JPH09261135A - 音響エコー消去装置 - Google Patents

音響エコー消去装置

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JPH09261135A
JPH09261135A JP8068610A JP6861096A JPH09261135A JP H09261135 A JPH09261135 A JP H09261135A JP 8068610 A JP8068610 A JP 8068610A JP 6861096 A JP6861096 A JP 6861096A JP H09261135 A JPH09261135 A JP H09261135A
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JP
Japan
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signal
value
adaptive filter
received signal
component
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Application number
JP8068610A
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English (en)
Inventor
Takatoshi Okuno
貴俊 奥野
Mikio Higashiyama
三樹夫 東山
Hirobumi Yanagawa
博文 柳川
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Pioneer Corp
Original Assignee
Pioneer Electronic Corp
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04MTELEPHONIC COMMUNICATION
    • H04M9/00Arrangements for interconnection not involving centralised switching
    • H04M9/08Two-way loud-speaking telephone systems with means for conditioning the signal, e.g. for suppressing echoes for one or both directions of traffic
    • H04M9/082Two-way loud-speaking telephone systems with means for conditioning the signal, e.g. for suppressing echoes for one or both directions of traffic using echo cancellers

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成でダブルトークに対処する。 【解決手段】 この音響エコー消去装置は、適応フィル
タ31を用いて受話信号(ベクトルx1 )から疑似エコ
ー成分を生成し、送話信号(ベクトルy)から疑似エコ
ー成分を除去する装置である。本装置は、送話信号から
受話信号にのみ依存する帰還成分を抽出し、その帰還成
分に応じて適応フィルタ手段の伝達特性を設定しつつ受
話信号を適応フィルタ手段に通ぜしめて疑似エコー成分
を生成する。 【効果】 適応フィルタの伝達関数の推定する処理を工
夫するだけで、ダブルトーク時にも真のエコー成分に応
じた疑似エコー成分の除去をなすことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音響エコー消去方
法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ハンズフリー電話機やTV会議用通話機
などの拡声通話系機器においては、相手話者側の受話器
たるスピーカからの放射音が同側の送話器たるマイクロ
フォンへの回り込み信号になって当方受話音声内に混入
する音響エコーをキャンセルする音響エコーキャンセラ
が公知となっている。
【0003】かかる従来の音響エコーキャンセラでは、
相手話者側のマイクに、同側スピーカからの放射音の回
り込み信号と、相手話者による送話信号(周辺音声も含
む)とが混合入力する状態、いわゆるダブルトークが発
生すると、適確な音響エコーの消去が行えない。すなわ
ち従来のエコーキャンセラは、基本的に、入力音声信号
を波形処理してエコーを除去するための疑似エコーを生
成し、エコー帰路にその疑似エコーを逆位相で加えてエ
コーを消去しているので、ダブルトーク時に、かかる相
手話者による送話信号をもエコー成分と認識してしま
い、誤った疑似エコーを生成し安定した音響エコーの消
去ができなくなる場合がある。
【0004】この様なダブルトーク発生時の対策とし
て、日本音響学会講演論文集(平成7年3月,第595
頁ないし第596頁に羽田氏、外3名による「ES射影
アルゴリズムを用いたデュオフィルタ構成のエコーキャ
ンセラの検討」と題された論文)に開示された方法があ
る。これによれば、音響エコー経路の伝達特性を推定す
る適応フィルタと、この適応フィルタから得られるフィ
ルタ係数を受けて、実際のエコー消去を行うための半固
定フィルタと、適応フィルタ係数の誤差が小さく、か
つ、適応フィルタ係数の誤差と半固定フィルタ係数の誤
差とを比較し、適応フィルタ係数の誤差の方が小さいと
判断された際に、適応フィルタ係数を半固定フィルタに
転送する制御を担う収束状態判定回路とからなり、収束
状態判定回路は、ダブルトーク発生時に適応フィルタ係
数が乱れたことを検出すると、適応フィルタから半固定
フィルタへのフィルタ係数の転送を禁止するので、半固
定フィルタはダブルトークが発生する直前に推定したフ
ィルタ係数を保持することになり、ダブルトーク時にも
良好なエコー消去が行えるのである。つまり、ダブルト
ークにおける送話信号は、スピーカからマイクへの伝達
経路に加わる外乱であり、スピーカからマイクへの伝達
経路の特性が変わるわけではないから、外乱が発生する
前の係数を用いてエコー消去を行うことで、外乱、すな
わち送話信号のみ分離することを可能としている。
【0005】しかしながら、この論文のものは、ダブル
トークに対処するためにフィルタ係数の乱れを検出する
収束状態判定回路や、定常時のフィルタ係数を保持する
半固定フィルタが必要不可欠であり、装置の複雑化を招
いていた。一般に、ハンズフリー電話機などに用いられ
る音響エコーキャンセラーにおいては、装置を簡略化す
る要請が強く、さらなる改善が望まれるところである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した点
に鑑みなされたものであり、簡単な構成でダブルトーク
に対処し得る音響エコー消去方法及び装置を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による音響エコー
消去装置は、適応フィルタ手段を用いて受話信号から疑
似エコー成分を生成し、送話信号から前記疑似エコー成
分を除去する音響エコー消去装置であって、前記送話信
号から前記受話信号にのみ依存する帰還成分を抽出する
手段と、前記帰還成分に応じて前記適応フィルタ手段の
伝達特性を設定しつつ前記受話信号を前記適応フィルタ
手段に通ぜしめて前記疑似エコー成分を生成する手段と
を有することを特徴としている。
【0008】本発明による音響エコー消去装置は、適応
フィルタ手段を用いて受話信号から疑似エコー成分を生
成し、減算手段により送話信号から前記疑似エコー成分
を減じて誤差信号を生成する音響エコー消去装置であっ
て、前記誤差信号と前記受話信号との相互相関関数を求
める第1手段と、前記受話信号のエネルギーレベルを求
める第2手段と、前記相互相関関数の値の時間平均と前
記エネルギーレベルの値の時間平均との比を求める第3
手段と、前記比に基づいて前記適応フィルタ手段の伝達
特性を更新し、前記受話信号を前記適応フィルタ手段に
通ぜしめて前記疑似エコー成分を生成する第4手段と、
を有することを特徴としている。
【0009】本発明による音響エコー消去装置は、受話
信号から疑似エコー成分を生成し、送話信号から前記疑
似エコー成分を減じて誤差信号を生成する音響エコー消
去装置であって、前記誤差信号と前記受話信号との相互
相関関数を求める第1行程と、前記受話信号のエネルギ
ーレベルを求める第2行程と、前記相互相関関数の値の
時間平均と前記エネルギーレベルの値の時間平均との比
を求める第3行程と、前記比に基づいて適応フィルタ手
段の伝達特性を更新し前記受話信号を前記適応フィルタ
手段に通ぜしめて前記疑似エコー成分を生成する第4行
程と、を実行する信号処理手段を有することを特徴とし
ている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図に基づ
いて詳細に説明する。図1は、本発明によるエコーキャ
ンセラが適用された一実施例の通話システムの主な構成
(ハードウェア)の概念ブロック図を示している。図1
において、話者A側から発せられた音声は、ベクトル
【0011】
【外1】
【0012】と表され(以下、これを図面を除きv1
表記する)、A側送話器たるマイクロフォン1によって
捕捉され、ここで音響エネルギーから電気エネルギーに
変換され音声信号v1として伝送路2を通じて話者B側
に伝送される。話者B側においては、話者Aからの音声
信号v1をDSP(ディジタル信号処理器)3を介して
B側受話器たるスピーカ4に供給する。話者B側の送話
器にもマイクロフォン5が採用され、このマイクロフォ
ン5が捕捉した話者B側の音声は、ベクトル
【0013】
【外2】
【0014】と表され(以下、これを図面を除きvy と
表記する)、DSP3に供給される。このB側送話信号
vy は、マイクロフォン5が捕捉したスピーカ4からの
放射音成分とこれ以外の音声成分とからなり、後者は、
ベクトル
【0015】
【外3】
【0016】と表される(以下、これを図面を除きv2
と表記する)。DSP3は、適応フィルタ31及び差動
回路(または減算部)32その他図示せぬ制御部等から
なる。適応フィルタ31は、話者A側からの音声信号す
なわちB側受話信号v1を入力とし、フィルタ出力信号
を差動回路32に供給する。差動回路32は、適応フィ
ルタ31からの信号を反転入力するとともに、マイクロ
フォン5からの送話信号vy を非反転入力し、両者の加
算すなわちB側送話信号からフィルタ出力信号を減じた
出力を、補正されたB側送話信号として伝送路2に送る
とともに、制御信号として適応フィルタ31にも送る。
かかる制御信号は、残留エコーに応じた誤差信号とし
て、ベクトル
【0017】
【外4】
【0018】と表される(以下、これを図面を除きv
と表記する)。DSP3からの補正されたB側送話信号
は、伝送路2を介して話者A側の受話器たるスピーカ6
に供給される。
【0019】適応フィルタ31のより詳しい構成を表す
概念ブロックは、図2に示される。図2において、適応
フィルタ31は、例えば周知のFIRフィルタからな
り、B側受話信号v1を入力とし直列接続された1サン
プル遅延器群D0,D1,…,Dm−1と、各遅延器の
出力にそれぞれ対応する係数を乗ずるm個の係数乗算器
H0,H1,…,Hm−1と、これら乗算器の出力を加
算しその加算出力をフィルタ出力とする加算器ADとを
含む。乗算器の各々は、差動回路32の出力である誤差
信号ve によって制御される。これによりB側受話信号
v1及び誤差信号ve を元にして適応フィルタ32の伝
達特性を学習、適応させることができる。
【0020】再び図1に戻り、マイクロフォン5が捕捉
したスピーカ4からの放射音成分の、マイクロフォン5
とスピーカ4との間の伝達特性すなわち音響エコー経路
Eの伝達関数または特性(以下、実伝達関数と呼ぶ)
は、ベクトル
【0021】
【外5】
【0022】と表され(以下、これを図面を除き vhと
表記する)、この実伝達関数を目標として推定される適
応フィルタ31の伝達関数または特性(以下、疑似伝達
関数と呼ぶ)は、ベクトル
【0023】
【外6】
【0024】と表される(以下、これを図面を除き v
´と表記する)。次に、本発明による音響エコー除去の
原理につき説明する。
【0025】図1を参照すれば、この原理は、A側から
の信号x1 の成分がその相手B側の音響エコー経路PE
を介しまたは回り込んで再びA側に帰還することにより
A側において音響エコーが生じることを阻止することが
目的である。かかる回り込み成分を含むvy は、
【0026】
【数1】 vy=v1[*]vh+v2 …(1) であり、誤差信号ve は
【0027】
【数2】 ve=vy−v1[*]vh´ =(v1[*]vh+v2)−v1[*]vh´ =v1[*](vh−vh´)+v2v1[*]Δvh+v2 …(2) である。ここでΔvh=vh−vh´と置換され、
「[*]」は畳み込みの演算子を示している。なお、以
下同様に、ベクトル量を示す変数aを「va 」なる表現
で示すこととする。
【0028】(2)式をフーリエ変換すると、
【0029】
【数3】 vE=v1vΔH+v2 …(3) と書くことができる。この式は、複素数成分を含む周波
数領域における誤差信号を表している。
【0030】そしてこの(3)式の両辺にv1の複素共
v1 *(「* 」は複素共役を示すものとする)を乗じ
れば、
【0031】
【数4】 v1 *vE=v1 *v1vΔH +v1 *v2 …(4) ∴ v1 *vE=|v12vΔH +v1 *v2 …(5) となる。
【0032】さらに(5)式両辺の時間平均をとると、
【0033】
【数5】
【0034】である。ここでは変数aの時間平均化した
ものを
【0035】
【数6】
【0036】と表記しており、以下も同様とする。
【0037】かかる(6)式右辺第2項の
【0038】
【数7】
【0039】に注目すると、v1 *v2 は相互相関関
数を成しており、音響エコー経路PEを経た回り込み信
号成分v1とB側の騒音を含む信号成分v2とのクロス
スペクトラムを形成するものである。従って、その両信
号成分が互いに無相関であるとすると、
【0040】
【数8】
【0041】は零に等しいと言い得、この条件下では
【0042】
【数9】
【0043】が成立する。また、vΔH の変動が緩やか
なものであれば、すなわちDSP3の信号処理速度に比
してvh の変動速度が十分遅いとすれば、
【0044】
【数10】
【0045】と導くことができ、よって
【0046】
【数11】
【0047】であり、
【0048】
【数12】 vΔH=vH−vH´ …(10) であるから、
【0049】
【数13】 vH´=vH−vΔH …(11) に基づいて、適応フィルタ31の伝達関数 vh´を推定
することができる。なお、vH´から vh´へは逆フー
リエ変換により求められる。
【0050】以上のように、この原理は、適応フィルタ
31の伝達関数 vh´をB側固有の信号成分v2に影響
を受けずに推定することができるので、ダブルトーク環
境下においても適応フィルタ31は回り込み信号成分v
1だけに応じた正しい疑似エコーを生成することがで
き、もって適確な音響エコーの除去を達成することを導
くのである。
【0051】次に、上記原理に基づいた、DSP3が実
行する具体的処理の手順を図3を参照して説明する。図
3において、DSP3は先ず、初期設定として1回の推
定処理におけるフレーム番号を示す変数iを1とし(ス
テップS11)、さらに変数 vXE,SX をそれぞれ0
に設定する(ステップS12)。
【0052】次いでDSP3は、1フレーム分の誤差信
号,B側受話信号に対応する離散データ列 viv
1iを読み込む(ステップS13)。かかるフレームは、
時間の単位であり、その時間長は、上記(7)式が成立
するための条件に必要な長さが選ばれるが、詳細は後述
する。また、フレームの時間長は離散データ列 vi
v1iのサンプル数に相当し、1フレームがnサンプル
数に相当するのであれば、読み込み信号は、 vi
(k), v1i(k){k=0,1,2,…,n−1}
と書ける。
【0053】このようにして読み込んだ1フレーム分の
viv1i を、DSP3はさらに当該フレーム期間
においてフーリエ変換してその変換結果を変数 vi
v 1iに格納し(ステップS14)、 viv1i
複素共役 v1i * を乗じてviv1i *を求める(ステ
ップS15)。これは上記(3)式の演算と、平均化を
行わない上記(9)式右辺における分子の演算とに相当
する。
【0054】またDSP3は、v1i のパワーを求める
ために|v1i2なる演算を行う(ステップS16)。
これは、平均化を行わない上記(9)式右辺における分
母の演算に相当する。ステップS15及びS16の後は
DSP3は、時系列上の集合値を求めるために、下式の
如き演算を行う(ステップS17)。
【0055】
【数14】 vXEvXEv1i *vi …(12) SX=SX+|v1i2 …(13) i=1の場合すなわち第1フレームにおいてはステップ
S15及びS16により求めたv11 *v1 ,|v11
2 の値がそのまま変数vXE ,SX に格納される。
【0056】このステップS17の演算が終わると、D
SP3は、変数iの値に1を加算し(ステップS1
8)、この加算されたiの値が所定値Nよりも大きいか
否かを判別し(ステップS19)、否とすればステップ
S13に移行する。所定値Nは、ステップS13ないし
S17の処理を何度繰り返すかを指すためのフレーム数
であり、上記(6)式右辺第2項の
【0057】
【数15】
【0058】を十分小さくさせるための値が採用され
る。詳細は後述する。ステップS19を経た後のステッ
プS13では、前回読み込んだフレームの次のフレーム
につき離散データ列 viv1iを読み込み、以降同
様にステップS14〜S17の処理が行われる。但しス
テップS17においては、前回までのフレームにおいて
得られたvXE ,SX の値に、今回のフレームで求めら
れたv1i *vi ,|v1i2 の値を加えて得られる
値を、新たに変数vXE ,SXの値としている。例えば
i=2の場合すなわち第2フレームにおいてはステップ
S15及びS16により求めたv12 *v2 ,|v12
2 の値が変数vXE,SX の値に加えられる。つまり
ステップS17においては、フレーム毎に得られるv
1i *vi,|v1i2の値を順次足し合わせていき、
その加算結果を変数vXE ,SX に格納する処理を行っ
ているのである。
【0059】これは、v1i *vi,|v1i2の値を
フレーム系列すなわち時系列に従って累積或いは積算す
ることに相当する。ステップS19においてiの値が所
定値N以下であると判別されると、DSP3は、
【0060】
【数16】 ΔvH=vXE/SX …(14) なる演算を行う(ステップS20)。この演算は、上記
(9)式の演算に相当する。何となれば、(9)式は、
時間平均化されたv1i *viと|v1i2との割算で
あるが、ステップS17において累積加算されたv1i *
viすなわちvXE を平均化すればvXE /Nであ
り、同じく累積加算された|v1i2すなわちSX を平
均化すればSX /Nであるので、結局両者の比をとると
(14)式の形にすることができるのである。従ってス
テップS20においては、v1i * viと|v1i2
の割算と同時に平均化演算を行っていることに相当す
る。
【0061】ステップS21の演算を終了すると、DS
P3は、ΔvHを逆フーリエ変換し、その変換結果をΔv
hとする(ステップS21)。そうしてDSP3は、
【0062】
【数17】 vh´=vh´+Δvh …(15) なる演算を行って、フィルタ31の係数を更新する(ス
テップS22)。vh´は、一次元のベクトル行列{h0
´,h1´,h2´,…,hm-2´,hm-1´;mは整数}
にて表すことができ、図2に示されるmタップの各乗算
器が乗じるべき係数を設定することができる。
【0063】ステップS22によるvh´の更新が終了
すると、再びステップS11に戻り上述した処理が繰り
返される。つまり、次のvh´の更新に向けて新たなN
フレームについての適応フィルタの疑似伝達関数の推定
処理が行われるのである。図3の処理を時系列上に表す
と、図4のようになる。図4においては、フレーム系列
に対して各変数の値が最終的にどのように求められるか
が示されている。変数iは、1回の推定処理に使われる
フレームの番号を表すので、推定処理毎にフレームに追
随して1からNまで順次値が1つずつ増える。そしてこ
のiの値に対応して変数viv1iviv1iv
1i *vi及び|v1i2の値が、それぞれフレーム毎
に求められる。
【0064】変数vXE,SXは、フレーム毎に値が更新
されるものの、最終的な値が得られるのは1回の推定処
理における最終フレーム(第Nフレーム:#N)で確定
する。また、ステップS20ないしS22からも分かる
ように変数ΔvH ,Δvh 及びvh´ も最終フレームで
値が確定する。ここで注目すべきは2点ある。1つは1
フレームの長さであり、もう1つはNフレームの長さす
なわち1回の推定処理の周期であって当該処理の対象と
する誤差信号ve 及びB側受話信号v1の時間長であ
る。
【0065】最初の点に関し、ステップS15ではvi
v1i *を掛けているが、このとき上記(5)式から
分かるように(vi v1i *)にはX1 *2 の成分が含
まれる。このX1 *2 は、相互相関関数を成しており、
ステップS17におけるvX E の累積加算によってNフ
レーム分のX1 *2 の値がvXE に含まれることとな
る。1回の推定処理の周期が決められた下では、フレー
ム長を短くすればNの値を大きくしなければならず、v
XE の累積加算の回数を多くすることとなる。フレー
ム長が短い場合、フレーム間においてX1 *も相関が強く
なるし、X2 ついても同様である。このような場合、推
定処理の最終フレームで得られるvXE に含まれるX1 *
2 の成分が多くなり、ステップS20においてvXE
を平均化しても当該成分をゼロとみなす上記(7)式の
成立を望めなくなるのである。
【0066】こうしたX1 *2 の相互相関関数の性質に
鑑み、フレーム長が設定されるのである。音声信号を扱
う場合は、例えば20msの時間長がフレームに設定し
得る。2番目の点に関し、推定処理の周期は、上記
(7)式を成立させる上では長い方が良い。つまり
【0067】
【数18】
【0068】をゼロとみなせるものとするためには長い
時間についての平均化を行ったほうが有利であるからで
ある。しかし、上記(8)式を成立させるためには、△
vH の変動速度よりもvh´ の更新速度を速くしなけれ
ばならないから、少なくとも、予期される△vH の変動
周期すなわちvh の変動周期よりも推定処理の周期を短
くする必要がある。
【0069】このように、予想されるvh´ の更新速度
に鑑み、推定処理の周期もってはNの値が設定されるの
である。フレーム長が20msの場合、Nは100など
の値を採用し得る。ところで、上記実施例においては、
基本的に、
【0070】
【数19】 ve=v1[*]△vh+v2 …(16) をフーリエ変換し周波数領域においてv1と相関をと
り、右辺第2項のv2に関する成分をゼロとみなさんと
することにより、マイクロフォン5が傍受したエコー成
v1以外のv2の成分による適応フィルタ係数の推定
を回避することを実現している。
【0071】しかし周波数領域においてだけでなく、時
間領域においてもこれを実現することは原理的に可能で
はある。すなわち、前式両辺をフーリエ変換せずにv1
との相互相関関数をとれば、
【0072】
【数20】 Rx1e=Rx1x1[*]△vh+Rx1x2 …(17) である。但し、ここでは「Rab」をベクトルaとベクト
ルbの相互相関関数を表すものとしている。
【0073】そしてこの(17)式に平均化を施すと、
【0074】
【数21】
【0075】と書くことができ、先の(7)式と同様
に、
【0076】
【数22】
【0077】をゼロとみなすことが可能である。さらに
これも△vhの変動を限定することで
【0078】
【数23】
【0079】と導くことができ、結局、この式に対し逆
畳み込み演算を行うことによって△vhが求められる。
そうして今度は、逆フーリエ変換をすることなく△v
vh− vh´に基づき適応フィルタの伝達関数vh´が
求められるのである。
【0080】これまで説明してきた実施例においては、
適応フィルタ31が、音響エコー経路PE の伝達特性v
hを目標に推定して求めた伝達特性vh´ を有し、この
適応フィルタにスピーカ4に入力される(送信されてき
た)受話信号v1を入力することにより、擬似的な音響
エコー経路を形成する。そしてこの擬似的な音響エコー
経路を伝達した信号で実際の音響エコー経路PE を伝達
した回り込み信号を相殺することによって送信側にフィ
ードバックする音響エコーをキャンセルする点では従前
のものと変わりがない。しかし本実施例では、単に、適
応フィルタ31が、相殺用の差動回路32から出力され
る誤差信号をモニタしながら、この誤差信号(残留エコ
ー)ve が最小化されるようにフィルタ係数を逐次変化
させることとせず、当該誤差信号veからB側固有の入
力成分であるv2を除く処理を行った上でフィルタ係数
を更新するようにしている点で顕著な効果を生んでい
る。換言すれば、本実施例は、適応フィルタ31を用い
て受話信号v1から疑似エコー成分(フィルタ31の出
力)を生成し、送話信号vy から当該疑似エコー成分を
除去する音響エコー消去方法または装置において、送話
信号vy から受話信号にのみ依存する帰還成分(例えば
上記(5)式で言えばv1 *v2を除いた成分)を抽
出し、この帰還成分に応じて適応フィルタ31の伝達特
vh´ を設定しつつ受話信号v1を当該フィルタ31
に通ぜしめて疑似エコー成分を生成するようにすること
を主たる特徴としており、この構成により本発明特有の
効果が発揮されるのである。
【0081】すなわち従前装置における適応フィルタ
は、単純に誤差信号そのものを実時間上で残留エコーが
最小化するように逐次伝達関数を変化させるものである
から、ダブルトークによるB側の伝達経路の突発的な雑
音環境の変化に従う誤差信号に応じてフィルタの伝達関
数が大きく乱れてしまうのであるが、本実施例において
は常に、誤差信号からB側のこのような変化に依存しな
い上記帰還成分すなわち真のエコー成分に応じて適応フ
ィルタの伝達関数を求めるようにしているので、ダブル
トークが発生しても安定して適格な適応フィルタの伝達
関数を定めることができるのである。
【0082】従って、上記論文に開示のシステムに設け
られた半固定フィルタや収束状態判定回路のような手段
を講じることなく、適応フィルタの伝達関数の推定処理
を工夫するだけで良い訳であるから、簡単な構成でかつ
良好にしてダブルトークに対処し得る音響エコーの消去
が達成される。なお、上記実施例においては、話者A側
を主体にして音響エコーの消去を説明したが、話者B側
における音響エコーすなわち話者Bが送信した音声がA
側において回り込みフィードバックされて生ずるエコー
についても同様に消去をなすことができる。つまりA側
にも図1に示されるDSP3と同等のものを備えれば良
いのである。また、1対1の通話形態につき実施例を挙
げたが複数話者間において本手法が適用されることは勿
論である。
【0083】また、上記実施例では、ハードウェアの構
成としてDSPにて本発明特有のエコーの除去をなすよ
うにしているが、これとは異なるハードウェアの構成で
実現しても良いことは勿論である。この他にも、上記実
施例では限定的な説明を行ったが、当業者の設計可能な
範囲で適宜改変することができる。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
簡単な構成でダブルトークに良好な対処をなすことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエコーキャンセラが適用された一
実施例の通話システムの主要な構成を示す概念ブロック
図。
【図2】図1のエコーキャンセラにおける適応フィルタ
の構成を示す概念ブロック図。
【図3】図1のエコーキャンセラにおけるDSPが実行
する適応フィルタの伝達特性推定の処理手順を示すフロ
ーチャート。
【図4】図3の処理を時系列上に表した図。
【主要部分の符号の説明】
1,5 マイクロフォン 2 伝送路 3 DSP 31 適応フィルタ 32 差動回路 4,6 スピーカ PE 音響エコー経路 D0〜Dm−1 1サンプル遅延器 H0〜Hm−1 係数乗算器 AD 加算器

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 適応フィルタ手段を用いて受話信号から
    疑似エコー成分を生成し、送話信号から前記疑似エコー
    成分を除去する音響エコー消去装置であって、 前記送話信号から前記受話信号にのみ依存する帰還成分
    を抽出する手段と、 前記帰還成分に応じて前記適応フィルタ手段の伝達特性
    を設定しつつ前記受話信号を前記適応フィルタ手段に通
    ぜしめて前記疑似エコー成分を生成する手段とを有する
    ことを特徴とする音響エコー消去装置。
  2. 【請求項2】 適応フィルタ手段を用いて受話信号から
    疑似エコー成分を生成し、減算手段により送話信号から
    前記疑似エコー成分を減じて誤差信号を生成する音響エ
    コー消去装置であって、 前記誤差信号と前記受話信号との相互相関関数を求める
    第1手段と、 前記受話信号のエネルギーレベルを求める第2手段と、 前記相互相関関数の値の時間平均と前記エネルギーレベ
    ルの値の時間平均との比を求める第3手段と、 前記比に基づいて前記適応フィルタ手段の伝達特性を更
    新し、前記受話信号を前記適応フィルタ手段に通ぜしめ
    て前記疑似エコー成分を生成する第4手段と、を有する
    ことを特徴とする音響エコー消去装置。
  3. 【請求項3】 前記第3手段は、所定時間期間において
    前記第1及び第2手段により得られる前記相互相関関数
    及び前記エネルギーレベルの各々の値の平均値をそれぞ
    れ求め、前記相互相関関数の値の平均値を前記エネルギ
    ーレベルの値にて除するとともにその除算結果を前記比
    の値として出力する手段からなることを特徴とする請求
    項2記載の音響エコー消去装置。
  4. 【請求項4】 前記第1手段は、前記誤差信号と前記受
    話信号とをフーリエ変換して各々の変換値を得る手段
    と、前記受話信号のフーリエ変換値の複素共役を前記誤
    差信号のフーリエ変換値に乗じてその乗算結果を前記相
    互相関関数の値とする手段とを有することを特徴とする
    請求項2または3記載の音響エコー消去装置。
  5. 【請求項5】 前記第4手段は、前記比の値を逆フーリ
    エ変換する行程を含むことを特徴とする請求項4記載の
    音響エコー消去装置。
  6. 【請求項6】 所定時間長を有するフレーム毎に前記誤
    差信号及び前記受話信号をサンプル値系列にて読み込む
    初期手段をさらに有し、 前記第1手段は、前記フレーム毎に前記誤差信号のサン
    プル値系列と前記受話信号のサンプル値系列とを離散フ
    ーリエ変換し、前記受話信号の離散フーリエ変換値の複
    素共役を前記誤差信号の離散フーリエ変換値に乗じてそ
    の乗算結果を前記相互相関関数の値とし、 前記第2手段は、前記フレーム毎に前記受話信号の離散
    フーリエ変換値の振幅レベルを算出し、 前記第3手段は、時系列上連続する所定数のフレームに
    つき前記第1手段及び第2手段により得られる前記相互
    相関関数及び前記振幅レベルの各値をそれぞれ累積加算
    するとともに、前記相互相関関数の累積加算結果を前記
    振幅レベルの累積加算結果にて除してその除算結果を前
    記比の値とし、 前記第4手段は、前記比の値に逆離散フーリエ変換を施
    して得られる値を前記適応フィルタ手段の伝達特性の誤
    差としてその誤差を略零とすべく前記適応フィルタ手段
    の伝達特性を更新する、ことを特徴とする請求項2記載
    の音響エコー消去装置。
  7. 【請求項7】 受話信号から疑似エコー成分を生成し、
    送話信号から前記疑似エコー成分を減じて誤差信号を生
    成する音響エコー消去装置であって、 前記誤差信号と前記受話信号との相互相関関数を求める
    第1行程と、前記受話信号のエネルギーレベルを求める
    第2行程と、前記相互相関関数の値の時間平均と前記エ
    ネルギーレベルの値の時間平均との比を求める第3行程
    と、前記比に基づいて適応フィルタ手段の伝達特性を更
    新し前記受話信号を前記適応フィルタ手段に通ぜしめて
    前記疑似エコー成分を生成する第4行程と、を実行する
    信号処理手段を有することを特徴とする音響エコー消去
    装置。
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