JP4579912B2 - Her−2変異体の精製 - Google Patents

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Description

本発明は、タンパク質の親和精製の分野に関する。特に、本発明は、金属親和タンパク質精製、特に、昆虫細胞で組換え的に生産された、ヒスチジン標識タンパク質又はヒスチジンに富むタンパク質の精製における改善に関する。本発明はまた、EGFR(内皮成長因子レセプター)ファミリータンパク質、特に癌関連抗原HER-2に由来するヒスチジン標識されたタンパク質変異体に適した特異的な精製スキームに関する。
さらに、本発明は、ヒトにおいて免疫応答を上昇させることができる、ヒトHER-2の免疫原性変異体に関し、これはまた、天然のヒトHER-2分子をも標的にする。
癌関連膜タンパク質HER-2は、EGFRファミリータンパク質のメンバーである。この特定のタンパク質は、ある種の癌、とりわけ乳癌及び結腸癌の活性特異的免疫療法における免疫源としての見込みが示されている。
本特許出願の譲渡人は、HER-2抗原に対する活性ワクチンに関する特許出願、例えばWO 00/20027を以前に出願しており、これは本明細書に参考として援用される。本分野におけるさらなる研究によって、そのようなワクチンのための好ましいHER-2変異体が確認されているが、タンパク質化学における一般的な問題は、良好な収量の組換えタンパク質を高純度で得るための改良された手段が発明されなければならないということである。
固定化金属イオン親和クロマトグラフィー(IMAC)は、最初にポルタによって金属キレートクロマトグラフィーという用語の下に導入され(Porath, J., J. Carlsson, I. Olsson, G. Belfrage [1975] Nature 258:598-599.)、以前に幾つかの記事に概説されている(Porath, J. [1992] Protein Purification and Expression 3:263-281; 及び本明細書に開示された記事)。IMAC精製方法は、Cu2+ 及び Ni2+のような軟質金属イオンを添加されたキレート化マトリックスの使用に基づいている。タンパク質の表面上の電子供与基、特にヒスチジンのイミダゾール側鎖は、添加された金属の非配位サイトに結合できる。電子供与基と金属との間の相互作用は、pHを低下させることによって、或いはイミダゾールを置換することによって、可逆的にすることができる。従って、ヒスチジンのような電子供与基を所有するタンパク質は、可逆的な金属錯体/タンパク質相互作用によって精製できる。
1991年に、フォードら(Ford, C., I. Suominen, C. Glatz [1991] Protein Expression and Purification 2:95-107)は、ヒスチジン残基の末端を有する組換えタンパク質(ポリヒスチジン組換えタンパク質、「His-標識タンパク質」)に適用するものとして、IMAC技術(Ni-NTA リガンド)を用いたタンパク質精製を開示した。この方法は、二以上のヒスチジン残基が極めて強力な金属イオン錯体を形成するために協同することができるという事実を利用している。
この技術には、例えば、his標識がその後に酵素的に除去されることができるように特異的なプロテアーゼのための認識サイトを含むような、ヒスチジン残基が「標識」として種々の組合せで関連する組換えタンパク質に結合される多くの変形が存在する。
昆虫細胞におけるタンパク質の発現は、種々の特異的な培養培地の使用が必要であり、また、細菌、真菌、及び哺乳類細胞には見出されない、種々の昆虫細胞由来の成分を有する組換えタンパク質の混入を必然的に伴う。細菌、真菌、又は哺乳類細胞において生産された組換えタンパク質のために発明された精製スキームは、それ故、昆虫細胞で生産されたタンパク質の精製が必要である場合は、必ずしも最適な選択ではない。
よって、昆虫細胞における組換え的な生産に由来する薬学的な等級のタンパク質を得るために、タンパク質精製における改良が依然として必要である。
発明の目的
本発明の目的は、昆虫細胞において発現された、組換えEGFRファミリータンパク質を精製するための改良された方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、例えば特異活動免疫療法による癌治療において有用である、HER-2タンパク質の免疫原生変異体を提供することである。
課題の概要
本発明者らは、EGFRファミリータンパク質を、特にワクチン剤としての薬学的使用に許容される純度に精製するための新規の方法を発明した。
従って、一つの側面において、本発明は、EGFRファミリー由来タンパク質の精製のための方法に関し、該タンパク質は、昆虫細胞培養物において組換え的に生産されたものであり、前記タンパク質は固定化金属親和クロマトグラフィーによって精製されるのに適しており、該方法は、前記昆虫細胞培養物から、前記EGFRファミリー由来タンパク質を含む実質的に無細胞のサンプルを得ること、及びその後に、該EGFRファミリー由来タンパク質を以下の工程によって濃縮することを具備する:
―ダイアフィルトレーション及び培養培地のバッファーによる交換、
―固定化金属親和クロマトグラフィー(IMAC)、
―サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、及び
―陰イオン交換クロマトグラフィー(AIE)。
本発明の他の側面は、配列番号2、残基17〜677により定義されるアミノ酸配列を含むHER-2タンパク質の免疫原性変異体に関する。
発明の詳細な説明
以下に、多くの用語及び表現が本発明の文脈において定義される。
「EGFRファミリー由来タンパク質」は、ヒトEGFR (又はErbB-1); ヒトHER-2/neu (ErbB-2); HER-3 (ErbB-3); 又はHER-4 (ErbB-4)と相同的であるか又は同一であるタンパク質を意味する。
「自家性」EGFRファミリータンパク質は、本明細書及び請求の範囲において、それ自身のEGFRファミリータンパク質に対してワクチン接種される動物のEGFRファミリーポリペプチドを意味するように意図される。換言すれば、この用語は、ワクチン接種が考慮される動物に関する場合にのみ関係する。
「T-リンパ球」及び「T-細胞」という用語は、種々の細胞媒介免疫応答の原因であり、並びに、上腕骨の免疫応答におけるヘルパー活性のようなエフェクター機能の原因である、胸腺起源のリンパ球に交換可能に用いられる。同様に、「B-リンパ球」及び「B-細胞」は、抗体-産生リンパ球に交換可能に用いられる。
「抗原呈示細胞」(APC)は、T−細胞にエピトープを呈示する細胞である。典型的な抗原呈示細胞は、マクロファージ、樹状細胞、並びに他の食作用性細胞及び飲作用性細胞である。B-細胞も、MCHクラスII分子に結合したTHエピトープをTH細胞に呈示することによってAPCsとして機能するが、本明細書及び請求の範囲で一般にAPCの用語を用いる場合は、上記の食作用性細胞及び飲作用性細胞を指すよう意図されることに留意されるべきである。
「ヘルパーT-リンパ球」又は「TH細胞」は、CD4陽性T−細胞を示し、これは抗原呈示細胞におけるMHCクラスII分子に結合したTHエピトープの認識を経てB−細胞及び細胞毒性のT−細胞を援助する。
「細胞毒性T−リンパ球」(CTL)という用語は、CD8陽性T−細胞のために用いられ、これは活性化のために、TH細胞の補助を必要とする。
「特異的な」免疫応答は、この文脈において、準-同一分子の分子又は基に対して、或いは準-同一分子の分子又は基のCTLエピトープを呈示する細胞に対して主に向けられる、ポリクローナル免疫応答を示すように意図される。
「ポリペプチド」という用語は、この文脈において、2〜10のアミノ酸残基の短いペプチド、11〜100のアミノ酸残基のオリゴペプチド、及び100を超えるアミノ酸残基のポリペプチドの何れをも意味するように意図される。さらに、この用語は、タンパク質、即ち、少なくとも一つのポリペプチドを含む機能性生体分子を含むようにも意図される;少なくとも二つのポリペプチドを含むとき、それらは共有結合された複合体を形成することもでき、又は非共有的に結合し得る。タンパク質中のポリペプチドはグリコシル化及び/又は脂質化(lipidated)され得ることができ、及び/又は補欠分子族(prosthetic groups)を含むことができる。
「実質的に」という用語は、天然のアミノ酸配列又は核酸配列のそれぞれに直接由来する、少なくとも3アミノ酸の、適切な場合は少なくとも3ヌクレオチドの、連続した伸長を意味する。
「自己由来のEGFRファミリータンパク質の下方制御」という用語によって、ここでは、生物における、関連するEGFRファミリータンパク質の量及び/又は活性の減少を意味する。下方制御は、スカベンジャー細胞(例えばマクロファージ及び他の食作用性細胞)によるCEAの除去を含む幾つかの機構によって得られ、さらにより重要なことに、抗原を保有し又は潜伏させる細胞は、動物中のCTLsによって殺される。
「免疫原」という語は、ある動物において免疫応答を誘導する能力のある物質を示すように意図される。それ故、自己由来のEGFRファミリータンパク質は、自系の宿主において免疫原ではないと理解される−これは、自己由来タンパク質に対する免疫応答を開始するために、及び「免疫原」が自己耐性を破壊する能力のある問題の組成物であるような場合に、強力なアジュバントの使用及び/又は自己由来タンパク質と共に存在するT-ヘルパーエピトープが必要である。
「免疫原性的有効量」という語は、当該分野におけるその通常の意味を有する。即ち、免疫応答を誘導でき、病原体薬剤と著しく交戦し、免疫原と免疫学的な特徴を共有する、免疫原の量である。
「薬学的に許容される」という語は、当該分野におけるその通常の意味を有する、即ち、問題の疾病を治療するときに、ヒトに使用するための薬剤の一部として許容されることができる物質に使用される。よってこの語は、治療された被験者の状態を改善するよりむしろ悪化させる高毒性物質の使用を効率的に排除する。
「外来性T−細胞エピトープ」は、MHC分子に結合することができ、動物種中でT−細胞を刺激するペプチドである。好ましい外来性エピトープは、「乱交雑」エピトープ、即ち、動物種又は集団において、MHCクラスII分子の実質的な画分に結合するエピトープである。この種のエピトープのために当該分野でしばしば交換可能に用いられる用語は、「ユニバーサルT−細胞エピトープ」である。そのような乱交雑T−細胞エピトープは極めて限られた数しか知られておらず、下記に詳細に記載する。本発明に従って用いられる免疫原は、動物集団のできる限り大きい画分で有効であるべきことは留意されるべきであり、1)幾つかの外来性T−細胞エピトープを同じ類縁体に挿入すること、又は、2)それぞれの類縁体が異なる乱交雑エピトープの挿入を有する、幾つかの類縁体を調製することが必要である。外来性T−細胞エピトープの概念は、潜在性T−細胞エピトープの使用をも包含する、即ち、自己タンパク質に由来するエピトープであり、単離形態で存在するとき、問題の自己タンパク質の部分なしで免疫原性行動を発揮するエピトープであることに留意すべきである。
「外来性Tヘルパーリンパ球エピトープ」(外来性THエピトープ)は、MHCクラスII分子に結合する外来性T細胞エピトープであり、MHCクラスII分子に結合する抗原呈示細胞(APC)の表面に存在することができる。「外来性」の特徴が、それ故、二つの側面:外来性THエピトープは、1)問題の動物によってMHCクラスII環境において呈示される、及び2)外来性エピトープは、免疫化のための標的抗原と同じポリペプチドに由来しない−よって該エピトープは標的抗原に対して外来性である、ということを加えることも重要である。
「CTLエピトープ」はペプチドであり、MHCクラスI分子に結合可能である。
「アジュバント」という語は、ワクチン技術の分野におけるその通常の意味を有する、即ち、1)それ自体にはワクチンの免疫原に対する特異的な免疫応答を上昇させる能力はなく、しかし、2)それにもかかわらず、免疫原に対する免疫応答を増強させる能力がある、物質又は組成物である。或いは、換言すれば、アジュバント単独でのワクチン接種は免疫原に対する免疫応答を提供せず、免疫原のワクチン接種は免疫原に対する免疫応答に上昇を与え得るか又与えず、しかし免疫原とアジュバントの組み合わせによるワクチン接種は、免疫原単独による誘導よりも強い免疫原に対する免疫応答を誘導する。
「ダイアフィルトレーション」は、塩又は溶媒を除去するための、バッファーを交換するための、又は高分子溶液中で異なるサイズの生体分子を分画するための、限外濾過膜を用いる技術である。限外ろ過膜によって残された高分子は、溶媒及び低分子量種が除去されるために濃縮される。しかしながら、高分子サンプルの単純な濃縮は、小さい種を完全には除去しない。それ故、小さい種は、複数の洗浄容積を用いてサンプルから「洗浄」されなければならない(ダイアフィルトレーション)。ダイアフィルトレーション過程の後、サンプルはさらなる分析又は精製のために濃縮されることができる。これは、サンプルが分離工程の間に希釈され、さらなる濃縮工程が必要であるゲルろ過又は透析と比較して有利である。ダイアフィルトレーションを用いれば、2工程の方法で生じ得る損失又は汚染がない。
「固定化金属親和クロマトグラフィー」(IMAC)は、クロマトグラフィー技術であり、タンパク質が、ある二価金属イオンへのそれらの親和性の結果として精製される。「発明の背景」を参照されたい。
「サイズ排除クロマトグラフィー」(SEC)は、クロマトグラフィー技術であり、タンパク質及び他の高分子が、それらの物理的サイズにしたがって分画される。小さい分子はマトリックスの細孔中に保持され、それ故ゆっくり溶出され、他方では大きい分子は排除され、それ故マトリックスから早期に溶出される。
「陰イオン交換クロマトグラフィー」(AIE)は、クロマトグラフィー技術であり、純負電荷を有する分子はカラムマトリックス上に保持され、その後、溶出バッファーの陰イオンで置換されることによって、或いはタンパク質の純電荷を変化させることによって溶出される。
好ましい態様の説明
本発明は、特に昆虫細胞において組換え的に生産されたEGFRファミリー由来のタンパク質の精製を目的とする精製方法に関する。本発明は、ヒト癌関連抗原HER-2の免疫原性変異体の調製のための試みに関して考えられた。これらの変異体は、DES(登録商標)発現系で生産され、発現系はGlaxoSmithKlineに所有され、とりわけインビトロゲンによって販売されている。この系はS2ショウジョウバエ細胞と専門のベクターを利用する。しかしながら、組換え生産のための宿主細胞としてのS2細胞の使用は、問題のHER-2変異体に関する解決すべき問題自身を持ち出しており、それらの問題は本発明の方法を用いることによって解決される(とりわけ、S2細胞由来の共に移動するタンパク質の問題)。
実施例で用いる具体的なタンパク質は、ヒトHER-2の変異体であり、これはヒトにおける免疫原性であり−該変異体には配列番号2、残基17〜677で定義されるアミノ酸配列が含まれる。しかしながら、このアミノ酸配列はそれ自体ではIMACに適していないために、アミノジペプチダーゼ(ジペプチジルペプチダーゼI、DPPI, cf. Pedersen J et al., 1999, Protein Expression and Purification 15, 389-400)によって切断されることができるN-末端ヒスチジン標識(配列番号1のアミノ酸残基1〜14)を含む。ジアミノペプチダーゼの終止配列は、配列番号2における残基15〜16から成る。
それ故、通常、即時精製方法は、特にIMACによって精製を促進する異種性アミノ酸配列を含むEGFRファミリー由来タンパク質に適している。この配列はEGFRファミリー由来タンパク質の本来のものであるが、しかし多くの場合、これは異種性アミノ酸配列である(即ち、EGFRファミリー由来タンパク質に本来付随しない)。この目的のために好ましいアミノ酸配列は、ヒスチジン残基に富んでいる(例えば、His6標識及び幾つかの連続したヒスチジン残基を有する他のアミノ酸配列)。IMAC精製を促進する最も好ましい異種性アミノ酸配列は、配列番号2の残基1〜14を含むものである。
本発明の方法に供されるEGFR由来タンパク質は、好ましくはヒトEGFR又はヒトHER-2のアミノ酸配列の実質的な部分を含み、この実質的な部分が主にヒトEGFR又はヒトHER-2の細胞外部分に由来することが、特に好ましい。
最も好ましくは、ヒトHER-2の変異体であり、最も好ましい態様において、ヒトHER-2の変異体は、少なくとも一つの外来性Tヘルパー細胞エピトープを含む。
上気したように、本発明の方法は、ヒトHER-2抗原のある変異体の組換え生産の研究に関連して考えられた。これらの変異体は、ヒトHER-2細胞外ドメインのアミノ酸配列中に導入された乱交雑外来性T−ヘルパーエピトープを含むことを特徴とする。ヒトHER-2の好ましい変異体は、テタヌス毒性エピトープP2(配列番号2の残基269〜282)及びP30(配列番号2の残基649〜669)を含み、最も好ましい変異体は配列番号2の残基1〜677からなるアミノ酸配列を有する。
ダイアフィルトレーション/バッファー交換
ダイアフィルトレーション/バッファー交換の工程は、約2〜約25℃の温度で行う。しかしながら、好ましくは、その範囲の低い部分の温度、例えば15℃未満又は10℃未満のような20℃未満の温度が用いられる。最も好ましい温度は、2〜9℃の範囲であり、例えば約3℃〜約9℃の範囲であり、最も好ましい温度範囲は約3〜約8であり、特に好ましくは4〜約6℃である。より高い温度(例えば10℃超)においては、タンパク質が凝集する傾向があり、これは、例えばトゥイーンタイプの界面活性剤のような界面活性剤を加えることによって相殺することができる。
通常、ダイアフィルトレーションは、最初に、培養培地のサンプル中の高分子化合物を濃縮し、その後に培養培地をバッファーで交換するという、二回(round)で行われる。これらの手順は、当該分野の標準的な方法(実施例も参照される)に従って行われる。前記濃縮工程の結果として、高分子化合物が2〜25倍の濃度になることが好ましく、例えば2〜20倍、3〜15倍、3〜10倍になることが好ましい。高分子化合物の好ましい濃度は、4〜8倍の範囲であることが好ましく、最も好ましい濃度は約5倍であり、或いは、培地の総タンパク質濃度が3 mg/mlを超過しない、また好ましくは2 mg/mlを超過しないことが好ましい。
バッファー交換は、典型的には、最初にpHを少なくとも6.5及び最大で7.2にし、次にpHを少なくとも7.0、最大で8.0にするという、二つの連続した工程で行われる。しかしながら、その二つの範囲の重複部分において、同じpHで両方の工程を行うことも可能である。典型的には、バッファー交換は、リン酸バッファーを用いて行われる。
バッファー交換の完了後、混入した成分による無意味な結合の量を減少させるために、IMAC工程においてクロマトグラフィーのマトリックスへの結合に競合する薬剤をサンプルに添加することによって、好ましくは続く工程の厳密性を上昇させる。例えば、ダイアフィルトレーション及びバッファーへの、イミダゾール、ヒスチジン又は高塩濃度バッファーの添加は、有意性を上昇させるために行うことができる。好ましくは、イミダゾールが用いられる場合、それは、約0.05〜20 mMの範囲、好ましくは約0.5〜約15 mMの範囲、例えば約1〜約10 mMの範囲に濃度が達するように添加される。特に好ましくは、イミダゾールの濃度が約2〜約9 mMの範囲、例えば約3〜約8 mMの範囲である。最も好ましくは、イミダゾール濃度が約4〜約6 mM、例えば約5 mMである。高塩濃度バッファー(しばしばNaCl)を用いた場合、該濃度は、100 mMから約1 Mまでの範囲である。
IMAC工程の前に、ダイアフィルトレーションされバッファーが交換されたサンプルに界面活性剤を添加することも好ましい。該界面活性剤は、通常、ポリオキシエチレン ソルビタン脂肪酸エステル、例えばトゥイーン 20、トゥイーン 40、トゥイーン 60、トゥイーン 80及びトゥイーン 85、アルキルアリールポリエーテルアルコール、例えばトリトンX100、非イオン界面活性剤、並びに、炭化水素ベースの界面活性剤、例えばオクチルグリコシド(octylglycoside)から選択される。この界面活性剤は、約0.05%(v/v)〜10%(v/v)、例えば約0.1%(v/v)の濃度に達するように添加されることが有利である。
IMAC
IMAC工程は、バッファー交換されたサンプルをそれに適用する前に、クロマトグラフィーの媒体を二価金属イオンで帯電することを含む。典型的には、二価金属イオンは、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Co2+及びFe2+から成る群から選択される。好ましくは、二価金属イオンはZn2+である。
IMACにおけるクロマトグラフィー媒体の溶出は、イミダゾール、ヒスチジン、高塩濃度バッファーの添加によって、或いはクロマトグラフィー媒体のpHを変化させること(典型的にはクロマトグラフィーカラム中で)によって行う。例えば、溶出にイミダゾールを用いた場合、イミダゾールを一回の工程で、約50 mM〜約500 mM(例えば100〜400 mM)の濃度で、好ましくは約200 mMの濃度で添加することによって有利に行うことができる。或いは、ヒスチジンを用いる場合、ヒスチジンを一回の工程で、約20 mM〜400 mM(例えば50〜200 mM)の濃度で、好ましくは約100 mMで添加することによって行う。高塩濃度バッファーは通常、NaClを、約1又はせいぜい2Mの濃度で含む。
SEC
平均細孔サイズのSECマトリックスは、好ましくは、10 kDa〜600 kDaの球状タンパク質を分離するものである。
サンプルをマトリックスに適用した後、リン酸又はTRISバッファーで溶出し、或いはHEPESのような生物学的バッファーで溶出する。好ましいバッファーはTRISバッファーである。
pHは、SECの間約7〜約8の範囲で維持され、好ましくはpHは約7.5で保たれる。
関連性があり必要であれば(即ち、リン酸バッファーがSEC工程で用いられる場合)、SECで得られたEGFRファミリー由来タンパク質を含むサンプルは、リン酸濃度を15 mM未満に、例えば10〜12.5 mMの範囲にするために、AIE工程の前に希釈される。しかしながら、AIEがそのようなリン酸バッファー濃度の全てを用いて行うことができることは、驚くべきことである。
AIE
本発明の精製工程における最終工程は、少なくとも一つのAIE工程であり、それについての一つが、強陰イオン交換マトリックスを用いて行われる−好ましい態様において、弱陰イオン交換マトリックスの使用を含む工程が先行する。これは、好ましくは、強陰イオン又は弱陰イオン交換マトリックスでのSECの後に得られたEGFRファミリー由来タンパク質を含むサンプルのローディングを含む。典型的には、溶出は、pHが7〜8に、好ましくは約pH7.5の緩衝(リン酸、TRIS又は生物学的バッファー例えばHEPES)NaClで行われる。
これらの工程の後の溶出で得られたタンパク質は、臨床的な等級の純度を有し、昆虫細胞培養物に由来する混入物を実質的に含まない。
弱陰イオン交換マトリックスを利用したAIE工程は、AIE工程の終結部としてそれを含む代わりに、IMACとSEC工程の間の工程として適用可能であることが考えられる。
さらなる任意の工程
ダイアフィルトレーションの後に、ウイルス排除工程(例えば、トゥイーン20及び0.3%TnBPによる)を含むことが有利であり、さらに、AIEの後にウイルスろ過工程(例えば、プラノバ15Nフィルター又は類似のフィルターを用いて)を含むことが有利であり、両工程は、得られた産物が臨床的に許容されない混入物を含まないことを補償するために入れられる。しかしながら、ウイルスフリー系が使用される場合、これらの二つの工程は必須ではない。
本発明のHER-2変異体
上記のように、本発明の方法は、ヒトHER-2腫瘍抗原の変異体を精製する場合に考えられる。この特定の変異体は、自己由来のHER-2に対する免疫学的応答を誘導するためのワクチン剤として特に優れて適していると証明されており、この特定の変異体は本発明の一部でもある。
一般に、この特定のHER-2変異体に関する具体的な使用、製剤、組み換え的生産、適切なベクター及び宿主細胞、並びに、他の詳細は、WO00/20027に開示されている。よって、以下では、この変異体に関する特異性は簡単な説明のみを提供する。それ故WO00/20027の開示はここで参考として援用され、また、HER-2変異体による免疫化及びそれらとそれらの製剤を調製する一般的な方法に関しての必要な教示が提供される。また、自己由来のHER-2に対する核酸ワクチン接種に関するWO00/20027における開示も本明細書に参考として援用される。
上記のように、本発明の他の側面は、配列番号2、残基17〜677で定義されるアミノ酸配列を含むHER-2タンパク質の免疫原性変異体に関する。この変異体は、配列番号2の残基1〜677で定義されるアミノ酸配列から成るペプチドであることが好ましい。即ち、配列番号2の残基1〜14から成るヒスチジンに富む精製標識、並びに、配列番号2の残基15及び16から成るアミノペプチダーゼ終止配列をも含む変異体であることが好ましい。
また、このHER-2タンパク質の免疫原性変異体をコードする核酸断片、例えばDNA断片も本発明に含まれる。特に好ましいDNA断片は、配列番号1で定義される配列をコードするHER-2変異体を有する。
HER-2変異体の組み換え生産における有用なツールは、本発明の核酸断片を保有するベクターである。自己複製できるベクターが特に好ましい。典型的には、ベクターは、プラスミド、ファージ、コスミド、ミニ染色体及びウイルスから成る群から選択される。
発現ベクターは特に好ましい。本発明の典型的な発現ベクターは、5’→3’方向において、及び操作可能な連鎖において、本発明の核酸断片の発現を推進するためのプロモーター、任意にポリペプチドの断片の分泌を可能にし、或いは膜への組み込みを可能にするリーダーペプチドをコードするアミノ酸配列、本発明の核酸断片、及び任意にターミネーターをコードする核酸配列を含む。
組換え生産のために、本発明のベクターを形質転換された宿主細胞は、特に好ましい。特に興味深い宿主細胞は昆虫細胞であり、最も好ましくはショウジョウバエ由来の宿主細胞、例えばS2細胞である。
また、本発明の一部は、本発明のベクターを保有し、本発明の核酸断片を発現し、また任意に、本発明のHER-2タンパク質の免疫原性変異体を分泌するか又はその表面に保有する、安定な細胞株である。
さらにその上、本発明は、上記のHER-2タンパク質の免疫原性変異体を、薬学的に許容される担体又は溶媒及び任意にアジュバントと混合して含む、ヒトをHER-2タンパク質に対して免疫化するための免疫原性組成物をも提供する。適切な製剤の詳細は、WO00/20027に開示されている。
或いは、該ワクチンは、核酸ワクチンの形態である(この技術に関する詳細は、WO00/20027を参照されたい)。したがって、本発明の一部は、上記ベクターを、薬学的に許容される担体又は溶媒及び任意にアジュバントと混合して含む、ヒトをHER-2タンパク質に対して免疫化するための免疫原性組成物である。
ヒトを自己由来のHER-2に対して免疫化する方法も本発明の範囲によって包含され、該方法は、ヒトに、
―本明細書に開示されたHER-2タンパク質の免疫原性変異体、又は該変異体を含む免疫原性組成物、或いは、
―本明細書に開示されたベクター、又は該ベクターを含む免疫原性組成物
の免疫原性的に有効な量を投与することを含む。
この免疫化方法(並びに本明細書に開示された免疫化のための異なる方法)が、癌の治療又は寛解のために用いられることが特に好ましい。
実施例の序文
以下の例証は、癌関連HER-2タンパク質の免疫原性類縁体である「104.1分子」(配列番号2を参照)を利用する。しかしながら、本発明の一般的な教示が他のHis標識タンパク質、特に昆虫細胞系で組換え的に生産されたものに適用されることは、当該分野の技術者には理解されるであろう。
精製方法は、以下の4つの一般的な精製工程から成る:
1.醗酵上清のバッファー交換を伴うダイアフィルトレーション、
2.固定化金属親和クロマトグラフィー(IMAC)、
3.ゲルろ過/サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
4.陰イオン交換クロマトグラフィー(AIE)。
ウイルスを排除する2つの工程、ウイルス不活性化の一工程及びウイルスろ過の一工程が、現在の好ましい方法にさらに含まれる。
ダイアフィルトレーション/バッファー交換
ダイアフィルトレーションは、次の3つの目的に貢献する:1)物質「104.1」の濃縮、2)後の捕獲工程で相互作用し得る低分子量物質(例えば金属イオン)の醗酵媒体からの除去、及び3)金属キレートクロマトグラフィー(IMAC)により適したバッファーへのバッファーの交換。バッファー交換は、一工程又は二工程で行われる。第一の工程は50 mMリン酸バッファー pH7.0への工程であり;第二の工程は50 mMリン酸バッファー pH7.5への工程が選択される。ダイアフィルトレーションがpH7.5へ実施される場合、このpHの順序は決定的であるように思われる。というのも、直接pH7.5にすることは、昆虫細胞の醗酵媒体から非同定成分の沈殿をもたらすからである。濃縮は主に、後のIMACにおけるローディング時間を減少させるために、また、バッファー交換工程におけるバッファーの消費を減少するために行われ、後のIMACが本来は濃縮方法工程であるために、該目的のために必須であるわけではない。濃縮スケールは、現在、約5倍又は培地の総タンパク質濃度が3 mg/mlを超えない(好ましくは2 mg/mlを超えない)が、しかし10倍濃度を用いた実験では、タンパク質レベルが高くならない場合は作用するように見られ、20又は25倍にまで高くなることが可能であると予想される。プロトコールに記載された5倍より高いさらなる濃縮は方法を改良することもでき、次のIMACカラムでのローディング時間を減少し得る。
IMACのためのサンプル調製
ダイアフィルトレーションろ過液は、IMACカラムに適用される前に、イミダゾールを溶出バッファーに用いる場合はイミダゾールを最終濃度0〜10 mMで添加することによって調製することができ;イミダゾールではない物質(或いは類似物質)を添加する場合は、昆虫細胞由来の他のタンパク質と104.1との共精製を行った。他方では、溶出をL−ヒスチジンで行う場合、代わりに塩を溶出バッファーに添加する。さらにその上、トゥイーン20が0.1%(v/v)の最終濃度で添加される(ろ過の後に)。5%までがIMAC工程に適用可能であり、0.1%より高い濃度はダイマー形成の損失をもたらす。他の界面活性剤、明らかには他のトゥイーン界面活性剤(トゥイーン40、60、80及び85)も、有用であることが期待される。
IMAC
物質104.1は、N末端において、カラムマトリックスに固定化された複合型二価金属イオンに親和性を有する所謂His−標識を有する。重大な意味を持つパラメーターは、二価金属イオンの選択、及び溶出剤/溶出方法の選択である。Ni2+、Cu2+ 及びZn2+ は、全てキレート金属イオンとして使用できる。しかしながら、Zn2+ は回収率が良好であり不純物がほとんどない。捕捉された104.1の溶出のために幾つかのストラテジーを用いることができる。1)イミダゾールをカラムに施用する、2)ヒスチジンをカラムに施用する、3)高塩濃度バッファーをカラムに施用する、及び4)カラムでpHを変化させる。
現在好ましい方法は、100 mMのL−ヒスチジンを一工程で適用することによる溶出を使用している。しかしながら、50 mMまでの低下が用いられ得るが、しかしその結果は濃縮された104.1が少なく、また回収率が低い。
SEC
下記の実施例は、TRISバッファーで行われるSECを記載している。リン酸も同様に作用すると思われるが、続くAIEのためにはリン酸よりもTRISがより適切である。リン酸又は塩を含むTRISバッファーを用いる場合、リン酸濃度を減少させるために、AIEカラムに施用する前にSEC溶出液の希釈が必要であり、これはTRISバッファーのみでは必要ない。
トゥイーン20の濃度が0.2%より高い場合は、104.1タンパク質はAIEカラムに結合しないために、IMACが0.4%よりも高いトゥイーン20濃度で行われる場合、SECでは<0.4%に調整することが必要である。これは、AIEを他のバッファー系で行う場合は異なる。
AIEクロマトグラフィーのためのサンプル調製
SECに関連する画分は水(1容積溶出液+3容積の水)で希釈され、AIEクロマトグラフィーを妨害するリン酸で行う場合に、リン酸濃度を減少する。この問題は、SEC節でも議論している。
AIEクロマトグラフィー
重要なパラメーターは、サンプル及びバッファー系のpH及びイオン強度である。
SECがTRISで行われるのであれば、サンプル調製(水での希釈)は回避することができ、またローディング容量(及びローディング時間)は減少される。AIEが塩を含むTRISバッファーで行われる場合、AIEはイオン強度が3 mS/Cm未満に達するまでTRISバッファーで希釈される。
最終バルク産物は、SDS-PAGE、ウェスタンブロッティング(WB)、ELISA、HPLC、外観検査、OD280、pH、リムルス変形細胞ライセート(LAL) 及びアミノ酸分析によって分析される。
明らかなように、AIEは好ましくは二つの連続的な工程で行われ、ここで第一の工程は弱陰イオン交換マトリックスを利用し、第二の工程は強陰イオン交換マトリックスを利用する。しかしながら、弱AIEマトリックスと用いる工程が、IMACとSEC工程の間に導入されために移動されることが可能であることが考えられる。
[例1]
HER-2変異体104.1の培養
細胞株の生産
S2ショウジョウバエ メラノガスター細胞のポリクローナル培養物を、HER2変異体104.1をコードする遺伝子を含むpMTベクター(DES(登録商標)システム、インビトロゲン)で形質転換した;このpMTベクターの完全な核酸配列は、配列番号1で定義される。細胞は、形質転換細胞の選択のためにハイグロマイシンの使用を可能にする、ハイグロマイシン耐性を与える遺伝子を保有するプラスミドと同時に形質転換した。
単一細胞クローンの単離のために限定希釈技術を使用し、選択された細胞株からマスターセルバンク(MCB)を生産した。
HER2タンパク質自家ワクチン生産
MCBから一つのバイアルをTフラスコで蘇生し、ExCell420培地(JRH)を含む振盪フラスコで、25℃で増殖させ、バイオリアクターの接種に十分なバイオマスを得る。総計45×109の細胞を、4 mM グルタミン、0.1 % プルロニック F68、及び0.5 mL/L PD30 消泡剤を補充したExCell 420で3000 mlに希釈する。3000 mLは、アプリコンバイオリアクター(7L作業容量)の接種に用いられ、ここで培養増殖は、3日、25℃、dO2 = 50% (100% = 空気飽和)、pH = 6.5 ± 0.1 (5 % H3PO4及び0.5 M NaOHで調整)、及び170 rpmで攪拌する。
この培養物は、4 mM グルタミン、0.1% プルロニックF68、及び0.5 mL/L PD30 消泡剤
で補充されたExCell 420で、総細胞濃度が15×106 細胞/mL に希釈され、また、25°C、dO2 = 50 % (純粋酸素でスパージング), pH = 6.5 ± 0.1 (5 % H3PO4 及び 0.5 M NaOHで調整)で維持された15 Lの作業容量のアプリコンバイオリアクターの接種に用いられ、142 rpmで攪拌される。培養物は、4 mM グルタミン及び0.1 % プルロニックF68で補充されたExCell 420により、総容量が10Lに達するまで連続的に希釈される。希釈率は、細胞数が15×106細胞/mL未満に低下することを防ぐために、毎日調整される。PD30消泡剤は、総濃度0.5 mL/Lを維持するために培養物に手動で添加される。
充填が完了したら、培地の除去に伴う細胞損失を防ぐために、BioSep cell(AppliSens)音響滞留(acoustic retention)デバイスを用いて、灌流を1RV/日(リアクター容量/日)で開始する。30 ×106 細胞/mLの細胞濃度で、該培養物は総計2μMのCdCl2(10 mMストック)を該培養物及び培地タンクに添加することによって誘導される。
醗酵培地を収集し、細胞を含まない上清を得るために遠心分離し、0.8/0.22μmのPALLフィルターを通して濾過した。得られた滅菌上清を、使用まで-80℃で貯蔵し(-80℃での3ヶ月までの貯蔵は、検出される安定性の問題を生じない)、或いは1週間まで4℃で貯蔵する(検出可能なタンパク質の分解はない)。
培養は、誘導の後10日で終え、バイオリアクター中の残留培養培地は処分する。
[例2]
ダイアフィルトレーション/濃縮及びバッファー交換
使用の前に、実施例1の醗酵上清を、-80℃で保存した場合は4℃で一晩ゆっくり解凍し(最後の3〜4時間は冷水中で行うことができる)、その後、4℃で最大3日間貯蔵する。別な方法では、醗酵上清を直接使用する。
醗酵上清をSCA3000チューブ中、Sorvall RE 5C Plus遠心機で、10,000 rpm、15分、4℃で遠心分離する。
ダイアフィルトレーションを、5±3℃の冷たい部屋で、Pellicon 2 カセットフィルター 30K 0.5 m2 (Millipore, Cat# P2B030A05)によるProFlux M12 (Millipore)で行う。フィルターは、使用前は0.1 M NaOHで貯蔵する。それ故、ダイアフィルトレーションの前に、フィルターをミリQ水で徹底的に洗浄する:標準的な貯蔵槽をミリQ水(3L)で満たし、貯蔵槽に残されるのが200mlになるまで水をフィルターに通して洗浄する。この方法を、総計で12リットルがフィルターを通過するまで3回繰り返す。こうしてダイアフィルトレーション行うことができる:
最大で15Lの醗酵上清を、約5倍に濃縮し、或いは、熱量測定方法によって測定される培地の総タンパク質濃度が2 mg/mlを超過しないように濃縮する。
再循環ポンプを開始する。背圧弁を部分的にロックし、背圧(例えば0.2 bar)を示す出口圧を与える。ポンプ速度は30〜50%に調節する。圧力差が0.7〜1.2 Barを示すときが、フィルターの最大容量が用いられ、またフィルターを通る流速が3〜4 L/分に相当するときである(例えば、出口P=0.2 Bar、入り口P=1.0 bar、ΔP=0.8)。入り口圧は、チューブの寿命及び性能を考慮して、最大で1.4 barとする。より高い入り口圧が設計された場合、より高い圧力がチューブにかけられるため、循環ポンプ圧が上昇するか(%)、又はチューブの機会圧が上昇する(0〜5程度)。背圧弁が閉じたとき、より高い入り口圧とより高い出口圧が受けられる。背圧弁は完全に閉じてはいけない。
続いて、濃縮された醗酵上清は一工程又は二工程でのバッファー交換に供される:第一は10 容量 50 mM Na2HPO4/NaH2PO4、 pH 7.0であり、次に、任意の第二の工程は、10 容量 50 mM Na2HPO4/NaH2PO4、 pH 7.5: ProFlux M12 Millipore装置の標準的な貯蔵槽を、総容量3Lにバッファーで満たし、また副貯蔵槽をバッファーで満たす。装置の設定は、サンプルを濃縮する場合と同じである。
バッファー交換されたサンプルの容量(Vb)を測定し、サンプルをSDS−PAGE(Sb)のためにとる。この濃縮されバッファー交換されたサンプルは、11 ml〜50 mlのロットに分配し、速やかに-80℃に凍結する。
ダイアフィルトレーションの分析
pH及びイオン強度を、バッファー交換の効率を保証するために測定する。
総タンパク質濃度は分光高度的に280 nm、1 cmのキュベットで評価する。10倍希釈サンプル(50 mMリン酸ナトリウムバッファー、pH7.5で希釈)を、50 mMリン酸ナトリウムバッファー、pH7.5と共に参照として用いた(近似 1のAbs280 = 1mg/ml総タンパク質)。総タンパク質濃度は、熱量測定ブラッドフォード法(BioRad)でさらに測定できる。変異体104.1の具体的な濃度は、ELISAで測定し、ダイアフィルトレーションろ過液はさらにSDS−PAGE、銀染色、及びWB−ECL検出で分析される。
ダイアフィルトレーション工程の所見
バッファー交換は、pH7.5に変化する前にpH7.1未満で開始することが重要である。さもなければ、醗酵媒体からの残渣成分が沈殿する。
ダイアフィルトレーションされたサンプルは、定量的なHER-2のELISAでの性能が変化することなく、-80℃で数ヶ月間貯蔵される。しかしながら、解凍するとき、少しでも37℃及び54℃に曝露すると、同ELISAでのダイアフィルトレーションの性能が激的に減少する。-80℃から解凍した後に、0℃(氷/水)及び4℃で維持したとき、ダイアフィルトレーションのELISAの性能は少なくとも4時間まで安定である。
ダイアフィルトレーションの後に、ダイアフィルトレーションろ過液で存在し得るウイルスを不活性化することは都合よい。これをするために、サンプルを2〜8℃で解凍してプールし、続いて、1.0/0.45/0.2μmフィルターで濾過し、その後、50%トゥイーン-20、及びTnBPが最終濃度2%及び0.3%でそれぞれ添加される。この溶液を、穏やかに攪拌しながら16〜20時間2〜8℃で維持する。次いでこの溶液をその後のIMACクロマトグラフィー工程(例3)の前に、0.2μmでろ過する。
[例3]
IMAC
IMACのための一般的なクロマトグラフィーの原理は、タンパク質上の「標識」とカラムマトリックス上の金属イオンキレート錯体との間の親和性である。クロマトグラフィーのマトリックスは、POROS 20MC又は、好ましくは50MC(何れもApplied Biosystems)であり、キレーティング金属イオンはZn2+である。104.1分子はHis-標識を付され、His-標識をカラムマトリックスに結合するためのバッファー系は、50 mM Na2HPO4/NaH2PO4, 0.1% トゥイーン20, pH 7.5である。
mlのカラム物質当たり2〜4 mg の104.1がロードされ、続いて100 mM L-ヒスチジン、50 mM Na2HPO4/NaH2PO4, pH 7.5, 0.1 % トゥイーン20を用いて溶出される。或いは、200 mM のイミダゾールで溶出する場合、結合のためのバッファー系も5 mM イミダゾールを含む。
機器: ビジョン・ワーク・ステーション(VISION Work Station)(Applied Biosystems)
ソフトウェア: 視覚用データ分析ソフトウェア, BioCAD 700E, バージョン3シリーズソフトウェア, Perseptive Biosystem.
検出: UV吸光度、λ=280及び220 nm
伝導率: 0〜200 mS
pH較正: 7.0及び10
温度: 該手順は、バッファー及びカラムで、室温(20〜24℃)で、及び氷上のローディングサンプル及び10℃での画分収集で行う。
サンプル調製
IMACでの溶出にイミダゾール含有バッファーを用いる場合、104.1 分子を含むダイアフィルトレーションに、800 mMイミダゾールを最終濃度5 mMイミダゾールで添加し、一方、IMACでの溶出にL−ヒスチジンを用いる場合、トゥイーン20を最終濃度0.1%(v/v)で加える。カラムに施用する直前に、サンプルを0.22μmフィルターで真空ろ過する。サンプルは、氷上に保たれたカラムに適用されるまで5±3℃(好ましくは4℃)で維持される。室温での取扱い時は、最小にするべきである。
カラム
POROS 20MC 又は50 MC (好ましくは)16×100 mm (20.1 ml)の PEEK カラム(Applied Biosystems)を、2000-2500 psi −精製方法のスケールに依存する他のカラムは、等しく有用である。
カラムチャージ(ストリップチャージ)プログラム
流速: 10 ml/分
1.5 CVの50 mM NaPO4 (NaH2PO4/ Na2HPO4の略) pH 7.5, 0.1% トゥイーン-20 (strip)
2.5 CVのH2O (Milli-Q)
3.40 CVの100 mM ZnCl2, pH 4.5
4.40 CVのH2O (Milli-Q)
5.20 CVの50 mM NaPO4 pH 7.5, 0.1% トゥイーン-20
カラムは各実行の前にチャージされる。
クロマトグラフィープログラム
流速30 ml/分、ローディング 5 ml/分
画分収集サイズ9 ml、及び100 mM L-ヒスチジンでの溶出ピークで5 ml(又は、適用可能な場合、200 mM イミダゾールでの溶出ピーク)。冷却した(10℃)画分コレクターで収集する。
ウイルス不活性化ダイアフィルトレーション液を含む溶液を4℃でカラムにロードし、50 mM NaPO4 pH 7.5, 0.1% トゥイーン 20, 100 mM ヒスチジンによる溶出の前に、20 CV 50 mM NaPO4 pH 7.5, 0.1% トゥイーン 20, 0.5 M NaClで、続いて5 CVの50 mM NaPO4 pH 7.5, 0.1% トゥイーン 20で洗浄する。
クロマトグラフィーの溶出ピークの画分をプールする(図1参照)。ピーク開始時にプールを始め、総計で50 ml (又は1.5 カラム容量)を収集し、或いは、SDS-PAGE/WB結果又はELISAに基づいて画分を総計50 mlまでプールする。このプールは、5±3℃で一晩貯蔵でき、或いは、直接SECまで続ける。7日まで
5±3℃、-20℃及び-70℃以下での7日までのプール貯蔵は、SDS PAGE 及び WB-ECLで分析するとき、0.22μmフィルターで濾過した後の総タンパク質の損失を示さない。
カラムの衛生化
カラムを5 CVの 1 M NaOH, 2 M NaCl、続いて10 CVの水で洗浄する。更なる衛生化が必要であれば、製造者のRSPを参照する。カラムは、5〜30℃の30% EtOH中で貯蔵する。
IMAC中間体の分析
開始物質、フロースルー(flow through)及び溶出画分は、WB-ECL及びSDS-PAGE/銀染色で分析される。
IMACプール分析
プールはWB-ECL 及び SDS-PAGE/銀染色、HPLC 及びOD280 nm (10 倍希釈サンプル)で分析される。具体的な104.1濃度はELISAで決定される。
例4
SEC ゲルろ過クロマトグラフィー
ゲルろ過工程は、mM Tris, 0.1% トゥイーン-20, pH 7.5で行い、しかし、50 mM Na2HPO4/NaH2PO4は、バッファー系としてTrisの代わりに用いることができる。例3のIMACから50 mlを、スーパーループ(Superloop)(Pharmacia)によってSuperdex 200 プレップ・グレード・マトリックスにロードする。
機器: カラムの背圧を減じるための、準調製用フローセルを装備した、灌流クロマトグラフィーのための BioCAD 700Eワークステーション
ソフトウェア:視覚用データ分析ソフトウェア、BioCAD 700E、バージョン3シリーズソフトウェア、Perseptive Biosystem
検出: UV吸光度 λ=280 及び220 nm
伝導率: 0 〜 200 mS
pH 較正: 7.0 及び 10
温度: バッファー及びカラムは室温 (20〜24℃)、サンプルは4℃から直接ロードする。モノマー104.1を含む画分は、コレクターが冷却していない場合、収集後に直接4℃にする。
サンプル調製
バッファー、50 mM Na2HPO4/NaH2PO4, 0.1% トゥイーン20, 100 mM L-ヒスチジン (又は200 mM イミダゾール), pH 7.5におけるIMACからのプールは、特別な調製を必要としない。このサンプルは、ローディングするまで、冷却(5±3℃)を維持される。
カラム
Superdex 200プレップグレードを、ファルマシアカラム XK 50×960mm (1884 ml)に、最終流速15 ml/分で充填する。ロードは最大50 ml。
クロマトグラフィープログラム
一般的な流速8 ml/分、ロード 5 ml/分
画分サイズ9.0 ml
1.平衡1.5 CV 20 mM Tris, 0.1% トゥイーン-20, pH 7.5
2.ロード: 50 mlスーパーループ経由、5 ml/分
3.溶出 1.2 CV 20 mM Tris, 0.1% トゥイーン-20, pH 7.5。
純粋な生成物(約130 ml)を得るために、単一ピークからの画分(図2参照)を、比較ゲル及び/又はSE/RP-HPLC 結果によってプールする。このプールは、5±3℃で一晩貯蔵することができ、或いは、例5のAIEクロマトグラフィーまで直接行うこともできる。5±3℃、-20℃及び-70℃より低い温度で7日間までのプール貯蔵は、SDS PAGE 及び WB-ECLで分析するとき、0.22μmフィルターで濾過した後の総タンパク質の損失を示さない。
カラムの衛生化及び洗浄
カラムを、逆流動方向で0.5 NaOHを1〜2時間、6.5ml/分 (20 cm/h)流し、続いて3総容量のバッファーを流して洗浄する。衛生化のために、0.5〜1.0 NaOHを逆流動方向で、13 ml/分(40 cm/h)で30〜60 分流し、続いて、3〜5総容量の滅菌バッファーを流す。カラムを20%エタノールで、4〜8℃で保存する。さらなる情報は、製造者のマニュアルにある。
SEC中間体の分析
開始物質及び溶出された画分は、WB-ECL、SDS-PAGE/銀染色及びSE/RP-HPLCで分析される。
SECプール分析
プールは、WB-ECL 及びSDS-PAGE/銀染色、HPLC及びOD280 nmで分析される。具体的な104.1濃度は、ELISAで測定される。
SECの所見
IMACとスーパーループからのローディングの間、サンプルを5±3℃で維持することを確実にする。
画分収集物が冷却(10℃)されていなければ、収集の直後に冷却室/冷蔵庫にその画分を移動する。
カラムが頻繁に用いられる場合、20 mM Tris, pH 7.5, 0.1% トゥイーン 20の一定の流速(0.2 ml/分)が、該カラムに適用される(或いは50 mM Na2HPO4/NaH2PO4が、20 mM Trisの代わりに用いられ、その場合、トゥイーン-20が0.5%で用いられる)。
[例5]
AIEクロマトグラフィー
第一の任意の工程
陰イオン交換クロマトグラフィーは、最初に任意に、Poros 50PIマトリックスカラムで行われる。このカラムを、20 mM Tris HCl, 0.1% トゥイーン 20、pH 7.5で平衡化する。平衡化後、サンプルをバイオバーデン(bio burden)試験のために保持する。
SEC溶出物を4℃でカラムにロードし、そのカラムを20 CV 20 mM Tris HCl, 0.1% トゥイーン 20、pH 7.5で洗浄し、続いて生成物を20 mM Tris HCl, 250 mM NaCl, 0.1 % トゥイーン 20、pH 7.5で溶出する。生成物プールを0.2μmろ過し、OD280 nm, 104.1 ELISA, RP-HPLC 及び SE-HPLCで分析し、2〜8℃で3日まで貯蔵する。
Poros 50PIカラムを、20 mM NaOH中に貯蔵する前に、H2O (milli-Q)で流し、10 CVの2 M NaCl, 1 M NaOHで洗浄する。平衡化及びその後の再利用の前に、5 CVの0.5 M NaOHで衛生化し、H2O (milli-Q)で流す。
必須工程
陰イオン交換クロマトグラフィーを、pH 7.5 (20 mM TRIS)で、好ましくは強陰イオン交換灌流マトリックスPOROS 50HQ (Applied Biosystems)で、PEEK 4.6×100 mm (1.662 ml) カラムで行う。104.1 は、200 mM NaCl中に溶出される。
機器: 灌流クロマトグラフィー用VISIONワークステーション
ソフトウェア:視覚用データ分析ソフトウェア, BioCAD 700E、バージョン3シリーズ ソフトウェア、Perseptive Biosystem
検出: UV 吸光度 λ = 280 及び 220 nm
伝導率: 0〜200 mS
pH較正: 7.0 及び10
温度: 該方法は、室温(20-24℃)のバッファー及びカラムで行われ、氷上のサンプルをローディングする。画分収集物は10℃に冷却する。
サンプル調製
第一の任意のAI工程が省略された場合、SEC中間体は、0.1% トゥイーン-20を含む水に、穏やかな磁気攪拌下で1+3 (25%に)に希釈される。別の方法では、POROS 50PI 溶出物は、伝導率を減少するために、15容量 20 mM Tris HCl, 0.1% トゥイーン-20、pH 7.5に希釈される。サンプルは、ローディングまで及びその間、冷却を維持する(5±3℃)。
カラム
POROS 50HQは、4.6×100 mm (1.662 ml) PEEK カラム(Applied Biosystems)に2000〜2500 psiで充填する。
クロマトグラフィープログラム
一般的な流速 10 ml/分、ロードサンプル 5 ml/分
画分サイズ:サンプルローディングの間9 ml、1回目の溶出工程の間1 ml、及び、2回目の溶出工程の間5 ml
陰イオン交換クロマトグラフィーは、Poros 50HQ マトリックスカラムで4°Cで行う。カラムは20 mM Tris HCl, 0.1% トゥイーン 20 、pH 7.5で平衡化する。平衡化後、サンプルはバイオバーデン試験のために保持する。
サンプルをカラムにロードし、該カラムを10 CV 20 mM Tris HCl, 0.1% トゥイーン 20、pH 7.5、及び、10 CV 20 mM Tris HCl, 20 mM NaCl, 0.1% トゥイーン 20、pH 7.5で洗浄し、続いて、生成物を20 mM Tris HCl, 200 mM NaCl, 0.1 % トゥイーン 20 pH 7.5で溶出する。
溶出ピーク(図3参照)からの画分は、2.5 mg/ml 以上、或いはOD280nm2.5以上の濃縮物を得るために、比較ゲル結果によってプールする。画分は、プールする前に5±3℃で一晩維持できる。7日まで、5±3℃で、-20℃及び-70℃より低くプールされた貯蔵は、SDS PAGE 及び WB-ECLで分析するとき、0.22μmフィルターで濾過した後の総タンパク質の損失を示さない。
カラムの衛生化
10カラム容量(CV)の1 M NaOH, 2 M NaClでカラムを洗浄し、続いて20 CVの水で洗浄する。さらなる衛生化には、製造者のマニュアルが必要である。カラムは30%エタノール中に5〜30℃で貯蔵する。
分析
開始物質、フロースルー(flow through)及び溶出された画分は、WB-ECL及びSDS-PAGE/銀染色で分析される。
AIEプールの分析
プールは、WB-ECL及びSDS-PAGE/銀染色、外観及び性状(description)、pH、HPLC、LAL 及び OD280 nm (3倍希釈サンプル)で分析される。具体的な104.1濃度は、ELISAで測定される。
AIEの所見
SEC中間体が1+3(25%)よりもっと希釈される場合、104.1は、リン酸バッファーによる緩衝のために、AIEからのランスルー(run-through)で検出される。
25 mgまではランスルーにおいて104.1の検出可能量となることなく、104.1がAIEカラムに施用される。
任意のウイルスろ過
ウイルスろ過及びその後の希釈及び薬物物質の充填は、クラス100環境で行う。一以上のPoros 50HQの実行からの、ろ過前精製バルクは、凍結貯蔵から取られ2〜8℃で解凍される。これらは次いで、0.1 μm ろ過され、Planova 20N ウイルスろ過膜を通される。フィルターは、結合性(integrity)試験のために保持される。ウイルスろ過された物質は、OD280 nmの測定によって2.5〜3.0 mg/mlの濃度に調整される。
最終バルク生成物の貯蔵
最終バルク生成物は、0.22 μmフィルターでろ過した後に、-70℃より低い温度で、ポリプロピレン容器又はCZバイアル中に貯蔵される。
このようにして得られた生成物は、臨床的な使用に適した純度を有する。
IMACのクロマトグラフィープロフィール。矢印は、104.1ピークを示す。 SECのクロマトグラフィープロフィール。矢印は、モノマーのピークを示す。 AIEのクロマトグラフィープロフィール。矢印は、104.1ピークを示す。 pMT/hHER2MA5-5DUniHis ベクターp992、プラスミド地図。
hHER2MA5-5D: hHER2MA5-5DUHタンパク質(ヌクレオチド 3604-5592)をコードする遺伝子。
P2 エピトープ: hHER2MA5-5DUH タンパク質中のP2エピトープをコードする配列(ヌクレオチド 4357-4401)。
P30 エピトープ: hHER2MA5-5DUH タンパク質中のP30 エピトープ をコードする配列(ヌクレオチド 5500-5562)。
SV40 後期ポリアデニル化サイト: ポリAシグナル(ヌクレオチド 263-268)。
ColE1: E. coliにおける複製のための複製開始点(ヌクレオチド 701-1434)。
アンピシリン耐性遺伝子: 細菌にアンピシリン耐性を与える遺伝子(ヌクレオチド 1579-2439)。
メタロチオネインプロモーター:多くの化合物(例えばカドミウム)により誘導され得るプロモーター(ヌクレオチド 3050-3415)。
コザック様配列: リボソームの結合サイト(ヌクレオチド 3493-3501)。
BiPシグナル配列: HER2変異体タンパク質を細胞外コンパートメントに分泌させるシグナル配列(ヌクレオチド 3502-3555)。
UniHis配列: HER2 AutoVac タンパク質の精製に使用されるUniHis標識をコードする配列(ヌクレオチド 3556-3597)。
ジペプチダーゼ終止配列: UniHis標識がHER2 AutoVacタンパク質から切断されるべき場合に用いる(ヌクレオチド 3598-3603)。

Claims (9)

  1. 配列番号2、残基17〜677で定義されるアミノ酸配列を含む、HER-2タンパク質の免疫原性変異体。
  2. 配列番号2、残基1〜677で定義されるアミノ酸配列からなる請求項に記載のHER-2タンパク質の免疫原性変異体。
  3. 請求項又はに記載のHER-2タンパク質の免疫原性変異体をコードする核酸断片。
  4. 請求項に記載の核酸断片を保有するベクター。
  5. プラスミド、ファージ、コスミド、ミニ染色体、及びウイルスからなる群から選択される、請求項に記載のベクター。
  6. 5'→3'方向において、及び操作可能な連鎖において、請求項に記載の核酸断片を発現させるプロモーター、任意に、ポリペプチド断片の分泌、又はポリペプチド断片の膜への組み込みを可能にするリーダーペプチドをコードする核酸配列、請求項に記載の核酸断片、及び任意にターミネーターをコードする核酸配列を具備する、請求項4又は5に記載のベクター。
  7. 請求項の何れか一項のベクターを保有している形質転換宿主細胞。
  8. 請求項又はに記載のHER-2タンパク質の免疫原性変異体、又は、請求項4〜6の何れか一項に記載のベクターを、薬学的に許容される担体又は溶媒及び任意のアジュバントとの混合物中に含む、ヒトをHER-2タンパク質に対して免疫化するための免疫原性組成物。
  9. ―請求項又はに記載の前記HER-2タンパク質の免疫原性変異体、又は、
    ―請求項に記載の前記免疫原性組成物、又は、
    ―請求項4〜6の何れか一項に記載の前記ベクター、
    の、癌の治療又は予防のための薬学的組成物の調製における使用。
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