JP4578228B2 - シアン含有水溶液からAuを回収する方法 - Google Patents

シアン含有水溶液からAuを回収する方法 Download PDF

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Description

本発明は、Auとシアンを含む水溶液からAuを回収する方法およびその装置に関するものである。
電子部品や機械部品などにAuをメッキするときには、メッキ浴としてAuとシアンを含む水溶液を用いる。そのためメッキ後の電済液には、シアンと共に、メッキ時に消費されなかったAuが相当量残存する。そこでAuメッキ後の水溶液の如く、Auとシアンを含む水溶液から有価金属としてAuを回収する方法が既に提案されている。
例えば特許文献1には、有価金属を含むシアン含有水の処理方法として、陽極−陰極間に直流電流を通すことによりシアン含有水を電気分解すると共に、酸素や水以外の分解生成物を生じない酸化剤を用いて酸化処理することにより金属の回収、シアンの分解、有機物の分解を行なう技術が提案されている。また特許文献2には、シアン含有廃液からの有価金属の回収方法として、有価金属を含むシアン廃液を電解槽へ供給し、陽極に不溶性材質を用いると共に、陰極板表面を回転させながら電気分解を行い、該陰極板の表面に有価金属を析出させる技術が提案されている。
しかしこうした技術では、処理対象とする液中のAu濃度は考慮されておらず、そのためAu濃度が低い場合には、Auの回収効率が悪く、エネルギーの無駄となっていた。
また、メッキ後の製品は水洗することにより表面に付着しているメッキ原液を除去するが、除去に用いた水洗水にも微量のAuが含まれる。ところが除去後の水洗水に含まれるAuはやはり低濃度であるため、こうした水洗水からAuを効率よく回収するのは困難であった。
特開平9−225470号公報([特許請求の範囲]や[0004]等) 特開平10−18074号公報([特許請求の範囲]等)
本発明者らは効率よくAuを回収できる方法、およびこうした方法を実現するための装置を提供すべく検討を重ねた結果、Auを含む原料水溶液を、逆浸透膜を用いて濃縮し、得られた濃縮液を電気分解してAuを回収すればよいことをつきとめ、こうした知見を基に、先に特願2004−221753号の技術を提案した。ところが逆浸透膜を用いてAuとシアンを含む水溶液からAuを膜分離する場合、Auの透過阻止率は最大でも70%程度であるため、Auの回収効率を高めようとすると逆浸透膜を複数種類使用し、逆浸透膜による処理を多段階で行う必要があった。そのため処理設備が大きくなるという問題があり、改善の余地があった。
本発明は、この様な状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、Auとシアンを含む水溶液からAuを回収する方法であって、Auの回収効率が高く、しかもAu回収装置を省スペース化できる方法を提供することにある。また本発明の他の目的は、こうした方法を実現するための装置を提供することにある。
本発明者らは、Auとシアンを含む水溶液からAuを回収するに当たり、設備スペースが限られているところでも効率よくAuを回収できる方法、並びにその装置を提供すべく鋭意検討を重ねた。その結果、第1に処理対象とする原料水溶液を、逆浸透膜を用いて膜分離し、得られた濃縮液を電気分解すれば、電解液中のAu濃度が高くなるため、Auの回収効率が向上すること、第2に膜分離途中の半濃縮液を電気分解し、Auの一部を回収してやれば、膜分離処理回数を減らすことができ、Au回収装置を省スペース化できること、更にはAuの回収効率が高まることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明に係るAu回収方法とは、Auおよびシアンを含む原料水溶液からAuを回収する方法であって、前記原料水溶液を、逆浸透膜を用いて濃縮液と透過液に分離する膜分離工程と、前記濃縮液を第1の電気分解槽で電気分解してAuを回収する電気分解工程を含み、前記膜分離工程で得られた半濃縮液を第2の電気分解槽で電気分解して半濃縮液中のAuの一部を回収しつつ再循環して膜分離し、前記半濃縮液中のAu濃度が増大した任意の時点で前記濃縮液として前記第1の電気分解槽へ送ってAuを回収する点に要旨を有する。前記膜分離工程で得られた半濃縮液は、第2の電気分解槽で電気分解して半濃縮液中のAuの一部を回収しつつ再循環して膜分離し、前記半濃縮液の液量が、前記原料水溶液の液量に対し1/30倍量に達するまでの時点で前記濃縮液として前記第1の電気分解槽へ送ってAuを回収すればよい。
本発明のAu回収方法によれば、前記透過液を、メッキプロセス水として用いることができる。本発明の方法では、前記原料水溶液に次亜塩素酸イオンを含む水溶液を添加して混合し、次いで脱次亜塩素酸処理してから前記膜分離工程へ供給することが好ましい。
本発明に係るAu回収装置とは、Auおよびシアンを含む原料水溶液からAuを回収する装置であって、前記原料水溶液を膜分離装置へ供給するための供給手段、前記原料水溶液を、逆浸透膜を用いて濃縮液と透過液に分離する膜分離装置、前記濃縮液を電気分解してAuを回収する第1電気分解装置を含み、更に前記膜分離装置から半濃縮液を抜き出すための経路、抜き出された半濃縮液を電気分解してAuを回収する第2電気分解装置、前記第2電気分解装置で電気分解された後の電済液を、前記膜分離装置に返送するための経路を含む点に要旨を有する。
前記供給手段には、次亜塩素酸イオンを含む水溶液を添加する手段を付設すると共に、該供給手段と前記膜分離装置の間に、前記原料水溶液を脱次亜塩素酸処理するための脱次亜塩素酸装置を備えることが好ましい。
本発明に係るAu回収方法によれば、逆浸透膜による膜分離処理と、該膜分離処理途中の半濃縮液に対する電気分解を組み合わせることによって、シアン含有水溶液からのAuの回収効率を高めることができ、しかも省スペースのAu回収装置を提供できる。また本発明によれば、こうした方法を実現するための装置を提供できる。
逆浸透膜を用いた膜分離処理では、原料水溶液に含まれる全Au量のうち70質量%程度は濃縮液側へ分離することができ、これは電気分解によって回収できるが、残りの30質量%程度は透過液側へ漏洩する。30質量%程度のAuが逆浸透膜を透過する理由については全てを解明できているわけではないが、Auとシアンとの化合物(具体的には、シアン化金錯体:[Au(CN)2-など)の分子構造が直線的であることが原因の一つであると本発明者らは考えている。Au以外の貴金属は、一般的に逆浸透膜を透過しないため、こうした逆浸透膜透過現象はAu特有のものと考えられ、また逆浸透膜に対するAuの透過率は、逆浸透膜の種類を変えてもあまりかわらなかった。そのためAuとシアンとを含む原料水溶液を処理する際に、膜分離工程を1回しか行わない場合は、原料水溶液に含まれる全Au量のうち30質量%程度が廃液として処理される。
こうしたことから、本発明者らが先に提案した技術(特願2004−221753号参照)では、1回目の膜分離工程で逆浸透膜を透過したAu(即ち、透過液中のAu)を回収するために、透過液に再度の膜分離処理を行うことを推奨している。しかし膜分離処理を2回以上行うには、膜分離装置が2つ以上必要となるため、処理設備スペースを圧迫するという問題を生じる。
そこで本発明者らは、処理設備の省スペース化を目指して検討を重ねた。その結果、膜分離処理途中の半濃縮液を電気分解し、Auの一部を予め回収してやれば、膜分離処理で処理対象とする液中のAu濃度を低下させることができるため、逆浸透膜を透過して透過液側に漏洩するAuの絶対量を低減でき、その結果Auの回収効率を高めることができること、また膜分離装置を複数個設ける必要がなくなり、処理設備を省スペース化できることを明らかにした。以下、本発明に係るAu回収方法について説明する。
本発明に係るAu回収方法は、Auおよびシアンを含む原料水溶液からAuを回収する方法であって、前記原料水溶液を、逆浸透膜を用いて濃縮液と透過液に分離する膜分離工程と、前記濃縮液を第1の電気分解槽で電気分解してAuを回収する電気分解工程を含み、前記膜分離工程で得られた半濃縮液を第2の電気分解槽で電気分解して半濃縮液中のAuの一部を回収しつつ再循環して膜分離し、前記半濃縮液中のAu濃度が増大した任意の時点で前記濃縮液として前記第2の電気分解槽に送ってAuを回収する点に特徴を有する。なお、半濃縮液とは、膜分離工程で再循環している液を指し、濃縮液として第1の電気分解槽へ供給される前の液を指す。
本発明に係るAu回収方法では、Auとシアンを含む原料水溶液を、逆浸透膜を用いて膜分離し、得られた濃縮液を第1の電気分解槽で電気分解することにより原料水溶液からAuを回収する。濃縮された液を電気分解することで濃縮液のAu濃度が高まっているためAuの回収効率を高めることができる。また一般的にシアンを含む水溶液を電気分解すると、液中のシアンイオンがCO2とN2に分解処理されることが知られているが、本発明の方法でも同様の分解処理が成される。
本発明では膜分離処理途中の半濃縮液を電気分解することによってAuの一部を予め回収することが重要である。即ち原料水溶液を、逆浸透膜を用いて濃縮液と透過液に分離する際には、原料水溶液を逆浸透膜に複数回循環・通液させることによって、徐々に濃縮していくが、本発明ではこの循環を行う際に、半濃縮液を電気分解することによってAuを回収するのである。このように、半濃縮液中のAuを逐次回収してAu濃度を下げることにより、逆浸透膜を透過するAuの絶対量を減少させることができる。
逆浸透膜を複数循環することにより濃縮された半濃縮液は、該半濃縮液中のAu濃度が増大した任意の時点で上記第1の電気分解槽へ供給し、電気分解してAuを回収する。半濃縮液中のAu濃度が増大した時点は、膜分離工程後の電気分解工程における電解液(即ち、濃縮液)中のAu濃度を考慮する必要があるため一律に規定することはできないが、濃縮に要する作業時間やコスト等を考えると、半濃縮液中のAu濃度が前記原料水溶液のAu濃度に対して1倍を超え、30倍以下(より好ましくは1倍を超え、10倍以下)になるまでの時点とするのがよい。任意の時点としたのは、原料水溶液のAu濃度等によって濃縮度合いを調整することが好ましいからである。
但し、半濃縮液中のAu濃度をリアルタイムで測定することは難しいため、半濃縮液中のAu濃度が増大した時点は、前記半濃縮液の液量が、前記原料水溶液の液量に対し1/30倍量に達するまでの時点とする。前記半濃縮液の液量を前記原料水溶液の液量に対して1/30倍量以上に濃縮するのは現実的ではないからである。下限は特に限定されないが、半濃縮液の液量が原料水溶液の液量に対して1/5倍量に達しない場合は、液中のAu濃度が低過ぎて電気分解しても不経済となる。特に好ましくは前記半濃縮液の液量が、前記原料水溶液の液量に対して1/10倍量に達した時点で上記濃縮液として第1の電気分解槽へ供給すればよい。
膜分離工程で循環する半濃縮液中のAu濃度の増大は、例えば第2の電気分解槽の前後の経路上に流量計を設けて半濃縮液の液量を測定したり、原料水溶液の液量と膜分離工程で分離された透過液の液量を夫々流量計で測定して判断する。
膜分離処理の途中で電気分解するときの条件は特に限定されず、公知の条件を採用できる。例えば、電気分解時の電圧は0.1〜20V程度、電流密度は0.0001〜0.5A/cm2程度とすればよい。陽極としては、例えばペルメレック電極株式会社製の水溶液電解用不溶性金属電極(DSE)などを用いればよい。陰極としては、例えばTi電極やSUS電極などを用いればよい。
膜分離工程後の電気分解工程における電解条件も公知のものを採用すればよく、電気分解時の電圧は0.1〜20V程度、電流密度は0.0001〜0.5A/cm2程度とすればよい。陽極としては、例えばペルメレック電極株式会社製のDSEなどを用いればよい。陰極としては、例えば、Ti電極やSUS電極などを用いればよい。
なお、上記では、濃縮液を電気分解する槽(第1電気分解槽)と、半濃縮液を電気分解する槽(第2電気分解槽)とを分けた構成について説明したが、設備スペースが限られる場合は、省スペース化するために、第2電気分解槽で第1電気分解槽を兼ねてもよい。即ち、原料水溶液を、逆浸透膜を用いて濃縮液と透過液に膜分離する際に、膜分離途中の半濃縮液を同一の電気分解槽で電気分解して半濃縮液からAuを回収しつつ再循環して膜分離し、半濃縮液中のAuを回収した後に得られる濃縮液は、同一の電気分解槽で所望の濃度までAuを回収した後、廃液として系外へ排出すればよい。
また、本発明の方法では、逆浸透膜による膜分離処理と、該膜分離処理途中の電気分解を組み合わせているため、膜分離処理工程は1工程で充分であり、膜分離処理工程を1工程にすることによって設備の省スペース化を実現できる。但し、透過液にも若干量のAuが含まれているため、原料水溶液中のAuを極限まで回収する場合は、前記透過液を更に別の逆浸透膜を用いて濃縮液aと透過液bに分離し、該濃縮液aを電気分解することで透過液に含まれるAuを回収することが望ましい。
本発明で処理対象とする原料水溶液は、Auとシアンを含む水溶液であり、例えば、電子部品や機械部品などにAuメッキを施した後のメッキ済液、メッキ後の製品を水洗した後の水洗水などである。
原料水溶液中のAu濃度は限定されないが、膜分離処理を行うのに要する作業時間やコストを考慮すると、原料水溶液中のAu濃度は1000ppm以下(0ppmを含まない)であることが好ましい。原料水溶液に含まれるAu濃度が低いほど、膜分離処理により濃縮してから電気分解することによって得られる効果が高まるからである。より好ましいAu濃度は300ppm程度以下(0ppmを含まない)である。但し、Au回収の操業コストを考慮すると、原料水溶液中のAu濃度は1ppm以上であることが推奨される。
もちろん原料水溶液中のAu濃度が1000ppmを超えている場合であっても、本発明に係るAu回収方法や装置を採用できる。しかし、処理対象とする水溶液中のAu濃度が1000ppmを超えるときは、水溶液を電気分解して予めAuを回収しておき、電気分解後の電済液を、本発明の原料水溶液として用いることが好ましい。
ところで、原料水溶液には、Auとシアンの他に、例えば、緩衝剤や界面活性剤などを含んでいることが多い。緩衝剤はメッキ浴のpHを調整するために添加されるもので、有機系のものと、無機系のものがある。有機系の緩衝剤(有機物)としてはクエン酸やギ酸などが例示され、無機系の緩衝剤(無機物)としてはリン酸を例示できる。一方、界面活性剤はメッキ基板の濡れ性を向上させたり、メッキ工程におけるミスト(霧)の発生を防止するために添加されるもので、脂肪酸スルホン酸塩やアルコール硫酸エステルなどが例示される。以下では、これら緩衝剤や界面活性剤を「緩衝剤等」と称することがある。
原料水溶液にこれらの緩衝剤等が含まれていると、電気分解してAuを回収した後の電済液にも緩衝剤等が混入してくるため、例えばAu回収後放流する前に、生物処理する必要が生じてくる。そのため設備規模が大きくなるなどの問題を生じていた。
これに対し本発明の方法では、原料水溶液を膜分離装置で濃縮液と透過液に分離しているため、緩衝剤等の殆どは濃縮液側へ分離され、透過液側には殆ど含まれない。そのため透過液をメッキプロセス水として用いることができる。メッキプロセス水とは、メッキ工程で使用する水を意味し、例えば、メッキ浴を構成する水や、メッキ後の製品を水洗する際に用いる水を指し、こうした水の代わりに前記透過液を用いることができる。なお、前記透過液は、必要に応じて上記原料水溶液側へ返送し、原料水溶液と混合して再処理してもよい。
前記原料水溶液には、次亜塩素酸イオンを含む水溶液を添加して混合した後、脱次亜塩素酸処理してから前記膜分離工程へ供給することが好ましい。即ち、原料水溶液を貯留槽等で貯留しているとバクテリアが繁殖することがあり、こうしたバクテリアを含んだ原料水溶液を逆浸透膜へ供給すると、バクテリアが逆浸透膜に付着して膜劣化を助長するが、前記原料水溶液と次亜塩素酸イオンを含む水溶液とを混合すれば、原料水溶液中に存在するバクテリアの増殖を防止、更には死滅させることができるからである。
但し、次亜塩素酸イオンを含む原料水溶液を、逆浸透膜を用いて膜分離すると、次亜塩素酸イオンの酸化作用で逆浸透膜が劣化するため、バクテリアを死滅させた後の原料水溶液は、脱次亜塩素酸処理してから膜分離処理を行う。
次亜塩素酸イオンを含む水溶液としては、(a)一般に市販されている次亜塩素酸水溶液や、(b)可溶性無機塩化物を添加した水溶液を電気分解した後の水溶液、(c)逆浸透膜を透過した液に可溶性無機塩化物を添加し、この液を電気分解した後の水溶液、などを用いることができる。なお、可溶性無機塩化物とは、電解液中で電離して溶解し、Cl-イオンを生成するものである。可溶性無機塩化物の種類は特に限定されず、例えば、NaClやKClなどを挙げることができる。添加のしやすさやコストを考慮すると、NaClが最適である。
次亜塩素酸イオンを含む水溶液中の次亜塩素酸イオン濃度は特に限定されず、例えば、0.01〜15質量%程度のものを使用できる。
原料水溶液に対して添加する次亜塩素酸イオンを含む水溶液の量は、原料水溶液中のバクテリアが死滅する程度であればよく、添加量は限定できないが、原料水溶液と次亜塩素酸イオンを含む水溶液とを混合した後の液に、次亜塩素酸イオンを0.0001〜5質量%程度含有していればよい。
本発明の方法では、電気分解工程における電解効率を高めるために、前記第1の電気分解槽における電気分解工程では、Cl-を共存させることが好ましい。電気分解時にCl-が存在すると、電解質が多くなるため電流が流れやすくなるからである。またCl-の共在系で電気分解すると、次亜塩素酸イオン(ClO-)が発生し、この次亜塩素酸イオンはシアンイオンも間接的に酸化するため、シアン処理を兼ねることができる。
電気分解工程で、Cl-を共存させた場合には、前記電気分解工程後の電済液を前記原料水溶液と混合し、次いで脱次亜塩素酸処理してから膜分離工程へ供給することが好ましい。
電気分解工程後の電済液については、必要に応じて適当な処理を施してから系外へ排出しても良いし、電済液にもAuが若干含まれることがあるため、例えば、イオン交換樹脂等を用いてAuを回収してもよい。また、前記原料水溶液に返送して原料水溶液と混合してもよい。
次に、本発明に係るAu回収方法を実現するための装置について説明する。本発明に係るAu回収装置は、Auおよびシアンを含む原料水溶液からAuを回収する装置であって、前記原料水溶液を膜分離装置へ供給するための供給手段、前記原料水溶液を、逆浸透膜を用いて濃縮液と透過液に分離する膜分離装置、前記濃縮液を電気分解してAuを回収する第1電気分解装置を含み、更に、前記膜分離装置から半濃縮液を抜き出すための経路、抜き出された半濃縮液を電気分解してAuを回収する第2電気分解装置、前記第2電気分解装置で電気分解された後の電済液を、前記膜分離装置に返送するための経路を含むところに特徴がある。この装置を、図面を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
図1は、本発明に係るAu回収装置の構成例を示した概略説明図である。図1中、51は供給手段、52は膜分離装置、53は第1電気分解装置、54は第2電気分解装置、61と62はバルブ、100〜105は経路、を夫々示している。
供給手段51は、原料水溶液を膜分離装置52へ供給するための供給経路と、図示しない原料供給用動力(例えば、ポンプ)とからなる。供給手段51の経路上にはバルブ61が設けられており、バルブ61を開いて供給手段51で原料水溶液を膜分離装置52へ供給する。膜分離装置52へ供給された原料水溶液は、膜分離装置52で逆浸透膜(図示せず)により濃縮液と透過液に分離される。
このとき、逆浸透膜を経た半濃縮液は、経路103を通して第2電気分解装置54へ供給され、電気分解によりAuを回収する。回収されたAuは、経路104を通して系外に取り出す。一方、第2電気分解装置54で電気分解した後の電済液は、経路105を通して膜分離装置に返送され、再度膜分離処理が施される。即ち原料水溶液を1度だけ逆浸透膜で膜分離したのでは濃縮が不十分なため、逆浸透膜を経た半濃縮液を膜分離装置52の上流側へ返送する再循環経路を設け、再度逆浸透膜を通して濃縮する。そして本発明では、この循環途中の半濃縮液からAuを回収するのである。つまり、膜分離装置52に供給された原料水溶液は、膜分離装置52→経路103→第2電気分解装置54→経路105、というサイクルを循環することによって徐々に濃縮し、Auを順次回収するのである。
次に、半濃縮液中のAu濃度が増大した任意の時点で、経路100上に設けられているバルブ62を開いて前記半濃縮液を濃縮液として電気分解装置53へ供給し、電気分解によりAuを回収する。回収されたAuは経路101を通して系外に取り出す。一方、電気分解後の電済液は、図示しない経路から系外へ排出する。
図1に示した構成によれば、原料水溶液を濃縮する途中でAuを順次回収しているため、逆浸透膜で膜分離する液中のAu濃度を低減でき、複数の膜分離装置を設けなくともAuを効率良く回収でき、設備を省スペース化できる。
半濃縮液中のAu濃度が増大した時点は、経路103や経路105、経路102上に流量計を設けて半濃縮液や透過液の液量を測定し、測定結果と原料水溶液の液量とを考慮して決定すればよい。
原料水溶液を濃縮することによって生成する透過液は、経路102を通して順次系外へ排出される。この透過液は、適切な処理を施した後、放流してもよいし、メッキプロセス水として用いてもよい。
膜分離装置52では、1〜6MPa程度に加圧して膜分離すればよい。好ましくは4〜6MPa程度である。膜分離装置52で用いる逆浸透膜としては、例えば、filmtec社製のポリアミド系逆浸透膜(高圧タイプ)や、東洋紡績社製の酢酸セルロース系逆浸透膜(高圧タイプ)などを使用できる。
図2は、本発明に係るAu回収装置の他の構成例を示した概略説明図である。前記図2と同じ箇所には同一の符号を付すことで重複説明を避ける。図2中、55は第2膜分離装置、56は第3電気分解装置、106〜108は経路、を夫々示している。
図2に示した構成では、膜分離装置52で分離された透過液が、経路102を通して第2膜分離装置55へ供給され、ここで逆浸透膜(図示せず)により濃縮液aと透過液bに分離される。濃縮液aは、経路106を経て第3電気分解装置56へ供給され、電気分解によりAuを回収する。回収されたAuは、経路107を通して取り出す。なお、第3電気分解装置56での電気分解後の電済液は、図示しない経路から系外へ排出する。
図2に示した構成によれば、透過液を更に第2膜分離装置55で膜分離して濃縮した後、第3電気分解装置56で電解することで、Auを極限まで回収でき、システム全体としてのAu回収効率が高まる。
一方、第2膜分離装置55で膜分離された透過液bは、膜分離装置52と第2膜分離装置55で夫々膜分離処理が施されており、しかも膜分離装置52での膜分離と第2電気分解装置54での電気分解とを組み合わせているため、透過液b中のAu濃度はかなり低くなる。そのため透過液bを系外へ排出しても、システム全体としてのAu回収効率に与える影響は少ない。この透過液bは、適切な処理を施した後、放流してもよいし、メッキプロセス水として用いてもよい。
なお、第2膜分離装置55においても上記膜分離装置52と同様に、第2膜分離装置55に供給される濃縮液は、第2膜分離装置55内の逆浸透膜を複数回通液するように循環して濃縮される(循環経路は図示しない)。このとき濃縮の途中で電気分解してAuを順次回収してもよい。
上記第2膜分離装置55で用いる逆浸透膜は、上記膜分離装置52で用いる逆浸透膜と同じタイプのものを用いてもよいが、第2膜分離装置55で分離対象となる透過液は、膜分離装置52で既に1回膜分離されているため、透過液の浸透圧は、膜分離装置52で分離対象とする原料水溶液の浸透圧よりも相対的に小さくなる。そのため第2膜分離装置55で用いる逆浸透膜は、膜分離装置52で用いる逆浸透膜よりも低圧タイプのものを用いることができ、コスト削減に寄与する。
第2膜分離装置55では、0.1〜1MPa程度に加圧して膜分離すればよい。第2膜分離装置55で用いる逆浸透膜としては、例えば、日東電工マテックス社製のポリアミド系逆浸透膜(例えば、「LF10(商品名)」:低圧タイプ)や、filmtec社製のポリアミド系逆浸透膜(低圧タイプ)、ダイセル社製の酢酸セルロース系逆浸透膜(低圧タイプ)などを使用できる。
上記図1や図2に示した構成では、供給手段51に次亜塩素酸イオンを含む水溶液を添加する手段(図示しない)を付設すると共に、該供給手段51と前記膜分離装置52の間に、原料水溶液を脱次亜塩素酸処理するための脱次亜塩素酸装置(図示しない)を備えることが好ましい。
脱次亜塩素酸装置で行う脱次亜塩素酸処理の方法は特に限定されないが、例えば、原料水溶液に脱次亜塩素酸用の薬品として亜硫酸ソーダ等を添加するのが簡便である。
ところで、電気分解工程では、電解効率を高めるためにCl-の共存下で電気分解することが推奨される。そのため上記図1や図2の構成に対して、第1電気分解装置53や第3電気分解装置56に可溶性無機塩化物添加手段を付設するのがよい。可溶性無機塩化物とは、電解液中で電離して溶解し、Cl-イオンを生成するものであれば特に限定されないが、例えば、NaClやKClなどを挙げることができる。添加のし易さやコストを考慮すると、NaClが最適である。電解液に添加する可溶性無機塩化物の量は特に限定されないが、0.0001〜5質量%となる様に添加すればよい。
電気分解装置に可溶性無機塩化物添加手段を付設し、Cl-の共存下で電気分解した電済液を供給手段51へ返送する場合は、供給手段51と膜分離装置52の間に、原料水溶液を脱次亜塩素酸処理するために脱次亜塩素酸装置(図示しない)を設ける必要がある。
上記透過液(透過液b)や電済液は、(図示しない)イオン交換槽へ供給し、液中に微量含まれるAuを回収してもよい。イオン交換槽に充填する陰イオン交換樹脂としては、例えば、三菱化学社製の「SA10A(商品名)」や「SA11A(商品名)」などを好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定するものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1
Au:150ppm、シアン:15ppm、バクテリア:14ppmを含む水溶液300Lを原料水溶液とし、前記図1に示したAu回収装置を用いて原料水溶液からAuを回収した。この原料水溶液には、緩衝剤としてクエン酸:800ppmとリン酸:300ppmが含まれている。なお、上記バクテリアとは、最大長が1μm以上の浮遊粒子分を指している(以下同じ)。回収工程、膜分離処理条件および電気分解処理条件は下記の通りである。
<回収工程>
原料水溶液を供給手段51で膜分離装置52へ供給し、濃縮液と透過液に膜分離した。このとき、膜分離装置52に備えられている逆浸透膜を経た半濃縮液を、経路103から抜き出して第2電気分解装置54へ供給し、電気分解してAuを回収した。回収したAuは経路104から取り出した。一方、第2電気分解装置54で電気分解された後の電済液は、経路105を通して膜分離装置52に返送した。こうした膜分離装置52→経路103→第2電気分解装置54→経路105、というサイクルを循環して半濃縮液中のAu濃度が増大した時点で濃縮液として、経路100を通して第1電気分解装置53へ供給し、電気分解してAuを回収した。回収したAuは経路101から取り出した。なお、半濃縮液中のAu濃度が増大した時点は、半濃縮液の液量が、原料水溶液の液量に対して1/10倍量に達した時点とし、経路102上に設けた流量計(図示しない)で透過液の液量を測定し、この測定結果と上記原料水溶液の液量から判断した。
<膜分離処理条件>
膜分離装置52では、逆浸透膜としてfilmtec社製のポリアミド系逆浸透膜(高圧タイプ)を用い、原料水溶液を、圧力:5.0MPaで膜に供給した。このときの透過液流出量は3.0L/minであり、原料水溶液の液量に対して1/10倍量に濃縮した。
<電気分解処理条件>
第1電気分解装置53および第2電気分解装置54では、陽極としてペルメレック電極株式会社製のDSE、陰極としてTi電極を用いた。電気分解時の電圧は2.5V、電流密度は0.001A/cm2とした。なお、上記第1電気分解装置と第2電気分解装置には、可溶性無機塩化物添加手段は付設されていない。
前記図1に示した各部位におけるAu、シアン、クエン酸およびリン酸の濃度を測定し、結果を下記表1に示す。また各部位における液量についても示す。
Figure 0004578228
以上の結果、原料水溶液に含まれるAu量は45gであるのに対し、経路101から回収できたAu量は19.3g、経路104から回収できたAu量は22.5gであり、本発明のAu回収方法によればAu濃度が150ppmの水溶液から92.9%のAuを回収できた。また、第1電気分解装置53における電解効率は3.8%であり、第2電気分解装置54における電解効率は4.0%であった。
実施例2
Au:850ppm、シアン:85ppm、バクテリア:40ppmを含む水溶液300Lを原料水溶液とし、前記図2に示したAu回収装置を用いて原料水溶液からAuを回収した。この原料水溶液には、緩衝剤としてクエン酸:3000ppmとリン酸:900ppmが含まれている。回収工程、膜分離処理条件および電気分解処理条件は下記の通りである。
<回収工程>
原料水溶液を供給手段51で膜分離装置52へ供給し、濃縮液と透過液に分離した。このとき、膜分離装置52に備えられている逆浸透膜を経た半濃縮液を、経路103から抜き出して第2電気分解装置54へ供給し、電気分解してAuを回収した。回収したAuは経路104から取り出した。一方、第2電気分解装置54で電気分解された後の電済液は、経路105を通して膜分離装置52に返送した。こうした膜分離装置52→経路103→第2電気分解装置54→経路105、というサイクルを循環して半濃縮液中のAu濃度が増大した時点で濃縮液として、経路100を通して第1電気分解装置53へ供給し、電気分解してAuを回収した。回収したAuは経路101から取り出した。なお、半濃縮液中のAu濃度が増大した時点は、半濃縮液の液量が、原料水溶液の液量に対して1/10倍量に達した時点とし、経路102上に設けた流量計(図示しない)で透過液の液量を測定し、この測定結果と上記原料水溶液の液量から判断した。
上記透過液は、経路102を通して第2膜分離装置55へ供給し、濃縮液aと透過液bに分離した。濃縮液aは経路106を通して第3電気分解装置56へ供給し、電気分解してAuを回収した。回収したAuは経路107から取り出した。
<膜分離処理条件>
膜分離装置52では、逆浸透膜としてfilmtec社製のポリアミド系逆浸透膜(高圧タイプ)を用い、原料水溶液を、圧力:5.0MPaで膜に供給した。このときの透過液流出量は3.0L/minであり、原料水溶液の液量に対して1/10倍量に濃縮した。第2膜分離装置55では、逆浸透膜として日東電工マテックス社製のポリアミド系逆浸透膜(「LF10(商品名)」:低圧タイプ)を用い、透過液を、圧力:1.0MPaで膜に供給した。このときの透過液流出量は1.5L/minであり、透過液の液量に対して1/10倍量に濃縮した。
<電気分解処理条件>
第1電気分解装置53では、陽極としてペルメレック電極株式会社製のDSE、陰極としてTi電極を用いた。電気分解時の電圧は2.5V、電流密度は0.002A/cm2とした。第2電気分解装置54では、陽極としてペルメレック電極株式会社製のDSE、陰極としてTi電極を用いた。電気分解時の電圧は2.5V、電流密度は0.001A/cm2とした。第3電気分解装置56では、陽極としてペルメレック電極株式会社製のDSE、陰極としてTi電極を用いた。電気分解時の電圧は9V、電流密度は0.001A/cm2とした。なお、上記第1〜第3電気分解装置には、可溶性無機塩化物添加手段は付設されていない。
前記図2に示した各部位におけるAu、シアン、クエン酸およびリン酸の濃度を測定し、結果を下記表2に示す。また各部位における液量についても示す。
Figure 0004578228
以上の結果、原料水溶液に含まれるAu量は255gであるのに対し、経路101から回収できたAu量は109.5g、経路104から回収できたAu量は122g、経路107から回収できたAu量は16.6gであり、本発明のAu回収方法によればAu濃度が850ppmの水溶液から97.3%のAuを回収できた。また、第1電気分解装置53における電解効率は6.8%であり、第2電気分解装置54における電解効率は6.7%、第3電気分解装置56における電解効率は3.6%であった。
比較例1
上記実施例1において、前記図1に示した第2電気分解槽54と経路104を設けない以外は、実施例1と同じAu回収装置を用い、上記実施例1と同じ条件で原料水溶液からAuを回収した。なお、経路103と経路105は接続されている。
前記図1に示した各部位におけるAu、シアン、クエン酸およびリン酸の濃度を測定し、結果を下記表3に示す。また各部位における液量についても示す。
Figure 0004578228
以上の結果、原料水溶液に含まれるAu量は45gであるのに対し、経路101から回収できたAu量は31.4gである。この方法によればAu濃度が150ppmの水溶液から69.7%のAuしか回収できない。なお、第1電気分解装置53における電解効率は4.8%であった。
上記比較例1の結果と上記実施例1の結果を比較すると、実施例1のように膜分離処理途中の半濃縮液を電気分解すると、Auの回収効率を高めることができる。
比較例2
上記実施例2において、原料水溶液として上記実施例1で使用した原料水溶液を用いると共に、前記図2に示した第2電気分解槽54と経路104を設けない以外は、実施例2と同じAu回収装置を用いて原料水溶液からAuを回収した。但し、電気分解処理条件は、下記の通りに変更した。なお、経路103と経路105は接続されている。
<電気分解処理条件>
第1電気分解装置53では、陽極としてペルメレック電極株式会社製のDSE、陰極としてTi電極を用いた。電気分解時の電圧は2.5V、電流密度は0.001A/cm2とした。第3電気分解装置56では、陽極としてペルメレック電極株式会社製のDSE、陰極としてTi電極を用いた。電気分解時の電圧は12V、電流密度は0.001A/cm2とした。なお、ここで用いた第1電気分解装置53および第3電気分解装置56には、可溶性無機塩化物添加手段は付設されていない。
前記図2に示した各部位におけるAu、シアン、クエン酸およびリン酸の濃度を測定し、結果を下記表4に示す。また各部位における液量についても示す。
Figure 0004578228
以上の結果、原料水溶液に含まれるAu量は45gであるのに対し、経路101および107から回収できた総Au量は41.8gである。この方法によればAu濃度が150ppmの水溶液から92.9%のAuを回収できる。また、第1電気分解装置53における電解効率は4.8%であり、第3電気分解装置56における電解効率は3.0%であった。
上記比較例2の結果と上記実施例1の結果を比較すると、Auの回収効率は92.9%で同じであった。従って実施例1のように膜分離処理途中の半濃縮液を電気分解すると、膜分離処理装置が一つであってもAuの回収効率を高めることができ、設備を省スペース化できる。
比較例3
上記実施例2において、前記図2に示した第2電気分解槽54と経路104を設けない以外は、実施例2と同じAu回収装置を用いて原料水溶液からAuを回収した。但し、電気分解処理条件は、下記の通りに変更した。なお、経路103と経路105は接続されている。
<電気分解処理条件>
第1電気分解装置53では、陽極としてペルメレック電極株式会社製のDSE、陰極としてTi電極を用いた。電気分解時の電圧は2.5V、電流密度は0.003A/cm2とした。第3電気分解装置56では、陽極としてペルメレック電極株式会社製のDSE、陰極としてTi電極を用いた。電気分解時の電圧は8.0V、電流密度は0.001A/cm2とした。なお、ここで用いた第1電気分解装置53および第3電気分解装置56には、可溶性無機塩化物添加手段は付設されていない。
前記図2に示した各部位におけるAu、シアン、クエン酸およびリン酸の濃度を測定し、結果を下記表5に示す。また各部位における液量についても示す。
Figure 0004578228
以上の結果、原料水溶液に含まれるAu量は255gであるのに対し、経路101および107から回収できた総Au量は226.7gである。この方法によればAu濃度が850ppmの水溶液から88.9%のAuを回収できる。また、第1電気分解装置53における電解効率は7.1%であり、第3電気分解装置56における電解効率は5.3%であった。
上記比較例3の結果と上記実施例2の結果を比較すると、実施例2のように膜分離処理途中の半濃縮液を電気分解すると、Auの回収効率を高めることができる。
実施例3
上記実施例1において、供給手段51に、次亜塩素酸イオンを含む水溶液を添加する手段を付設した以外は同じ条件でAuを回収した。
即ち、供給手段51内の次亜塩素酸イオン濃度が0.0005質量%となるように、原料水溶液に次亜塩素酸イオンを含む水溶液を添加し、脱次亜塩素酸処理装置(図示しない)で脱次亜塩素酸処理した後、膜分離装置52へ供給した。脱次亜塩素酸処理装置としては、亜硫酸ソーダ添加装置を用いた。
上記次亜塩素酸イオンを含む水溶液と原料水溶液とを混合した液を室温で1日放置した後、液中に浮遊している粒子分のうち最大長が1μm以上のものを採取し、質量測定によりバクテリア濃度を計測した。その結果、液中のバクテリア濃度は1ppmであった。バクテリア濃度が小さくなったのは、次亜塩素酸イオンによって原料水溶液に含まれるバクテリア(濃度は14ppm)が死滅したと考えられる。
本発明に係るAu回収装置の構成例を示した概略説明図である。 本発明に係るAu回収装置の他の構成例を示した概略説明図である。
符号の説明
51:供給手段 52:膜分離装置 53:第1電気分解装置 54:第2電気分解装置 55:第2膜分離装置 56:第3電気分解装置 61〜62:バルブ 100〜108:経路

Claims (3)

  1. Auおよびシアンを含む原料水溶液からAuを回収する方法であって、
    前記原料水溶液を、Auとシアンとの化合物を濃縮する逆浸透膜を用いて濃縮液と透過液に分離する膜分離工程と、前記濃縮液を第1の電気分解槽で電気分解してAuを回収する電気分解工程を含み、
    前記膜分離工程で得られた半濃縮液を第2の電気分解槽で電気分解して半濃縮液中のAuの一部を回収しつつ再循環して膜分離し、前記半濃縮液中のAu濃度が増大した任意の時点で前記濃縮液として前記第1の電気分解槽へ送ってAuを回収することを特徴とするシアン含有水溶液からのAu回収方法。
  2. 前記半濃縮液の液量が、前記原料水溶液の液量に対し1/30倍量に達するまでの時点で前記濃縮液として前記第1の電気分解槽へ送る請求項1記載の方法。
  3. 前記原料水溶液に次亜塩素酸イオンを含む水溶液を添加して混合した後、脱次亜塩素酸処理してから前記膜分離工程へ供給する請求項1または2に記載の方法。
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