JP4560907B2 - 蓋材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上端に開口部を有し、かつ上端周縁にフランジ部を有する容器本体の、前記フランジ部のシール密封に適した紙を主体とした蓋材に関するものであり、特に即席麺等を収納し、熱湯を注いで食する容器の蓋材でアルミニウム箔を含まない構成の蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば即席麺や即席スープ等を収納する容器で、上端に開口部を有し、かつ上端周縁にフランジ部を有する容器本体の前記フランジ部をシール等で密封する紙を主体とした蓋材として、紙層の下面にアルミニウム箔、シーラント層が積層されたものが知られている。
【0003】
このようなアルミニウム箔が積層されている蓋材は、香りを保持する保香性、充填機適性(容器に内容物を充填し、この蓋材でシールする時の蓋材がカールしていないこと)、遮光性に優れ、さらにこの容器の開封に際し、フランジ部にシールされている蓋材をその周縁のタブを持ち上げながら略中心部まで剥がすと、上記のようなアルミニウム箔を介在させた構成の蓋材は、剥がしたままの状態を維持できる性質(以下デッドホールド性という)を有するものである。すなわちこのデッドホールド性により、例えば即席ラーメンなどでは、剥がして半開きの状態のまま容易に熱湯を注ぐことができ、次いで一旦もとに戻して再封し麺を温めほぐし柔らかくしてから、再開封して食すものである。このように蓋材にアルミニウム箔の介在は、各面での有用な特性を有するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなアルミニウム箔が介在する構成の蓋材においては、使用後の焼却処理において、アルミニウム箔が炉中にインゴットとして絡みついて焼却炉を傷めたり、焼却効率を低下させたりする問題があり、また、その焼却灰の埋立処分において雨水等との反応による有害ガスの発生等環境に係わる問題があった。
【0005】
さらにまた、蓋材にアルミニウム箔の介在は、内容物が収容された容器中に金属系切り粉等の混入を検査する金属探知機の使用を不可能にしていて、このような金属探知機使用による検査法を可能とすることが要望されていた。
【0006】
上記問題点と要望点を解決するための蓋材として、例えばアルミニウム箔を除いたものとして、遮光性付与のためのアルミニウム蒸着紙層、保香性付与のための高密度ポリエチレン層、ヒートシールのためのシーラント層等で構成された積層材料があるが、アルミニウム蒸着紙では金属探知器が使用できず、高密度ポリエチレン層では、充填機適性(カールしない性質)のコントロールが困難で、開封に際し蓋が破れたり、デッドホールド性に乏しいので、蓋が簡単に閉じてしまい、熱湯を注ぎ難くし、熱湯がこぼれ火傷などの危惧のあるものであった。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題点や要望点を解決するものであり、その課題とするところは、廃棄物に係わる環境問題の危惧がなく、金属探知機による製品の検査を可能にし、カールのない充填機適性に優れ、必要に応じて遮光性の付与も可能で、開封に際して破裂等がなく、かつ十分なデッドホールド性を有する蓋材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、容器本体の上端開口部をシール密封する、アルミニウム箔を含まない積層体で、外周縁に開封用タブを有する蓋材であって、前記積層体は、少なくとも最外層が紙層でなり、以下薄膜押出し樹脂層、二軸延伸された基材フィルム層、高ピール樹脂層の順に積層されており、且つ前記高ピール樹脂層のピール強度が、2〜6kg/15mmであることを特徴とする蓋材としたものである。
【0009】
上記請求項1の発明によれば、アルミニウム箔が積層されていないので、廃棄物に係わる環境問題の付加が軽減され、かつ金属探知機による製品検査を可能にし、中間に二軸延伸されたフィルムを積層することによって、保香性の付与と開封時の破裂をなくす蓋材を
提供できる。
また、請求項1の発明によれば、ピール強度が2〜6kg/15mmの高ピール樹脂でシーラント層とすることによって、開封に際し、容器のフランジ部から剥離するとこの蓋材が扱かれて凹カールし、疑似的なデッドホールド性のある蓋材とすることができる。
上記でいうデッドホールド性とは、蓋材を容器フランジ部の途中まで剥離した場合、元の状態に戻らず剥離されたままのカールした状態を維持する性質をいう。
【0010】
また、請求項2の発明では、前記薄膜押出し樹脂層は、厚さ3〜8μmの、エチレンモノマーとアクリル酸系モノマーとの共重合体でなることを特徴とする請求項1記載の蓋材としたものである。
【0011】
上記請求項2の発明によれば、低温でかつ薄い膜に押し出すことが可能な共重合樹脂層を設けることによって、カールを少なくして充填機適性に優れた蓋材とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
本発明は、図1の斜視図に示すように、例えば上端にフランジ部(12)でなる開口部を有する容器本体(10)の開口部を密封するための蓋材(20)に関するもので、その蓋材(20)は、周縁に開封する時に指で摘むための開封用タブ(22)を有し、容器本体(10)のフランジ部(12)にヒートシール等でシールされているものである。
【0016】
上記本発明の蓋材(20)は、図2の側断面概略図に示すように、アルミニウム箔を含まない積層体で、この積層体は、例えば最外層が紙層(24)でなり、この紙層(24)の裏面に遮光印刷層(23)、薄膜押出し樹脂層(25)、二軸延伸された基材フィルム層(26)、高ピール樹脂層(27)の順に積層されているものである。
【0017】
上記の遮光印刷層(23)を薄膜押出し樹脂層(25)と基材フィルム層(26)との間に設けてもよく、あるいは薄膜押出し樹脂層(25)の樹脂に着色して遮光性を付与したものでもよい。あるいは遮光性を必要としない蓋材ではこれらを除外することもできる。
【0018】
また本発明では、前記薄膜押出し樹脂層(25)は、厚さ3〜8μmの薄い押出し樹脂層として、上記紙層(24)と基材フィルム層(26)との間に押し出してサンドイッチラミネートするもので、低温で薄く均一に押し出すことのできる(ドローダウン性に優れる)エチレンモノマーとアクリル酸系モノマーとの共重合樹脂を用いるものである。この薄膜押出し樹脂層(25)の厚さを3〜8μmと比較的薄い層とすることによってこの積層体のカールを抑制することができ、3μmに満たないと紙層(24)と薄膜押出し樹脂層(25)とが接着不足となり、8μmを越えるとこの積層体にカールが発生して充填機適性に劣る蓋材となるので好ましくない。
【0019】
また、本発明では、前記高ピール樹脂層(27)即ち最内層のシーラントのピール強度は、2〜6kg/15mmと比較的高いピール強度を有するシーラントとするものである。この高ピール樹脂層(27)のピール強度を2〜6kg/15mmと比較的高いピール強度とすることによって、例えば図3の側断面概略図に示すように、開封に際し、蓋材(20)の開封用タブ(22)を引っ張り上げて容器本体(10)のフランジ部(12)から剥離すると、この蓋材(20)が扱かれて凹カールし、疑似的なデッドホールド性のある蓋材(20)とすることができる。このピール強度が2kg/15mmに満たないと、例えば図4の側断面概略図に示すように、シール強度が弱く比較的容易に容器フランジ部(12)から剥離してしまい、デッドホールド性に乏しい蓋材(20)となり、6kg/15mmを越えるとピールし難い蓋材(20)となり破裂する危惧もあり好ましくない。
【0020】
以下に本発明の蓋材(20)を構成する各層の材料等について説明する。
まず本発明の蓋材(20)を構成する紙層(24)としては、少なくとも表面が白色で多色印刷適性を有するものが好ましく、坪量50g/m2 〜120g/m2 程度の両アート紙、片アート紙あるいは両面、片面コート紙などを好適に使用することができる。坪量で50g/m2 に満たないと、例えば着色された遮光層を設けた場合、表面から黒ずんで見えるので商品価値が劣ることになり好ましくなく、また厚過ぎるとピールした際にデッドホールド性に乏しくなる危惧がある。
【0021】
また、本発明の蓋材(20)を構成する薄膜押出し樹脂層(25)としては、エチレンモノマーとアクリル酸系モノマーとの共重合体(コポリマー)で、例えばエチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)などの低温で且つ薄膜押出しが可能な(ドローダウン性に優れた)樹脂が挙げられ、前記の紙層(24)と基材フィルム層(26)との間に、250℃以下の低温で、厚さ3〜8μmの範囲で押し出して両者のサンドイッチラミネート層として得られる。
【0022】
また、本発明の蓋材(20)を構成する基材フィルム層(26)としては、二軸延伸されたフィルムが破裂防止の点から好ましく、かつ保香性をも考慮したものとして、例えば、厚さ9〜25μm、好ましくは12μm程度の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、このPETに酸化アルミニウム等金属酸化物を蒸着してバリア性を高めたセラミック蒸着フィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、あるいはこのOPPまたは前記PETにポリ塩化ビニリデンをコートしてバリア性を高めたフィルム等が挙げられる。
【0023】
また、本発明の蓋材(20)を構成する高ピール樹脂層(27)としては、ピール強度で2〜6kg/15mmの範囲を満足する樹脂であればよく、シールされる容器の材質によっても異なり、例えば容器のフランジ部(12)がポリエチレン(紙にポリエチレンがコートされているものも含む)の場合は、ポリエチレンとポリプロピレンのブレンド樹脂でポリエチレンが10〜60重量%含まれるもの、容器のフランジ部がポリプロピレンの場合は、ポリエチレンとポリプロピレンのブレンド樹脂でポリプロピレンが10〜60重量%含まれる樹脂:商品名XB16c(和田化学社製)、容器のフランジ部が発泡ポリスチレンの場合は、商品名:VN502(デュポン社製)などが挙げられ、基材フィルム(26)にアンカーコート剤を介して厚さ15〜30μm程度に押し出してラミネートするか、あるいは厚さ15〜30μm程度のフィルムをドライラミネーション用接着剤を介してラミネートして得られる。
【0024】
あるいは前記高ピール樹脂層(27)としてホットメルト接着剤を用い、例えば、容器がポリエチレンあるいはポリスチレンの場合は、ワックス系のホットメルト接着剤:商品名ディックメルトDX−65A、DX−65TS(いずれも大日本インキ化学工業社製)、容器がポリプロピレンの場合は、ワックス系のホットメルト接着剤:商品名ディックメルトDX−10R、DX−213、DX−217(いずれも大日本インキ化学工業社製)などが具体的に挙げられ、ロールコート法等で15〜30μm程度の塗膜として得ることもできる。
【0025】
また、必要に応じて設ける遮光印刷層(23)としては、例えば紙層(24)の裏面に設ける場合、グラビア法にて墨インキを塗布し、その上から白色インキを塗布するか、あるいはグレー(墨インキと白色インキの混合)インキを塗布してもよいが、これらの白色インキはいずれの場合もコンクインキを用いて、蓋材の裏面から見た場合も、見栄えがするようにするとよい。また、例えば薄膜押出し樹脂層(25)と基材フィルム層(26)との間に設ける場合は、基材フィルム層(26)の表面に白色コンクインキを塗布し、その上に墨インキを塗布して得られるか、あるいはグレーインキでもよい。
【0026】
さらにまた、薄膜押出し樹脂層(25)形成のための樹脂にカーボンや白色顔料(酸化チタン等)を分散させて、遮光性が付与された薄膜押出し樹脂層(25)とすることもできる。
【0027】
【実施例】
次に実施例により、本発明を具体的に説明する。
〈実施例1〉
図2に示すように、表面に絵柄等が印刷された坪量79.1g/m2 のコート紙を紙層(24)とし、その裏面に墨インキと白色コンクインキをグラビア法で塗布して遮光印刷層(23)を形成した。
【0028】
一方厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに真空蒸着法にて、酸化アルミニウムを蒸着し、さらに下記組成からなる被覆層塗液をバーコーターにより塗布し、乾燥機で120℃、1分間乾燥させ、厚さ約0.5μmの被覆層を形成して基材フィルム層(26)用のセラミック蒸着フィルムを作成した。
【0029】
〔被覆層塗液の組成〕
テトラエトキシシラン〔Si(OC2 H5 )4 〕10.4gに塩酸(0.1N)を89.6g加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2 換算)の加水分解溶液(A)と、ポリビニルアルコールの3.Owt%の水/イソプロピルアルコール(90/10)溶液(B)を混合した組成。
【0030】
次いで上記で得られた紙層(24)の遮光印刷層(23)面と、セラミック蒸着フィルムの被覆層面との間に、EMAA押出グレード樹脂:商品名ニュクレルAN4225(三井・デュポンポリケミカル社製)を200〜210℃の押出し樹脂温度にて厚さ8μmに押し出して薄膜押出し樹脂層(25)を形成してサンドイッチラミネートした。
【0031】
さらに上記で得られた基材フィルム層(26)のPETフィルム側にワックス系のホットメルト接着剤:商品名ディックメルトDX−65A(大日本インキ化学工業社製)を20g/m2 にロールコート法にて塗布して高ピール樹脂層(27)を形成して積層体とし、小断ちし、打ち抜いて100mmφの蓋材(10)を得た。
【0032】
上記で得られた蓋材(20)はカールもなく平坦なもので、これらを充填機に搭載してポリエチレンがコートされた紙製容器にヒートシールする試験を行ったところ、この蓋材(20)の搬送やシール等にも問題がなく充填機適性に優れるものであった。
【0033】
〈比較例1〉
上記実施例1で使用した高ピール樹脂層(27)用のホットメルト接着剤に代えて、ポリエステル・ウレタン系のドライラミネーション用接着剤:A−515/A−50(武田薬品社製)をグラビア法にて3g/m2 の塗布量で塗布、乾燥し、接着剤表面がまだ粘着状態時に、ポリエチレンに不相溶性成分であるポリブデンを混合した厚さ30μmのイージーピールフィルム:商品名CF7601(東レ合成社製)を加圧接着して積層体とした以外は、実施例1と同様にして100mmφの蓋材(20)を得た。
【0034】
上記で得られた蓋材(20)はカールもなく平坦なもので、これらを充填機に搭載してポリエチレンがコートされた紙製容器にヒートシールする試験を行ったところ、この蓋材(20)の搬送やシール等にも問題がなく充填機適性に優れるものであった。
【0035】
ところが、上記実施例1および比較例1で得られた紙製容器の開封で、蓋材(20)の開封用タブを引っ張り上げ容器のフランジ部から蓋材中央近傍まで剥離したところ、実施例1で得られた蓋材では、図3に示すように、外側に凹カールして、この状態のままで熱湯を注いだり、あるいはヨーグルト等のような内容物を取り出したりできる所謂デッドホールド性に優れるものであった。これに対し比較例1で得られた蓋材では、図4に示すように、カールもせずに容易に剥離して、手を離すと元に戻り、閉封状態となる所謂デッドホールド性に乏しいものであった。
【0036】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、少なくとも最外層が紙層でなり、以下薄膜押出し樹脂層、二軸延伸された基材フィルム層、高ピール樹脂層の順に積層されている蓋材で、アルミニウム箔が積層されていないので、廃棄物に係わる環境問題の付加が軽減され、かつ金属探知機による製品検査を可能にし、中間に二軸延伸されたフィルムを積層することによって、保香性の付与と開封時の破裂をなくす蓋材を提供できる。
【0037】
また、前記薄膜押出し樹脂層は、厚さ3〜8μmの、低温でかつ薄い膜に押し出すことが可能な共重合樹脂層を設けることによって、カールを少なくして充填機適性に優れた蓋材とすることができる。
【0038】
さらにまた、ピール強度が2〜6kg/15mmの高ピール樹脂でシーラント層とすることによって、開封に際し、容器のフランジ部から剥離するとこの蓋材が扱かれて凹カールし、疑似的デッドホールド性のある蓋材とすることができる。
【0039】
従って本発明は、即席麺、即席スープ等の容器の蓋材において、環境問題の負荷が少なくかつ製品検査に金属探知機が使用でき、アルミニウム箔が介在しなくとも充填機適性やデッドホールド性にも優れる蓋材として、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蓋材を用いた容器の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の蓋材の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図3】本発明の蓋材の開封の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図4】本発明の蓋材の開封の他の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【符号の説明】
10‥‥容器本体
12‥‥フランジ部
20‥‥蓋材
22‥‥開封用タブ
23‥‥遮光印刷層
24‥‥紙層
25‥‥薄膜押出し樹脂層
26‥‥基材フィルム層
27‥‥高ピール樹脂層
Claims (2)
- 容器本体の上端開口部をシール密封する、アルミニウム箔を含まない積層体で、外周縁に開封用タブを有する蓋材であって、前記積層体は、少なくとも最外層が紙層でなり、以下薄膜押出し樹脂層、二軸延伸された基材フィルム層、高ピール樹脂層の順に積層されており、且つ前記高ピール樹脂層のピール強度が、2〜6kg/15mmであることを特徴とする蓋材。
- 前記薄膜押出し樹脂層は、厚さ3〜8μmの、エチレンモノマーとアクリル酸系モノマーとの共重合体でなることを特徴とする請求項1記載の蓋材。
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