JP4565829B2 - パターン形成体用塗工液 - Google Patents

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Description

本発明は、カラーフィルタをはじめとして各種の用途に使用可能な、表面に特性の異なるパターンを有するパターン形成体を形成する際に用いられるパターン形成体用塗工液に関するものである。
従来より、基材上に図案、画像、文字、回路等の種々のパターンを形成するパターン形成体の製造方法としては、各種のものが製造されている。
例えば、印刷を例に挙げて説明すると、印刷方法の一種である平版印刷に使用する平版印刷版は、インクを受容する親油性部位と、印刷インクを受容しない部位とからなるパターンを有する平版を製造し、この平版を用いて親油性部位に印刷すべきインクの画像を形成し、形成した画像を紙等に転写して印刷している。こうした印刷では、このように印刷版原版に、文字、図形等のパターンを形成してパターン形成体である印刷版を製造し、印刷機に装着して使用している。代表的な平版印刷版であるオフセット印刷用の印刷版原版には、数多くのものが提案されている。
オフセット印刷用の印刷版は、印刷版原版にパターンを描いたマスクを介して露光して現像する方法、あるいは電子写真方式によって直接に露光して印刷版原版上に直接に製版する方法等によって作製することができる。電子写真式のオフセット印刷版原版は、導電性基材上に酸化亜鉛等の光導電性粒子および結着樹脂を主成分とした光導電層を設け、これを感光体として電子写真方式によって露光し、感光体表面に親油性の高い画像を形成させ、続いて不感脂化液で処理し非画像部分を親水化することによってオフセット原版、すなわちパターン形成体を得る方法によって作製されている。親水性部分は水等によって浸漬して疎油性とされ、親油性の画像部分に印刷インクが受容されて紙等に転写される。しかしながら、パターン形成に当たっては不感脂化液での処理等の種々の露光後の処理が必要となる。
また、レーザーの照射によって、インクに対して受容性の高い部位と撥インク性の部位からなるパターンを形成することが可能なヒートモード記録材料を用いた平版印刷原版を作製する方法も提案されている。ヒートモード記録材料は、現像等の工程が不要で、単にレーザー光によって画像を形成するのみで印刷版を製造することができるという特徴を有しているが、レーザーの強度の調整、レーザーにより変質した固体状物質など残留物等の処理の問題、耐刷性などに課題があった。
また、高精細なパターンを形成する方法として、基材上に塗布したフォトレジスト層にパターン露光を行い、露光後、フォトレジストを現像し、さらにエッチングを行ったり、フォトレジストに機能性を有する物質を用いて、フォトレジストの露光によって目的とするパターンを直接形成する等のフォトリソグラフィーによるパターン形成体の製造方法が知られている。
フォトリソグラフィーによる高精細パターンの形成は、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの着色パターンの形成、マイクロレンズの形成、精細な電気回路基板の製造、パターンの露光に使用するクロムマスクの製造等に用いられているが、これらの方法によっては、フォトレジストを用いると共に、露光後に液体現像液によって現像を行ったり、エッチングを行う必要があるので、廃液を処理する必要が生じる等の問題点があり、またフォトレジストとして機能性の物質を用いた場合には、現像の際に使用されるアルカリ液等によって劣化する等の問題点もあった。
カラーフィルタ等の高精細なパターンを印刷等によって形成することも行われているが、印刷で形成されるパターンには、位置精度等の問題があり、高精度なパターンの形成は困難であった。
そこで、基材上に、光触媒と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する材料とを含有する特性変化パターン形成用塗工液を用いて層を形成し、パターン状に露光することにより、特性が変化したパターンを形成するパターン形成体の製造方法が本発明者等において検討されてきた(特許文献1)。この方法によれば、上記特性変化層の特性を利用して、容易に着色層等の機能性部を形成することを可能とすることができる。
このような発明に用いられる特性変化パターン形成用塗工液は、通常スピンコート法により塗布されるものであり、製造効率等の面から、速乾性を有するものであった。そのため、この特性変化パターン形成用塗工液を、例えばダイコート法やビードコート法等によって塗布した場合には、ヘッドの先端が乾いて詰まったり、その乾いた部分が剥がれて塗膜上に落下し、均一な塗膜が形成できない等の問題があった。
特開平11−344804号公報
そこで、特性の異なるパターンが効率的に形成されるパターン形成体の製造の際に用いられ、例えばダイコート法やビードコート法等による塗布も可能なパターン形成体用塗工液の提供が望まれている。
本発明は、光触媒、乾燥抑制剤、および特性付与剤を含有することを特徴とするパターン形成体用塗工液を提供する。
本発明によれば、パターン形成体用塗工液中に上記乾燥抑制剤を含有することから、パターン形成体用塗工液の乾燥速度を調整することが可能となる。これにより、例えばダイコート法やビードコート法等によってパターン形成体用塗工液の塗布を行った場合にも、パターン形成体用塗工液の乾燥によるヘッドのつまり等を防ぐことができ、均一に層を形成することができるのである。また、本発明のパターン形成体用塗工液中には、光触媒および特性付与剤が含有されていることから、このパターン形成体用塗工液を塗布して層を形成し、パターン状にエネルギー照射を行うことによって、光触媒の作用により特性付与剤が分解または変性されて特性が変化したパターンを有するパターン形成体とすることができるのである。
上記発明においては、金属微粒子を含有することが好ましい。これにより、例えば上記乾燥抑制剤等によって光触媒の感度が低下した場合であっても、上記光触媒の感度を向上させることができ、上記パターン形成体用塗工液が塗布された層の光触媒の感度を良好なものとすることができるからである。
また、上記発明においては、上記乾燥抑制剤が、20℃における蒸気圧が10mmHg以下の溶剤であることが好ましい。このような溶剤を用いることによって、パターン形成体用塗工液の乾燥を調整することが可能となるからである。
また、上記発明においては、上記パターン形成体用塗工液中における上記溶剤の含有量が1重量%〜60重量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲より少ない場合には、上記溶剤が乾燥抑制剤としての効果を発揮することができず、また上記範囲より多い場合には、パターン形成体用塗工液の乾燥が悪く、塗膜性能が劣るものとなるからである。
この際、上記溶剤が、分子構造内にエーテル結合および第2級アルコールの少なくとも一方を有することが好ましい。このような溶剤を用いることにより、パターン形成体用塗工液が塗布された層の表面に特性付与剤を偏在させることが可能となり、この層にエネルギーが照射された際の特性の差を大きいものとすることが可能となるからである。
また、上記発明においては、上記溶剤が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノブチルエーテルから選択される1種または2種以上の物質とすることが好ましい。このような溶剤が、上記パターン形成体用塗工液の乾燥速度を調整等することができるからである。
上記発明においては、上記特性付与剤が、オルガノポリシロキサンであることが好ましい。これにより、パターン形成体用塗工液が塗布された層を、エネルギー照射に伴う光触媒の作用によって特性が変化する層とすることができ、また特性付与剤が、バインダとしての機能を果たすものとすることもできるからである。
この場合、上記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基、クロロアルキル基、イソシアネート基、もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンを用いることによって、パターン形成体用塗工液が塗布された層の、上述したような特性の差が大きいものとすることができるからである。
また、上記発明においては、上記特性付与剤が、撥液性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される撥液性付与剤であるものとすることができる。これにより、上記パターン形成体用塗工液が塗布された層において、エネルギーが照射されていない領域を撥液性領域、エネルギーが照射された領域を親液性領域とすることができるからである。
本発明はまた、光触媒と、乾燥抑制剤と、特性付与剤とを混合してパターン形成体用塗工液を調製する塗工液調製工程と、
基材上に、上記パターン形成体用塗工液を塗布する塗工液塗布工程と、
上記塗工液塗布工程により塗布されたパターン形成体用塗工液を乾燥させて特性変化層を形成する乾燥工程と、
上記特性変化層にエネルギーを照射して、上記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成する特性変化パターン形成工程と
を有することを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記塗工液調製工程により調製される上記パターン形成体用塗工液が、上記乾燥抑制剤を含有することから、パターン形成体用塗工液の乾燥速度を調整することができる。これにより、塗工液塗布工程に用いられる塗布装置の選択の幅が広がり、種々の用途に利用可能なパターン形成体を製造することができる。
またさらに、本発明は、上記パターン形成体の製造方法により製造されたパターン形成体の、上記特性変化パターン上に機能性部を形成する機能性部形成工程を有することを特徴とする機能性素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記パターン形成体を用いることにより、上記特性変化層の特性の差を利用して、容易に機能性部形成工程を行うことができ、高精細な機能性部が形成された機能性素子を簡易な工程で製造することができるのである。
本発明は、上記機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、画素部を形成する工程であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記特性変化パターンを利用して、例えばインクジェット法等によって、容易に画素部を形成することできることから、効率よくカラーフィルタを製造することができる。
本発明は、上記機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、金属配線を形成する工程であることを特徴とする導電性パターンの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記特性変化層の特性の差を利用して、例えば電解ジェット法等によって、目的とするパターン状に高精細な金属配線を形成することができることから、高品質な導電性パターンを製造することができる。
本発明は、上記機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、有機エレクトロルミネッセント(以下、有機ELともいう。)層を形成する工程であることを特徴とする有機EL素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記特性変化層の特性の差を利用して、高精細なパターン状に有機EL層を形成することができることから、高品質な有機EL素子を製造することができる。
また、本発明は、上記機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、生体物質と付着性を有する機能性部を形成する工程であることを特徴とするバイオチップ用基材の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記特性変化層の特性の差を利用して、生体物質と付着性を有する機能性部を高精細なパターン状に形成することができることから、高品質なバイオチップ用基材を製造することができる。
本発明によれば、パターン形成体用塗工液中に上記乾燥抑制剤を含有することから、例えばダイコート法やビードコート法等によって塗布を行った場合にも、パターン形成体用塗工液の乾燥によるヘッドのつまり等を防ぐことができ、均一な層を形成することができる。また、このパターン形成体用塗工液を塗布して層を形成し、パターン状にエネルギー照射を行うことにより、光触媒の作用によって特性付与剤が分解または変性されたパターンを有するパターン形成体とすることができる、という効果を奏するものである。
本発明は、カラーフィルタをはじめとして各種の用途に使用可能な、表面に特性の異なるパターンを有するパターン形成体の製造に用いられるパターン形成体用塗工液、およびそのパターン形成体用塗工液を用いたパターン形成体の製造方法に関するものである。
以下、それぞれについて説明する。
A.パターン形成体用塗工液
まず、本発明のパターン形成体用塗工液について説明する。本発明のパターン形成体用塗工液は、光触媒、乾燥抑制剤、および特性付与剤を含有するものである。
本発明のパターン形成体用塗工液中には、上記光触媒および特性付与剤が含有されており、このパターン形成体用塗工液が塗布された層にエネルギー照射することによって、上記特性付与剤が光触媒の作用により分解または変性されて特性が変化したパターンを有するパターン形成体とすることができる。本発明においては、このようなパターン形成体用塗工液中に上記乾燥抑制剤が含有されていることから、パターン形成体用塗工液の乾燥速度を調整することが可能となる。これにより、例えばパターン形成体用塗工液をビードコート法やダイコート法等によって塗布した場合であっても、パターン形成体用塗工液が乾燥してヘッドのスリットがつまったり、乾燥したものが剥離して塗膜上に落ちること等を防ぐことができ、高品質なパターン形成体を製造することができるのである。また、パターン形成体用塗工液を塗布する際に用いられる装置等の選択の幅も広がることから、上記のようなパターン形成体を様々な用途に用いることが可能となるのである。
以下、本発明のパターン形成体用塗工液の各構成ごとに詳しく説明する。
1.乾燥抑制剤
まず、本発明のパターン形成体用塗工液に用いられる乾燥抑制剤について説明する。本発明のパターン形成体用塗工液に用いられる乾燥抑制剤としては、例えばパターン形成体用塗工液中に含有される溶剤の揮発等を抑えて、パターン形成体用塗工液の乾燥速度を調整するものであれば、特に限定されるものではない。
このような乾燥抑制剤としては、例えば蒸気圧の低い溶剤や、パターン形成体用塗工液が塗布された際、表面に滲出して溶剤の乾燥を抑える界面活性剤等が挙げられる。
例えば、上記乾燥抑制剤が溶剤である場合には、乾燥抑制剤がパターン形成用塗工液に通常用いられる溶剤と一部置換、全部置換、または添加されて用いられ、乾燥抑制剤が界面活性剤である場合には、添加されて用いられることとなる。本発明においては、このような乾燥抑制剤として、パターン形成体用塗工液を20℃のガラス基板上にウエット膜厚10μmで塗布した際のタックフリータイムが5分以上となるようなものが用いられることが好ましい。パターン形成体用塗工液の乾燥をこのようなものとすることが可能な乾燥抑制剤を用いることによって、例えばダイコート法やビードコート法等によっても、パターン形成体用塗工液を塗布することができるからである。
ここで、本発明においては、上記の中でも乾燥抑制剤として蒸気圧の低い溶剤が用いられることが好ましい。このような溶剤の蒸気圧としては、20℃における蒸気圧が10mmHg以下、中でも5mmHg以下、特に1mmHg以下の範囲内である溶剤であることが好ましい。また、このような溶剤の蒸気圧の下限は、溶剤の種類等によっても異なるが、通常0.01mmHg程度である。このような蒸気圧を有する溶剤を用いることによって、パターン形成体用塗工液の乾燥速度を調整することが可能となるからである。なお、上記蒸気圧は、パターン形成体用塗工液に乾燥抑制剤として、2種類以上の溶剤が混合して用いられる場合には、それぞれの溶剤の蒸気圧が上記範囲内とされることが好ましい。
また、本発明においては特にこのような溶剤が、分子構造内にエーテル結合および/または第2級アルコールを有することが好ましい。すなわち、溶剤の分子構造内にエーテル結合または第2級アルコール構造を有していることが好ましく、特にエーテル結合および第2級アルコール構造を有することが好ましい。このような構造を有する溶剤を用いることにより、パターン形成体用塗工液が塗布されて形成された層の表面に、後述する特性付与剤が偏在しやすくなる。これにより、パターン形成体用塗工液が塗布された層にエネルギー照射した場合、エネルギー照射された領域とエネルギー照射されていない領域との特性の差を大きなものとすることができるからである。
このような溶剤として、具体的にはジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノブチルエーテルから選択される1種または2種以上の物質を用いることができ、中でもジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを用いることが好ましい。
また本発明においては、このような溶剤が、パターン形成体用塗工液中に、1重量%〜60重量%、中でも5重量%〜45重量%、特に10重量%〜35重量%の範囲内添加されることが好ましい。上記範囲より添加量が少ない場合には、パターン形成体用塗工液中で、上記溶剤が乾燥速度等を調整することが困難となるからであり、また上記範囲より添加量が多い場合には、パターン形成体用塗工液の乾燥が悪く、塗膜の性能が劣るものとなる場合があるからである。
2.光触媒
次に、本発明に用いられる光触媒について説明する。本発明に用いられる光触媒は、エネルギー照射されることにより励起されて、後述する特性付与剤を分解または変性等させることが可能なものであれば、特に限定されるものではない。後述するような二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本発明においては、このキャリアが後述する特性付与剤に作用を及ぼすものであると考えられる。
本発明に用いられる光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径が50nm以下であることが好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
また、上記酸化チタンとして可視光応答型のものを用いてもよい。可視光応答型の酸化チタンとは、可視光のエネルギーによっても励起されるものであり、このような可視光応答化の方法としては、酸化チタンを窒化処理する方法等が挙げられる。
酸化チタン(TiO)は、窒化処理をすることにより、酸化チタン(TiO)のバンドギャップの内側に新しいエネルギー準位が形成され、バンドギャップが狭くなる。その結果、通常酸化チタン(TiO)の励起波長は380nmであるが、その励起波長より長波長の可視光によっても、励起されることが可能となるのである。これにより、種々の光源によるエネルギー照射の可視光領域の波長も酸化チタン(TiO)の励起に寄与させることが可能となることから、さらに酸化チタンを高感度化させることが可能となるのである。
ここで、本発明でいう酸化チタンの窒化処理とは、酸化チタン(TiO)の結晶の酸素サイトの一部を窒素原子での置換する処理や、酸化チタン(TiO)結晶の格子間に窒素原子をドーピングする処理、または酸化チタン(TiO)結晶の多結晶集合体の粒界に窒素原子を配する処理等をいう。
酸化チタン(TiO)の窒化処理方法は、特に限定されるものではなく、例えば、結晶性酸化チタンの微粒子をアンモニア雰囲気下で700℃の熱処理により、窒素をドーピングし、この窒素のドーピングされた微粒子と、無機バインダや溶媒等を用いて、分散液とする方法等が挙げられる。
このような光触媒は、本発明のパターン形成体用塗工液における固形分中に、0.01重量%〜50重量%、中でも0.1重量%〜10重量%含有されることが好ましい。これにより、パターン形成体用塗工液が塗布された層にエネルギーが照射された場合、後述する特性付与剤を分解または変性等することができ、層の特性を変化させることが可能となるからである。
3.特性付与剤
次に、本発明のパターン形成体用塗工液に用いられる特性付与剤について説明する。本発明のパターン形成体用塗工液に用いられる特性付与剤とは、パターン形成体用塗工液が塗布されて層が形成された際に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、例えば分解または変性等されて、層表面の特性を変化させるものであり、このように特性を変化させることが可能なものであれば、特にその種類等は限定されるものではない。例えば、撥液性の官能基を有する材料であり、エネルギー照射に伴う光触媒の作用によって表面の官能基が分解や置換等されることによって、表面の濡れ性が変化するものであってもよく、また感光性保護基で保護された官能基を有する分子であり、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により脱保護されて細胞との接着性が変化するもの等であってもよい。
本発明においては、上記特性付与剤がバインダとしても用いられるものであることが好ましい。本発明のパターン形成体用塗工液中に、別途バインダを含有させてもよいが、上記特性付与剤がバインダとしての機能を果たすことにより、このようなバインダを含有させる必要がないからである。また、バインダが含有されている場合には、さらに強度の高い層とすることができるからである。
このようなバインダとしても用いられる特性付与剤としては、光触媒の作用により劣化、分解しにくい主鎖を有するものであれば、特に限定されるものではないが、特にオルガノポリシロキサンが用いられることが好ましい。パターン形成体用塗工液中に、オルガノポリシロキサンが含有されることにより、上述したような特性変化を生じる層を形成することが可能となるからである。
本発明に用いられるオルガノポリシロキサンとしては、例えば、(a)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(b)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
上記の(a)の場合、一般式:
SiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基、クロロアルキル基、イソシアネート基、もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでXで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。また、Yで示される有機基全体の炭素数は1〜20の範囲内、中でも5〜10の範囲内であることが好ましい。
これにより、パターン形成体用塗工液を塗布して層を形成した際、例えばYとして撥液性を有するフルオロアルキル基等を有するものを用いた場合にはそのYによって表面を撥液性とすることができ、またエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、そのYが分解等され、親液性とすることが可能となるからである。また、例えばYとして、細胞との接着性を有するアミノ基等を有するものを用いた場合には、そのYによって表面を細胞との接着性を有するものとすることができ、またエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、そのYが分解等され、細胞との接着性を有しないもの等とすることができるからである。
また、上記の(b)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
Figure 0004565829
ただし、nは2以上の整数であり、R1,R2はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R1、R2がメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコン化合物を混合してもよい。
このような特性付与剤は、パターン形成体用塗工液の固形分中に、0.01重量%〜50重量%、中でも0.1重量%〜10重量%程度含有されることが好ましい。
ここで、本発明に用いられる上記特性付与剤としては、特に撥液性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される撥液性付与剤であることが好ましい。このような撥液性付与剤を用いることにより、パターン形成体用塗工液が塗布された層の、エネルギーが未照射の領域を撥液性を有する撥液性領域、エネルギーが照射された領域を撥液性付与剤が分解または変性されて親液性を有する親液性領域とすることができる。これにより、エネルギーが照射された領域とエネルギーが未照射の領域との濡れ性の差を利用して、容易に機能性部を形成することが可能となるからである。以下、このような撥液性付与剤について説明する。
本発明に用いられる撥液性付与剤としては、上述したように、撥液性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性されるものであれば、特に限定されるものではなく、例えばパターン形成体用塗工液を塗布して層を形成する際に、上述したようなバインダとしての機能を果たすものであってもよく、またバインダとしての機能を果たさないものであってもよい。また、これらを混合して用いてもよい。
ここで、撥液性を有するとは、上記パターン形成体用塗工液が塗布されて層とされた際に、この層と機能性部を形成するために塗布される機能性部形成用塗工液との濡れ性を低いものとすることができることをいう。具体的には、エネルギーが未照射の領域において、上記機能性部形成用塗工液に対する接触角が30°以上、中でも40°以上、特に50°以上とすることが可能なものであること好ましい。エネルギーが未照射の領域において機能性部形成用塗工液との接触角が小さい場合には、撥液性が十分でなく、上記機能性部形成用塗工液が残存する可能性が生じるからである。
一方、エネルギー照射された場合においては、上記機能性部形成用塗工液との濡れ性を良好なものとすることができることが好ましい。具体的には、上記機能性部形成用塗工液に対する接触角が20°以下、特に、10°以下とすることが可能なものであることが好ましい。エネルギー照射された部分における機能性部形成用塗工液との接触角が高いと、この部分での機能性部形成用塗工液の広がりが劣る可能性があり、機能性部の欠け等の問題が生じる可能性があるからである。
なお、ここでいう機能性部形成用塗工液との接触角は、パターン形成体用塗工液が塗布された層と機能性部形成用塗工液、もしくは同等の表面張力を有する検査液等との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。
ここで、本発明に用いられる撥液性付与剤のうち、バインダとしての機能を有しないものとしては、撥液性の官能基を有しており、パターン形成体用塗工液を塗布した際に、表面に配向して撥液性を発現する界面活性剤等が挙げられ、このような界面活性剤としては、例えば日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤等を挙げることができる。また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
このようなバインダとしての機能を有しない撥液性付与剤は、パターン形成体用塗工液の固形分中に、0.01重量%〜10重量%、中でも0.1重量%〜1重量%程度含有されることが好ましい。
一方、バインダとしての機能を有する撥液性付与剤としては、上述したようなオルガノポリシロキサン等を用いることができる。特にフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンを用いた場合には、エネルギー照射前の層を、特に撥液性の高いものとすることができることから、高い撥液性が要求される場合等には、これらのフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンを用いることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンとして、具体的には、フルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られた、例えば特開2003−195029号公報に記載されているもの等を使用することができる。
このようなバインダとしての機能を有する撥液性付与剤は、パターン形成体用塗工液の固形分中に、0.01重量%〜50重量%、中でも0.1重量%〜10重量%程度含有されることが好ましい。
4.パターン形成体用塗工液
次に、本発明のパターン形成体用塗工液について説明する。本発明のパターン形成体用塗工液は、上述した乾燥抑制剤、光触媒、および特性付与剤を含有したものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜添加剤や溶剤等を含有するものであってもよい。
ここで、本発明においては、特に光触媒を高感度化させるような添加剤が含有されていることが好ましい。これは、上記乾燥抑制剤として、例えば蒸気圧の低い溶剤を用いた場合に光触媒の感度が低下する場合があり、このような場合であっても、光触媒の感度を良好なものとすることが可能となるからである。
上記光触媒を高感度化させる方法としては、例えば上記パターン形成体用塗工液中に、金属元素を含有させる方法等が挙げられる。このような方法としては、例えば鉄よりイオン化傾向の小さい金属元素の塩を溶解させる方法や、金属微粒子を含有させる方法等が挙げられる。
本発明においては、特に金属微粒子を含有させる方法であることが好ましい。これにより、光触媒の感度を大きく向上させることができるからである。またこの場合、金属の種類によっては、パターン形成体用塗工液が塗布された層の、エネルギーが照射された領域の色を変化させることができ、エネルギー照射された領域を識別することが可能となるからである。またさらに、上記金属微粒子の含有量等によっては、金属微粒子が層を形成する際のバインダとしての機能を果たすことも可能となるからである。
このような金属微粒子としては、クロムよりイオン化傾向の小さい金属を用いることが好ましい。例えば金、銀、銅、白金、鉛、スズ、ニッケル、コバルト、カドミウム、および鉄等が挙げられ、これらを1種類または2種類以上混合して用いることができる。本発明においては、上記の中でもイオン化傾向が小さい金、白金、銀、または銅であることが好ましい。
また、上記金属微粒子の平均粒径は、1nm〜100nmの範囲内、中でも5nm〜50nmの範囲内、特に10nm〜20nmの範囲内であることが好ましい。粒径がこのような範囲内であることにより、上述した光触媒の感度をより向上させることが可能となるからである。ここで本発明においては、パターン形成体用塗工液中において、金属微粒子がこのような平均粒径を有するものとするために、金属微粒子が金属コロイド液として添加されたものであることが好ましい。これにより、パターン形成体用塗工液中においても、金属微粒子の分散安定性を良好なものとすることができるからである。なお、上記金属コロイド液として金属微粒子が添加される場合、金属微粒子は、その表面に有機成分が付着しているものであってもよく、また表面を有機成分で被覆されているもの等であってもよい。
また、本発明においては、上記パターン形成体用塗工液中に含有される光触媒の重量%を1とした場合に、上記金属微粒子の重量%が0.0001〜10の範囲内であることが好ましい。また、上記金属微粒子は、パターン形成体用塗工液の固形分中に、0.001重量%〜1重量%含有されていることが好ましい。このような範囲内金属微粒子が含有されていることによって、光触媒の感度を向上させることができるからである。
B.パターン形成体の製造方法
次に、本発明のパターン形成体の製造方法について説明する。本発明のパターン形成体の製造方法は、光触媒と、乾燥抑制剤と、特性付与剤とを混合してパターン形成体用塗工液を調製する塗工液調製工程と、
基材上に、上記パターン形成体用塗工液を塗布する塗工液塗布工程と、
上記塗工液塗布工程により塗布されたパターン形成体用塗工液を乾燥させて特性変化層を形成する乾燥工程と、
上記特性変化層にエネルギーを照射して、上記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成する特性変化パターン形成工程と
を有するものである。
本発明によれば、上記塗工液調製工程により調整されたパターン形成体用塗工液中に、乾燥抑制剤が含有されていることから、パターン形成体用塗工液の乾燥速度を調整することができる。これにより、例えばダイコート法やビードコート法等によって、パターン形成体用塗工液を塗布した場合であっても、塗布中にパターン形成体用塗工液が乾燥して、例えばヘッドのスリットが詰まること等を防ぐことができ、均一な層を形成することができるのである。また、塗工液の塗布装置等の選択の幅が広がることから、表面の特性が異なるパターンが容易に形成されたパターン形成体を、様々な態様で製造することが可能となる、という利点も有する。以下、本発明の各工程ごとに詳しく説明する。
1.塗工液調製工程
まず、本発明のパターン形成体の製造方法における塗工液調製工程について説明する。本発明における塗工液調製工程は、光触媒と、乾燥抑制剤と、特性付与剤とを混合してパターン形成体用塗工液を調製する工程であり、これらを安定に混合して調製することが可能であれば、その方法等は特に限定されるものではない。また、上記の材料以外に、必要に応じて適宜他の添加剤や溶剤等が添加されて調製されるものとすることができる。
ここで、本発明においては上記光触媒が、例えば酸化チタンのゾル液等のように、ゾル液の状態で用いられることが好ましい。これにより、光触媒がパターン形成体用塗工液中で安定して分散されたものとすることができるからである。
また、本発明においては、特に金属微粒子が添加剤として含有されていることが好ましい。これにより、光触媒の感度を向上させることができ、例えば乾燥抑制剤が光触媒の感度が低下させるもの等であっても、形成される特性変化層の感度を良好なものとすることができるからである。なお、このような金属微粒子は、金属コロイド液の状態で添加されることが好ましい。これにより、パターン形成体用塗工液中でも、金属微粒子が安定に分散されることとなるからである。
なお、本工程に用いられる光触媒、乾燥抑制剤、特性付与剤、金属微粒子等の種類や添加量等については、上述した「A.パターン形成体用塗工液」の項で説明したものと同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
2.塗工液塗布工程
次に、本発明のパターン形成体の製造方法における塗工液塗布工程について説明する。本工程は、上記塗工液調整工程により調整されたパターン形成体用塗工液を、基材上に塗布する工程である。
本工程におけるパターン形成体用塗工液の塗布は、パターン形成体用塗工液を塗布することが可能な方法であれば、特に限定されるものではないが、本発明においては、特にスピンコート法、スリットコート法、ビードコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ダイコート法、またはスリットコート法およびスピンコート法を組み合わせて塗布する方法等が挙げられる。本発明によれば、パターン形成体用塗工液中に乾燥抑制剤が含有されていることから、塗工液の塗布の際に、パターン形成体用塗工液が乾燥等してヘッドのスリットがつまったりすること等を防ぐことができ、均一にパターン形成用塗工液を塗布することが可能となるのである。
ここで、本工程に用いられる基材としては、上記パターン形成体用塗工液が塗布されて、特性変化層を形成することが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、目的とするパターン形成体の用途や種類等によって適宜選択されるものである。また、透明性や可撓性についても適宜選択される。
なお、本発明においては、基材表面と上記パターン形成体用塗工液が塗布されて形成される特性変化層等との密着性を向上させるために、基材上にアンカー層を形成するようにしてもよい。このようなアンカー層としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。また、基材上には後述するような遮光部やプライマー層等が設けられていてもよい。
3.乾燥工程
次に、本発明のパターン形成体の製造方法における乾燥工程について説明する。本発明における乾燥工程は、上述した塗工液塗布工程により塗布されたパターン形成体用塗工液を乾燥させて特性変化層を形成する工程である。
本工程においては、上記パターン形成用塗工液を乾燥または硬化させることにより、特性変化層を形成可能な方法であれば、特に限定されるものではなく、例えばホットプレート、赤外線ヒーター、またはオーブン等を用いて行うことができる。
なお、上記パターン形成用塗工液中に金属微粒子が含有されている場合には、特にパターン形成体用塗工液が50℃〜400℃、中でも100℃〜300℃の範囲内となるように加熱して乾燥工程を行うことが好ましい。これにより、上記金属微粒子の作用によって、光触媒の感度をより向上させることが可能となるからである。
ここで本工程により形成された特性変化層は、少なくとも上記光触媒および上記特性付与剤を含有しているものである。これにより、後述する特性変化パターン形成工程によりエネルギーを照射されることによって、光触媒の作用により特性付与剤が分解または変性されて、特性変化層の特性が変化したパターンが形成されるのである。
4.特性変化パターン形成工程
次に、本発明のパターン形成体の製造方法における特性変化パターン形成工程について説明する。本発明のパターン形成体の製造方法における特性変化パターン形成工程は、上記特性変化層上にパターン状にエネルギーを照射することにより、上記特性変化層上に特性の変化した特性変化パターンを形成する工程である。
このような特性変化パターンは、例えば図1(a)に示すように、基材1上に形成された上記特性変化層2に例えばフォトマスク4等を用いてエネルギー5を照射することによって、エネルギー照射された領域の特性付与剤を分解または変性させて、図1(b)に示すように特性の変化した特性変化パターン3を特性変化層2上に形成することができるのである。
ここで、上記エネルギー照射の方法は、上記特性変化層の特性を変化させることが可能なエネルギーを照射する方法であれば、特に限定されるものではない。本発明でいうエネルギー照射(露光)とは、特性変化層の特性を変化させることが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
通常このようなエネルギー照射に用いる光の波長は、400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定される。これは、上述したようにパターン形成体用塗工液中に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。また、上述したような光源を用い、フォトマスクを介したパターン照射により行う方法の他、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることも可能である。
なお、エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、特性変化層中の光触媒の作用により特性変化層の特性が変化するのに必要な量、すなわち上記特性付与剤の分解または変性が行われるのに必要な照射量とする。
この際、特性変化層を加熱しながらエネルギー照射することにより、より感度を上昇させることが可能となり、効率的な特性の変化を行うことができる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
本発明におけるエネルギー照射方向は、上述した基材が透明である場合は、基材側および特性変化層側のいずれの方向からフォトマスクを介したパターンエネルギー照射もしくはレーザの描画照射を行っても良い。一方、上記基材が不透明な場合は、特性変化層側からエネルギー照射を行なう必要があり、また例えば基材上に後述するような遮光部が形成されている場合は、基材側からエネルギー照射を行う必要がある。
5.その他
本発明においては、上記各工程の他に必要に応じて、適宜他の工程を有するものであってもよく、例えば基材上に遮光部やプライマー層等を形成する工程を有するものであってもよい。
基材上に遮光部を形成する工程を有する場合には、上記特性変化パターン形成工程において、マスクやレーザーによる描画等を用いることなく、基材側からエネルギーを照射することにより、遮光部の設けられていない特性変化層表面の特性を変化させることが可能となる。したがって、フォトマスク等との位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることが可能であり、また描画照射に必要な高価な装置も不必要であることから、コスト的に有利となるという利点を有する。
このような遮光部の形成位置としては、基材上に遮光部を形成し、その上から特性変化層を形成する場合、すなわち基材と特性変化層との間に形成する場合と、基材の特性変化層が形成されていない側の表面にパターン状に形成する場合とがある。
このような遮光部の形成方法は、特に限定されるものではなく、遮光部の形成面の特性や、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。
例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成されてもよい。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をパターン状に形成する方法であってもよい。用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このような樹脂製遮光部のパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
また、上記基材と特性変化層との間に遮光部を形成した場合には、上記特性変化層と遮光部との間にプライマー層を形成する工程を有することが好ましい。このプライマー層の作用・機能は必ずしも明確なものではないが、プライマー層を形成することにより、特性付与剤の分解または変性を阻害する要因となる遮光部および遮光部間に存在する開口部からの不純物、特に、遮光部をパターニングする際に生じる残渣や、不純物の拡散を防止する機能を示すものと考えられる。したがって、プライマー層を形成することにより、高感度で特性付与剤を分解または変性させることができ、その結果、高解像度のパターンを得ることが可能となるのである。
なお、本発明においてプライマー層は、遮光部のみならず遮光部間に形成された開口部に存在する不純物が光触媒の作用に影響することを防止するものであるので、プライマー層は開口部を含めた遮光部全面にわたって形成することが好ましい。
本発明におけるプライマー層は、上記遮光部と上記特性変化層とが接触しないようにプライマー層が形成された構造であれば特に限定されるものではない。
このプライマー層を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、光触媒の作用により分解されにくい無機材料が好ましい。具体的には無定形シリカを挙げることができる。このような無定形シリカを用いる場合には、この無定形シリカの前駆体は、一般式SiXで示され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物であり、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
また、プライマー層の膜厚は、0.001μmから1μmの範囲内に形成されることが好ましく、特に0.001μmから0.1μmの範囲内に形成されることが好ましい。
C.機能性素子の製造方法
次に、本発明の機能性素子の製造方法について説明する。本発明の機能性素子の製造方法は、上記パターン形成体の製造方法で形成されたパターン形成体の特性変化パターン上に機能性部を形成する機能性部形成工程を有するものである。
本発明によれば、上記パターン形成体は、特性の変化した特性変化パターンが形成されていることから、この特性変化パターンの特性の差を利用して容易に機能性部を形成する機能性部形成工程を行うことができるのである。
ここで機能性とは、光学的(光選択吸収、反射性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光あるいはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性等)、磁気的(硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等)、電気・電子的(導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性等)、化学的(吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、イオン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロクロミック性等)、機械的(耐摩耗性等)、熱的(伝熱性、断熱性、赤外線放射性等)、生体機能的(生体適合性、抗血栓性等)のような各種の機能を意味するものである。
本発明における機能性部形成工程に用いられる機能性部形成用塗工液としては、上述したように機能性素子の種類、機能性素子の形成方法等によって大きく異なるものであるが、例えば、紫外線硬化型モノマー等に代表される溶剤で希釈されていない組成物や、溶剤で希釈した液体状の組成物等を用いることができる。また、機能性部形成用塗工液としては粘度が低いほど短時間にパターンが形成できることから特に好ましい。ただし、溶剤で希釈した液体状組成物の場合には、パターン形成時に溶剤の揮発による粘度の上昇、表面張力の変化が起こるため、溶剤が低揮発性であることが望ましい。
また本発明に用いられる機能性部形成用塗工液としては、上記特性変化パターンに付着等させて配置されることにより機能性部となるものであってもよく、また特性変化パターン上に配置された後、薬剤により処理され、もしくは紫外線、熱等により処理された後に機能性部となるものであってもよい。この場合、機能性部形成用塗工液の結着剤として、紫外線、熱、電子線等で硬化する成分を含有している場合には、硬化処理を行うことにより素早く機能性部が形成できることから好ましい。
本発明における上記機能性部形成工程は、ディップコート、ロールコート、ブレードコート、スピンコート等の塗布手段、インクジェット、電界ジェット、ディスペンサーを用いる方法等を含むノズル吐出手段等の手段を用いて行われることが好ましい。これらの方法を用いることにより、機能性部を均一かつ高精細に形成することが、可能となるからである。
ここで、本発明においては、上記機能性素子の製造方法の中でも、特に機能性部が画素部であるカラーフィルタの製造方法、機能性部が金属配線である導電性パターンの製造方法、機能性部が生体物質と付着性を有するバイオチップ用基材の製造方法、機能性部が有機EL層である有機EL素子の製造方法であることが好ましい。これらの機能性素子の機能性部は、上述したパターン形成体の特性の差を利用して、容易に形成することが可能となるからである。
D.カラーフィルタの製造方法
本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。本発明のカラーフィルタの製造方法は、上記機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、画素部を形成する工程であるものである。
本発明によれば、パターン形成体における上記特性変化層が例えば表面の濡れ性が変化する濡れ性変化層である場合、その濡れ性変化層上には濡れ性の変化した濡れ性変化パターンが形成されている。したがって、この表面の濡れ性の差を利用してインクジェット法等により画素部を容易に形成することが可能となり、高精細な画素部を有するカラーフィルタを製造することができるのである。
なお、本発明におけるカラーフィルタの製造方法に用いられる各部材の材料や形成方法等については、一般的なカラーフィルタにおけるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
E.導電性パターンの製造方法
次に、本発明の導電性パターンの製造方法について説明する。本発明の導電性パターンの製造方法は、上記機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、金属配線を形成する工程であるものである。
本発明によれば、上述した特性変化パターンの特性の差を利用して、例えば電界ジェット法等をより金属ペースト等を塗布することにより、高精細な金属配線が形成された導電性パターンを製造することができる。
なお本発明においては、上記特性変化層上に金属配線が形成されることから、特性変化層の電気抵抗が、1×10Ω・cm〜1×1018Ω・cm、中でも1×1012Ω・cm〜1×1018Ω・cmの範囲内とすることが好ましい。これにより、優れた導電性パターンとすることが可能となるからである。
ここで、本発明の導電性パターンの製造方法に用いられる各部材の材料や形成方法等については、一般的な導電性パターンにおけるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
F.有機EL素子の製造方法
次に、本発明の有機EL素子の製造方法について説明する。本発明の有機EL素子の製造方法は、上述した機能性素子の製造方法における機能性部形成工程が有機EL層を形成する工程であることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記特性変化パターンの特性の差を利用して、容易に有機EL層の塗り分け等を行うことができ、高精細な有機EL層が形成された有機EL素子を製造することが可能となるのである。
また、本発明においては特に、上記特性変化層中に金属微粒子が含有されていることが好ましい。これにより、例えば表面に第1電極層が形成された基材上に、上記特性変化層を形成した場合であっても、特性変化層が正孔等を通過させることができ、特性変化層上の特性変化パターンを利用して形成された有機EL層と、第1電極層との間で導通をはかることが可能となるからである。本発明の有機EL素子は、この有機EL層上に第2電極層を形成すること等により得ることができる。
なお、本発明の有機EL素子の製造方法に用いられる各部材の材料や形成方法等については、一般的な有機EL素子におけるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
G.バイオチップ用基材の製造方法
次に、本発明におけるバイオチップ用基材の製造方法について説明する。本発明のバイオチップ用基材の製造方法は、上述した機能性素子の製造方法における機能性部形成工程が、生体物質と付着性を有する機能性部を形成することを特徴とするものである。本発明の機能性部形成工程は、例えば上述した特性変化パターン上に生体物質と付着性を有する材料を付着等させる工程等とすることができる。これにより、パターン状に生体物質と付着性を有するバイオチップ用基材とすることができるのである。
ここで、このようなバイオチップ用基材上に、生体物質を固定化させることにより、バイオチップを得ることができる。このようなバイオチップ表面では、上記機能性薄膜が固定化層として働き、ここにDNAやタンパク質等の生体物質が固定化されて種々の用途に用いられるのである。
このような生体物質の固定化技術は、酵素を不溶性担体に固定化したバイオリアクターの研究開発において盛んに研究された固定化技術を応用することができる。その技術内容については、例えば、千畑一郎編、“固定化酵素”、講談社サイエンティフィック、1975及び、その参考文献に詳しい。
なお、バイオチップには、電気的読み取り法を用いる場合があり、このような場合は上記バイオチップ用基材表面に電極を形成する必要がある。この際には、上述した導電性パターンの製造方法の欄で説明した方法により電極を形成してもよく、また一般的なフォトレジスト法等により形成するようにしてもよい。
ここで、本発明においては、上記特性変化層の特性付与剤として、感光性保護基で保護された官能基を有する分子を用い、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により脱保護して細胞との接着性を有するようなものとし、この細胞との接着性を有するパターン状に細胞を接着させてバイオチップとしたもの等とすることも可能である。
なお、本発明におけるバイオチップ用基材の製造方法に用いられる各部材の材料や形成方法等については、一般的なバイオチップ用基板におけるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
<パターン形成体用塗工液調整方法>
フルオロアルキルシラン(TSL8233 GE東芝シリコーン製)1.5g、テトラメトキシシラン(TSL8114 GE東芝シリコーン製)5.0g、および0.1N塩酸3gを24時間常温にて攪拌して撥液性付与剤を作製した。
次に、チタニアゾル(STS−01 石原産業製)を水とイソプロパノールとの混合液(重量比1:1)にてTiO濃度が0.5wt%となるように希釈した。この希釈液30gに乾燥抑制剤としてジエチレングリコールモノメチルエーテル(20℃の蒸気圧0.18mmHg)を15g、および銀コロイド水分散液(平均粒径が20nm 銀固形分0.3wt%)を5g添加し、10分間攪拌した。
この液に撥液性付与剤を0.3g添加して、10分間攪拌しパターン形成体用塗工液とした。
<パターン形成体作製方法>
パターン形成体用塗工液をガラス基板上にダイコーターにて連続して100枚塗布したところ、ヘッド流路での詰まりなく、塗布可能であった。
その後、200℃で乾燥し、厚さ0.15μmの均一な特性変化層が形成できた。
この特性変化層の水との接触角を測定したところ、97°であった。次に、超高圧水銀ランプ(365nm 30mW/cm)を用いて露光すると20秒で水の接触角が10°以下になった。
[比較例1]
実施例1と同様に撥液性付与剤を作製した。
次に、チタニアゾル(STS−01 石原産業製)を水とイソプロパノールとの混合液(重量比1:1)にてTiO濃度が0.5wt%となるように希釈した。
この希釈液30gに銀コロイド水分散液(平均粒径が20nm 銀固形分0.3wt%)を5g、イソプロパノール(20℃の蒸気圧32mmHg)15gを添加し、10分間攪拌した。
この液に撥液性付与剤を0.3g添加して、10分間攪拌しパターン形成体用塗工液とした。
実施例1と同様にガラス基板上に特性変化層を形成したところ、10枚目以降の基板において、流路に詰まりが発生しムラのある不均一な膜が形成された。また、この特性変化層上には多数の析出物が観察された。
[実施例2]
実施例1と同様に撥液性付与剤を作製した。
次に、チタニアゾル(STS−01 石原産業製)を水とイソプロパノールとの混合液(重量比1:1)にてTiO濃度が0.5wt%となるように希釈した。この希釈液10gに乾燥抑制剤としてジエチレングリコールモノメチルエーテル(20℃の蒸気圧0.18mmHg)を35g、および銀コロイド水分散液(平均粒径が20nm 銀固形分0.3wt%)を5g添加し、10分間攪拌した。
この液に撥液性付与剤を0.3g添加して、10分間攪拌しパターン形成体用塗工液とした。
実施例1同様にガラス基板上に特性変化層を形成したところ、均一な膜が作製できた。 この特性変化層の水との接触角を測定したところ、80°であった。次に、超高圧水銀ランプ(365nm 30mW/cm)を用いて露光すると20秒では水との接触角が65°であり、30秒で水との接触角が10°以下になった。
[参考例]
実施例1と同様に撥液性付与剤を作製した。
次に、チタニアゾル(STS−01 石原産業製)を水とイソプロパノールとの混合液(重量比1:1)にてTiO濃度が0.5wt%となるように希釈した。この希釈液30gに乾燥抑制剤としてノルマルブタノール(20℃の蒸気圧4.39mmHg)を15g、および銀コロイド水分散液(平均粒径が20nm 銀固形分0.3wt%)を5g添加し、10分間攪拌した。
この液に撥液性付与剤を0.3g添加して、10分間攪拌しパターン形成体用塗工液とした。
実施例1同様にガラス基板上に特性変化層を形成したところ、均一な膜が作製できた。
この特性変化層の水との接触角を測定したところ、79°であった。次に、超高圧水銀ランプ(365nm 30mW/cm)を用いて露光すると20秒では水との接触角が63°であり、29秒で水との接触角が10°以下になった。
本発明のパターン形成体の特性変化パターンの形成方法一例を示す説明図である。
符号の説明
1…基材
2…特性変化層
3…特性変化パターン

Claims (13)

  1. 光触媒、乾燥抑制剤、および特性付与剤を含有し、前記乾燥抑制剤が、20℃における蒸気圧が10mmHg以下であり、かつ分子構造内にエーテル結合および第2級アルコールの少なくとも一方を有する溶剤であることを特徴とするパターン形成体用塗工液。
  2. 金属微粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成体用塗工液。
  3. 前記パターン形成体用塗工液中における前記溶剤の含有量が1重量%〜60重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成体用塗工液。
  4. 前記溶剤が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノブチルエーテルから選択される1種または2種以上の物質であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体用塗工液。
  5. 前記特性付与剤が、オルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体用塗工液。
  6. 前記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基、クロロアルキル基、イソシアネート基、もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項5に記載のパターン形成体用塗工液。
  7. 前記特性付与剤が、撥液性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される撥液性付与剤であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体用塗工液。
  8. 光触媒と、乾燥抑制剤と、特性付与剤とを混合してパターン形成体用塗工液を調製する塗工液調製工程と、
    基材上に、前記パターン形成体用塗工液を塗布する塗工液塗布工程と、
    前記塗工液塗布工程により塗布されたパターン形成体用塗工液を乾燥させて特性変化層を形成する乾燥工程と、
    前記特性変化層にエネルギーを照射して、前記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成する特性変化パターン形成工程と
    を有し、
    前記乾燥抑制剤が、20℃における蒸気圧が10mmHg以下であり、かつ分子構造内にエーテル結合および第2級アルコールの少なくとも一方を有する溶剤であることを特徴とするパターン形成体の製造方法。
  9. 請求項8に記載のパターン形成体の製造方法により製造されたパターン形成体の、前記特性変化パターン上に機能性部を形成する機能性部形成工程を有することを特徴とする機能性素子の製造方法。
  10. 請求項9に記載の機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、画素部を形成する工程であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  11. 請求項9に記載の機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、金属配線を形成する工程であることを特徴とする導電性パターンの製造方法。
  12. 請求項9に記載の機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、有機エレクトロルミネッセント層を形成する工程であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子の製造方法。
  13. 請求項9に記載の機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、生体物質と付着性を有する機能性部を形成する工程であることを特徴とするバイオチップ用基材の製造方法。
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