JP4576970B2 - パルス幅変調インバータ装置及びその制御方法 - Google Patents

パルス幅変調インバータ装置及びその制御方法 Download PDF

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Description

本発明はパルス幅変調インバータ装置に関し、基本波変調周波数信号fsとキャリア周波数信号fbとの振幅比較に基づくパルス幅変調により、直流電力から交流電力に電力変換することが出来るパルス幅変調インバータ装置及びその制御方法に関するものである。
パルス幅変調インバータ装置の出力波形を制御する方法は、出力波形の基本波成分を構成する基本波変調周波数信号fsと出力波形のパルス幅を構成するキャリア周波数信号fbの振幅の大きさを比較した結果から、量子化されパルス幅が変調した出力波形を得る。このパルス幅変調による出力波形制御を行う時に、基本波変調周波数信号fsとキャリア周波数信号fbが同期する同期式パルス幅変調制御と同期しない非同期式パルス幅変調制御がある。
図7は従来技術におけるパルス幅変調インバータ装置の回路構成図で、主回路構成と制御回路構成に分けて以下に説明する。
主回路構成は交流電源(例えば図中に示す三相交流電源)1を順変換回路(例えば図中に示すダイオード整流による順変換回路)2に接続し直流電力を得て、この直流電力を逆変換回路(例えば図中に示すIGBTインバータによる逆変換回路)4により任意の電圧および周波数の交流電力を負荷設備(商用電源や電動機など)5に出力する。また、順変換回路2の出力波形に含まれる脈動分を少なくし平滑にするため、直流回路部分に直流コンデンサ3を回路と並列に接続している。なお、直流電力を得る方法は、上記に記載の交流電源1から順変換回路2を経て直流電力を得る方法に限らず、図示しない蓄電池及び大容量コンデンサなどの蓄電設備または、直流発電機や太陽光発電設備などの直流発電設備でも良い。
一方、制御回路構成は任意の周波数のキャリア周波数信号fbをキャリア信号発生回路10に出力し、任意の波形形状となるキャリア波形信号fbdをコンパレータ回路12a、12b,12cに出力する。また、任意の周波数の基本波変調周波数信号fsを電圧−周波数出力特性設定器(以下V/F設定器)8と位相積分器9に出力する。V/F設定器8では入力した基本波変調周波数信号fsに応じるようにあらかじめ設定した出力電圧設定信号Vrefを出力し、位相積分器9では入力した基本波変調周波数信号fsを三相平衡となる位相設定信号Φrefとして三相基本波発生部14に出力して、各相の基本波変調周波数信号fsu,fsv,fswを出力する。前記出力電圧設定信号Vrefと各相の基本波変調周波数信号fsu,fsv,fswの積信号を乗算器13a,13b,13cで求め、この積信号と前記キャリア波形信号fbdの振幅比較を各相のコンパレータ12a,12b,12cで行いパルス幅変調信号とする。このパルス幅変調信号をデッドタイム作成回路11でデッドタイムを加味した半導体素子ドライブ信号(Gu,Gx,Gv,Gy,Gw,Gz)として各半導体素子(15a,15b,15c,15d,15e,15f)に出力する。
続いて上記の従来式パルス幅変調制御の動作について述べる。同期式パルス幅変調制御は基本波変調周波数信号fsとキャリア周波数信号fbが同期しているため、出力波形の基本波成分は半周期毎に波形対称となり、接続する負荷(商用電源または電動機など)が三相交流の場合は、出力波形を三相平衡とするために基本波変調周波数信号fsに対するキャリア周波数信号fbの比(以下fb/fsの比)を3の奇数倍整数比としている。このため、基本波変調周波数信号fsの周波数が高くなるに従いスイッチング周波数も高くなり、半導体素子が許容するスイッチング周波数、または回路設計上や接続する負荷の制限によりあらかじめ設定したスイッチング周波数(以下任意のスイッチング周波数)を超える場合は、キャリア周波数信号fbをfb/fsの比が3の奇数倍整数比となる周波数に下げて出力波形のパルス数を減らしている。
一方、非同期式パルス幅変調制御は基本波変調周波数信号fsに関係なくキャリア周波数信号fbが一定であるため、制御回路の構成が簡単で回路規模が比較的小さくなること、及び出力波形の基本波成分が低周波領域の時に発生する磁気騒音の音色の変化が少ない。
特開平9−261966号公報 電気学会技術報告 第635号「PWMインバータ制御方式の最新技術動向」
上記の従来技術において、同期式パルス幅変調制御は出力波形の基本波成分における波形対称性及び三相の平衡が保証され、非同期式パルス幅変調制御は出力波形の基本波成分が低周波領域時に発生する磁気騒音が低減出来るなど優れた利点を有するが次のような問題がある。
パルス幅変調インバータ装置において、同期式パルス幅変調制御は基本波変調周波数信号fsの変化に伴い、fb/fsの比が3の奇数倍整数比となるキャリア周波数信号fbに適宜切り替えて、任意のスイッチング周波数を超えない周波数制御をしている。しかし、出力波形の基本波成分に含まれる半周期毎のパルス数が少ない時にキャリア周波数信号fbの切り替えを行うと、パルス幅の変化が大きく電流リップルが急変し、接続する負荷の状態によっては過電流保護継電器などの保護継電器類が不用意に動作して該装置が停止することがある。また、出力波形の基本波成分が低周波領域の時は、低次高調波の発生や制御精度の低下を抑制するためキャリア周波数信号fbを上げているがfb/fsの比が大きく、僅かな基本波変調周波数信号fsの上昇でキャリア周波数信号fbが大きく上昇するため、キャリア周波数信号fbの切り替えが頻繁になり周囲への磁気騒音が大きく非常に耳障りとなる。
一方、非同期式パルス幅変調制御は、fb/fsの比が整数比以外では半周期毎の波形対称性が保証されず、且つ接続する負荷が三相交流の場合はfb/fsの比が3の奇数倍整数比以外では三相の平衡が保証されない。このため、出力波形の基本波成分に含まれる半周期毎のパルス数が少ない時は、波形対称性や三相平衡度の悪化が顕著となり、出力波形に脈動分を多く含むことや出力波形の基本波成分が不平衡になる。これに伴い接続する負荷の特性低下または故障や破損、あるいは該装置の接地線を流れる漏れ電流が増加し、漏電検知器などの保護継電器類が動作して不用意に該装置が停止することがある。また、fb/fs<20程度で整数に近く、且つ出力波形の基本波成分が高周波領域での運転時には、遅い周期のうねり音となる磁気騒音が発生する。
この発明は、上記の事情に鑑みなされたもので、パルス幅変調インバータ装置における出力波形の制御方法に優れ、キャリア周波数信号fbの切り替えに伴うパルス幅の変化や出力波形の脈動が少なく、且つ出力波形の基本波成分がほぼ平衡であることや高周波領域の時に発生する遅い周期のうねり音となる磁気騒音が抑制されることで、保護継電器類の動作による不用意な該装置の停止や磁気騒音を抑制することにより、接続した負荷に安定した電力供給が出来るパルス幅変調インバータ装置及びその制御方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するためにの本発明はの第1は、基本波変調周波数信号fsとキャリア周波数信号fbとの振幅比較に基づくパルス幅変調により直流電力から交流電力に電力変換することが出来るパルス幅変調インバータ装置において、
前記の基本波変調周波数信号fsと基準キャリア周波数信号fbb及び周波数補正のための1つまたは複数からなる演算要素信号とを入力して、周波数補正を行うキャリア周波数演算部を設け、
パルス幅変調インバータ装置の出力波形の基本波成分に含まれる半周期毎のパルス数があらかじめ設定した任意の値未満または以下となる時に、周波数補正を行う非同期式のパルス幅変調制御とすることを特徴としたものである。
本発明の第2は、前記パルス幅変調インバータ装置の出力波形の基本波成分に含まれる半周期毎のパルス数があらかじめ設定した任意の値未満または以下となる時に、キャリア周波数演算部に基準キャリア周波数信号fbb、基本波変調周波数信号fs、キャリア補正周波数信号fbo及び公約数補正値flgを入力して、周波数補正を行う非同期式のパルス幅変調となるキャリア設定周波数信号fbcを次式により演算することを特徴としたものである。
fbc=INT(fbb/fs)・fbb+fbo+flg ・・(1)
INT(fs/fbo)・fbo=fsの時、flg=1 ・・・(2)
INT(fs/fbo)・fbo≠fsの時、flg=0 ・・・(3)
本発明の第3は、前記パルス幅変調インバータ装置の出力波形の基本波成分に含まれる半周期毎のパルス数があらかじめ設定した任意の値未満または以下となる時に、キャリア周波数演算部に基本波変調周波数信号fs、基準キャリア周波数信号fbb及び基本波変調周波数信号fsに対するキャリア補正周波数信号fboの比率(fbo/fs)を固定値としたキャリア補正周波数係数kosを入力して周波数補正を行う非同期式のパルス幅変調となるキャリア設定周波数信号fbcを次式により演算することを特徴としたものである。
fbc=INT(fbb/fs)・fbb+{INT(fs・kos)+1} ・・・(4)
fbo=INT(fs・kos) ・・・(5)
本発明の第4は、前記キャリア周波数演算部の出力側にキャリア平滑部を設け、このキャリア平滑部によって前記キャリア設定周波数信号fbcを滑らかにすることを特徴としたものである。
本発明の第5は、前記キャリア平滑部は、キャリア設定周波数信号fbcの単位ステップ入力に対する変化率制限処理を施すことを特徴としたものである。
本発明の第6は、前記キャリア平滑部は、キャリア設定周波数信号fbcに対して一次遅れフィルタ処理を施すことを特徴としたものである。
本発明の第7は、基本波変調周波数信号とキャリア周波数信号との振幅比較に基づくパルス幅変調により直流電力から交流電力に電力変換するパルス幅変調インバータ装置において
前記基本波変調周波数信号と基準キャリア周波数信号及び補正のための1つまたは複数からなる演算要素であるキャリア補正周波数信号とを入力してキャリア設定周波数信号を生成するキャリア周波数演算部を設け、このキャリア周波数演算部は、前記パルス幅変調インバータ装置の出力波形の基本波成分に含まれる半周期毎のパルス数があらかじめ設定した任意の値未満または以下となる時に、前記キャリア周波数演算部で生成されるキャリア設定周波数信号fbcで前記キャリア周波数信号fbを切替えるよう構成し、且つこのキャリア周波数演算部の出力信号をキャリア信号発生部を介してキャリア波形信号とするよう構成したことを特徴としたものである。
本発明の第8は、前記キャリア周波数演算部は、基本波変調周波数信号と基準キャリア周波数信号との比信号を求める除算器と、この比信号の小数点以下を切り捨てて整数信号を求める整数出力部と、この整数出力部からの整数信号と前記基準キャリア周波数信号との積信号を得る乗算器と、前記キャリア補正周波数信号と判定演算値で定まる公約数補正値flgとを加算して和信号1を求める第1の加算器と、この和信号1と前記乗算器による積信号とを加算して和信号2を得る第2の加算器とで構成したことを特徴としたものである。
本発明の第9は、前記キャリア周波数演算部は、基本波変調周波数信号と基準キャリア周波数信号との比信号を求める除算器と、この比信号の小数点以下を切り捨てて整数信号を求める第1の整数出力部と、この整数出力部からの整数信号と前記基準キャリア周波数信号との積信号を得る第1の乗算器と、前記基本波変調周波数信号と予め決められたキャリア補正周波数係数との積信号を得る第2の乗算器と、この積信号の小数点以下を切り捨てて整数信号を求める第2の整数出力部と、この整数出力部からの出力信号と定数1を加算する第1の加算器と、この加算器の出力と前記第1の乗算器との出力信号とを加算する第2の加算器とで構成したことを特徴としたものである。
本発明の第10は、前記キャリア周波数演算器の出力側に、キャリア設定周波数信号の単位ステップ入力に対する変化率制限処理機能若しくは一次遅れフィルタ処理機能を有するキャリア平滑部を設け、この平滑部にて得られたキャリア平滑設定周波数信号をキャリア信号発生部に出力するよう構成したものである。
以上述べたように、本発明のパルス幅変調インバータ装置及びその制御方法によれば、キャリア周波数fbの切り替えによる周波数制限が無く、適宜周波数補正をした非同期式のパルス幅変調制御となるキャリア設定周波数信号fbcにより、出力波形の基本波成分に含まれる半周期毎のパルス数が少ない時に、キャリア周波数信号fbを切り替えてもパルス幅の変化が少ないことにより、電流リップルの急変を抑制できるとともに、出力波形の基本波成分の波形対称性や三相平衡度は複数周期の平均で考えれば確保される。また、これらの効果により高周波領域の時に発生する遅い周期のうなり音による磁気騒音を抑制できることや接地線を流れる漏れ電流を抑制することも出来る。従って、上記に記載された複数の効果によって、該装置に接続した負荷に安定した電力供給を実現することが出来る。
本発明は、負荷としての交流電動機を駆動するパルス幅変調インバータ装置において、その制御回路におけるキャリア周波数と正弦波変調信号の比が整数とならないようにキャリア周波数を調整するように制御するものである。以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施例1に係るパルス幅変調インバータ装置の制御回路構成図で、主回路部分は図7で示す2〜4及び15a〜15fで構成される主回路部と同様であるため、以下の説明では省略をしている。また、この装置は出力波形の基本波成分に含まれるパルス数があらかじめ設定した値未満または以下の時に動作するもので、パルス数が前記に記載した設定値以外では、制御回路部も図7で示す8〜14と同様であるため省略をする。
図1に示す制御回路構成図は、任意の周波数に設定された基本波変調周波数信号fsをキャリア周波数演算部107,V/F設定器108及び位相積分器109に出力する。また、キャリア周波数演算部107では基本波変調周波数信号fsと任意の周波数の基準キャリア周波数信号fbb及び周波数補正のための1つまたは複数からなる演算要素信号とを入力して、キャリア設定周波数信号fbcが生成される。このキャリア設定周波数信号fbcは、適宜周波数に補正された基本波変調周波数信号fsに同期しない非同期式のパルス幅変調を行うキャリア信号としてキャリア信号波形発生回路110に出力される。キャリア信号波形発生回路110では、キャリア設定周波数信号fbcを基本波変調周波数信号fsとの振幅比較を行う波形となるキャリア波形信号fbdとして、各相毎に設けられたコンパレータ112a,112b,112cに出力する。V/F設定器108では、入力した基本波変調周波数信号fsに応じるようにあらかじめ設定した出力電圧設定信号Vrefを出力し、位相積分器109では入力した基本波変調周波数信号fsを三相平衡となる位相設定信号Φrefとして三相基本波発生部114に出力して、各相の基本波変調周波数信号fsu,fsv,fswを出力する。前記出力電圧設定信号Vrefと前記各相の基本波変調周波数信号fsu,fsv,fswとの積信号を乗算器113a,113b,113cから求め、この積信号と前記キャリア波形信号fbdをコンパレータ112a,112b,112cで振幅比較の演算処理を行い非同期式のパルス幅変調信号を得る。この非同期式のパルス幅変調信号をデッドタイム作成回路111でデッドタイムを加味した半導体素子ドライブ信号(Gu,Gx,Gv,Gy,Gw,Gz)として各半導体素子(115a,115b,115c,115d,115e,115f)に出力する。
図2は本発明に使用されるキャリア周波数演算部107の制御ブロック図で、出力波形の基本波成分に含まれるパルス数があらかじめ設定した値未満または以下の時に動作するものである。
すなわち、キャリア周波数演算部207に基本波変調周波数信号fs,基準キャリア周波数信号fbb、キャリア補正周波数信号fbo及び公約数補正値flgを入力し、除算器216により基準キャリア周波数信号fbbと基本波変調周波数信号fsとの比信号を求め、整数出力器(INT)217で小数点以下切り捨てた整数信号を求め、乗算器218によって前記整数信号と前記基本キャリア周波数信号fbbとの積信号を得る。また、前記キャリア補正周波数信号fboが前記基本波変調周波数信号fsの公約数になるか否かの判定演算を行い、公約数の時に公約数補正値flgは「1」を、公約数以外の時に「0」を入力して、加算器219でキャリア補正周波数信号fboに公約数補正値flgを加えた和信号1を得る。さらに乗算器218で求められた積信号と加算器219で求められた和信号1とを前記とは別の加算器220で加えたキャリア設定周波数信号fbcによって、適宜周波数補正する非同期式のパルス幅変調による出力波形の制御を行うことが出来る。これら一連の制御演算を演算式(1)に示す。なお、図2では図1の演算要素信号1〜nをキャリア補正周波数信号fboと公約数補正値flgとして、前記公約数補正値flgの判定演算は演算式(2)及び(3)で示される。
fbc=INT(fbb/fs)・fbb+fbo+flg ・・・(1)
INT(fs/fbo)・fbo=fsの時、flg=1 ・・・(2)
INT(fs/fbo)・fbo≠fsの時、flg=0 ・・・(3)
上記の演算式に含まれる"INT"は、コンピュータ言語における算術関数で、INTが指すカッコ内の数式に対して、小数点以下の値を切り捨て整数のみ出力する。
従って、本実施例1のパルス幅変調インバータ装置によれば、キャリア周波数の切り替えによる周波数制限が無く、キャリア設定周波数信号fbcを適宜周波数補正する非同期式パルス幅変調制御であるため、パルス数が少ない時の電流リップルの急変を抑制出来るとともに、各相の出力波形の基本波成分がほぼ平衡で脈動が少なく、高周波領域で発生する遅い周期の磁気騒音を抑制できることや接地線を流れる漏れ電流を抑制することが実現出来る。また、補正周波数信号fboが基本波変調周波数信号fsの公約数である時も周波数補正を実現することが出来る。
図3は本発明の実施例2に係るキャリア周波数演算部の制御ブロック図で、出力波形の基本波成分に含まれるパルス数があらかじめ設定した
値未満または以下の時に動作するものである。
図3に示すキャリア周波数演算部307には、基本波変調周波数信号fs,基準キャリア周波数信号fbb、基本波変調周波数信号fsに対するキャリア補正周波数信号fboの比率(fbo/fs)を固定値としたキャリア補正周波数係数kos及び定数1が入力される。除算器316により基準キャリア周波数信号fbbと基本波変調周波数信号fsとの比信号を求め、この比信号を整数出力器(INT)317により小数点以下切り捨てた整数信号1を求め、この整数信号1と前記キャリア周波数信号fbbとの積信号1を乗算器318から求める。また、前記とは別の乗算器321により基本波変調周波数信号fsとキャリア補正周波数係数kosとの積信号2を求め、この積信号2を前記とは別の整数出力器(INT)322により小数点以下切り捨てた整数信号2を求め、整数信号2に定数1を加えた和信号1を加算器319から求める。さらに乗算器318によって求められた和信号1と加算器319によって求められた和信号1とを前記とは別の加算器320で加えた和信号2がキャリア設定周波数信号fbcになり、適宜周波数補正する非同期式のパルス幅変調による出力波形の制御を行うことが出来る。これら一連の制御演算を演算式(4)で示し、キャリア補正周波数係数kosの定義式を演算式(5)に示す。
fbc=INT(fbb/fs)・fbb+{INT(fs・kos)+1} ・・・(4)
fbo=INT(fs・kos) ・・・(5)
なお、本実施の形態2でキャリア設定周波数信号fbcを求めるための制御演算以外は、実施形態1と同様な回路構成や制御方法により発明形態の実施が可能であるとともに、主回路構成及びパルス数が前記に記載した設定値以外の制御回路構成は、図6に示す従来技術の回路構成と同じである。

従って、本実施形態2の出力波形の制御方法によれば、実施形態1と同様な効果を有する他にfbo/fsの比をキャリア補正周波数係数kosとして公約数の判定演算を行わないことによって、実施形態1と比べて高応答な制御を実現することが出来る。
図4は本発明の実施例3に係るパルス幅変調インバータ装置の制御回路構成図である。 実施例1、2の場合、fsの増加や減少によってINT(fbb/fs)の演算結果が従来の同期変調方式ほどではないが、パルス幅の変化による電流リップルの発生が僅かに予想される。そこで、この実施例3は演算結果を直接fbとするのではなく、キャリア周波数演算部407の出力側に変化率制限処理回路や一次遅れフィルタ回路など、入力信号を時間関数による処理機能を持つキャリア平滑部423を設け、実施形態1または2と同様な制御方法で得たキャリア設定周波数信号fbcをこのキャリア平滑部423に入力して出力fch(キャリア周波数信号fb)を得るよう構成したものである。
図5は、図4に使用されるキャリア平滑部423の一例を示したもので、図5(a)は変化率制限処理を施した場合の制御ブロック図、図5(b)は一次遅れフィルタ処理を施した場合の制御ブロック図である。図5(a)において、423aは減算部で、入力された信号fbcメモリ部423cによって記憶された前回の出力値との減算を実施し、その偏差信号をリミッタ部423bに出力する。リミッタ部おいては単位ステップ入力(大きさ1.0)に対して±1.0/(Tf/Ts)で変化率が制限されて加算部423dに出力される。この加算部においては前回の出力値と加算され、キャリア平滑設定周波数信号fhcとしてキャリア信号発生回路410に出力される。図5(b)では、図5(a)のリミッタ部423bに代えて一次遅れのフィルタ部423eを設けてTs/Ts+Tfの演算を行うもので、他は図5(a)と同様に構成される。
図6はキャリア平滑部423の入出力特性を示したものである。同図において、縦軸は出力、横軸に時間をとったもので、線イは入力信号、線ロは図5(a)による変化率処理を実施したときの出力特性、線ハは図5(b)による一次遅れフィルタ処理による出力特性を示したものである。なお、変化率制限処理は、10回の制御周期で単位ステップ幅分を許容する設定とし、一次遅れフィルタ処理は時定数を制御周期の10倍に設定している。いずれの場合においても、最終的なキャリア周波数の変化が滑らかになるため、電流リップルの急変を更に抑制することが可能となる。
従って、本実施の形態3のパルス幅変調インバータ装置及びその制御方法によれば、実施例1または2と同様にパルス幅の変化や電流リップルが小さくなる効果を有する他に、キャリア平滑部423を設けることにより、更にパルス幅の変化が小さい時に起こる微少な電流リップルの発生も抑制することが可能とる。
本発明の実施の形態1に係わるパルス幅変調インバータ装置の制御回路構成図。 本発明の実施の形態1に係わるキャリア周波数演算部の制御ブロック図。 本発明の実施の形態2に係わるキャリア周波数演算部の制御ブロック図。 本発明の実施の形態3に係わるパルス幅変調インバータ装置の制御回路構成図。 (a)はキャリア平滑部の一例となる変化率制限処理の制御ブロック図、(b)は同様に一次遅れフィルタ処理の制御ブロック図。 キャリア平滑部の入出力特性図。 従来技術のパルス幅変調インバータ装置の主回路構成図及び制御回路構成図。
符号の説明
1・・・交流電源
2・・・順変換回路
3・・・直流コンデンサ
4・・・逆変換回路
5・・・負荷設備
8・・・電圧−周波数出力特性設定器(V/F設定器)
9・・・位相積分器
10・・・キャリア信号発生回路
11・・・デッドタイム作成回路
12a・・・コンパレータ(U相)
12b・・・コンパレータ(V相)
12c・・・コンパレータ(W相)
13a・・・乗算器(U相)
13b・・・乗算器(V相)
13c・・・乗算器(W相)
14・・・三相基本波発生器
15a・・・半導体素子(U相)
15b・・・半導体素子(X相)
15c・・・半導体素子(V相)
15d・・・半導体素子(Y相)
15e・・・半導体素子(W相)
15f・・・半導体素子(Z相)
107・・・キャリア周波数演算部
108・・・電圧−周波数出力特性設定器(V/F設定器)
109・・・位相積分器
110・・・キャリア信号発生回路
111・・・デッドタイム作成回路
112a・・・コンパレータ(U相)
112b・・・コンパレータ(V相)
112c・・・コンパレータ(W相)
113a・・・乗算器(U相)
113b・・・乗算器(V相)
113c・・・乗算器(W相)
114・・・三相基本波発生器
207・・・キャリア周波数演算部
216・・・除算器
217・・・整数出力器(INT)
218・・・乗算器
219・・・加算器
220・・・加算器
307・・・キャリア周波数演算部
316・・・除算器
317・・・整数出力器(INT)
318・・・乗算器
319・・・加算器
320・・・加算器
321・・・乗算器
322・・・整数出力器(INT)
407・・・キャリア周波数演算部
408・・・電圧−周波数出力特性設定器
409・・・位相積分器
410・・・キャリア信号発生回路
411・・・デッドタイム作成回路
412a・・・コンパレータ(U相)
412b・・・コンパレータ(V相)
412c・・・コンパレータ(W相)
413a・・・乗算器(U相)
413b・・・乗算器(V相)
413c・・・乗算器(W相)
414・・・三相基本波発生器
423・・・キャリア平滑部

Claims (10)

  1. 基本波変調周波数信号fsとキャリア周波数信号fbとの振幅比較に基づくパルス幅変調により直流電力から交流電力に電力変換することが出来るパルス幅変調インバータ装置において、
    前記の基本波変調周波数信号fsと基準キャリア周波数信号fbb及び周波数補正のための1つまたは複数からなる演算要素信号とを入力して、周波数補正を行うキャリア周波数演算部を設け、パルス幅変調インバータ装置の出力波形の基本波成分に含まれる半周期毎のパルス数が予め設定した任意の値未満または以下となる時に、周波数補正を行う非同期式のパルス幅変調制御とすることを特徴としたパルス幅変調インバータ装置の制御方法。
  2. 前記パルス幅変調インバータ装置の出力波形の基本波成分に含まれる半周期毎のパルス数があらかじめ設定した任意の値未満または以下となる時に、キャリア周波数演算部に基準キャリア周波数信号fbb、基本波変調周波数信号fs、キャリア補正周波数信号fbo及び公約数補正値flgを入力して、周波数補正を行う非同期式のパルス幅変調となるキャリア設定周波数信号fbcを次式により演算することを特徴とした請求項1に記載のパルス幅変調インバータの制御方法。
    fbc=INT(fbb/fs)・fbb+fbo+flg ・・(1)
    INT(fs/fbo)・fbo=fsの時、flg=1 ・・・(2)
    INT(fs/fbo)・fbo≠fsの時、flg=0 ・・・(3)
  3. 前記パルス幅変調インバータ装置の出力波形の基本波成分に含まれる半周期毎のパルス数があらかじめ設定した任意の値未満または以下となる時に、キャリア周波数演算部に基本波変調周波数信号fs、基準キャリア周波数fbb及び基本波変調周波数信号fsに対するキャリア補正周波数信号fboの比率(fb0/fs)を固定値としたキャリア補正周波数係数kosを入力して、周波数補正を行う非同期式のパルス幅変調となるキャリア設定周波数信号fbcを次式により演算することを特徴とした請求項1に記載のパルス幅変調インタ装置の制御方法。
    fbc=INT(fbb/fs)・fbb+{INT(fs・kos)+1} ・・(4)
    fbo=INT(fs・kos) ・・・(5)
  4. 前記キャリア周波数演算部の出力側にキャリア平滑部を設け、このキャリア平滑部によって前記キャリア設定周波数信号fbcを滑らかにすることを特徴とした請求項1乃至3の何れかに記載のパルス幅変調インバータ装置の制御方法。
  5. 前記キャリア平滑部は、キャリア設定周波数信号fbcの単位ステップ入力に対する変化率制限処理を施すことを特徴とした請求項1乃至4の何れかに記載のパルス幅変調インバータ装置の制御方法。
  6. 前記キャリア平滑部は、キャリア設定周波数信号fbcに対して一次遅れフィルタ処理を施すことを特徴とした請求項1乃至4の何れかに記載のパルス幅変調インバータ装置の制御方法。
  7. 基本波変調周波数信号とキャリア周波数信号との振幅比較に基づくパルス幅変調により直流電力から交流電力に電力変換するパルス幅変調インバータ装置において、
    前記基本波変調周波数信号と基準キャリア周波数信号及び補正のための1つまたは複数からなる演算要素であるキャリア補正周波数信号とを入力してキャリア設定周波数信号を生成するキャリア周波数演算部を設け、このキャリア周波数演算部は、前記パルス幅変調インバータ装置の出力波形の基本波成分に含まれる半周期毎のパルス数があらかじめ設定した任意の値未満きたは以下となるときに前記キャリア周波数演算部で生成されるキャリア設定周波数信号fbcで前記キャリア周波数信号fbを切替えるよう構成し、且つこのキャリア周波数演算部の出力信号をキャリア信号発生部を介してキャリア波形信号とするよう構成したしたことを特徴としたパルス幅変調インバータ装置。
  8. 前記キャリア周波数演算部は、基本波変調周波数信号と基準キャリア周波数信号との比信号を求める除算器と、この比信号の小数点以下を切り捨てて整数信号を求める整数出力部と、この整数出力部からの整数信号と前記基準キャリア周波数信号との積信号を得る乗算器と、前記キャリア補正周波数信号と判定演算値で定まる公約数補正値flgとを加算して和信号1を求める第1の加算器と、この和信号1と前記乗算器による積信号とを加算して和信号1を求める第1の加算器と、この和信号1と前記乗算器による積信号とを加算して和信号2を得る第2の加算器とで構成したことを特徴とした請求項7記載のパルス幅変調インバータ装置。
  9. 前記キャリア周波数演算部は、基本波変調周波数信号と基準キャリア周波数信号との比信号を求める除算器と、この比信号の小数点以下を切り捨てて整数信号を求める第1の整数出力部と、この整数出力部からの整数信号と前記基準キャリア周波数信号との積信号を得る第1の乗算器と、前記基本波変調周波数信号と予め決められたキャリア補正周波数係数との積信号を得る第2の乗算器と、この積信号の小数点以下を切り捨てて整数信号を求める第2の整数出力部と、この整数出力部からの出力信号と定数1を加算する第1の加算器と、この加算器の出力と前記第1の乗算器との出力信号とを加算する第2の加算器とで構成したことを特徴とした請求項7記載のパルス幅変調インバータ装置。
  10. 前記キャリア周波数演算器の出力側に、キャリア設定周波数信号の単位ステップ入力に対する変化率制限処理機能若しくは一次遅れフィルタ処理機能を有するキャリア平滑部を設け、この平滑部にて得られたキャリア平滑設定周波数信号をキャリア信号発生部に出力するよう構成したことを特徴とした請求項7乃至9の何れかに記載のパルス幅変調インバータ装置。
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