ところが、上記特許文献1記載の現像装置においては、現像剤溢出口が単に現像槽の側壁に設けられているため、現像槽に補給されたフレッシュな現像剤が、現像槽で十分攪拌されることなく、そのまま現像剤溢出口から排出されてしまう可能性があり、現像槽内の現像剤が十分に交換されないという問題点がある。
さらに、現像槽の傾斜によって設計通りの量での現像剤排出を行いにくくなっている。例えば、複写機の移動により、現像槽が傾いて現像剤溢出口の反対側が高くなるような傾斜状態となった場合や、また、例えば、複写機が地面状態の悪い場所に設置された場合、傾いた机の上に設置された場合等のように、複写機が傾斜した状態で設置された場合には、現像剤溢出口から多量の現像剤が排出されてしまう可能性がある。このような場合には、現像槽内の現像剤が適正量に対して大幅に少なくなり、この結果、良好な複写画質の画像を得ることができなくなるという問題点がある。
本発明は、上述したような従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、現像槽内で十分に攪拌された現像剤のみを排出することができ、しかも、現像槽が傾斜した場合でも現像剤溢出口から多量の現像剤が排出されることを防止でき、これによって、帯電性能の低下を抑えて複写画質を良好に維持することができるような現像装置、およびこれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、内部にトナーとキャリアとからなる現像剤を収容する現像容器と、該現像容器内の現像剤を攪拌、搬送する攪拌搬送部材と、潜像担持体に対向させて回転可能に配設され、かつ、現像剤を担持搬送する現像剤担持体とを備え、前記現像容器には、キャリアを含む新たな現像剤を補給するための補給用開口と、該現像容器に収容された現像剤の表面高さに応じて余剰現像剤を排出するための現像剤排出開口とが形成されている現像装置において、前記現像剤排出開口は、前記現像容器の前記攪拌搬送部材による現像剤搬送方向下流側の側壁に形成されており、該側壁には、前記現像容器内の現像剤を前記現像剤排出開口より間欠的に排出可能な現像剤排出機構部が設けられていることを特徴とする。
このような構成の現像装置によれば、現像容器が傾いた場合でも、現像容器内の現像剤が現像剤排出開口より間欠的にしか排出されないため、過剰な現像剤の排出を規制することが可能となる。これにより、常に、現像容器内の現像剤量を一定に保ち、かつ、現像容器内のトナー濃度を一定に保つことが可能となり、この結果、画像形成装置における複写画質を良好に維持することができる。
また、本発明の現像装置において、前記現像剤排出機構部は、前記現像剤排出開口より現像容器内の現像剤が流入可能な空間が備えられ、側面視で、該現像剤排出機構部の内部の領域に前記現像剤排出開口が含まれるような位置に配設され、前記現像剤排出機構部の内部には、前記現像容器の側壁と隣接し、開口が形成されている回転可能な現像剤排出規制部材と、該現像剤排出規制部材と隣接し、開口が形成されている過剰排出規制部材とが設けられており、前記現像剤排出規制部材の回転により、前記現像剤排出開口と該現像剤排出規制部材の開口とが互いに連通したときには、現像剤排出開口から現像剤排出規制部材の開口への現像剤の移動が可能となるとともに、該現像剤排出規制部材の開口と前記過剰排出規制部材の開口とが互いに連通したときには、現像剤排出規制部材の開口から過剰排出規制部材の開口への現像剤の移動が可能となり、さらに、前記現像剤排出開口、前記現像剤排出規制部材の開口、および前記過剰排出規制部材の開口の全てが同時に連通しないように構成されていることを特徴とする。
このような構成の現像装置によれば、現像剤排出機構部に設けられる現像剤排出規制部材の回転により、現像剤排出開口と現像剤排出規制部材の開口とが互いに連通したときには、現像剤排出開口から現像剤排出機構部への現像剤の流出が行われ、逆に、互いに連通していないときには、現像剤排出規制部材の開口以外の部分に遮られる結果、現像剤排出開口から現像剤排出機構部への現像剤の流出が行われない。そして、現像剤排出規制部材の開口の数や開口面積に応じて、現像剤排出開口から溢れ出た現像剤の排出量および排出時間を規制することができ、また、補給された新たなキャリア現像剤の攪拌時間を調整することができる。これにより、キャリアを含む新たな現像剤が現像容器に補給され十分に攪拌された現像剤のみを排出でき、補給された現像剤がそのまま排出口から排出されることを防ぐことが可能となる。
また、現像剤排出規制部材の回転により、現像剤排出規制部材の開口と過剰排出規制部材の開口とが互いに連通したときには、現像剤排出規制部材の開口から過剰排出規制部材の開口への現像剤の移動が可能となり、逆に、互いに連通していないときには、過剰排出規制部材の開口以外の部分に遮られる結果、現像剤の移動が不可能となる。そして、過剰排出規制部材の開口の数や開口面積に応じて、現像剤排出規制部材から移される現像剤の排出量および排出時間を調整することが可能となる。
さらに、現像剤排出規制部材が回転しても、全ての開口が同時に連通しないようになっているため、過剰な現像剤の排出を規制することが可能となる。つまり、現像容器が傾いた場合でも、現像容器から現像剤排出規制部材に排出された現像剤しか排出されず、言い換えれば、現像容器内の現像剤が現像剤排出開口より間欠的にしか排出されないため、過剰な現像剤の排出を規制することが可能となる。これにより、常に、現像容器内の現像剤量を一定に保ち、かつ、現像容器内のトナー濃度を一定に保つことが可能となり、この結果、画像形成装置における複写画質を良好に維持することができる。
また、本発明の現像装置において、前記現像剤排出規制部材の開口は、少なくとも1箇所の貫通孔、または、切り欠きとして形成され、この貫通孔または切り欠きの開口面積は、前記現像剤排出開口の開口面積と同一またはそれよりも大きく形成されていることを特徴とする。
このような構成の現像装置によれば、現像剤排出規制部材の開口の数や開口面積に応じて、現像剤排出開口から溢れ出た現像剤の排出量および排出時間を規制することができ、また、補給された新たなキャリア現像剤の攪拌時間を調整することができる。これにより、キャリアを含む新たな現像剤が現像容器に補給され十分に攪拌された現像剤のみを排出でき、補給された現像剤がそのまま排出口から排出されることを防ぐことが可能となる。また、現像剤排出規制部材の開口の開口面積は、現像剤排出開口の開口面積と同一またはそれよりも大きくなっているので、現像剤排出開口より溢れ出た現像剤をよりスムーズかつ確実に現像剤排出規制部材の開口に移すことが可能となる。
また、本発明の現像装置において、前記過剰排出規制部材の開口は、少なくとも1箇所の貫通孔、または、切り欠きとして形成され、この貫通孔または切り欠きの開口面積は、前記現像剤排出規制部材の開口の開口面積と同一またはそれよりも大きく形成されていることを特徴とする。
このような構成の現像装置によれば、過剰排出規制部材の開口の数や開口面積に応じて、現像剤排出規制部材から移される現像剤の排出量および排出時間を調整することが可能となる。また、過剰排出規制部材の開口の開口面積は、現像剤排出規制部材の開口の開口面積と同一またはそれよりも大きくなっているので、現像剤排出規制部材から移される現像剤をよりスムーズかつ確実に過剰排出規制部材の開口に移すことが可能となる。
また、本発明の現像装置において、前記現像剤排出機構部内部の過剰排出規制部材と隣接した空間には、前記現像剤排出規制部材と連動して回転し、かつ、該空間内に前記過剰排出規制部材の開口から移される現像剤を、当該現像剤排出機構部の底部に形成されている排出開口へ向けて搬送し、該排出開口から排出させる排出手段が設けられていることを特徴とする。
このような構成の現像装置によれば、排出手段により空間内の現像剤を強制的に排出開口へ向けて搬送し、排出することによって、過剰排出規制部材の開口より移された現像剤が空間内に蓄積し、過剰排出規制部材の開口を塞いでしまうことを防止することができる。これにより、現像容器の余剰現像剤の回収を良好に行うことができる。また、現像剤を回収する現像剤回収容器の設置位置の自由度も生まれる。
また、本発明の現像装置において、前記現像剤排出規制部材の回転駆動は、前記攪拌搬送部材および前記現像剤担持体を回転駆動する現像部駆動源により行われることを特徴とする。
このような構成の現像装置によれば、現像剤排出規制部材の駆動源を、攪拌搬送部材および現像剤担持体を回転駆動する現像部駆動源と共用することによって、独立した駆動源が不要となりコストダウンが図れる。
また、本発明の現像装置において、前記現像剤排出規制部材の回転駆動は、前記攪拌搬送部材および前記現像剤担持体を回転駆動する現像部駆動源とは別の独立した駆動源により行われることを特徴とする。
このような構成の現像装置によれば、攪拌搬送部材および現像剤担持体を回転駆動する現像部駆動源とは別に、独立して現像剤排出規制部材の駆動源を制御することが可能となる。これにより、現像剤排出規制部材の間欠駆動や回転時間を細かく設定することができ、したがって、より細かい現像剤の排出制御が可能となり、現像容器内の現像剤量を一定に保ち易くなる。さらに、現像容器内のトナー濃度を一定に保つことが可能となり、画像形成装置の複写画質を良好に維持することができる。
また、本発明の現像装置において、前記現像剤排出規制部材の回転駆動は、前記現像容器にキャリアを含む新たな現像剤を補給する現像剤補給装置の駆動源により行われることを特徴とする。
このような構成の現像装置によれば、現像容器への新たな現像剤の補給タイミングと、現像剤排出機構部における現像剤排出タイミングとが等しくなる。そして、新たな現像剤の補給量と現像剤排出機構部における現像剤排出量とが等しくなるように、現像剤補給装置の現像剤補給部材と現像剤排出機構部の現像剤排出規制部材の回転数を設定することによって、常に、現像容器内の現像剤量を一定に保ち、かつ、現像容器内のトナー濃度を一定に保つことが可能となり、この結果、画像形成装置における複写画質を良好に維持することができる。
また、本発明の現像装置において、前記現像剤排出機構部は、前記現像剤排出規制部材の回転軸が、前記現像容器の現像剤排出開口が形成されている側の側壁に向けて現像剤を搬送する攪拌搬送部材の回転軸と同一直線上にあるように配設されていることを特徴とする。
このような構成の現像装置によれば、現像剤が現像剤排出機構部に排出されるにあたって、攪拌搬送部材の回転による現像剤の流れを積極的に利用できるような位置に現像剤排出開口が形成されていることになる。したがって、補給用開口より補給された新たな現像剤の補給量に対する現像剤排出レスポンスを向上させることができる。
また、本発明の現像装置において、前記現像剤排出機構部は、前記現像剤排出規制部材の回転軸から前記現像容器の現像剤排出開口が形成されている側の側壁に向けて現像剤を搬送する第一の攪拌搬送部材の回転軸までの距離と、該現像剤排出規制部材の回転軸から該第一の攪拌搬送部材とは逆の方向へ現像剤を搬送する第二の攪拌搬送部材の回転軸までの距離とが等しくなるような位置に配設されていることを特徴とする。
このような構成の現像装置によれば、現像剤排出開口の周辺の現像剤が、第一、第二の攪拌搬送部材による現像剤搬送力の直接の影響を受けにくくなり、現像剤面の高低差バラツキが少なくなり安定する。これにより、安定してオーバーフロー現像剤を、現像剤排出開口より溢れ出すことが可能となる。
また、本発明の現像装置において、前記現像剤排出規制部材は、ポリアセタール樹脂で形成されていることを特徴する。
このような構成の現像装置によれば、ポリアセタール樹脂により現像剤排出規制部材を形成することによって、現像剤排出規制部材への現像剤の付着を少なくすことができる。これは、ポリアセタール樹脂は、一般的に使用されるABS樹脂等の樹脂に比べて分子量が大きく、分子の結合が安定しているので、摺動性に優れるためである。また、ポリアセタール樹脂は、ABS樹脂等の樹脂に比べて耐久性も優れているので、現像剤排出規制部材の耐久性も向上させることができる。したがって、現像剤の排出を安定して行うことができるようになる。
また、本発明の現像装置において、前記現像剤排出規制部材の表裏面の開口以外の部分には、現像剤が移動する際、前記現像容器の側壁と当該現像剤排出規制部材との間、および、当該現像剤排出規制部材と前記過剰排出規制部材との間に、現像剤が入り込むことを防止する現像剤漏れ防止部材が設けられていることを特徴とする。
このような構成の現像装置によれば、現像容器の側壁と現像剤排出規制部材との間や、現像剤排出規制部材と過剰排出規制部材との間に入り込んだ現像剤によって現像剤排出規制部材の回転が妨げられることがなくなり、現像剤排出規制部材のスムーズな回転が可能となり、現像剤の排出を安定して行うことができる。
また、本発明の画像形成装置は、以上のような構成の本発明の現像装置を備えている。すなわち、本発明は、現像装置に限定されるものではなく、本発明の現像装置を適用した画像形成装置(複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機等)を包含する。このような本発明の画像形成装置によれば、上述した本発明の現像装置と同様の作用および効果を奏する。
本発明は、上述のような構成であるから、現像容器内で十分に攪拌された現像剤のみを排出することができ、しかも、現像容器が傾斜した場合でも、現像剤排出開口から多量の現像剤が排出されることを防止でき、これによって、帯電性能の低下を抑えて画像形成装置における複写画質を良好に維持することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
図1は、本発明の実施形態に係わる現像装置が適用される複写機の概略構成を示す図である。図1に示すように、複写機の上面部に原稿載置台1が設けられ、この原稿載置台1の下方に露光光学系2が配設されている。露光光学系2は、原稿載置台1上に載置された原稿(図示せず)に光を照射しながら走査する光源ランプ3、原稿からの反射光を感光体(像担持体)4へ導く複数の反射鏡5、5、・・・、および反射光の光路中に配されたレンズユニット6からなっている。
感光体4は、露光光学系2の下方に配設されている。この感光体4の外周には、感光体4表面を所定電位に帯電させる帯電チャージャ7、像間イレーサ(図示せず)、感光体4表面に形成された静電潜像を現像する現像装置20、感光体4表面のトナー像を用紙に転写させる転写チャージャ9、感光体4表面の残留トナーを回収するクリーニング装置10、除電装置(図示せず)等が設けられている。
感光体4に対する入紙側(用紙搬送方向上流側)には、用紙を所定のタイミングで供給するタイミングローラ11、搬送ローラ12、給紙カセット13、給紙ローラ14が設けられている。一方、感光体4に対する出紙側(用紙搬送方向下流側)には、用紙上に転写されたトナー像を用紙に定着させる定着装置15が設けられている。
ここで、現像装置20について、図2、図3、図4を用いて説明する。現像装置20は、トナーとキャリアとからなる現像剤(2成分現像剤)を用いる現像装置として構成されている。図2、図3に示すように、現像装置20は、現像容器としての現像槽21、現像剤担持体としての現像ローラ22、攪拌搬送部材としての2つの攪拌搬送スクリュー23、24等を備えている。現像ローラ22、攪拌搬送スクリュー23、24は、現像装置20の駆動源である現像部駆動モータ51により回転駆動される(図15参照)。
現像槽21は、トナーとキャリアとからなる現像剤を収容するものであり、現像槽21内部の各部材を支持している。この現像槽21内でトナーとキャリアとが混合、攪拌される。現像槽21内では、トナーとキャリアとが所定比率で混合されている。キャリアには、例えば、磁性を有する粒子の表面に、帯電性を付与したりトナーの粘着を抑制するための樹脂コート層が設けられているものを用いることができる。また、樹脂粒子中に磁性体微粉末を分散させた樹脂キャリア等を用いることもできる。
現像ローラ22は、感光体4に近接もしくは接触して配置されている(図1)。現像ローラ22は、例えば、複数の磁石体を有するマグネットローラと、このマグネットローラを内包する円筒状の現像スリーブとによって構成することができる。そして、現像槽21の両側壁にマグネットローラが回転不能に支持され、このマグネットローラに対して、現像スリーブが回転可能に外嵌される。
現像ローラ22は、感光体4にトナーを供給して、感光体4の表面に形成された静電潜像を現像する。このとき、現像ローラ22が、現像槽21内のキャリアを磁力によって吸着し、磁気ブラシを形成させて搬送する。そして、クーロン力によってキャリアに付着しているトナーを感光体4に供給することによって、現像が行われる。なお、磁気ブラシの穂立ちの高さ、つまり、現像剤の層厚を規制するために、ドクタ29が設けられている。
攪拌搬送スクリュー23、24は、現像槽21内の現像剤を攪拌し、搬送するものである。攪拌搬送スクリュー23、24は、現像槽21の両側壁に軸受け(図示せず)を介してそれぞれ回転可能に支持されている。攪拌搬送スクリュー23、24の回転によりトナーとキャリアとが攪拌され、トナーが摩擦帯電する。
2つの攪拌搬送スクリュー23、24の間には、仕切り壁21bが形成されている。仕切り壁21bは、現像槽21の底面に略垂直に固定されており、その上端位置は、少なくとも現像槽21内の現像剤面の高さよりも高い位置となっている。また、仕切り板21bの両側端と現像槽21の両側壁との間にはそれぞれ間隙が設けられている。この仕切り壁21bにより、攪拌搬送スクリュー23、24による現像剤搬送経路が一部分離されている。そして、仕切り壁21bによって現像槽21の現像剤収容部が、一方の攪拌搬送スクリュー23が配置されている第1収容部25と、他方の攪拌搬送スクリュー24が配置されている第2収容部26とに分けられている。これら第1、第2収容部25、26は、現像槽21の両側部に形成される連通部27、28を介して互いに連通されている。現像槽21内の現像剤は、攪拌搬送スクリュー23、24の回転により、図2中の太い矢印で示すように、第1、第2収容部25、26間を循環するように搬送される。このとき、連通部27、28を通って、一方の収容部から他方の収容部へ現像剤が搬送される。
現像槽21の上壁部には、現像剤の補給用開口21aが形成され、この補給用開口21aにキャリア現像剤補給ユニット(現像剤補給装置)30が上方から嵌着されている。キャリア現像剤補給ユニット30には、トナーとキャリアとが所定比率で混合された現像剤(以下、「キャリア現像剤」と言う。)が収容されている。このキャリア現像剤が、補給用開口21aを通って、現像槽21に供給可能となっている。
キャリア現像剤補給ユニット30の下部(底部)には、制御装置32(図5)により駆動制御されるキャリア現像剤補給ローラ(現像剤補給部材)31が設けられている。このキャリア現像剤補給ローラ31が回転駆動されることによって、キャリア現像剤がキャリア現像剤補給ローラ31の駆動時間に応じた量だけ流下して補給用開口21aを通り、現像槽21に供給される。このように、現像槽21にキャリア現像剤補給ユニット30から供給されたキャリア現像剤は、攪拌搬送スクリュー23、24の回転により、現像槽21内に既にある現像剤と混合され、攪拌される。
また、現像槽21の左右一側の側壁(図2では、連通部27側の側壁21c)には、現像剤排出用の現像剤排出開口33が形成されている。この現像剤排出開口33は、現像槽21内でキャリア現像剤補給ユニット30からのキャリア現像剤の補給等によって生じた余剰現像剤を排出して、現像槽21内の現像剤量を一定に保つように設けられている。この現像剤排出開口33から、現像槽21内の余剰現像剤が現像槽21に収容された現像剤の表面高さ(図4中の一点鎖線で示す)に応じてオーバーフローにより(溢れ出すことにより)排出され、図示しない現像剤回収容器に回収されるようになっている。この例では、オーバーフローにより排出された余剰現像剤は、突出部40に流れ込み、その後、現像剤回収容器に回収されるようになっている。この突出部40の詳細については後述する。
また、現像槽21には、現像槽21内のトナー濃度を検出するトナー濃度センサ34が設けられている。このトナー濃度センサ34は、透磁率センサからなり、キャリアに接触して透磁率を検出するようになっており、検出された透磁率からキャリアに対するトナーの比率が求められる。例えば、トナー濃度センサ34に接触するキャリア量が少ないと、トナー比率が高いと検出され、トナー濃度センサ34に接触するキャリア量が多いと、トナー比率が低いと検出される。そして、このトナー濃度センサ34の検出信号は、制御装置32に入力され、この検出信号に基づいてキャリア現像剤補給ユニット30のキャリア現像剤補給ローラ31が駆動される。これにより、キャリア現像剤がキャリア現像剤補給ユニット30から現像槽21へ補給される。
次に、上記構成の複写機における複写動作(コピー動作)について、図1、図5を用いて説明する。
複写機の電源スイッチ(図示せず)がONされると、まずウォーミングアップ処理が行われる。これが完了した後に、コピースタートスイッチ35がONされると、画像形成部によって原稿画像に対応した複写画像が用紙上に形成される。具体的には、露光光学系2の光源ランプ3によって原稿載置台1上に載置された原稿が走査される。そして、このときの原稿からの反射光が、反射鏡5、5、・・・、およびレンズユニット6を介して感光体4に照射される。これにより、帯電チャージャ7にて所定電位に帯電されている感光体4の表面に静電潜像が形成される。次いで、感光体4表面の静電潜像は、現像装置20から供給されるトナーによって現像される。感光体4表面のトナー像は、転写チャージャ9により給紙カセット13から供給される用紙に転写され、定着装置15にて用紙上に熱定着される。これにより、用紙上に原稿画像に対応した複写画像が形成される。
このような複写機における一連の複写動作は、マイクロコンピュータからなる制御装置32によって制御される。そして、上述のように、コピースタートスイッチ35がONされると、このコピースタートスイッチ35のON操作信号が制御装置32に入力されるようになっている。また、複写機における複写動作の累積回数をカウントする複写カウンタ36がさらに設けられており、この複写カウンタ36のカウント値が制御装置32に入力されるようになっている。
複写機において、上述のような複写動作が繰り返されると、現像装置20の現像槽21内に収容されている現像剤中のトナーは現像動作によって徐々に消費されていく一方、キャリアは消費されずに現像槽21内に残る。したがって、現像槽21内では、キャリアに対するトナーの比率、すなわちトナー濃度が徐々に低下していく。
上述したように、現像槽21には、トナー濃度の変化を検出するトナー濃度センサ34が設けられており、このトナー濃度センサ34のトナー濃度の検出に基づくキャリア現像剤補給ローラ31の駆動制御が制御装置32によって行われている。すなわち、トナー濃度センサ34からの検出信号に基づいて、制御装置32は、現像槽21内の現像剤のトナー濃度が現像に必要な適正範囲の下限値まで低下した場合には、キャリア現像剤補給ローラ31の駆動を開始する。これにより、キャリア現像剤補給ユニット30のキャリア現像剤が現像槽21に補給され、現像槽21内のトナー濃度が上昇する。そして、このトナー濃度が上記適正範囲の上限値に達した場合には、キャリア現像剤補給ローラ31の駆動を停止する。
このようなキャリア現像剤補給ローラ31の駆動制御によって、現像槽21内のトナー濃度が上記適正範囲内で維持される。キャリア現像剤補給ローラ31の駆動によりキャリア現像剤補給ユニット30から補給されたキャリア現像剤は、現像槽21内に既にある現像剤と混合、攪拌され、一定の帯電量に制御され、さらに、感光体4へと供給され、現像に用いられる。
キャリア現像剤補給ユニット30から補給されるキャリア現像剤には、トナー以外に所定比率でキャリアが含まれている。これは、次のような理由による。上述したように、現像槽21内の現像剤中のキャリアは、トナーとは異なり、現像動作によって消費されず減少することはない。したがって、キャリアは、繰り返し使用され、現像ローラ22や攪拌搬送スクリュー23、24での攪拌、感光体4との接触等によって徐々に劣化していく。このように、キャリアが劣化すると、帯電性能が低下してトナーに所定の帯電量を与えられなくなり、複写機における複写画質の低下を生じることとなる。そこで、そのような帯電性能の低下を抑えるために、現像槽21内にキャリアを新たに補給して、現像槽21内の劣化したキャリアと置換(交換)するようにしている。
次に、現像装置20における現像剤を排出する構成について詳しく説明する。
上述したように、現像剤排出用の現像剤排出開口33が現像槽21の左右一側の側壁に形成されている。図2では、連通部27側の側壁、つまり、攪拌搬送スクリュー23による現像剤搬送方向下流側の側壁21cに形成されている。そして、図2、図6に示すように、現像槽21の現像剤排出開口33が形成されている側の側壁21cに突出部40が設けられている。この突出部40は、現像槽21内の現像剤を現像剤排出開口33より間欠的に排出可能な現像剤排出機構部として設けられている。突出部40には、現像剤排出開口33からオーバーフローした現像剤が流入可能な空間が備えられている。突出部40に流れ込んだ現像剤は、排出開口47から、図示しない現像剤回収容器に回収される。
図6に示すように、突出部40の内壁は、一側(現像槽21の側壁21c側)が開放され、他側が閉塞された有底円筒状に形成されている。そして、その円筒状の内壁の軸心40a(図6中の一点鎖線で示す)が攪拌搬送スクリュー23の回転軸23aの軸心(図6中の一点鎖線で示す)と一致するように、突出部40が配設されている。また、図6、図7に示すように、側面視で、突出部40の内部の領域が現像剤排出開口33を含むように、突出部40が配設されている。
図6に示すように、突出部40の内部には、現像剤排出規制部材41、過剰排出規制部材43、排出スクリュー45が設けられている。現像剤排出規制部材41は、現像槽21の現像剤排出開口33が形成されている側の側壁21cに隣接して設けられている。後述するように、現像剤排出規制部材41は、上述の突出部40の内壁の軸心40aを中心に回転可能に設けられている。この現像剤排出規制部材41に隣接させて過剰排出規制部材43が設けられている。過剰排出規制部材43は、現像剤排出規制部材41とは異なり、突出部40の内壁に固定して設けられている。
突出部40内部の過剰排出規制部材43と隣接した領域は空間46となっている。この空間46には、排出手段としての排出スクリュー45が備えられている。排出スクリュー45は、その回転軸45aの軸心が攪拌搬送スクリュー23の回転軸23aの軸心と一致するように、空間46内に配設されている。つまり、排出スクリュー45の回転軸45aの軸心が、上述の突出部40の内壁の軸心40aと一致するように配設されている。また、排出スクリュー45は、後述するように、現像剤排出規制部材41と連動して回転するように設けられている。空間46が形成されている突出部40の内壁の底部には、排出開口47が形成されている。この排出開口47を通じて、図示しない現像剤回収容器に現像剤を回収するようになっている。
現像剤排出規制部材41には、図7に示すように、現像剤排出開口33と同一またはそれよりも大きい開口(貫通孔)42が形成されている。つまり、現像剤排出開口33の開口面積をA、現像剤排出規制部材41の開口42の開口面積をBとすると、これらの面積の関係は、A≦Bとなる。そして、開口42は、現像剤排出規制部材41が回転することによって、側面視で、この開口42の領域に現像剤排出開口33を含むことが可能な位置に形成されている。例えば、上記軸心40aからの、断面円形の現像剤排出開口33の中心までの距離と、断面円形の開口42の中心までの距離とが等しくなるような位置に開口42が形成されている。
開口42は、現像剤排出規制部材41に、1個または複数個(図7では2個)設けられている。なお、図7に示すような開口42が設けられている現像剤排出規制部材41ではなく、図8に示すような切り欠き42´が設けられている現像剤排出規制部材41´を用いてもよい。この場合には、切り欠き42´部分の切り欠き面積をB´とすると、現像剤排出開口33の開口面積Aとの関係は、A≦B´となる。
そして、現像剤排出規制部材41が回転して、現像剤排出開口33と開口42とが互いに連通したとき(側面視で重なり合ったとき)、現像剤排出開口33から突出部40への現像剤の流出が可能となる。このとき、現像槽21内に余剰現像剤が生じていれば、オーバーフローにより現像剤排出開口33から現像剤排出規制部材41の開口42へ流れ込む。ところが、逆に、開口42と現像剤排出開口33とが互いに連通していないときには(側面視で重なり合っていないときには)、現像槽21内の現像剤は、現像剤排出規制部材41の開口42以外の部分に遮られて、開口42へ流れ込むことはない。
ここで、現像剤排出規制部材41の材質を、ポリアセタール樹脂とすることができる。ポリアセタール樹脂により現像剤排出規制部材41を形成することによって、現像剤排出規制部材41への現像剤の付着を少なくすことができるというメリットがある。この理由は、ポリアセタール樹脂は、一般的に使用されるABS樹脂等の樹脂に比べて分子量が大きく、分子の結合が安定しているので、摺動性に優れるためである。また、ポリアセタール樹脂は、ABS樹脂等の樹脂に比べて耐久性も優れているので、現像剤排出規制部材41の耐久性も向上させることができる。したがって、現像剤の排出を安定して行うことができるようになる。
また、図9に示すように、現像剤排出規制部材41の表裏面の開口42以外の部分に、現像剤漏れ防止部材48を設けるようにしてもよい。この現像剤漏れ防止部材48により、現像剤排出開口33から現像剤排出規制部材41の開口42へ、および、開口42から後述する過剰排出規制部材43の開口44へと、現像剤が移動する際、現像槽21の側壁21cと現像剤排出規制部材41との間、および、現像剤排出規制部材41と過剰排出規制部材43との間に、現像剤が入り込むことを防止するようにしている。これにより、現像槽21の側壁21cと現像剤排出規制部材41との間や、現像剤排出規制部材41と過剰排出規制部材43との間に入り込んだ現像剤によって現像剤排出規制部材41の回転が妨げられることがなくなり、現像剤排出規制部材41のスムーズな回転が可能となり、現像剤の排出を安定して行うことができる。
なお、現像剤排出規制部材41の開口42の形状を、次のようなものとすることができる。例えば、図10に示すように、現像槽21の側壁21c側から過剰排出規制部材43に向かうにつれて徐々に拡がるような形状の開口42aとしたり、図11に示すように、開口の中心軸線が上述の突出部40の内壁の軸心40aと平行ではなく、この軸心40aに対して傾斜しているような形状の開口42bとすることができる。このような形状の開口42の形状とすることによって、現像剤排出開口33より溢れ出た現像剤を過剰排出規制部材43に向かってよりスムーズに流しやすくし、開口42での現像剤のつまりを防止することが可能となる。
過剰排出規制部材43には、図12に示すように、現像剤排出規制部材41の開口42と同一またはそれよりも大きい開口(貫通孔)44が形成されている。つまり、過剰排出規制部材43の開口44の開口面積をCとすると、現像剤排出規制部材41の開口42の開口面積Bとの関係は、B≦Cとなる。そして、開口44は、上述の現像剤排出規制部材41が回転することによって、側面視で、この開口44の領域に現像剤排出規制部材41の開口42を含むことが可能な位置に形成されている。例えば、上記軸心40aからの、断面円形の開口42の中心までの距離と、断面円形の開口44の中心までの距離とが等しくなるような位置に開口44が形成されている。
開口44は、過剰排出規制部材43に、1個または複数個(図12では2個)設けられている。なお、図12に示すような開口44が設けられている過剰排出規制部材43ではなく、図13に示すような切り欠き44´が設けられている過剰排出規制部材43´を用いてもよい。この場合には、切り欠き44´部分の切り欠き面積をC´とすると、現像剤排出規制部材41の開口42の開口面積Bとの関係は、B≦C´となる。
そして、現像剤排出規制部材41が回転して、開口42と開口44とが互いに連通したとき(側面視で重なり合ったとき)、開口42から開口44への現像剤の移動が可能となる。このとき、開口42内に現像剤があれば、その現像剤は開口44へ流れ込む。この開口44へ流れ込んだ現像剤は、さらに空間46へ流れ込む。ところが、逆に、開口42と開口44とが互いに連通していないときには(側面視で重なり合っていないときには)、開口42内の現像剤は、過剰排出規制部材43の開口44以外の部分に遮られて、開口44へ流れ込むことはない。
ここで、図14に示すように、現像剤排出開口33と、現像剤排出規制部材41の開口42と、過剰排出規制部材43の開口44とが一直線上に並ばないようになっている。つまり、現像剤排出開口33と過剰排出規制部材43の開口44とが、側面視で、重なり合わないように位置をずらして配置されており、現像剤排出規制部材41が回転しても、全ての開口33、42、44が同時に連通しないようになっている。しかし、上述したように、現像剤排出規制部材41が回転することによって、現像剤排出開口33と開口42とが連通し、現像剤排出開口33から開口42への現像剤の移動が可能となり、また、開口42と開口44とが連通し、開口42から開口44への現像剤の移動が可能となる。
空間46には、現像槽21から排出された現像剤が蓄積される。この空間46に設けられている排出スクリュー45には、現像剤を搬送するスクリュー羽根が備えられている。この排出スクリュー45が回転することによって、空間46内の現像剤は、排出開口47へ向けて搬送され、この排出開口47から排出される。
次に、現像剤排出規制部材41および排出スクリュー45を回転駆動する駆動源について説明する。図6、図15に示すように、現像剤排出規制部材41の回転軸41aと排出スクリュー45の回転軸45aとは、一体的に形成されており、現像剤排出規制部材41と排出スクリュー45とは、連動して回転駆動する。
図15に示すように、現像剤排出規制部材41と排出スクリュー45とは、現像部駆動モータ51により回転駆動される。現像部駆動モータ51は、現像ローラ22、攪拌搬送スクリュー23、24を駆動する駆動源であり、ギヤ57、ギア58、ギア59を介して、現像部駆動モータ51の動力が現像ローラ22、攪拌搬送スクリュー23、24に伝達される。また、現像部駆動モータ51の動力は、現像部駆動モータ51の出力軸に連結されたギヤ52、ギヤ53、連結軸54、ギヤ55、ギヤ56を介して減速伝達され、さらにギヤ56と連結されている排出スクリュー45の回転軸45aに伝達される。これにより、現像ローラ22、攪拌搬送スクリュー23、24とともに、現像剤排出規制部材41と排出スクリュー45とが回転駆動するようになっている。この現像剤排出規制部材41と排出スクリュー45との回転駆動によって、突出部40内の現像剤が排出開口47から排出される。このように、現像剤排出規制部材41、排出スクリュー45の駆動源を、現像ローラ22、攪拌搬送スクリュー23、24の駆動源と共用することによって、独立した駆動源が不要となりコストダウンが図れる。
なお、図16に示すように、現像剤排出規制部材41、排出スクリュー45の駆動源を、現像ローラ22、攪拌搬送スクリュー23、24の駆動源である現像部駆動モータ51とは別の排出駆動モータ61とすることができる。つまり、現像部駆動モータ51とは独立した排出駆動モータ61により、現像剤排出規制部材41、排出スクリュー45を回転駆動するようにしてもよい。この独立した排出駆動モータ61の動力で現像剤排出規制部材41と排出スクリュー45とが回転駆動することによって、突出部40内の現像剤が排出開口47から排出される。この場合には、制御装置32により排出駆動モータ61を独立して駆動制御することが可能となる。これにより、現像剤排出規制部材41の間欠駆動や回転時間を細かく設定することができ、したがって、より細かい現像剤の排出制御が可能となり、現像槽21内の現像剤量を一定に保ち易くなる。さらに、現像槽21内のトナー濃度を一定に保つことが可能となり、複写機の複写画質を良好に維持することができる。
また、図17に示すように、現像剤排出規制部材41、排出スクリュー45の駆動源を、キャリア現像剤補給ユニット30のキャリア現像剤補給ローラ31の駆動源である現像剤補給ユニットモータ71との共用とすることもできる。この場合には、現像剤補給ユニットモータ71の動力は、現像剤補給ユニットモータ71の出力軸に連結されたギヤ72、アイドルギヤ73、ギヤ74を介して伝達され、さらにギヤ74と連結されている排出スクリュー45の回転軸45aに伝達される。これにより、キャリア現像剤補給ローラ31の回転駆動と同期して、現像剤排出規制部材41、排出スクリュー45が回転駆動するようになっている。
この場合、キャリア現像剤補給ローラ31の回転駆動によって、新たなキャリア現像剤が現像剤搬送管75を搬送され、現像槽21の上壁部に形成された補給用開口21aから現像槽21に補給される。このキャリア現像剤の補給タイミングと同期して、この現像剤排出規制部材41と排出スクリュー45との回転駆動によって、突出部40内の現像剤が排出開口47から排出される。つまり、現像槽21へのキャリア現像剤の補給タイミングと、突出部40における現像剤排出タイミングとが等しくなる。そして、キャリア現像剤の補給量と突出部40における現像剤排出量とが等しくなるように、現像剤排出規制部材41および排出スクリュー45の回転数を、ギヤ72、アイドルギヤ73、ギヤ74により設定することによって、常に、現像槽21内の現像剤量を一定に保ち、かつ、現像槽21内のトナー濃度を一定に保つことが可能となり、この結果、複写機における複写画質を良好に維持することができる。
次に、上述のように構成される現像装置20における現像剤の排出について説明する。
現像槽21の攪拌搬送スクリュー23による現像剤搬送方向下流側の側壁21cには、現像剤排出開口33が形成されている。現像槽21内の余剰現像剤は、現像槽21に収容された現像剤の表面高さに応じてオーバーフローにより現像剤排出開口33から突出部40に排出される。このとき、現像槽21内では、攪拌搬送スクリュー23の回転による現像剤の搬送方向は、現像剤排出開口33の形成されている側壁21cに向けた方向となっている。このように、現像剤が突出部40に排出されるにあたって、攪拌搬送スクリュー23の回転による現像剤の流れを積極的に利用できるような位置に現像剤排出開口33が形成されている。これにより、補給用開口21aより補給された新たなキャリア現像剤の補給量に対する現像剤排出レスポンスを向上させることができる。
現像剤排出開口33から突出部40への現像剤の排出は次のように行われる。突出部40に設けられる現像剤排出規制部材41の回転により、現像剤排出開口33と現像剤排出規制部材41の開口42とが互いに連通したときには、現像剤排出開口33から突出部40への現像剤の流出が行われ、逆に、互いに連通していないときには、現像剤排出規制部材41の開口42以外の部分に遮られる結果、現像剤排出開口33から突出部40への現像剤の流出が行われない。そして、現像剤排出規制部材41の開口42の数や開口面積に応じて、現像剤排出開口33から溢れ出た現像剤の排出量および排出時間を規制することができ、また、補給された新たなキャリア現像剤の攪拌時間を調整することができる。つまり、補給された新たなキャリア現像剤が現像槽21内の現像剤と十分攪拌されず現像剤の上を滑るように搬送され、そのまま現像剤排出開口33から排出されることを防ぐことが可能となり、十分に攪拌された現像剤のみを排出することが可能となる。
また、開口42の開口面積Bは、現像剤排出開口33の開口面積Aと同一またはそれよりも大きくなっているので、現像剤排出開口33より溢れ出た現像剤をよりスムーズかつ確実に現像剤排出規制部材41の開口42に移すことが可能となる。
突出部40内における現像剤の移動は次のように行われる。突出部40に設けられる現像剤排出規制部材41の回転により、現像剤排出規制部材41の開口42と過剰排出規制部材43の開口44とが互いに連通したときには、開口42から開口44への現像剤の移動が可能となり、逆に、互いに連通していないときには、過剰排出規制部材43の開口44以外の部分に遮られる結果、開口42から開口44への現像剤の移動が不可能となる。そして、過剰排出規制部材43の開口44の数や開口面積に応じて、現像剤排出規制部材41から移される現像剤の排出量および排出時間を調整することが可能となる。また、開口44の開口面積Cは、開口42の開口面積Bと同一またはそれよりも大きくなっているので、現像剤排出規制部材から移される現像剤をよりスムーズかつ確実に過剰排出規制部材の開口に移すことが可能となる。
ここで、上述したように、現像剤排出規制部材41が回転しても、全ての開口33、42、44が同時に連通しないようになっているため、過剰な現像剤の排出を規制することが可能となる。つまり、現像槽21が傾いた場合でも、現像槽21から現像剤排出規制部材41に排出された現像剤しか排出されず、言い換えれば、現像槽21内の現像剤が現像剤排出開口33より間欠的にしか排出されないため、過剰な現像剤の排出を規制することが可能となる。これにより、常に、現像槽21内の現像剤量を一定に保ち、かつ、現像槽21内のトナー濃度を一定に保つことが可能となり、この結果、複写機における複写画質を良好に維持することができる。
また、突出部40内では、過剰排出規制部材43の開口44から空間46へ現像剤が流れ込む。空間46へ流れ込んだ現像剤は、排出スクリュー45の回転により、排出開口47へ向けて搬送され、この排出開口47から排出される。このように、排出スクリュー45を回転させて、空間46へ流れ込んだ現像剤を強制的に移動させることによって、開口44より排出された現像剤が空間46に蓄積し、開口44を塞いでしまうことを防止するようにしている。そして、これにより、現像槽21の余剰現像剤の回収を常に良好に行うことができるようにしている。また、現像剤を回収する現像剤回収容器の設置位置の自由度も生まれる。
以上では、現像装置20において、突出部40の円筒状の内壁の軸心40aが攪拌搬送スクリュー23の回転軸23aの軸心と一致するように、突出部40を配置した場合について説明したが、図18に示すような位置に突出部40を配置した現像装置120とすることも可能である。
図18に示す現像装置120では、突出部40の円筒状の内壁の軸心40aが次のような位置となるように、突出部40が配設されている。すなわち、上記軸心40aから攪拌搬送スクリュー23の回転軸23aの軸心までの距離と、上記軸心40aから攪拌搬送スクリュー24の回転軸24aの軸心までの距離とが等しくなるような位置に突出部40が配設されている。また、現像剤排出開口133は、側面視で、突出部40の内部の領域に含まれるような位置に形成されている。このような位置に突出部40、現像剤排出開口133を設けることによって、現像剤排出開口133周辺の現像剤は、攪拌搬送スクリュー23、24による現像剤搬送力の直接の影響を受けにくくなり、現像剤面の高低差バラツキが少なくなり安定する。これにより、安定してオーバーフロー現像剤を、現像剤排出開口133より溢れ出すことが可能となる。