JP2004268735A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】高速耐久性及びサイドウォール部の耐カット性を向上しながら、操縦安定性を同時に改善する空気入りラジアルタイヤの提供。
【解決手段】カーカス層5の外側に、補強コード11をほぼ平行に配列した補強プライからなるサイド補強層10を配した空気入りラジアルタイヤ1において、前記サイド補強層10が、前記サイドウォール部3からタイヤ径方向外側に連続して延び前記ベルト層端部7aの外面側を覆って配設され、前記補強コード11がタイヤ左右両側で同一方向に傾斜し配置されている。
【選択図】 図2
【解決手段】カーカス層5の外側に、補強コード11をほぼ平行に配列した補強プライからなるサイド補強層10を配した空気入りラジアルタイヤ1において、前記サイド補強層10が、前記サイドウォール部3からタイヤ径方向外側に連続して延び前記ベルト層端部7aの外面側を覆って配設され、前記補強コード11がタイヤ左右両側で同一方向に傾斜し配置されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速耐久性及びサイドウォール部の耐カット性と操縦安定性を向上する空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乗用車用の空気入りラジアルタイヤは、タイヤ周方向に対しほぼ90°の角度でコード配列された1枚以上の有機繊維コードからなるカーカスプライを左右一対のビードコアの周りで折り返し係止したカーカス層と、このカーカス層の径方向外側のトレッド部に配置した少なくとも2層の主にスチールコードからなる交差ベルト層を有するタイヤが一般的である。また、トレッドに方向性パターンを採用し、タイヤの回転方向が指定され高速での操縦安定性の向上を図るタイヤが多くなっている。
【0003】
空気入りラジアルタイヤの高速耐久性を向上するものとして、トレッド部のべルト層両端部にタイヤ周方向に対する角度がほぼ0°になるように有機繊維コードを配し、高速走行時におけるベルト層のせり上がり現象やベルトコード端部からのセパレーションの発生を抑制するもの(例えば、特許文献1。)、また、上記ベルト補強層をサイド部にわたって配し操縦安定性を同時に向上するタイヤが提案されている(例えば、特許文献2。)。
【0004】
また、操縦安定性を改善するものとして、有機繊維コードを含む補強層をタイヤショルダー部〜サイド部に配設したタイヤが開示されている(例えば、特許文献3〜4参照。)。
【0005】
また、回転方向指定型の空気入りタイヤにおいて、制動時と駆動時との前後剛性を変えるため、ビード部間のカーカス層を構成する複数のコードが、タイヤの左右両側で、タイヤ半径方向に対し回転先着側に傾斜して配置されたタイヤが提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−24208号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2003−2015号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平4−278810号公報
【0009】
【特許文献4】
特開平6−255320号公報
【0010】
【特許文献5】
特開2002−67615号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1に記載のタイヤ(例えば、図5参照)は、高速耐久性や低転がり抵抗性を向上することはできるが、操縦安定性や耐カット性の改善は望めず、特許文献2〜4に記載のタイヤ(例えば、図6参照)は、操縦安定性の改善、耐サイドカット性の向上に対する効果はあるが、補強層がサイド部からベルト層端の内側に設けられているため、ベルト層の拘束力が作用せず高速耐久性の向上は大きく望めない。
【0012】
また、特許文献5に記載のタイヤは、タイヤの骨格となるカーカスコードがタイヤ半径方向に対して傾斜して配置されタイヤの異方向性を得るもので、耐カット性の向上は期待できない。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高速耐久性及びサイドウォール部の耐カット性を向上しながら、操縦安定性を改善することのできる空気入りラジアルタイヤを提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トレッド部、サイドウォール部及びビード部を有し、タイヤ周方向に対しほぼ90°の角度でコード配列された少なくとも1枚のカーカスプライを左右一対のビードコアの周りで内側から外側に折り返し係止したカーカス層と、前記カーカス層の径方向外側の前記トレッド部に配置した少なくとも2層の交差するベルト層とを有し、前記カーカス層の外側に、補強コードをほぼ平行に配列した補強プライからなるサイド補強層を配した空気入りラジアルタイヤにおいて、前記サイド補強層が、前記サイドウォール部からタイヤ径方向外側に連続して延び前記ベルト層端部の外面側を覆って配設され、前記補強コードがタイヤ左右両側で同一方向に傾斜し配置されていることを特徴とする空気入りラジアルタイヤである。
【0015】
この発明の空気入りラジアルタイヤによれば、サイドウォール部から連続してベルト層端部の外面側に設けられたサイド補強層が、ベルト層端部を締め付けて高速走行時の遠心力によるベルト層のせり上がり現象を抑え、またベルトコード端部の接着破壊によるベルトコード端からのセパレーションを防止して高速耐久性を向上し、かつ、サイドウォール部の強度、剛性を高めショルダー部を含むサイドウォール部の耐カット性を同時に向上する。
【0016】
また、補強コードの傾斜方向がタイヤの左右両側で同一方向であるので、コーナリング、レーンチェンジ時などのタイヤ片側に多くの負荷がかかる時に、タイヤにねじれ応力が発生するのを抑え操縦安定性を維持することができる。
【0017】
さらに、補強コードをサイド部からベルト端部まで配置し、ショルダー部でタイヤ回転方向に向かって傾斜させることで、走行時のサイド剛性に方向性を持たせることができ、すなわち、走行時の入力を小さくすることで負荷変動を抑えて操縦安定性を向上することができる。
【0018】
前記サイド補強層が、前記カーカス層の折り返し係止部の外面側を覆ってタイヤ径方向外側に連続して延びベルト層端部の外面側を覆って配設されることで、カーカス層の折り返し係止端を拘束し繰り返し変形による係止端部からのセパレーションを防ぎビード部の耐久性を向上することができる。また、ビード部剛性を向上するためにカーカスの折り返し高さを高くしたサイドウォール部の構造が不要となってタイヤ成型性を改善することもできる。
【0019】
前記補強コードの傾斜角度が、タイヤ周方向に対し40〜70°であると、左右両側サイドウォール部の径方向と周方向剛性をバランスさせ操縦安定性や乗り心地を向上すると共に、高速耐久性及び耐サイドカット性を確保することができる。
【0020】
さらに、前記補強コードが、ナイロン繊維コードであると、サイド補強層の強度や耐熱性、ゴムとの接着性を確保した耐久性の良いタイヤを安価に提供することができる。
【0021】
前記補強コードが、サイド部からベルト端部に延び、ショルダー部でタイヤ回転方向に向かって傾斜し配置されることで、上記タイヤ性能を備えた回転方向指定型の空気入りラジアルタイヤを容易に得ることができるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明の第1の実施形態を示す空気入りラジアルタイヤ(以下、タイヤという)1のタイヤ横半断面図、図2はそのタイヤ内部構成の要部を示す側面図である。
【0024】
図1に示すように、タイヤ1はトレッド部2、サイドウォール部3とビード部4とから構成され、タイヤ周方向に対しほぼ90゜の角度でコード配列され左右一対のビードコア41で内側から外側に折り返してビードフィラー42を挟んで係止された1枚のカーカスプライからなるカーカス層5と、このカーカス層5の径方向外側とトレッドゴム6の間に配された互いに交差する2枚のスチールコード層からなるベルト層7を備え、トレッド部1の外周部にはトレッドパターン21が形成されている。
【0025】
前記カーカス層5は、例えばポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどの有機繊維コードを平行に配列しゴム被覆したカーカスプライから構成され、またベルト層7はタイヤ周方向に対して小角度(例えば、10〜35°)で交差するように積層した2枚のスチールコード層からなり、前記カーカス層5を締め付けトレッド部1の剛性を高めている。
【0026】
タイヤ1のカーカス層5外側には、サイドウォール部3のタイヤ最大幅部3a近傍からカーカス層5の外面側を覆いタイヤ径方向外側に連続して延びベルト層端部7aの外面側を覆って配されたサイド補強層10が配設されている。
【0027】
このサイド補強層10は、補強コード11を平行に引き揃えてゴム被覆したゴム層からなる1層の補強プライからなり、その補強コード11がサイドウォール部3からベルト層7にかけてタイヤ周方向に対して40〜70°の傾斜角度で、補強コード11の傾斜方向がタイヤ左右両側で同一方向になるように配設されている。
【0028】
このタイヤ1では、サイド補強層10がベルト層端部7aの外面側を覆ってベルト層7を締め付けるので、サイド補強層10はベルト層7のタガ効果を補強すると共にベルト層7を拘束し、高速走行時の遠心力によるベルト層7のせり上がり現象を抑え、またベルト層端部7aのスチールコードカット端からの接着破壊とその拡大の抑え、トレッド部2やショルダー部3bのセパレーションを防ぎタイヤの耐久性を向上する。
【0029】
サイド補強層10は、サイドウォール部3の強度、剛性を高めショルダー部3bを含むサイドウォール部3の外傷に対する耐カット性を向上し、また、サイドウォール3の剛性が高まることで、タイヤ回転の負荷入力の変動を緩和し操縦安定性を向上することができる。
【0030】
サイド補強層10は、補強コード11がタイヤ周方向に対し40〜70°の傾斜角度で配されているので、サイドウォール部3での径方向と周方向との剛性を適度に高めることができ、その結果タイヤの縦剛性と横剛性がバランスよく改善され、操縦安定性の向上を実現することができる。
【0031】
サイド補強層10内に配列された補強コード11は、そのコード方向がタイヤ左右両側で同方向に傾斜し配設されている。これによりタイヤの回転に伴う負荷変動をタイヤ左右のサイドウォール部3でほぼ均等に負担するようになり、操縦安定性を改善し、コーナリングやレーンチェンジ時においてもタイヤにかかる負荷の偏りから生じるねじれ応力を抑え、上記操縦安定性を維持することができる。
【0032】
また、サイド補強層10の補強コード11がサイド部3からベルト端部7aに延び、ショルダー部3bでタイヤ回転方向に向かって傾斜することで、すなわちタイヤ1を車両に装着する際にタイヤの回転方向を指定し装着することでサイドウォール部3に方向性を持たせることができ、走行時の補強コード11の方向とタイヤにかかる外力との関係から走行時に生じる剪断力に対し補強コード11にかかる入力を小さくし、サイドウォール部3の負荷変動を抑えて操縦安定性を向上することができ、特に路面と直接に接触状態にある乾燥路面での操縦安定性向上に効果が大きい。
【0033】
この場合は、タイヤ1を車両に装着する際に、図2に示すようにタイヤの回転方向(R)に向かって補強コード11が傾斜するようにタイヤ1を車両に装着すればよい。
【0034】
従って、トレッド部6に方向性パターンを採用する回転方向指定型のタイヤでは、タイヤ製造時に前記サイド補強層10の補強コード11の配置を、ショルダー部3bで回転方向に向かって傾斜するようにタイヤ成型すればよい。
【0035】
また、サイド補強層10のベルト層端部7aを覆う重なり幅は、ベルト層7の一端側においてベルト層7の最大幅に対して5%以上であることが好ましく、重なり幅が5%未満であるとタイヤ加硫工程を経た後の補強層コードの径方向の収縮により締め付け幅が不足し、ベルト層7の拘束効果が十分得難くなり、また逆に重なり幅を広くしすぎてもベルト層7の締め付け効果の向上は得られず不必要なタイヤ重量増と成形効率の低下を招くことになり、その最大幅に対して20%程度が好ましい範囲である。
【0036】
サイド補強層10がサイドウォール部3からベルト層7まで連続して設けられるので、ベルト層端部7aとサイドウォール部3とに別々の補強部材を配置した従来のタイヤに比べサイドウォール部3の耐カット性を向上でき、またタイヤ部材数やタイヤ成型の作業工数をそれほど増大することがない。
【0037】
サイド補強層10内に配列される補強コードの傾斜角度θは、タイヤ周方向(A)に対して40〜70°の範囲にあることが好ましい。この角度θが40°未満であるとサイドウォール部3の周方向の剛性が高くなりすぎてタイヤ縦剛性が得られず操縦安定性の向上が見られず、転がり抵抗やコーナリングフォースのにも影響する。さらに、θが10〜30°付近の低角度になるとベルト層7のコード角度に接近し、ベルト層7に対する拘束性が低下し高速耐久性の向上が得られなくなる。
【0038】
一方、傾斜角度θが70°を超えるとベルト層7のコードとの交差角度が大きくなりベルト層端部7aの締め付け効果が低下し高速耐久性が向上しない。また、補強プライ材の重ね合わせジョイント部においてサイドウォール部3に凹凸が発生しやすくなり、タイヤ外観やユニフォミティーを損ない好ましくない。
【0039】
従って、補強コードの傾斜角度θがタイヤ周方向に対し40〜70°の範囲に配列することでタイヤの縦、横剛性をバランスさせタイヤ特性の偏りを生じることなく操縦安定性等の運動性能と耐久性との両立が可能となる。
【0040】
本発明のタイヤ1の製造は、ベルト補強層10を両サイドウォール部に設けること以外は、通常のタイヤの製法と同じであり、当該製法に準じて製造することができる。例えば、1次成型時のカーカスプライ折り返し後にサイド補強層10を構成する1枚或いは複数枚の補強プライをサイドウォール部3に配置し、そのベルト層側の一端部側を1次成型タイヤに未接合の状態で2次成型を行いベルト層7を配置した後、そのベルト層7上に前記補強プライの未接合部分をコードの傾斜角度が変化しないように貼り付ければよい。但し、2次成型時にタイヤが曲面状に拡張されるので、その拡張率を考慮した補強コードの打ち込み密度と傾斜角度を持つ補強プライを用いる必要がある。
【0041】
また、上記2次成型のタイヤ拡張時に、若干の傾斜角度の変化が補強コード11上に発生することがあるが、サイド補強層10内でのベルト端部のコード傾斜角度がタイヤ周方向に対し40〜70°の範囲にあれば、本発明の目的は達成される。
【0042】
この補強コード11としては、ナイロン6、66などの脂肪族ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル繊維、アラミドなどの芳香族ポリアミド繊維、レーヨン等の有機繊維が挙げられ、また極細スチールフィラメントからなるスチールコード、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維が例示されるが、サイドウォール部3からベルト層7にかけて連続して配設されることから、強度と柔軟性とを併せ持つ糸条(フィラメント)で構成される補強コードが好ましい。
【0043】
中でも、タイヤ加硫成形時の熱収縮性によるベルト層端部の締め付け性及びタイヤ中での高タフネスによる衝撃吸収性、高速走行時の発熱に対する耐熱性、ゴムとの接着性やコストの観点から、脂肪族ポリアミド繊維が好ましく、特にナイロン66が耐熱性の点で好ましい。
【0044】
この補強コードの太さ(繊度)やタイヤショルダー部での補強プライの単位幅当たりの本数は、対象となるタイヤのサイズ、用途に応じて適宜設定することができる。例えば、補強コードがナイロンコードからなる場合、その太さ(繊度)は940dtex/1〜1860dtex/3とし、25mm当たりの打ち込み密度を10〜30本程度とすることが好ましく、より好ましくは940dtex/2〜1400dtex/2であり、その打ち込み密度が18〜25本/25mm程度である。
【0045】
また、サイド補強層10の補強プライ数は、乗り心地やロードノイズを重視するタイヤでは1層にすることが好ましく、操縦安定性を重視するタイヤ或いはラリー用などの悪路走行や外傷耐久性を要するタイヤ、また商用車用や大型の比較的重荷重の条件で使用されるタイヤでは2層以上にすることが好ましく、タイヤのサイズ、用途等に応じて適宜増減することができる。
【0046】
図3及び図4のタイヤ横半断面図、及びそのタイヤ内部構成の要部側面図に示す第2の実施形態のタイヤ1’のように、サイド補強層10が、サイドウォール部3におけるカーカス層5の折り返し係止部5aの外面側を覆ってビード部4の一部からタイヤ径方向外側に連続して延びてベルト層端部7aの外面側を覆って配されたものでもよい。
【0047】
これにより、ビード部4からサイドウォール部3の剛性を高めてカーカス層5折り返し部分の動きを拘束し、カーカスプライの折り返し係止部5aでの接着破壊を抑えてビード部4でのセパレーション故障を防ぎ耐久性を向上すると共に、ビード部4の剛性が高められ操縦安定性の向上にも寄与することができるようになる。
【0048】
また、カーカス層5の折り返し部分によりサイドウォール部3を補強するため、ベルト補強層7の端部近傍まで折り返し部を高くした、いわゆるハイターンアップ構造を不要としタイヤ成形効率を損なうこともない。
【0049】
(実施例)
ナイロン66、940dtex/2、打ち込み密度34本/25mmで平行に引き揃えたすだれ織物(高伸度糸のよこ糸使用)のゴム被覆反を補強プライとして1枚用い、1次成型後タイヤの両ショルダー部において表1及び表2に記載の所定角度で、コード傾斜方向がタイヤ中で左右同一になるように配置し、2次成型でベルト層上に補強プライの一端側をコード傾斜角度が変化しないように貼り付け、表1及び表2の各実施例、比較例のタイヤサイズが195/55R14 82Vである試験タイヤを製造した。表中のエンド数とは、タイヤ中でのショルダー部における補強コードの配列密度(本/25mm)である。
【0050】
補強コードの傾斜角度は、タイヤのショルダー部からサイド部の表面のゴム層をナイフで剥がし補強コードを露出させ、ベルト端位置にてタイヤ周方向に向かって接線(A)を引き、周方向に対する補強コードの交差角度を測定した。
【0051】
各試験タイヤについて、高速耐久性、耐サイドカット性、操縦安定性、サイドウォール部凹凸について、下記試験方法に従い評価し、結果を表1、表2に示す。ここで、試験タイヤの回転方向はショルダー部における補強コードの傾斜方向と同一方向とした。
【0052】
なお、カーカス層はポリエステル1670dtex/2コードの打ち込み密度23本/25mmの1プライ、ベルト層はスチールコード2+2×0.25の打ち込み密度21本/25mmの2プライ交差層とし、各試験タイヤにおいて共通の構成とした。
【0053】
(試験方法)
高速耐久性:各試験タイヤを標準リムに空気圧300kPaで装着し、これをドラム径1700mmの回転ドラムに346Kg/タイヤの荷重を負荷した状態で速度200Km/時間から開始して10分毎に10Km/時間ずつ速度アップしてタイヤが破壊した時の速度(Km/時間)及びその速度での走行時間(分)を測定した。
【0054】
耐サイドカット性(プランジャー試験):各試験タイヤを標準リムに空気圧190kPaで装着し、直径32mm、先端部半球状、重量30Kgの鋼製ロッドをサイドウォール部に対して垂直に高さ300mmから落下させ、サイドウォール部のコード切れ本数を測定した。コード切れ本数が少ないほど良い。
【0055】
操縦安定性:各試験タイヤを標準リムに組み付け、空気圧を190kPaとして乗用車に装着し、3名のテストドライバーによってアスファルト乾燥路面における直進走行性、レーンチェンジ性、ハンドリング性等の運転操作の安定性をフィーリングにより10点満点で評価した。なお、レーンチェンジ走行安定性の試験方法はJASO C−707、ハンドリングはJASO C−708に準じた。点数が高いほど良い。
【0056】
サイドウォール凹凸:各試験タイヤを標準リムに空気圧300kPaで装着し、タイヤ最大幅付近のサイドウォール部の1周上を歪み計を用いて凹凸の波形を測定し、隣り合う凹凸部の差の最大値(mm)をサイドウォール凹凸値とした。値が小さいほど外観性が良い。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1に示す結果から明らかなように、実施例はいずれもの場合も、高速耐久性、耐サイドカット性が十分であり、耐久性能と操縦安定性が同時に向上し外観性も良好であることが分かる。
【0060】
補強コードの傾斜角度の小さい比較例1はベルト層の拘束効果が不足し高速耐久性が2ランク劣り、傾斜角度の大きすぎる比較例2は高速耐久性が1ランク劣り、操縦安定性もやや低下し、サイドウォール部の凹凸が大きく発生し外観性が悪く商品価値も低下する。また、タイヤ左右の補強コードの傾斜方向が異なる比較例3は、操縦安定性の向上が得られない。ベルト端部のみを補強する従来例1は高速耐久性は十分であるが、操縦安定性の向上が得られず、サイドウォール部のみを補強する従来例2では高速耐久性が不充分である。
【0061】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、タイヤの成型効率を損なうことなく、高速耐久性及びサイドウォール部の外傷カットに対する耐久性能を向上しながら、操縦安定性を同時に向上する空気入りラジアルタイヤが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のタイヤ横断面図である。
【図2】第1の実施形態のタイヤ内部構成の要部を示す側面図である。
【図3】第2の実施形態のタイヤ横断面図である。
【図4】第2の実施形態のタイヤ内部構成の要部を示す側面図である。
【図5】従来例のタイヤ横断面図である。
【図6】他の従来例のタイヤ横断面図である。
【符号の説明】
1……空気入りラジアルタイヤ
2……トレッド部
3……サイドウォール部
4……ビード部
5……カーカス層
6……トレッド部
7……ベルト層
7a……ベルト層端部
10……サイド補強層
11……補強コード
θ……傾斜角度
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速耐久性及びサイドウォール部の耐カット性と操縦安定性を向上する空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乗用車用の空気入りラジアルタイヤは、タイヤ周方向に対しほぼ90°の角度でコード配列された1枚以上の有機繊維コードからなるカーカスプライを左右一対のビードコアの周りで折り返し係止したカーカス層と、このカーカス層の径方向外側のトレッド部に配置した少なくとも2層の主にスチールコードからなる交差ベルト層を有するタイヤが一般的である。また、トレッドに方向性パターンを採用し、タイヤの回転方向が指定され高速での操縦安定性の向上を図るタイヤが多くなっている。
【0003】
空気入りラジアルタイヤの高速耐久性を向上するものとして、トレッド部のべルト層両端部にタイヤ周方向に対する角度がほぼ0°になるように有機繊維コードを配し、高速走行時におけるベルト層のせり上がり現象やベルトコード端部からのセパレーションの発生を抑制するもの(例えば、特許文献1。)、また、上記ベルト補強層をサイド部にわたって配し操縦安定性を同時に向上するタイヤが提案されている(例えば、特許文献2。)。
【0004】
また、操縦安定性を改善するものとして、有機繊維コードを含む補強層をタイヤショルダー部〜サイド部に配設したタイヤが開示されている(例えば、特許文献3〜4参照。)。
【0005】
また、回転方向指定型の空気入りタイヤにおいて、制動時と駆動時との前後剛性を変えるため、ビード部間のカーカス層を構成する複数のコードが、タイヤの左右両側で、タイヤ半径方向に対し回転先着側に傾斜して配置されたタイヤが提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−24208号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2003−2015号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平4−278810号公報
【0009】
【特許文献4】
特開平6−255320号公報
【0010】
【特許文献5】
特開2002−67615号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1に記載のタイヤ(例えば、図5参照)は、高速耐久性や低転がり抵抗性を向上することはできるが、操縦安定性や耐カット性の改善は望めず、特許文献2〜4に記載のタイヤ(例えば、図6参照)は、操縦安定性の改善、耐サイドカット性の向上に対する効果はあるが、補強層がサイド部からベルト層端の内側に設けられているため、ベルト層の拘束力が作用せず高速耐久性の向上は大きく望めない。
【0012】
また、特許文献5に記載のタイヤは、タイヤの骨格となるカーカスコードがタイヤ半径方向に対して傾斜して配置されタイヤの異方向性を得るもので、耐カット性の向上は期待できない。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高速耐久性及びサイドウォール部の耐カット性を向上しながら、操縦安定性を改善することのできる空気入りラジアルタイヤを提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トレッド部、サイドウォール部及びビード部を有し、タイヤ周方向に対しほぼ90°の角度でコード配列された少なくとも1枚のカーカスプライを左右一対のビードコアの周りで内側から外側に折り返し係止したカーカス層と、前記カーカス層の径方向外側の前記トレッド部に配置した少なくとも2層の交差するベルト層とを有し、前記カーカス層の外側に、補強コードをほぼ平行に配列した補強プライからなるサイド補強層を配した空気入りラジアルタイヤにおいて、前記サイド補強層が、前記サイドウォール部からタイヤ径方向外側に連続して延び前記ベルト層端部の外面側を覆って配設され、前記補強コードがタイヤ左右両側で同一方向に傾斜し配置されていることを特徴とする空気入りラジアルタイヤである。
【0015】
この発明の空気入りラジアルタイヤによれば、サイドウォール部から連続してベルト層端部の外面側に設けられたサイド補強層が、ベルト層端部を締め付けて高速走行時の遠心力によるベルト層のせり上がり現象を抑え、またベルトコード端部の接着破壊によるベルトコード端からのセパレーションを防止して高速耐久性を向上し、かつ、サイドウォール部の強度、剛性を高めショルダー部を含むサイドウォール部の耐カット性を同時に向上する。
【0016】
また、補強コードの傾斜方向がタイヤの左右両側で同一方向であるので、コーナリング、レーンチェンジ時などのタイヤ片側に多くの負荷がかかる時に、タイヤにねじれ応力が発生するのを抑え操縦安定性を維持することができる。
【0017】
さらに、補強コードをサイド部からベルト端部まで配置し、ショルダー部でタイヤ回転方向に向かって傾斜させることで、走行時のサイド剛性に方向性を持たせることができ、すなわち、走行時の入力を小さくすることで負荷変動を抑えて操縦安定性を向上することができる。
【0018】
前記サイド補強層が、前記カーカス層の折り返し係止部の外面側を覆ってタイヤ径方向外側に連続して延びベルト層端部の外面側を覆って配設されることで、カーカス層の折り返し係止端を拘束し繰り返し変形による係止端部からのセパレーションを防ぎビード部の耐久性を向上することができる。また、ビード部剛性を向上するためにカーカスの折り返し高さを高くしたサイドウォール部の構造が不要となってタイヤ成型性を改善することもできる。
【0019】
前記補強コードの傾斜角度が、タイヤ周方向に対し40〜70°であると、左右両側サイドウォール部の径方向と周方向剛性をバランスさせ操縦安定性や乗り心地を向上すると共に、高速耐久性及び耐サイドカット性を確保することができる。
【0020】
さらに、前記補強コードが、ナイロン繊維コードであると、サイド補強層の強度や耐熱性、ゴムとの接着性を確保した耐久性の良いタイヤを安価に提供することができる。
【0021】
前記補強コードが、サイド部からベルト端部に延び、ショルダー部でタイヤ回転方向に向かって傾斜し配置されることで、上記タイヤ性能を備えた回転方向指定型の空気入りラジアルタイヤを容易に得ることができるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明の第1の実施形態を示す空気入りラジアルタイヤ(以下、タイヤという)1のタイヤ横半断面図、図2はそのタイヤ内部構成の要部を示す側面図である。
【0024】
図1に示すように、タイヤ1はトレッド部2、サイドウォール部3とビード部4とから構成され、タイヤ周方向に対しほぼ90゜の角度でコード配列され左右一対のビードコア41で内側から外側に折り返してビードフィラー42を挟んで係止された1枚のカーカスプライからなるカーカス層5と、このカーカス層5の径方向外側とトレッドゴム6の間に配された互いに交差する2枚のスチールコード層からなるベルト層7を備え、トレッド部1の外周部にはトレッドパターン21が形成されている。
【0025】
前記カーカス層5は、例えばポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどの有機繊維コードを平行に配列しゴム被覆したカーカスプライから構成され、またベルト層7はタイヤ周方向に対して小角度(例えば、10〜35°)で交差するように積層した2枚のスチールコード層からなり、前記カーカス層5を締め付けトレッド部1の剛性を高めている。
【0026】
タイヤ1のカーカス層5外側には、サイドウォール部3のタイヤ最大幅部3a近傍からカーカス層5の外面側を覆いタイヤ径方向外側に連続して延びベルト層端部7aの外面側を覆って配されたサイド補強層10が配設されている。
【0027】
このサイド補強層10は、補強コード11を平行に引き揃えてゴム被覆したゴム層からなる1層の補強プライからなり、その補強コード11がサイドウォール部3からベルト層7にかけてタイヤ周方向に対して40〜70°の傾斜角度で、補強コード11の傾斜方向がタイヤ左右両側で同一方向になるように配設されている。
【0028】
このタイヤ1では、サイド補強層10がベルト層端部7aの外面側を覆ってベルト層7を締め付けるので、サイド補強層10はベルト層7のタガ効果を補強すると共にベルト層7を拘束し、高速走行時の遠心力によるベルト層7のせり上がり現象を抑え、またベルト層端部7aのスチールコードカット端からの接着破壊とその拡大の抑え、トレッド部2やショルダー部3bのセパレーションを防ぎタイヤの耐久性を向上する。
【0029】
サイド補強層10は、サイドウォール部3の強度、剛性を高めショルダー部3bを含むサイドウォール部3の外傷に対する耐カット性を向上し、また、サイドウォール3の剛性が高まることで、タイヤ回転の負荷入力の変動を緩和し操縦安定性を向上することができる。
【0030】
サイド補強層10は、補強コード11がタイヤ周方向に対し40〜70°の傾斜角度で配されているので、サイドウォール部3での径方向と周方向との剛性を適度に高めることができ、その結果タイヤの縦剛性と横剛性がバランスよく改善され、操縦安定性の向上を実現することができる。
【0031】
サイド補強層10内に配列された補強コード11は、そのコード方向がタイヤ左右両側で同方向に傾斜し配設されている。これによりタイヤの回転に伴う負荷変動をタイヤ左右のサイドウォール部3でほぼ均等に負担するようになり、操縦安定性を改善し、コーナリングやレーンチェンジ時においてもタイヤにかかる負荷の偏りから生じるねじれ応力を抑え、上記操縦安定性を維持することができる。
【0032】
また、サイド補強層10の補強コード11がサイド部3からベルト端部7aに延び、ショルダー部3bでタイヤ回転方向に向かって傾斜することで、すなわちタイヤ1を車両に装着する際にタイヤの回転方向を指定し装着することでサイドウォール部3に方向性を持たせることができ、走行時の補強コード11の方向とタイヤにかかる外力との関係から走行時に生じる剪断力に対し補強コード11にかかる入力を小さくし、サイドウォール部3の負荷変動を抑えて操縦安定性を向上することができ、特に路面と直接に接触状態にある乾燥路面での操縦安定性向上に効果が大きい。
【0033】
この場合は、タイヤ1を車両に装着する際に、図2に示すようにタイヤの回転方向(R)に向かって補強コード11が傾斜するようにタイヤ1を車両に装着すればよい。
【0034】
従って、トレッド部6に方向性パターンを採用する回転方向指定型のタイヤでは、タイヤ製造時に前記サイド補強層10の補強コード11の配置を、ショルダー部3bで回転方向に向かって傾斜するようにタイヤ成型すればよい。
【0035】
また、サイド補強層10のベルト層端部7aを覆う重なり幅は、ベルト層7の一端側においてベルト層7の最大幅に対して5%以上であることが好ましく、重なり幅が5%未満であるとタイヤ加硫工程を経た後の補強層コードの径方向の収縮により締め付け幅が不足し、ベルト層7の拘束効果が十分得難くなり、また逆に重なり幅を広くしすぎてもベルト層7の締め付け効果の向上は得られず不必要なタイヤ重量増と成形効率の低下を招くことになり、その最大幅に対して20%程度が好ましい範囲である。
【0036】
サイド補強層10がサイドウォール部3からベルト層7まで連続して設けられるので、ベルト層端部7aとサイドウォール部3とに別々の補強部材を配置した従来のタイヤに比べサイドウォール部3の耐カット性を向上でき、またタイヤ部材数やタイヤ成型の作業工数をそれほど増大することがない。
【0037】
サイド補強層10内に配列される補強コードの傾斜角度θは、タイヤ周方向(A)に対して40〜70°の範囲にあることが好ましい。この角度θが40°未満であるとサイドウォール部3の周方向の剛性が高くなりすぎてタイヤ縦剛性が得られず操縦安定性の向上が見られず、転がり抵抗やコーナリングフォースのにも影響する。さらに、θが10〜30°付近の低角度になるとベルト層7のコード角度に接近し、ベルト層7に対する拘束性が低下し高速耐久性の向上が得られなくなる。
【0038】
一方、傾斜角度θが70°を超えるとベルト層7のコードとの交差角度が大きくなりベルト層端部7aの締め付け効果が低下し高速耐久性が向上しない。また、補強プライ材の重ね合わせジョイント部においてサイドウォール部3に凹凸が発生しやすくなり、タイヤ外観やユニフォミティーを損ない好ましくない。
【0039】
従って、補強コードの傾斜角度θがタイヤ周方向に対し40〜70°の範囲に配列することでタイヤの縦、横剛性をバランスさせタイヤ特性の偏りを生じることなく操縦安定性等の運動性能と耐久性との両立が可能となる。
【0040】
本発明のタイヤ1の製造は、ベルト補強層10を両サイドウォール部に設けること以外は、通常のタイヤの製法と同じであり、当該製法に準じて製造することができる。例えば、1次成型時のカーカスプライ折り返し後にサイド補強層10を構成する1枚或いは複数枚の補強プライをサイドウォール部3に配置し、そのベルト層側の一端部側を1次成型タイヤに未接合の状態で2次成型を行いベルト層7を配置した後、そのベルト層7上に前記補強プライの未接合部分をコードの傾斜角度が変化しないように貼り付ければよい。但し、2次成型時にタイヤが曲面状に拡張されるので、その拡張率を考慮した補強コードの打ち込み密度と傾斜角度を持つ補強プライを用いる必要がある。
【0041】
また、上記2次成型のタイヤ拡張時に、若干の傾斜角度の変化が補強コード11上に発生することがあるが、サイド補強層10内でのベルト端部のコード傾斜角度がタイヤ周方向に対し40〜70°の範囲にあれば、本発明の目的は達成される。
【0042】
この補強コード11としては、ナイロン6、66などの脂肪族ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル繊維、アラミドなどの芳香族ポリアミド繊維、レーヨン等の有機繊維が挙げられ、また極細スチールフィラメントからなるスチールコード、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維が例示されるが、サイドウォール部3からベルト層7にかけて連続して配設されることから、強度と柔軟性とを併せ持つ糸条(フィラメント)で構成される補強コードが好ましい。
【0043】
中でも、タイヤ加硫成形時の熱収縮性によるベルト層端部の締め付け性及びタイヤ中での高タフネスによる衝撃吸収性、高速走行時の発熱に対する耐熱性、ゴムとの接着性やコストの観点から、脂肪族ポリアミド繊維が好ましく、特にナイロン66が耐熱性の点で好ましい。
【0044】
この補強コードの太さ(繊度)やタイヤショルダー部での補強プライの単位幅当たりの本数は、対象となるタイヤのサイズ、用途に応じて適宜設定することができる。例えば、補強コードがナイロンコードからなる場合、その太さ(繊度)は940dtex/1〜1860dtex/3とし、25mm当たりの打ち込み密度を10〜30本程度とすることが好ましく、より好ましくは940dtex/2〜1400dtex/2であり、その打ち込み密度が18〜25本/25mm程度である。
【0045】
また、サイド補強層10の補強プライ数は、乗り心地やロードノイズを重視するタイヤでは1層にすることが好ましく、操縦安定性を重視するタイヤ或いはラリー用などの悪路走行や外傷耐久性を要するタイヤ、また商用車用や大型の比較的重荷重の条件で使用されるタイヤでは2層以上にすることが好ましく、タイヤのサイズ、用途等に応じて適宜増減することができる。
【0046】
図3及び図4のタイヤ横半断面図、及びそのタイヤ内部構成の要部側面図に示す第2の実施形態のタイヤ1’のように、サイド補強層10が、サイドウォール部3におけるカーカス層5の折り返し係止部5aの外面側を覆ってビード部4の一部からタイヤ径方向外側に連続して延びてベルト層端部7aの外面側を覆って配されたものでもよい。
【0047】
これにより、ビード部4からサイドウォール部3の剛性を高めてカーカス層5折り返し部分の動きを拘束し、カーカスプライの折り返し係止部5aでの接着破壊を抑えてビード部4でのセパレーション故障を防ぎ耐久性を向上すると共に、ビード部4の剛性が高められ操縦安定性の向上にも寄与することができるようになる。
【0048】
また、カーカス層5の折り返し部分によりサイドウォール部3を補強するため、ベルト補強層7の端部近傍まで折り返し部を高くした、いわゆるハイターンアップ構造を不要としタイヤ成形効率を損なうこともない。
【0049】
(実施例)
ナイロン66、940dtex/2、打ち込み密度34本/25mmで平行に引き揃えたすだれ織物(高伸度糸のよこ糸使用)のゴム被覆反を補強プライとして1枚用い、1次成型後タイヤの両ショルダー部において表1及び表2に記載の所定角度で、コード傾斜方向がタイヤ中で左右同一になるように配置し、2次成型でベルト層上に補強プライの一端側をコード傾斜角度が変化しないように貼り付け、表1及び表2の各実施例、比較例のタイヤサイズが195/55R14 82Vである試験タイヤを製造した。表中のエンド数とは、タイヤ中でのショルダー部における補強コードの配列密度(本/25mm)である。
【0050】
補強コードの傾斜角度は、タイヤのショルダー部からサイド部の表面のゴム層をナイフで剥がし補強コードを露出させ、ベルト端位置にてタイヤ周方向に向かって接線(A)を引き、周方向に対する補強コードの交差角度を測定した。
【0051】
各試験タイヤについて、高速耐久性、耐サイドカット性、操縦安定性、サイドウォール部凹凸について、下記試験方法に従い評価し、結果を表1、表2に示す。ここで、試験タイヤの回転方向はショルダー部における補強コードの傾斜方向と同一方向とした。
【0052】
なお、カーカス層はポリエステル1670dtex/2コードの打ち込み密度23本/25mmの1プライ、ベルト層はスチールコード2+2×0.25の打ち込み密度21本/25mmの2プライ交差層とし、各試験タイヤにおいて共通の構成とした。
【0053】
(試験方法)
高速耐久性:各試験タイヤを標準リムに空気圧300kPaで装着し、これをドラム径1700mmの回転ドラムに346Kg/タイヤの荷重を負荷した状態で速度200Km/時間から開始して10分毎に10Km/時間ずつ速度アップしてタイヤが破壊した時の速度(Km/時間)及びその速度での走行時間(分)を測定した。
【0054】
耐サイドカット性(プランジャー試験):各試験タイヤを標準リムに空気圧190kPaで装着し、直径32mm、先端部半球状、重量30Kgの鋼製ロッドをサイドウォール部に対して垂直に高さ300mmから落下させ、サイドウォール部のコード切れ本数を測定した。コード切れ本数が少ないほど良い。
【0055】
操縦安定性:各試験タイヤを標準リムに組み付け、空気圧を190kPaとして乗用車に装着し、3名のテストドライバーによってアスファルト乾燥路面における直進走行性、レーンチェンジ性、ハンドリング性等の運転操作の安定性をフィーリングにより10点満点で評価した。なお、レーンチェンジ走行安定性の試験方法はJASO C−707、ハンドリングはJASO C−708に準じた。点数が高いほど良い。
【0056】
サイドウォール凹凸:各試験タイヤを標準リムに空気圧300kPaで装着し、タイヤ最大幅付近のサイドウォール部の1周上を歪み計を用いて凹凸の波形を測定し、隣り合う凹凸部の差の最大値(mm)をサイドウォール凹凸値とした。値が小さいほど外観性が良い。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1に示す結果から明らかなように、実施例はいずれもの場合も、高速耐久性、耐サイドカット性が十分であり、耐久性能と操縦安定性が同時に向上し外観性も良好であることが分かる。
【0060】
補強コードの傾斜角度の小さい比較例1はベルト層の拘束効果が不足し高速耐久性が2ランク劣り、傾斜角度の大きすぎる比較例2は高速耐久性が1ランク劣り、操縦安定性もやや低下し、サイドウォール部の凹凸が大きく発生し外観性が悪く商品価値も低下する。また、タイヤ左右の補強コードの傾斜方向が異なる比較例3は、操縦安定性の向上が得られない。ベルト端部のみを補強する従来例1は高速耐久性は十分であるが、操縦安定性の向上が得られず、サイドウォール部のみを補強する従来例2では高速耐久性が不充分である。
【0061】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、タイヤの成型効率を損なうことなく、高速耐久性及びサイドウォール部の外傷カットに対する耐久性能を向上しながら、操縦安定性を同時に向上する空気入りラジアルタイヤが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のタイヤ横断面図である。
【図2】第1の実施形態のタイヤ内部構成の要部を示す側面図である。
【図3】第2の実施形態のタイヤ横断面図である。
【図4】第2の実施形態のタイヤ内部構成の要部を示す側面図である。
【図5】従来例のタイヤ横断面図である。
【図6】他の従来例のタイヤ横断面図である。
【符号の説明】
1……空気入りラジアルタイヤ
2……トレッド部
3……サイドウォール部
4……ビード部
5……カーカス層
6……トレッド部
7……ベルト層
7a……ベルト層端部
10……サイド補強層
11……補強コード
θ……傾斜角度
Claims (5)
- トレッド部、サイドウォール部及びビード部を有し、
タイヤ周方向に対しほぼ90°の角度でコード配列された少なくとも1枚のカーカスプライを左右一対のビードコアの周りで内側から外側に折り返し係止したカーカス層と、前記カーカス層の径方向外側の前記トレッド部に配置した少なくとも2層の交差するベルト層とを有し、
前記カーカス層の外側に、補強コードをほぼ平行に配列した補強プライからなるサイド補強層を配した空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記サイド補強層が、前記サイドウォール部からタイヤ径方向外側に連続して延び前記ベルト層端部の外面側を覆って配設され、
前記補強コードがタイヤ左右両側で同一方向に傾斜し配置されている
ことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。 - 前記サイド補強層が、前記カーカス層の折り返し係止部の外面側を覆ってタイヤ径方向外側に連続して延び前記ベルト層端部の外面側を覆って配設された
ことを特徴とする請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。 - 前記補強コードの傾斜角度が、タイヤ周方向に対し40〜70°である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。 - 前記補強コードが、ナイロン繊維コードである
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。 - 前記補強コードが、サイド部からベルト端部に延び、ショルダー部でタイヤ回転方向に向かって傾斜し配置されている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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2003
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