JP5516107B2 - 三相電力変換装置 - Google Patents

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この発明は、三相ブリッジ接続された半導体電力変換回路を2組用いてなる入出力三相3線式の三相電力変換装置に関する。
図6は、この種の三相電力変換装置の従来例を示す回路構成図である。図6において、1は商用電源などの三相交流電源、2は三相電力変換装置、3は三相電力変換装置2から給電される負荷である。
この三相電力変換装置2には三相交流電源1からの入力電流を検出する交流電流検出器21と、入力リアクトル22と、フィルタコンデンサ23と、例えば図示のようにIGBT(絶縁ゲート・バイポーラトランジスタ)とダイオードの逆並列回路からなる半導体スイッチ6組を三相ブリッジ接続してなるコンバータ主回路24と、コンバータ主回路24の直流出力端に接続される平滑コンデンサ25と、平滑コンデンサ25の両端電圧を中間直流電圧として検出する直流電圧検出器26と、例えば図示のようにIGBTとダイオードの逆並列回路からなる半導体スイッチ6組を三相ブリッジ接続してなるインバータ主回路27と、フィルタリアクトル28と、フィルタコンデンサ29と、入力リアクトル22,フィルタコンデンサ23,コンバータ主回路24からなるコンバータを所望の状態にスイッチング制御するコンバータ制御回路30と、インバータ主回路27,フィルタリアクトル28,フィルタコンデンサ29からなるインバータを所望の状態にスイッチング制御するインバータ制御回路50とを備えている。
ここで、フィルタコンデンサ23,29それぞれの接続方法をスター結線とし、その中性点同士を接続した構成にすることにより、コンバータ主回路24及びインバータ主回路27のスイッチング動作に起因する零相高周波電流をこの三相電力変換装置2内で還流させ、三相交流電源1や負荷3の接地回路に前記高周波電流が流れ込むのを抑制し、この高周波電流による外部への悪影響を低減している。
また、フィルタリアクトル28,フィルタコンデンサ29とにより、インバータ主回路27が出力する三相交流電圧の高調波成分を除去している。
以下に、図6に示した三相電力変換装置2の動作を、図7に示したコンバータ制御回路30の詳細回路構成図と図8に示したインバータ制御回路50の詳細回路構成図とを参照しつつ、説明する。
先ず、図7に示したコンバータ制御回路30にはコンバータ主回路24が出力する直流電圧を指令する直流電圧設定器31と、直流電圧設定器31の設定値と直流電圧検出器26で検出されたコンバータ主回路24の出力電圧としての中間直流電圧との偏差を求める加算演算器32と、求めた偏差が零になるように調節演算を行う電圧調節器33と、三相電力変換装置2の入力電圧に同期した各相毎の基準正弦波を発生させる基準三相正弦波発生器34と、これらの基準正弦波に電圧調節器33が出力する調節演算値を乗算演算して各相毎の正弦波状の電流指令値を生成する乗算演算器35,39,43と、これらの電流指令値と交流電流検出器21で検出された各相の入力電流との偏差を求める加算演算器36,40,44と、求めた各相の偏差が零になるように調節演算を行う電流調節器37,41,45と、電流調節器37,41,45それぞれが出力する調節演算値としての各相のPWM(パルス幅変調)信号に基づいたPWM制御を行い、この演算結果に対応したコンバータ主回路24の各IGBTへのゲート信号を生成するPWM制御器38,42,46とを備えている。
すなわち、入力リアクトル22,フィルタコンデンサ23,コンバータ主回路24からなるコンバータと、周知の技術を用いて形成される上述の各構成要素を用いてなるコンバータ制御回路30とにより、三相交流電源1から見た三相電力変換装置2の入力力率をほぼ1に保ちつつ、該コンバータが出力する直流電圧を三相電力変換装置2の入力電圧の波高値以上の所望の値に設定することができる。
次に、図8に示したインバータ制御回路50にはインバータ主回路27,フィルタリアクトル28,フィルタコンデンサ29からなるインバータが出力する三相交流線間電圧の平均値を指令する出力電圧設定器51と、該インバータの出力電圧(線間電圧)の平均値を演算する平均値演算器52と、出力電圧設定器51の設定値と平均値演算器52で得られた前記インバータの出力電圧の平均値との偏差を求める加算演算器53と、求めた偏差が零になるように調節演算を行う電圧調節器54と、三相電力変換装置2の出力電圧の各相毎の基準正弦波を発振する基準三相正弦波発振器55と、これらの基準正弦波に電圧調節器54が出力する調節演算値を乗算演算する乗算演算器56,58,60と、乗算演算器56,58,60それぞれが出力する正弦波状の電圧指令値としての各相のPWM信号に基づいたPWM制御を行い、この演算結果に対応したインバータ主回路27の各IGBTへのゲート信号を生成するPWM制御器57,59,61とを備えている。
すなわち、インバータ主回路27,フィルタリアクトル28,フィルタコンデンサ29からなるインバータと、周知の技術を用いて形成される上述の各構成要素を用いてなるインバータ制御回路50とにより、先述の中間直流電圧を所望の周波数・振幅の三相交流電圧に変換して出力することができる。
なお、図6に示した三相電力変換装置2は、三相交流電源1からの交流電圧をこれとは異なる電圧または周波数の交流電圧に変換する電源装置として、あるいは図示しない蓄電池回路を中間直流電圧部に接続することにより、三相交流電源1が停電時にも負荷3への電力供給を継続する、いわゆる入出力三相3線式の無停電電源装置として用いられる。
特開2007−259688号公報(図3等)
図6に示した従来の三相電力変換装置において、平滑コンデンサ25の両端電圧すなわち中間直流電圧は、入力リアクトル22,フィルタコンデンサ23,コンバータ主回路24からなるコンバータ側の要求値と、インバータ主回路27,フィルタリアクトル28,フィルタコンデンサ29からなるインバータ側の要求値とを同時に満たす必要がある。
すなわち、前記コンバータ側においては、前記中間直流電圧は入力電流を正弦波状に制御するために、「2×入力相電圧ピーク値−入力リアクトル22の電圧降下分+制御余裕分」だけ必要である。また、前記インバータ側においては、前記中間直流電圧は出力電圧を正弦波状に制御するために、「2×出力相電圧ピーク値+フィルタリアクトル28の電圧降下分+制御余裕分」だけ必要である。
ここで、負荷3の容量が大きくなるのに伴って負荷電流が増大すると、フィルタリアクトル28の電圧降下分も増大する。従って、前記インバータ側の中間直流電圧は負荷3の定格容量時におけるフィルタリアクトル28の電圧降下分を見込んだ値が必要となり、この中間直流電圧は前記コンバータ側に対して必要以上に大きな値となる場合がある。
また、前記中間直流電圧が高くなるのに伴って、前記半導体スイッチのスイッチング動作による損失・発熱が増大することから、該中間直流電圧は可能な限り小さい値に設定できることが望まれる。
この発明の目的は、上記の課題を解決し、上記の要望を満たす三相電力変換装置を提供することにある。
この第1の発明は、三相交流電源に接続され、半導体スイッチ,入力リアクトル,フィルタコンデンサからなり該半導体スイッチへのPWM信号に基づくスイッチング動作により交流―直流変換を行うコンバータと、コンバータの直流出力端に接続される平滑コンデンサと、平滑コンデンサの両端に接続され、半導体スイッチ,フィルタリアクトル,フィルタコンデンサからなり該半導体スイッチへのPWM信号に基づくスイッチング動作により直流―交流変換を行うインバータとにより構成され、前記コンバータ及びインバータのフィルタコンデンサの接続方法をスター結線とし、その中性点同士を接続してなる三相電力変換装置において、
この三相電力変換装置の負荷電流に対応した振幅を有する前記インバータの出力電圧基本波の3倍調波成分を生成し、前記3倍調波成分を前記コンバータ及びインバータそれぞれへのPWM信号に加算し、この3倍調波成分を加算した信号を新たなPWM信号としたことを特徴とする。
第2の発明は、前記第1の発明に記載の三相電力変換装置において、
前記3倍調波成分の振幅は、前記負荷電流とフィルタリアクトルのインピーダンスとの積に相当する値としたことを特徴とする。
この発明によれば、三相電力変換装置の負荷電流の増大に対応して、該三相電力変換装置の制御をいわゆる正弦波変調方法から台形波変調方法に移行させることにより、従来の三相電力変換装置に比して、前記中間直流電圧を、前記コンバータ側およびインバータ側双方の要求を同時に満たしつつ、より小さい値に設定することが可能となり、従って、前記半導体スイッチのスイッチング動作に伴う損失・発熱を最小に抑えることができる。
この発明の実施例を示す三相電力変換装置の回路構成図 図1の部分詳細回路構成図 図1の動作を説明する波形図 図1の部分詳細回路構成図 図1の部分詳細回路構成図 従来例を示す三相電力変換装置の回路構成図 図6の部分詳細回路構成図 図6の部分詳細回路構成図
図1は、この発明の実施例を示す三相電力変換装置の回路構成図であり、この図において、図6に示した従来例構成と同一機能を有するものには同一符号を付して、ここではその説明を省略する。
すなわち図1に示した三相電力変換装置7には、従来の三相電力変換装置2に対して、この三相電力変換装置7から負荷3への出力電流を検出する交流電流検出器71と、3倍調波指令生成回路80とが追加設置され、また、コンバータ制御回路30がコンバータ制御回路30aに、インバータ制御回路50がインバータ制御回路50aにそれぞれ変更して設置されている。
この三相電力変換装置7の動作を、図2〜5に示す図面を参照しつつ、以下に説明する。
先ず図2は、三相電力変換装置7に備える3倍調波指令生成回路80の詳細回路構成図であり、81は交流電流検出器71から得られる三相電力変換装置7の出力電流の平均値を求める平均値演算器、82は求めた出力電流の平均値からその振幅を所望の値(レベル値)に調整するレベル調整器、83はインバータ制御回路50aに備える三相電力変換装置7の出力電圧の各相毎の基準正弦波を発振する基準三相正弦波発振器62(図4参照)において生成され、前記基準正弦波に位相同期し、且つその振幅一定の基準3倍調波と、前記レベル値とを乗算演算した3倍調波指令を出力する乗算演算器である。
図3は、インバータ主回路27を構成する各IGBTへのPWM信号に基づくスイッチング動作により、平滑コンデンサ25の両端電圧としての中間直流電圧を所望の振幅・周波数の交流電圧を生成するときの基本動作を説明する波形図を示している。
図3(イ)はいわゆる正弦波変調時において、正弦波状のPWM信号に基づく三相電力変換装置7が出力する正弦波状の相電圧波形を示し、また、図3(ハ)はいわゆる台形波変調時において、台形波状のPWM信号に基づく三相電力変換装置7が出力する台形波状の相電圧波形を示し、この台形波は、図3(イ)に示した波形としての基本波正弦波に、図3(ロ)に示す3倍調波を加算することにより得られる。ここで、図3(イ)の波形を得るための前記中間直流電圧の振幅を「A」とし、3倍調波の振幅を「A/6」に設定すると、図3(ハ)の波形を得るための前記中間直流電圧の振幅は「{31/2/2}A」となることが知られている。また、この台形波変調時においても、三相出力の線間電圧が正弦波状になることも知られている。すなわち、台形波状のPWM信号を用いることにより、前記中間直流電圧をより低く設定することが可能である。
この発明の三相電力変換装置7では、負荷3の容量が大きくなるのに伴って負荷電流が増大すると、フィルタリアクトル28の電圧降下分も増大することに着目し、例えば、無停電電源装置に供用されるときには、フィルタリアクトル28の電圧降下分も定格出力時の定格電圧に対して15%以下に容易に設定できることから、三相電力変換装置7の負荷電流の増大に対応して、インバータ主回路27を構成する各IGBTへのPWM信号を正弦波変調方法(無負荷時)から台形波変調方法に移行させるようにしている。
すなわち、図2に示した3倍調波指令生成回路80を構成するレベル調整器82において、そのレベル値をフィルタリアクトル28の電圧降下分(負荷電流の平均値とフィルタリアクトル28のインピーダンスとの積)に相当する値に調整している。
次に図4は、三相電力変換装置7に備えるインバータ制御回路50aの詳細回路構成図であり、このインバータ制御回路50aには従来のインバータ制御回路50における基準三相正弦波発振器55に代えて、三相電力変換装置7の出力電圧の各相毎の基準正弦波を発振する基準三相正弦波発振器と、前記基準正弦波に位相同期し、且つその振幅一定の基準3倍調波発振器とかなる基準三相正弦波発振器62を備え、さらに、加算演算器63〜65が追加されている。
この加算演算器63〜65は、乗算演算器56,58,60それぞれが出力する正弦波状の電圧指令値としての各相のPWM信号に、3倍調波指令生成回路80が出力するフィルタリアクトル28の電圧降下分に対応した3倍調波指令をそれぞれ加算し、この加算した値を新たなPWM信号としている。従って、PWM制御器57,59,61では、この新たなPWM信号に基づいたPWM制御を行い、この演算結果に対応したインバータ主回路27の各IGBTへのゲート信号を生成するようにしている。
その結果、前記インバータ側からの要求としての中間直流電圧を、この三相電力変換装置7から負荷3への出力電流に関係なくほぼ一定値で、従来の三相電力変換装置2に比して、より低い値にすることが可能となる。従って、インバータ主回路27を構成する半導体スイッチのスイッチング動作に伴う損失・発熱を最小に抑えることができる。
図5は、三相電力変換装置7に備えるコンバータ制御回路30aの詳細回路構成図であり、このコンバータ制御回路30aには、従来のコンバータ制御回路30に加算演算器47〜49が追加されている。
この加算演算器47〜49は、電流調節器37,41,45それぞれが出力する正弦波状の調節演算値としての各相のPWM信号に、3倍調波指令生成回路80が出力する前記3倍調波指令をそれぞれ加算し、この加算した値を新たなPWM信号としている。従って、PWM制御器57,59,61では、この新たなPWM信号に基づいたPWM制御を行い、この演算結果に対応したインバータ主回路24の各IGBTへのゲート信号を生成するようにしている。
この発明の三相電力変換装置7では、交流電源1の電圧位相と三相電力変換装置7の出力電圧位相とは常に同期しているとは限らないため、前記3倍調波指令に基づいて前記中間直流電圧の余裕度が減少するが、この余裕度が減少に対して、先述の入力電流を正弦波状に制御するための「2×入力相電圧ピーク値−入力リアクトル22の電圧降下分+制御余裕分」の関係から、入力リアクトル22の電圧降下分が相殺する極性であることが明らかである。
従って、上述のように前記インバータ側からの要求としての前記中間直流電圧はより低い値で良いことから、入力リアクトル22,フィルタコンデンサ23,コンバータ主回路24からなるコンバータ側の要求としての前記中間直流電圧は、この三相電力変換装置7から負荷3への出力電流の増大に伴って、より高くする必要が無い。その結果、コンバータ主回路24を構成する半導体スイッチのスイッチング動作に伴う損失・発熱を最小に抑えることができる。
1…交流電源、2…三相電力変換装置、3…負荷、7…三相電力変換装置、21…交流電流検出器、22…入力リアクトル、23…フィルタコンデンサ、24…コンバータ主回路、25…平滑コンデンサ25、26…直流電圧検出器、27…インバータ主回路、28…フィルタリアクトル、29…フィルタコンデンサ、30,30a…コンバータ制御回路、31…直流電圧設定器、32…加算演算器、33…電圧調節器、34…基準三相正弦波発生器、35,39,43…乗算演算器,36,40,44…加算演算器、37,41,45…電流調節器、38,42,46…PWM制御器、47〜49…加算演算器、50,50a…インバータ制御回路、51…出力電圧設定器、52…平均値演算器、53…加算演算器、54…電圧調節器、55…基準三相正弦波発振器、56,58,60…乗算演算器、7,59,61…PWM制御器、62…基準三相正弦波発振器、63〜65…加算演算器、71…交流電流検出器、80…3倍調波指令生成回路、81…平均値演算器、82…レベル調整器、83…乗算演算器。

Claims (2)

  1. 三相交流電源に接続され、半導体スイッチ,入力リアクトル,フィルタコンデンサからなり該半導体スイッチへのPWM信号に基づくスイッチング動作により交流―直流変換を行うコンバータと、
    コンバータの直流出力端に接続される平滑コンデンサと、
    平滑コンデンサの両端に接続され、半導体スイッチ,フィルタリアクトル,フィルタコンデンサからなり該半導体スイッチへのPWM信号に基づくスイッチング動作により直流―交流変換を行うインバータとにより構成され、
    前記コンバータ及びインバータのフィルタコンデンサの接続方法をスター結線とし、その中性点同士を接続してなる三相電力変換装置において、
    この三相電力変換装置の負荷電流に対応した振幅を有する前記インバータの出力電圧基本波の3倍調波成分を生成し、
    前記3倍調波成分を前記コンバータ及びインバータそれぞれへのPWM信号に加算し、この3倍調波成分を加算した信号を新たなPWM信号としたことを特徴とする三相電力変換装置。
  2. 請求項1に記載の三相電力変換装置において、
    前記3倍調波成分の振幅は、前記負荷電流とフィルタリアクトルのインピーダンスとの積に相当する値としたことを特徴とする三相電力変換装置。
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