JP4567210B2 - イベントベースでの移動局測定報告 - Google Patents
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Description
【０００１】
発明の分野
発明の分野は無線通信である。本願発明は、無線アクセスネットワークのための測定ツールとして移動無線局を使用するものである。
【０００２】
発明の背景と概要
典型的なセルラー無線システムにおいて、地理上のエリアは、無線ネットワークと接続される基地局によって提供されるセルエリアに分割される。セルラー無線システムの個々のユーザー（移動体加入者）は、移動無線ネットワークで音声および／またはデータを伝送するためのポータブル移動局、ポケット移動局、手持ち可能な移動局又は車載の移動局を提供される。個々の基地局は、送信機、受信機、およびコントローラを含む複数のチャンネルユニットを含み、すべての方向に等しく電波で通信するための無指向性アンテナや複数の指向性アンテナを装備し、各指向性アンテナは、特定のセクタセルにサービスを提供する。個々の移動局は、送信機、受信機、コントローラ、およびユーザーインターフェイスを含み、特定の移動局識別子により識別される。
【０００３】
セルラー無線通信システムにおいて、コネクションに関与している移動無線機がシステムのセルの間を移動するときはハンドオーバオペレーションを実行することで、確立された無線コネクションの継続が可能となる。現基地局との無線コネクションの信号強度または信号品質が前もって決定されたしきい値を下回っると、一般にハンドオーバが開始される。低い信号強度または乏しい信号品質は、しばしば、移動局が２つのセル間の境界付近に存在することを意味している。もし移動局が、宛先セルに近づいたり、見通しの良いよりクリアなラインへと近づいたりすると、無線コネクションを宛先セルへとハンドオーバすることで、通常、結果として、無線の送受信が改善する。
【０００４】
いくつかのセルラーシステムにおいて、ハンドオーバオペレーションは、元のセルとのコネクションを物理的に切断し、その後で、宛先セルとのコネクションを再確立するといった、いわゆる「接続前の切断」交換オペレーションを必要とする。そのようなハードハンドオーバ技術は、一般に、時分割多元接続（ＴＤＭＡ）や周波数分割多元接続（ＦＤＭＡ）タイプのセルラーシステムで使用されている。一方で、「ソフト」ハンドオーバ技術は符号分割多重接続（ＣＤＭＡ）タイプのセルラーシステムで採用されている。ＣＤＭＡはセルラー通信用のアクセス方式としてますますポピュラーなタイプとなっている。なぜなら、ＦＤＭＡとＴＤＭＡ技術に比べて、より高いスペクトル効率が達成されるからであり、これは、より多くのセルラーユーザーおよび／またはより多くのセルラーサービスをサポートできることを意味している。さらに、共通の周波数バンドを使用して、移動局と複数の基地局間の同時通信が可能となる。共通の周波数バンドを占有する信号は、受信局で、高速の疑似雑音（ＰＮ）コードを使用したスペクトル拡散ＣＤＭＡの波形特性を通して識別される。これらの高速ＰＮコードは、基地局と移動局からの送信信号を変調するために用いられる。送信局は、受信局で別々に復調できるように、異なるＰＮコード（または時間オフセットされたＰＮコード）を使用して信号を生成する。また、高速ＰＮ変調は、受信局が、異なるパスを伝播してきた複数の送信信号を合成することで、一の送信局からの受信信号を効率よく生成することを可能にする。
【０００５】
従って、ＣＤＭＡにおいて、あるセルから他のセルにコネクションのハンドオフがされるときは、移動局は周波数を切り換える必要がない。結果として、元のセルがコネクションのサービスを継続しながら、宛先セルも移動局とのコネクションを同時にサポートすることが可能となる。ハンドオーバの最中は、移動局は常に少なくとも１つのセルを通して通信しているので、呼の切断はまったく存在しない。それゆえ、「ソフトハンドオーバ」という用語が用いられている。ハードハンドオーバとは対照的に、ソフトハンドオーバは「接続後の切断」交換オペレーションである。
【０００６】
しばしば、どのセルをハンドオーバの対象とするかを決めるには、移動局と無線ネットワーク間の協調が必要である。移動局は、これらのセルが適切なハンドオーバ候補であるかどうかを決定するために、隣接したセルからの基地局制御チャネルまたは報知チャンネルを監視する。適切なセル候補が識別されると、移動局は、ハンドオーバオペレーションを開始できるとの事実を無線ネットワークに通知する。もちろん、他のハンドオーバ手続が採用されてもよい。
【０００７】
電力制御もまた、無線通信システムにおいて重要であるが、とりわけ、第３世代のワイドバンドＣＤＭＡシステム（ＷＣＤＭＡ）においては重要である。「上り回線」のチャンネル上で送信する前に、まず移動局はその送信電力のレベルを設定しなければならない。同様に、無線アクセスネットワークは、「下り回線」のチャンネル、例えば、ページング・チャンネル、フォワード・アクセス・チャンネル、トラフィック・チャンネルなどについて、その基地局の送信電力レベルを設定しなければならない。
【０００８】
移動局と基地局の無線送信について実際に設定された電力レベルと干渉レベルは、すべての移動無線システムに対してとりわけ重要な問題を生じさせるが、そのような干渉は、同一の周波数を用いて多数の送受信が行われるＣＤＭＡシステムにおいては特に問題である。もし、ある局が高すぎる出力で送信すれば、それによって生じる干渉により、他の無線局から受信した信号の信号対干渉比を低下させ、受信局は、他局からの送信信号を正しく復調することができなくなる。電力関連の他の問題は「パーティー効果」である。もし移動体が高すぎる電力レベルでもって送信してしまうと、それにつられて他の移動体もまた基地局により正しく受信してもらおうとして自局の電力を増加させてしまうため、深刻な干渉問題を引き起こすことになる。
【０００９】
セルラー無線通信ネットワークにおいて、ハンドオーバ、電力制御及びその他の重要なオペレーションを効果的に行うためには、ネットワークはネットワークの現在のステータスを把握すべきである。ネットワークの様々な位置で、無線関連の種々のパラメータについての現在の値を検出することによって適度にステータスを測定できる。ハンドオーバの例についていえば、無線ネットワークは、どの特定のセルが特定の移動局のコネクションにとって適切なハンドオーバ候補であるかを把握すべきである。他の例において、特定のセルの干渉レベルを制御するためには、無線ネットワークが、セル内における様々な無線局の送信電力レベル、受信電力レベル、干渉レベルなどを知っている必要がある。他のパラメータも、また、ネットワークが監視することが望ましいかもしれない。
【００１０】
これらのパラメータは適切に配置されたセンサーや他の監視機器によって測定できるだろうが、効果的で価値があるような機器のコストと設置は法外なものになってしまうだろう。一方で、局の無線環境を反映した重要な測定値を無線ネットワークに提供する測定ツールとして、（第２の目的で）移動局自身を使用であるかもしれない。それらの測定を使用すれば、ハンドオーバ、電力制御、リソース管理などのような無線ネットワークオペレーションが容易になろう。
【００１１】
移動無線機は、無線ネットワークへの測定報告を無線関連パラメータの標準セットとして周期的に提供できる。しかし、この場合の欠点は、周期的な測定報告において、もし、この周期が長くなりすぎれば、この報告は無線ネットワークにとって過去の古いものとなってしまうため、状況の変化に対する反応が遅すぎるか又はゆっくりすぎてしまうことである。一方で、もしネットワークの情報および状況変化への適切な応答性を改善するために、報告時間周期を短くすれば、移動局からの信号量がかなり増大してしまう。これはいくつかの理由のため不利である。第一には、無線帯域幅が制限されることがあげられ、この種の管理用のシグナリングは干渉をもたらし、ユーザー通信の収容能力を低下させてしまう。第二は、これらの頻繁な移動局の測定報告において送信される情報の多くは、おそらく、最近の測定報告の内容とまったく同一のものに過ぎないだろう。第３は、報告を頻繁に行えば移動局のバッテリーも浪費されるだろう。
【００１２】
本願発明の目的は、上述の課題を克服すること及び克服することの必要性にある。
【００１３】
本願発明の目的は、無線ネットワーク制御と最適化されたオペレーションのために、移動無線局を柔軟で、一般的な測定ツールとしてを使用することである。
【００１４】
本願発明の目的は、無線ネットワークが、状況の変化に即座かつ効果的に応答できるように、移動局の測定を適時かつ適切に提供することである。
【００１５】
本願発明のさらなる目的は、移動体と基地局間の不要な測定シグナリングを減少させるか、できれば最小化できるように、ネットワーク測定情報を効率的な方法で提供することである。
【００１６】
本願発明は、移動局の測定報告をイベントベースまたはイベントドリブンで提供する。移動局は、無線アクセスネットワークの１以上のセルについて無線関連のパラメータを測定する。移動局は、前もって決定された条件またはイベントについて、測定された無線関連パラメータを評価し、前もって決定された条件が満たされているか、または、イベントが起こったかを決定する。その評価に基づき、移動無線機は報告を無線アクセスネットワークに送信する。従って、イベントの発生および／または条件の満足が、ネットワークへの報告送信の契機（トリガー）となる。この方法で、ネットワークは、適切なまたは新規の測定情報を伝えるものではないような古い測定報告や冗長な測定報告を送信することなく、適時かつ適切なアクションを取るための情報を受信する。
【００１７】
測定報告は、移動局による測定がなされたセル、具体的なトリガーなる測定イベント、無線関連パラメータの測定値および／または他の情報などを識別する。無線関連パラメータは質的および／または量的なものであってもよい。パラメータ例をあげると、１以上のセルと対応した、信号強度、信号電力、干渉レベル、信号対干渉比、誤り率、トラヒックなどが含まれよう。ヒステリシスはオプション的な指数であり、前もって決定された条件またはイベントが起こったかどうかを決定するために採用されてもよい。また、前もって決定された条件が満たされているか、または、イベントが起こったかを決定すべく、トリガーまでの猶予時間が移動無線機により使用されてもよい。条件の１つ又は両方が満たされているかについて送信された報告とともに、２以上の前もって決定された条件またはイベントの観点から無線関連パラメータが評価される。
【００１８】
１つの例では、前もって決定された例示的な条件またはイベントは、前もって決定されたパラメータの範囲に、測定された無線関連パラメータが入ってくるか又は外れるか対応していてもよい。他の例では、第２のセルについて測定された無線関連パラメータよりも、第１のセルについて測定された無線関連パラメータ良くなることである。ポジティブなまたはネガティブなオフセット値は、イベントの発生と関係するさらなる必要な条件として、測定報告が送られる前に、測定された無線関連パラメータに追加されてもよい。このオフセットはセルごとに変更されてもよい。前もって決定された条件またはイベントには、しきい値を越える測定された無線関連パラメータの変化、一のセルと関連する無線リンクにおける問題の検出、移動局の送信電力がしきい値を超えたこと、移動局が要求に応じて送信電力の増加もしくは低下に失敗したこと、移動局の受信機が飽和したことなどが含まれよう。
【００１９】
移動無線ネットワークの制御ノードは、移動局に、１以上のセルについて１以上の無線関連パラメータを測定し、１以上のセルについて測定された無線関連パラメータのそれぞれを前もって決定されたイベントおよび／または条件について評価するよう指示する。移動局は、このようなイベントが発生すると制御ノードに報告を送信するよう指示される。そして、報告が移動局から受信されると、コントローラは、受信された報告に基づいてオペレーションを実行するかどうかを決定する。例として、オペレーションには、ハンドオーバ、電力制御、チャンネルタイプの切り替え、オペレーションとメンテナンス、ネットワークバランシング、ネットワーク最適化などが含まれよう。
【００２０】
制御ノードは、好ましくは１以上の一般タイプのパラメータを含む測定制御メッセージを使用して、移動局測定指示を提供する。例えば、測定制御メッセージは、移動局が作成すべき１以上のパラメータの測定を単に指定したり、報告のトリガーとなる１以上のイベントや、報告にはどんな情報を含めるべきであるかを指定したりする。移動局の測定とイベントは、特定のネットワークオペレーションまたはネットワーク評価と関係付けられてはいないので、将来のネットワークニーズとオペレーションに対しても、高い柔軟性と適応性がある。この観点によれば、次に続く測定制御メッセージは、無線関連パラメータや前もって決定されたイベントを修正し、測定の対象としてオプション的なパラメータを追加し、または、前もって決定された他の評価されるべきイベントを指定してもよい。実際には、移動局は、前もって決定された条件がたとえ満たされていても報告を送信しないことを指示されてもよい。
【００２１】
図面の詳細な説明
以下の説明において、限定ではなく、説明の目的で、本願発明の完全な理解を提供するために、特定の実施形態、手続、技術などなど特有な詳細が記述される。しかし、それは当業者であれば明白であろうが、本願発明はこれらの具体的な詳細を逸脱する他の実施形態において適用されてもよい。様々な例示的パラメータ、イベント、条件、およびネットワークオペレーションが以下の説明と連携して説明されるが、本願発明は、特定の測定、イベント、条件、またはネットワークオペレーションに制限されるものではない。他の例において、有名な方法、インタフェース、機器、およびシグナリング技術の詳細な説明は、不要な詳細によって本願発明の説明を覆い隠さないために省略される。
【００２２】
本願発明は、図１Ａに示された一般移動通信（ＵＭＴＳ）１０についての例示的で制限されることのない文脈において説明される。雲１２として示された代表的なコネクションオリエンテッドの外部コアネットワークは、例えば、公衆電話交換ネットワーク（ＰＳＴＮ）および／または統合デジタル通信網（ＩＳＤＮ）であってもよい。雲１４として示された代表例は、コネクションレス・オリエンテッドの外部コアネットワークであり、例えばインターネットであってもよい。両方のコアネットワークは、対応するサービスノード１６に接続されている。ＰＳＴＮ／ＩＳＤＮなどのコネクションオリエンテッドネットワーク１２は、回線交換サービスを提供する移動交換局（ＭＳＣ）ノード１８として示されているように、コネクションオリエンテッドサービスノードに接続している。既存のＧＳＭネットワークで、ＭＳＣ１８は、インタフェースＡ'上の無線基地局２３に順次接続する基地局サブシステム（ＢＳＳ）２２とインタフェースＡを介して接続される。インターネットなどのコネクションレス・オリエンテッドネットワーク１４は、しばしば在圏ＧＰＲＳサービスノード（ＳＧＳＮ）と称されるパケット交換タイプのサービスを提供するように仕立てられた一般パケット無線サービス（ＧＰＲＳ）ノード２０に接続している。コアネットワークサービスノード１８と２０のそれぞれは、ｌｕインタフェースと称される無線アクセスネットワーク（ＲＡＮ）インタフェースを介して、ＵＭＴＳ地上無線アクセスネットワーク（ＵＴＲＡＮ）２４と接続する。ＵＴＲＡＮ ２４は１以上の無線ネットワーク制御装置２６を含む。各ＲＮＣ ２６は、基地局（ＢＳ）２８の複数、およびＵＴＲＡＮ ２４の他のいずれかのＲＮＣと接続される。
【００２３】
好ましくは、無線アクセスは、ＣＤＭＡ拡散符号を用いて各無線チャンネルが割り当てられるワイドバンド、符号分割多元接続（ＷＣＤＭＡ）を基礎とする。もちろん、他のアクセス方式が採用されてもよい。高い品質を保証すべく、ダイバーシチハンドオフとＲＡＫＥ受信機などのような頑強な機能だけでなく、マルチメディアサービスや他の高い伝送速度要求のために、ＷＣＤＭＡは広帯域の帯域幅を提供する。同じエリアに存在する雑音や他のすべての送信の中から、当該移動局宛ての基地局からの送信を当該移動局が識別できるようにするためだけでなく、特定の移動局からの送信を基地局２８が識別できるようにするために、自己のスクランブル符号を割り当てられる。
【００２４】
１つの基地局２８と移動局３０との間には、異なるタイプのコントロールチャンネルを設けることができる。例えば、フォワードまたは下り回線方向において、一般報知チャンネル（ＢＣＨ）、ページング・チャンネル（ＰＣＨ）、および他のタイプの移動局への制御メッセージを伝送するためのフォワード・アクセス・チャンネル（ＦＡＣＨ）を含む様々なタイプの報知チャンネルが存在する。リバースまたは上り回線の方向では、位置登録、発呼、着信応答、およびアクセスオペレーションの他のタイプなどを実行するためにアクセスが要求される際はいつでも、ランダムアクセスチャンネル（ＲＡＣＨ）が移動局により使用される。トラフィック・チャンネル（ＴＣＨ）が、移動局との実質的な呼通信を搬送するために割り当てられてもよい。
【００２５】
図１Ａに例示するように、移動局は１つの基地局とだけ通信してもよい。しかしながら、移動局は複数の基地局または複数の基地局セクタと通信する、例えば、ソフトハンドオーバを実行してもよい。アイドル時にさえ、移動局は、隣接した基地局からコントロールチャンネルの放送を傍受するか、またはサーチする。
【００２６】
図１Ｂにおいて示された移動局３０は、移動局に必要な様々なオペレーションを制御するためのデータ処理・制御装置３２を含む。移動体のデータ処理・制御装置３２は、アンテナ３５と接続された無線送信機３３にデータだけでなく制御信号をも提供する。データ処理・制御装置３２とトランシーバー３３はバッテリー３４により電源を供給される。バッテリー３４から、データ処理・制御装置３２とトランシーバー３３に供給された電力量は、データ処理・制御装置３２からの１以上の制御信号により調節される。図１Ｃに示された無線ネットワーク制御装置２６と基地局２８は、対応するデータ処理・制御装置３６と３７をそれぞれ含む無線ネットワークノードであり、ＲＮＣ ２６と移動局３０間の通信を伝達するために必要とされる多数の無線及びデータ処理オペレーションを実行する。基地局のデータ処理・制御装置３７により制御された機器の一部には、１以上のアンテナ３９に接続する複数の無線送信機３８も含まれる。
【００２７】
本願発明において、移動局により測定された１以上のパラメータに基づいたネットワーク状況についてのリアルタイムの情報をＵＴＲＡＮが受信できるようにするために、移動局を、測定報告を提供するために採用することができる。ネットワークの様々な位置からの重要な測定データをＵＴＲＡＮに与えるべく、多数の移動局に、測定報告を生成させ、送信させることがより望ましいが、本願発明では、ほんのわずかの移動局もしくはたった１つの移動局を使用するだけでも実施可能である。測定報告の送信は、イベントの発生を契機として実行される。その結果、ネットワーク状況に関してのリアルタイム情報は、遅延や過度のシグナリング・オーバヘッドを伴うことなく、ＵＴＲＡＮが効果的に応答できるように、適切な瞬間に選択的に伝えられることが可能である。前もって決定された「イベント」および／または前もって決定された「条件」の組み合わせ変更可能なセットは、移動局から送信されるべきトリガー測定報告と定義されよう。いったん報告が受信されると、ＵＴＲＡＮは、その時、報告された情報を分析し、もし必要なら、ハンドオーバ、電力制御、オペレーションとメンテナンス、ネットワークの最適化および他の手続など応答的なオペレーションまたは他の望ましいオペレーションを実行できる。
【００２８】
図２に示すフローチャートは、移動局測定のイベントベース報告のための例示的な手続フォーマットである（ブロック４０）。移動局は、１以上のセルについて１以上の無線関連パラメータを測定する（ブロック４２）。非制限的な例示としてのパラメータは、現在および隣接したセルからの基地局報知チャンネル信号の受信信号強度である。移動局は、前もって決定されたイベントまたは条件について、測定されたパラメータのそれぞれを評価する（ブロック４４）。その評価に基づき、例えば、前もって決定されたイベントが発生し、および／または、前もって決定された条件が満たされると、移動局は報告を無線ネットワークに送信する（ブロック４６）。その報告の内容は無線ネットワークのオペレータにより設立されるような情報を多少含むかもしれない。例えば、報告は、セルの識別情報および発生したイベントの識別情報を単に含んでいてもよい。測定されたパラメータ、他のパラメータ、およびオプション的な情報などの他の情報も、また、その報告において提供できる。受信された報告に呼応して、もし適切なら、上例のハンドオーバ、電力制御、チャンネルタイプ切り替え（例えば 専用チャネルから共通チャンネルへの切り換え、同様に、その逆の切り替え）などの実行を含む報告を用いて、無線ネットワークはいくつかの動作を実行してもよい（ブロック４８）。
【００２９】
好ましくは、測定されたパラメータおよび前もって決定されたイベントおよび／または条件は、それらが特定のオペレーション、評価またはアルゴリズムに堅く結びつかないように、一般用語として定義される。これは、他のイベント契機の移動局報告にも柔軟性と適応性を与える。一方で、測定と報告パラメータおよびイベントは特定のアプリケーションまたは必要に応じて具体的にされてもよい。イベント契機の報告はより望ましいが、もし要求されるなら、移動局はＵＴＲＡＮにより定期的な報告やイベント契機ではない他のタイプの報告を送信するよう指示されてもよい。もし、リアルタイム動作または特定の移動局測定がシステム全体の動作よりも重要でないのであれば、周期的な報告はネットワークの監督の観点からは望ましいかもしれない。本願発明は、選択された周期において、選択されたセルからの移動局測定を使用して、そのようなネットワーク監督を実行すべく、移動局の一部だけに柔軟性を与えても良い。
【００３０】
図３は、本願発明の１面を実施するのに有益なシグナリングダイアグラムを例示している。無線ネットワーク制御ノード、例えば、ＲＮＣ、基地局、または他のコントローラは、移動局のための測定制御メッセージを生成して送信する。一般に、測定制御メッセージは、移動局によって測定できる１以上の無線関連（または他の）パラメータの測定を移動局に指示する。このメッセージにより、移動局から無線ネットワーク制御ノードに送り返される測定報告の送信の契機を与える、１以上の前もって決定されたイベントおよび／または条件も識別される。測定制御メッセージに含められうる情報の例は以下のとおりである：
・測定パラメータ： 移動局が何を測定すべきかを指定する
・測定イベントおよび／または条件： 契機となるイベントおよび／または条件を指定する
・測定識別番号： 次の移動局測定の修正においてＵＴＲＡＮにより使用され、また、測定報告において移動局により使用される
・コマンド（命令）： 新しい測定を設定するために使用されたり、前もって指定された測定パラメータを修正したり、前もって決定されたイベントや条件を修正ししたり、測定の停止、測定に関連して移動局に蓄積されたすべての情報をクリアしたりする
・オプションのパラメータ： ネットワークオペレータにとって興味があるパラメータであって時間に過敏でないようなもの。
【００３１】
質的なおよび／または量的なパラメータが指定され、測定されてもよい。非制限的な例としてのパラメータには、測定された信号強度、信号電力、ビット誤り率、信号対干渉比、パス損失、トラヒック、タイミング／同期オフセットなどが含まれよう。例としての前もって決定されたイベント、および／または、条件は図６−１５と連携して以下において説明される。
【００３２】
例示的な測定モードにおける移動局のオペレーションは、図４の機能ブロックフォーマットで示された例示的な移動局測定ルーチン（ブロック５０）と連携して説明される。最初に、移動局が電源を投入されると、無線ネットワークに対しランダムアクセスを実行する（ブロック５２）。移動局がアイドル状態にある間は、無線関連もしくはより予め受信された測定制御メッセージにおいて指定され移動局に蓄積された他のパラメータについて１以上の測定を実行する（ブロック５４）。例えば、受信信号の強度が測定制御メッセージにおいて予め指定されたパラメータとなっているかどうか受信信号の強度を測定すべく、アイドル状態の移動局は報知チャネルや他の制御チャネルをモニターする。移動局に蓄積されている前もって決定されたイベントまたは他の前もって決定された条件が発生すると、以前に受信された測定制御メッセージにより指定されるように、移動局は測定報告を生成して無線ネットワーク制御ノードに送信する（ブロック５６）。その後、移動局は、測定パラメータまたはイベントを修正するための別の測定制御メッセージを無線ネットワーク制御ノードから受信することができる（ブロック６０）。移動局は、指示されたように、蓄えられたパラメータまたはイベントを修正し、他の機能またはオペレーションが、着信に対する応答、ネットワークへの登録、電源オフなどの実行のために必要とされているかを決定する（ブロック６２）。もし必要なら、そのような機能が実行される、必要ないなら、移動局は測定を実行し、上述のような移動無線機に蓄えられた情報に従ってイベントベースの報告を送信する。
【００３３】
図５は、本願発明の例示的な実施形態に従った例示的なネットワーク制御ノードにおいて使用可能な無線ネットワーク制御ノード（ＲＮＣＮ）の測定制御手続（ブロック７０）に関するフローチャートである。無線ネットワーク制御ノードは、無線ネットワークオペレータによりプログラムされるが、それらのパラメータ、イベントおよび／または条件を、移動局が、監視し、報告である必要があるかどうかについて決定する（ブロック７２）。制御ノードは、以下の情報を含む測定制御メッセージを生成する：
（１） 測定すべき１以上のパラメータ、例えばブロック誤り率、ビット誤り率、信号対干渉比、同期／時間差、送信電力、受信電力、パス損失、干渉、トラヒックなど；
（２） イベントおよび／または条件、図６−１５に例示されるようなイベント；
（３） オプションのパラメータ；そして
（４） 他の情報（ブロック７４）。
制御ノードは、そして、測定制御メッセージを１以上の移動局に送信する（ブロック７６）。測定報告の送信契機となるイベントが発生すると、制御ノードは移動局から測定報告を受信する（ブロック７８）。制御ノードは、例えばハンドオーバ（相互周波数及び内部周波数の双方）、電力制御、チャンネルタイプの切り替え、オペレーションとメンテナンス、ネットワーク最適化など報告に含まれて提供される情報に基づいて、動作を実行するかどうかを決定をする（ブロック８０）。
【００３４】
図６−１５は、無線ネットワーク制御ノードへの測定報告の生成と送信の契機として有用なイベントおよび／または条件の例を示している。しかしながら、イベントの発生は条件の一致とみなされ（そして逆もまた同様）、報告が送信される前において、イベントはさらなる条件と結び付けられてもよい。用語「イベント」または「条件」が単独で使用されるときは、移動局に測定報告を送信させるようなものであれば、前もって決定された如何なる事象または如何なる状態をも含まれるように広く解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【００３５】
図６は、一般にＣＨ１、ＣＨ２、およびＣＨ３として示されたいくつかの無線チャンネルについて、時間に対する移動局の測定パラメータ値を表すグラフを例示している。そのような無線チャンネル送信は、一般に、基地局セルから報知され、移動局により受信され、特性またはパラメータ、例えば、信号強度、信号品質などを決定するために評価される。そのような無線チャンネルの非制限的な例としては、制御チャンネル、パイロットチャンネル、とまり木チャンネル、または報知チャンネルなどが含まれよう。ＵＴＲＡＮついて特別にいえば、そのような無線チャンネルはプライマリ共通制御物理チャネル（ＰＣＣＰＣＨ）が該当しよう。報告の範囲は、現在、「最もよい」チャンネル（少なくとも測定されたパラメータ値のなかでという意味で）と関連して定義されて、無線ネットワーク制御ノードから受信される測定制御メッセージにおいて定義される。ここでは、用語「ベスト」は、最も大きな測定パラメータ値を有するチャンネルに対応している。もしＣＨ３などの監視された無線チャンネルが報告すべき範囲内に突入してくるか（報告イベント１）、または報告すべき範囲（報告イベント２）から外れるのであれば、移動局は測定報告を生成し、送信する。報告は、例えばＣＨ３が報告すべき範囲に突入したか、または外れたかを単に示してもよい。
【００３６】
図７は別のイベント例を示している。報告されるイベントは、２つの監視された無線チャンネルについて測定されたパラメータ値は、報告すべき範囲において、いつ相互に横切ったか、または交差したかを示す。無線チャンネルＣＨ１とＣＨ２が交差しているときには、報告イベント１が発生する。無線チャンネルＣＨ１とＣＨ３が交差しているときは、報告イベント２が発生する。報告は、単に例えばどのチャンネルが交差していたか示すことができる。
【００３７】
図８は、報告イベントが送信される前に、イベントに沿って発生するはずの前もって決定された条件の例を示す。イベント契機の報告数量を削減するには ヒステリシス量がイベントに関与してもよい。図８に例示するように、チャンネルＣＨ２について測定されたパラメータ値は、チャンネルＣＨ１のそれを越えているが、報告イベントは、チャンネルＣＨ１とＣＨ２について測定されたパラメータ値の差が、ヒステリシスと対応する特定の量に達するまでは開始されない。無線チャンネルＣＨ２についての値が無線チャンネルＣＨ１についてのパラメータ値の波形より下へと交差しているときは、無線チャンネルＣＨ２についてのパラメータ値がヒステリシス量に達しないので、報告イベントが引き起こされないことに注意してほしい。
【００３８】
同様に、トリガーされるまでの猶予時間に関する条件は、イベント契機の報告数を制限するために採用可能であり、最終的に、シグナリング負荷を制限できよう。トリガー猶予時間条件はイベントと関連付けられるものであり、指定されたトリガー猶予時間に亘ってイベントが発生するといった条件を満たした後にだけ、報告が送信されるようにすることができる。図９の例で、トリガー猶予時間の効果は、無線チャンネルＣＨ３が報告すべき範囲に突入するといったイベントが、トリガー猶予時間に亘って無線チャンネルＣＨ３が報告すべき範囲内に存在しつづけなければ、報告が送信されないことである。ヒステリシスとトリガー猶予時間は、報告イベントあたり個々に設定されてもよいが、一般には測定制御メッセージにおいて指定されよう。ヒステリシス、およびトリガー猶予時間と同様な条件は、無線環境条件をネットワークに伝達するための測定シグナリング量と即時性について、バランス／トレードオフをＵＴＲＡＮに与えることになろう。
【００３９】
監視される各無線チャンネルは、また、オフセットと関係付けられる。オフセットはポジティブまたはネガティブとすることができ、イベントが起こったかどうかを移動局が決定する前に、測定されたパラメータ値に追加されてもよい。図１０に示された例では、チャンネルが報告すべき範囲に突入するか、または外れるるときに、報告はオフセットなしで送信される。しかし、無線チャンネルＣＨ３についてはポジティブなオフセットが指定されるので、イベントが起こるかどうかを決定するために点線のオフセット曲線が採用される。移動局から無線ネットワークへの測定報告は、無線チャンネルＣＨ３についての測定されたパラメータ値にその関連したオフセットが付加されたものが、報告すべき範囲に突入するかまたは外れるとき、および／または、その測定されたパラメータ値が、例えば、現在「最もよい」無線チャンネルＣＨ１を越えているときに、引き起こされる。
【００４０】
このオフセットメカニズムは、無線ネットワークが個々のチャンネルについての報告を変更することを可能にする。ポジティブなオフセットを適用することによって、移動局は、オフセットチャンネルが実際のケースよりも高い測定パラメータ値を持っているという仮定の下に、測定報告を送信する。もしネットワークオペレータが、特定のセルについてはより慎重に監視されるべきであると認識している場合には、そのようなポジティブなオフセットメカニズムは有益であろう。例えば、ネットワークオペレータは経験から、しばしばこの無線チャンネルが、例えば、通りの角であるなどによって、非常に迅速に優秀な候補となることを知っているかもしれず、従って、この場合はより集中的な報告が適切である。ハンドオーバに関する文脈において、チャンネルＣＨ３は、ポジティブオフセットなしのケースでは含まれなかったことであろうが、ポジティブオフセットを用いることで、ハンドオーバチャンネルのアクティブな候補セットに含まれることになろう。代わりに、ネットワークオペレータは、ネガティブなオフセットを特定のチャンネルに適用することを選択でき、従って、対応したセルはよりアクティブなハンドオーバ候補者セットから除外されることになろう。
【００４１】
個々のセルオフセットは、また、セル境界を「動かす」ためのツールとして利用できる。ポジティブなオフセットを具体的なセルに適用することによって、移動局は、これまでとは異なるより長い距離でもってそのセルと接続するといった効果が得られよう。ここでは、無線ネットワークによって適用されるオフセットと対比されるように、トリガーイベントが発生する前にオフセットが追加される。もしオフセットがネットワークにだけ適用され、測定報告が非常に遅く引き起こされ、ネットワークが適切なアクションを取ることができないことがあるかもしれない。従って、移動局に対してイベント評価の際にオフセットが適用されればより有益である。これの１つの結果は、ネットワークオペレータが、同一のエリアないで複数のセルに負荷分散を実行することができ、すなわち、セルのサイズを適応させることによって、複数のセル間に均等にトラヒックを分配できるのである。
【００４２】
もし下り回線のパス損失が、測定されたパラメータとして使用されるならば、無線ネットワークは、各セルのオフセットに沿って、上り回線の干渉が濾過された値をオプションで含めてもよい。この状況において、ハンドオーバの候補を評価するときに上り回線の干渉を考慮することによって、システムの上り回線能力についてのハンドオーバ評価を最適化できるため、２つのハンドオーバ基準 −下り回線パス損失プラス上り回線干渉− が用いられうる。
【００４３】
他の採用可能な考慮について図１１と連携して説明する。上述の例において、報告すべき範囲は、「最もよい」測定されたチャンネルと関連して定義される。特定のチャンネルが報告すべき範囲に影響することを防止することが望ましい状況があるかもしれない。図１１は、チャンネルＣＨ３が報告すべき範囲に影響することを許可しないよう、無線ネットワークが移動局に指示する例を示している。このメカニズムは、もしオペレータが、特定のエリアでチャンネルＣＨ３の品質が不安定であり、従って、報告すべき範囲を変更するために使用されるべきではないと経験から知っているならば有益であるかもしれない。しかし、それでもなお、ＣＨ３が報告すべき範囲に突入しまたは報告すべき範囲から外れることをイベントとして報告可能である。さらに、無線ネットワーク制御ノードは、過去に報告を送信する原因となった特定のイベントを再び報告しないよう移動無線機に指示してもよい。
【００４４】
「イベント」は、ある複数のイベントの発生を含むものであってもよい。そのような組み合わされたイベントの例には次にものが含まれよう：
・報告すべき範囲を外れているチャネルと、パラメータ値が絶対的なしきい値を超えるか／より下であると測定されたチャネルとの組み合わせ
・チャンネル１つのチャンネルが他のチャンネルより良くなるときに、２つのチャネルのうち少なくとも１つがアクティブなハンドオーバ候補セットであること
・チャンネルは非常に急速に悪化し、急速に悪化したチャンネルよりもたった１つのチャンネルだけがよいこと
・たった１つのチャンネルだけがアクティブなハンドオーバ候補セットとして存在し、そのチャンネルが非常に迅速に悪化するか、または絶対しきい値より下となること、例えば、移動局が電波有効範囲の外に移動して行くことで、他のシステムについての検索が急速に開始されるべき場合。
【００４５】
つぎに、他の例示的なイベントを図１２と連携して説明する。ここでは、イベントは、チャンネルついて測定されたパラメータ値がどれほど急速に変化するかに基づいて定義される。この例において、チャンネルＣＨ３について測定されたパラメータ値は、非常に急速に変化し、イベント１を報告するためにポジティブな方法が、およびイベント２を報告するためにネガティブな方法が用いられる。たとえ報告すべき範囲の外でイベントが発生したとしても、イベントは報告可能である。パラメータの変更または傾きについてのしきい値は、測定制御メッセージに搭載されて移動局に提供される。
【００４６】
上記の例の多くは、ハンドオーバ決定とハンドオーバオペレーションとを実行するような無線ネットワークにとって有益であろう（もちろん、そのような決定／オペレーションに限定されることはない）。また、移動局は、無線リンクの問題に関する情報を無線ネットワークに提供できる。例えば、無線リンクにおいて同期やタイミングが不十分であるかもしれない。このような問題が発生すると、移動局は無線ネットワークに通知ができ、ネットワークオペレータは当該無線リンクをアクティブな候補セットから除外し、可能なメンテナンス調査を開始できよう。
【００４７】
無線ネットワークについての他の重要な監視及び制御エリアは、電力制御エリアである。電力制御オペレーションにとって有効であるかもしれない例示的なイベントを図１３−１５と連携して説明する。
【００４８】
ネットワークに課された制約や移動端末の物理的な制約により、移動局の出力電力には現実的な限界がある。例えば、移動局からの送信されたすべての信号の送信電力レベルを調整することにより、基地局で同一の信号対干渉比でもって信号が受信されることは、ＣＤＭＡシステムの最大収容量を達成する上で重要である。もし移動局が移動局の電力を減少させることができなければ、移動局はセル内の他のすべての移動局の通信に対し過度の外乱を引き起こし、増大された外乱レベルを補償すべく、他の移動局に送信電力を増大させる状況をしばしばもたらしている。結局、１以上の移動局は、最高出力に達しているにもかからず、干渉を克服し「基地局に正しく受信される」ためには送信電力が不十分な状態となり、ネットワークは、干渉を減少させるために呼を切断し始める。どのような理由であれ、もし移動局がその電力調整に苦労していたとしても、無線ネットワークは必ずしも直ちにこの苦労を把握するわけではないであろう。従って、ネットワークが移動局からのそのような状況についての警告を受信し、他のセルまたは他の周波数へのハンドオーバなどの適切なアクションを実行することについて有効であろう。
【００４９】
課されたネットワークや移動端末の物理的な制約により、移動局の出力電力には現実的な限界がある。例えば、移動局からの送信されたすべての信号の送信電力レベルを調整することにより、基地局で同一の信号対干渉比でもって信号が受信されることは、ＣＤＭＡシステムの最大収容量を達成する上で重要である。もし移動局が移動局の電力を減少させることができなければ、移動局はセル内の他のすべての移動局の通信に対し過度の外乱を引き起こし、増大された外乱レベルを補償すべく、他の移動局に送信電力を増大させる状況をしばしばもたらしている。結局、１以上の移動局は、最高出力に達しているにもかからず、干渉を克服し「基地局に正しく受信される」ためには送信電力が不十分な状態となり、ネットワークは干渉を減少させるために呼を切断し始める。どのような理由であれ、もし移動局がその電力調整に困難をきたしていたとしても、無線ネットワークは必ずしも直ちにこの困難を把握するわけではないであろう。従って、ネットワークが移動局からのそのような状況についての警告を受信し、他のセルまたは他の周波数へのハンドオーバなど適切なアクションを実行することについて、この方法は有効であろう。
【００５０】
図１４は、移動局が、一定の値（破線）より下にその出力電力を減少できない状況を例示しており、図１５は、逆の条件を例示する。もし移動局が、例えば０．６２５秒など電力制御間隔に亘ってその電力調整に困難をきたしている場合、ネットワークが移動局からそのような状況についての早期警告を得ることは利点があり、例えば、移動局の送信するビットレートを変更するなど適切なアクションを実行できる。
【００５１】
基地局と移動局の通信機はダイナミックレンジが制限されている。もし移動局により受信された信号がダイナミックレンジを越えているならば、受信機は、飽和し、信号の受信品質を悪化させるようになる。このような受信機の飽和をトリガーイベントとして使用することによって、移動局はこの特定の問題をネットワークに通知できる。
【００５２】
無線ネットワークにおいて図１３−１５に示されたイベントが、上り回線と下り回線の電力制御機能をサポートするために採用される一方で、さらに、この情報は、他のオペレーションをサポートするためにも用いられてもよい。例えば、移動局が基地局に近すぎるなど、移動局が無線ネットワークからの要求に応じてその送信電力を減少できないならば、ネットワークは、移動局に対し、相互周波数を使用してハンドオーバするように命令してもよい。
【００５３】
本願発明は特定の実施形態に関連して説明されたが、当業者であれば、本願発明が、ここに例示され説明された特定の例示的な実施形態に限定されないものであることを認めよう。数多くの部分変更、バリエーション及び均等な構成だけでなく、上記で示され説明されたものを除く種々のフォーマット、実施形態および適応もまた発明を実施するために採用可能である。従って、本願発明は、添付の請求の範囲だけによって制限されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
様々な視野にわたって同一の個所を参照する引用符号が付された添付図面において例示されているだけでなく、前記および他の発明の目的、機能、および利点は、好ましい実施形態についての以下の説明からより明らかになろう。図面は、必ずしも、発明の原理を例示することに代えて、縮尺や強調する必要はない。
【図１Ａ】 本願発明が有効に利用される例示的な移動体通信システムを示す図である。
【図１Ｂ】 図１Ａに示された移動局の簡素化された機能ブロック図である。
【図１Ｃ】 図１Ａに示された無線ネットワーク制御装置と基地局の簡素化された機能ブロック図である。
【図２】 移動局測定についてのイベントベースでの報告に関する一般手続を概説する機能ブロック図である。
【図３】 無線ネットワーク制御ノードと移動局間におｋる例示的な測定関連メッセージを示す図である。
【図４】 例示的な移動局測定と報告手続についてのフローチャートである。
【図５】 無線ネットワーク制御ノードにおける測定制御ルーチン例示的な手続きに関するフローチャートである。
【図６】、
【図７】、
【図８】、
【図９】、
【図１０】、
【図１１】、
【図１２】、
【図１３】、
【図１４】、
【図１５】 移動局測定報告の送信契機となるイベントに関するいくつかの具体例と他の状況又は指数を例示するグラフである。
発明の分野
発明の分野は無線通信である。本願発明は、無線アクセスネットワークのための測定ツールとして移動無線局を使用するものである。
【０００２】
発明の背景と概要
典型的なセルラー無線システムにおいて、地理上のエリアは、無線ネットワークと接続される基地局によって提供されるセルエリアに分割される。セルラー無線システムの個々のユーザー（移動体加入者）は、移動無線ネットワークで音声および／またはデータを伝送するためのポータブル移動局、ポケット移動局、手持ち可能な移動局又は車載の移動局を提供される。個々の基地局は、送信機、受信機、およびコントローラを含む複数のチャンネルユニットを含み、すべての方向に等しく電波で通信するための無指向性アンテナや複数の指向性アンテナを装備し、各指向性アンテナは、特定のセクタセルにサービスを提供する。個々の移動局は、送信機、受信機、コントローラ、およびユーザーインターフェイスを含み、特定の移動局識別子により識別される。
【０００３】
セルラー無線通信システムにおいて、コネクションに関与している移動無線機がシステムのセルの間を移動するときはハンドオーバオペレーションを実行することで、確立された無線コネクションの継続が可能となる。現基地局との無線コネクションの信号強度または信号品質が前もって決定されたしきい値を下回っると、一般にハンドオーバが開始される。低い信号強度または乏しい信号品質は、しばしば、移動局が２つのセル間の境界付近に存在することを意味している。もし移動局が、宛先セルに近づいたり、見通しの良いよりクリアなラインへと近づいたりすると、無線コネクションを宛先セルへとハンドオーバすることで、通常、結果として、無線の送受信が改善する。
【０００４】
いくつかのセルラーシステムにおいて、ハンドオーバオペレーションは、元のセルとのコネクションを物理的に切断し、その後で、宛先セルとのコネクションを再確立するといった、いわゆる「接続前の切断」交換オペレーションを必要とする。そのようなハードハンドオーバ技術は、一般に、時分割多元接続（ＴＤＭＡ）や周波数分割多元接続（ＦＤＭＡ）タイプのセルラーシステムで使用されている。一方で、「ソフト」ハンドオーバ技術は符号分割多重接続（ＣＤＭＡ）タイプのセルラーシステムで採用されている。ＣＤＭＡはセルラー通信用のアクセス方式としてますますポピュラーなタイプとなっている。なぜなら、ＦＤＭＡとＴＤＭＡ技術に比べて、より高いスペクトル効率が達成されるからであり、これは、より多くのセルラーユーザーおよび／またはより多くのセルラーサービスをサポートできることを意味している。さらに、共通の周波数バンドを使用して、移動局と複数の基地局間の同時通信が可能となる。共通の周波数バンドを占有する信号は、受信局で、高速の疑似雑音（ＰＮ）コードを使用したスペクトル拡散ＣＤＭＡの波形特性を通して識別される。これらの高速ＰＮコードは、基地局と移動局からの送信信号を変調するために用いられる。送信局は、受信局で別々に復調できるように、異なるＰＮコード（または時間オフセットされたＰＮコード）を使用して信号を生成する。また、高速ＰＮ変調は、受信局が、異なるパスを伝播してきた複数の送信信号を合成することで、一の送信局からの受信信号を効率よく生成することを可能にする。
【０００５】
従って、ＣＤＭＡにおいて、あるセルから他のセルにコネクションのハンドオフがされるときは、移動局は周波数を切り換える必要がない。結果として、元のセルがコネクションのサービスを継続しながら、宛先セルも移動局とのコネクションを同時にサポートすることが可能となる。ハンドオーバの最中は、移動局は常に少なくとも１つのセルを通して通信しているので、呼の切断はまったく存在しない。それゆえ、「ソフトハンドオーバ」という用語が用いられている。ハードハンドオーバとは対照的に、ソフトハンドオーバは「接続後の切断」交換オペレーションである。
【０００６】
しばしば、どのセルをハンドオーバの対象とするかを決めるには、移動局と無線ネットワーク間の協調が必要である。移動局は、これらのセルが適切なハンドオーバ候補であるかどうかを決定するために、隣接したセルからの基地局制御チャネルまたは報知チャンネルを監視する。適切なセル候補が識別されると、移動局は、ハンドオーバオペレーションを開始できるとの事実を無線ネットワークに通知する。もちろん、他のハンドオーバ手続が採用されてもよい。
【０００７】
電力制御もまた、無線通信システムにおいて重要であるが、とりわけ、第３世代のワイドバンドＣＤＭＡシステム（ＷＣＤＭＡ）においては重要である。「上り回線」のチャンネル上で送信する前に、まず移動局はその送信電力のレベルを設定しなければならない。同様に、無線アクセスネットワークは、「下り回線」のチャンネル、例えば、ページング・チャンネル、フォワード・アクセス・チャンネル、トラフィック・チャンネルなどについて、その基地局の送信電力レベルを設定しなければならない。
【０００８】
移動局と基地局の無線送信について実際に設定された電力レベルと干渉レベルは、すべての移動無線システムに対してとりわけ重要な問題を生じさせるが、そのような干渉は、同一の周波数を用いて多数の送受信が行われるＣＤＭＡシステムにおいては特に問題である。もし、ある局が高すぎる出力で送信すれば、それによって生じる干渉により、他の無線局から受信した信号の信号対干渉比を低下させ、受信局は、他局からの送信信号を正しく復調することができなくなる。電力関連の他の問題は「パーティー効果」である。もし移動体が高すぎる電力レベルでもって送信してしまうと、それにつられて他の移動体もまた基地局により正しく受信してもらおうとして自局の電力を増加させてしまうため、深刻な干渉問題を引き起こすことになる。
【０００９】
セルラー無線通信ネットワークにおいて、ハンドオーバ、電力制御及びその他の重要なオペレーションを効果的に行うためには、ネットワークはネットワークの現在のステータスを把握すべきである。ネットワークの様々な位置で、無線関連の種々のパラメータについての現在の値を検出することによって適度にステータスを測定できる。ハンドオーバの例についていえば、無線ネットワークは、どの特定のセルが特定の移動局のコネクションにとって適切なハンドオーバ候補であるかを把握すべきである。他の例において、特定のセルの干渉レベルを制御するためには、無線ネットワークが、セル内における様々な無線局の送信電力レベル、受信電力レベル、干渉レベルなどを知っている必要がある。他のパラメータも、また、ネットワークが監視することが望ましいかもしれない。
【００１０】
これらのパラメータは適切に配置されたセンサーや他の監視機器によって測定できるだろうが、効果的で価値があるような機器のコストと設置は法外なものになってしまうだろう。一方で、局の無線環境を反映した重要な測定値を無線ネットワークに提供する測定ツールとして、（第２の目的で）移動局自身を使用であるかもしれない。それらの測定を使用すれば、ハンドオーバ、電力制御、リソース管理などのような無線ネットワークオペレーションが容易になろう。
【００１１】
移動無線機は、無線ネットワークへの測定報告を無線関連パラメータの標準セットとして周期的に提供できる。しかし、この場合の欠点は、周期的な測定報告において、もし、この周期が長くなりすぎれば、この報告は無線ネットワークにとって過去の古いものとなってしまうため、状況の変化に対する反応が遅すぎるか又はゆっくりすぎてしまうことである。一方で、もしネットワークの情報および状況変化への適切な応答性を改善するために、報告時間周期を短くすれば、移動局からの信号量がかなり増大してしまう。これはいくつかの理由のため不利である。第一には、無線帯域幅が制限されることがあげられ、この種の管理用のシグナリングは干渉をもたらし、ユーザー通信の収容能力を低下させてしまう。第二は、これらの頻繁な移動局の測定報告において送信される情報の多くは、おそらく、最近の測定報告の内容とまったく同一のものに過ぎないだろう。第３は、報告を頻繁に行えば移動局のバッテリーも浪費されるだろう。
【００１２】
本願発明の目的は、上述の課題を克服すること及び克服することの必要性にある。
【００１３】
本願発明の目的は、無線ネットワーク制御と最適化されたオペレーションのために、移動無線局を柔軟で、一般的な測定ツールとしてを使用することである。
【００１４】
本願発明の目的は、無線ネットワークが、状況の変化に即座かつ効果的に応答できるように、移動局の測定を適時かつ適切に提供することである。
【００１５】
本願発明のさらなる目的は、移動体と基地局間の不要な測定シグナリングを減少させるか、できれば最小化できるように、ネットワーク測定情報を効率的な方法で提供することである。
【００１６】
本願発明は、移動局の測定報告をイベントベースまたはイベントドリブンで提供する。移動局は、無線アクセスネットワークの１以上のセルについて無線関連のパラメータを測定する。移動局は、前もって決定された条件またはイベントについて、測定された無線関連パラメータを評価し、前もって決定された条件が満たされているか、または、イベントが起こったかを決定する。その評価に基づき、移動無線機は報告を無線アクセスネットワークに送信する。従って、イベントの発生および／または条件の満足が、ネットワークへの報告送信の契機（トリガー）となる。この方法で、ネットワークは、適切なまたは新規の測定情報を伝えるものではないような古い測定報告や冗長な測定報告を送信することなく、適時かつ適切なアクションを取るための情報を受信する。
【００１７】
測定報告は、移動局による測定がなされたセル、具体的なトリガーなる測定イベント、無線関連パラメータの測定値および／または他の情報などを識別する。無線関連パラメータは質的および／または量的なものであってもよい。パラメータ例をあげると、１以上のセルと対応した、信号強度、信号電力、干渉レベル、信号対干渉比、誤り率、トラヒックなどが含まれよう。ヒステリシスはオプション的な指数であり、前もって決定された条件またはイベントが起こったかどうかを決定するために採用されてもよい。また、前もって決定された条件が満たされているか、または、イベントが起こったかを決定すべく、トリガーまでの猶予時間が移動無線機により使用されてもよい。条件の１つ又は両方が満たされているかについて送信された報告とともに、２以上の前もって決定された条件またはイベントの観点から無線関連パラメータが評価される。
【００１８】
１つの例では、前もって決定された例示的な条件またはイベントは、前もって決定されたパラメータの範囲に、測定された無線関連パラメータが入ってくるか又は外れるか対応していてもよい。他の例では、第２のセルについて測定された無線関連パラメータよりも、第１のセルについて測定された無線関連パラメータ良くなることである。ポジティブなまたはネガティブなオフセット値は、イベントの発生と関係するさらなる必要な条件として、測定報告が送られる前に、測定された無線関連パラメータに追加されてもよい。このオフセットはセルごとに変更されてもよい。前もって決定された条件またはイベントには、しきい値を越える測定された無線関連パラメータの変化、一のセルと関連する無線リンクにおける問題の検出、移動局の送信電力がしきい値を超えたこと、移動局が要求に応じて送信電力の増加もしくは低下に失敗したこと、移動局の受信機が飽和したことなどが含まれよう。
【００１９】
移動無線ネットワークの制御ノードは、移動局に、１以上のセルについて１以上の無線関連パラメータを測定し、１以上のセルについて測定された無線関連パラメータのそれぞれを前もって決定されたイベントおよび／または条件について評価するよう指示する。移動局は、このようなイベントが発生すると制御ノードに報告を送信するよう指示される。そして、報告が移動局から受信されると、コントローラは、受信された報告に基づいてオペレーションを実行するかどうかを決定する。例として、オペレーションには、ハンドオーバ、電力制御、チャンネルタイプの切り替え、オペレーションとメンテナンス、ネットワークバランシング、ネットワーク最適化などが含まれよう。
【００２０】
制御ノードは、好ましくは１以上の一般タイプのパラメータを含む測定制御メッセージを使用して、移動局測定指示を提供する。例えば、測定制御メッセージは、移動局が作成すべき１以上のパラメータの測定を単に指定したり、報告のトリガーとなる１以上のイベントや、報告にはどんな情報を含めるべきであるかを指定したりする。移動局の測定とイベントは、特定のネットワークオペレーションまたはネットワーク評価と関係付けられてはいないので、将来のネットワークニーズとオペレーションに対しても、高い柔軟性と適応性がある。この観点によれば、次に続く測定制御メッセージは、無線関連パラメータや前もって決定されたイベントを修正し、測定の対象としてオプション的なパラメータを追加し、または、前もって決定された他の評価されるべきイベントを指定してもよい。実際には、移動局は、前もって決定された条件がたとえ満たされていても報告を送信しないことを指示されてもよい。
【００２１】
図面の詳細な説明
以下の説明において、限定ではなく、説明の目的で、本願発明の完全な理解を提供するために、特定の実施形態、手続、技術などなど特有な詳細が記述される。しかし、それは当業者であれば明白であろうが、本願発明はこれらの具体的な詳細を逸脱する他の実施形態において適用されてもよい。様々な例示的パラメータ、イベント、条件、およびネットワークオペレーションが以下の説明と連携して説明されるが、本願発明は、特定の測定、イベント、条件、またはネットワークオペレーションに制限されるものではない。他の例において、有名な方法、インタフェース、機器、およびシグナリング技術の詳細な説明は、不要な詳細によって本願発明の説明を覆い隠さないために省略される。
【００２２】
本願発明は、図１Ａに示された一般移動通信（ＵＭＴＳ）１０についての例示的で制限されることのない文脈において説明される。雲１２として示された代表的なコネクションオリエンテッドの外部コアネットワークは、例えば、公衆電話交換ネットワーク（ＰＳＴＮ）および／または統合デジタル通信網（ＩＳＤＮ）であってもよい。雲１４として示された代表例は、コネクションレス・オリエンテッドの外部コアネットワークであり、例えばインターネットであってもよい。両方のコアネットワークは、対応するサービスノード１６に接続されている。ＰＳＴＮ／ＩＳＤＮなどのコネクションオリエンテッドネットワーク１２は、回線交換サービスを提供する移動交換局（ＭＳＣ）ノード１８として示されているように、コネクションオリエンテッドサービスノードに接続している。既存のＧＳＭネットワークで、ＭＳＣ１８は、インタフェースＡ'上の無線基地局２３に順次接続する基地局サブシステム（ＢＳＳ）２２とインタフェースＡを介して接続される。インターネットなどのコネクションレス・オリエンテッドネットワーク１４は、しばしば在圏ＧＰＲＳサービスノード（ＳＧＳＮ）と称されるパケット交換タイプのサービスを提供するように仕立てられた一般パケット無線サービス（ＧＰＲＳ）ノード２０に接続している。コアネットワークサービスノード１８と２０のそれぞれは、ｌｕインタフェースと称される無線アクセスネットワーク（ＲＡＮ）インタフェースを介して、ＵＭＴＳ地上無線アクセスネットワーク（ＵＴＲＡＮ）２４と接続する。ＵＴＲＡＮ ２４は１以上の無線ネットワーク制御装置２６を含む。各ＲＮＣ ２６は、基地局（ＢＳ）２８の複数、およびＵＴＲＡＮ ２４の他のいずれかのＲＮＣと接続される。
【００２３】
好ましくは、無線アクセスは、ＣＤＭＡ拡散符号を用いて各無線チャンネルが割り当てられるワイドバンド、符号分割多元接続（ＷＣＤＭＡ）を基礎とする。もちろん、他のアクセス方式が採用されてもよい。高い品質を保証すべく、ダイバーシチハンドオフとＲＡＫＥ受信機などのような頑強な機能だけでなく、マルチメディアサービスや他の高い伝送速度要求のために、ＷＣＤＭＡは広帯域の帯域幅を提供する。同じエリアに存在する雑音や他のすべての送信の中から、当該移動局宛ての基地局からの送信を当該移動局が識別できるようにするためだけでなく、特定の移動局からの送信を基地局２８が識別できるようにするために、自己のスクランブル符号を割り当てられる。
【００２４】
１つの基地局２８と移動局３０との間には、異なるタイプのコントロールチャンネルを設けることができる。例えば、フォワードまたは下り回線方向において、一般報知チャンネル（ＢＣＨ）、ページング・チャンネル（ＰＣＨ）、および他のタイプの移動局への制御メッセージを伝送するためのフォワード・アクセス・チャンネル（ＦＡＣＨ）を含む様々なタイプの報知チャンネルが存在する。リバースまたは上り回線の方向では、位置登録、発呼、着信応答、およびアクセスオペレーションの他のタイプなどを実行するためにアクセスが要求される際はいつでも、ランダムアクセスチャンネル（ＲＡＣＨ）が移動局により使用される。トラフィック・チャンネル（ＴＣＨ）が、移動局との実質的な呼通信を搬送するために割り当てられてもよい。
【００２５】
図１Ａに例示するように、移動局は１つの基地局とだけ通信してもよい。しかしながら、移動局は複数の基地局または複数の基地局セクタと通信する、例えば、ソフトハンドオーバを実行してもよい。アイドル時にさえ、移動局は、隣接した基地局からコントロールチャンネルの放送を傍受するか、またはサーチする。
【００２６】
図１Ｂにおいて示された移動局３０は、移動局に必要な様々なオペレーションを制御するためのデータ処理・制御装置３２を含む。移動体のデータ処理・制御装置３２は、アンテナ３５と接続された無線送信機３３にデータだけでなく制御信号をも提供する。データ処理・制御装置３２とトランシーバー３３はバッテリー３４により電源を供給される。バッテリー３４から、データ処理・制御装置３２とトランシーバー３３に供給された電力量は、データ処理・制御装置３２からの１以上の制御信号により調節される。図１Ｃに示された無線ネットワーク制御装置２６と基地局２８は、対応するデータ処理・制御装置３６と３７をそれぞれ含む無線ネットワークノードであり、ＲＮＣ ２６と移動局３０間の通信を伝達するために必要とされる多数の無線及びデータ処理オペレーションを実行する。基地局のデータ処理・制御装置３７により制御された機器の一部には、１以上のアンテナ３９に接続する複数の無線送信機３８も含まれる。
【００２７】
本願発明において、移動局により測定された１以上のパラメータに基づいたネットワーク状況についてのリアルタイムの情報をＵＴＲＡＮが受信できるようにするために、移動局を、測定報告を提供するために採用することができる。ネットワークの様々な位置からの重要な測定データをＵＴＲＡＮに与えるべく、多数の移動局に、測定報告を生成させ、送信させることがより望ましいが、本願発明では、ほんのわずかの移動局もしくはたった１つの移動局を使用するだけでも実施可能である。測定報告の送信は、イベントの発生を契機として実行される。その結果、ネットワーク状況に関してのリアルタイム情報は、遅延や過度のシグナリング・オーバヘッドを伴うことなく、ＵＴＲＡＮが効果的に応答できるように、適切な瞬間に選択的に伝えられることが可能である。前もって決定された「イベント」および／または前もって決定された「条件」の組み合わせ変更可能なセットは、移動局から送信されるべきトリガー測定報告と定義されよう。いったん報告が受信されると、ＵＴＲＡＮは、その時、報告された情報を分析し、もし必要なら、ハンドオーバ、電力制御、オペレーションとメンテナンス、ネットワークの最適化および他の手続など応答的なオペレーションまたは他の望ましいオペレーションを実行できる。
【００２８】
図２に示すフローチャートは、移動局測定のイベントベース報告のための例示的な手続フォーマットである（ブロック４０）。移動局は、１以上のセルについて１以上の無線関連パラメータを測定する（ブロック４２）。非制限的な例示としてのパラメータは、現在および隣接したセルからの基地局報知チャンネル信号の受信信号強度である。移動局は、前もって決定されたイベントまたは条件について、測定されたパラメータのそれぞれを評価する（ブロック４４）。その評価に基づき、例えば、前もって決定されたイベントが発生し、および／または、前もって決定された条件が満たされると、移動局は報告を無線ネットワークに送信する（ブロック４６）。その報告の内容は無線ネットワークのオペレータにより設立されるような情報を多少含むかもしれない。例えば、報告は、セルの識別情報および発生したイベントの識別情報を単に含んでいてもよい。測定されたパラメータ、他のパラメータ、およびオプション的な情報などの他の情報も、また、その報告において提供できる。受信された報告に呼応して、もし適切なら、上例のハンドオーバ、電力制御、チャンネルタイプ切り替え（例えば 専用チャネルから共通チャンネルへの切り換え、同様に、その逆の切り替え）などの実行を含む報告を用いて、無線ネットワークはいくつかの動作を実行してもよい（ブロック４８）。
【００２９】
好ましくは、測定されたパラメータおよび前もって決定されたイベントおよび／または条件は、それらが特定のオペレーション、評価またはアルゴリズムに堅く結びつかないように、一般用語として定義される。これは、他のイベント契機の移動局報告にも柔軟性と適応性を与える。一方で、測定と報告パラメータおよびイベントは特定のアプリケーションまたは必要に応じて具体的にされてもよい。イベント契機の報告はより望ましいが、もし要求されるなら、移動局はＵＴＲＡＮにより定期的な報告やイベント契機ではない他のタイプの報告を送信するよう指示されてもよい。もし、リアルタイム動作または特定の移動局測定がシステム全体の動作よりも重要でないのであれば、周期的な報告はネットワークの監督の観点からは望ましいかもしれない。本願発明は、選択された周期において、選択されたセルからの移動局測定を使用して、そのようなネットワーク監督を実行すべく、移動局の一部だけに柔軟性を与えても良い。
【００３０】
図３は、本願発明の１面を実施するのに有益なシグナリングダイアグラムを例示している。無線ネットワーク制御ノード、例えば、ＲＮＣ、基地局、または他のコントローラは、移動局のための測定制御メッセージを生成して送信する。一般に、測定制御メッセージは、移動局によって測定できる１以上の無線関連（または他の）パラメータの測定を移動局に指示する。このメッセージにより、移動局から無線ネットワーク制御ノードに送り返される測定報告の送信の契機を与える、１以上の前もって決定されたイベントおよび／または条件も識別される。測定制御メッセージに含められうる情報の例は以下のとおりである：
・測定パラメータ： 移動局が何を測定すべきかを指定する
・測定イベントおよび／または条件： 契機となるイベントおよび／または条件を指定する
・測定識別番号： 次の移動局測定の修正においてＵＴＲＡＮにより使用され、また、測定報告において移動局により使用される
・コマンド（命令）： 新しい測定を設定するために使用されたり、前もって指定された測定パラメータを修正したり、前もって決定されたイベントや条件を修正ししたり、測定の停止、測定に関連して移動局に蓄積されたすべての情報をクリアしたりする
・オプションのパラメータ： ネットワークオペレータにとって興味があるパラメータであって時間に過敏でないようなもの。
【００３１】
質的なおよび／または量的なパラメータが指定され、測定されてもよい。非制限的な例としてのパラメータには、測定された信号強度、信号電力、ビット誤り率、信号対干渉比、パス損失、トラヒック、タイミング／同期オフセットなどが含まれよう。例としての前もって決定されたイベント、および／または、条件は図６−１５と連携して以下において説明される。
【００３２】
例示的な測定モードにおける移動局のオペレーションは、図４の機能ブロックフォーマットで示された例示的な移動局測定ルーチン（ブロック５０）と連携して説明される。最初に、移動局が電源を投入されると、無線ネットワークに対しランダムアクセスを実行する（ブロック５２）。移動局がアイドル状態にある間は、無線関連もしくはより予め受信された測定制御メッセージにおいて指定され移動局に蓄積された他のパラメータについて１以上の測定を実行する（ブロック５４）。例えば、受信信号の強度が測定制御メッセージにおいて予め指定されたパラメータとなっているかどうか受信信号の強度を測定すべく、アイドル状態の移動局は報知チャネルや他の制御チャネルをモニターする。移動局に蓄積されている前もって決定されたイベントまたは他の前もって決定された条件が発生すると、以前に受信された測定制御メッセージにより指定されるように、移動局は測定報告を生成して無線ネットワーク制御ノードに送信する（ブロック５６）。その後、移動局は、測定パラメータまたはイベントを修正するための別の測定制御メッセージを無線ネットワーク制御ノードから受信することができる（ブロック６０）。移動局は、指示されたように、蓄えられたパラメータまたはイベントを修正し、他の機能またはオペレーションが、着信に対する応答、ネットワークへの登録、電源オフなどの実行のために必要とされているかを決定する（ブロック６２）。もし必要なら、そのような機能が実行される、必要ないなら、移動局は測定を実行し、上述のような移動無線機に蓄えられた情報に従ってイベントベースの報告を送信する。
【００３３】
図５は、本願発明の例示的な実施形態に従った例示的なネットワーク制御ノードにおいて使用可能な無線ネットワーク制御ノード（ＲＮＣＮ）の測定制御手続（ブロック７０）に関するフローチャートである。無線ネットワーク制御ノードは、無線ネットワークオペレータによりプログラムされるが、それらのパラメータ、イベントおよび／または条件を、移動局が、監視し、報告である必要があるかどうかについて決定する（ブロック７２）。制御ノードは、以下の情報を含む測定制御メッセージを生成する：
（１） 測定すべき１以上のパラメータ、例えばブロック誤り率、ビット誤り率、信号対干渉比、同期／時間差、送信電力、受信電力、パス損失、干渉、トラヒックなど；
（２） イベントおよび／または条件、図６−１５に例示されるようなイベント；
（３） オプションのパラメータ；そして
（４） 他の情報（ブロック７４）。
制御ノードは、そして、測定制御メッセージを１以上の移動局に送信する（ブロック７６）。測定報告の送信契機となるイベントが発生すると、制御ノードは移動局から測定報告を受信する（ブロック７８）。制御ノードは、例えばハンドオーバ（相互周波数及び内部周波数の双方）、電力制御、チャンネルタイプの切り替え、オペレーションとメンテナンス、ネットワーク最適化など報告に含まれて提供される情報に基づいて、動作を実行するかどうかを決定をする（ブロック８０）。
【００３４】
図６−１５は、無線ネットワーク制御ノードへの測定報告の生成と送信の契機として有用なイベントおよび／または条件の例を示している。しかしながら、イベントの発生は条件の一致とみなされ（そして逆もまた同様）、報告が送信される前において、イベントはさらなる条件と結び付けられてもよい。用語「イベント」または「条件」が単独で使用されるときは、移動局に測定報告を送信させるようなものであれば、前もって決定された如何なる事象または如何なる状態をも含まれるように広く解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【００３５】
図６は、一般にＣＨ１、ＣＨ２、およびＣＨ３として示されたいくつかの無線チャンネルについて、時間に対する移動局の測定パラメータ値を表すグラフを例示している。そのような無線チャンネル送信は、一般に、基地局セルから報知され、移動局により受信され、特性またはパラメータ、例えば、信号強度、信号品質などを決定するために評価される。そのような無線チャンネルの非制限的な例としては、制御チャンネル、パイロットチャンネル、とまり木チャンネル、または報知チャンネルなどが含まれよう。ＵＴＲＡＮついて特別にいえば、そのような無線チャンネルはプライマリ共通制御物理チャネル（ＰＣＣＰＣＨ）が該当しよう。報告の範囲は、現在、「最もよい」チャンネル（少なくとも測定されたパラメータ値のなかでという意味で）と関連して定義されて、無線ネットワーク制御ノードから受信される測定制御メッセージにおいて定義される。ここでは、用語「ベスト」は、最も大きな測定パラメータ値を有するチャンネルに対応している。もしＣＨ３などの監視された無線チャンネルが報告すべき範囲内に突入してくるか（報告イベント１）、または報告すべき範囲（報告イベント２）から外れるのであれば、移動局は測定報告を生成し、送信する。報告は、例えばＣＨ３が報告すべき範囲に突入したか、または外れたかを単に示してもよい。
【００３６】
図７は別のイベント例を示している。報告されるイベントは、２つの監視された無線チャンネルについて測定されたパラメータ値は、報告すべき範囲において、いつ相互に横切ったか、または交差したかを示す。無線チャンネルＣＨ１とＣＨ２が交差しているときには、報告イベント１が発生する。無線チャンネルＣＨ１とＣＨ３が交差しているときは、報告イベント２が発生する。報告は、単に例えばどのチャンネルが交差していたか示すことができる。
【００３７】
図８は、報告イベントが送信される前に、イベントに沿って発生するはずの前もって決定された条件の例を示す。イベント契機の報告数量を削減するには ヒステリシス量がイベントに関与してもよい。図８に例示するように、チャンネルＣＨ２について測定されたパラメータ値は、チャンネルＣＨ１のそれを越えているが、報告イベントは、チャンネルＣＨ１とＣＨ２について測定されたパラメータ値の差が、ヒステリシスと対応する特定の量に達するまでは開始されない。無線チャンネルＣＨ２についての値が無線チャンネルＣＨ１についてのパラメータ値の波形より下へと交差しているときは、無線チャンネルＣＨ２についてのパラメータ値がヒステリシス量に達しないので、報告イベントが引き起こされないことに注意してほしい。
【００３８】
同様に、トリガーされるまでの猶予時間に関する条件は、イベント契機の報告数を制限するために採用可能であり、最終的に、シグナリング負荷を制限できよう。トリガー猶予時間条件はイベントと関連付けられるものであり、指定されたトリガー猶予時間に亘ってイベントが発生するといった条件を満たした後にだけ、報告が送信されるようにすることができる。図９の例で、トリガー猶予時間の効果は、無線チャンネルＣＨ３が報告すべき範囲に突入するといったイベントが、トリガー猶予時間に亘って無線チャンネルＣＨ３が報告すべき範囲内に存在しつづけなければ、報告が送信されないことである。ヒステリシスとトリガー猶予時間は、報告イベントあたり個々に設定されてもよいが、一般には測定制御メッセージにおいて指定されよう。ヒステリシス、およびトリガー猶予時間と同様な条件は、無線環境条件をネットワークに伝達するための測定シグナリング量と即時性について、バランス／トレードオフをＵＴＲＡＮに与えることになろう。
【００３９】
監視される各無線チャンネルは、また、オフセットと関係付けられる。オフセットはポジティブまたはネガティブとすることができ、イベントが起こったかどうかを移動局が決定する前に、測定されたパラメータ値に追加されてもよい。図１０に示された例では、チャンネルが報告すべき範囲に突入するか、または外れるるときに、報告はオフセットなしで送信される。しかし、無線チャンネルＣＨ３についてはポジティブなオフセットが指定されるので、イベントが起こるかどうかを決定するために点線のオフセット曲線が採用される。移動局から無線ネットワークへの測定報告は、無線チャンネルＣＨ３についての測定されたパラメータ値にその関連したオフセットが付加されたものが、報告すべき範囲に突入するかまたは外れるとき、および／または、その測定されたパラメータ値が、例えば、現在「最もよい」無線チャンネルＣＨ１を越えているときに、引き起こされる。
【００４０】
このオフセットメカニズムは、無線ネットワークが個々のチャンネルについての報告を変更することを可能にする。ポジティブなオフセットを適用することによって、移動局は、オフセットチャンネルが実際のケースよりも高い測定パラメータ値を持っているという仮定の下に、測定報告を送信する。もしネットワークオペレータが、特定のセルについてはより慎重に監視されるべきであると認識している場合には、そのようなポジティブなオフセットメカニズムは有益であろう。例えば、ネットワークオペレータは経験から、しばしばこの無線チャンネルが、例えば、通りの角であるなどによって、非常に迅速に優秀な候補となることを知っているかもしれず、従って、この場合はより集中的な報告が適切である。ハンドオーバに関する文脈において、チャンネルＣＨ３は、ポジティブオフセットなしのケースでは含まれなかったことであろうが、ポジティブオフセットを用いることで、ハンドオーバチャンネルのアクティブな候補セットに含まれることになろう。代わりに、ネットワークオペレータは、ネガティブなオフセットを特定のチャンネルに適用することを選択でき、従って、対応したセルはよりアクティブなハンドオーバ候補者セットから除外されることになろう。
【００４１】
個々のセルオフセットは、また、セル境界を「動かす」ためのツールとして利用できる。ポジティブなオフセットを具体的なセルに適用することによって、移動局は、これまでとは異なるより長い距離でもってそのセルと接続するといった効果が得られよう。ここでは、無線ネットワークによって適用されるオフセットと対比されるように、トリガーイベントが発生する前にオフセットが追加される。もしオフセットがネットワークにだけ適用され、測定報告が非常に遅く引き起こされ、ネットワークが適切なアクションを取ることができないことがあるかもしれない。従って、移動局に対してイベント評価の際にオフセットが適用されればより有益である。これの１つの結果は、ネットワークオペレータが、同一のエリアないで複数のセルに負荷分散を実行することができ、すなわち、セルのサイズを適応させることによって、複数のセル間に均等にトラヒックを分配できるのである。
【００４２】
もし下り回線のパス損失が、測定されたパラメータとして使用されるならば、無線ネットワークは、各セルのオフセットに沿って、上り回線の干渉が濾過された値をオプションで含めてもよい。この状況において、ハンドオーバの候補を評価するときに上り回線の干渉を考慮することによって、システムの上り回線能力についてのハンドオーバ評価を最適化できるため、２つのハンドオーバ基準 −下り回線パス損失プラス上り回線干渉− が用いられうる。
【００４３】
他の採用可能な考慮について図１１と連携して説明する。上述の例において、報告すべき範囲は、「最もよい」測定されたチャンネルと関連して定義される。特定のチャンネルが報告すべき範囲に影響することを防止することが望ましい状況があるかもしれない。図１１は、チャンネルＣＨ３が報告すべき範囲に影響することを許可しないよう、無線ネットワークが移動局に指示する例を示している。このメカニズムは、もしオペレータが、特定のエリアでチャンネルＣＨ３の品質が不安定であり、従って、報告すべき範囲を変更するために使用されるべきではないと経験から知っているならば有益であるかもしれない。しかし、それでもなお、ＣＨ３が報告すべき範囲に突入しまたは報告すべき範囲から外れることをイベントとして報告可能である。さらに、無線ネットワーク制御ノードは、過去に報告を送信する原因となった特定のイベントを再び報告しないよう移動無線機に指示してもよい。
【００４４】
「イベント」は、ある複数のイベントの発生を含むものであってもよい。そのような組み合わされたイベントの例には次にものが含まれよう：
・報告すべき範囲を外れているチャネルと、パラメータ値が絶対的なしきい値を超えるか／より下であると測定されたチャネルとの組み合わせ
・チャンネル１つのチャンネルが他のチャンネルより良くなるときに、２つのチャネルのうち少なくとも１つがアクティブなハンドオーバ候補セットであること
・チャンネルは非常に急速に悪化し、急速に悪化したチャンネルよりもたった１つのチャンネルだけがよいこと
・たった１つのチャンネルだけがアクティブなハンドオーバ候補セットとして存在し、そのチャンネルが非常に迅速に悪化するか、または絶対しきい値より下となること、例えば、移動局が電波有効範囲の外に移動して行くことで、他のシステムについての検索が急速に開始されるべき場合。
【００４５】
つぎに、他の例示的なイベントを図１２と連携して説明する。ここでは、イベントは、チャンネルついて測定されたパラメータ値がどれほど急速に変化するかに基づいて定義される。この例において、チャンネルＣＨ３について測定されたパラメータ値は、非常に急速に変化し、イベント１を報告するためにポジティブな方法が、およびイベント２を報告するためにネガティブな方法が用いられる。たとえ報告すべき範囲の外でイベントが発生したとしても、イベントは報告可能である。パラメータの変更または傾きについてのしきい値は、測定制御メッセージに搭載されて移動局に提供される。
【００４６】
上記の例の多くは、ハンドオーバ決定とハンドオーバオペレーションとを実行するような無線ネットワークにとって有益であろう（もちろん、そのような決定／オペレーションに限定されることはない）。また、移動局は、無線リンクの問題に関する情報を無線ネットワークに提供できる。例えば、無線リンクにおいて同期やタイミングが不十分であるかもしれない。このような問題が発生すると、移動局は無線ネットワークに通知ができ、ネットワークオペレータは当該無線リンクをアクティブな候補セットから除外し、可能なメンテナンス調査を開始できよう。
【００４７】
無線ネットワークについての他の重要な監視及び制御エリアは、電力制御エリアである。電力制御オペレーションにとって有効であるかもしれない例示的なイベントを図１３−１５と連携して説明する。
【００４８】
ネットワークに課された制約や移動端末の物理的な制約により、移動局の出力電力には現実的な限界がある。例えば、移動局からの送信されたすべての信号の送信電力レベルを調整することにより、基地局で同一の信号対干渉比でもって信号が受信されることは、ＣＤＭＡシステムの最大収容量を達成する上で重要である。もし移動局が移動局の電力を減少させることができなければ、移動局はセル内の他のすべての移動局の通信に対し過度の外乱を引き起こし、増大された外乱レベルを補償すべく、他の移動局に送信電力を増大させる状況をしばしばもたらしている。結局、１以上の移動局は、最高出力に達しているにもかからず、干渉を克服し「基地局に正しく受信される」ためには送信電力が不十分な状態となり、ネットワークは、干渉を減少させるために呼を切断し始める。どのような理由であれ、もし移動局がその電力調整に苦労していたとしても、無線ネットワークは必ずしも直ちにこの苦労を把握するわけではないであろう。従って、ネットワークが移動局からのそのような状況についての警告を受信し、他のセルまたは他の周波数へのハンドオーバなどの適切なアクションを実行することについて有効であろう。
【００４９】
課されたネットワークや移動端末の物理的な制約により、移動局の出力電力には現実的な限界がある。例えば、移動局からの送信されたすべての信号の送信電力レベルを調整することにより、基地局で同一の信号対干渉比でもって信号が受信されることは、ＣＤＭＡシステムの最大収容量を達成する上で重要である。もし移動局が移動局の電力を減少させることができなければ、移動局はセル内の他のすべての移動局の通信に対し過度の外乱を引き起こし、増大された外乱レベルを補償すべく、他の移動局に送信電力を増大させる状況をしばしばもたらしている。結局、１以上の移動局は、最高出力に達しているにもかからず、干渉を克服し「基地局に正しく受信される」ためには送信電力が不十分な状態となり、ネットワークは干渉を減少させるために呼を切断し始める。どのような理由であれ、もし移動局がその電力調整に困難をきたしていたとしても、無線ネットワークは必ずしも直ちにこの困難を把握するわけではないであろう。従って、ネットワークが移動局からのそのような状況についての警告を受信し、他のセルまたは他の周波数へのハンドオーバなど適切なアクションを実行することについて、この方法は有効であろう。
【００５０】
図１４は、移動局が、一定の値（破線）より下にその出力電力を減少できない状況を例示しており、図１５は、逆の条件を例示する。もし移動局が、例えば０．６２５秒など電力制御間隔に亘ってその電力調整に困難をきたしている場合、ネットワークが移動局からそのような状況についての早期警告を得ることは利点があり、例えば、移動局の送信するビットレートを変更するなど適切なアクションを実行できる。
【００５１】
基地局と移動局の通信機はダイナミックレンジが制限されている。もし移動局により受信された信号がダイナミックレンジを越えているならば、受信機は、飽和し、信号の受信品質を悪化させるようになる。このような受信機の飽和をトリガーイベントとして使用することによって、移動局はこの特定の問題をネットワークに通知できる。
【００５２】
無線ネットワークにおいて図１３−１５に示されたイベントが、上り回線と下り回線の電力制御機能をサポートするために採用される一方で、さらに、この情報は、他のオペレーションをサポートするためにも用いられてもよい。例えば、移動局が基地局に近すぎるなど、移動局が無線ネットワークからの要求に応じてその送信電力を減少できないならば、ネットワークは、移動局に対し、相互周波数を使用してハンドオーバするように命令してもよい。
【００５３】
本願発明は特定の実施形態に関連して説明されたが、当業者であれば、本願発明が、ここに例示され説明された特定の例示的な実施形態に限定されないものであることを認めよう。数多くの部分変更、バリエーション及び均等な構成だけでなく、上記で示され説明されたものを除く種々のフォーマット、実施形態および適応もまた発明を実施するために採用可能である。従って、本願発明は、添付の請求の範囲だけによって制限されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
様々な視野にわたって同一の個所を参照する引用符号が付された添付図面において例示されているだけでなく、前記および他の発明の目的、機能、および利点は、好ましい実施形態についての以下の説明からより明らかになろう。図面は、必ずしも、発明の原理を例示することに代えて、縮尺や強調する必要はない。
【図１Ａ】 本願発明が有効に利用される例示的な移動体通信システムを示す図である。
【図１Ｂ】 図１Ａに示された移動局の簡素化された機能ブロック図である。
【図１Ｃ】 図１Ａに示された無線ネットワーク制御装置と基地局の簡素化された機能ブロック図である。
【図２】 移動局測定についてのイベントベースでの報告に関する一般手続を概説する機能ブロック図である。
【図３】 無線ネットワーク制御ノードと移動局間におｋる例示的な測定関連メッセージを示す図である。
【図４】 例示的な移動局測定と報告手続についてのフローチャートである。
【図５】 無線ネットワーク制御ノードにおける測定制御ルーチン例示的な手続きに関するフローチャートである。
【図６】、
【図７】、
【図８】、
【図９】、
【図１０】、
【図１１】、
【図１２】、
【図１３】、
【図１４】、
【図１５】 移動局測定報告の送信契機となるイベントに関するいくつかの具体例と他の状況又は指数を例示するグラフである。
Claims (27)
- 複数のセルエリアを有する無線アクセスネットワークと通信する複数の移動局を含む移動無線通信システムにおいて使用される移動局であって、
１つまたは複数のセルについて複数の無線関連パラメータを測定する測定手段と、
前記１または複数のセルについて測定された無線関連パラメータを予め定められた条件について評価し、前記測定された無線関連パラメータが前記予め定められた条件を満たしているかを決定する決定手段と、
前記無線アクセスネットワークの制御ノードへ、ハンドオーバまたは電力制御を目的とした報告を送信する送信手段と、
前記予め定められた条件が所定時間にわたって連続して満たされると前記送信手段が前記報告を送信するようトリガーするトリガー手段と
を備えることを特徴とする移動局。 - 請求項１に記載の移動局であって、前記報告には、前記無線関連パラメータについて測定された値が含まれていることを特徴とする移動局。
- 請求項１に記載の移動局であって、
前記無線関連パラメータは、
・セルの基地局から受信された信号についての信号強度、電力、もしくは、信号対干渉比、
・セルの基地局から受信された信号に関連する干渉レベルもしくは誤り率、または、
・１以上のセルについてのトラヒック量
であることを特徴とする移動局。 - 請求項１に記載の移動局であって、
前記測定には、
・他の基地局から同一の周波数上で送信された信号の測定、または、
・他の基地局から異なる周波数上で送信された信号の測定
も含まれることを特徴とする移動局。 - 請求項１に記載の移動局であって、さらに、
前記無線ネットワークの制御ノードから測定制御メッセージを受信する手段と、
前記測定制御メッセージに応じて、前記予め定められた無線関連パラメータ又は前記予め定められた条件を変更するか、あるいは、測定の対象として他の予め定められた無線関連パラメータ又は評価の対象として他の予め定められた条件を追加する手段と、
を備えることを特徴とする移動局。 - 請求項１に記載の移動局であって、さらに、
前記予め定められた条件について報告を送信すべき範囲を設定する手段と、
測定された無線関連パラメータが前記報告を送信すべき範囲に突入し又は前記報告を送信すべき範囲から外れると前記報告を送信するか、あるいは、第１のセルについて測定された無線関連パラメータが第２のセルについて測定された無線関連パラメータと一致するか又は近い場合に前記報告を送信する手段と、
を備えることを特徴とする移動局。 - 請求項１に記載の移動局であって、さらに、
前記予め定められた条件を満たしているかどうかを評価する前に、ポジティブ又はネガティブのオフセットを前記測定された無線関連パラメータに追加するステップを電気的に実行することを特徴とする移動局。 - 請求項７に記載の移動局であって、
前記ポジティブ又はネガティブのオフセットはセルに依存して変更されうることを特徴とする移動局。 - 請求項１に記載の移動局であって、前記無線関連パラメータは、対応する前記予め定められた条件について測定され評価されるものであり、
さらに、
前記対応する予め定められた条件を満たしているかどうかを評価する前に、各測定された無線関連パラメータに、対応するパラメータ特有のオフセットを追加するステップを電気的に実行することを特徴とする移動局。 - 請求項１に記載の移動局であって、前記予め定められた条件には、前記測定された無線関連パラメータが予め定められたパラメータの範囲に突入しているか又は外れているかが含まれることを特徴とする移動局。
- 請求項１に記載の移動局であって、さらに、
・２つの予め定められた条件について１つ以上の測定された無線関連パラメータを評価し、
・前記２つの予め定められた条件をともに満たしている場合に、前記測定された無線関連パラメータについての報告を前記無線アクセスネットワークに送信することを特徴とする移動局。 - 請求項１に記載の移動局であって、前記予め定められた条件には、第１のセルについて測定された無線関連パラメータが第２のセルについて測定された無線関連パラメータよりも良くなることが含まれていることを特徴とする移動局。
- 請求項１２に記載の移動局であって、前記第１のセル及び前記第２のセルについて測定された無線関連パラメータがともに予め定められた範囲内にあることを特徴とする移動局。
- 請求項１に記載の移動局であって、さらに、
前記予め定められた条件を満たしているかを決定する際にヒステリシスパラメータを利用することを特徴とする移動局。 - 請求項１に記載の移動局であって、
前記予め定められた条件には、
・前記測定された無線関連パラメータの変化が変化しきい値を超えること、
・１つのセルにおける無線回線に問題が検出されることが含まれていること、
・該移動局の送信電力がしきい値を横切ること、
・該移動局が要求に基づいた送信電力の増加又は低下に失敗したこと
・該移動局の受信機が飽和すること
のいずれかが含まれていることを特徴とする移動局。 - 請求項１に記載の移動局であって、さらに、
前記条件と関連した強制的な情報と、前記条件とは必ずしも関連しないオプション的に追加される情報とともに報告を前記無線アクセスネットワークに送信することを特徴とする移動局。 - 移動局と無線インタフェースを介して通信する無線基地局のそれぞれに関連する複数のセルを有する移動無線通信ネットワークにおいて、前記移動無線通信ネットワークの制御ノードにおいて実行される方法であって、
１つまたは複数のセルについて無線関連パラメータを測定し、前記１つまたは複数のセルについて測定された無線関連パラメータが所定のイベントについて予め定められた条件を所定の時間にわたって連続して満たしているかどうかを評価し、前記１つまたは複数のセルについて前記所定のイベントについての予め定められた条件が前記所定の時間にわたって連続して満たされると報告についてトリガーし、前記トリガーに応答して前記移動局から前記制御ノードに対し報告を送信するよう前記移動局に指示するステップと、
前記移動局からの報告を受信するステップと、
前記受信された報告に基づいて、オペレーションを実行するかを決定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。 - 請求項１７に記載の方法において、前記オペレーションには、
・ハンドオーバオペレーション、
・電力制御オペレーション、
・運用管理オペレーション、
・移動無線通信ネットワークのバランス化又は最適化オペレーション
のいずれかが含まれることを特徴とする方法。 - 請求項１７に記載の方法において、前記報告には、前記測定された無線関連パラメータ以外の他の測定されたパラメータ値が含まれ、さらに、
前記報告に含まれて受信された前記他の測定されたパラメータ値に基づいて他のオペレーションを実行するステップが含まれることを特徴とする方法。 - 請求項１７に記載の方法において、
前記報告には、
・前記１つまたは複数のセルで前記基地局から受信された信号についての信号強度又は信号電力、
・前記測定された無線関連パラメータ、
・前記１つまたは複数のセルで前記基地局から受信された信号についての干渉の値、信号対干渉比又は誤り率、
・前記１つまたは複数のセルに関するトラヒック量、
・他の基地局から同一の周波数上で送信されたチャネルについての信号測定値、
・他の基地局から異なる周波数上で送信されたチャネルについての信号測定値
のいずれかが含まれることを特徴とする方法。 - 請求項１７に記載の方法において、さらに、
前記移動局に複数の測定を指示するステップを含み、
前記測定の結果のそれぞれは、他の測定とは独立して信号で送信されることを特徴とする方法。 - 請求項１７に記載の方法において、前記移動局への測定指示は、１つ以上の一般的なパラメータを用いて測定制御メッセージの中に記述されていることを特徴とする方法。
- 請求項２２に記載の方法において、
前記測定制御メッセージには、
・１つ以上の測定対象と、１つ以上の測定すべき無線関連パラメータ及び１つ以上の報告すべきイベントを示す情報、
・前記報告に含められるべきオプション的な測定すべき無線関連パラメータ、
・イベント報告範囲であって、前記測定された無線関連パラメータが前記イベント報告範囲に突入するか又は前記イベント報告範囲から外れると前記移動局が前記報告を送信するような範囲である前記イベント報告範囲、
・イベント報告範囲であって、前記イベント報告範囲は、第１のセルについて測定された無線関連パラメータが、第２のセルについて測定された無線関連パラメータと一致するか近いときに、前記移動局が前記報告を送信するような範囲である前記イベント報告範囲、
・前記イベントが満たされているかを評価する前に、前記測定された無線関連パラメータに対して付加されるポジティブ又はネガティブのオフセット
のいずれかが含まれることを特徴とする方法。 - 請求項２３に記載の方法において、
前記ポジティブ又はネガティブのオフセットはセルに依存して変更されうることを特徴とする方法。 - 請求項１７に記載の方法において、
前記制御ノードは、
・前記測定された無線関連パラメータが前記予め定められたパラメータの範囲に影響することを回避するよう前記移動局に指示するか、
・１つ以上の前記測定された無線関連パラメータを２つのイベントについて評価するとともに、前記予め定められた２つのイベントをともに満たしている場合に、前記測定された無線関連パラメータについての報告を送信することを、前記移動局に指示するか、または、
・前記イベントが発生したかを決定する際にヒステリシスパラメータを利用するよう前記移動局に指示することを特徴とする方法。 - 請求項１７に記載の方法であって、
前記イベントには、
・第１のセルについて測定された無線関連パラメータが第２のセルについて測定された無線関連パラメータよりも良くなること、
・前記測定された無線関連パラメータが所定のパラメータ範囲内に突入するか、もしくは、前記測定された無線関連パラメータが前記所定のパラメータ範囲から逸脱したこと、
・前記測定された無線関連パラメータの変化が変化しきい値を超えること、
・前記移動局の送信電力がしきい値を横切ること、
・要求に基づいた送信電力の増加又は低下に前記移動局が失敗したこと、
前記移動局の受信機が飽和すること
のいずれかが含まれることを特徴とする方法。 - 複数のセルを有する無線アクセスネットワークを含む移動無線通信ネットワークにおいて、移動局から制御ノードへ報告を送信する方法であって、
１つまたは複数のセルについて複数の無線関連パラメータを測定するステップと、
前記１つまたは複数のセルについて測定された無線関連パラメータを予め定められた条件について評価するステップと、
前記予め定められた条件が所定時間にわたって連続して満たされたかどうかを判定するステップと、
前記予め定められた条件が所定時間にわたって連続して満たされたと判定されると、前記評価に基づいて、ハンドオーバまたは電力制御を目的とした報告を前記制御ノードへ送信するステップと
を備えることを特徴とする方法。
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