイヤ回転方向の前方に位置するように傾斜している、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  5. 前記傾斜溝のタイヤ周方向に対する角度は、タイヤ赤道面側からショルダー側へ向けて大きく設定され、タイヤ赤道面側で10〜30度の範囲内、ショルダー側で50〜90度の範囲内に設定されている、ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
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