JP4566338B2 - 接着剤付きフィルムの接着方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特には、航空宇宙部品の生産を容易化すると共に製品品質の向上を図るための技術であって、金属パネルの所定部分に接着剤付きフィルムを貼り付けた後のトリム作業に特徴を有する接着剤付きフィルムの接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
宇宙衛星におけるハニカムコアの両面に貼り付けられる金属パネル(アルミ板)には、その片側全面に対して周辺部分を除いた所定領域に発電フィルムが貼り付けられたものがある。このような金属パネルを部品として取り扱う際には、上記の発電フィルムの貼り付けられた部位に漏電防止のための絶縁フィルムを貼り付けておく必要がある。
【0003】
この絶縁フィルムとしては、通常、片面に接着剤が予め塗布された接着剤付きフィルムが用いられるが、これを上記の金属パネル表面の発電フィルム上に接着する際に、この絶縁フィルムを発電フィルムと同形状に予め切断した後に接着しようとすると接着時の位置決めが面倒であることから、発電フィルム全面を覆うようにやや大きめの絶縁フィルムを貼り付け、その後に発電フィルムの形状に合わせて絶縁フィルムの周縁を切断する接着方法が通常採用されている。そして、このような金属パネル組立部品の所定部位に接着剤付きフィルムを貼り付けた後、その接着剤付きフィルムの周縁を所定形状に合わせて切断する方法としては、従来、図7,図8に示されるようなカッター4と定規3を用いた方法が採用されている。これによると、金属パネル1の表面に接着剤付きフィルム2を貼り付け、この貼り付けられた接着剤付きフィルム2に対して切断する位置をマークし、このマークした位置へ定規3及びカッター4等を当てて切断を行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の定規とカッター等を用いた方法では、接着剤付きフィルムの厚み分をカッターが貫いて切断が行われるため、接着剤付きフィルムを貫いたカッターの刃によって接着剤付きフィルム下面の金属パネル表面を傷付ける虞がある。これを防ぐために、図9に示されるように接着剤付きフィルム2の下面に下敷き材10を敷いて切断を行うことも考えられるが、これによると切断後にこの下敷き材10を除去する際に接着剤付きフィルム2の端部2aを剥がしてしまう問題がある。また、下敷き材を用いないで、金属パネル面への傷が生じないような小さな力で切断を行うと、接着剤付きフィルムに切れていない箇所が発生するので、切断後に不要部分を除去する際に製品部分の接着剤付きフィルムも剥がれてしまう問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題に対処するために提案されたものであって、その目的は、金属パネルの所定部分に接着剤付きフィルムを貼り付けた後、その接着剤付きフィルムの周縁を所定形状に合わせて切断する接着剤付きフィルムの接着方法において、金属パネル組立部品に対して傷等を付けることなく接着剤付きフィルムの不要部分を切断できると共に、確実に金属パネルの所定部分に接着剤付きフィルムを貼り付けることが可能な接着剤付きフィルムの接着方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、金属パネル表面の所定部分に接着剤付きフィルムを貼り付ける接着方法において、上記所定部分の周縁に接すると共に該所定部分を囲んで下敷き材を取り付け、その上に上記所定部分を覆って上記接着剤付きフィルムを貼り付けた後、上記所定部分と同形状の型板を該所定部分に合致させて位置決め固定し、上記下敷き材を上記型板の端に沿って持ち上げることによって、上記型板と下敷き材との協働により上記接着剤付きフィルムを切断することを特徴とする。
【0007】
また、上記の接着方法において、上記下敷き材を取り付ける際に、上記の型板を上記所定形状に合致させて仮固定し、該型板の周端面に上記下敷き材の端面を当接させて配置させ、その後該型板を取り除いて上記接着剤付きフィルムを貼り付けることを特徴とする。
【0008】
更に、上記の接着方法において、上記下敷き材は弾力性のプラスチック材又はフィルム材であることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によると、金属パネル上の所定部分に接着剤付きフィルムを貼り付けるに際して、やや大きめの接着剤付きフィルムを貼り付けた後に、所定部分の形状に応じて接着剤フィルムを切断することは従来例と同様であるが、その切断において、所定部分の形状と同形の型板と下敷き材とを有効に用い、これらの交差作用によって接着剤付きフィルムを所定部分と同形状に切断するものである。
【0010】
上述した本発明の接着方法を順に詳しく説明する。第1工程としては、金属パネル上の接着剤付きフィルムを貼り付けようとする所定部分に対して、その周縁に接し、且つ所定部分を囲んで下敷き材を取り付ける。この際には下敷き材の端が所定部分の周縁と一致するように位置決め配置されるが、上述のように、所定部分と同形の型板を所定部分と合致させて仮固定して、その周端面に下敷き材の端面を当接させて配置すると、迅速且つ正確な位置決め配置が可能である。第2工程としては、下敷き材で囲まれた所定部分の上に所定部分よりやや大きめの接着剤付きフィルムを貼り付ける。この工程における接着剤付きフィルムの貼り付けにおいては正確な位置決めは不要であり、大まかに所定部分を覆うように貼り付ければよい。第3工程としては、貼り付けられた接着剤付きフィルムの上から所定部分と同形の型板を該所定部分に合致させて位置決め固定する。第4工程としては、剛性及び弾力性を有する下敷き材を型板の端に沿って持ち上げて接着剤付きフィルムを所定部分の形状に沿って切断する。この際、接着剤付きフィルムは、所定部分の上では型板に押圧されているので剥がれや皺が生じることなく良質の接着がなされると共に、周辺の不要部分に対しては型板の端と下敷き材の端面との剪断作用によって精度の高い切断が施される。
【0011】
この接着方法によると、切断に際して刃物を用いないので金属パネル表面に傷等を付けることなく、また、確実に金属パネルの所定部分に接着剤付きフィルムを貼り付けることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0013】
図1〜図5は本発明の一実施例に係る接着剤付きフィルムの接着方法を示す説明図である。図1は、金属パネル1の表面における周縁部分に下敷きフィルム10a〜10dを取り付け、その上に接着剤付きフィルム2を貼り付けた状態を示している。下敷きフィルム10a〜10dは、接着剤付きフィルム2より剛性の高い弾力性のプラスチック材又はフィルム材からなる長方形状の板状フィルムであって、4枚の下敷きフィルム10a〜10dの一端によって金属パネル1上のフィルム接着部位1aを囲むように取り付けられる。この際の下敷きフィルム10a〜10dの取り付けは、後述する型板11を金属パネル1の表面に形成した位置決め孔1bを案内として後述するピン12によって仮固定し、その型板11の周端面に下敷きフィルム10a〜10dの一端を当接させて配置する。この際に、下敷きフィルム10a〜10dには接着剤が付いていないので、金属パネル1上での位置調整を容易に行うことができる。そして、接着剤付きフィルム2は、フィルム接着部位1aよりやや面積の大きいものを用意して、特に位置決めする必要なくフィルム接着部位1aを覆うように貼り付ける。
【0014】
図2は、図1の状態において、接着剤付きフィルム2の上に型板11を位置決め固定した状態を示している。この型板11は、金属パネル1上のフィルム接着部位1aと同形の外形形状を備えるものであって、金属パネル1上の位置決め孔1bを案内としてピン12によって固定することにより、型板11の外縁がフィルム接着部位1aの外縁と合致するように設計されている。
【0015】
図3は、図2の状態における部分的な側面図を示すものである。金属パネル1の表面上に、下敷きフィルム10a、接着剤付きフィルム2、型板11が順に取り付けられており、型板11の端と下敷きフィルム10aの端が接着剤付きフィルム2を挟んで合致している状態を明確に示している。このように型板11はピン12によって位置決めされ固定されている。
【0016】
図4は、金属パネル1のフィルム接着部位1a上に接着剤付きフィルム2を貼り付けた状態で、その周端面部分をフィルム接着部位1aに合わせて切断している状態を示している。ここでは、図2(或いは図3)の状態から、型板11周囲の接着剤付きフィルム2を下敷きフィルム10a(10b,10c,10d)に密着させた状態を保ちながら金属パネル1から上方に持ち上げていく。型板11は充分な剛性を有しており、しかもその端の角部には接着剤付きフィルム2を切断可能な程度のエッジが形成されている。したがって、図のように接着剤付きフィルム2を上方に持ち上げると、型板11の周端面と下敷きフィルム10a(10b,10c,10d)の端とによって挟まれた接着剤付きフィルム2に剪断力が作用し、その型板11の周端面或いは下敷きフィルム10a(10b,10c,10d)の端に沿って正確な切断が行われる。これによると、型板11下の接着剤付きフィルム2は型板11によって常に押圧された状態となっているので、切断時に切断箇所の周辺が剥がれるといった不具合は生じない。また、当然ながら、カッター等の刃物を用いないので金属パネル1の表面が傷付くこともない。
【0017】
図5は、金属パネル1の表面上に所定形状に切断された接着剤付きフィルム2が接着されている状態を示している。上述の切断が完了すると、型板11とピン12は金属パネル1から取り外される。その後、金属パネル1の表面上の位置決め孔1b周辺に着いている接着剤付きフィルムを孔形状にトリムして作業を完了する。
【0018】
次に、図6において、本発明の他の実施例を示す。同図に示すものは、各端部のR形や各辺部に切り欠きを有した形状の切断に関するものであり、上記の実施例と同様に各辺部の外形部に合わせた下敷きフィルムと加工品形状に合わせた型枠を用い、その間に接着剤付きフィルム20を入れて切断するものである。この際に、下敷きフィルムと接着剤付きフィルム20とを型板部から持ち上げて切断する方向へ移動することにより、接着剤付きフィルム20が所定の形状に切断されるものである。このとき、接着剤付きフィルムの切断部に切り残しや裂け目等は発生していない。
【0019】
上述のような本発明の方法は、金属パネル面上に接着剤付きフィルムを貼り付けるに際し、加工品外側形状に合わせた下敷きフィルムと加工品形に合わせた型板を用い、その間に切断する接着剤付きフィルムを入れ、型板をピン等で固定した後、下敷きフィルムとその上に貼付された接着剤付きフィルムを持ち上げ切断する方向へ移動することにより接着剤付きフィルムが切断されるものである。これによると、下敷きフィルムを用いたことにより接着剤付きフィルム切断部にヨレや捩れを発生させることなく切断が可能になり、また、カッター等の刃物が不要であるため、金属パネル面への傷発生を回避することができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されるので、金属パネルの所定部分に接着剤付きフィルムを貼り付けた後、その接着剤付きフィルムの周縁を所定形状に合わせて切断する接着剤付きフィルムの接着方法において、金属パネル組立部品に対して傷等を付けることなく接着剤付きフィルムの不要部分を切断できると共に、確実に金属パネルの所定部分に接着剤付きフィルムを貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接着方法の一実施例を説明する図で、所定部分を下敷きで囲んで接着剤付きフィルムを接着した状態を示すものである。
【図2】同じく本発明を説明する図で、接着剤付きフィルムの上から所定部分に型板を固定した状態を示すものである。
【図3】同じく本発明を説明する図で、下敷きフィルムと接着剤付きフィルムと型板の重なり状態を示すものである。
【図4】同じく本発明を説明する図で、型板に沿って接着剤付きフィルムを切断する様子を示したものである。
【図5】同じく本発明を説明する図で、パネルに接着剤付きフィルムが貼られた仕上げ状態を示したものである。
【図6】本発明によりパネルに接着された異なる形状の接着剤付きフィルムを示したものである。
【図7】従来例の接着方法の説明図である。
【図8】従来例の接着方法の説明図である。
【図9】従来例の接着方法の説明図である。
【符号の説明】
1 金属パネル
1a フィルム接着部位の周縁
1b 位置決め孔
2,20 接着剤付きフィルム
10a〜10d 下敷きフィルム
11 型板
12 ピン
Claims (3)
- 金属パネル表面の所定部分に接着剤付きフィルムを貼り付ける接着方法において、上記所定部分の周縁に接すると共に該所定部分を囲んで下敷き材を取り付け、その上に上記所定部分を覆って上記接着剤付きフィルムを貼り付けた後、上記所定部分と同形状の型板を該所定部分に合致させて位置決め固定し、上記下敷き材を上記型板の端に沿って持ち上げることによって、上記型板と下敷き材との協働により上記接着剤付きフィルムを切断することを特徴とする接着剤付きフィルムの接着方法。
- 上記下敷き材を取り付ける際に、上記の型板を上記所定形状に合致させて仮固定し、該型板の周端面に上記下敷き材の端面を当接させて配置させ、その後該型板を取り除いて上記接着剤付きフィルムを貼り付けることを特徴とする請求項1記載の接着剤付きフィルムの接着方法。
- 上記下敷き材は、弾力性のプラスチック材又はフィルム材であることを特徴とする請求項1記載の接着剤付きフィルムの接着方法。
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JPH02185581A (ja) * | 1989-01-13 | 1990-07-19 | Oki Electric Ind Co Ltd | 両面粘着テープおよびそれを用いた両面粘着シートの貼りつけ方法 |
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