JP4569446B2 - 適応フィルタおよび送受信装置 - Google Patents

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Description

この発明は、通信装置や制御装置等の適応信号処理に用いる適応フィルタおよび送受信装置に関する。
従来、通信と制御の適応信号処理の分野において、システム同定、エコーの消去等を目的として、入力信号系列に対して推定信号を出力する適応フィルタが多用されている。この適応フィルタに用いられる適応アルゴリズムの一つに確率近似アルゴリズムがある。確率近似アルゴリズムは適応フィルタの荷重を最適値に収束させることが保証されており、例えば最小二乗平均(LMS)アルゴリズムに比べると、より正確なフィルタ特性を実現できる。
確率近似アルゴリズムを用いた適応フィルタの一つとして、特許文献1にて開示されたものがある。特許文献1では、タップ数Mのディジタルフィルタで構成されたFIR型適応フィルタに確率近似アルゴリズムを用いており、この適応フィルタは、最新のM個の入力信号とM個のフィルタ荷重とを積和演算する積和演算器、フィルタ荷重を計算する荷重計算手段、および希望応答信号から積和演算器の出力信号を差し引いて残差信号を出力する減算器から構成されている。
この適応フィルタにおいて、
適応フィルタへの入力信号u(t)をAD変換したディジタル信号をu
最新のM個の入力信号を要素とする入力信号ベクトルを次の式(1)で表すx
=[u,uk−1,…,uk−m,…,uk−M+1]・・・式(1)
M個の荷重値を要素とする荷重ベクトルを次の式(2)で表すw
=[wk0,wk1,…,wkm,…,wk(M−1)]・・・式(2)
希望応答信号d(t)をAD変換したディジタル信号をd
とする。
ここで、tは時刻の因子、kはディジタル信号の離散的時刻を表す因子、mは積和演算器中の荷重の番号、wkmは荷重計算手段が算出するm番目のフィルタ荷重、Tは行列ベクトルの転置を表す記号である。
このとき、積和演算器は、最新のM個の入力信号からなる入力信号ベクトルxと各入力信号に対応するM個のフィルタ荷重からなる荷重ベクトルwとを積和演算して、演算結果yを出力する。また、減算器は、希望応答信号dから積和演算結果yを差し引いて、演算結果として残差信号eを出力する。この積和演算結果y、および残差信号eは、次の式(3)および式(4)で表される。
=w ・・・式(3)
=d−y=d−w ・・・式(4)
確率近似アルゴリズムを用いた適応フィルタでは、式(4)で求められた残差信号eの統計2乗平均E[|e]が最小になるような荷重ベクトルwを求める。
式(3)または式(4)における荷重ベクトルwは、荷重計算手段によって逐次的に更新されて積和演算器に入力される。この荷重ベクトルwは次の式(5)で表される。
k+1=w+G ・・・式(5)
ここで、Gは荷重修正の大きさを決定する因子であるゲイン、x は入力信号ベクトルxの複素共役数である。
式(5)におけるゲインGは荷重算出手段に内包されるゲイン算出手段により計算され、次の式(6)で表される。
=α/{(k+β)||x||}、(β>α/2)・・・式(6)
ここで、αは正定数のゲインパラメータ、βは正定数の時間遅れパラメータである。また、||x||はベクトルxのノルムであり、次の式(7)で示す2乗ノルムが使用される。
Figure 0004569446
特許文献1においては、式(6)で示すように、ゲインパラメータαおよび時間遅れパラメータβを用いてゲインGを求めており、ゲインGの算出のために語長の長いメモリを必要とせず、かつ適応フィルタの荷重ベクトルを短時間に最適値に収束できる適応フィルタを得ることができた。
ゲインパラメータαおよび時間遅れパラメータβの値は、この適応フィルタを適用する装置や当該装置の使用状況に応じて予め設定されるものである。例えば、適応フィルタが適用される状態を模擬した環境で、適応フィルタにより処理された受信信号が最適となるようにゲインパラメータαおよび時間遅れパラメータβの値を決定した後に、ゲインパラメータαおよび時間遅れパラメータβを設定した適応フィルタを実作動させる。つまり、既知の入力信号u(t)および既知の希望応答信号d(t)から、当該装置の使用状況に最適なゲインパラメータαおよび時間遅れパラメータβの値を求めることができる。
特許公報 第2887916号
しかし、式(6)で示されるゲインGを用いて表される荷重値を使用する適応フィルタにおいては、荷重値が収束するまでの時間や収束した荷重値の最適値からの誤差の大小などの荷重収束の性質、いわゆる荷重の収束特性を変更するには、ゲインパラメータαおよび時間遅れパラメータβを調整する必要がある。
従って、ゲインパラメータαおよび時間遅れパラメータβの2つの値を予め設定する際には、収束特性にも考慮して、所望の収束特性が実現されるような2つの値の最適値を求めて設定する必要がある。しかし、2つの値の最適値を求めるために手続きが複雑になる点や、最適な収束特性を実現するまでに2つの値を設定して収束特性を測定するという試行錯誤が膨大になりがちな点などが問題であった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、確率近似アルゴリズムを用いた適応フィルタにおいて、荷重の収束特性を容易に変更できる適応フィルタを得ることを目的とする。
この発明に係る適応フィルタは、M個の荷重値を記憶する荷重記憶手段、最新のM個の入力信号と荷重記憶手段が出力するM個の荷重値とを積和演算する積和演算手段、希望応答信号から積和演算手段が出力する積和演算結果を差し引く減算器、減算器が出力する残差信号と最新のM個の入力信号と荷重記憶手段が保持するM個の荷重値とから新たなM個の荷重値を計算する荷重計算手段を備え、最新のM個の入力信号を要素とする入力信号ベクトルをx、M個の荷重値を要素とする荷重値ベクトルをw、減算器が出力する残差信号をe予め設定された正定数のゲインパラメータをα、予め設定された正定数の時間遅れパラメータをβ、M個の荷重値の収束特性を変化させる正定数の時刻正規化パラメータをγ、ディジタル信号の離散的時刻を表す非負の整数をk、*を複素共役、||x||を入力信号ベクトルxのノルムとすると、荷重計算手段が、
k+1=w+αe /{(kγ+β)||x||
の関係式に基づきM個の荷重値を逐次的に更新することを特徴とする。
この発明によれば、荷重の収束特性の変更が容易な確率近似アルゴリズムを用いた適応フィルタを得ることができる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る送受信装置のブロック構成図である。この送受信装置は、信号の送信および受信を交互に実施したり、一時に送信または受信のどちらかを行ったりするだけでなく、送信および受信を同時に行うことも可能である。
図1において、送信信号を発生させる信号発生器1は、発生させた信号u(t)を送信アンテナ2およびFIR型適応フィルタ3に入力し、送信アンテナ2は信号u(t)を装置外部に送信する。また、受信アンテナ4は受信した信号d(t)をFIR型適応フィルタ3に入力する。FIR型適応フィルタ3は、入力信号u(t)およびd(t)を用いてフィルタ処理を行った受信信号を信号処理部5に出力する。
図2は、図1におけるタップ数MのFIR型適応フィルタ3の基本構成図である。
FIR型適応フィルタ3は、入力信号u(t)を標本化周期Δtでディジタル変換してそのディジタル信号uを出力するAD変換器6、最新のM個の入力信号とM個のフィルタ荷重とを積和演算する積和演算器7、フィルタ荷重を計算する荷重計算手段8、希望応答信号d(t)を標本化周期Δtでディジタル変換してそのディジタル信号dを出力するAD変換器9、および希望応答信号dから積和演算器7の出力信号yを差し引く減算器10から構成される。
なお、tは時刻の因子、kはディジタル信号の離散的時刻を表す因子を示し、図2において破線で囲む部分が積和演算器7を示し、この積和演算器7は請求項1における積和演算手段に相当する。
また、積和演算器7は、入力信号uを次々とAD変換器6の標本化周期Δtずつ遅延させる(M−1)個の遅延素子11、荷重計算手段8から出力されるM個のフィルタ荷重とM個の入力信号との積の演算を行うM個の乗算器12、および乗算器12から出力されるM個の乗算結果を加算して減算器10に出力する加算器13から構成される。
なお、図2において一点鎖線で囲む部分が(M−1)個の遅延素子11であり、二点鎖線で囲む部分がM個の乗算器12である。
次に、信号入力時のFIR型適応フィルタ3の動作概要を、図2を用いて説明する。
AD変換器6でディジタル変換された入力信号uが積和演算器7に入力した時、積和演算器7は、遅延素子11によりM個の入力信号u,uk−1,…,uk−m,…uk−M+1を得る。この最新のM個の入力信号を入力信号ベクトルxの要素とし、入力信号ベクトルxを次の式(8)で表す。
=[u,uk−1,…,uk−m,…,uk−M+1]・・・式(8)
ここで、Tは行列ベクトルの転置を表す記号である。
また、荷重計算手段8は、M個のフィルタ荷重を計算して乗算器12に出力する。最新の入力信号がuの場合に、荷重計算手段8は入力信号ベクトルuk−1等から計算したM個のフィルタ荷重を乗算器12に出力するとともに、最新の入力信号としてuk+1が入力したときに乗算器12に出力するためのM個のフィルタ荷重を計算する。このM個のフィルタ荷重を荷重ベクトルwの要素とし、荷重ベクトルwを次の式(9)で表す。
=[wk0,wk1,…,wkm,…,wk(M−1)]・・・式(9)
また、乗算器12は、最新のM個の入力信号と、荷重計算手段8から入力されたM個のフィルタ荷重とを乗算して加算器13に出力する。
この加算器13は、M個の乗算器12から入力された乗算結果を全て加算して出力する。加算器13が出力する信号yは、入力信号ベクトルxおよび荷重ベクトルwを用いて次の式(10)で表される。
=w ・・・式(10)
また、減算器10は、AD変換器9でディジタル変換された希望応答信号dから加算器13から入力された信号yを差し引き、次の式(11)で表される残差信号eを荷重計算手段8に出力する。
=d−y=d−w ・・・式(11)
ところで、荷重計算手段8は、入力された残差信号e、入力信号ベクトルxおよび荷重ベクトルwに基づき、荷重ベクトルwk+1を計算して乗算器12に出力する。この荷重ベクトルwは逐次的に更新され、次の式(12)で表される。
k+1=w+G ・・・式(12)
ここで、Gは荷重修正の大きさを決定する因子であるゲイン、x はxの複素共役数である。
また、式(12)におけるゲインGは、次の式(13)で表される。
=α/{(kγ+β)||x||}・・・式(13)
ここで、αは正定数のゲインパラメータ、βは正定数の時間遅れパラメータ、γは正定数の時刻正規化パラメータ、||x||はベクトルxのノルムであり、次の式(14)で示す2乗ノルムが使用される。
Figure 0004569446
このゲインGの計算式(13)は、特許文献1のゲインGを算出する式(6)において、分母部の離散的時刻kに時刻正規化パラメータγを乗じたものに等しい。
図3は、図2における荷重計算手段8の内部構成図であり、式(12)が示す荷重ベクトルwの出力処理および更新処理を実現している。
図3において、荷重計算手段8は、入力信号ベクトルxが入力される入力端子14、複素共役演算器15、2乗ノルム算出手段16、ゲイン算出手段17、残差信号eが入力される残差信号入力端子18、乗算器19および20、ベクトル加算器21、M個のフィルタ荷重を記憶する荷重記憶手段22、ならびに荷重ベクトルwを出力する荷重ベクトル出力端子23から構成される。
次に、図3を用いて式(12)が示す荷重ベクトルwの出力処理および更新処理を説明する。
入力端子14に入力信号ベクトルxが入力されると、入力信号ベクトルxと複素共役演算器15により演算されたxの共役複素数x とがノルム算出手段16に出力される。ノルム算出手段16は式(14)で示す2乗ノルムを計算してゲイン算出手段17に出力し、ゲイン算出手段17は入力された2乗ノルムを用いて式(13)が示す計算を行ってゲインGを出力する。一方、残差信号入力端子18には図2における減算器10により計算された残差信号eが入力され、乗算器19がゲインGと残差信号eとを乗算した結果である(G)を出力する。乗算器20は演算結果(G)と複素共役演算器15が出力したxの共役複素数x とを乗算した結果である(G )を加算器21に出力する。これにより、式(12)の右辺第2項が計算されたことになる。
現在のk回目の演算処理時、荷重記憶手段22には荷重ベクトルwが保持されている。荷重記憶手段22は現在保持している荷重ベクトルwを荷重ベクトル出力端子23に出力して図2における乗算器12に出力するとともに、加算器21に出力する。
加算器21は入力された荷重ベクトルwに乗算器20から入力された(G )を加算する。この演算結果は式(12)の左辺であるwk+1であり、荷重記憶手段22の荷重ベクトルをwからwk+1に更新する。
図1や図2に示した送受信装置およびFIR型適応フィルタ3は、適応フィルタとしては一般的な構成であり、適応フィルタとして基本的な動作を行っている。また、図3に示す荷重計算手段8の構成も、特許文献1における荷重計算手段と同様の構成である。しかし、図3におけるゲイン算出手段17では式(13)を用いてゲインGを算出しており、このゲインGの算出方法が特許文献1とは異なる。
次に、図4を用いて式(13)の計算処理を説明する。
図4は、図3におけるゲイン算出手段17の内部構成図である。図4において、カウンタ24はメモリ25の値に時刻kの経過に伴い正定数の時刻正規化パラメータγを加算する加算器26からなるものである。メモリ25には初期値として正定数の時間遅れパラメータβが設定されており、加算器26によりγが加算されてそれがメモリ25に更新される。なお、メモリ25の更新タイミングは、図3における荷重記憶手段22の更新タイミングに同期させている。図4には、k回目の処理時の値が記載されており、カウンタ24は(kγ+β)を出力する。
乗算器27は、カウンタ24から入力された値(kγ+β)とノルム算出手段16から入力された式(14)が示す2乗ノルムとの乗算処理を行い、{(kγ+β)||x||}を得る。その後、除算器28は、入力された正定数のゲインパラメータαを乗算器27から入力された値{(kγ+β)||x||}で除し、式(13)の右辺α/{(kγ+β)||x||}が計算され、ゲインGとして出力する。
このように、図4が示す構成により、式(13)が示すゲインGを計算することができる。
なお、図2が示すFIR型適応フィルタ3や図3が示す荷重計算手段8、図4が示すゲイン算出手段17などは、回路素子で実現しても良く、FPGA(Field Programmable Gate Array)で実現しても良い。また、一部のみを回路素子やFPGAで実現しても良い。
次に、ゲインパラメータαおよび時間遅れパラメータβの制限について考察する。式(13)の右辺は、分子および分母を時刻正規化パラメータγで除すことで次の式(15)のように変形することができる。
=(α/γ)/{(k+β/γ)||x||}・・・式(15)
この式(15)と特許文献1においてゲインGを計算する式(6)とを比較すると、式(15)における分子部の(α/γ)が式(6)における分子部のαに、式(15)における分母部の(β/γ)が式(6)における分子部のβに対応する。つまり、式(15)は、特許文献1において式(6)にパラメータαおよびβを代入する代わりに、αおよびβのそれぞれをγで除した値を代入することと等価である。
この特許文献1の式(6)については、荷重の更新を安定させるための(β>α/2)という条件が存在する。「荷重の更新が安定する」とは、最適値に対して生ずる荷重の誤差が時刻kに応じてマイナスやプラスになり、誤差の方向が一貫しないような場合が生じないという意味である(例えば特許文献1の0020段に記載)。式(15)は特許文献1の式(6)と等価であるため、式(15)のαおよびβを(β>α/2)の条件を満たすように設定すれば、荷重の更新が安定することが保証されると考えられる。つまり、式(13)に荷重の更新を安定させる条件を加えれば、次の式(16)のように表される。
=α/{(kγ+β)||x||} (β>α/2)・・・式(16)
次に、図5を用いて、式(13)に示すゲインGにおいて時刻正規化パラメータγを変更すると荷重の収束特性が変化することを示す。
図5は、擬似的に荷重の最適値を与えて、更に入力信号ベクトルxと希望応答信号dとを入力した時、荷重計算手段8が計算した荷重の最適値との誤差の時間変化を示したものである。横軸は離散的な時刻kを示す。また、縦軸は荷重の最適値との誤差を対数で示したものであり、時刻k=0において計算した荷重の最適値との誤差を0dBとしたものである。ここでは、α=50、β=50として、αおよびβの値を一定のまま、時刻正規化パラメータγを変化させている。曲線Aはγ=1.0の場合で、これは従来例である特許文献1が示す適応フィルタの荷重更新方式に相当する。曲線Bはγ=2.0の場合、曲線Cはγ=0.1の場合を示す。
曲線Aより、γ=1.0において計算した荷重の最適値との誤差は、時刻kの経過に伴い一定の値に近づいているため、荷重が収束していることが分かる。同様に、曲線Bや曲線Cにおいても、荷重の最適値との誤差が一定の値に近づいている。図5では、曲線Bより、γ=2.0における荷重は、γ=1.0時よりも速く収束しており、曲線Cより、γ=0.1における荷重は、γ=1.0時よりも収束が遅いことが分かる。
曲線Aおよび曲線Bより、γ>1.0にすると、荷重の収束速度は従来例より速くなるが、荷重の最適値からの誤差は大きくなると考えられる。また、曲線Aおよび曲線Cより、γ<1.0にすると、荷重の収束速度は従来例より遅くなるが、荷重の最適値からの誤差は小さくなると考えられる。
このように、γの値により荷重の収束特性が変化するため、当該適応フィルタを適用する装置やシステムに応じてγの値を変更することで、適切な収束特性を有する装置やシステムを得ることができる。例えば、リアルタイム処理が必要であるシステムにおいては、収束速度を早くするためにγの値を大きく設定したり、高精度なシステム同定が必要な場合には、荷重の最適値からの誤差が小さくするためにγの値を小さく設定したりするなどの操作が行える。
以上のように、この実施の形態1によれば、時刻正規化パラメータγを用いた式(13)によりゲインGを計算して適応フィルタの荷重ベクトルwk+1を更新するので、γの値により荷重の収束特性が変化し、確率近似アルゴリズムを用いた適応フィルタにおいて、荷重の収束特性を容易に変更できる適応フィルタを得ることができる。
また、式(16)に示すようにゲインパラメータαおよび時間遅れパラメータβの関係を(β>α/2)とすることで、荷重の更新を安定させることができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、FIR型適応フィルタ3や荷重計算手段8、ゲイン算出手段17などを回路素子やFPGAなどのハードウェアで実現する場合について述べたが、DSP(Digital Signal Processor)で実現しても良い。
図6は、荷重計算手段8をDSPで実現した場合の荷重計算方法を示すフローチャートである。なお、この実施の形態2に係るDSPは、時刻kを格納するメモリK、荷重ベクトルwを構成するM個のフィルタ荷重(wk0,wk1,…,wk(M−1))を格納するメモリW、入力信号ベクトルxを構成する最新のM個の入力信号(u,uk−1,…,uk−M+1)を格納するメモリX、入力信号ベクトルxの共役複素数x を格納するメモリY、ゲイン算出のための計算値を格納するメモリG、残差信号eを格納するメモリE、入力信号ベクトルxの2乗ノルムを格納するメモリΓを有する。
図6において、ステップS601で、正定数のゲインパラメータα、正定数の時間遅れパラメータβおよび正定数の時刻正規化パラメータγを設定し、ステップS602でメモリKに時刻遅れパラメータβの値をk=0のときの初期値として設定する。
また、ステップS603で、図2における乗算器12に設定されているM個の荷重値を、荷重ベクトルwとしてメモリWに格納する。
さらに、ステップS604では、入力信号ベクトルxが荷重計算手段8に入力されると、入力された入力信号ベクトルxをメモリXに格納し、この入力信号ベクトルxの複素共役数x を求めて計算結果をメモリYに格納し、図2における減算器10から入力された残差信号eをメモリEに格納する。
次に、メモリK、メモリX、メモリYおよびメモリEに設定された値を用いてゲインGおよび荷重値ベクトルwを計算する。
ステップS605で、ゲインパラメータαの値をメモリKの値で除した値をメモリGに格納し、ステップS606で、メモリXに格納された入力信号ベクトルxおよびメモリYに格納された入力信号ベクトルxの複素共役数x を元に2乗ノルム||x||を算出してメモリΓに格納する。
ステップS607で、メモリG、メモリE、メモリΓの値を元に、{<メモリGの値>・<メモリEの値>/<メモリΓの値>}、つまり式(12)の右辺第2項の一部である(G)=αe/{(kγ+β)||x||}を算出し、再びメモリGに格納する。
ステップS608で、メモリGおよびメモリYの値を元に、(<メモリGの値>・<メモリYの値>)、つまり式(12)の右辺第2項である(G )を算出し、これをメモリWの値に加え、メモリWに再び格納する。これにより式(12)の右辺が計算され、ステップS609でメモリWの内容、つまり荷重ベクトルwk+1が乗算器12に出力される。この荷重ベクトルwk+1は、乗算器12において、入力信号ベクトルxk+1との乗算処理に使用される。
さらに、ステップS610でメモリKの値を時刻正規化パラメータγだけ増した後に再びステップS603の処理に戻る。
このように、ステップS603からS610のサイクルは、ステップS604における入力信号ベクトルxの入力により進行しており、図2におけるAD変換器6の標本化周期Δtと周期が等しい。
なお、図6では、入力信号ベクトルxが入力されると、ステップS604の処理である入力信号ベクトルxのメモリXへの格納が始まり、ステップS603の処理である荷重ベクトルwの値をメモリWに格納したところで1つのサイクルが終了し、次の入力信号ベクトルxk+1の入力を待っていた。しかし、入力信号ベクトルxが入力された時にステップS603の処理から開始しても良い。
以上のように、この実施の形態2によれば、DSPを用いて図6で示すような動作により荷重計算が実現可能になり、実施の形態1と同様に荷重の収束特性を容易に変更できる適応フィルタを得ることができる。更に、DSPを用いた場合、プログラムの変更が容易になるため、パラメータα、β、γにさまざまな値を代入したり、ゲインの計算方法を変更したりして収束特性を調査する場合などに便利である。
ところで、上記説明では、この発明を送信および受信を同時に行うことが可能な送受信装置へ適用した場合について述べたが、PSTNや携帯電話等に用いるエコーキャンセラや、送信受信を交互に実施ならびに一時に送信または受信のどちらかを行うような通信機器に適用しても良い。
この発明の実施の形態1に係る送受信装置のブロック構成図である。 この発明の実施の形態1に係るFIR型適応フィルタの基本構成図である。 この発明の実施の形態1に係る荷重計算手段の内部構成図である。 この発明の実施の形態1に係るゲイン算出手段の内部構成図である。 この発明の実施の形態1に係るFIR型適応フィルタの収束特性を示す図である。 この発明の実施の形態2に係る荷重計算手段の計算方法を示すフローチャートである。
符号の説明
7 積和演算手段、8 荷重計算手段、10 減算器、22 荷重記憶手段

Claims (2)

  1. M個の荷重値を記憶する荷重記憶手段、
    最新のM個の入力信号と上記荷重記憶手段が出力する上記M個の荷重値とを積和演算する積和演算手段、
    希望応答信号から上記積和演算手段が出力する積和演算結果を差し引く減算器、
    この減算器が出力する残差信号と上記最新のM個の入力信号と上記荷重記憶手段が保持する上記M個の荷重値とから上記M個の荷重値を計算する荷重計算手段を備えた適応フィルタにおいて、
    上記最新のM個の入力信号を要素とする入力信号ベクトルをx
    上記M個の荷重値を要素とする荷重値ベクトルをw
    上記減算器が出力する上記残差信号をe
    予め設定された正定数のゲインパラメータをα、
    予め設定された正定数の時間遅れパラメータをβ、
    前記M個の荷重値の収束特性を変化させる正定数の時刻正規化パラメータをγ、
    ディジタル信号の離散的時刻を表す非負の整数をk、
    *を複素共役、
    ||x||を上記入力信号ベクトルxのノルム
    とすると、上記荷重計算手段が、
    k+1=w+αe /{(kγ+β)||x||
    の関係式に基づき上記M個の荷重値を逐次的に更新することを特徴とする適応フィルタ。
  2. 請求項1に記載の適応フィルタ、
    送信信号を発生させる信号発生器、
    上記送信信号を外部に送信する送信アンテナ、
    外部からの信号を受信する受信アンテナを備え、
    上記適応フィルタに上記送信信号および上記受信信号を入力することを特徴とする送受信装置。
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