JP2887916B2 - 適応フィルタとその荷重制御方法 - Google Patents

適応フィルタとその荷重制御方法

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JP2887916B2
JP2887916B2 JP2218891A JP2218891A JP2887916B2 JP 2887916 B2 JP2887916 B2 JP 2887916B2 JP 2218891 A JP2218891 A JP 2218891A JP 2218891 A JP2218891 A JP 2218891A JP 2887916 B2 JP2887916 B2 JP 2887916B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は通信と制御機器の適応信
号処理に用いる適応フィルタとその荷重制御方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、通信と制御の適応信号処理の分野
で、システム同定、エコーの消去等を目的とした確率近
似アルゴリズムを用いた適応フィルタが考えられてい
る。確率近似アルゴリズムは適応フィルタの荷重を最適
値(エコーキャンセラに適用した場合はエコー伝搬路の
インパルス応答にあたる)に収束させることが保証され
ていて、最小二乗平均(LMS)アルゴリズム等に比べ
てより正確なフィルタ特性が実現できる。従来の確率近
似アルゴリズムを用いた適応フィルタとして、例えば、
新中,他:“離散適応アルゴリズムの研究”,計測と制
御,Vol.28,No.12(1989)に開示され
たものがある。図1は上記文献に示された内容を応用し
たFIR型適応フィルタの全体構成図である。今、適応
フィルタが段数Mのディジタルフィルタで構成されると
すると、最新のM個の入力信号uとM個のフィルタ荷重
wとをたたみ込むたたみ込み演算器1、フィルタ荷重を
制御する荷重計算手段5、希望応答信号dk から上記た
たみ込み演算器1の出力信号yk を差引く減算器6から
構成されている。
【0003】図2は、図1中の荷重計算手段5の内部構
造を示すブロック図である。図中、201は最新のM個
の入力信号uk を要素とするベクトルxk を入力信号と
して入力する入力信号端子、202は入力信号ベクトル
k の複素共役値xk * を出力する複素共役演算器、2
03は上記入力信号ベクトルとその複素共役値を入力と
して入力信号ベクトルxk のノルム‖xk ‖の2乗値を
求めるノルム算出手段、204はノルム算出手段の出力
を得て荷重修正の大きさを決定する因子であるゲイン算
出手段、205は適応フィルタの減算器6の出力、即ち
残差信号ek を入力する残差信号入力端子、206は上
記ゲイン算出手段出力Gk と上記残差信号入力ek との
積をとる乗算器、207は上記複素共役演算器の出力ベ
クトル成分と乗算器206出力との積をとる乗算器、2
08はM個のフィルタ荷重を要素とする荷重ベクトルw
k を蓄える荷重記憶部、209は荷重記憶部の荷重ベク
トルwk と乗算器207の出力ベクトルを加算し、その
演算結果を荷重記憶部208に出力するベクトル加算
器、210はベクトル加算器が出力する荷重ベクトルを
たたみ込み演算器1に転送する荷重ベクトル出力端子で
ある。図1、図2、図3、図5、図7、図8の各信号の
記号の定義を以下に示す。u(t)は適応フィルタの入
力信号uk は適応フィルタの入力信号をAD変換したデ
ィジタル信号xk は最新のM個の入力信号を要素とする
入力信号ベクトル: xk =[uk ,uk-1 ,…,uk-m ,…,uk-M+1Tkmは荷重計算手段5が算出するm番目のフィルタ荷重
k はM個の荷重値を要素とする荷重ベクトル: wk =[wk0,wk1,…,wkm,…,wkM-1T d(t)は希望応答信号 dk は希望応答信号をAD変換したディジタル信号 yk はたたみ込み演算器1の出力信号 ek は減算器6の出力である残差信号 Gk はゲイン算出手段の出力であるゲイン αはゲインパラメータ(α>0) βは時間遅れパラメータ(β>0) tは時刻の因子、kはディジタル信号の離散的時刻を表
す因子 mはたたみ込み演算器中の荷重の番号(m=0,1,
…,M−1) ‖x‖はベクトルxのノルム:
【0004】
【数1】
【0005】次に、図1を参照して、適応フィルタの動
作概要を説明する。適応フィルタを段数Mのディジタル
フィルタで構成されるとすると、M−1個の遅延素子2
を用いて、最新のM個の入力信号uk を次々とAD変換
器の標本化周期Δtづつ遅延させて、uk ,uk-1
…,uk-m ,…,uk-M+1 を要素とする入力信号ベクト
ルxk (式1)を得る。この入力信号ベクトルxk (式
1)と荷重計算手段5から出力されるM個のフィルタ荷
重w0 ,w1 ,…,wm ,…,wM-1 を要素とする荷重
ベクトルwk (式2)とたたみ込み演算を行い、たたみ
込み演算器1の出力信号yk (式3)を得る。更に、適
応フィルタの希望応答信号dk から上記のたたみ込み演
算器1の出力信号yk を減算して、減算器6の出力、即
ち残差信号ek (式4)を得る。 xk =[uk ,uk-1 ,…,uk-m ,…,uk-M+1T (1) wk =[wk0,wk1,…,wkm,…,wkM-1T (2) yk =wk Tk (3) ek =dk −yk =dk −wk Tk (4) ここで、Tは行列ベクトルの転置を示す記号である。上
記の適応フィルタの荷重ベクトルwk は荷重計算手段5
の適応アルゴリズムにより、残差信号ek の2乗平均E
[|ek2 ]が(統計的な意味で)最小になるよう制
御される。従来の確率近似適応アルゴリズムを用いた適
応フィルタの荷重計算手段5は、以上説明したように、
図2に示す構成で、荷重記憶部208の内容、即ち荷重
ベクトルwk (式2)は式5に示すように逐次的に更新
される。なお、式5中の、Gk (式6)は荷重修正の大
きさを決定する因子であり、ゲイン算出手段204で算
出される。 wk+1 =wk +Gkkk * (5)
【0006】
【数2】
【0007】次に、図8を参照して、従来の図2の荷重
計算手段5のゲイン算出手段204の内部構成とその動
作について説明する。図中、801は時刻k−1までの
入力信号ベクトルxk のノルムの2乗値の総和を記憶す
るメモリ、802はメモリ801の出力値に時刻kのノ
ルム算出手段803の出力値を加算する加算器であり、
このメモリ801と加算器802とが閉ループを構成し
式7の演算がなされる。803は予め設定されるゲイン
パラメータα(0<α<2)を加算器802の出力値で
除す除算器で、その出力はゲイン算出手段出力となり、
ゲインGk を得る。
【0008】
【数3】
【0009】このようにして、ゲイン算出手段204か
ら出力されるゲインGk は、図2に示すように乗算器2
06で、残差信号入力端子205から入力される残差信
号ek と積がとられ、次いで乗算器207で、入力信号
ベクトルの複素共役ベクトルとの積がとられる。この乗
算器207の出力ベクトル(式5の右辺第2項)は、ベ
クトル加算器209で荷重記憶部208から出力される
時刻kの荷重ベクトルwk (式5の右辺第1項)に加算
され、その演算結果を荷重記憶部208に再び戻すこと
で、式5に示した確率近似適応アルゴリズムの荷重更新
が達成される。その結果、収束速度が入力信号の電力に
左右されずに、適応フィルタの荷重ベクトルwk は最適
荷重ベクトル(エコーキャンセラ適用の場合、エコー伝
搬路のインパルス応答)に収束する。ところが、上記の
従来の確率近似適応アルゴリズムを用いた適応フィルタ
では、ゲインGk の算出に式7に示される演算を必要と
するが、そのためにメモリ801は長い語長が要求され
る。即ち、式7に示される演算において、適応動作を開
始した時点(k=0)からの入力信号ベクトルxk のノ
ルムの2乗値の合計値をメモリ801に蓄えるが、この
ノルムの2乗値は正値であるので、式7の左辺は時間経
過に対して単調増加であり、最終的に大きな値になるこ
とによる。また、入力信号uの電力は一般に未知であ
り、従ってメモリ801の必要な語長を予め見積ること
は困難である。もし、メモリ801の語長が十分長く確
保できない場合、入力信号xの電力に依っては、比較的
短時間の適応アルゴリズムの実行でメモリ801はオー
バーフローし、正確な適応動作が行えなくなる。更に、
ゲインGk 中のゲインパラメータαを一般にとられてい
るように0<α<2の範囲に設定すると、適応フィルタ
の荷重ベクトルの最適値への収束時間が大になることが
あり、一方、ゲインパラメータαをα>2にとると、適
応過程の初期段階で荷重ベクトルが最適値から逆に遠ざ
かってしまい、実際、適応アルゴリズムは発散してしま
う。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように構成され
る従来の確率近似適応アルゴリズムを用いた適応フィル
タでは、荷重計算手段のゲインGk 算出のために、語長
の長いメモリを用意しなければならず、また適応フィル
タの荷重ベクトルの最適荷重ベクトルへの収束速度が遅
いという課題があった。この発明は上記のような課題を
解決するためになされたもので、確率近似適応アルゴリ
ズムを用いた適応フィルタの荷重計算手段において、ゲ
インGk 算出のために、語長の長いメモリを用意する必
要がなく、かつ適応フィルタの荷重ベクトルの最適荷重
ベクトルへの収束速度が速い適応フィルタ、及びその荷
重制御方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明の適応フィルタは、フィルタのM
個の荷重値を記憶する荷重記憶手段と、最新のM個の入
力信号と上記荷重記憶手段の出力のM個の荷重値とをた
たみ込むたたみ込み演算手段と、希望応答信号から上記
たたみ込み演算手段の出力信号を差し引く減算器と、上
記減算器の出力の残差信号と上記最新のM個の入力信号
と上記荷重記憶手段の出力のM個の荷重値を入力として
上記M個の荷重値を算出する荷重計算手段を備えた適応
フィルタにおいて、上記荷重計算手段が、最新のM個の
入力信号を要素とする入力信号ベクトルをxk 、M個の
荷重値を要素とする荷重ベクトルをwk 、減算器の出力
である残差信号をek 、正定数のゲインパラメータを
α、正定数の時間遅れパラメータをβ、非負の整数kを
ディジタル信号の離散的時刻を表す因子、*を複素共
役、‖xk ‖を入力信号ベクトルxk のノルムとして、 wk+1 =wk +{αekk * /(k+β)‖xk2 } の関係式に基づきM個の荷重値を逐次的に更新するもの
である。請求項2の発明の適応フィルタは、請求項1記
載の適応フィルタの荷重計算手段がM個の荷重値の逐次
的な更新に際して、利得係数gk =α/(k+β)と定
義するとき、利得係数gk が初期値g0 をα/βとし、
k =αgk-1 /(gk-1 +α)の漸化式により求めら
れるように構成したものである。請求項3の発明の適応
フィルタの荷重制御方法は、確率近似アルゴリズムを用
いた適応フィルタにおいて、時刻kにおける適応フィル
タ荷重更新時に、正定数のゲインパラメータαを、時刻
kと正定数の時間遅れパラメータβとの和、及び最新の
M個の入力信号の電力和で除し、この値に減算器の出力
の残差信号、及び最新のM個の入力信号の複素共役値を
要素とする入力信号ベクトルを乗じて得るベクトルを、
修正ベクトルとし逐次的にM個の荷重値を更新するもの
である。
【0012】
【作用】上記のように構成されたこの発明の適応フィル
タとその荷重制御方法では、荷重計算手段の時刻kにお
け荷重更新に際して、正定数のゲインパラメータαを、
時刻kと正定数の時間遅れパラメータβとの和、及び最
新のM個の入力信号の電力和で除し、この値に減算器の
出力の残差信号、及び最新のM個の入力信号の複素共役
値を要素とする入力信号ベクトルを乗じて得るベクトル
を、修正ベクトルとして、ゲインGk を算出するのに入
力信号ベクトルxk のノルムの2乗値の平均操作を省略
したことにより、ゲインGk 算出手段に備えるメモリの
語長を短く簡単化でき、更に、ゲイン算出にあたって、
新たに正定数の時間遅れパラメータβを導入したことに
より、正定数のゲインパラメータαの設定範囲が拡大で
き、適応フィルタの荷重ベクトルの最適値への収束速度
を上げられる。
【0013】
【実施例】本発明(請求項1)の一実施例を図を参照し
て説明する。図1はFIR型適応フィルタの基本構成図
である。従来の確率近似適応アルゴリズムを用いた適応
フィルタも図1の基本構成図はほぼ同一であり、共通部
分については説明済なので説明を省略する。図2は図1
の荷重計算手段5の内部構成を示した図であり、この発
明の新たな構成のゲイン算出手段204Aについて、図
3を参照して説明する。図3中、301は初期値を正定
数の時間遅れパラメータβとし、時刻kの経過に伴いカ
ウントアップするカウンタ、304は正定数のゲインパ
ラメータαをカウンタ301の出力で除す除算器、30
5は除算器304の出力を図2中のノルム算出手段20
3の出力で除す除算器である。上記カウンタ301は初
期値をβとするメモリ302と、メモリ302の内容に
1を加える単位加算器303とからなるループを構成す
る。ここでメモリ302の更新タイミングは、図2中に
示した荷重記憶部208の更新タイミングに同期させて
いる。従って、カウンタ301は数列(k+β)を発生
し、2個の除算器304と305との機能により、ゲイ
ン算出手段204の出力信号であるゲインGk は次の式
8で表せる。従って、図2を参照して、この発明の適応
フィルタの荷重ベクトルの更新は、式5に示すように逐
次的に行われる。ここで、式5中、Gk (式8)は、荷
重修正の大きさを決定する因子であり、ゲイン算出手段
204Aで算出される。 wk+1 =wk +Gkkk * (5) Gk =α/{(k+β)‖xk2 },(β>α/2) (8) 今、従来の適応フィルタの荷重計算手段におけるゲイン
k (式6)を改めて、Gk ′と表記して、Gk ′を算
出する式6を変形すると次の式9となり、更に、時刻k
が十分大きな場合、時間平均と統計平均は等しいとみな
せるので式10を得る。
【0014】
【数4】
【0015】 Gk ′=α/{(k+1)<‖xn2 >} (10) ここで、< >は統計平均操作を示す。以上より、本発
明の確率近似適応アルゴリズムを用いた適応フィルタの
ゲインGk (式8)は、従来例のゲインGk ′(式1
0)と比較して、分母中の数列(k+1)にパラメータ
βを含ませ(k+β)に拡張したこと、及び入力信号ベ
クトルのノルムの2乗値の統計平均操作を省略した構成
とした点に特徴がある。
【0016】適応フィルタの荷重wk の最適荷重ベクト
ルhへの収束速度を解析することは困難であるが、適応
フィルタの荷重平均<wk >の安定性及び収束速度は、
S.ヘイキン著“適応フィルタ入門”,現代工学社(1
987)を参考にして、以下のように解析される。本発
明の適応フィルタの最適荷重ベクトルhは式11を満た
す。式11はノルム‖xk ‖で規格化した入力信号ベク
トルに対する正規方程式である。 Rh=p (11) ここで、ベクトルR,ベクトルpは式12で求められる
エルミート行列,及びベクトルである。 R=<xk *k T /‖xk2 > p=<dkk * /‖xk2 > (12) 適応フィルタの荷重ベクトル更新の式5の残差信号ek
を式4で消去し、統計平均操作を施し、式11の正規方
程式を考慮すると、次式を得る。 <wk+1 −h> =[I−{α/(k+β)}R]}]<wk −h> (13) 但し、IはM×Mの単位行列である。更に、式12に定
義したベクトルRはエルミート行列であるからユニタリ
行列Qで対角化され、ベクトルΛはM個のベクトルRの
固有値λm を対角成分にもつ対角行列とすると式14が
成立する。この式14を用いて式13を変形すると、ア
ルゴリズムの安定性及び収束速度を与える式15を得
る。 RQ=QΛ,Λ=diag[λ0 ,λ1 ,…,λm ,…,λM-1 ] (14) vk+1 m =rk mk m , rk m =1−{α/(k+β)}λm (15) なお、式15のvk m は式16で表せるベクトルvk
第m成分で、適応フィルタのm番目の荷重平均<wm
の最適値hm からの誤差を意味するものである。mはベ
クトルvの成分番号を示す指数である。 vk =Q-1<wk −h> =[vk 0 ,vk 1 ,…,vk M-1T (16) 式15より、|rk m |<1の場合、適応フィルタの荷
重平均値は安定に最適値に近づく。但し、λmは行列R
の固有値の1つである。すべての固有値λmは一般に未
知であるが、式12に示した行列Rのトレースは常に1
であることから、固有値λmは0≦λm<1である。従っ
て式15に示したrk m はβ>α/2である限り、その
絶対値|rk m |は1を超えないから、荷重平均<wk
>はすべての時刻kにおいて、安定に最適荷重ベクトル
hに近づいて行く。
【0017】一方、従来例の適応フィルタの荷重平均<
k >の安定性及び収束速度も同様に解析される。導出
過程は本発明の適応フィルタにおける場合に類似してい
るので、ここでは省略し、式15に対応する安定性及び
収束速度を与える結果だけ示す。 vk ′=Q′-1<wk −h> (17) vk+1 m ′=rk m ′vk m ′, rk m ′=1−{α/(k+1)}{λm ′/<‖xn2 >} (18) 但し、Q′、λm ′は、それぞれ、式19で示される行
列R′の対角行列、固有値であり、固有値λm ′は、非
負で<‖xn2 >は固有値の総和に等しいので、式2
0を満たすことに注意する。 R′=<xk *k T > (19) λm ′≦<‖xn2 > (20) 従って、式18に示したrk m は0<α<2であれば、
すべての時刻k、及びすべてのmについて|rk m |<
1となる。即ち、式10に示した従来例の適応フィルタ
のゲインGk ′中の<‖xn2 >が、適応アルゴリズ
ムの安定性を確保している。これに対し、本発明の適応
フィルタのゲインGk (式8)では、入力信号ベクトル
のノルムの2乗値‖xk2 の統計平均操作を省略して
いるにもかかわらず、適応アルゴリズムの安定性は確保
されていると言える。以上、本発明の適応フィルタのゲ
イン算出手段は、図3に示したように、過去の入力信号
ベクトルのノルムの2乗値‖xn2 の総和を記憶する
必要はないので、メモリの語長は短くてよい。
【0018】また、荷重平均<wk >の最適荷重ベクト
ルhへの収束速度は、従来例に対応する式15,式16
と本発明の実施例に対応する式17,式18において、
一般にはユリタリ行列Q,固有値λm が異なるため、厳
密な比較を行うことはできない。そこで、適応フィルタ
の入力信号xk が白色雑音である場合を取り上げて説明
する。白色雑音の性質から式22が成立する。 Q=Q′, λm =λm ′/<‖xn2 >=1/M (22) このとき従来例、実施例の荷重の最適値からの誤差|v
k |は共に次式で示される。
【0019】
【数5】
【0020】図4は式23で求められる荷重の最適値か
らの誤差|vk |の時間変化を示したものである。横軸
は時刻k,縦軸は荷重の最適値からの誤差|vk |を|
0 |を0dBとし対数で示したものである。図中、
(A)は従来例でα=1.0の場合、(B)は従来例で
α=40.0の場合、(C)は本発明の実施例でα=4
0.0,β=40.0の場合を示している。従来例の適
応フィルタでは、αの値が小さいと荷重の最適化に時間
を要し、逆にαを大きくすると不安定になる。本発明の
実施例ではβをβ>α/2と定めることによって、収束
速度を速めるためにαを大きな値に設定しても不安定に
はならない。そのため、実施例の荷重平均は従来例に比
べて、高速に最適値に収束させることができる。入力信
号が白色雑音でなくても同様の結果を得る。
【0021】図5は、本発明(請求項2)の一実施例
で、図2の荷重計算手段5のゲイン算出手段204Bの
内部構成図である。図5中、501は初期値g0 =α/
βをもつメモリ、502はメモリ501の出力値に正定
数のゲインパラメータαを乗ずる乗算器、503はメモ
リ501の出力値に正定数のゲインパラメータαを加え
る加算器、504は乗算器502の出力値を加算器50
3の出力値で除す除算器、505は除算器504の出力
値をノルム出力手段203の出力値で除す除算器であ
る。なお、メモリ501の記憶内容は、荷重記憶部20
8の内容が更新される毎に、除算器504の出力値に変
更される。以上の構成のゲイン算出手段204Bの動作
について説明する。図5中のメモリ501,乗算器50
2,加算器503,除算器504で構成されるループで
は、以下の式24に示す漸化式が実行される。gk は時
刻kにおけるメモリ501の記憶内容を示す。漸化式2
4を解くと式25で表せる。 gk =αgk-1 /(gk-1 +α),g0 =α/β (24) gk =α/(k+β) (25) 除算器505の作用によりゲイン算出手段204の出力
であるゲインGk は、式26で表せる。 Gk =gk /‖xk2 =α/{(k+β)‖xk2 } (26) この実施例のゲインGk (式26)は、先に示した実施
例のゲインGk (式8)に一致する。従って、この実施
例の適応フィルタでは、β>α/2ととる限り、荷重平
均は従来例の適応フィルタに比べて収束速度を早めるこ
とができる。また、この実施例の適応フィルタのゲイン
算出手段中のメモリ501は、その記憶内容は式25で
示されるように時間の経過に伴い減少する。従って、こ
の実施例のメモリ501の語長は短くてよく、オーバー
フローが生ずることはない。以上説明した実施例の適応
アルゴリズムのゲインGk は、式8、と式26に示され
るが、入力信号電力|uk2 が有限で、荷重数Mが一
定であることから式27が成り立つ。 (1 /Xmax )α/(k +β) ≦Gk ≦(1 /Xmin )α/(k +β) (27) ここで、Xmax ,Xmin は夫々入力信号ベクトルのノル
ムの2乗値‖xk2の最大値,最小値であり、正定数
である。従って、以下の式28、式29が成立すること
から、式30が導出できる。
【0022】
【数6】
【0023】但し、pは2以上の整数である。以上よ
り、これらの実施例の適応アルゴリズムは、C.Cow
an,“Adaptive Filters”,Pre
ntice−Hall(1985)を参考にして、荷重
ベクトルの平均値<wk >だけではなく、荷重ベクトル
k そのものが最適値hに収束するという確率近似適応
アルゴリズムの基本特性を満足していると言える。
【0024】図6は、この発明の確率近似適応アルゴリ
ズムを用いた適応フィルタをエコーキャンセラに用いた
場合の計算機シミュレーションによる残差信号ek の時
間変化を示したものである。(A)は本発明の適応フィ
ルタをエコーキャンセラに用いたときの特性図、(B)
は従来例の適応フィルタをエコーキャンセラに用いたと
きの特性図である。従来例に比べて、本発明の適応フィ
ルタは干渉エコーの抑圧速度を増すことができ、希望応
答信号dk 中の干渉エコーに埋もれている希望信号を取
り出すことができる。
【0025】上記実施例では、荷重計算手段5のゲイン
算出手段204をハードウェアで実現する場合を示した
が、同様な計算をディジタル・シグナルプロセッサ等の
中のソフトウェアで実現でき同様な効果を得ることがで
きる。図7は、本発明(請求項3)の一実施例で、適応
フイルタの荷重計算手段5における荷重制御方法を示す
フローチャートである。図7を参照して処理の内容を以
下に説明する。ステップ701でゲインパラメータαと
時間遅れパラメータβを設定する。時刻kを格納するメ
モリKに、k=0のとき時間遅れパラメータβを初期値
としてセットする。ステップ702で図1の乗算器3の
M個の荷重値を要素とする荷重ベクトルwk をM個のメ
モリWに格納する。ステップ703で畳み込み演算器1
の最新のM個の入力信号を要素とする入力信号ベクトル
k をM個のメモリXに格納するとともに、上記入力信
号ベクトルxk の複素共役演算を行って結果をメモリY
に格納する。また、減算器6の出力である残差信号ek
をメモリEに格納する。ステップ704でゲインパラメ
ータ正定数αの値をメモリKの値で除した値:α/(k
+β)をメモリGに格納する。ステップ705でM個の
メモリXの内容をもとに入力信号ベクトルxk のノル
ム:‖xk ‖の2乗値を算出し、メモリΓに格納する。
ステップ706でメモリG,E,Γの内容をもとに値:
αek /{(k+β)‖xk2 }を算出し再びメモリ
Gに格納する。ステップ707でメモリG,E,Γ,
X,Yの内容をもとにM個の値:αekk * /{(k
+β)‖xk2 }を算出し、M個のメモリWの内容w
k 夫々に加え、再びメモリWに値:wk +αekk *
/{(k+β)‖xk2 }を格納する。ステップ70
8でM個のメモリWの内容を荷重計算手段から出力され
るM個のフィルタ荷重値として乗算器3に出力される。
ステップ709でメモリKの値を1だけ増した後、再び
ステップ702の処理に戻る。上記の荷重計算の処理を
示すフローチャートのステップ702からステップ70
9に至る一連の処理のサイクルは入力信号のAD変換器
の標本化周期Δtに等しくしている。この実施例におけ
る荷重計算も、先に示した実施例における荷重計算(式
5、式8)に一致する。従って、この実施例の対応フィ
ルタでは、β>α/2ととる限り、荷重平均は従来例の
適応フィルタに比べて収束速度を早めることができる。
また、この実施例の適応フィルタのゲイン算出手段中の
処理に用いるメモリは、過去の入力信号ベクトルのノル
ムの2乗値‖xn2 の総和を記憶する必要はないの
で、メモリの語長は短くてよい。また、図2において直
前の時刻k−1の荷重wk-1 をたたみ込み演算器1より
入力することで、荷重記憶部208を省くこともでき
る。また、実施例の説明では、各信号は複素信号として
いるが実信号でも成立する。
【0026】
【発明の効果】この発明によれば、確率近似適応アルゴ
リズムを用いた適応フィルタの荷重計算手段において、
時刻kにおける適応フィルタの荷重の更新を、最新のM
個の入力信号ベクトルの複素共役値を要素とするベクト
ルに、正定数のゲインパラメータαと残差信号を乗じ、
時刻kと正定数の時間遅れパラメータβとを加えた値
と、最新のM個の入力信号ベクトルのノルムの2乗値と
で除して得るベクトルを修正ベクトルとすることによ
り、ゲインGk 算出のために語長の長いメモリを必要と
せず、かつ適応フィルタの荷重ベクトルを短時間に最適
値に収束できる適応フィルタとその荷重制御方法を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】FIR型適応フィルタの基本構成図である。
【図2】図1の適応フィルタの荷重計算手段5の内部構
成図である。
【図3】本発明(請求項1)の一実施例で、図2の荷重
計算手段5のゲイン算出手段204Aの内部構成図であ
る。
【図4】本発明及び従来例の適応フィルタの特性図であ
る。
【図5】本発明(請求項2)の一実施例で、図2の荷重
計算手段5のゲイン算出手段204Bの内部構成図であ
る。
【図6】(A)は本発明の適応フィルタをエコーキャン
セラに用いたときの特性図である。 (B)は従来例の適応フィルタをエコーキャンセラに用
いたときの特性図である。
【図7】本発明(請求項3)の一実施例で、適応フイル
タの荷重計算手段5の荷重制御方法を示すフローチャー
ト図である。
【図8】従来例の図2の荷重計算手段5のゲイン算出手
段204の内部構成図である。
【符号の説明】
1 たたみ込み演算器 5 荷重計算手段 6 減算器 201 入力信号端子 202 複素共役演算器 203 ノルム算出手段 204 ゲイン算出手段 206 乗算器 207 乗算器 208 荷重記憶部 209 ベクトル加算器 210 荷重ベクトル出力端子 301 カウンタ 302 メモリ 303 単位加算器 304 除算器 305 除算器 501 メモリ 502 除算器 503 加算器 504 除算器 505 除算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−65310(JP,A) 特開 昭62−294337(JP,A) 特開 平2−265332(JP,A) 特開 平1−220530(JP,A) 特開 昭64−29133(JP,A) 特開 昭61−3535(JP,A) 特公 平3−5683(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H03H 21/00 H04B 3/23

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルタのM個の荷重値を記憶する荷重
    記憶手段と、最新のM個の入力信号と上記荷重記憶手段
    の出力のM個の荷重値とをたたみ込むたたみ込み演算手
    段と、希望応答信号から上記たたみ込み演算手段の出力
    信号を差し引く減算器と、上記減算器の出力の残差信号
    と上記最新のM個の入力信号と上記荷重記憶手段の出力
    のM個の荷重値を入力として上記M個の荷重値を算出す
    る荷重計算手段を備えた適応フィルタにおいて、上記荷
    重計算手段が、最新のM個の入力信号を要素とする入力
    信号ベクトルをxk 、M個の荷重値を要素とする荷重ベ
    クトルをwk 、減算器の出力である残差信号をek 、正
    定数のゲインパラメータをα、正定数の時間遅れパラメ
    ータをβ、非負の整数kをディジタル信号の離散的時刻
    を表す因子、*を複素共役、‖xk ‖を入力信号ベクト
    ルxk のノルムとして、 wk+1 =wk +{αekk * /(k+β)‖xk2 } の関係式に基づきM個の荷重値を逐次的に更新すること
    を特徴とする適応フィルタ。
  2. 【請求項2】 荷重計算手段がM個の荷重値の逐次的な
    更新に際して、利得係数gk =α/(k+β)と定義す
    るとき、利得係数gk が初期値g0 をα/βとし、gk
    =αgk-1 /(gk-1 +α)の漸化式により求められる
    ように構成したことを特徴とする請求項1記載の適応フ
    ィルタ。
  3. 【請求項3】 確率近似アルゴリズムを用いた適応フィ
    ルタの荷重計算手段が、M個の荷重値の逐次的な更新に
    際して、正定数のゲインパラメータαを時刻kと正定数
    の時間遅れパラメータβとの和、及び最新のM個の入力
    信号の電力和‖xk2 で除し、その値に残差信号e
    k 、及び最新のM個の入力信号の複素共役値を要素とす
    る入力信号ベクトルxk * を乗じて得るベクトルを、荷
    重修正ベクトルとすることを特徴とする請求項1記載の
    適応フィルタの荷重制御方法。
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