JP4569294B2 - 鋼管矢板および鋼管矢板壁 - Google Patents

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Description

本発明は、海洋や河川における水中、あるいは岸壁に打設される鋼管矢板、ならびにこれを使用して構築される鋼管矢板壁に関し、特に水中から大気部にかけての耐食性を向上させた鋼管矢板および鋼管矢板壁に関する。
港湾などの海中や岸壁に構築される構造物の基礎部分や、セル、河川の締め切り工等に、継手部分を嵌合させて鋼矢板を連続して打設する鋼矢板壁が採用される。特に水深の大きい岸壁や天端高の大きい護岸などにおいては、通常の鋼矢板では断面性能が不足するため鋼管矢板を使用する鋼管矢板壁が一般的である。
海中や水中に打設される鋼管矢板に対しては、何らかの防食処理が必要である。特に大型の鋼管矢板壁を長年にわたって維持・管理するには膨大なコストが必要であり、たとえ初期投資がやや高額になっても、平素の管理が容易で長期の耐食性が期待できる防食工法を採用することが長い目で見た場合のトータルライフサイクルコストを低減させる結果となる。
水中構造物の防食方法は、その部位によって大きく異なる。常に水(海水を含む)に浸かっている水中部については電気防食が一般的である。すなわち、アルミニウム合金系の犠牲陽極を取り付けるかあるいは外部から電流を供給することにより、鋼材の電位を本来の腐食電位よりも卑の方向にシフトさせ、鉄の溶解を抑制する防食法である。これは水中においては低コストで容易、かつ確実で優れた防食法であるが、常に鋼材の表面に電流が流れていないと防食効果が発揮できないため、潮の干満により大気中に露出してしまう干潮帯や、波しぶきにさらされて濡れる飛沫帯には適用できない。
そこで、干潮帯や飛沫帯に対しては耐食性に優れる金属で表面をライニングする防食方法が開発され、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されている。
特許文献1に記載の技術は、耐食性金属板で鋼材の表面を被覆することで鋼材の表面を腐食性環境から遮断し、被覆する金属板の耐食性により長期の耐食性能を得るものである。
しかしながら、この技術では耐食性金属板をインダイレクトシーム溶接によって鋼材の表面に固定するものであるので、耐食性金属板相互の重なり部が不可避的な隙間構造となるため、耐食性金属板として特許文献1に記載されているような各種のステンレス鋼板を使用すると、隙間腐食を発生するという問題点がある。
特許文献2に記載の技術では、仮固定したステンレス鋼板をTIG溶接で密封、固定することにより隙間構造を完全に排除しているだけでなく、使用するステンレス鋼と溶接棒の組成を限定することにより、厳しい腐食環境である海洋においても長期の耐久性を有するように考慮されている。しかし、特許文献2記載の技術では、鋼管や鋼管杭のような単純な形状の鋼構造部材に耐食性ステンレス鋼板を被覆する点においては有効であるものの、継手構造に由来する複雑な形状の鋼管矢板には適用することができない。
特許文献3に記載の技術は、鋼管矢板の継手の一部をステンレス鋼で作製し、さらに、鋼管矢板本体の表面の一部をステンレス鋼製の被覆材で溶接被覆することにより、長期の耐久性を得るものである。特許文献3ではC形の継手を有する鋼管矢板についてのみ例示しており、鋼管矢板を被覆するステンレス鋼製被覆材とステンレス鋼製C形継手とをシーム溶接する旨記載されている。特許文献3には前記シーム溶接の具体的な詳細は明示されていないが、代表的なシーム溶接としては、電気抵抗溶接を用いたものと、アーク溶接によるものとが挙げられる。電気抵抗溶接は溶接する部位の接触抵抗を利用して発熱させて金属を溶融させる溶接方法であるため、鋼管本体とC形継手との2つの円周面により形成される狭隘部において、被覆材とC形継手とを回転電極を用いて密着させなければならない。しかし、このような狭隘部に回転電極を挿入することは不可能である。
一方、アーク溶接を用いてシーム溶接を行なった場合には、トーチおよび溶接棒が回転電極よりもはるかに小さいため、前記のような狭隘部にも対応が可能である。しかし、被覆材とC形継手との間に隙間がある状態でアーク溶接を行なった場合には、被覆材の板厚が継手よりも薄く熱容量が小さいため、C型継手の表面が溶融する以前に被覆材側に溶接欠陥による貫通孔が発生し鋼管矢板本体の表面を密封することが困難になる。このような溶接欠陥を誘引する溶接部の隙間をなくすためには、アーク溶接時に抑えロールを使用して被覆材とC型継手を充分に密着させることが有効であるが、狭隘部であるC形継手の付け根部分でこれを使用することは物理的に困難である。
特開平11−179552号公報 特開2004−131843号公報 特開2004−211379号公報
本発明は、従来の技術におけるこのような問題点を解消し、腐食性環境の著しい地域、すなわち海洋、河川、湖沼、運河等の水中構造物において、長期にわたって優れた耐食性を有する鋼管矢板およびこれを使用した鋼管矢板壁を実現することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、T字形の雄継手ならびにL字形の雌継手を有する鋼管矢板において、前記継手の少なくとも一部がステンレス鋼からなり、かつ前記鋼管矢板の鋼管本体の表面の少なくとも一部をステンレス鋼からなる覆装板で被覆して前記覆装板の端面を前記継手のステンレス鋼に溶接して密封することにより前記鋼管本体の表面の少なくとも一部を密封し、かつ前記覆装板と前記鋼管本体との隙間および前記覆装板相互の重なり部の隙間を密封してなることを特徴とする鋼管矢板である。
請求項2に記載の発明は、前記覆装板の形状を、前記継手と前記鋼管本体との取り付け部に沿うような形状とし、前記取り付け部近傍の前記継手の表面を、前記覆装板で被覆することを特徴とする請求項1に記載の鋼管矢板である。
請求項3に記載の発明は、前記継手および/または覆装板をなすステンレス鋼の下記の式(1)で定義されるPRE(孔食係数)が33以上である請求項1または2に記載の鋼管矢板である。

PRE=Cr+3.3×(Mo+0.5×W)+20×N ・・・(1)
ただし、上記式の右辺の元素記号はステンレス鋼中におけるそれぞれの元素の濃度(質量%)を表わす。
請求項4に記載の本発明は、前記覆装板の板厚が0.4mm以上3.0mm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼管矢板である。
請求項5に記載の本発明は、前記覆装板がステンレス鋼を抵抗溶接で前記継手に仮固定した後、前記覆装板の外周部分をTIG溶接、あるいはプラズマ溶接で連続溶接することにより、前記鋼管本体の表面の少なくとも一部を密封するものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼管矢板である。
請求項に記載の本発明は、前記覆装板がステンレス鋼を抵抗溶接で前記鋼管本体に仮固定した後、前記覆装板の外周部分をTIG溶接、あるいはプラズマ溶接で連続溶接することにより、前記鋼管本体の表面の少なくとも一部を密封するものである請求項1〜のいずれか1項に記載の鋼管矢板である。
請求項に記載の本発明は、ステンレス鋼をTIG溶接、あるいはプラズマ溶接で固定する際に使用する溶接棒の前記(1)式で定義されるPREが40以上である請求項5および6に記載の鋼管矢板である。
請求項に記載の本発明は、前記鋼管本体の前記覆装板で被覆される範囲が、打設された状態においてさく望平均干潮面より1m以上水中に入ったところから水面上大気部までである請求項1〜のいずれか1項に記載の鋼管矢板である。
請求項に記載の本発明は、前記鋼管本体の前記覆装板で被覆される範囲が、打設された状態において水と接触する面のみである請求項に記載の鋼管矢板である。
請求項10に記載の本発明は、前記継手が、打設された状態においてさく望平均干潮面より1m以上水中に入ったところから水面上大気部までがステンレス鋼からなり、それ以外の部分が炭素鋼からなる請求項1〜のいずれか1項に記載の鋼管矢板である。
請求項11に記載の本発明は、前記鋼管矢板の打設後水中となる部分に電気防食用の犠牲電極を取り付けたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の鋼管矢板である。
請求項12に記載の本発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の鋼管矢板を継手を介して連続して打設し、この継手の嵌合部内にモルタルを充填してなる鋼管矢板壁である。
本発明によれば、長期の耐久性を有する鋼管矢板、ならびにこれを使用する鋼管矢板壁が実現し、海洋、湾岸、水中構造物等のトータルライフサイクルコストを低減させることができるという、すぐれた効果を奏する。
本発明においては、耐食性と溶接性との両面から、鋼管矢板のT字形ならびにL字形の継手部分と、鋼管本体の表面の少なくとも一部を溶接固定して被覆する覆装板をなすステンレス鋼の、下記の式(1)で定義されるPRE(孔食係数)が33以上であることが好ましい。
PRE=Cr+3.3×(Mo+0.5×W)+20×N ・・・(1)
ただし、上記式の右辺の元素記号はステンレス鋼中におけるそれぞれの元素の濃度(質量%)を表わす。
PREが33未満のステンレス鋼の場合、水中部からさく望平均干潮面にかけて貝類や海藻等の海洋生物の付着に起因する隙間腐食が発生し、飛沫帯から海上大気部においては塩化物の濃縮に由来する孔食が発生する。
本発明に適合するステンレス鋼と適合しないステンレス鋼の例を表1に示す。
本発明で使用する覆装板の板厚は0.4mm以上3.0mm以下であることが望ましい。0.4mm未満の場合には、鋼管本体の炭素鋼とのTIG溶接、あるいはプラズマ溶接が困難になるので施工性が低下するばかりでなく、完成、設置後に流木や船舶が覆装板に接触した場合に衝撃によって破れ、防食性能が失われるおそれがある。一方、板厚が3.0mmを超える場合は、コストが急激に増大するだけでなく、重量により取り付け作業時のハンドリングが困難になり、作業効率が低下する。
本発明は、覆装板を鋼管本体の表面の少なくとも一部に被覆してなる鋼管矢板である。
本発明で使用する鋼管矢板は、覆装板を継手に溶接して鋼管本体の表面の少なくとも一部を密封するという観点から、T字形の雄継手ならびにL字形の雌継手を有するものが好ましい。これ以外の形状を有する公知の継手の場合は、鋼管本体と継手との間に狭隘部が存在するため、溶接欠陥を生じることなく覆装板を継手に溶接することが困難であり、鋼管本体の表面を密封できない。
本発明において覆装板を鋼管本体に被覆する際には、抵抗溶接で鋼管本体に仮固定した後、覆装板相互の上下方向の重なり部や覆装板と鋼管本体との間の隙間部分をTIG溶接、あるいはプラズマ溶接で固定、密封することが好ましい。
また本発明において覆装板と鋼管本体との隙間および/または覆装板相互の重なり部を密封することが好ましい。隙間が存在すると隙間腐食が発生する可能性があり、長期の耐久性を期待できなくなるからである。
仮固定の際の抵抗溶接の種類、溶接箇所、溶接条件等は特に限定するものではないが、例えば抵抗スポット溶接、インダイレクト抵抗スポット溶接、抵抗シーム溶接あるいはインダイレクト抵抗シーム溶接を採用することにより、被覆する覆装板の中央部近傍や上下方向の重なり部、その近傍等を仮固定、あるいは拘束するものとする。
本発明では、TIG溶接、あるいはプラズマ溶接する際には、前記のPREが40以上の溶接棒(フィラーワイヤ)を用いることが好ましい。PREが40未満の場合には、溶接ビード部において水中部からさく望平均干潮面にかけては海洋生物の付着に起因する隙間腐食が発生し、飛沫帯から海上大気部においては塩化物の濃縮に由来する孔食が発生するからである。
本発明では、前記TIG溶接、あるいはプラズマ溶接を行なうに際して、溶接欠陥の発生を抑制するため、抑えロール、万力、あるいはバンド等を用いて覆装板と鋼管本体、継手あるいは他の覆装板との隙間を低減することが望ましい。特に、継手部に覆装板を溶接する際には、覆装板の端面を予め抵抗溶接で仮止めして隙間を低減させた後、TIG溶接、あるいはプラズマ溶接で密封することが好ましい。
本発明に適合するフィラーワイヤの例を表2に示す。
コイルから切り出したステンレス鋼を鋼管本体に被覆する際、板厚が薄ければ特段の事前加工は不要であるが、例えば板厚が2.0mm以上ある場合、プレス加工や曲げ加工によってステンレス鋼板を所定の曲率に成形加工した上で被覆するようにすると、精度よく被覆することができる。
本発明では、鋼管矢板の全長にわたってステンレス鋼の溶接被覆を施してもよいのはいうまでもないが、コスト削減の観点から、さく望平均干潮面から飛沫帯、さらには海上大気部のみを被覆するようにしてもよい。さらには打込み深さの施工誤差を考慮した上で、さく望平均干潮面より1m以上水中に入った部分から海上大気部までを覆装板で被覆するようにしてもよい。これらの場合、被覆を施さない水中部分については電気防食により防食する。防食電位が、標準電極(SCE)に対して−760〜−1100mVの範囲であれば、電気防食は犠牲陽極方式でも外部電源方式のいずれでもかまわない。防食電位が−760mVvs.SCEより貴である場合は電気防食では炭素鋼の腐食を抑制できず、また防食電位が−1100mVvs.SCEより卑であると発生する水素による炭素鋼の脆化が懸念され、これらの場合は電気防食は好ましくないので図1に示したような全長にわたって耐食性を付与した鋼管矢板を採用せざるをえない。
継手に関しても、全長にわたってステンレス鋼としてもよいが、コスト削減の観点から、さく望平均干潮面より1m以上水中に入った部分から海上大気部までをステンレス鋼とし、残りの部分については炭素鋼のままとすることができる。この場合も水中部分は電気防食とし、その条件は前記の鋼管本体と同様である。
また、セルや護岸等のように鋼管矢板壁の片面しか水に接触せず、残りの面は土中に埋設されることが明らかな場合には、覆装板による被覆は水と接触する面のみとし、水に接触しない面については被覆を省略することができる。
ところで、鋼管本体を覆装板によって被覆するといっても、L形継手の場合などは継手の内側に鋼管本体の露出部が残ってしまう。そこで、継手の形状によっては鋼管矢板壁を形成する際に継手の嵌合部内にモルタルを充填して、前記露出部をモルタルで覆ってしまうことが望ましい。
また、鋼管矢板の全長にわたって防食構造とする場合においても、根入れされる先端部分については、土中のため腐食性環境が甚だしくないこと、打設の際に被覆が剥離しやすいこと、等により、被覆を省略することもできる。
以下、本発明の実施例を図面により説明する。
図1は実施例の鋼管矢板の一部を示す部分斜視図、図2はその水平断面図で、1は炭素鋼である鋼管本体、21、22はL−T形(二港湾形)と呼ばれる一対のステンレス鋼製の継手で21はT字形の雄継手、22はL字形の雌継手であり、鋼管本体1の対向する側面に溶接により取り付けられている。3(3a〜3c)は鋼管本体1の表面に溶接により取り付けられた覆装板、Pは仮固定用のスポット溶接である。
図3は図1の鋼管矢板の鋼管本体1部分の縦方向断面図で、(a)は図1における覆装板相互の上下方向の重なり部(A1部)を示す縦方向の部分断面図、(b)は同じく図1における最下段の覆装板の下端と鋼管本体との接続部(B1部)を示す縦方向の部分断面図、3aは上方の覆装板、3bはこれに接続する下方の覆装板、3cは最下段の覆装板、TはTIG溶接部分である。すなわち、覆装板3の溶接による被覆は、まず抵抗スポット溶接Pによって適当な間隔で覆装板3を鋼管本体1表面および/または継手21あるいは22表面に仮固定した後、覆装板3の外周部分および上下方向の重なり部分をTIG溶接T、あるいはプラズマ溶接で連続溶接して隙間構造を残すことなく密封するのである。なお、図3(b)に示した密封構造は、覆装板の下端部に限らず上端部、水平方向両端部についても同様である。
図4(c)は同じく図1における覆装板とT字形の雄継手との接続部(C1部)を示す水平方向の部分断面図、(d)は同じく図1における覆装板とL字形の雌継手との接続部(D1部)を示す水平方向の部分断面図である。
図5は他の実施例の鋼管矢板の一部を示す部分斜視図で、図の上半部分は図1と同様であるが、下半分については覆装板3の被覆がなく鋼管本体1が露出しており、また継手23、24はステンレス鋼製ではなく炭素鋼製である。4は電気防食用の犠牲陽極である。覆装板3の有無による境界位置が前記の「さく望平均干潮面より1m以上水中に入った部分」に相当し、ここから海上大気部まで、鋼管本体1は覆装板3で被覆し、継手はステンレス鋼製としている。なお、ステンレス鋼製の継手21、22と、炭素鋼製継手23、24との境目は溶接等により接合してもよいし、そのままでもよい。
図6は図5の鋼管矢板の鋼管本体1部分の縦方向断面図で、(a)は図5における覆装板相互の上下方向の重なり部(A2部)を示す縦方向の部分断面図、(b)は同じく図5における最下段の覆装板の下端と鋼管本体との接続部(B2部)を示す縦方向の部分断面図、3aは上方の覆装板、3bはこれに接続する下方の覆装板、3cは最下段の覆装板、Sa、Sb、Scはシーム溶接部分である。
図7(c)は同じく図5における覆装板とT字形の雄継手との接続部(C2部)を示す水平方向の部分断面図、(d)は同じく図5における覆装板とL字形の雌継手との接続部(D2部)を示す水平方向の部分断面図で、Sdはシーム溶接部分である。
すなわち、覆装板3の溶接による被覆は、まず抵抗スポット溶接Pによって適当な間隔で覆装板3a、3bを鋼管本体1の表面に仮固定した後、抵抗シーム溶接Sa、Sbで上下方向の重なり部分を拘束し、あるいは抵抗シーム溶接Scで覆装板3cを鋼管本体表面に仮固定し、また抵抗シーム溶接Sdで継手表面に仮固定した後、覆装板の上下方向の重なり部および下端などの外周部分をTIG溶接T、あるいはプラズマ溶接で連続溶接して隙間構造を残すことなく密封するのである。抵抗シーム溶接Sa、Sdはステンレス鋼板同士、Sb、Scはステンレス鋼板と炭素鋼との溶接となる。なお鋼管矢板の下半分には適当な密度で犠牲陽極4を取り付けて鋼管本体1の露出部および継手23、24を電気防食する。
なお、図3、4に示した溶接被覆構造と図6、7のそれとにはシーム溶接の有無など若干の相違があるが、いずれかを適宜選択して採用してよい。またTIG溶接とプラズマ溶接との選択も任意である。
図8はさらに他の実施例の鋼管矢板の水平断面図である。これまでの実施例との相違は、覆装板3が一対の継手21、22で仕切られる鋼管本体1の表面の片側しか被覆していないことである。セルや護岸等のように鋼管矢板壁の片面しか水に接触せず、残りの面は土中に埋設されることが明らかな場合に、覆装板による被覆は水と接触する面のみとし、水に接触しない面については被覆を省略した例である。
図9は本発明の鋼管矢板を継手を介して連続して打設し、この継手の嵌合部内にモルタルを充填してなる鋼管矢板壁の部分水平断面図である。図の上側は土中なので覆装板3を取り付けていない。L形の雌継手22の内側は鋼管本体1が露出しているので、継手23内部にモルタルMを充填して、露出部をモルタルで覆うようにしている。
本発明の実施例の鋼管矢板の一部を示す部分斜視図である。 本発明の実施例の鋼管矢板の水平断面図である。 図1に示した鋼管矢板の縦方向断面図である。 図1に示した鋼管矢板の水平方向断面図である。 本発明の他の実施例の鋼管矢板の一部を示す部分斜視図である。 図5に示した鋼管矢板の縦方向断面図である。 図5に示した鋼管矢板の水平方向断面図である。 本発明のさらに他の実施例の鋼管矢板の一部を示す部分斜視図である。 本発明の鋼管矢板を使用した鋼管矢板壁の部分水平断面図である。
符号の説明
1 鋼管本体
3、3a、3b、3c 覆装板
4 犠牲陽極
21、23 継手(T字形の雄継手)
22、24 継手(L字形の雌継手)
M モルタル
P スポット溶接
Sa、Sb、Sc、Sd シーム溶接
T TIG溶接(部分)

Claims (12)

  1. T字形の雄継手ならびにL字形の雌継手を有する鋼管矢板において、前記継手の少なくとも一部がステンレス鋼からなり、かつ前記鋼管矢板の鋼管本体の表面の少なくとも一部をステンレス鋼からなる覆装板で被覆して前記覆装板の端面を前記継手のステンレス鋼に溶接して密封することにより前記鋼管本体の表面の少なくとも一部を密封し、かつ前記覆装板と前記鋼管本体との隙間および前記覆装板相互の重なり部の隙間を密封してなることを特徴とする鋼管矢板。
  2. 前記覆装板の形状を、前記継手と前記鋼管本体との取り付け部に沿うような形状とし、前記取り付け部近傍の前記継手の表面を、前記覆装板で被覆することを特徴とする請求項1に記載の鋼管矢板。
  3. 前記継手および/または覆装板をなすステンレス鋼の下記の式(1)で定義されるPRE(孔食係数)が33以上である請求項1または2に記載の鋼管矢板。

    PRE=Cr+3.3×(Mo+0.5×W)+20×N ・・・(1)
    ただし、上記式の右辺の元素記号はステンレス鋼中におけるそれぞれの元素の濃度(質量%)を表わす。
  4. 前記覆装板の板厚が0.4mm以上3.0mm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼管矢板。
  5. 前記覆装板がステンレス鋼を抵抗溶接で前記継手に仮固定した後、前記覆装板の外周部分をTIG溶接、あるいはプラズマ溶接で連続溶接することにより、前記鋼管本体の表面の少なくとも一部を密封するものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼管矢板。
  6. 前記覆装板がステンレス鋼を抵抗溶接で前記鋼管本体に仮固定した後、前記覆装板の外周部分をTIG溶接、あるいはプラズマ溶接で連続溶接することにより、前記鋼管本体の表面の少なくとも一部を密封するものである請求項1〜のいずれか1項に記載の鋼管矢板。
  7. 前記覆装板のステンレス鋼をTIG溶接、あるいはプラズマ溶接で固定する際に使用する溶接棒の前記(1)式で定義されるPREが40以上である請求項5または6に記載の鋼管矢板。
  8. 前記鋼管本体の前記覆装板で被覆される範囲が、打設された状態においてさく望平均干潮面より1m以上水中に入ったところから水面上大気部までである請求項1〜のいずれか1項に記載の鋼管矢板。
  9. 前記鋼管本体の前記覆装板で被覆される範囲が、打設された状態において水と接触する面のみである請求項に記載の鋼管矢板。
  10. 前記継手が、打設された状態においてさく望平均干潮面より1m以上水中に入ったところから水面上大気部までがステンレス鋼からなり、それ以外の部分が炭素鋼からなる請求項1〜のいずれか1項に記載の鋼管矢板。
  11. 前記鋼管矢板の打設後水中となる部分に電気防食用の犠牲電極を取り付けたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の鋼管矢板。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の鋼管矢板を継手を介して連続して打設し、この継手の嵌合部内にモルタルを充填してなる鋼管矢板壁。
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