JP4565623B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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また、接地面形状を最適化して偏摩耗を抑制しようとするものでは、新品時に設定した接地形状は摩耗の進展と共に変化してしまうので、狙った効果が低下してしまう問題がある。
また、ショルダーリブの巾方向変位を抑制しようとして周方向溝位置をショルダー内側に移動すると、ショルダー部のネガティブが減少してウエット性が悪化するといった問題がある。
請求項2の発明は、請求項1に記載された空気入りタイヤにおいて、前記カーカスコードはタイヤ赤道面に対して略90°を成していることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載された空気入りタイヤにおいて、前記補強層の角度αは、タイヤの踏み込み時と蹴り出し時におけるタイヤ巾方向変位量が相違することとなるときの角度範囲内にあることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載された空気入りタイヤにおいて、前記補強層の角度αは、進行方向後ろ側からみて、前記カーカスコードに対して、進行方向右側が反時計回りに、15°<α<75°、進行方向左側が時計回りに15°<α<75°の範囲にあることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項3に記載された空気入りタイヤにおいて、前記補強層の角度αは、進行方向後ろ側からみて、前記カーカスコードに対して、進行方向右側が時計回りに、15°<α<75°、進行方向左側が反時計回りに15°<α<75°の範囲にあることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載された空気入りタイヤにおいて、前記補強層が有機繊維またはスチールコードの配列から成ることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項4に記載された空気入りタイヤにおいて、前記空気入りタイヤが操舵軸又は非駆動軸用空気入りタイヤであることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項5に記載された空気入りタイヤにおいて、前記空気入りタイヤが駆動軸用空気入りタイヤであることを特徴とする。
本発明は、補強層を備えた空気入りタイヤにおいて、横力作用を受ける或いは駆動力の作用を受ける等の空気入りタイヤの使用条件に合わせて、そのカーカスのコード(赤道面に対して略90°である)に対する補強層のコードが成す角度αを適切に設定し、それによって前記タイヤの偏摩耗を抑制する。
とくに、前記角度αを時計回りで規定した場合と、反時計回りで規定した場合とで、前記タイヤの踏み込み側と蹴り出し側における巾方向変位量が相違、即ち、同一の前記角度αの設定に対して、踏み込み側と蹴り出し側における巾方向変位量が相違することから、この現象を利用して前記角度αと角度設定方向(時計回り又は反時計回り)を規定することで、使用条件に合わせた適切な偏摩耗抑制対策を講じた。また、補強層の両端位置を規定することで偏摩耗抑制機能が正常に働くようにした。
とくに、前記角度αを15〜75°の範囲内とすることにより、走行中のタイヤの巾方向変位量が踏み込み側と蹴り出し側で相違することを利用した効果的な偏摩耗抑制が可能であり、前記角度αをタイヤの左右でそれぞれ時計回り及び反時計回りに規定することにより、タイヤの摩耗に横力の影響が大きい場合或いは駆動力が摩耗に与える駆動力の影響が大きい場合に応じて、それぞれに合わせた偏摩耗抑制効果の高い空気入りタイヤを得ることができる。
また、補強層の両端部位置を適正に規定したことで、ベルト層と補強層との間、或いはベルト層とカーカスプライの折り返し端との間に層間せん断歪が発生して耐久性が悪化したり、或いはタイヤの縦撓み方向の剛性が極端に増大して、前記偏摩耗抑制効果を悪化させることもなく、実用性の高い耐偏摩耗性能を備えた空気入りタイヤを得ることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る重荷重用空気入りタイヤの半分を示した断面図であり、図2はそのトレッドパターンを示す展開図である。
図1において、空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、その両側からタイヤ半径方向内方に延びたサイド部3と、サイド部3のタイヤ半径方向内端に接続するビード部4とから成り、前記トレッド部2からサイド部3を通りビード部4にまで延び、かつ前記ビード部4のビードコア5の周りをタイヤ軸方向内側から外側に向かって折り返したカーカス(プライ)6と、トレッド部2の内部でかつカーカス6の半径方向外側に配置されたベルト層7、及びサイド部3には、カーカス6の外側、即ちそのラジアル方向上側に補強層8とを有している。
つまり、αが15°〜75°の範囲では、蹴り出し側と踏み込み側ではその巾方向変位量が相違することを示している。
その結果、踏み込んだ時にはサイド部がショルダー部を押し下げないので溝の面外変形が抑制されショルダーリブの巾方向センター側への変位が抑制され、逆に蹴り出し時には補強層の配置領域のせん断剛性及び面外曲げ剛性が高くなるので巾方向外向き変位(滑り)を抑制する。また、この構成では、そもそも踏み込み時の巾変形が抑制されているので、その復元挙動である巾方向外向き変位も一層小さいものになる。
この原理から明らかなように、以上の構成になる空気入りタイヤ1を、横力が摩耗に与える影響の大きい操舵軸や従動軸に取り付けたときには、特に偏摩耗抑制の効果を発揮することができる。
この構成は、特に蹴り出し時にトレッドゴムが押し出されることで摩耗するセンター部の摩耗を抑制するのに適している。また、この原理から明らかなように、この構成の空気入りタイヤ1は、駆動力が摩耗に与える影響が大きい駆動軸に用いる場合に特に効果を発揮することができる。
そこで、これを回避するため、補強層8を更に内側に広げてベルト層7とオーバーラップさせると、ベルト層7を構成する部材と補強層8の層間せん断歪みにより亀裂が発生して耐久性が悪化する恐れがある。
使用するタイヤサイズは、295/75R22.5である。
サイド部を補強した補強層8のこの実施例では、前記角度αは進行方向後ろ側からみて、進行方向右側が反時計回りに40°、左側が時計回りに40°に設定されており、補強層を構成する材質は、スチールでその強度と間隔は、コード方向弾性率49KN/mm2、打ち込み数25.4/50mmに設定した。
また、補強層のトレッド側端部から路面へ降ろした垂線と路面との交点は、接地端より外側4mmにあり、ビード側端部は、空気充填時の最大巾からタイヤに沿って10mmの位置に設定した。
実施例2は、実施例1のαを進行方向後ろ側から見て、前記コードに対して、進行方向右側が時計回りに、α=40°、進行方向左側が反時計回りにα=40°に設定したものであり、他の構成は実施例1と同じである。
従来例1は、前記補強層を設置していない点以外は、実施例1、2と同様である。
使用車両:トラクター(操舵1軸+駆動2軸車)+セミトレーラー(従動2軸車)
空気入りタイヤ装着位置:操舵軸、駆動2軸目、従動2軸目
操舵輪荷重:28.01KN: 駆動輪荷重:16.60KN:
従動輪荷重22.30KN
速度:0〜80km/h、 走行距離:100000km
比較評価の結果は、以下表1〜表3に示すとおりである。
この表から明らかなように実施例2の空気入りタイヤは指数が82であるから、従来例よりも耐摩耗性能が良好であることを示している。しかし、実施例1は、耐摩耗性能は113であるから、駆動輪耐摩耗性では従来例に及ばないことを示している。
タイヤサイド部に補強層を設けたものは、例えば、単にサイド部上部を補強したもの(特開平3−25406号公報、特開平4−260802号公報)、装着外側のみを補強したもの(特開平6−199113号公報)、サイド部全域を補強したもの(特開昭56−214976号公報)等、従来から知られているが、以上で説明した本願発明のように、踏み込み〜蹴り出しの変形(変位量)の相違性を生みだし、それを活用して踏面挙動をコントロールしようとしたものはなく、偏摩耗抑制にはむしろ好ましくない設定となっている。
また、特開平6−24214号公報に記載されたサイド上部を補強するものであっても、略周方向を推奨しており、これでは本発明の作用は得られない。況や、タイヤの入力を考慮して偏摩耗改良を狙い、補強層の装着位置や装着方法を組み合わせを考慮したものではない。
Claims (8)
- ベルト層が埋設された複数本の周方向溝を有する環状のトレッドと、トレッドの両側からタイヤ半径方向内側に延びる一対のサイド部と、サイド部のタイヤ半径方向内側に一対のビードコアを備えたビード部と、トレッド部及びサイド部を貫通して延び、両端がビードコア回りに巻き上げられた少なくとも一層のカーカスを備えた空気入りタイヤにおいて、
補強層が前記ベルト層を挟んだ左右側に設けられ、かつ前記サイド部のカーカスコードに対して所定の角度αを有するコード配列を備え、そのタイヤ軸方向内側端は接地端よりタイヤ軸方向外側にあり、前記補強層のタイヤ軸方向外側部はタイヤ最大幅位置又はカーカス折り返し端のいずれかトレッド側に近いものよりトレッド寄りにあり、且つ、前記補強層の角度αはベルト層を挟んだ左右で逆方向であることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 請求項1に記載された空気入りタイヤにおいて、
前記カーカスコードはタイヤ赤道面に対して略90°を成していることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 請求項1又は2に記載された空気入りタイヤにおいて、
前記補強層の角度αは、タイヤの踏み込み時と蹴り出し時におけるタイヤ巾方向変位量が相違することとなるときの角度範囲内にあることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 請求項3に記載された空気入りタイヤにおいて、
前記補強層の角度αは、進行方向後ろ側からみて、前記カーカスコードに対して、進行方向右側が反時計回りに、15°<α<75°、進行方向左側が時計回りに15°<α<75°の範囲にあることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 請求項3に記載された空気入りタイヤにおいて、
前記補強層の角度αは、進行方向後ろ側からみて、前記カーカスコードに対して、進行方向右側が時計回りに、15°<α<75°、進行方向左側が反時計回りに15°<α<75°の範囲にあることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載された空気入りタイヤにおいて、
前記補強層が有機繊維またはスチールコードの配列から成ることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 請求項4に記載された空気入りタイヤにおいて、
前記空気入りタイヤが操舵軸又は非駆動軸用空気入りタイヤであることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 請求項5に記載された空気入りタイヤにおいて、
前記空気入りタイヤが駆動軸用空気入りタイヤであることを特徴とする空気入りタイヤ。
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