JP3381112B2 - エコー除去装置 - Google Patents
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Description
し、特に、携帯電話等の小型音声通信端末のスピーカか
らマイクへの音声の廻り込みによるエコーを軽減するた
めのエコー除去装置に関する。
型化に伴い、受話用のスピーカから送話用のマイクへの
音声の廻り込みによるエコーの影響が無視できなくなっ
てきている。このような送受話側での音声の廻り込みに
よるエコーを除去するために、例えば図5に示すような
エコー除去装置あるいはエコーキャンセラが知られてい
る。
から伝送されて受信されスピーカ12に送られるスピー
カ出力信号x(k) が入力されている。ここでkは、離散
信号のサンプル番号あるいは時間位置を示す。また、マ
イクロホン13により収音されて電気信号に変換された
マイク入力信号y(k) が、エコー除去のための減算器1
4に供給され、フィルタ回路15からの擬似エコー信号
が減算された後、エコー除去信号あるいは残留エコー信
号e(k) として端子16より取り出される。スピーカ1
2とマイクロホン13とは、携帯電話の送受話器として
近接して配置されている。
R(有限インパルス応答)フィルタが用いられており、
フィルタ回路15のフィルタ係数あるいはタップ係数
は、タップ係数推定回路17により制御されるようにな
っている。タップ係数推定回路17は、入力信号である
スピーカ出力信号x(k) や、出力信号である残留エコー
信号e(k) に基づいて、適当な適応アルゴリズムにより
フィルタのタップ係数を逐次更新する。この適応アルゴ
リズムとしては、いわゆる学習同定法あるいは正規化L
MS(Least Mean Square )法が広く用いられている。
記スピーカ出力信号をフィルタのタップ入力信号とし
て、 X(k)=(x(k),x(k-1),…,x(k-L+1)) のベクトルで表し、フィルタのタップ係数を
フィルタ回路15により得られる擬似エコー信号は、上
記タップ入力にタップ係数が乗じられて、
上記マイク入力信号y(k) より減算されることにより、
残留エコー信号e(k) が、
あるいはエコーキャンセラ出力信号となる。タップ係数
推定回路17においては、これらの残留エコー信号e
(k) 及びタップ入力信号X(k) に基づいて、上記タップ
係数が推定され更新される。
学習同定法のアルゴリズムを用いる場合の具体例を図6
に示す。
7は、2乗和計算回路18とタップ係数更新回路19と
から成り、2乗和計算回路18は、上記スピーカ出力信
号のタップ入力であるX(k)=(x(k),x(k-1),…,x(k-L+
1))より、その2乗和
相当するものである。タップ係数更新回路19は、求め
られた2乗和と、上記残留エコー信号e(k) 及びタップ
入力信号X(k) をもとに、次の(3)式によりタップ係
数を更新する。
<2の値をとる。この(3)式は、成分毎には、
対するタップ入力信号X(k) は音声信号であり、図7に
示すように一般にピッチ周期構造を持つ周期信号であ
る。例えばサンプリング周波数が8kHzの場合、上記ピ
ッチ周期は男声で50〜90サンプル、女声で20〜3
5サンプルとなる。このため、フィルタのタップ数Lが
上記ピッチ周期のサンプル数に比べて充分に大きくない
場合には、上記(2)式によって、図7の区間aやbに
示す範囲での2乗和がとられることになり、求められた
入力信号電力は、図8に示すように大きく変動すること
になる。
が変動すると、上記(3)式によって更新されるタップ
係数が変動することになり、安定したエコー除去特性が
得られないことになる。
どのスピーカ12からマイクロホン13への廻り込みに
よるエコー除去を対象とする比較的小型のエコー除去装
置の場合、例えばフィルタのタップ数が50以下の場合
においては、大きな問題となる。
ものであり、上記入力信号電力の変動を抑えて、安定し
たエコー除去特性あるいはエコー消去特性が得られるよ
うなエコー除去装置の提供を目的とするものである。
の音が近接して配置された収音手段に廻り込むことによ
り生じるエコーを除去するエコー除去装置において、上
記発音手段に供給される発音信号に基づいて上記収音手
段に廻り込むエコー成分を推定した擬似エコー信号を出
力するフィルタ手段と、上記収音手段からの収音信号よ
り上記フィルタ手段からの擬似エコー信号を減算して出
力する減算手段と、上記発音信号を平滑化した平滑値を
用いて上記フィルタ手段のフィルタ係数を推定して更新
するフィルタ係数推定手段とを有し、上記フィルタ係数
推定手段は、上記フィルタ手段のタップ数Lより大きな
数Nについて過去N個のサンプルの上記発音信号の電力
のL個分に相当する電力を上記平滑値として用いること
により、上述の課題を解決する。
習同定法によりフィルタのタップ係数の推定を行い、こ
の学習同定法によるタップ係数推定に用いられる式中の
2乗和の値として、上記発音信号の過去N個のサンプル
の2乗和の内のL個分相当の2乗和の値を上記平滑値と
して用いることが挙げられる。
り、フィルタ係数あるいはタップ係数の変動が抑えら
れ、安定したエコー除去特性あるいはエコー消去特性が
得られる。
て、図面を参照しながら説明する。
実施例の概略構成を示し、端子11には通信相手から伝
送されて受信され発音手段であるスピーカ12に送られ
る発音信号としてのスピーカ出力信号x(k) が入力され
ている。また、発音手段であるスピーカ12に近接して
配置された収音手段であるマイクロホン13により収音
されて電気信号に変換された収音信号としてのマイク入
力信号y(k) が、エコー除去のための減算器14に供給
され、フィルタ回路15からの擬似エコー信号が減算さ
れた後、エコー除去信号あるいは残留エコー信号e(k)
として端子16より取り出される。
話等の音声通信端末に用いられるものであり、スピーカ
12とマイクロホン13とは、例えば携帯電話の送受話
器として近接して配置されている。
R(有限インパルス応答)フィルタが用いられており、
フィルタ回路15のフィルタ係数あるいはタップ係数
は、フィルタ係数推定手段としてのタップ係数推定回路
20により制御されるようになっている。タップ係数推
定回路20は、エコー除去装置への入力信号であるスピ
ーカ出力信号x(k) や、出力信号である残留エコー信号
e(k) に基づいて、適当な適応アルゴリズムによりフィ
ルタのタップ係数を逐次更新するものであり、この適応
アルゴリズムとしては、いわゆる学習同定法あるいは正
規化LMS(Least Mean Square )法が広く用いられて
いる。
算回路21及びタップ係数更新回路22を有して構成さ
れている。電力平滑値計算回路21では、従来のタップ
数L個のサンプルの2乗和の代わりに、上記発音信号を
平滑化した平滑値、すなわちエコー除去装置への入力信
号である上記スピーカ出力信号x(k) の平滑された電力
値である入力信号電力平滑値Px(k)を用いている。こ
の電力平滑値計算回路21からの平滑値あるいは入力信
号電力平滑値Px(k)がタップ係数更新回路22に送ら
れる。タップ係数更新回路22では、上記スピーカ出力
信号x(k) のタップ数L個分のベクトルであるX(k)=
(x(k),x(k-1),…,x(k-L+1))と、上記残留エコー信号
e(k) と、電力平滑値計算回路21からの入力信号電力
平滑値Px(k)とに基づいて、タップ係数の更新が行わ
れる。
ムにおいて、前述した(3)式、すなわち、
るいは入力信号電力は、
母として、入力信号であるスピーカ出力信号x(k) の系
列のタップ数L個分の2乗和を用いる代わりに、何らか
の方法で平滑化された入力信号電力値を用いることによ
り、入力信号レベルの変動を除去することができる。
図2に示す。この図2において、曲線aは上記(3)式
の分母の2乗和により計算される入力信号電力を、また
曲線bは上記平滑化された入力信号電力である入力信号
電力平滑値Px(k)をそれぞれ示している。この図2か
らも明らかなように、変動の大きな曲線aの2乗和が、
平滑することで曲線bに示すように変動が除去されてい
ることが分かる。
用いて、タップ係数更新回路22におけるタップ係数更
新は、
されたタップ係数は、変動が除去されたものとなってい
る。
号電力である2乗和が変動し、安定したエコー消去特性
が得られない場合でも、入力信号電力を平滑し、この平
滑化された入力信号電力あるいは入力信号電力平滑値P
x(k)を用いることにより、タップ係数推定の際の変動
による悪影響を防止し、安定したエコー除去特性あるい
はエコー消去特性を実現できる。また、このときのタッ
プ係数推定に要する計算量も従来の学習同定法に要する
計算量と同程度で済む。
20内の電力平滑値計算回路21の具体的ないくつかの
構成例について説明する。
装置への入力信号である上記発音信号としてのスピーカ
出力信号x(k) の系列の電力を計算する際に、過去L個
分のサンプルの代わりに、より多くの個数N(N>L)
の過去の入力信号のサンプルの2乗和を求めL個分の平
均を計算することにより、入力信号電力の変動を除去す
るものが挙げられる。
Px(k)は、
の過去のN個分のサンプルの2乗和についてのLサンプ
ル分の平均値あるいは正規化値を求めていることにな
る。この(6)式により求められた入力信号電力平滑値
Px(k)を、上記(5)式に代入することにより、現在
のタップ係数から次のタップ係数を推定し更新する。
平滑値Px(k)を指数平滑により求める例について、図
3を参照しながら説明する。
力信号電力平滑値Px(k)を、
λ<1の定数であり、この(7)式により計算される入
力信号電力平滑値Px(k)は、過去の入力信号サンプル
の2乗値を時定数1/(1−λ)にて指数平滑化したも
のとなる。実際に、上記(7)式は、次の漸化式により
表現できる。
ップ係数推定回路20の構成例を示すものである。
0の電力平滑値計算回路21には、エコー除去装置への
入力信号である上記スピーカ出力信号x(k) が供給され
ており、2乗値計算回路23により2乗値|x(k)|2
が計算されて、加算器24に送られ、加算器24からの
出力は、1サンプル遅延素子25及び係数乗算器26を
介して加算器24に帰還されている。ここで、加算器2
4からは、入力信号電力平滑値Px(k)が出力される。
すなわち、1サンプル遅延素子25からは1サンプル遅
れた入力信号電力平滑値Px(k-1)が出力され、係数乗
算器26に送られてλが乗算されてλPx(k-1)とな
り、これが加算器24で|x(k)|2と加算されること
により、上記(8)式の入力信号電力平滑値Px(k)が
求められる。この加算器24からの出力である入力信号
電力平滑値Px(k)は、タップ係数更新回路22に送ら
れる。
電力平滑値計算回路21からの入力信号電力平滑値Px
(k)を用いて上記(5)式の計算を行うことにより、フ
ィルタ回路15のタップ係数を更新する。
の各成分は、
アルゴリズムのタップ係数推定を行ったエコー除去装置
のエコー消去特性(曲線a)と、従来のアルゴリズムを
用いた場合のエコー消去特性(曲線b)とを比較して示
すものである。この図4の例では、タップ数Lが40の
適応フィルタを用いた場合を示している。
良好な特性を示すものである。なお、この(10)式中
のE[]は、[]内の期待値を返す関数である。
実施例によるエコー除去装置の方が従来のものよりも安
定した良好なエコー消去特性が得られていことが分か
る。
定に要する計算量は、従来の学習同定法のアルゴリズム
の場合の計算量とほぼ同程度で済む。
度と小さい場合、特に小型の携帯電話のエコーキャンセ
ラの場合に用いて有用である。
されるものではなく、例えば、携帯電話の他にも種々の
音声通信端末に適用でき、発音手段や収音手段もスピー
カやマイクロホンに限定されない。また、フィルタ手段
はFIRフィルタ以外にも種々の適応フィルタを使用で
き、フィルタ係数の推定も学習同定法に限定されず、種
々の適応アルゴリズムを使用できる。
発音手段に供給される発音信号に基づいてフィルタ手段
により収音手段に廻り込むエコー成分を推定して擬似エ
コー信号を出力し、収音手段からの収音信号より擬似エ
コー信号を減算する際に、フィルタ手段のフィルタ係数
推定を、発音信号を平滑化した平滑値を用いて行うと共
に、フィルタ手段のタップ数Lより大きな数Nについて
過去N個のサンプルの上記発音信号の電力のL個分に相
当する電力を上記平滑値として用いることにより、フィ
ルタ係数あるいはタップ係数の変動が抑えられ、安定し
たエコー除去特性あるいはエコー消去特性を有するエコ
ー除去装置を提供できる。
の推定に要する計算量は、従来の学習同定法の計算量と
ほぼ同程度で済む。
構成を示すブロック図である。
る。
を示すブロック回路図である。
ック図である。
推定回路の具体例を示すブロック図である。
間との関係を示す図である。
力の変動を示す図である。
器、 15 フィルタ、 20 タップ係数推定回路、
21 電力平滑値計算回路 、 22 タップ係数更
新回路
Claims (3)
- 【請求項1】 発音手段からの音が近接して配置された
収音手段に廻り込むことにより生じるエコーを除去する
エコー除去装置において、 上記発音手段に供給される発音信号に基づいて上記収音
手段に廻り込むエコー成分を推定した擬似エコー信号を
出力するフィルタ手段と、 上記収音手段からの収音信号より上記フィルタ手段から
の擬似エコー信号を減算して出力する減算手段と、 上記発音信号を平滑化した平滑値を用いて上記フィルタ
手段のフィルタ係数を推定して更新するフィルタ係数推
定手段とを有し、 上記フィルタ係数推定手段は、上記フィルタ手段のタッ
プ数Lより大きな数Nについて過去N個のサンプルの上
記発音信号の電力のL個分に相当する電力を上記平滑値
として用いる ことを特徴とするエコー除去装置。 - 【請求項2】 上記フィルタ係数推定手段は、学習同定
法によりフィルタのタップ係数の推定を行い、この学習
同定法によるタップ係数推定に用いられる式中の2乗和
の値として、上記発音信号の過去N個のサンプルの2乗
和の内のL個分相当の2乗和の値を上記平滑値として用
いることを特徴とする請求項1記載のエコー除去装置。 - 【請求項3】 上記フィルタ係数推定手段は、上記発音
信号の現在のサンプルをx(k) とするとき、現在の平滑
値であるP x (k)を、 【数1】 により求める ことを特徴とする請求項2記載のエコー除
去装置。
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