JP4572048B2 - 有機塩素系有害物に汚染された物質の無害化処理方法 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、人体に対して有害な有機塩素系有害物に汚染された物質の無害化処理方法に関する。詳しくは、本発明は、ダイオキシン類に汚染された焼却灰、集塵飛灰、集塵ダスト、土壌等、あるいはポリ塩化ビフェニル(PCB)に汚染された土壌や絶縁油等の無害化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイオキシン類は、ゴミ焼却施設で、特に塩素を含有する廃プラスチック等の比較的低温での処理の際発生する毒性の極めて強い物質で、それによる汚染の広がりは、現在、社会問題となっている。
【0003】
そのため、連続高温燃焼の実施による発生の抑制やバグフィルター等の集塵方法の改善が行われている。しかし、ダイオキシン類の発生そのものを抑えることはできず、焼却灰や集塵ダスト中にはダイオキシン類が含まれている。従って、焼却灰や集塵ダスト中のダイオキシン類の処理が必要とされているが、高温プラズマを用いた処理が試験的に試みられているにすぎず、新しい簡便な無害化処理方法の開発が望まれているのが現状である。
【0004】
また、ポリ塩化ビフェニルは水に不溶であるが有機溶媒とは相互に溶解し、難燃性ないしは不燃性で、化学的に非常に安定である。さらに、電気的絶縁性に優れ、蒸気圧も低いなど優れた性質を持っている。そのため、ポリ塩化ビフェニルはトランスやコンデンサーに用いられる絶縁油をはじめとして多方面で利用されていた。
【0005】
しかし、ポリ塩化ビフェニルは野生生物や人体に対する毒性が極めて強く、1960年代の中頃から、それによる汚染の広がりが問題となり、1971年に生産、販売が禁止され、回収および保管が義務づけられた。従って、ポリ塩化ビフェニルは、廃棄することはもちろん、運搬することもできず、保管されているのが現状である。
【0006】
なお、ポリ塩化ビフェニルの処理のための方策としては、熱プラズマを用いた超高温分解処理や高温高圧容器を用いた超臨界水による分解処理が試験的に試みられている程度である。
【0007】
このような実状にあるなかで、特表平8−504665号公報に、ダイオキシン類やポリ塩化ビフェニル等の有毒物質をメカノケミカル処理して無毒な最終生成物を得ることができるという記載が見られる。しかし、ダイオキシン類の存在状態やそれをメカノケミカル処理する条件についての具体的な記載は見られない。
【0008】
ダイオキシン類は、前掲の公報(特表平8−504665号公報)に記載されている他の有毒物質とは異なり、純物質として、または高濃度で存在することはない。濃度の高い場合でも、1ppm未満のng/g(10−9g/g)の単位で表される程度の極めて低い濃度で、焼却灰、集塵飛灰、集塵ダスト、土壌等の中に混入している。このような状態にあるダイオキシン類を処理することは極めて困難である。
【0009】
また、同公報では、純物質としてのポリ塩化ビフェニルが処理の対象とされており、12時間という長時間のメカノケミカル処理で、ポリ塩化ビフェニルの分解後の濃度は数ppmであったという記載が見られる。
【0010】
しかし、現実に存在するポリ塩化ビフェニルは、例えば、ポリ塩化ビフェニルを含む絶縁油を廃棄するために保管している容器から漏れて土壌等にしみ込んだ状態で存在している。前掲の公報には、このような有害物質中のポリ塩化ビフェニルの濃度を、現在、環境基準として定められている1ppmまで短時間で低減する実用的な条件については何ら記載されていない。
【0011】
以上述べたように、現実に存在するダイオキシン類に汚染された物質、あるいは、ポリ塩化ビフェニルに汚染された土壌やポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油等の処理についての具体的な方法は確立されていない。
【0012】
本発明の課題は、このような、現実に存在するダイオキシン類に汚染された焼却灰、集塵飛灰、集塵ダスト、土壌等、あるいはポリ塩化ビフェニルに汚染された土壌やポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油等の無害化処理方法を提供することにある。
【発明の開示】
【0013】
本発明者らは、ダイオキシン類に汚染された物質、ポリ塩化ビフェニルに汚染された土壌等をメカノケミカル処理するに際し、それらの有害物質中に含まれる水分が処理に伴い生じる反応に多大な影響を与えることを知見した。
【0014】
本発明は、現実に存在する極めて低い濃度のダイオキシン類に汚染された焼却灰、集塵飛灰、集塵ダスト、土壌等、あるいはポリ塩化ビフェニルに汚染された土壌やポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油等を処理の対象とし、かつ、処理に際して、前記の有害物質中に存在する水分の影響を極力排除することを特徴としている。
【0015】
本発明の要旨は、下記のとおりである。
【0016】
下記の工程による有機塩素系有害物に汚染された物質の無害化処理方法。
(1)被処理物を乾燥する。
(2)乾燥状態の上記物質に酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一方を混合する。
(3)上記の混合物をメカノケミカル処理する。
【0017】
上記の無害化処理方法において、有害物質がダイオキシン類またはポリ塩化ビフェニルであれば、処理を効果的に行うことができる。
【0018】
被処理物、酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一つをあらかじめ粉砕すれば、メカノケミカル処理を効率よく行うことができる。
【0019】
酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一方を混合する際に、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素のうちの少なくとも一方を含有する物質を混合すれば、それが粉砕助剤として働き、メカノケミカル処理の効率を高めることができる。
【0020】
上記の無害化処理方法において、工程(3)のメカノケミカル処理の前、または処理の後、または処理の前後に水和物を生成する無機粉末を混合してもよい。または、その後さらに水を加えて混合物を固化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1図は、メカノケミカル処理による焼却灰中のダイオキシン類の低減効果を示す図である。
【図2】第2図は、メカノケミカル処理による汚染土壌中のダイオキシン類の低減効果を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、下記の工程による有機塩素系有害物に汚染された物質(被処理物)の無害化処理方法である。
(1)被処理物を乾燥する。
(2)乾燥状態の上記物質に酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一方を混合する。
(3)上記の混合物をメカノケミカル処理する。
【0023】
ここで、「有機塩素系有害物」とは、ダイオキシン類(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシンの他、ポリ塩化ジベンゾフラン、コプラナPCB等を指す)、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等、塩素を置換基として有し、人体に対して強い毒性を示す有機化合物をいう。
【0024】
また、「有害物質に汚染された物質」とは、前記の有機塩素系有害物に汚染された物質であって、具体的には、ダイオキシン類に汚染された焼却灰、集塵飛灰、集塵ダスト、土壌等、あるいはポリ塩化ビフェニルに汚染された土壌や、ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油等の液状のポリ塩化ビフェニル汚染物質をいう。なお、この有機塩素系有害物に汚染された物質を、上記のように「被処理物」ともいう。
【0025】
「酸化カルシウムを含有する物質」とは、酸化カルシウムを主要成分として含有する物質をいう。鉄鋼生産で発生する高炉スラグ(徐冷スラグ、水砕スラグのいずれでも可)、転炉スラグ、取鍋残留スラグ、電気炉スラグ、二次精錬スラグ、取鍋精錬スラグ等の鉄鋼スラグが一例としてあげられる。
【0026】
また、「メカノケミカル処理」とは、例えばボールミル等の衝撃粉砕装置で機械的エネルギーを加えつつ処理対象物を混合粉砕する処理である。ボールの落下に伴う衝撃力による粉砕の過程で処理対象物は物理的に引きちぎられ、活性の高い分子面ができる。そのため、メカノケミカル処理を行うことによって、常温では起こり得ない反応(メカノケミカル反応)を進行させることができる。
【0027】
本発明の無害化処理方法によって有害物質に汚染された物質(被処理物)を処理することができるのは、以下の事実に基づいている。すなわち、化学的に安定な有機塩素化合物であるダイオキシン類やポリ塩化ビフェニルに酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一方を混合し、メカノケミカル処理を施すことによって、ダイオキシン類やポリ塩化ビフェニルを構成する元素間の結合のうち比較的結合力が弱い炭素と塩素とが切り離され、離脱した塩素と酸化カルシウムとが反応して安定な塩化カルシウムが生成する。なお、この一連の処理を、以下、「無害化処理」ともいう。
【0028】
以下、本発明に係る、有機塩素系有害物に汚染された物質(被処理物)の無害化処理方法を前記の工程順に説明する。
【0029】
工程(1) 被処理物の乾燥工程
乾燥工程を必須の要件とするのは、上記の被処理物の無害化処理に対し、水分が著しい悪影響を及ぼすからである。これは、本発明者らが見いだした事実で、例えばダイオキシン類に汚染された焼却灰、集塵飛灰、集塵ダスト、土壌等をメカノケミカル処理する際に、これらの被処理物に含まれる水分が、場合によっては処理の際に生じる反応を停止させたり、より一層有害な物質(例えば、八塩化ジベンゾパラジオキシン、さらには、四塩化ジベンゾパラジオキシン)を生成したりする。
【0030】
現実に存在するダイオキシン類に汚染された焼却灰、集塵飛灰、集塵ダスト、土壌等のうち、焼却灰、集塵飛灰、集塵ダスト等は、通常、発塵防止のため水が散布される。また、土壌においても、通常数十%の水分が含まれている。従って、これらダイオキシン類に汚染された物質に直接メカノケミカル処理を施そうとすると、常に水分が悪影響を及ぼすこととなる。
【0031】
また、ポリ塩化ビフェニルが染み込んだ土壌においては、通常、数十%の水分が含まれており、メカノケミカル処理するに際して常に水分が悪影響を及ぼす。また、ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油等は、長期間にわたる保管の際、密閉が不十分で、吸湿している場合があり、そのときは水分が処理に対して悪影響を及ぼすことになる。すなわち、これらに含まれる水分が、場合によっては処理の際に生じる反応を停止させたり、より一層有害な物質(六塩化ビフェニル、さらには、七塩化ビフェニル)を生成したりする。
【0032】
上述した理由によって、メカノケミカル処理に先立ち、あらかじめ被処理物を乾燥して、水分を除去するのである。
【0033】
水分の作用(悪影響)の一つは、水分が、混合された酸化カルシウムを水酸化カルシウムに変化させ、メカノケミカル処理によりダイオキシン類やポリ塩化ビフェニルから離脱した塩素の吸収を悪化させる作用である。他の一つは、水分が酸化カルシウムに作用して被処理物(すなわち、ダイオキシン類やポリ塩化ビフェニルに汚染された物質)の造粒現象を起こさせ、粉砕時の衝撃エネルギーを緩和して粉砕効果を低下させる作用である。
【0034】
これらの作用が出現する条件は、被処理物と、酸化カルシウム、または酸化カルシウムを含有する物質、またはそれらの両方との混合割合、酸化カルシウム含有物質中の酸化カルシウム含有量、被処理物の粒度、表面性状等の関係で決定される。従って、影響が無視できる水分含有量の上限を一義的に定めることはできない。
【0035】
被処理物中の水分含有量の目安は、被処理物がダイオキシン類に汚染された物質の場合、混合された酸化カルシウムの質量(CaOに換算した質量)に対して30質量%以下(以下、「%」は「質量%」を意味する)とするのが望ましい。より望ましくは20%以下であり、15%以下にすれば、より一層望ましい。なお、酸化カルシウムの混合量は、後に述べるように、被処理物と酸化カルシウムや酸化カルシウムを含有する物質の合計量に対して、CaO換算で少なくとも30%であることが望ましい。従って、混合する酸化カルシウムや酸化カルシウムを含有する物質の水分も少ない方が望ましい。
【0036】
また、被処理物がポリ塩化ビフェニルに汚染された物質、例えば土壌等の場合は、水分含有量の目安は、混合された酸化カルシウムの質量(CaOに換算した質量)に対して10%以下とするのが望ましい。より望ましくは5%以下であり、1%以下にすれば、より一層望ましい。ダイオキシン類に汚染された物質の場合と同様、混合する酸化カルシウムや酸化カルシウムを含有する物質の水分も少ない方が望ましい。なお、被処理物がポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油等の液状の物質の場合については後述する。
【0037】
乾燥方法は、特に限定されない。加熱乾燥、真空乾燥、天日乾燥、あるいはそれらの乾燥方法を組み合わせた方法等のいずれを用いてもよい。
【0038】
上記の工程(1) の乾燥に代えて、次に述べるように、被処理物中の有機塩素系有害物を有機溶媒で抽出し、抽出後の液から有機溶媒を揮発除去することにより水分を除去する方法を用いてもよい。これによって、土壌等をはじめとする比較的低濃度の汚染を受けた物質を処理の対象とする場合、処理効率を高めることができる。
【0039】
この溶媒抽出による水分除去方法では、まず、被処理物中の有機塩素系有害物を有機溶媒で抽出する。
【0040】
抽出に用いる有機溶媒は、有機塩素系有害物を抽出できるものであれば特に限定されないが、抽出後の液からの有機溶媒の除去のし易さ等を考慮すると、低沸点で、一般的に用いられているものが好ましい。例えば、トルエン、キシレン、アセトン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、クロロホルム等が好ましく、特に、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニル、DDT等を処理の対象とする場合は、ベンゼン環を有する溶媒または置換基として塩素を有する溶媒が抽出効率が高く、好ましい。
【0041】
抽出に使用する有機溶媒の量は、被処理物の容量の3倍程度が望ましい。
【0042】
抽出操作は、攪拌機能を持つ容器内で行うのがよい。ソクスレー抽出器またはこれに類似した構造を有する抽出装置を用い、溶媒の揮発−液化を繰り返して、有害物の抽出と濃縮を繰り返し行うのが、抽出効率が向上するので好ましい。
【0043】
有機溶媒による抽出工程では、処理対象の有機塩素系有害物以外の有機物も有機溶媒中に混入し、また、水分も有機溶媒に懸濁した状態で混入してくる。従って、この段階で抽出後の液を一旦濾過するのが望ましい。
【0044】
その後、抽出後の液から有機溶媒を揮発除去する。
【0045】
溶媒が除去された後の残渣には、他の有機物や水分も含まれており、半液体状、あるいはペースト状となっている。従って、これらを除去しておくのが望ましい。
【0046】
除去方法は特に限定されないが、110℃程度での加熱が最も簡便で、一般的である。なお、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニル、DDT等は蒸気圧が低いため蒸発することはない。
【0047】
その後、残渣に、酸化カルシウム、または酸化カルシウムを含有する物質、またはそれらの両方を混合し、メカノケミカル処理を行う。
【0048】
この溶媒抽出による水分除去方法で、有機塩素系有害物を有機溶媒で抽出した後、抽出後の液に酸化アルミニウムおよび二酸化珪素のうちの少なくとも一方を含有する物質を混合し、その後有機溶媒を揮発除去してもよい。これによって、前記有害物を酸化アルミニウムや二酸化珪素を含有する物質に付着させた状態で取り出すことができ、その取扱いが容易になる。また、これらの酸化アルミニウムや二酸化珪素を含有する物質が粉砕効果を高めて反応を促進するので、処理効率も向上する。
【0049】
また、有機塩素系有害物を有機溶媒で抽出した後、酸化カルシウム、または酸化カルシウムを含有する物質、またはそれらの両方を混合し、その後有機溶媒を揮発除去する方法を用いてもよい。有害物を酸化カルシウムや酸化カルシウムを含有する物質に付着させた状態で取り出すことができるので、その取扱いが容易になるとともに、酸化カルシウムや酸化カルシウムを含有する物質と被処理物との分散混合が促進され、処理効率も向上する。
【0050】
工程(2) 酸化カルシウム混合工程
乾燥状態の被処理物に酸化カルシウムを混合するのは、酸化カルシウムを次の工程のメカノケミカル処理により有機塩素系有害物から離脱した塩素と反応させて、塩素を安定な塩化カルシウムにするためである。
【0051】
酸化カルシウムの混合量が多いほど、また、酸化カルシウム含有物質を混合する場合は、それに含まれる酸化カルシウムの量が多いほど、被処理物中のダイオキシン類やポリ塩化ビフェニルの濃度を短時間で低下させることができる。
【0052】
酸化カルシウムの混合量は、被処理物がダイオキシン類に汚染された物質である場合を例にとると、被処理物と酸化カルシウムや酸化カルシウムを含有する物質の合計質量に対して、CaO換算で少なくとも30%とするのが好ましい。被処理物とほぼ同質量とするのがより好ましく、それによって効率的な処理が可能となる。なお、処理後は、被処理物中のダイオキシン類から除かれた塩素は安定な塩化カルシウムとなっているので、これをそのまま投棄しても害はない。
【0053】
被処理物がポリ塩化ビフェニルに汚染された土壌等である場合は、酸化カルシウムの混合量が、酸化カルシウムの反応当量の2倍以上になるように酸化カルシウム、または酸化カルシウムを含有する物質、またはそれらの両方を混合するのが好ましい。それにより、効率的な処理が可能となる。なお、「酸化カルシウムの反応等量」とは、ポリ塩化ビフェニルから離脱した塩素と酸化カルシウムとが反応して安定な塩化カルシウムを生成する際の反応式から求められる酸化カルシウムのモル数である。
【0054】
酸化カルシウムの混合量が上記反応当量に等しい場合でもポリ塩化ビフェニルからの塩素の除去は可能であるが、除去率が70〜80%に止まる。酸化カルシウム混合量が上記反応当量の約2倍であれば90%の除去率が得られる。99%以上の除去率を得るには、酸化カルシウム混合量は反応当量の3〜5倍とするのがよい。なお、処理後は、被処理物中のポリ塩化ビフェニルから除かれた塩素は安定な塩化カルシウムとなっているので、これをそのまま投棄しても害はない。
【0055】
前記の酸化カルシウムとしては、生石灰等を用いればよい。
【0056】
酸化カルシウムを含有する物質としては前述の鉄鋼スラグを使用することができる。特に酸化アルミニウムや二酸化珪素を含むスラグが好ましい。後述するように、メカノケミカル反応が促進されるからである。
【0057】
工程(3) メカノケミカル処理工程
この工程は、被処理物と酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一方との混合物を処理対象物とし、これをボールミル等の衝撃粉砕装置で機械的エネルギーを加えつつ混合粉砕する工程である。これによってメカノケミカル反応が進行して被処理物中のダイオキシン類やポリ塩化ビフェニルから塩素が離脱し、離脱した塩素と酸化カルシウムとが反応して安定な塩化カルシウムが生成する。すなわち、被処理物は無害化処理される。
【0058】
粉砕処理時間は、使用する粉砕装置の構造に基づく粉砕衝撃力が大きいほど、ボールの個数が多いほど、ボールの単重が大きいほど、また、ボールに対する処理対象物の質量比率が小さいほど、短くなる。しかし、処理時間を短くするためにボールに対する処理対象物の比率を低下させると、全体としての処理効率を低下させることになる。従って、実際には、個々の粉砕装置と運転条件に応じて、被処理物毎にあらかじめ処理時間とダイオキシン類やポリ塩化ビフェニルの濃度変化の関係を求めておき、被処理物のそれぞれについて必要とされる最終濃度に応じて決定すればよい。
【0059】
粉砕処理に使用できる粉砕機としては、ボールミル、遊星型ボールミル、アトライターミル、ロッドミル、ロールミル、クラッシャーミル等があげられる。この中でも、重力加速度の数倍以上の衝撃が与えられるタイプの粉砕機、例えば、遊星型ボールミルが好ましい。粉砕容器および粉砕用のボールの材質は、特に限定されることはないが、ステンレス鋼、クロム鋼、タングステンカーバイト、メノウ等が望ましい。
【0060】
上記本発明を実施するに際し、被処理物にあらかじめ粉砕処理(予備粉砕処理)を施しておけば、メカノケミカル反応を促進させることができる。特に、被処理物が土壌の場合、また、焼却灰であっても粒径の大きいものが含まれる場合は、予備粉砕処理を施すことによってメカノケミカル処理の効率を大幅に向上させることができる。この場合、粒径5mm以下に予備粉砕しておくのが望ましい。粒径の大きいものが含まれると、単に処理時間が長くなるだけでなく、場合によっては反応が停止することもある。
【0061】
また、混合する酸化カルシウムや酸化カルシウムを含有する物質も、被処理物に混合する前に粒径5mm以下に予備粉砕するか、または篩分けで5mmを超えるものを除いておくのが望ましい。なお、この場合は、前述した水分の影響を考慮すると、予備粉砕した直後に被処理物に混合するのが望ましい。例えば、粒径1mm以下まで予備粉砕したとしても、1週間以上保管したものを使用すると、吸湿現象と表面の活性度の低下により反応速度は著しく低下するからである。
【0062】
上記本発明において、酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一方を混合する際に、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素のうちの少なくとも一方を含有する物質を混合すれば、メカノケミカル反応を促進させることができる。酸化アルミニウムや二酸化珪素を含有する物質が粉砕助剤として働くからである。
【0063】
酸化アルミニウム、二酸化珪素、またはそれらの両方を含有する物質としては、例えば、ボーキサイト、アルミナ煉瓦、珪砂、珪石煉瓦等があげられる。さらに、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化クロム、炭化珪素等も同様の反応促進効果を示すが、酸化アルミニウムや二酸化珪素の混合物、化合物の方が安価で、かつ無害である。
【0064】
この酸化アルミニウムや二酸化珪素を含有する物質を混合する無害化処理方法は、後述するように、被処理物がトランスやコンデンサーに用いられているポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油等の場合、特に好適に適用し得る方法である。被処理物がダイオキシン類やポリ塩化ビフェニルに汚染された土壌等の場合は、土壌等に元々酸化アルミニウムや二酸化珪素が含まれているのに対し、ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油等にはそれらが含まれておらず、それらを混合することによる効果がより大きいからである。
【0065】
上記本発明の無害化処理方法において、土壌等をはじめとする比較的低濃度の汚染を受けた物質を対象とする場合、処理効率を高めるために、次のような前処理を行うのが効果的である。すなわち、ダイオキシン類に汚染された物質を水で洗浄し、粗粒部と、水と微粒部からなる洗浄水とに分離し、前記洗浄水から水分を除去する処理である。
【0066】
この前処理を行うことによって、前記粗粒部、すなわち土壌の大部分を占める部分のダイオキシン類は洗い流される。
【0067】
前記の、粗粒部と、微粒部を含む洗浄水とに分離する方法の一例をあげる。まず、水中に土壌を投入して攪拌し、懸濁液を作る。攪拌を停止すると粗粒子部分が沈殿し、上澄み部分に微粒子が懸濁した状態となるので、この上澄み液を分離する。攪拌停止後から上澄み液分離までの時間(静置時間)を調節することにより、分離する粒子径を変化させることができ、ダイオキシン類の分離効率はこの静置時間を調節することにより決定される。静置時間を同じに採っても、分離効率は土壌の発生場所毎に異なるので、この前処理を行うに際しては、それぞれの場所毎に必要な分離効率が得られる最適の静置時間をあらかじめ求めておくのがよい。
【0068】
洗浄に用いる水の量は、体積で、ダイオキシン類に汚染された土壌の2倍以上を目安とすればよい。
【0069】
別の分離方法としては、例えば、篩い目の開き幅が0.1mm程度の篩い目をもつ振動篩に土壌を入れ、土壌の微粒子部分を水とともに洗い流す方法があげられる。この場合は、選択する篩い目の大きさによりダイオキシン類の分離効率が決定される。従って、先の例と同じく土壌の発生場所毎に必要な分離効率が得られる最適の篩い目をもつ篩を選択すればよい。
【0070】
前記の水と微粒部からなる洗浄水(すなわち、微細なダストや土粒子の微粒子を含む懸濁液)に対しては、酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一方を混合し、メカノケミカル処理を行うのであるが、それに先立ち、微粒子を含む懸濁液から水分を除去する。
【0071】
微粒子を含む懸濁液から水分を除くには、この懸濁液に、例えば高分子凝集剤のような凝集剤を投入して微粒子を凝集沈殿させるか、孔径が0.01μm程度の目の細かいフィルターを用いて分離すればよい。得られる凝集沈殿物またはフィルターで分離した泥土状のものを脱水する方法としては、一般的には泥土の脱水処理で用いられているスクリュ−デカンタやフィルタープレスによる脱水、ロールプレス脱水、高圧薄層脱水等が適用可能である。しかし、微粒子で構成された土は「シルトまたは粘土」と呼ばれる状態のものとなり、脱水時に固まるので、脱水後に乾燥し、粉砕する工程が必要となる。
【0072】
推奨される方法は、微粒子を含む懸濁液の含水比を適正含水比に調整しておき、この懸濁液の流れに衝撃波を伴う熱風を吹き付けて水分を蒸発させる方法である。例えば、パルスジェットエンジンを備えた乾燥装置により実施することができる。また、スプレードライヤーや、媒体流動層方式のドライヤーを備えた乾燥装置により水分を蒸発させる方法を用いてもよい。
【0073】
なお、水分を除去する前に、微粒子を含む懸濁液に酸化アルミニウムまたは二酸化珪素を含有する物質、またはそれらの両方を含有する物質を添加しておけば、メカノケミカル反応を促進させることができる。
【0074】
以上説明した本発明の無害化処理方法を2〜3の被処理物を例にとって具体的に述べる。
【0075】
例えば、ダイオキシン類に汚染された焼却灰を処理する場合、まず、その焼却灰を110℃で約2時間乾燥し、その後常温まで冷却し、酸化カルシウムを混合して、遊星型ボールミル等で粉砕する。粉砕時間は2〜3時間であるが、反応速度が遅く、数時間を超える場合もある。なお、酸化カルシウムは、あらかじめ粉砕した酸化カルシウムを用いるのが好ましい。
【0076】
ポリ塩化ビフェニルに汚染された土壌を処理する場合も、上記と同様に、110℃で約2時間乾燥し、その後常温まで冷却し、あらかじめ粉砕した酸化カルシウムを混合して、遊星型ボールミル等で粉砕すればよい。粉砕時間は2〜3時間であるが、反応速度が遅く、数時間を超える場合もある。
【0077】
また、10年以上保管されたポリ塩化ビフェニルが混合されたトランスの絶縁油を処理する場合は、無水硫酸マグネシウムを添加して水分を除去し、その後硫酸マグネシウムをろ過して取り除き、あらかじめ粉砕した酸化カルシウムと二酸化珪素を混合し、遊星型ボールミル等で粉砕する。この場合も粉砕時間は2〜3時間であるが、反応速度が遅く、数時間を超える場合もある。
【0078】
上記本発明の無害化処理方法によれば、ダイオキシン類に汚染された焼却灰、集塵飛灰、集塵ダスト、土壌等、あるいはポリ塩化ビフェニルに汚染された土壌や、保管中のポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油等の処理が可能である。
【0079】
また、鉄鋼スラグは酸化アルミニウムや二酸化珪素を含んでおり、メカノケミカル反応を促進する効果があるので、これを酸化カルシウムを含有する物質として利用すれば、処理費用の削減に加え、処理時間の短縮も可能である。
【0080】
上述した本発明の無害化処理方法において、メカノケミカル処理の前、または処理の後、または処理の前後に水和物を生成する無機粉末を混合してもよい。
【0081】
水和物を生成する無機粉末を混合することにより、前記被処理物を無害化処理すると同時に、高強度の水和物を生成する物質(これを、ここでは「無機粉末混合物」という)とすることができる。この無機粉末混合物は、既に無害なものとなっており、水を加えると固化するので、単に投棄するだけではなく、土質系の無機材料として土木建材用等に広く有効利用できる可能性がある。
【0082】
この発明の無害化処理方法で混合する「水和物を生成する無機粉末」とは、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化珪素、硫酸カルシウム等をいう。これらのうちの1種以上を適宜混合する。すなわち、上記の処理により得られる物質に、水を加えて混合することによって水和物を生成するような組成になるように前記無機粉末を混合する。生成する水和物としては、3CaO−Al2 O3 −3CaSO4 ・32H2 O(エトリンガイト)、3CaO−Al2 O3 −CaSO4 ・12H2 O(モノサルフェイト水和物)、nCaO−SiO2 ・mH2 O(ケイ酸カルシウム水和物)、3CaO−Al2 O3 ・6H2 O(アルミン酸カルシウム水和物)等があるが、これらの成分系が出現する組成になるように前記無機粉末を混合すればよい。
【0083】
例えば、被処理物にその処理に必要な酸化カルシウムを混合した場合、その混合量に見合った量の他の無機粉末(酸化アルミニウム、二酸化珪素、硫酸カルシウム等)を配合すればよい。これによって、被処理物中の有機塩素系有害物の塩素が除去された、しかも水和物を生成し得る無機粉末混合物が得られる。配合割合は、どのような水和物を得ようとするかによって異なるので、得られる無機粉末混合物の用途に応じて適宜定めればよい。
【0084】
水和物を生成する無機粉末は、メカノケミカル処理の前、または処理の後、または処理の前後に混合する。処理前に混合すれば、メカノケミカル処理によって加えられる機械的エネルギーで酸化カルシウムおよび水和物を生成する無機粉末の粒子が物理的に引きちぎられ、活性の高い分子面ができるので、水和等の反応が生じやすい活性化された状態になる。従って、得られる無機粉末混合物に水を加えると、メカノケミカル処理を施していない場合に比べて水和反応が著しく促進されるので、固化体の強度の向上効果が大きい。また、水和反応が促進される結果、アルカリの溶出が抑えられる。
【0085】
水和物を生成する無機粉末をメカノケミカル処理後に混合する場合は、混合後に再度メカノケミカル処理を行うのが望ましい。
【0086】
酸化カルシウムに加え、酸化アルミニウム、または二酸化珪素、またはそれらの両方を含有する物質を混合すれば、前述したように、反応が促進される。例えば、ボーキサイト、アルミナ煉瓦、珪砂、珪石煉瓦等を混合するのが望ましい。さらに、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化クロム、炭化珪素等も同様の反応促進効果を示す。
【0087】
酸化カルシウムを含有する物質として、または水和物を生成する無機粉末として、またはそれら両方の特性を有するものとして前述した鉄鋼スラグを使用することができる。特に、酸化アルミニウムや二酸化珪素を含むスラグを用いる方が、メカノケミカル反応が促進されるので好ましい。ただし、高炉スラグを水和物を生成する無機粉末として用いる場合は、水硬性のある水砕スラグの方が好ましい。
【0088】
上記酸化カルシウムを含有する物質に含まれる酸化アルミニウムや二酸化珪素の含有量が低い場合でも、ボーキサイト、アルミナ煉瓦、珪砂、珪石煉瓦等の酸化アルミニウムや二酸化珪素を含有する物質(粉末)を混合すると反応が促進される。
【0089】
なお、上記の水和物を生成する無機粉末に加え、中和材および通気材のうちの少なくとも1種を混合してもよい。中和材(例えば、硫酸や、それを酸性土壌、無機粉末にあらかじめ含浸させたもの)を加えることにより、得られた無機粉末混合物に水を加えて固化したとき、固化体からのアルカリの溶出を少なくすることができる。また、通気材(例えば、多孔質のゼオライト等)を加えると透水性、通気性が改善されるので、得られた無機粉末混合物を植生緑化用に用いる場合等において好適であり、さらに用途の拡大も期待できる。
【0090】
上記の水和物を生成する無機粉末を混合する本発明の無害化処理方法において、被処理物(ダイオキシン類やポリ塩化ビフェニルに汚染された物質)、およびメカノケミカル処理の前に混合される酸化カルシウムや、酸化カルシウムを含有する物質等に含まれる水分量は、前述したように、極力少ない方がよい。従って、処理費用低減のために結晶水を含む無機粉末(例えば、排煙脱硫装置から排出される二水石膏等)を使用する場合は、メカノケミカル処理が終了した後添加するのがよい。なお、その際、前述したように、再度のメカノケミカル処理を1〜2時間程度行うのが望ましい。
【0091】
この水和物を生成する無機粉末を混合する無害化処理方法によれば、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニル、DDT等の有機塩素系有害物に汚染された物質を安価に、かつ短時間で処理し、しかも水和反応により固化させ得る無機粉末混合物とすることができる。
【0092】
この水和物を生成する無機粉末を混合する無害化処理方法で得られる無機粉末混合物に水を加え、この混合物を固化してもよい。固化物は無害なものとなっており、しかも高い強度を有しているので、単に投棄するだけではなく、以下に述べるような種々の用途に活用することが可能である。
【0093】
具体的には、この無機粉末混合物を現地へ運搬した後、必要な水分を添加し、例えばセメントを用いた場合に通常用いられている方法と同様の方法で養生する。水分を添加する前にこの混合物を成形し、その後必要な水分を添加し、養生してもよい。これにより強度が発現する。
【0094】
水分の添加量は、得られた無機粉末混合物中の水和物を生成する無機粉末の含有量、被処理物の種類等によって異なるが、少なすぎても強度は発現せず、多すぎても強度は下がる。水分の添加量が少なすぎる場合は水和反応が進行しない。多すぎる場合は、余分な水分が最終的には蒸発し、脱水するが、その余分な水分が存在していた部分が空孔となって残り、構造体としての強度が低下するからである。従って、使用の都度、適正な水分量をあらかじめ求めておくのがよい。
【0095】
上記の無機粉末混合物に水を加えてこの混合物を固化する本発明の無害化処理方法によれば、前記の無機粉末混合物を、土質系の無機材料として、河川堤防の基盤材、川床改良材、路盤材等の他、ビル建設の基礎材、橋梁の基礎材、地下埋没物の沈下防止材等、より強度が必要とされる土木建材用等にも使用することが可能である。
【0096】
さらに、この無害化処理方法は、それにより得られる固化物が重金属の溶出防止作用も備えているので、有機塩素系有害物に汚染された物質が重金属を含んでいる場合でも適用することができる。
【実施例1】
【0097】
ダイオキシン類を含む焼却灰100gに酸化カルシウム100gを混合し、遊星ボールミルで2〜4時間のメカノケミカル処理を行い、得られた混合試料についてダイオキシン類の分析を行った。分析は、環境庁大気保全局により作成された「有害大気汚染物質測定方法マニュアル」に規定される方法に準じて実施した。
【0098】
なお、前記焼却灰に対しては、2時間の天日乾燥処理、または110℃で2時間加熱後、デシケーター内で常温まで冷却する加熱乾燥処理を施した。また、比較のため、乾燥処理を行わない場合についても同じ条件でメカノケミカル処理を行い、ダイオキシン類の分析を実施した。
【0099】
焼却灰の水分含有量(酸化カルシウムの質量に対する水分含有量)は、乾燥処理を行う前は48%であり、天日乾燥処理後は約25.5%、加熱乾燥処理後は約7%であった。
【0100】
表1にそれぞれの乾燥処理条件下におけるダイオキシン濃度を示す。ここに、ダイオキシン濃度(pg−TEQ/g)とは、この例でいえば、焼却灰1gに対するダイオキシン類の質量比で、前記ダイオキシン類の質量として、分析されるそれぞれのダイオキシン類のピコグラム(pg)で表した質量にそれぞれ定められている毒性係数を乗じたものの合計として表した、すなわち毒性等量(TEQ)に換算した質量を用いたものである。以下に述べる実施例においても同様である。
【0101】
【表1】
【0102】
天日乾燥処理、加熱乾燥処理のいずれの場合においても、メカノケミカル処理を行うことによってダイオキシン濃度は低下した。特に、加熱乾燥処理によって十分に乾燥した場合は、ダイオキシン濃度の低下が顕著であった。これに対して、天日乾燥処理で水分が残留している場合は、メカノケミカル処理の初期にはダイオキシン濃度は低下したが、3時間を超えて処理を行っても、ダイオキシン濃度の低下は少なかった。ただし、さらに長時間、例えば6〜8時間のメカノケミカル処理を行えば、ダイオキシン濃度は低下する可能性があると考えられる。
【0103】
一方、乾燥処理を行わなかった場合は、反応速度に及ぼす水分の影響が大きく、ダイオキシン濃度の低下は乾燥処理を行った場合に比べて極めて少なかった。
【実施例2】
【0104】
ダイオキシン類を含む土壌100gに酸化カルシウム100gを混合し、遊星ボールミルで2〜4時間のメカノケミカル処理を行い、得られた混合試料について実施例1の場合と同じ方法でダイオキシン類の分析を実施した。
【0105】
前記土壌中には粒径5mm以上の土の粒子が存在したので、土壌に対し、粒径1mm以下になるように予備粉砕処理を施し、予備粉砕処理を行わなかった場合と比較した。なお、予備粉砕処理の実施の有無に関係なく、土壌に対して、110℃で2時間加熱後、デシケーター内で常温まで冷却する加熱乾燥処理を施した。
【0106】
土壌の水分含有量(酸化カルシウムの質量に対する水分含有量)は、乾燥処理を行う前は51%、乾燥処理後は9%であった。
【0107】
表2にダイオキシン濃度(pg−TEQ/g)を示す。
【0108】
【表2】
【0109】
いずれの場合もダイオキシン濃度は低下したが、特に、予備粉砕処理を行った場合、ダイオキシン濃度の低下は顕著であった。予備粉砕処理を行わなかった場合は、初期のダイオキシン濃度の低下も少なく、4時間の処理でも1/10程度までしか低下しなかった。ただし、長時間、例えば6〜8時間のメカノケミカル処理を行えば、予備粉砕を行っていない場合でもダイオキシン濃度は低下すると考えられる。
【実施例3】
【0110】
ダイオキシン類に汚染された焼却灰および土壌を対象として、大型遊星ボールミルを用いて実験を行った。
【0111】
用いた遊星ボールミルは、内径677mm、内部高さ677mmのポットを3基有している。遊星ボールミルの公転半径は850mmとし、回転速度は、公転、自転とも毎分70回(70rpm)とした。ただし、公転方向と自転方向は反対方向とした。
【0112】
実験では、乾燥処理を行って水分含有量(酸化カルシウムの質量に対する水分含有量)を0.9%まで低下させた焼却灰8kgに珪砂6kgと生石灰56kgを混合し、メカノケミカル処理を行った。また、別に、乾燥処理を行って水分含有量を1.6%まで低下させた汚染土壌10kgに生石灰60kgを混合し、メカノケミカル処理を行った。なお、大型実験であるため、生石灰の混合量は汚染物質量に対してそれぞれ7倍および6倍とした。
【0113】
それぞれの処理時におけるダイオキシン類の低減状況を第1図および第2図に示す。なお、ダイオキシン類の分析は、実施例1の場合と同じ方法で行った。
【0114】
図示した結果から明らかなように、ダイオキシン濃度は、焼却灰および土壌のいずれの場合も、処理時間の経過とともに急激に低下し、約10時間処理後、ほぼ0pg−TEQ/gとなった。
【実施例4】
【0115】
ダイオキシン類を含む電気炉ダスト100gに、酸化カルシウム100g、高炉徐冷スラグ244g、転炉スラグ238gまたは取鍋残留スラグ227gを混合し、遊星ボールミルで2〜4時間のメカノケミカル処理を行い、得られた混合試料について実施例1の場合と同じ方法でダイオキシン類の分析を実施した。各スラグの混合量は、酸化カルシウムとして一定の混合量(100g)になるように設定した。
【0116】
なお、いずれの場合も、電気炉ダストに対しては、110℃で2時間加熱後、デシケーター内で常温まで冷却する加熱乾燥処理を施した。また、酸化カルシウムおよび各スラグは、粒径1mm以下になるように予備粉砕処理を行った。
【0117】
電気炉ダストの水分含有量(酸化カルシウムの質量に対する水分含有量)は、乾燥処理を行う前は35%、乾燥処理後は13%であった。
【0118】
表3に各スラグの組成を、表4にダイオキシン濃度(pg−TEQ/g)を示す。
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】
鉄鋼スラグ中には酸化アルミニウムや二酸化珪素が存在するため、酸化カルシウムを単独で添加した場合よりもメカノケミカル処理の進行が速かった。
【実施例5】
【0122】
ダイオキシン類を含む電気炉ダスト100gに、酸化カルシウム100g、酸化カルシウム100g+酸化アルミニウム50g、または酸化カルシウム100g+二酸化珪素50gを混合し、遊星ボールミルで2〜4時間のメカノケミカル処理を行い、得られた混合試料について実施例1の場合と同じ方法でダイオキシン類の分析を実施した。
【0123】
なお、いずれの場合も、電気炉ダストに対しては、110℃で2時間加熱後、デシケーター内で常温まで冷却する加熱乾燥処理を行った。また、酸化カルシウムおよび各スラグは、粒径1mm以下になるように予備粉砕処理を行った。
【0124】
電気炉ダストの水分含有量(酸化カルシウムの質量に対する水分含有量)は、乾燥処理を行う前は41%、乾燥処理後は16%であった。
【0125】
表5にダイオキシン濃度(pg−TEQ/g)を示す。
【0126】
【表5】
【0127】
酸化カルシウムとともに酸化アルミニウムまたは二酸化珪素を混合した場合は、酸化カルシウムを単独で添加した場合よりもメカノケミカル処理の進行が速かった。
【実施例6】
【0128】
ポリ塩化ビフェニルに汚染されている土壌100gに酸化カルシウム100gを混合し、遊星ボールミルで2〜4時間のメカノケミカル処理を行い、得られた混合試料について、JIS K0095に規定されたECD−ガスクロマトグラフ法によりポリ塩化ビフェニルの分析を実施した。
【0129】
前記の土壌に対しては、2時間の天日乾燥処理、または110℃で2時間加熱後、デシケーター内で常温まで冷却する加熱乾燥処理を施した。また、比較のため、乾燥処理を行わない場合についても同じ条件でメカノケミカル処理を行い、ポリ塩化ビフェニルの分析を実施した。なお、土壌および酸化カルシウムのいずれについても、あらかじめ予備粉砕処理を行って粒径1mm以下とした。
【0130】
土壌の水分含有量(酸化カルシウムの質量に対する水分含有量)は、乾燥処理を行う前は46%であり、天日乾燥処理後は約25.5%、加熱乾燥処理後は約1%であった。
【0131】
表6にそれぞれの乾燥処理条件下におけるポリ塩化ビフェニル濃度(ppm)を示す。
【0132】
【表6】
【0133】
天日乾燥処理、加熱乾燥処理のいずれの場合においても、メカノケミカル処理を行うことによってポリ塩化ビフェニル濃度は低下した。特に、加熱乾燥処理によって十分に乾燥した場合は、土壌中の二酸化珪素などが反応促進剤の役割を果たすため反応が速く、ポリ塩化ビフェニル濃度の低下が顕著であった。
【0134】
これに対して、天日乾燥処理で水分が残留している場合は加熱乾燥処理を行った場合に比べて反応が遅かったが、さらに長時間のメカノケミカル処理を行えばポリ塩化ビフェニル濃度は低下するものと考えられる。
【0135】
一方、乾燥処理を行わなかった場合は、反応速度に及ぼす水分の影響が大きく、ポリ塩化ビフェニル濃度の低下は極めて少なかった。
【0136】
加熱乾燥処理を施した場合で、2時間のメカノケミカル処理後の土壌について、「土壌汚染に係わる環境基準」に規定される溶出試験を行った。その結果、ポリ塩化ビフェニルは検出されず、土壌汚染に係わる環境基準(<0.0005mg/リットル)を十分満たすものであった。
【実施例7】
【0137】
ポリ塩化ビフェニルに汚染されている土壌100gに酸化カルシウム100gを混合し、遊星ボールミルで2〜4時間のメカノケミカル処理を行い、得られた混合試料について実施例6の場合と同じ方法でポリ塩化ビフェニルの分析を実施した。
【0138】
その際、一部の土壌について粒径5mm以下になるように予備粉砕処理を行い、予備粉砕処理を行わなかった場合と比較した。また、酸化カルシウムについては粒径1mm以下になるように予備粉砕処理を行った。
【0139】
なお、土壌については、予備粉砕処理の実施の有無には関係なく、110℃で2時間加熱後、デシケーター内で常温まで冷却する加熱乾燥処理を行った。
【0140】
土壌の水分含有量(酸化カルシウムの質量に対する水分含有量)は、乾燥処理を行う前は42%であり、乾燥処理後は約1%であった。
【0141】
表7に各条件下におけるポリ塩化ビフェニル濃度(ppm)を示す。
【0142】
【表7】
【0143】
この結果から明らかなように、予備粉砕処理の効果は極めて大きかった。
【実施例8】
【0144】
ダイオキシンを含む焼却灰100gに酸化カルシウム100g、酸化アルミニウム30g、二酸化珪素30gを混合し、遊星ボールミルで4時間のメカノケミカル処理を行い、その後、二水石膏15gを添加し、さらに1時間のメカノケミカル処理を行い、得られた混合試料について実施例1の場合と同じ方法でダイオキシン類の分析を実施した。
【0145】
なお、前記の焼却灰に対しては、110℃で2時間乾燥後、デシケーター内で常温まで冷却する加熱乾燥処理を行った。
【0146】
ダイオキシンの濃度は、メカノケミカル処理前の焼却灰では、7300pg−TEQ/gであり、処理後の混合試料では、13pg−TEQ/gであった。
【0147】
さらに、処理後の混合試料に水分含有量が55%になるように水を添加して固化し、JIS A1216に規定される方法に準じて一軸圧縮強度を測定した結果、8.33×106 N/m2 (85kgf/cm2 )の高い値が得られた。
【実施例9】
【0148】
ポリ塩化ビフェニルに汚染されている土壌100gに高炉水砕スラグ微粉末100g、無水石膏20g、酸化カルシウム20gを混合し、遊星ボールミルで4時間のメカノケミカル処理を行い、得られた混合試料について、実施例6の場合と同じ方法でポリ塩化ビフェニルの分析を実施した。
【0149】
なお、前記の土壌に対しては、110℃で2時間乾燥後、デシケーター内で常温まで冷却する加熱乾燥処理行った。
【0150】
ポリ塩化ビフェニルの濃度は、メカノケミカル処理前の土壌では、3400ppmであり、処理後の混合試料では、0.8ppmであった。
【0151】
さらに、処理後の混合試料に水分含有量が55%になるように水を添加して固化し、JIS A1216に規定される方法に準じて一軸圧縮強度を測定した結果、9.02×106N/m2(92kgf/cm2)の高い値が得られた。
【実施例10】
【0152】
ダイオキシン類に汚染されている土壌1kgを、2リットルの水中に投入して10分間攪拌し、その後、篩い目の開き幅が0.1mmの篩い目をもつ振動篩にかけて粗粒子部分を分離した。その際、さらに1リットルの水で粗粒子部分を洗浄した。得られた約3リットルの洗浄液をエバポレーターを用いて脱水し、固形物を取り出し、これをさらに110℃で2時間乾燥した。この脱水・乾燥物(乾燥試料)の重量は97gであった。
【0153】
その後、この乾燥試料に酸化カルシウム100gを混合し、遊星ボールミルで4時間のメカノケミカル処理を行い、得られた処理後の試料について、実施例1の場合と同じ方法でダイオキシン類の分析を実施した。なお、分析は、ダイオキシン類に汚染されている土壌、ならびに水で洗浄した後の土壌(粗粒子部分)および乾燥試料(洗浄に用いた水を脱水乾燥したダイオキシン類を含む微粒子)についても行った。
【0154】
表8にダイオキシン類の分析結果を示す。
【0155】
【表8】
【0156】
この実施例によると、水で洗浄した後の土壌(粗粒子部分)のダイオキシン濃度は極めて低く、単に水で洗浄するだけでダイオキシン類は容易に洗い流されることがわかる。
【0157】
また、メカノケミカル処理後の試料のダイオキシン濃度も低く、しかも、メカノケミカル処理の対象物の量は元の土壌の量の1/10以下であった。すなわち、元の土壌を直接メカノケミカル処理する場合に比べて、少ない量の酸化カルシウムで処理できたことになる。さらに、元の土壌を直接メカノケミカル処理するに際し、この実施例で使用した200gを処理単位とする遊星ボールミルを用いたとすると、10回の処理が必要で、全量の処理には40時間を要することとなる。
【実施例11】
【0158】
ダイオキシン類に汚染されている土壌1kgにトルエン3リットルを加え、攪拌槽で約1時間抽出を行った後、濾過して土壌を取り除き、取り除いた土壌の内の約50gを抽出した液に戻した。その液からエバポレーターで有機溶剤を揮発除去し、得られた残渣を110℃で約2時間乾燥し、デシケーター内で常温まで冷却した。このとき得られた残渣は約86gであった。
【0159】
その後、この残渣にあらかじめ粉砕しておいた酸化カルシウム100gを混合し、遊星ボールミルで4時間のメカノケミカル処理を行い、得られた混合試料について、実施例1の場合と同じ方法でダイオキシン類の分析を実施した。なお、分析は、ダイオキシン類に汚染されている土壌および溶媒抽出残渣についても行った。
【0160】
表9にダイオキシンの分析結果を示す。
【0161】
【表9】
【0162】
この結果から明らかなように、土壌のダイオキシン濃度は上記のメカノケミカル処理により顕著に低下した。
【0163】
また、この実施例では、100gの酸化カルシウムで1kgの土壌の処理が可能であった。この土壌を直接メカノケミカル処理する場合は、約1kgの酸化カルシウムが必要となる。また、その際、この実施例で使用した200gを処理単位とする遊星ボールミルを用いたとすると、10回の処理が必要で、全量の処理には40時間を要することとなる。
【実施例12】
【0164】
ポリ塩化ビフェニルに汚染されている土壌1kgにトルエン3リットルを加え、攪拌槽で約1時間抽出を行った後、濾過して土壌を取り除き、抽出後の液に無水硫酸ナトリウムの粉末を100g加えて脱水処理を行った。次いで、脱水剤を濾過して除去し、残った抽出後の液に高炉徐冷スラグ60gを加えて攪拌した後、その液からエバポレーターで有機溶媒を揮発除去し、残渣を高炉スラグに付着させた状態で取り出した。このとき得られた残渣は約83gであった。
【0165】
その後、この残渣に遊星ボールミルで4時間のメカノケミカル処理を施し、得られた混合試料について、実施例6の場合と同じ方法でによりポリ塩化ビフェニルの分析を実施した。なお、分析は、ポリ塩化ビフェニルに汚染されている土壌および溶媒抽出残渣についても行った。
【0166】
また、高炉徐冷スラグは、あらかじめ予備粉砕処理を行って粒径5mm以下にしたものを使用した。
【0167】
表10にポリ塩化ビフェニルの分析結果を示す。
【0168】
【表10】
【0169】
この結果から明らかなように、土壌のポリ塩化ビフェニル濃度は上記のメカノケミカル処理により顕著に低下した。
【0170】
また、この実施例では、60gの高炉スラグで1kgの土壌の処理が可能であった。この土壌を直接メカノケミカル処理する場合、この実施例で使用した200gを処理単位とする遊星ボールミルを用いたとすると、10回の処理が必要で、全量の処理には40時間を要することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明の有害物質の無害化処理方法によれば、焼却灰、集塵飛灰、集塵ダスト、土壌等のダイオキシン類に汚染された物質、あるいはポリ塩化ビフェニルに汚染された土壌やポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油等を処理することができる。その際、被処理物に混合する酸化カルシウムを含有する物質として鉄鋼スラグを用いれば、メカノケミカル反応を促進して処理時間の短縮を図り、処理費用を削減することができる。
【0172】
さらに、水和固化が可能な無機粉末混合物とすることもでき、土木建材用に有効利用することが可能である。
Claims (13)
- 下記の工程による有機塩素系有害物に汚染された物質の無害化処理方法。
(1)被処理物を乾燥する。
(2)乾燥状態の上記物質に酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一方を混合する。
(3)上記の混合物をメカノケミカル処理する。 - 被処理物、酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一つをあらかじめ粉砕することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一方を混合する際に、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素のうちの少なくとも一方を含有する物質を混合することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
- 被処理物がダイオキシン類に汚染された物質であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の方法。
- 被処理物がポリ塩化ビフェニルに汚染された物質であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の方法。
- 酸化カルシウムの混合量が、ダイオキシン類に汚染された物質と、酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一方との合計量に対して、CaOに換算して30質量%以上であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の方法。
- 酸化カルシウムの混合量が、ポリ塩化ビフェニルから離脱した塩素と反応して塩化カルシウムを生成する酸化カルシウムのモル数の2倍以上であることを特徴とする、請求項1から3までおよび5のいずれかに記載の方法。
- 乾燥状態の混合物の水分量が、ダイオキシン類に汚染された物質と、酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一方との合計量に対して、30質量%以下であることを特徴とする、請求項1から4までおよび6のいずれかに記載の方法。
- 乾燥状態の混合物の水分量が、ポリ塩化ビフェニルに汚染された物質と、酸化カルシウムおよび酸化カルシウムを含有する物質のうちの少なくとも一方との合計量に対して、10質量%以下であることを特徴とする、請求項1から3まで、5および7のいずれかに記載の方法。
- 乾燥に代えて、被処理物中の有機塩素系有害物を有機溶媒で抽出し、抽出後の液から有機溶媒を揮発除去することにより水分を除去して、被処理物を乾燥状態にすることを特徴とする、請求項1から7までのいずれかに記載の方法。
- 被処理物が、ダイオキシン類に汚染された物質を水で洗浄して、粗粒部と、水と微粒部からなる洗浄水とに分離し、前記洗浄水から水分を除去して得られた、乾燥状態の微粒子であることを特徴とする、請求項1から4まで、6および8のいずれかに記載の方法。
- メカノケミカル処理の前、または処理の後、または処理の前後に水和物を生成する無機粉末を混合することを特徴とする、請求項1から11までのいずれかに記載の方法。
- メカノケミカル処理の前、または処理の後、または処理の前後に水和物を生成する無機粉末を混合し、メカノケミカル処理した後に水を加えて混合物を固化することを特徴とする、請求の範囲1から11までのいずれかに記載の方法。
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