JP4562824B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質二次電池の構成要素である負極の改良に関する。さらに詳しくは、高エネルギー密度で、かつデンドライトが原因となる電池の内部短絡のない非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムまたはリチウム化合物を負極とする非水電解質二次電池は、高い放電電圧を持ち、高エネルギー密度が期待されるため、多くの研究が行われている。これまで提案された非水電解質二次電池の正極活物質として、LiMn24、LiCoO2、LiNiO2、V25、Cr25、MnO2、TiS2、MoS2などの遷移金属の酸化物およびカルコゲン化合物が知られている。これらの化合物は、層状もしくはトンネル構造を有し、リチウムイオンが出入りできる結晶構造を持っている。
一方、負極活物質としては、金属リチウムが多く検討されてきた。しかしながら、金属リチウムを電池の負極活物質として用いると、充電時に金属リチウムの表面に樹枝状のリチウムが析出するから、充放電効率が低下したり、正極と接して内部短絡を生じたりするという問題を有していた。
このような問題を解決する手段として、リチウムの樹枝状成長を抑制し、リチウムを吸蔵・放出することできるリチウム−アルミニウムなどのリチウム合金を電池の負極に用いる検討がなされている。しかし、このようなリチウム合金を負極活物質として用いた場合、深い充放電を繰り返すと電極材料の微細化が生じ、充放電サイクルの進行とともに、放電容量が低下するという問題があった。
【0003】
そこで、前述のリチウム−アルミニウムなどのリチウム合金に、さらに他の元素を添加したものを電極として用いることで、電極の微細化を抑制する提案がなされている(特開昭62−119856号、特開平4−109562号)。しかしながら、以上の取り組みにもかかわらず、合金系の負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、実用上、要求される特性を得るには至っていない。
そこで、リチウムイオン二次電池用の負極活物質として、上記の合金系に替わり、炭素材料を用いたリチウムイオン二次電池が、現在実用化されている。
炭素材料は、合金系の負極活物質よりも容量は小さいが、リチウムを可逆的に吸蔵・放出することができるため、充放電サイクル性に優れる。また、充電時に負極活物質表面に、樹枝状のリチウムが析出しにくいので、電池の安全性の確保が比較的容易であるという長所を持っている。
【0004】
このような状況で、電池のさらなる高容量化を目的として、負極に酸化物を用いたリチウムイオン二次電池が提案されている。例えば結晶質のSnO、SnO2が、従来のWO2などに比べて高い容量をもつ負極材料として提案されている(特開平7−122274号、特開平7−235293号)。また、SnSiO3あるいはSnSi1-xx3などの非晶質酸化物を負極に用いることでサイクル特性を改善する提案もなされている(特開平7−288123号)。
また、本発明者らは、硝酸、硫酸、硫酸水素、チオシアン酸、シアン、シアン酸、炭酸、炭酸水素、ホウ酸水素、リン酸水素、セレン酸、セレン酸水素、テルル酸、テルル酸水素、タングステン酸、モリブデン酸、チタン酸、クロム酸、ジルコン酸、ニオブ酸、タンタル酸、マンガン酸、バナジン酸の群から選択される少なくとも一つを含む金属塩あるいは半金属塩が、非水二次電池として高い容量を有し、サイクル寿命に優れた負極材料であることを提案している。
【0005】
さらに本発明者らは、Si、Ge、Sn、Pb、Bi、P、B、Ga、In、Al、As、Sb、Zn、Ir、Mg、Ca、Sr、Baから選択される2種以上の元素と酸素、硫黄、セレン、テルルの群から選択される少なくとも1種の元素とを含む結晶質化合物が、高容量でサイクル寿命に優れた負極材料であることも提案している。以上の負極材料を用いると、これまで提案された非水電解質二次電池に比べ、サイクル特性が格段に向上するが確認された。
しかし、携帯用機器のいっそうの高機能化や、電気自動車を始めとする大型電池化の動きが、現在さらに活発化しており、駆動用電源としての電池に対するいっそうの長寿命化の要求が強まっている。このような要望に対して、上記の負極材料は、未だ充分なサイクル特性を得るまでには至ってはいないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような要望に鑑み、さらに高い容量を持ち、充放電に際してもリチウムのデンドライトが発生することなく、かつサイクル寿命が格段に向上した非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、充放電可能な正極、充放電可能な負極、および非水電解質を具備し、前記負極が、負極活物質として、式LiκMXα(Xはフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素、MはSn、Pb、Bi、B、In、Ir、Mg、Ca、Sr、およびBaからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素、0≦κ<10、2<α≦8)で表される化合物を含有する非水電解質二次電池を提供する。
【0008】
記式で表される化合物は非晶質であるのが好ましい。
前記式で表される化合物の一次粒子の平均粒子径は0.01μmから1μmの範囲であるのが好ましい。
【0009】
本発明のより好ましい態様において、負極は、式LiκSnXα(Xは塩素、フッ素、臭素、およびヨウ素からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素、0≦κ<10、<α≦8)で表される化合物を含有する。前記の式において、Xは、臭素およびヨウ素の少なくとも一方であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、非水電解質二次電池に用いる負極活物質を鋭意検討した結果、従来報告されている金属酸化物や金属塩あるいは炭素材料は、電池充放電の際のリチウムの出入りに伴う膨張収縮に対して、構造がもろいのに比べて、上記の特定のハロゲン化合物は、充放電に対して安定であることを見出した。
現在のところ、本発明の負極活物質ハロゲン化合物の、結晶構造的なリチウム収納サイトの詳細は不明である。しかし、このハロゲン化合物は、電池充放電の際、多量のLiが出入りしたときに起こる膨張収縮に対して、安定な理由は、次のように考えられる。
本発明のハロゲン化合物の代表例としてSnXα(X=フッ素、臭素、ヨウ素の群から選ばれる少なくとも一つ、1<α<12)で表される化合物について説明する。この化合物は、αの値によってサイクル特性が異なることがわかった。すなわち、表5に示したとおり、2<α≦8の範囲で極めてサイクル特性に優れる。
【0011】
これの理由については以下のように推定される。
SnFαを例にとると、SnFαは、初期の充電(Li挿入)過程で、まず、
SnFα+4Li→Sn+4LiF
の反応式に従って4価イオン状態のスズが0価(金属状態)Snまで還元され、同時にLiFが生成する。この時、化合物LiFのマトリクス中に金属状態の微細な、もしくは非晶質的なSnが存在している状態と推定される。
さらに、その後の充電反応では
Sn+xLi-→LixSn
に従って合金化反応が進むと考えられる。
放電(Li脱離)反応では、上記とは逆の反応が進む。
このような0価スズとLiとの合金化反応は、従来では合金反応過程での体積変化に由来する合金粉の微細化、電気化学的に不活性な合金相の発生や蓄積等の悪影響で非常にサイクル寿命が劣る状態となる。これに対して、本発明のLiFのような化合物マトリクス中もしくはマトリクスとともに存在する金属状態のスズは、充放電時の合金化反応であっても、このマトリクスの効果により、上記の微粉化や不活性相の発生が抑制され、サイクル特性に優れた状態が得られるものと考えられる。したがって、α値によってサイクル特性が異なったものとなるのは、このマトリクスの状態や存在量に関係していると考えられる。すなわち、上記のようなサイクル特性を向上させるには、金属状態のスズに対して一定量以上のマトリクスが必要であり、しかもこのマトリクスが平均して存在することが大切である。このような環境を得るには、αは<α≦8の範囲にあることが重要であり、α≦というようにアニオンの少ない、すなわち、結果としてLiFなどのマトリクス量の乏しい状態では、可逆的な充放電反応の進行には、マトリクス量が不足で、充放電反応時の体積変化などを抑制するには十分な状態とは言えないと思われる。一方、α>8であると、マトリクス量は十分であるが、残念ながら、その伝導性が小さいために、金属状態のスズとリチウムとの充放電反応を阻害し、結果としてサイクル特性が劣ると考えられる
【0012】
【実施例】
以下、実施例により本発明の負極活物質を具体的に説明するが、実施例で示した特定の化学組成に限定されるものではなく、本発明で示した構成元素を含有する化合物であれば同様な効果が得られる。
【0013】
実施例1
本実施例では、表1に示した各種フッ素化合物について検討した。各種フッ素化合物の負極活物質としての電極特性を評価するのに用いた試験セルの構造を図1に示す。
フッ素化合物の粉末6gに、導電剤としての黒鉛粉末3g、および結着剤としてのポリエチレン粉末1gを混合して合剤とした。この合剤0.1gを直径17.5mmの円盤に加圧成型して電極1を作製した。この電極をケース2の中央に配置し、その上に微孔性ポリプロピレンからなるセパレータ3を置いた。1モル/lの過塩素酸リチウムを溶解した、エチレンカーボネートとジメトキシエタン(体積比で1:1)の混合溶液を非水電解液としてセパレータ3上に注液した。次に、内側に直径17.5mmの円盤状金属リチウムシート4を張り付け、外周部にポリプロピレン製ガスケット5を付けた封口板6を前記ケース2に組み合わせて封口し、試験セルとした。
【0014】
このようにして組み立てた試験セルについて、2mAの定電流で、電極1がリチウム対極4に対して0Vになるまでカソード分極(活物質電極を負極として見る場合には充電に相当する)し、次に電極1が1.5Vになるまでアノード分極(放電に相当する)した。このカソード分極とアノード分極を100サイクル繰り返して電極特性を評価した。比較例の活物質にはSnO2を用いた。
表1に2サイクル目の活物質1g当たりの放電容量、および100サイクル目の放電容量維持率を示した。放電容量維持率は、2サイクル目の容量を基準にした。また、100サイクル目のカソード分極が終了した後、試験セルを分解したところ、いずれも金属リチウムの析出は認められなかった。
【0015】
【表1】
Figure 0004562824
【0016】
表1に示したように、本実施例で評価した活物質は、比較例と比べて高い容量を持ち、さらに、これを用いて構成した非水電解質二次電池は、極めて高い容量維持率を持つことがわかる。
【0017】
実施例2
表2に示した各種塩素化合物の特性を評価した。本実施例では、活物質以外、即ち、電極構成、試験セルの作製方法、および充放電条件は、実施例1と同じである。表2に、2サイクル目の活物質1g当たりの放電容量、および100サイクル目の放電容量維持率を示した。また、100サイクル目のカソード分極が終了した後、試験セルを分解したところ、いずれも金属リチウムの析出は認められなかった。
【0018】
【表2】
Figure 0004562824
【0019】
表2に示したように、本実施例で評価した活物質は、比較例と比べて高い容量を持ち、さらに、これを用いて構成した非水二次電池は、極めて高い容量維持率を持つことがわかる。
【0020】
実施例3
実施例1と同様にして、表3に示した各種臭素化合物の特性を評価した。また、100サイクル目のカソード分極が終了した後、試験セルを分解したところ、いずれも金属リチウムの析出は認められなかった。表3に、2サイクル目の活物質1g当たりの放電容量、および100サイクル目の放電容量維持率を示した。
【0021】
【表3】
Figure 0004562824
【0022】
表3に示したように、本実施例で評価した活物質は、比較例と比べて高い容量を持ち、さらに、これを用いて構成した非水二次電池は、極めて高い容量維持率を持つことがわかる。
【0023】
実施例4
実施例1と同様にして、表4に示した各種ヨウ素化合物の特性を評価した。100サイクル目のカソード分極が終了した後、試験セルを分解したところ、いずれも金属リチウムの析出は認められなかった。表4に、2サイクル目の活物質1g当たりの放電容量、および100サイクル目の放電容量維持率を示した。
【0024】
【表4】
Figure 0004562824
【0025】
表4に示したように、本実施例で評価した活物質は、比較例と比べて高い容量を持ち、さらに、これを用いて構成した非水二次電池は、極めて高い容量維持率を持つことがわかる。
【0026】
実施例5
実施例1と同様にして、表5に示した各種Snハロゲン化物の特性を評価した。100サイクル目のカソード分極が終了した後、試験セルを分解したところ、いずれも金属リチウムの析出は認められなかった。表5に、2サイクル目の活物質1g当たりの放電容量、および100サイクル目の放電容量維持率を示した。
【0027】
【表5】
Figure 0004562824
【0028】
表5に示したように、本実施例で評価した活物質は、比較例と比べて高い容量を持ち、さらに、これを用いて構成した非水二次電池は、極めて高い容量維持率を持つことがわかる。
【0029】
式SnXα(X=フッ素、臭素、ヨウ素の群から選ばれる少なくとも一つ、1<α<12)で表される化合物は、αの値によってサイクル特性が異なることがわかった。すなわち、表5に示したとおり、特に、2<α≦8の範囲で極めてサイクル特性に優れている。前記の範囲を外れた化合物では、充放電反応にともなう様々な状態変化に充分には対応できないため、サイクルの進行に伴い容量低下が大きくなると考えられる。
【0030】
実施例6
本実施例では、表6に示した化合物の特性を評価した。その評価に用いた試験セルの構造を図2に示す。
電池は以下の手順により作製した。
正極活物質であるLiMn1.8Co0.24はLi2CO3とMn34とCoCO3とを所定のモル比で混合し、900℃で加熱することによって合成した。これを100メッシュ以下に分級したものを正極活物質とした。正極活物質100gに、導電剤としての炭素粉末を10g、結着剤としてのポリ4フッ化エチレンの水性ディスパージョンを固形分で8g、および純水を加えて、ペースト状にし、チタンの芯材に塗布し、乾燥、圧延して正極を得た。
【0031】
次に、表6に示した負極活物質、導電剤としての黒鉛粉末、および結着剤としてのポリ4フッ化エチレンを重量比で60:30:10の割合で混合し、石油系溶剤を用いてペ−スト状としたものを銅の芯材に塗布後、100℃で乾燥し、負極板を得た。セパレ−タには微孔性ポリプロピレンを用いた。
スポット溶接により取り付けた、芯材と同材質の正極リード14を有する正極板11と、同じくスポット溶接により取り付けた、芯材と同材質の負極リード15を有する負極板12、および両極板間に介在させた、両極板より幅の広い帯状の多孔性ポリプロピレン製セパレータ13を渦巻状に捲回して電極群を構成した。この電極群の上下それぞれにポリプロピレン製の絶縁板16、17を配して電槽18に挿入し、電槽18の上部に段部を形成させた後、非水電解質として、1モル/lの過塩素酸リチウムを溶解したエチレンカーボネートとジメトキシエタンの等体積混合溶液を注入し、正極端子20を有する封口板19で密閉して電池とした。
【0032】
以上の電池について、温度30℃において、充放電電流1mA/cm2、充放電電圧範囲4.3V〜2.6Vで充放電サイクル試験をした。この試験において、2サイクル目の放電容量に対する、100サイクル目の放電容量維持率を表6に示した。比較例には、これまでの実施例と同じくSnO2を負極活物質として用いたものを使用した。
【0033】
【表6】
Figure 0004562824
【0034】
表6から明らかなように、本実施例の各種化合物を負極活物質に用いた電池は、比較例の電池に比べて、サイクル特性が大きく向上している。
【0035】
実施例7
実施例6と同様にして、表7に示した化合物の特性を評価した。
【0036】
【表7】
Figure 0004562824
【0037】
表7からわかるように、本実施例の各種化合物を負極活物質に用いた電池は、比較例の電池に比べて、サイクル特性が大きく向上している。
【0038】
実施例8
本実施例では、負極合剤に含有する導電剤として、各種材料を用いた電池の特性を評価した。導電剤には、表8に示すように、天然黒鉛、人造黒鉛、低結晶炭素、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、銅粉末、ニッケル粉末、アルミニウム粉末、銀粉末、ニッケル金属繊維、およびポリフェニレン誘導体を用いた。
負極活物質には、表8に示したとおり、SnF4、SnBr4、およびSnI4を用いた。負極合剤は、活物質粉末6gに、導電剤を3g、および結着剤としてのポリエチレン粉末1gを混合して調製した。試験セルの作製方法や、試験方法は、実施例1と同じである。また、100サイクル目のカソード分極が終了した後、試験セルを分解したところ、いずれも金属リチウムの析出は認められなかった。
2サイクル目の活物質1g当たりの放電容量、および100サイクル目の放電容量維持率を表8及び表9に示した。その結果、本実施例で構成した電池は、充放電サイクルによる容量維持率が高いことが判明した。
【0039】
【表8】
Figure 0004562824
【0040】
【表9】
Figure 0004562824
【0041】
実施例9
本実施例では、SnF4、SnBr4、およびSnCl4に所定量のリチウムを含有させた化合物の電極特性を評価した。
まず、これらの各活物質を用いて電極を調製し、実施例1と同様の試験セルを作製した。
なお、リチウム含有量は、上記化合物をICP分光分析で定量することにより、それらの組成を確認した。
以上の結果を表10及び表11に示す。
【0042】
【表10】
Figure 0004562824
【0043】
【表11】
Figure 0004562824
【0044】
リチウムが挿入された複合化合物を式LiκSnXα(X=フッ素、臭素、およびヨウ素からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素、1<α<12)で表すと、リチウムの含量を表すκが、0≦κ<10の範囲で良好な電極特性を示すことがわかった。すなわち、κが上記の範囲において、金属リチウムの析出がなく、良好な可逆性を示すとともに、高い放電容量とサイクル維持率を示す。また、10≦κの場合には、いずれもサイクル性の悪化が確認された。挿入されているリチウム量が多量なため、不活性なリチウムが生成しやすく、このため、サイクル性が悪化するものと考えられる。
【0045】
なお、本実施例では、負極活物質として、SnF4、SnBr4、SnCl4に所定量のリチウム含有した化合物について説明したが、負極活物質が、LiκMXα(0≦κ<10、X=フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の群から選ばれる少なくとも一つ、<α≦8、M=Pb、Bi、B、In、Ir、Mg、Ca、Sr、Baの群から選ばれる1種以上の元素)で表される化合物においても、同様の結果が得られる。
【0046】
実施例10
本実施例では、本発明の代表的な負極活物質であるSnF4、SnBr4、およびSnCl4が非晶質材料である場合と結晶質材料である場合について、それらの電極特性を評価した。
まず、前記の各活物質を用いて電極を調製し、実施例1と同様の試験セルを作製した。
以上の結果を表12に示す。
【0047】
【表12】
Figure 0004562824
【0048】
いずれの活物質においても、非晶質材料の場合には、高容量でサイクル特性に優れていた。一方、結晶質材料の場合には、容量が小さく、サイクル劣化も大きいものであった。非晶質材料が優れた特性を示すのは、結晶質材料に比べて、充放電反応時により良好な充放電可逆状態を維持しやすいためと考えられる。
【0049】
実施例11
本実施例では、本発明の代表的な負極活物質SnF4、SnBr4、およびSnCl4の1次粒子の平均粒子径について詳しく検討した。
前記負極活物質の一次粒子の平均粒子径が0.005μmから5μmの範囲でそれらの電極特性を評価した。
まず、前記の各活物質を用いて電極を調製し、実施例1と同様の試験セルを作製して特性を評価した。
以上の結果を表13に示す。
【0050】
【表13】
Figure 0004562824
【0051】
前記負極活物質の一次粒子の平均粒子径が0.01μmから1μmの範囲で良好な電極特性を示すことがわかった。すなわち、金属リチウムの析出がなく、良好な可逆性を示すとともに、高い放電容量とサイクル維持率を示す。
一次粒子の平均粒子径が0.01μm以下の場合には、非常に細かな1次粒子の集合となり、その結果、集電性の確保が困難となり、低容量でサイクル劣化の大きい状態となったと推定される。また、1μmより大きな粒子径の場合には、充放電反応にともなう体積変化などの状態の変化に追従しにくい電極状態となり、そのため、低容量で、サイクル劣化の大きい結果となったと考えられる。
【0052】
なお、負極合剤を構成する導電性材料は、上記の実施例に示したもの以外、電池性能に悪影響を与えない電子導電性材料であれば、特に限定されるものではない。たとえば、黒鉛や低結晶性炭素のような炭素材料の他、炭素の一部にB、P、N、S、H、Fなど他元素が含まれる材料も用いることができる。
さらには、金属や半金族を含む炭化物であっても良い。例を挙げると、Al43、Al26、Na22、K22、Cu22、Ag22、MgC2、Mg23、CaC2、ZnC2、VC2、SiC、B123、Cr32、Cr73、Cr4C、TiC、VC、V43、V5C、MoC、Mo2C、WC、W2C、Mn3C、Mn236、Mn73、Fe3C、Fe2C、FeC、Co3C、Co2C、CoC2、Ni3Cを用いることができる。
なお、導電材料は上記の単体に限らず、電池性能に応じてこれらを混合して用いることも可能である。
【0053】
また、実施例では正極活物質としてLiMn1.8Co0.24について説明したが、LiMn24などのリチウムマンガン複合酸化物、二酸化マンガン、例えばLiNiO2などのリチウムニッケル複合酸化物、LiCoO2などのリチウムコバルト複合酸化物、リチウム含有コバルトニッケル複合酸化物、リチウム含有コバルトマンガン複合酸化物、リチウム含有バナジウム酸化物などをはじめとするリチウム含有遷移金属酸化物や、カルコゲン化合物、例えば二硫化チタン、二硫化モリブデンなどをはじめとする遷移金属からなるカルコゲン化合物なども、充放電に対して可逆性を有する正極を用いた場合にも同様の効果があることはいうまでもない。なかでもリチウム含有遷移金属酸化物が特に好ましい。
正極の結着剤としては、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニルアルコール、澱粉、ジアセチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、SBR、EPDM、スルホン化EPDM、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシドであり、好ましきはポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、SBRを用いることができる。これらは負極の構成においても同様である。
正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金を用いることができる。形態としては箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金網が好ましく、特にアルミニウム箔が有用である。
負極を構成する集電体としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金を用いることができる。形態としては箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金網がこのましく、特に銅箔が有用である。
【0054】
非水電解質を構成する溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、ジオキソラン、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、アセトニトリル、蟻酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、燐酸トリメチル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンの1種、または2種以上を混合したものを用いることができる。特に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートの1種または両方が含まれているものが好ましい。
電解質を構成する溶質は、リチウム含有塩、ナトリウム含有塩、マグネシウム含有塩、アルミニウム含有塩、カリウム含有塩、ルビジウム含有塩、カルシウム含有塩などを用いることができる。中でも好ましくはリチウム含有塩であり、更に、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムが有用である。
【0055】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の非水電解質二次電池は、高い放電容量を持ち、充放電に際してもリチウムのデンドライトが発生することなく、かつサイクル寿命が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の負極活物質の電極特性を評価するための試験セルの断面概略図である。
【図2】本発明の実施例に用いた円筒型電池の縦断面図である。

Claims (5)

  1. 充放電可能な正極、充放電可能な負極、および非水電解質を具備し、前記負極が、負極活物質として、式LiκMXα(Xはフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素、MはSn、Pb、Bi、B、In、Ir、Mg、Ca、Sr、およびBaからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素、0≦κ<10、2<α≦8)で表される化合物を含有する非水電解質二次電池。
  2. 前記負極が、さらに導電剤、および結着剤を含有する請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記式で表される化合物が非晶質である請求項1記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記式で表される化合物の一次粒子の平均粒子径が0.01μmから1μmの範囲である請求項1記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記式において、MがSnである請求項1記載の非水電解質二次電池。
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