JP4568976B2 - ブロー成形装置およびブロー成形法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロー成形装置およびブロー成形法に関し、特に、構成が単純であり、両端の開口したブロー成形品の製造に好適に使用できるブロー成形装置、および両端の開口したブロー成形品の製造に好適に使用でき、工程の単純なブロー成形法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用燃料ホースおよびエンジン用ダクトなどのように、複雑な形状を有し、中空状で比較的大型の樹脂製品の製造方法として、近年、ブロー成形法が広く行なわれている。
【0003】
前記自動車用燃料ホースおよびエンジン用空気ダクトは、通常、エンジンの燃料パイプおよび空気取入口に接続されるので、とくに末端開口部、言い替えればジョイント部を高い寸法精度で仕上ることが要求される。
【0004】
前記要求を満たすブロー成形法として、例えば、金型のキャビティ内に押出されたパリソンの端部をピンチした後ブロー成形して端部を所定の口径の予備成形品とする予備ブロー成形工程と、該金型内部に設けたカッターで該予備成形品の端部を切断開口し、該予備成形品の端部開口に内径寸法を規制する治具を装入して該治具を該予備成形品の該端部に固定する治具固定工程と、該治具中に設けたブロー口よりエアを該予備成形品に吹き込んでブロー成形してブロー成形体とするブロー成形工程とからなる樹脂製ホースの製造方法が提案された(特許第2791608号公報)。
【0005】
他には、ブロー成形材料を予めチューブ状に呼び成形し、該予備成形チューブの開口端部内側に芯型を装入して該予備チューブを該芯型とともに外面成形用部材の内側にセットし、前記予備成形工程とは別途の加熱工程により加熱によって該予備成形チューブを軟化状態とした上で該予備成形チューブをブロー成形するホースの製造方法が提案された(特開平6−71735号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許第2791608号公報に記載された樹脂製ホースの製造方法においては、前述のように、予備ブロー成形工程において、予備成形されたパリソンの端部を切断していたので、パリソンを成形する金型に、前記パリソンの端部を切断するカッターを設ける必要があった。したがって、金型の構成が複雑になるという問題があった。
【0007】
また、特開平6−71735号公報に記載のホースの製造方法においては、押出し成形法などによって予め成形された予備成形チューブを再加熱してブロー成形していたので、エネルギー消費量が多く、しかも工程が複雑になるという問題があった。
【0008】
本発明は、末端開口部の寸法精度の高い成形品が容易に作製でき、しかも、予備成形後におけるパリソン端部の切断開口、および予備成形工程の何れも不要であるブロー成形装置とブロー成形法とを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、開閉可能に形成された環状の環状樹脂流路を有し、前記環状樹脂流路を通して溶融樹脂を押し出すことにより、筒状のパリソンを形成するダイヘッド部と、前記ダイヘッド部において形成されたパリソンにブロー成形ガスを吹き込んで前記バリソンを膨張させるブロー成形ガス吹き込み流路と、前記ダイヘッド部における前記環状樹脂流路が開口する側に隣接し、型合わせされた後、ブロー成形ガスを吹き込まれて膨張した前記バリソンが押圧されるキャビティ部を有するブロー成形金型と、前記ブロー成形金型を挟んで前記ダイヘッド部とは反対側に隣接し、前記ブロー成形時において、前記ダイヘッド部において形成されたパリソンの先端開口部を外側と内側とから把持する先端治具とを備え、前記ダイヘッド部は、溶融樹脂が押し出される溶融樹脂流路と、前記溶融樹脂流路の内部に移動可能に配設されたマンドレルとを備え、前記環状樹脂流路は、前記溶融樹脂流路の壁面と前記マンドレルとの間に形成されるとともに、ダイヘッド先端部の先端開口部の壁面は、下広がりの円錐面と円筒状面より形成され、前記マンドレルは、ダイヘッドの円錐面と同一の勾配を有する円錐面と円筒面より形成され、 パリソンの上端根本部は、前記マンドレルの外周円筒面と、前記先端開口部の壁面における円筒面部との間の空間に保持されることを特徴とするブロー成形装置に関する。
【0010】
前記ブロー成形装置においては、前記ダイヘッド部において、前記環状樹脂流路を通して溶融樹脂を押し出して円筒状のパリソンを形成し、前記パリソンの先端開口部を、前記先端治具により内側と外側とから把持し、次いで、前記ダイヘッド部において前記環状樹脂流路を閉塞して前記ブロー成形金型を型合わせした後、前記ブロー成形ガス吹き込み流路から前記パリソンの内部にブロー成形ガスを吹き込んで前記パリソンをブロー成形し、ブロー成形品を得る。
【0011】
これにより、寸法精度、特に両端開口部およびその近傍の寸法精度が高いブロー成形品を製造できる。
【0012】
前記ブロー成形装置においては、前記ダイヘッド部と先端治具とにおいてブロー成形品の両端開口部を成形するから、パリソンの先端部を切断するカッターが不要である故に構成が単純である。さらに、前記ダイヘッド部において形成されたパリソンを冷却することなくブロー成形できるから、エネルギーを大幅に節約でき、生産性が大幅に向上する。
【0013】
また、前記ブロー成形装置においては、溶融樹脂は、前記溶融樹脂流路の壁面と前記マンドレルとの間から押し出され、筒状のパリソンが形成される。そして、前記マンドレルが前記押し出し方向または前記押し出し方向とは反対の方向に移動して前記溶融樹脂流路の壁面に当接すると、前記環状樹脂流路が閉じる。
【0014】
前記ブロー成形装置においては、パリソンの先端開口部は、前記先端治具の備えるプラグ部とパリソン把持部材とによって内側と外側とから把持される。
【0016】
請求項2に記載の発明は、前記先端治具が、前記パリソンの先端開口部に挿入されるプラグ部と、前記プラグ部を囲繞するように設けられ、前記パリソンの先端開口部を外側から把持するパリソン把持部材とを備えてなるブロー成形装置に関する。
【0017】
前記ブロー成形装置においては、パリソンの先端開口部は、前記先端治具の備えるプラグ部とパリソン把持部材とによって内側と外側とから把持される。
【0020】
【発明の実施の形態】
1.第1実施形態
本発明に係るブロー成形装置の一例を図1に示す。
【0021】
図1に示すように、ブロー成形装置200は、溶融樹脂を押し出して筒状のパリソンを形成するダイヘッド部4と、ダイヘッド部4に隣接するとともに、ブロー成形時において、圧縮空気を吹き込まれて膨張した前記パリソンが押圧されるキャビティ2Aを内部に有するブロー成形金型2と、ブロー成形金型2におけるダイヘッド部4とは反対側に隣接し、前記パリソンの先端開口部を内側と外側とから把持する先端治具6とを備える。
【0022】
図1に示すように、ダイヘッド部4は、一端部において、溶融樹脂を押し出す押出機(図示せず。)に接続され、前記押出機から押出された溶融樹脂が通過する溶融樹脂流路8Aが中心部に形成されたダイヘッド本体8と、ダイヘッド本体8における前記押出機に接続された側とは反対側の端面に着脱可能に設けられた板状のダイヘッド先端部10とを備える。
【0023】
溶融樹脂流路8Aの内壁面は、図1に示すように、略円筒状に形成され、ダイヘッド本体8におけるダイヘッド先端部10側の端面近傍において、ダイヘッド先端部10に向かう方向、即ち図1における下方に向かって円錐状に拡大している。
【0024】
ダイヘッド先端部10の中心部には、溶融樹脂流路8Aに連続する壁面を有する先端開口部10Aが形成されている。先端開口部10Aの壁面は、溶融樹脂流路8Aの壁面に連続する下広がりの円錐面状に形成され、図1における下端部において円筒状に形成されている。溶融樹脂流路8Aおよび先端開口部10Aにより、本発明のブロー成形装置における溶融樹脂流路が形成される。
【0025】
溶融樹脂流路8Aおよび先端開口部10Aにより形成される空間の内部には、図1に示すようにマンドレル12が収容されている。
【0026】
マンドレル12は、溶融樹脂流路8Aと先端開口部10Aとにおける円錐面と同一の勾配を有する円錐面と、前記円錐面の下方に連続する円筒面とから構成された外周面を有し、溶融樹脂流路8Aと先端開口部10Aとにより形成される空間内に収容された円盤状のマンドレル本体12Aと、マンドレル本体12Aにおける上面の中心部に立設されたマンドレル押動棒12Bとを備えている。
【0027】
マンドレル12は、溶融樹脂の押し出し方向aおよび前記押し出し方向aに対して反対方向に移動可能に形成され、マンドレル本体12Aの外周面が、溶融樹脂流路8Aおよび先端開口部10Aの壁面に当接した閉位置、およびマンドレル本体12Aの外周面と溶融樹脂流路8Aおよび先端開口部10Aの壁面との間に空隙が形成された開位置の何れかに保持される。図1に示すマンドレル本体12Aと溶融樹脂流路8Aおよび先端開口部10Aの壁面との位置関係は、マンドレル12が閉位置にあるときの位置関係である。マンドレル12が開位置にあるときのマンドレル本体12Aと溶融樹脂流路8Aおよび先端開口部10Aの壁面との位置関係を図2に示す。
【0028】
マンドレル12が閉位置にあるときは、図1に示すように、マンドレル本体12Aの外周面は、円錐面の部分において、溶融樹脂流路8Aおよび先端開口部10Aの壁面における円錐状部分に当接し、環状樹脂流路4Aは閉塞される。そして、マンドレル本体12Aの外周面における円筒面部分と、先端開口部10Aの壁面における円筒面部分との間に円筒状の空間が形成される。そして、ダイヘッド部4においてパリソンを形成後、マンドレル12を閉位置にすると、前記パリソンの根本部、即ちダイヘッド部4近傍部が前記空間に強固に保持される。
【0029】
一方、マンドレル12が開位置にあるときは、図2に示すように、マンドレル12と、溶融樹脂流路8Aおよび先端開口部10Aの壁面との間に環状樹脂流路4Aが形成される。
【0030】
ダイヘッド先端部10は、図1および図2に示すように、溶融樹脂の押し出し方向aに対して平行な中心線に沿って2つの部分に分割可能に形成されている。尚、図1および図2は、何れもダイヘッド先端部10における前記2つの部分が合わさって1つになった状態を示す。
【0031】
ブロー成形金型2は、図1および図2に示すように、ダイヘッド部4に隣接し、前記押し出し方向aに対して平行な中心線に沿って2つの部分に分割可能に形成されている。そして、内側には、ブロー成形時において、パリソンが押圧されるキャビティ2Aが形成されている。キャビティ2Aは、上端部、即ちダイヘッド部4側の端部において先端開口部10Aの内壁面に連続するように形成され、下端部が下方に向かって縮小する円錐面状に形成されている。
【0032】
先端治具6は、図1および図2に示すように、先端部が、ブロー成形時においてブロー成形型2におけるキャビティ2Aの内部に位置する円柱状のプラグ部14と、プラグ部14を囲繞するように設けられ、プラグ部14の外周面に向かい合う円筒面状の内壁面を有するパリソン把持部材16と、プラグ部14とパリソン把持部材16とが載置された基台部20とを備える。基台部20は、上昇および下降が可能に形成されている。
【0033】
プラグ部14には、ブロー成形時に、パリソン内に圧縮空気を吹き込む圧縮空気吹き込み孔18が軸線に沿って設けられている。圧縮空気吹き込み孔18は、本発明のブロー成形装置におけるブロー成形ガス吹き込み流路に相当し、圧縮空気は、本発明におけるブロー成形ガスの一例である。尚、ブロー成形ガスとしては、ほかに窒素ガスなども使用できる。
【0034】
パリソン把持部材16は、ブロー成形金型2と同様に、溶融樹脂の押し出し方向aに対して平行な中心線に沿って2つの部分に分割可能に形成され、前記2つの部分は、それぞれプラグ部14に近付く方向および遠ざかる方向の何れにも移動可能に形成されている。ブロー成形時においては、前記2つの部分は、図1および図2に示すように、プラグ部14に近付く方向に移動して合体し、1つのパリソン把持部材16を形成する。そして、プラグ部14と協働してパリソンの先端開口部を内側と外側とから把持する。
【0035】
第1実施形態に係るブロー成形装置を用いたブロー成形法の一例を図3に示す。
【0036】
図3において、(A)、(B)、(C)、および(D)は、それぞれパリソン形成工程、パリソン把持工程、ブロー成形工程、およびブロー成形品取り出し工程を示す。そして、(E)は、ブロー成形品取り出し工程(D)で取り出されたブロー成形品を示す。
【0037】
図3における(A)に示すように、パリソン形成工程(A)においては、ブロー成形金型2は開いた状態にあり、マンドレル12は開位置にあるので、マンドレル12と溶融樹脂流路8Aおよび先端開口部10Aとの間に環状樹脂流路4Aが形成される。。
【0038】
前記状態において、押出機から溶融樹脂を押し出すと、前記溶融樹脂は、環状樹脂流路4Aを通り、図3における下方に円筒状に押し出され、筒状のパリソンPが形成される。
【0039】
パリソンPの下端が,把持部材6における基台20に当接したら、図3において(B)に示すように、パリソン把持部材16をプラグ部14に近接させてパリソンPの下端開口部、即ち先端開口部を内側と外側とから気密に保持する。
【0040】
次いで、(C)に示すように、マンドレル12を上方に移動させて閉位置にし、環状樹脂流路4Aを閉じる。前記状態においては、パリソンPの根本部は、ダイヘッド先端部10における先端開口部10Aの内壁面とマンドレル本体12Aの外周面との間の円筒状の空間に気密に保持されるから、パリソンPは、根本部と先端開口部とにおいて気密に保持される。
【0041】
環状樹脂流路4Aを閉じた後、ブロー成形金型2を閉じて圧縮空気吹き込み孔18を通してパリソンP内部に圧縮空気を吹き込む。これにより、パリソンPは、外側に膨張してキャビティ2Aに押圧されると同時に、パリソンPの根本部と先端開口部とにジョイント部が形成され、ブロー成形品Mが得られる。
【0042】
ブロー成形が終了したら、図3において(D)に示すように、ブロー成形金型2、ダイヘッド先端部10、およびパリソン把持部材16を開き、先端治具6の基台部20を下降させてブロー成形品Mを取り出す。
【0043】
第1実施形態に係るブロー成形装置においては、前述のように、ブロー成形中は、パリソンPは、根本部においてダイヘッド先端部10とマンドレル本体12Aとにより、先端開口部においてパリソン把持部材16とプラグ部14とにより強固に保持されることにより、ブロー成形品Mにおける両端のジョイント部が形成される。
【0044】
したがって、前記ブロー成形装置においては、ブロー成形前または後にパリソンPの端部を切断するカッターが不要であるから、前記ブロー成形装置は構成が単純である。しかも、得られるブロー成形品Mは、寸法精度、特に両端のジョイント部における寸法精度が高い。
【0045】
また、前記ブロー成形装置においては、パリソンPを冷却することなくブロー成形できるから、工程が短縮でき、エネルギーも節約できる。
【0046】
加えて、ダイヘッド先端部10およびマンドレル12の何れか、または両方を交換して、先端開口部10Aの内径、先端開口部10Aとマンドレル12との間の間隔、およびマンドレル12の直径の少なくとも1つを変更することにより、パリソンPの肉厚、内径寸法、および外径寸法を調節できる。
【0047】
したがって、前記ブロー成形装置は、所謂ハイテクブロー成形品と称される自動車用燃料ホースおよびエンジン用空気ダクトなどの高精度品のブロー成形に好適に使用できる。
【0048】
2.第2実施形態
本発明に係るブロー成形装置の別の例を図4に示す。図4において、図1〜図3と同一の符号は、特に断らない限り、前記符号が図1〜図3において示す構成要素と同一の要素を示す。
【0049】
図4に示すように、第2実施形態に係るブロー成形装置202においては、プラグ部14には空気吹き込み孔を有さず、代わりにマンドレル12に圧縮空気吹き込み孔22が設けられ、ブロー成形時には、圧縮空気吹き込み孔22を通してパリソンP内部に圧縮空気が吹き込まれる。なお、圧縮空気吹き込み孔22もまた、本発明のブロー成形装置におけるブロー成形ガス吹き込み流路に相当する。
【0050】
ブロー成形装置202は、前述の点を除いては、図1および図2に示すブロー成形装置と同一の構成を有する。
【0051】
ブロー成形装置202を用いてブロー成形を行なう場合には、図3に示す手順と同様の手順に沿ってブロー成形品を製造できる。
【0052】
第2の実施形態に係るブロー成形装置は、第1の実施形態に係るブロー成形装置の有する特長に加えて、先端治具6の有するプラグ部14に圧縮空気吹き込み孔および圧縮空気を供給する圧縮空気供給管路を設ける必要がないから、先端治具6の構成をより簡略化できるという特長を有する。
【0053】
3.第3実施形態
本発明に係るブロー成形装置の更に別の例を図5に示す。図5において、図1〜図3と同一の符号は、特に断らない限り、前記符号が図1〜図3において示す構成要素と同一の要素を示す。
【0054】
図3に示すように、第3実施形態に係るブロー成形装置204も、第1実施形態および第2実施形態に係るブロー成形装置と同様に、ダイヘッド部4と、ブロー成形金型2と、先端治具6とを備える。
【0055】
図5に示すように、ブロー成形装置204におけるダイヘッド部4は、内部にマンドレル28を収容するとともに、溶融樹脂が流通する溶融樹脂流路24Aが内部に形成されたダイヘッド本体24と、ダイヘッド本体24の端面に固定された板状の部材であるダイヘッド先端部26とを備える。ダイヘッド先端部26の中心部には、溶融樹脂流路24Aの内壁面に連続する内壁面を有し、溶融樹脂流路24Aとともに、本発明のブロー成形装置における溶融樹脂流路を形成する先端開口部26Aが形成されている。
【0056】
溶融樹脂流路24Aは、先端部、即ちダイヘッド先端部26寄りの部分に、マンドレルを収容するマンドレル収容室24Bが形成されている。マンドレル収容室24Bは、先端部に向かって内径が円錐状に拡大する拡大部と、前記拡大部よりも先端側に位置し、先端部に向かって内径が円錐状に縮小する縮小部と、前記拡大部と前記縮小部との間に形成され、内径が一定の平行部とが形成されている。
【0057】
また、先端開口部26Aも、内壁面が、溶融樹脂流路24Aにおける縮小部に連続する円錐面状に形成され、下端部において、円筒状の内壁面を有する平行部が形成されている。
【0058】
マンドレル28は、図5に示すように、溶融樹脂流路24Aに挿通された棒状部28Bと、棒状部28Bの先端部に形成された略紡錘形状の膨張部であるマンドレル本体28Aとを備える。マンドレル本体28Aは、マンドレル28の先端に向かって外径が円錐状に拡大する拡大部と、前記拡大部よりもマンドレル28の先端側に形成され、前記先端側に向かって外径が円錐状に縮小する縮小部と、前記拡大部と前記縮小部との間に位置し、円筒状の外壁面を有する平行部とを備え、先端には、円柱状の突出部が形成されている。なお、マンドレル本体28Aにおける縮小部は、溶融樹脂流路24Aにおける縮小部と同一の勾配を有するように形成されている。
【0059】
マンドレル28は、図5において実線で示すように、マンドレル本体28Aにおける縮小部と溶融樹脂流路24Aおよび先端開口部26Aにおける縮小部との間に一定の間隔が形成される開位置と、図5において二点鎖線で示すように、マンドレル本体28Aにおける縮小部が溶融樹脂流路24Aおよび先端開口部26Aにおける縮小部に当接する閉位置との何れかの位置に保持されるように形成されている。
【0060】
マンドレル28が前記開位置にあるときには、マンドレル28と溶融樹脂流路24Aおよび先端開口部26Aとの間に環状樹脂流路4Aが形成され、また、マンドレル本体28Aにおける円柱状の突出部と、先端開口部26Aにおける平行部との間に円筒状の空間が形成される。前記円筒状の空間は、環状樹脂流路4Aの一部であり、ダイ・オリフィス4Bと言い替えることもできる。
【0061】
一方、マンドレル28が前記閉位置にあるときには、前記環状樹脂流路4Aは閉塞される。
【0062】
尚、マンドレル28の中心部には、ブロー成形時においてパリソン内部に圧縮空気を吹き込む圧縮空気吹き込み孔30が設けられている。圧縮空気吹き込み孔30は、本発明のブロー成形装置におけるブロー成形ガス吹き込み流路に相当する。
【0063】
ブロー成形装置204におけるブロー成形金型2は、キャビティ2Aが上端部において先端開口部26Aにおける平行部に連続するように形成されている点を除いて、図1〜図4に示すブロー成形装置200および202におけるブロー成形金型2と同様の構成を有している。また、先端治具6は、図4に示すブロー成形装置202における先端治具6と同様に形成されている。
【0064】
ブロー成形装置204においては、以下の手順に従ってブロー成形を行なうことができる。
【0065】
先ず、マンドレル28を開位置に保持し、ダイヘッド部4に接続された押出機から溶融樹脂を押し出す。前記溶融樹脂は、環状樹脂流路4Aを通り、マンドレル本体28Aと先端開口部26Aとの間のダイ・オリフィス4Bから押し出され、円筒状のパリソンが形成される。図5に示すように、ブロー成形金型2におけるキャビティ2Aの、溶融樹脂の押し出し方向aに対して直角な平面に沿った断面積が、ダイ・オリフィス4Bにおける前記平面に沿った断面積よりも遥かに大きな場合には、前記パリソンがブロー成形金型2におけるキャビティ2Aの内壁面に当たることはないから、パリソン形成中にブロー成形金型2を開く必要はない。
【0066】
パリソンが形成されたら、前記ブロー成形装置200および202と同様にして前記パリソンの先端開口部を先端治具6によって内側と外側とから把持し、マンドレル28を下降させて閉位置に保持し、環状樹脂流路4Aを閉じる。そして、圧縮空気吹き込み孔30から前記パリソン内部に圧縮空気を吹き込み、前記パリソンを膨張させてキャビティ2Aに押圧し、ブロー成形する。
【0067】
ブロー成形後、ダイヘッド先端部26、ブロー成形金型2、およびパリソン把持部材16を開いてブロー成形品を取り出す。
【0068】
第3実施形態に係るブロー成形装置204は、第1実施形態および第2実施形態に係るブロー成形装置と同様の特徴を有する。
【0069】
更に、ジョイント部の外径および内径の小さなブロー成形品を成形する場合には、ダイ・オリフィス4Bの内径および外径を小さくする必要があるが、ブロー成形装置204においては、マンドレル本体28Aにおける突出部の外径と、先端開口部26Aにおける平行部の内径とを小さくすればよいから、ジョイント部の外径および内径の小さなブロー成形品の成形に使用するブロー成形装置においても、構造に無理が生じることがない。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、両端の開口部の寸法精度が高いブロー成形品を容易に作製でき、しかも、予備成形後におけるパリソン端部の切断開口、および予備成形工程が不要であるブロー成形法、および前記ブロー成形法において好ましく使用できるブロー成形装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るブロー成形装置の一例を示す縦断面図である。
【図2】図2は、図1に示すブロー成形装置において、環状樹脂流路が開いた状態を示す縦断面図である。
【図3】図3は、図1および図2に示すブロー成形装置を使用したブロー成形法の一例を示す工程図である。
【図4】図4は、本発明に係るブロー成形装置の別の例を示す縦断面図である。
【図5】図5は、本発明に係るブロー成形装置の更に別の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
2 ブロー金型
4 ダイヘッド部
4A 環状樹脂流路
6 先端治具
8A 溶融樹脂流路(溶融樹脂流路)
10A 先端開口部(溶融樹脂流路)
12 マンドレル
14 プラグ部
16 パリソン把持部材
18 圧縮空気吹き込み孔(フロー成形ガス吹き込み流路)
22 圧縮空気吹き込み孔(ブロー成形ガス吹き込み流路)
24A 溶融樹脂流路
26A 先端開口部
28 マンドレル
30 圧縮空気吹き込み孔(ブロー成形ガス吹き込み流路)
Claims (2)
- 開閉可能に形成された環状の環状樹脂流路を有し、前記環状樹脂流路を通して溶融樹脂を押し出すことにより、筒状のパリソンを形成するダイヘッド部と、
前記ダイヘッド部において形成されたパリソンにブロー成形ガスを吹き込んで前記バリソンを膨張させるブロー成形ガス吹き込み流路と、
前記ダイヘッド部における前記環状樹脂流路が開口する側に隣接し、型合わせされた後、ブロー成形ガスを吹き込まれて膨張した前記バリソンが押圧されるキャビティ部を有するブロー成形金型と、
前記ブロー成形金型を挟んで前記ダイヘッド部とは反対側に隣接し、前記ブロー成形時において、前記ダイヘッド部において形成されたパリソンの先端開口部を外側と内側とから把持する先端治具とを
備え、
前記ダイヘッド部は、溶融樹脂が押し出される溶融樹脂流路と、前記溶融樹脂流路の内部に移動可能に配設されたマンドレルとを備え、
前記環状樹脂流路は、前記溶融樹脂流路の壁面と前記マンドレルとの間に形成されるとともに、
ダイヘッド先端部の先端開口部の壁面は、下広がりの円錐面と円筒状面より形成され、
前記マンドレルは、ダイヘッドの円錐面と同一の勾配を有する円錐面と円筒面より形成され、
パリソンの上端根本部は、前記マンドレルの外周円筒面と、前記先端開口部の壁面における円筒面部との間の空間に保持されることを特徴とするブロー成形装置。 - 前記先端治具は、前記パリソンの先端開口部に挿入されるプラグ部と、前記プラグ部を囲繞するように設けられ、前記パリソンの先端開口部を外側から把持するパリソン把持部材とを備えてなる請求項1に記載のブロー成形装置。
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