JP4565708B2 - 緑化屋根 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、芝生などの植物を植え付けることができるようにした緑化屋根に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−132954号公報には、長尺の金属板から成る屋根板に水溜部を形成し、この水溜部に吸水材を充填し、吸水材の上に芝生などの植物を植え付けることができるようにした緑化屋根が開示されている。
また、特開平9−144233号公報には互いに並列状に接合された各屋根板の帯状部に自重によって湾曲凹部を形成し、この湾曲凹部内に吸水材を配置し、該吸水材の上に芝生などの植物を植え付けることができるようにした緑化屋根が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
緑化屋根は植物の育成のために屋根の上に散水したり、あるいは土壌等を盛るため屋根に負荷がかかり、屋根板に生じる歪み等により水が漏れる恐れがあった。また、植物の育成にとって悪影響を及ぼす結露を避けるため従来は断熱材を屋根板の下側に配置していたが、断熱材敷設工事に手間がかかるとともにコスト高となるという問題点が存した。
本発明は、上記問題点を解決することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、屋根の骨格を形成する支持部材2に波型に屈折された金属製のタイトフレーム4を固設し、該タイトフレーム4に波型に屈折された長尺の金属板から成る複数の外囲板6を互いの側部を結合させて並列に支承せしめ、前記外囲板6の波型の上面の上に長尺状の金属板から成る複数の保水板20を並列に配置し、前記外囲板6の波型の上面と前記保水板20の下面との間に前記外囲板6の長手方向に延びる角柱状の空気層38を設け、前記保水板20の側部を隣接する保水板20の側部に前記外囲板6の頂部上で結合し、前記保水板20に長尺状の底板部20aとこれの両側に屈折形成された側板部20b,20cと前記底板部20aに立設された堰止め部20hとで水溜部26を設け、該水溜部26の上に植栽用の土壌34を配置し該土壌34に植物を植え付けることができるように成し、前記外囲板6の凹部底面6d上に補強支持台40を直立配置し、該補強支持台40の上部を前記保水板20の下面に当接したものである。
また、本発明は、前記補強支持台40を、前記保水板20の下面と水平に接する上位水平部40aとこれと一体的な垂直部40bと前記外囲板6の凹部底面6dと水平に接する下位水平部40cとが屈折形成された長尺状の金属板により構成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図1において、1は外壁、2は建物の屋根の骨格を構成する母屋即ち支持部材であり、H型鋼あるいはC型鋼により構成されている。4は帯状の鋼板から成るタイトフレームであり、複数の山型の凸部4aが所定間隔を存して、図1中、左右方向に形成されている。
【0006】
前記タイトフレーム4の底部4bは前記支持部材2にビスなどによって固定されている。図1中、左右方向に延びるタイトフレーム4は、紙面垂直方向に並列状に複数配置され、各タイトフレーム4の凸部4aは、紙面に垂直な軸線上で一致するように配置されている。6は鋼板などの金属板から成る長尺状の外囲板であり、複数並列に配置され、外囲板6の各々の長手方向が紙面垂直方向即ち棟と軒先間にまたがって延びている。
【0007】
各外囲板6にはタイトフレーム4の波型形状に対応した波型屈折形状が全長にわたって幅方向即ち左右方向に形成されている。各外囲板6は支持部材2の並列配置平面上に支持部材2に対して直角に配置され、各々の外囲板6は、対応するタイトフレーム4に嵌合し、隣接する外囲板6,6のうち一方の外囲板6の一方部分6aと、他方の外囲板6の他方部分6bとは、図2に示すように、対応するタイトフレーム4の凸部4a上で重ね合わされている。
【0008】
前記タイトフレーム4の凸部4a及び外囲板6の側部6a,6b及び中間部の頂部6cにはボルト10,16用の穴が穿設されている。一対の外囲板6,6の重ね合わされた部分は、防水パッキンが接合する座金8を介してボルト10とナット12によって、タイトフレーム4の凸部4aに固定されている。
【0009】
各外囲板6の両側部間の頂部6cは対応するタイトフレーム4の凸部4aに嵌合し、該嵌合部分が防水パッキンが接合する座金14を介してボルト16とナット18によって、タイトフレーム4の凸部4aに固定されている。外囲板6の左右の側端部は、ボルト17とナット19とでタイトフレーム4の凸部4aに固定されている。20は長尺状の鋼板等の金属板から成る保水板であり、帯状の底板部20aと、該底板部20aの両側に形成された傾斜側板部20b,20cと、両側板部20b,20cの上端縁に屈折形成された帯状の上位水平部20d,20eとが一体的に形成されている。
【0010】
保水板20は側板部20b,20c等を屈折加工する前に予め図3に示すように、適所を所定幅Dを存して三重に折り畳んで二重部分20gを形成している。保水板20にこの折り畳み部を屈折形成した後、側板部20b,20cと上位水平部20d,20eを屈折形成し、しかる後に底板部20aの二重部分20gを、図中、F方向に立ち上げ、保水板20の長手方向に対して直角に堰止め部20hを形成している。
【0011】
前記保水板20は、その長手方向が図1中、紙面垂直方向と平行となるように、複数、外囲板6上に並列に配置され、各々の底板部20aが、外囲板6の谷の部分即ち凹部内に配置されている。各保水板20の上位水平部20d,20eは、隣接する保水板20の上位水平部20d,20eと重ね合わされ、この合接部は、これに穿設された穴を介して対応するボルト10,16に嵌合し、該合接部の下面がナット12,18に係止されている。
【0012】
更に、隣接する保水板20の上位水平部20d,20eの合接部は、防水パッキンが接合する座金22を介して、ボルト10,16に螺合するナット24により、ボルト10,16を介して凸部4aに固定されている。保水板20の側端部の上位水平部は、ボルト17とナット25とにより凸部4に固定されている。互いにボルト16とナット24とで外囲板6上に結合された複数の保水板20の結合形状は、図1に示すように断面形状が波型に形成され、各々の長手方向に沿って即ち図1中、紙面垂直方向に、雨水あるいは散水チューブ(図示省略)からの水が、前記堰止め部20hを乗り越えて流れるように構成されている。
【0013】
雨水などの水は、保水板20の底板部20aと両側板部20b,20c及び堰止め部20hとで囲まれた水溜部26に貯水される構成となっている。前記水溜部26には、土壌構造改良材が配置されている。前記保水板20の側板部20b,20cには、水溜部26の保水機能が失われない位置に空気穴を形成しても良い。これにより、保水板20の凹部内の通気性を高め、植物の根腐れ現象を防ぐことができる。前記土壌構造改良材28の上には合成樹脂製のネット32が張られ、このネット32により植物41の根系を支持している。
【0014】
ネット32の上には植栽用土壌34が盛られ、この土壌34に植物41が植えられている。前記波形外囲板6の凹部底面6dと保水板20の底板部20aとの間には、図1中、紙面垂直方向に延びる一対の長尺状の鋼板から成る補強支持台40,40が配置され、支持部材2を支点として、保水板20の下面を支持している。前記補強支持台40は、図4に示すように、外側に屈折された上位水平部40aと、垂直部40bと、内側に屈折された下位水平部40cとを備えている。前記補強支持台40,40は、外囲面の凹部底面6dごとに、一対、互いに略T字状となるように対向配置されている。
【0015】
一対の補強支持台40,40の下位水平部40c,40cは、凹部底面6d上で互いの開放端縁が隣接対向し、これら隣接対向する一対の下位水平部40c,40cの横幅は、凹部底面6dの横幅と略同一に設定されている。外囲板6の凹部42内の一対の補強支持台40,40の垂直部40bと上位水平部40aは、外囲板6の傾斜部との間に三角形を形成し、この三角形によって、保水板20を強固に支持している。
【0016】
建物の屋根の低い部分には、水溜部26内に位置して土止め板43が固設され、土止め板43と堰き止め部20hとの間に土止め用の土嚢48が配置され、これらの土嚢48の中にはパーライトと呼ばれる天然ガラス系黒曜石を焼成発泡した無機質超軽量礫状骨材から成る吸水材50が充填されている。なお、吸水材50はパーライトに特に限定されるものではなく、砂、土壌その他を用いることができる。屋根の周囲は囲み板42,44,46によって囲まれ、土壌囲いを構成している。
【0017】
屋根の高位部分には、略全長にわたって管壁に散水孔が穿設された散水チューブ(図示省略)が配置されている。散水チューブから出た水は、屋根の一番上(図5中、左端)の水溜部26にまず溜まり、上段の水溜部26が水で一杯になると、ここから溢れて下段の水溜部26に順次供給される。本発明の緑化屋根は、図1に示すように、保水板20の下側に紙面垂直方向に延びる角柱状の空気層38が形成され、この空気層が屋根の断熱効果を高める作用を有している。この断熱効果により、植物の育成にとって好ましくない結露を防止することができるものである。
【0018】
また、図1から明らかなように、屋根は、外囲板6とその上に重ねられた保水板20とから成る二重防水構造となっており、屋根の雨漏り防止機能を高めている。上記実施形態では、波形外囲板6どうしの結合及び保水板20どうしの結合をボルト10,16,17とナット12,18,19,24,25を用いた構成としているが、特にこのボルト堅締構造に限定されるものではない。
【0019】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したので緑化屋根の防水機能を高めることができるとともに断熱機能を高めることができる。更に保水板を補強支持台により支持し補強度を高めているので、工事作業者が保水板の上に乗っても、保水板が凹んでしまうことがない等の効果が存する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の屋根の断面図である。
【図2】本発明の屋根の要部の斜視図である。
【図3】保水板の斜視図である。
【図4】補強支持台の斜視図である。
【図5】本発明の屋根の断面図である。
【符号の説明】
1 外壁
2 支持部材
4 タイトフレーム
4a 凸部
4b 底部
6 外囲板
6a 一方部分
6b 他方部分
8 座金
10 ボルト
12 ナット
14 座金
16 ボルト
18 ナット
20 保水板
20a 底板部
20b 側板部
20c 側板部
20d 上位水平部
20e 上位水平部
20f 垂下部
20g 二重部分
20h 堰止め部
20i 湾曲部
22 座金
24 ナット
26 水溜め部
28 吸水材
32 ネット
34 土壌
36 植物
38 空気層
40 補強支持台
41 植物
42 囲み板
43 土止め板
44 囲み板
46 囲み板
48 土嚢
50 吸水材
Claims (1)
- 屋根の骨格を形成する支持部材(2)に波型に屈折された金属製のタイトフレーム(4)を固設し、該タイトフレーム(4)に波型に屈折された長尺の金属板から成る複数の外囲板(6)を互いの側部を結合させて並列に支承せしめ、前記外囲板(6)の波型の上面の上に長尺状の金属板から成る複数の保水板(20)を並列に配置し、前記外囲板(6)の波型の上面と前記保水板(20)の下面との間に前記外囲板(6)の長手方向に延びる角柱状の空気層(38)を設け、前記保水板(20)の側部を隣接する保水板(20)の側部に前記外囲板(6)の頂部上で結合し、前記保水板(20)に長尺状の底板部(20a)とこれの両側に屈折形成された側板部(20b)(20c)と前記底板部(20a)に立設された堰止め部(20h)とで水溜部(26)を設け、該水溜部(26)の上に植栽用の土壌(34)を配置し該土壌(34)に植物を植え付けることができるように成し、前記外囲板(6)の凹部底面(6d)上に補強支持台(40)を直立配置し、該補強支持台(40)の上部を前記保水板(20)の下面に当接し、前記補強支持台(40)を、前記保水板(20)の下面と水平に接する上位水平部(40a)とこれと一体的な垂直部(40b)と前記外囲板(6)の凹部底面(6d)と水平に接する下位水平部(40c)とが屈折形成された長尺状の金属板により構成したことを特徴とする緑化屋根。
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