JP4559539B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池および燃料電池スタックに関する。
燃料電池は、基本的に、プロトンを選択的に輸送する高分子電解質膜、ならびに高分子電解質膜を挟持する一対の触媒電極(燃料極および空気極)から構成される。上記構成を有する燃料電池は、燃料極に供給される燃料ガス(水素を含む)、および空気極に供給される酸化ガス(酸素を含む)を用いて、電気エネルギを継続的に取り出すことができる。
高分子電解質膜は、スルホン酸基を有するフッ素樹脂系イオン交換膜や、炭化水素樹脂系イオン交換膜のような高分子イオン交換膜などを有する電解質から構成される。また、高分子電解質膜が、イオン輸送機能を有するためには、高分子電解質膜が一定量の水分を含むことが必要である。
触媒電極は、高分子電解質膜側に位置し、触媒電極内における酸化還元反応を促進させる触媒層と、触媒層の外側に位置し、通気性および導電性を有するガス拡散層とから構成される。さらに、ガス拡散層は、触媒層側に位置し、触媒層との接触性を向上させるカーボンコート層と、外部から供給されるガスを拡散させて、触媒層に供給するためのガス拡散基材層とから構成される。燃料極の触媒層には、例えば、白金や白金とルテニウムとの合金などが含まれ、空気極の触媒層には、例えば、白金や白金とコバルトとの合金などが含まれる。これら高分子電解質膜および一対の触媒電極(触媒層、カーボンコート層およびガス拡散基材層)を一体化したものは、膜電極接合体(membrane electrode assembly;以下「MEA」という)と呼ばれる。
MEAは、積層されることで電気的に直列に接続されうる。このとき、燃料ガスと酸化ガスとが混ざらないようにするため、および各MEAを電気的に直列に接続するために、導電性を有するセパレータが各MEAの間に配置される。
セパレータには、燃料極に接する燃料極セパレータおよび空気極に接する空気極セパレータがある。燃料極セパレータには、MEAに燃料ガスを供給するための燃料ガス流路が形成され、空気極セパレータには、MEAに酸化ガスを供給するための酸化ガス流路が形成される。
上述したように高分子電解質膜がイオン輸送機能を有するためには、高分子電解質膜が一定量の水分を含むことが必要となる。したがって、燃料電池では、燃料電池内に充分な水分を確保するために、通常反応ガスは予め加湿される。しかし反応ガスを加湿するための加湿器は、発電には直接寄与せず、スペースを必要とする。したがって、加湿器を必要としない燃料電池を開発できれば、燃料電池システムの小型化が可能となり、システム全体のコストを削減することができる。
また、加湿器を必要としない燃料電池を開発できれば、加湿器によるエネルギーロスが無くなるので、システム全体の効率の向上が可能となる。このため、反応ガスが低加湿または無加湿の状態であっても、発電効率が低下しない燃料電池の開発が求められてきた。
従来、燃料電池の運転時に発生した水を燃料電池内に留まらせることで、反応ガスを加湿せずとも燃料電池内に一定量の水を確保する方法が知られていた(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の燃料電池では、酸化ガスが酸化ガス流路内を流れる方向と燃料ガスが燃料ガス流路内を流れる方向とを逆にし、かつ酸化ガス流路の出口に冷媒流路を設けて、酸化ガス流路の出口を局所的に冷却する。
図1は特許文献1に記載された燃料電池の断面図である。図1に示された燃料電池は、MEA1ならびにMEA1を挟む空気極セパレータ2および燃料極セパレータ3を有する。空気極セパレータ2は酸化ガス流路8を有し、燃料極セパレータ3は燃料ガス流路16を有する。
図1に示されるように酸化ガスが流れる方向と、燃料ガスが流れる方向とは逆である。また、酸化ガスのガス出口10上には冷媒流路15が設けられている。酸化ガスのガス出口10上に冷媒流路15が設けられることで、ガス出口10付近の酸化ガスを冷却することができる。ガス出口10付近の酸化ガスが冷却されると酸化ガス中の水分が凝集され、酸化ガス中の水分を回収することができ、燃料電池内で生成された水を燃料電池内に留めることができる。
また、特許文献1に記載された燃料電池では、燃料電池内に均一に酸化ガスを供給するために全ての酸化ガス流路の幅および深さは一様である。
また、セパレータが有する反応ガス流路の断面積を流路の長軸方向に沿って増大させたり、縮小させたりすることで、フラッディングを防止する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、金属板をプレス加工することによって作製された、複数のガス流路を有するセパレータ(金属セパレータ)において、隣接するガス流路同士の体積を違えることで、セパレータの反りを低減する技術が知られている(例えば特許文献3参照)。
また、複数のガス流路を有するセパレータにおいて、各ガス流路同士の体積を調節することで、燃料電池における反応ガスの分布を均一にする技術が知られている(例えば特許文献4参照)。
特開2003−249243号公報 特開2006−114387号広報 特開2005−32578号広報 米国特許出願公開第2007/0105001号明細書
しかしながら、特許文献1に記載された燃料電池では、酸化ガス流路から燃料ガス流路へ移動する水の量が少なく、MEA内の水分分布が不均一になる。以下、特許文献1に記載された燃料電池では、酸化ガス流路から燃料ガス流路へ移動する水の量が少ない理由について説明する。
燃料電池の発電時には空気極触媒層で生成された水は、水蒸気の状態で酸化ガス流路へ拡散する。したがって酸化ガス中に含まれる水分の量は、燃料ガスに含まれる水分の量よりも多い。
一方、図1で示されたように、特許文献1に記載された燃料電池では、燃料ガス流路の容量と酸化ガス流路の容量とには、差がない。また、一般的に酸化ガス流路に流れる酸化ガスの流量は、燃料ガス流路に流れる燃料ガスの流量よりも多い。したがって、図1で示されたような燃料電池では、たとえ酸化ガス中に含まれる水分の量が多くても、酸化ガスの流量も多いため、単位体積あたりの酸化ガス中の水分量と、単位体積あたりの燃料ガス中の水分量との差は、比較的小さい。
酸化ガス流路から燃料ガス流路への水の移動は、酸化ガス中の水分量と、燃料ガス中の水分量との差が大きければ大きいほど促進されることから、特許文献1に記載された燃料電池では、酸化ガス流路から燃料ガス流路への水の移動が充分に促進されない。
また、特許文献1に記載された燃料電池のように酸化ガスの出口のみで酸化ガスを冷却して、水を凝集させても、酸化ガスに含まれる水分の大部分は酸化ガスとともに酸化ガスの出口から燃料電池の外部に排出される。
本発明の目的は、反応ガスを無加湿または低加湿で供給する場合であっても、燃料電池内に充分な量の水分を確保し、水分布を均一にすることができる燃料電池を提供することである。
本発明者は、隣接する酸化ガス流路の横断面の面積の大きさを違えることで、酸化ガス流路から燃料ガス流路への水の移動が促進されることを見出し、さらに検討を加え発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下に記載される燃料電池に関する。
[1]高分子電解質膜、ならびに前記高分子電解質膜を挟む一対の触媒電極を有する膜電極接合体と;前記膜電極接合体を挟む空気極セパレータおよび燃料極セパレータと;を有する燃料電池であって、前記空気極セパレータは、前記膜電極接合体に酸化ガスを供給する第1酸化ガス流路および前記第1酸化ガス流路に隣接する第2酸化ガス流路を有し、前記第1酸化ガス流路および前記第2酸化ガス流路は、互いに平行であり、かつ交互に配置され、前記第1酸化ガス流路の横断面の面積は、前記第2酸化ガス流路の横断面の面積よりも大きく、前記燃料極セパレータは、前記膜電極接合体に燃料ガスを供給し、かつ前記第1酸化ガス流路および前記第2酸化ガス流路に平行な第1燃料ガス流路と、前記第1燃料ガス流路に隣接する第2燃料ガス流路とを有し、前記第1燃料ガス流路および前記第2燃料ガス流路は、互いに平行であり、かつ交互に配置され、前記第1酸化ガス流路は、前記膜電極接合体を挟んで、前記第1燃料ガス流路に対向し、前記第2酸化ガス流路は、前記膜電極接合体を挟んで、前記第2燃料ガス流路に対向し、前記第1酸化ガス流路および第2酸化ガス流路内を前記酸化ガスが流れる方向は、前記第1燃料ガス流路および第2燃料ガス流路内を前記燃料ガスが流れる方向と逆である、燃料電池。
]前記第1燃料ガス流路の横断面の面積は、前記第2燃料ガス流路の横断面の面積よりも小さい、1]に記載の燃料電池。
]前記第1酸化ガス流路の深さは、前記第2酸化ガス流路の深さよりも深く、前記第1燃料ガス流路の深さは、前記第2燃料ガス流路の深さよりも浅い、[2]に記載の燃料電池。
]前記第1酸化ガス流路の幅は、0.8〜1.2mmであり、深さは0.3〜0.8mmであり、前記第2酸化ガス流路の幅は、0.8〜1.2mmであり、深さは0.06〜0.1mmである、[1]〜[]のいずれか一つに記載の燃料電池。
]前記燃料電池に供給される前記酸化ガスの露点は、−10〜75℃であり、燃料電池の発電時の温度は55〜100℃である、[1]〜[]のいずれか一つに記載の燃料電池。
]前記空気極セパレータおよび前記燃料極セパレータは、厚さが一定の波型断面を有する、[1]〜[]のいずれか一つに記載の燃料電池。
]前記空気極セパレータおよび前記燃料極セパレータは、金属セパレータである、[1]〜[]のいずれか一つに記載の燃料電池。
]複数の[]または[]に記載した燃料電池を積層したセル積層体を有する、燃料電池スタックであって、前記セル積層体において隣接する二つの燃料電池を、燃料電池Xおよび燃料電池Yとしたとき、前記燃料電池Xと、前記燃料電池Yとは、前記燃料電池Xの空気極セパレータxおよび前記燃料電池Yの燃料極セパレータyを介して電気的に接続され、前記空気極セパレータxの前記第1酸化ガス流路の裏面は、前記燃料極セパレータyの前記第1燃料ガス流路の裏面と接触し、前記空気極セパレータxの前記第2酸化ガス流路の裏面は、前記燃料極セパレータyの前記第2燃料ガス流路の裏面と接触する、燃料電池スタック。
本発明の燃料電池は、反応ガスを無加湿または低加湿で供給する場合であっても、燃料電池内で水分を循環させることができる。そのため本発明の燃料電池は、反応ガスを無加湿または低加湿で供給する場合であっても、充分な量の水分を燃料電池内に確保し、かつ水分布を均一にすることができるので、MEAの耐久性および高い出力密度を維持することができる。
従来の燃料電池の断面図 本発明の燃料電池の空気極セパレータの平面図 図2で示した空気極セパレータの断面図 本発明の燃料電池の一部の斜視図 本発明の燃料電池の空気極セパレータの平面図 本発明の燃料電池スタックの断面図 本発明の燃料電池スタックの断面図 本発明の燃料電池の断面図 第2酸化ガス流路の深さと反応ガス流路内の湿度との関係を示すグラフ 第2酸化ガス流路の深さと発電電圧およびプロトン導電率との関係を示すグラフ
本発明の燃料電池は、MEAと、MEAを挟むセパレータAおよびセパレータBからなる一対のセパレータと、を有する。また本発明の燃料電池では、供給される反応ガスは無加湿または低加湿である。
(1)膜電極接合体(MEA)について
MEAは、高分子電解質膜ならびに高分子電解質膜を挟む燃料極および空気極からなる一対の触媒電極を有する。空気極は、高分子電解質膜に接する空気極触媒層と、空気極触媒層に積層される空気極ガス拡散層とを有することが好ましい。同様に、燃料極は、高分子電解質膜に接する燃料極触媒層と、燃料極触媒層に積層される燃料極ガス拡散層とを有することが好ましい。
高分子電解質膜は、湿潤状態において、プロトンを選択的に輸送する機能を有する高分
子膜である。高分子電解質膜の材料は、プロトンを選択的に移動させるものであれば特に限定されない。このような材料の例にはフッ素系の高分子電解質膜や炭化水素系の高分子電解質膜などが含まれる。フッ素系の高分子電解質膜の具体的な例には、デュポン社のNafion(登録商標)膜や旭硝子株式会社のFlemion(登録商標)膜、旭化成株式会社のAciplex(登録商標)膜、ジャパンゴアテックス社のGORE−SELECT(登録商標)膜などが含まれる。
空気極触媒層は、水素および酸素の酸化還元反応を促進する触媒を含む層である。空気極触媒層は、導電性を有し、かつ水素および酸素の酸化還元反応を促進する触媒能を有するものであれば特に限定されない。空気極触媒層は、例えば触媒として白金や白金とコバルトとの合金、白金とコバルトとニッケルとの合金など含む。
燃料極触媒層は、水素の酸化反応を促進する触媒を含む層である。燃料極触媒層は、導電性を有し、かつ水素の酸化反応を促進する触媒能を有するものであれば特に限定されない。燃料極触媒層は、例えば、触媒として白金や白金とルテニウムとの合金などを含む。
空気極触媒層および燃料極触媒層は、例えば、これらの触媒を担持させたアセチレンブラックやケッチェンブラック、バルカンなどのカーボン微粒子に、プロトン導電性を有する電解質と撥水性を有するポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene, PTFE)などの樹脂を混合し、高分子電解質膜上に塗布することで形成される。
ガス拡散層(空気極ガス拡散層および燃料極ガス拡散層)は、MEAの最も外側に配置される(セパレータに接する)導電性を有する多孔質層である。ガス拡散層の材料は、導電性を有し、かつ反応ガスが拡散できるものであれば特に限定されない。ガス拡散層は、セパレータ側から供給されるガスを触媒層に拡散させるガス拡散基材層と、ガス拡散基材層と触媒層との接触性を向上させるカーボンコート層とから構成されていてもよい。
ガス拡散層は、例えば、撥水性を有するPTFEなどの樹脂を付帯させた炭素繊維や、糸状のカーボンを織って作製したカーボンクロス、紙状のカーボンペーパーなどを触媒層表面に熱圧着して、作製されてもよい。
(2)セパレータについて
セパレータは、リブによって規定された複数のガス流路を有する導電性の板である。ガス流路は、反応ガス(酸化ガスまたは燃料ガス)を電極に供給するための流路である。セパレータはカーボンの板にガス流路を刻印することで製造されてよい(図3A参照)。また、セパレータは、導電性のプレートにプレス加工によってガス流路することで製造されてもよい(図4参照)。導電性のプレートは、カーボンプレートであってもよく金属プレートであってもよい。金属プレートをプレス加工することによって製造されたセパレータは金属セパレータとも称される。
導電性のプレートにプレス加工することによって製造されたセパレータ(以下単に「波型断面を有するセパレータ」と称する)は、厚さが一定の波型断面と、表裏一体に形成された流路と、を有する。つまり波型断面を有するセパレータの第1面には、溝とリブが交互に形成されており;その溝とリブに対応する箇所の第1の面の裏面には、リブと溝がそれぞれ形成されている。
本発明はセパレータの構造に特徴を有する。以下、i)セパレータAおよびii)セパレータBについて説明する。
i)セパレータAについて
セパレータAは、リブによって規定された複数のガス流路を有する導電性の板である。本発明の燃料電池では、セパレータAが、横断面の面積の大きい(すなわち容量が大きい)ガス流路(以下「第1ガス流路a1」と称する)と、横断面の面積の小さい(すなわち
容量が小さい)ガス流路(以下「第2ガス流路a2」と称する)とを有することを特徴とする。ここで横断面とは流路の長手方向に垂直な断面を意味する。第1ガス流路a1の横断面の面積と第2ガス流路a2の横断面の面積との比率は、5:1〜9:1であることが好ましい。
第1ガス流路a1と第2ガス流路a2とは互いに平行であることが好ましい。また、第1ガス流路a1および第2ガス流路a2は交互に配置されていることが好ましい。第1ガス流路a1と第2ガス流路a2との間のギャップは0.7〜1.3mmであることが好ましい。
ガス流路の容量を調節するには、ガス流路の幅を調節してもよいし、ガス流路の深さを調節してもよいが、ガス流路の深さを調節することが好ましい。第1ガス流路a1の幅は、0.8〜1.2mmであり、深さは0.3〜0.8mmであることが好ましい。第2ガス流路a2の幅は、0.8〜1.2mmであり、深さは0.06〜0.1mmであることが好ましい。
図2はガス流路の深さを調節することで、セパレータAのガス流路の容量を調節した例を示す。図2は本発明におけるセパレータAの一例の平面図である。図2に示されるようにセパレータA120は、第1ガス流路121、第2ガス流路122およびガス流路を規定するリブ123を有する。図2に示されるように第1ガス流路121と第2ガス流路122とは互いに平行である。また、第1ガス流路121および第2ガス流路122は交互に配置されている。
図3Aは図2に示されたセパレータA120のAA線による断面図である。また図3Bは図3Aに示されたセパレータA120の四角で囲まれた領域の拡大図である。図3Aおよび図3Bに示されるように第1ガス流路121の深さ121dは、第2ガス流路122の深さ122dよりも深い。したがって、第1ガス流路121の横断面の面積は、第2ガス流路122の横断面の面積よりも大きい。すなわち第1ガス流路121の容量は、第2ガス流路122の容量よりも大きい。
本発明では、セパレータAは、空気極セパレータであることが好ましい。したがって、本発明では、セパレータAが有するガス流路は、空気極に酸化ガスを供給するための酸化ガス流路であることが好ましい。以下「セパレータA」を「空気極セパレータ」と;「第1ガス流路a1」を「第1酸化ガス流路」と;「第2ガス流路a2」を「第2酸化ガス流路」とも称する。
ii)セパレータBについて
セパレータBは、リブによって規定された2以上のガス流路を有する導電性の板である。本発明では、セパレータBのガス流路と、上述したセパレータAのガス流路とは平行である。また、セパレータBは、セパレータAと同一の材料からなることが好ましい。特にセパレータBおよびセパレータAを金属セパレータにした場合、1つの流路パターンを有する金属セパレータがセパレータAにもセパレータBにもなりうることから、製造プロセス上のメリットがある。
本発明の燃料電池では、セパレータBは第1ガス流路b1および第1ガス流路b1に隣接する第2ガス流路b2を有する。第1ガス流路b1および第2ガス流路b2は、互いに平行であり、かつ交互に配置されることが好ましい。第1ガス流路b1の横断面の面積と、第2ガス流路b2の横断面の面積は同一であってもよいが、第1ガス流路b1の横断面の面積は、第2ガス流路b2の横断面の面積よりも小さいことが好ましい。すなわち第1ガス流路b1の容量は、第2ガス流路b2の容量よりも小さいことが好ましい。第1ガス
流路b1の横断面の面積と第2ガス流路b2の横断面の面積との比率は、1:5〜1:9であることが好ましい。
ガス流路の容量を調節するには、ガス流路の幅を調節してもよいし、ガス流路の深さを調節してもよいが、ガス流路の深さを調節することが好ましい。第1ガス流路b1の幅は、0.8〜1.2mmであり、深さは0.06〜0.1mmであることが好ましい。第2ガス流路b2の幅は、0.8〜1.2mmであり、深さは0.3〜0.8mmであることが好ましい。
本発明では、セパレータBは、燃料極セパレータであることが好ましい。したがって、本発明では、セパレータBが有するガス流路は、燃料極に燃料ガスを供給するための燃料ガス流路であることが好ましい。以下「セパレータB」を「燃料極セパレータ」と;「第1ガス流路b1」を「第1燃料ガス流路」と;「第2ガス流路b2」を「第2燃料ガス流路」とも称する。
(3)酸化ガス流路(セパレータAのガス流路)と燃料ガス流路(セパレータBのガス流路)との位置関係について
本発明の燃料電池では、酸化ガス流路と燃料ガス流路とがMEAを挟んで対向することが好ましい。より具体的には、第1酸化ガス流路が第1燃料ガス流路にMEAを挟んで対向し、第2酸化ガス流路が第2燃料ガス流路にMEAを挟んで対向することが特に好ましい。
図4は本発明の燃料電池の一部の斜視図であり、酸化ガス流路(セパレータAのガス流路)と燃料ガス流路(セパレータBのガス流路)との位置関係を示す図である。
図4に示されたように燃料電池100は、MEA110、空気極セパレータ(セパレータA)120および燃料極セパレータ(セパレータB)130を有する。MEA110は、高分子電解質膜111、空気極触媒層113、燃料極触媒層115、空気極ガス拡散層117、および燃料極ガス拡散層119を有する。図4に示された空気極セパレータ120および燃料極セパレータ130は波型断面を有するセパレータである。
空気極セパレータ120は第1酸化ガス流路(第1ガス流路a1)121および第2ガス流路122(第2ガス流路a2)を有する。燃料極セパレータ130は第1燃料ガス流路(第1ガス流路b1)131および第2ガス流路132(第2ガス流路b2)を有する。第1酸化ガス流路121の横断面の面積は、第2酸化ガス流路122の横断面の面積よりも大きい。第1燃料ガス流路131の横断面の面積は、第2燃料ガス流路132の横断面の面積よりも小さい。
図4に示した矢印Xは、酸化ガスが酸化ガス流路内を流れる方向を示し、矢印Yは燃料ガスがガス燃料ガス流路内を流れる方向を示す。このように酸化ガスが酸化ガス流路内を流れる方向は、燃料ガスが燃料ガス流路内を流れる方向と逆である。
このように、容量の大きい第1酸化ガス流路と容量の小さい第2酸化ガス流路とを交互に配置し、酸化ガスが酸化ガス流路内を流れる方向を、燃料ガスが燃料ガス流路内を流れる方向と逆にすることで、燃料電池の発電中に生成された水の酸化ガス流路から燃料ガス流路への移動を促進することができる。水の酸化ガス流路から燃料ガス流路への移動を促進するメカニズムについては後述する。
また、図4に示されるように、酸化ガス流路と燃料ガス流路とはMEA100を挟んで対向していることが好ましい。より具体的には、第1酸化ガス流路121は、MEAを挟
んで、第1燃料ガス流路131に対向し;第2酸化ガス流路122は、MEAを挟んで、第2燃料ガス流路132に対向している。第2酸化ガス流路の横断面の面積と第2燃料ガス流路の横断面の面積との比率は、1:5〜1:9であることが好ましい。
これまでは、空気極セパレータ内の酸化ガス流路が直線状である例について説明してきた(図2参照)。しかし本発明では、酸化ガス流路は、図5で示すように蛇行していてもよい。
また、上述のように酸化ガス流路が蛇行状である場合は、燃料ガス流路も蛇行状であることが好ましい。
本発明の燃料電池を積層して、燃料電池スタックを製造してもよい。通常、燃料電池スタックは、燃料電池を積層したセル積層体と、集電板と、絶縁板と、端板とを有する。セル積層体は、集電板、絶縁板および端版によって挟持され、さらに締結ロッドにより固定される。
燃料電池スタックを製造する場合、空気極セパレータおよび燃料極セパレータは波型断面を有するセパレータであることが好ましい。
図6は、波型断面を有するセパレータである空気極セパレータおよび燃料極セパレータを有する燃料電池を積層したセル積層体を有する、燃料電池スタック101の断面図である。図6に示されるように燃料電池スタック101では、燃料電池100Xと燃料電池100Yとが隣接している。燃料電池100Xと、燃料電池100Yとは、燃料電池100Xの空気極セパレータ120Xおよび燃料電池100Yの燃料極セパレータ130Yを介して電気的に接続される。より具体的には、空気極セパレータ120Xの第1酸化ガス流路121の裏面は、燃料極セパレータ130Yの第1燃料ガス流路131の裏面と接触し;空気極セパレータ120Xの第2酸化ガス流路122の裏面は、燃料極セパレータ130Yの第2燃料ガス流路132の裏面と接触する。これにより、空気極セパレータ120Xおよび燃料極セパレータ130Yとの間に容量が一定の流路140が形成される。燃料電池スタック101においては流路140は冷媒流路として機能することができる。
このように金属セパレータである空気極セパレータおよび燃料極セパレータを有する燃料電池を積層して製造した燃料電池スタックでは、冷媒用の流路を別途に形成する必要がないので、スタックの小型化が可能になる。
また、燃料ガス流路または酸化ガス流路のうち一方の幅を狭めてもよい。図7は、燃料ガス流路の幅が、酸化ガス流路の幅よりも狭い燃料電池を積層したセル積層体を有する燃料電池スタック102の断面図である。図6に示した燃料電池スタック101と同一の構成部材には同一の符号を付し説明を省略する。
図7に示すように、燃料極セパレータ130’が有する燃料ガス流路(131’132’)の幅は、酸化ガス流路(121、122)の幅よりも狭い。このため、燃料ガス流路の裏面は、酸化ガス流路の裏面よりも狭い。これにより、燃料電池スタックにおいて隣接する燃料電池が少々ずれたとしても、燃料電池間の接触面積が変動しにくくなる。このため、燃料電池スタックにおける燃料電池のずれによる出力のムラを抑制することができる。
本発明の燃料電池は、反応ガスが無加湿または、低加湿であっても燃料電池内に充分な量の水分を確保し、高い出力密度を維持できることを特徴とする。すなわち、本発明の燃料電池は、中温無加湿条件または高温低加湿条件下であっても高い出力密度を維持できる。
ここで「中温無加湿条件」とは、燃料電池に供給される酸化ガスが加湿されない運転条件を意味する。具体的には、中温無加湿条件とは、燃料電池の発電時の温度が55〜75℃であり;燃料電池に供給される酸化ガスの露点が45℃以下、好ましくは−10〜45℃であり;燃料電池に供給される燃料ガスの露点が50〜70℃である条件を意味する。露点は、ガスに含まれる水分が多いと高くなり、ガスに含まれる水分が少ないと低くなる。このような中温無加湿条件では、酸化ガスの露点は、燃料ガスの露点よりも通常20℃以上低い。
一方、「高温低加湿条件」とは、燃料電池の発電時の温度が80〜100℃であり;酸化ガスの露点が55〜75℃であり;燃料ガスの露点が50〜70℃である条件を意味する。このような高温低加湿条件では、酸化ガスの露点と、燃料ガスの露点との差は通常10℃以下である。
燃料電池コージェネレーションシステムに供給される燃料ガスは、通常、燃料電池処理器を用いて炭化水素系のガスを改質して生成される。燃料電池処理器を用いて炭化水素系のガスを改質して生成された燃料ガスの露点は、通常50℃〜70℃になる。
(4)本発明の燃料電池内で水分が循環するメカニズムについて
次に本発明の燃料電池が、反応ガスを無加湿または低加湿で供給する場合であっても、燃料電池内に充分な量の水分を確保し、水分布を均一にするメカニズムについて説明する。
酸化ガス流路に、酸素を含む酸化ガスを供給し、燃料ガス流路に水素ガスを含む燃料ガスを供給することで、本発明の燃料電池から電気エネルギを得ることができる。電気エネルギは以下の反応で得られる。
まず、燃料極に供給された水素分子は、燃料極ガス拡散層を拡散し燃料極触媒層に達する。燃料極触媒層において、水素分子は、プロトンと電子に分けられる。プロトンは、加湿された高分子電解質膜を通して空気極側に移動する。電子は、外部回路を通して空気極に移動する。このとき、外部回路を通る電子は、電気エネルギとして利用されうる。空気極触媒層では、高分子電解質膜を通して移動してきたプロトンと、外部回路を通して移動してきた電子と、空気極に供給された酸素とが反応し、水が生成される。生成された水は水蒸気となり、主に酸化ガス流路内に拡散する。
従来の燃料電池では、酸化ガス流路内に拡散した水分は、酸化ガスとともに酸化ガスの出口から燃料電池の外部へ排出されていた。本発明の燃料電池は、酸化ガス中の水分を燃料電池内で循環させることができることを特徴とする。以下図面を用いて、本発明の燃料電池における水分の動きについて説明する。
図8は、図4に示した本発明の燃料電池100の一点鎖線Aによる断面図である。すなわち図8は、第2酸化ガス流路122および第2燃料ガス流路132の縦断面図を示す。また図8中の矢印は流れるガスの向きおよび量を示す。上述したように、第2酸化ガス流路122の容量は、MEA110を挟んで対向する第2燃料ガス流路132の容量よりも小さい。したがって第2酸化ガス流路122内を流れる酸化ガスの流量は少ない。このため、第2酸化ガス流路122内を流れる酸化ガス中の酸素のほとんどは、第2酸化ガスの入口125側で、消費され、第2酸化ガス流路122内を流れる酸化ガス中の酸素の量は少なくなる。このため、第2酸化ガス流路122内を流れる酸化ガス中の水分比率が相対的に高くなる。
一方、第2燃料ガス流路132の容量は大きいので、第2燃料ガス流路132を流れる燃料ガスの流量は多い。また、上述したように、燃料電池の運転時に生成された水は、主に酸化ガス流路内に拡散するので、第2燃料ガス流路132を流れる燃料ガス中の水分の量は少ない。このため第2燃料ガス流路132を流れる燃料ガス中の水分の比率は低くなる。
このため、第2酸化ガス流路122内を流れる酸化ガス中の水分の比率が、第2燃料ガス流路132を流れる燃料ガス中の水分の比率よりも高くなる。この水分の比率の差によって、第2酸化ガス流路122から第2燃料ガス流路132への水分の移動が促進される。
また、上述のように酸化ガス流路内には、発電時に発生した水分が拡散するので、酸化ガスは、酸化ガス流路内を流れる過程で、水分を獲得する。このため、酸化ガスの出口127付近で、酸化ガス中の水分の比率が最も高くなる。
一方、燃料ガス中の水素は燃料ガス流路を流れる過程で消費されるので、燃料ガス中の水素の比率は、燃料ガスの入口135付近で最も高い。このため、燃料ガスの入口135付近で、燃料ガス中の水分の比率が最も低くなる。したがって、酸化ガス中の水分比率と、燃料ガス中の水分比率との差は、図8の酸化ガスの出口127および燃料ガスの入口135付近(図8の四角で囲まれた領域)で最も大きくなる。よって、酸化ガス流路の出口127付近から燃料ガス流路の入口135付近への水の移動が最も促進される。
また酸化ガスの出口127付近では、酸化ガス中の酸素の量は少ないことから、発電量が低下する。発電量が低下すると燃料極から空気極への電気浸透による水の移動が低下するので、第2酸化ガス流路から第2燃料ガス流路への水の移動がより促進される。
このように第2酸化ガス流路から第2燃料ガス流路へ水が移動することで、従来は酸化ガスとともに燃料電池の外部に排出されていた水分を燃料電池内で効率的に循環させることができる。燃料ガス流路内に移動した水分は、燃料ガスとともに燃料ガス流路内を流れて、再び燃料電池内に拡散されるので、燃料電池内の水分分布が均一化される。
一方で、第1酸化ガス流路の容量は充分に大きいので、燃料電池に充分な量の酸化ガスを供給することができる。
このように容量の小さい酸化ガス流路を容量の大きい燃料ガス流路にMEAを挟んで対向させ、酸化ガスが流れる方向と燃料ガスが流れる方向とを逆にすることで、反応ガスを無加湿または低加湿で供給する場合であっても、燃料電池内に充分な量の水分を確保することができ、出力密度およびMEAの耐久性を維持することができる。
(5)本発明の燃料電池のシミュレーション1
第2酸化ガス流路の容量を相対的に小さくすることで、燃料電池内の水分の分布が均一化されることを示すため、第2酸化ガス流路の深さを変化させたときの反応ガス流路内の湿度をシミュレーションした。本シミュレーションでは、第1酸化ガス流路および第2酸化ガス流路の幅は1mmに設定し、第1酸化ガス流路の深さは0.5mmに設定した。また第1燃料ガスおよび第2燃料ガス流路の幅は1mmに設定し、第2燃料ガス流路の深さは0.5mmに設定した。また、第1燃料ガス流路の深さは、第2酸化ガス流路の深さと同じにした。また、発電時の燃料電池の温度は90℃に設定した。
図9Aは、第2酸化ガス流路の深さと酸化ガス流路内の湿度との関係を示す。図9Aに示されるように、第1酸化ガス流路の容量と第2酸化ガス流路の容量との間に差がない場
合(第2酸化ガス流路の深さが0.5mmの場合)、酸化ガス流路の上流では相対湿度がおよそ35%、そして酸化ガス流路の下流では相対湿度がおよそ55%であった。
第2酸化ガス流路の深さが0.1mmである場合、酸化ガス流路の上流では相対湿度がおよそ35%、そして酸化ガス流路の下流では相対湿度がおよそ53%であった。
一方、第2酸化ガス流路の深さが0.02mmである場合、酸化ガス流路の上流では相対湿度がおよそ37%、そして酸化ガス流路の下流では相対湿度がおよそ51%であった。このように酸化ガス流路の深さが小さくなればなるほど、酸化ガス流路内における相対湿度のばらつきが減少することが示された。
図9Bは、第2酸化ガス流路の深さと燃料ガス流路内の湿度との関係を示す。図9Bに示されるように、第1酸化ガス流路の容量と第2酸化ガス流路の容量との間に差がない場合(第2酸化ガス流路の深さが0.5mm)、燃料ガス流路の上流では相対湿度がおよそ42%、燃料ガス流路の下流ではおよそ37%、そして最も高い相対湿度がおよそ52%であった。
第2酸化ガス流路の深さが0.1mmである場合、燃料ガス流路の上流では相対湿度がおよそ43%、燃料ガス流路の下流ではおよそ39%、そして最も高い相対湿度がおよそ53%であった。
一方、第2酸化ガス流路の深さが0.02mmである場合、燃料ガス流路の上流では相対湿度がおよそ45%、燃料ガス流路の下流ではおよそ39%、そして最も高い相対湿度がおよそ53%であった。このように酸化ガス流路の深さが小さくなればなるほど、燃料ガス流路内における相対湿度のばらつきが減少することが示された。
図9AおよびBに示された結果は、酸化ガス流路の深さが小さくなればなるほど、燃料電池内の水分分布が均一になることを示唆する。
(6)本発明の燃料電池のシミュレーション2
上述のように第2酸化ガス流路の深さが小さければ小さいほど、燃料電池内における水分分布が均一化される。しかし、第2酸化ガス流路の深さが小さすぎると、酸化ガス流路を通して供給される酸化ガスの量が減少し、発電効率も減少すると考えられる。したがって、最適な第2酸化ガス流路の深さを導くべく第2酸化ガス流路の深さを変化させたときの、発電電圧と高分子電解質膜のプロトン導電率をシミュレーションした。シミュレーションの条件は、シミュレーション1の条件と同じであってよい。
図10は第2酸化ガス流路の深さと、発電電圧および高分子電解質膜のプロトン導電率との関係を示したグラフである。図10に示されるように、第2酸化ガス流路の深さが0.06mmのときに高分子電解質膜のプロトン導電率は最も高くなる。一方、発電電圧は第2酸化ガス流路の深さが0.06〜0.1mmのときに高くなり、第2酸化ガス流路の深さが0.08mmのときに最も高くなる。したがって、第2酸化ガス流路の最適な深さは0.06〜0.1mmであることが示唆される。
このように、本発明の燃料電池では、容量の小さい第2酸化ガス流路と容量の大きい第2燃料ガス流路とを対向させ、酸化ガスが流れる方向と燃料ガスが流れる方向とを逆にすることで、酸化ガス流路から燃料ガス流路への水の拡散を促進することができる。このため本発明の燃料電池は、反応ガスを無加湿または低加湿で供給する場合であっても、MEAの耐久性および高い出力密度を維持することができる。
本出願は、2008年12月2日出願の特願2008−307651に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明に係る燃料電池は、反応ガスを無加湿または低加湿で供給する固体高分子形燃料電池などに有用である。
100 燃料電池
101、102 燃料電池スタック
1、110 MEA
111 高分子電解質膜
113 空気極触媒層
115 燃料極触媒層
117 空気極ガス拡散層
119 燃料極ガス拡散層
2、120 空気極セパレータ
8 酸化ガス流路
121 第1酸化ガス流路
122 第2酸化ガス流路
123 リブ
125 酸化ガスの入口
10、127 酸化ガスの出口
3、130、130’ 燃料極セパレータ
16 燃料ガス流路
131、131’ 第1燃料ガス流路
132、132’ 第2燃料ガス流路
135 燃料ガスの入口
137 燃料ガスの出口
15、140 冷媒流路

Claims (8)

  1. 高分子電解質膜、ならびに前記高分子電解質膜を挟む一対の触媒電極を有する膜電極接合体と;前記膜電極接合体を挟む空気極セパレータおよび燃料極セパレータと;を有する燃料電池であって、
    前記空気極セパレータは、前記膜電極接合体に酸化ガスを供給する第1酸化ガス流路および前記第1酸化ガス流路に隣接する第2酸化ガス流路を有し、
    前記第1酸化ガス流路および前記第2酸化ガス流路は、互いに平行であり、かつ交互に配置され、
    前記第1酸化ガス流路の横断面の面積は、前記第2酸化ガス流路の横断面の面積よりも大きく、
    前記燃料極セパレータは、前記膜電極接合体に燃料ガスを供給し、かつ前記第1酸化ガス流路および前記第2酸化ガス流路に平行な第1燃料ガス流路と、前記第1燃料ガス流路に隣接する第2燃料ガス流路とを有し、
    前記第1燃料ガス流路および前記第2燃料ガス流路は、互いに平行であり、かつ交互に配置され、
    前記第1酸化ガス流路は、前記膜電極接合体を挟んで、前記第1燃料ガス流路に対向し、前記第2酸化ガス流路は、前記膜電極接合体を挟んで、前記第2燃料ガス流路に対向し、
    前記第1酸化ガス流路および第2酸化ガス流路内を前記酸化ガスが流れる方向は、前記第1燃料ガス流路および第2燃料ガス流路内を前記燃料ガスが流れる方向と逆である、燃料電池。
  2. 前記第1燃料ガス流路の横断面の面積は、前記第2燃料ガス流路の横断面の面積よりも小さい、請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記第1酸化ガス流路の深さは、前記第2酸化ガス流路の深さよりも深く、前記第1燃料ガス流路の深さは、前記第2燃料ガス流路の深さよりも浅い、請求項に記載の燃料電池。
  4. 前記第1酸化ガス流路の幅は、0.8〜1.2mmであり、深さは0.3〜0.8mmであり、
    前記第2酸化ガス流路の幅は、0.8〜1.2mmであり、深さは0.06〜0.1mmである、請求項1に記載の燃料電池。
  5. 前記燃料電池に供給される前記酸化ガスの露点は、−10〜75℃であり、燃料電池の発電時の温度は55〜100℃である、請求項1に記載の燃料電池。
  6. 前記空気極セパレータおよび前記燃料極セパレータは、厚さが一定の波型断面を有する、請求項に記載の燃料電池。
  7. 前記空気極セパレータおよび前記燃料極セパレータは、金属セパレータである、請求項に記載の燃料電池。
  8. 複数の請求項に記載した燃料電池を積層したセル積層体を有する、燃料電池スタックであって、
    前記セル積層体において隣接する二つの燃料電池を、燃料電池Xおよび燃料電池Yとしたとき、
    前記燃料電池Xと、前記燃料電池Yとは、前記燃料電池Xの空気極セパレータxおよび前記燃料電池Yの燃料極セパレータyを介して電気的に接続され、
    前記空気極セパレータxの前記第1酸化ガス流路の裏面は、前記燃料極セパレータyの前記第1燃料ガス流路の裏面と接触し、
    前記空気極セパレータxの前記第2酸化ガス流路の裏面は、前記燃料極セパレータyの前記第2燃料ガス流路の裏面と接触する、燃料電池スタック。
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