JP4557376B2 - 多孔質体の製造方法及び多孔質体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細な気泡を有し且つ誘電率の低い耐熱性のある多孔質体とその製造方法に関する。この多孔質体は電子機器の回路基板などとして極めて有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラスチックフィルムは高い絶縁性、寸法安定性、易成形性、軽量などの特徴を有するために、信頼性の必要な部品、部材として、回路基板などの電子、電気機器や電子部品に広く用いられている。近年、電気、電子機器の高性能化、高機能化に伴い、情報の高速転送化が要求されており、これらに使用される部材にも高速化対応が求められている。特に電気特性として、低誘電率化、低誘電正接化が求められている。
【0003】
一般にプラスチック材料の誘電率を下げる試みとして分子骨格を変更する方法が考えられるが、誘電率が分子骨格によって決定されるため、誘電率を下げるには限界がある。そのため、空気の誘電率が低いこと(ε=1)に着目して、プラスチック材料を多孔化させて、その空孔の存在によって誘電率を低下、制御しようとする方法が各種提案されている。
【0004】
そのような多孔質ポリマを得る方法としては、乾式法や湿式法等があり、乾式法では、物理発泡法と化学発泡法とが知られている。物理発泡法は、クロロフルオロカーボン類などの低沸点溶媒を発泡剤として、ポリマに分散させた後、加熱して発泡剤を揮発させることによりセルを形成し、発泡体を得るものである。また、化学発泡法は、ポリマに発泡剤を添加して、これを熱分解することによって生じるガスによりセルを形成し、これによって発泡体を得るものである。
【0005】
例えば、米国特許第4532263号明細書には、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレンなどを発泡剤として用いて、発泡ポリエーテルイミドなどを得る方法が開示されている。
【0006】
さらに近年では、セル径が小さく、セル密度の高い発泡体として、窒素や二酸化炭素などの気体を高圧下でポリマ中に溶解させた後、急激に圧力を解放して、ポリマのガラス転移温度や軟化点付近まで加熱することにより、セルを生じさせる方法が提案されている。この発泡方法は熱力学的不安定状態を生じさせて、セル核を形成させ、ポリマを軟化させてセル成長させる方法であり、従来の化学発泡や物理発泡よりも微細なセル構造の発泡体が得られる利点がある。例えば、特開平6−322168号公報では、この方法をポリエーテルイミドに適用して耐熱性を有する発泡体を得ることが提案されている。また、特開平10−45936号公報には、同様にしてシンジオタクチック構造を有するスチレン系ポリマに適用して、気泡サイズ0.1〜20μmの独立気泡を有する発泡成形体を得て、電気回路部材として用いることが提案されている。また、例えば特開平9−100363号公報には、同様にして二酸化炭素等を発泡剤として用いて、空孔率10vol%以上である多孔質プラスチックを含む、耐熱温度が100℃以上で、且つ誘電率が2.5以下である低誘電率プラスチック絶縁フィルムが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような多孔質樹脂を得る方法において、例えば物理発泡法では、発泡剤の有害性やオゾン層破壊など、各種の環境への負荷が大きい。また、微細で均一なセルを形成することが困難である。また化学発泡法では、発泡後のガス残渣が発泡体中に残存するので、電気、電子機器や電子部品など、低汚染性の高い用途には不向きである。
【0008】
さらに、気体を高圧下でポリマ中に溶解させた後、急激に圧力を解放して、ポリマのガラス転移温度や軟化点付近まで加熱することにより、セルを生じさせる方法において、例えば、前記特開平6−322168号公報に記載される方法では、高圧のガスを圧力容器中で含浸する際に、圧力容器をポリマのビカー軟化点またはその近傍まで加熱するために、減圧時にポリマが溶融状態にあり、高圧ガスが膨張しやすい。よって、形成される発泡体の気泡サイズが10μm〜300μm程度と大きくなるため、回路基板として使用する場合には、基板の厚みが厚くなってしまい、パターン化に際しての微細化にも限界がある。
【0009】
また、例えば、前記特開平10−45936号公報では同様にして、シンジオタクチック構造に適用しているが、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂のガラス転移点が100℃近傍であるため、この発泡体を100℃以上の温度雰囲気下で使用するのは難しい。
【0010】
また、前記特開平9−100363号公報に記載される方法では、同様にして二酸化炭素等を発泡剤として用いて発泡を行っているが、開示された内容の限りでは、気泡サイズがあまり小さくならず、せいぜい5μm程度が最少であり、パターン形成における微細化に限界がある。
【0011】
したがって、本発明の目的は、高い耐熱性を有し、しかも微細なセル構造を有しており、なお且つ誘電率の低い多孔質体及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者らは耐熱性のあるポリイミドなどのポリマに添加物を添加して、特定のミクロ相分離構造を形成させ、両成分の熱分解性の差を利用して、減圧下での加熱により前記添加剤を除去すると、非常に微細なセルを有し、且つ誘電率の低い多孔質体が得られることを見出した。本発明これらの知見に基づくものである。
【0013】
すなわち、本発明は、ポリイミド前駆体の連続相に平均径10μm未満の非連続相が分散したミクロ相分離構造を有するポリマ組成物を、減圧下で加熱することにより、前記非連続相を構成する成分を除去しつつ、ポリイミド前駆体をポリイミドに変化させて、ポリイミド多孔質体を得ることを特徴とする多孔質体の製造方法を提供する。前記非連続相を構成する成分の重量平均分子量は、例えば10,000以下である。また、例えば、前記非連続相を構成する成分をポリイミド前駆体100重量部に対して10〜150重量部の範囲で用いる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の発泡体の素材、つまり多孔質体の連続相として用いられるポリマは耐熱性を有するものであれば何れのポリマでも使用でき、特に限定されるものではないが、非限定的な例として、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。なお、ポリマは単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0015】
上記ポリマの中でも、特に好適に使用されるのは、ポリイミド及びポリエーテルイミドである。ポリイミドは公知乃至慣用の方法により得ることができる。例えば、ポリイミドは、有機テトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物(ジアミン)とを反応させて、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を合成し、このポリイミド前駆体を脱水閉環させることにより得ることができる。
【0016】
上記有機テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物等が挙げられる。これらの有機テトラカルボン酸二無水物は単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0017】
上記ジアミノ化合物としては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−2,2−ジメチルビフェニル、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
【0018】
上記ポリイミド前駆体は、有機テトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物(ジアミン)とを、通常、有機極性溶媒中、0〜90℃で1〜24時間反応させることにより得られる。前記有機溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0019】
ポリイミド前駆体の脱水閉環反応は、例えば、300〜400℃程度に加熱したり、無水酢酸とピリジンの混合物などの脱水環化剤を作用させることにより行われる。一般にポリイミドは有機溶媒に不溶であり、成形困難なポリマである。
よって、ポリイミドからなる多孔質体を製造する場合、前記ミクロ相分離構造を有するポリマ組成物の調製には、ポリマとして上記のポリイミド前駆体を用いるのが一般的である。
【0020】
また、ポリイミドは、上記方法のほか、有機テトラカルボン酸二無水物とN−シリル化ジアミンとを反応させて得られるポリアミド酸シリルエステルを加熱閉環させる方法などによっても得ることが可能である。
【0021】
なお、本発明に用いることのできるポリエーテルイミドは、同様に慣用の方法で得ることができるが、市販品、例えばウルテム樹脂(ジェネラルエレクトリック社製)およびスペリオ樹脂(三菱樹脂株式会社製)などを使用しても良い。
【0022】
本発明において、前記ミクロ相分離構造の非連続相を構成する部分(以下、添加剤と記す場合がある)としては、上記耐熱性ポリマに混合した場合に分散し得る化合物であって、より具体的には耐熱性ポリマに微粒子状となってミクロ相分離して、海島構造を形成し得る化合物である。これら添加剤は減圧下で加熱することにより除去可能な成分であれば特に限定されない。
【0023】
このような添加剤としては、ポリアクリレートオリゴマ類、ポリエーテルオリゴマ類、ポリエステルオリゴマ類、ポリウレタンオリゴマ類などが挙げられる。
なお、これらのオリゴマ類にはモノマも含まれる。
【0024】
ポリアクリレートオリゴマ類としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0025】
ポリエーテルオリゴマ類としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、及びそれらの片末端若しくは両末端が、メチル基などのアルキル基、アリル基などのアルケニル基、フェニル基などのアリール基、(メタ)アクリロイル基などのアシル基など又はこれらの組み合わせにより封鎖された封鎖物などが挙げられる。
【0026】
ポリエステルオリゴマ類としては、例えば、ε−カプロラクトン、ポリカプロラクトンオリゴマ、及びそれらの片末端若しくは両末端が、メチル基などのアルキル基、アリル基などのアルケニル基、フェニル基などのアリール基、(メタ)アクリロイル基などのアシル基、又はこれらの組み合わせにより封鎖された封鎖物などが挙げられる。
【0027】
ポリウレタンオリゴマ類としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオールなどのマクロポリオールと、ポリイソシアネートモノマーとの反応生成物などのウレタンポリオール、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセリンジメタクリレート、などのヒドロキシ(メタ)アクリレートモノマーと、メチレンジイソシアネートなどのポリイソシアネートモノマー、あるいは、上記ウレタンポリオールとの反応生成物などのウレタンアクリレートなどが挙げられる。
【0028】
これらの添加剤は単独で用いてもよく2種以上組み合わせて用いてもよい。上記添加剤の重量平均分子量は特に制限はないが、100〜10,000が好ましく、より好ましくは200〜3,000程度であり、特に300〜1,300程度が好ましい。添加剤の重量平均分子量が100未満では添加剤が連続相を構成するポリマ(ポリイミド前駆体など)に完全に相溶して多孔化できないことがある。一方、添加剤の重量平均分子量が10,000を超えると、形成されるミクロ相分離構造が大きくなりすぎたり、後の除去が難しくなることがある。前記添加剤としては、オリゴマを用いる場合が多い。
【0029】
本発明におけるミクロ相分離構造を有するポリマ組成物は、慣用乃至公知の手法を適用または応用することにより形成できる。例えば、前記耐熱性を有するポリマ素材と前記添加剤とを所定の配合割合で溶媒(通常、有機溶媒)中に溶解し、所望の形状(例えば、シートまたはフィルム状等)に成形した後、該溶媒を乾燥により除去し、前記添加剤をポリマ素材中で不溶化させることにより、前記ポリマの連続相に平均径10μm未満の前記添加剤からなる非連続相が分散したミクロ相分離構造を有するポリマ組成物を得ることができる。この時の乾燥温度は、用いた溶媒の種類によっても異なるが、通常では60℃以上(例えば、60〜250℃程度)である。なお、この際に、連続相を構成するポリマと非連続相を構成する添加剤とが反応により結合しても何らかまわない。
【0030】
前記添加剤の添加量は、該添加剤と前記ポリマの組み合わせに応じて適宜選択できるが、形成させる多孔質体の気泡サイズを10μm未満とするためには、通常、ポリマ(ポリイミド前駆体など)100重量部に対して、200重量部以下、特に150重量部以下とするのが好ましい。200重量部より多い場合には、形成されるセル径が大きくなり過ぎ、回路への使用が難しくなる場合がある。また、誘電率を3.0以下にするために必要な気泡を形成させるためには、前記添加剤を10〜150重量部の範囲で用いるのが好ましい。
【0031】
前記ミクロ相分離構造を有するポリマ組成物から非連続相を構成する成分、すなわち前記添加剤を、該添加剤と前記ポリマとの熱分解温度の差を利用して、減圧下での加熱により非連続相から除去することにより、ポリマ内に極めて微細な気泡が形成される。
【0032】
この加熱温度は、添加剤の分解温度等に応じて適宜選択できるが、一般には100℃以上(例えば100〜500℃、好ましくは250〜450℃程度)である。また、加熱操作は、前記添加剤を効率よく除去するとともに、気泡内に残存する添加剤又はその分解残渣を確実に除去するため、減圧下で行う。減圧操作は一般的には1×10-2atm(1×10-3MPa)以下で行われる。好ましくは、5×10-4atm(5×10-5MPa)以下であり、より好ましくは2×10-4atm(2×10-5MPa)以下である。減圧が不十分であると、多孔質体内部から分解残渣が完全に除去しきれず、回路基板等として用いた際に電気部品等を汚染する恐れがある。
【0033】
なお、前記ポリマ組成物の連続相を構成するポリマとしてポリイミド前駆体を用いた場合には、この減圧下での加熱操作の際に、加熱によりポリイミドに変化させることも可能である。
【0034】
上記方法によれば、例えば10μm未満の微細な気泡サイズを有し、しかも誘電率が例えば3以下である耐熱性のある多孔質体を製造できる。特に、従来の方法では得られなかった、平均気泡径が5μm未満(例えば0.1〜5μm、好ましくは0.1〜1μm程度)で且つ誘電率が3以下(例えば1.5〜3程度)の耐熱性の多孔質体を得ることができる。このような多孔質体は耐熱性のあるポリマの持つ耐熱性、機械的性質等の優れた性質を生かしつつ、電子機器等の内部絶縁体、緩衝材、回路基板などとして極めて有利に利用できる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の多孔質体の製造方法によれば、微細なセル構造を有し、しかも誘電率の低い耐熱性のある多孔質体を簡易に効率よく製造できる。また、本発明の多孔質体は、気泡サイズが非常に小さく、しかも誘電率が低い。そのため、電子機器等の内部絶縁体、緩衝材、回路基板として極めて有用である。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、多孔質体シート及びフィルムの内部構造観察及び誘電率の測定は、以下の方法により行った。
【0037】
(シートの内部構造観察)
作製した多孔質体膜を液体窒素中で凍結破断して断面を露出させた。この断面を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、S−570)にて、加速電圧10kVで観察した。
【0038】
(誘電率の測定)
誘電率は、横河ヒューレット・パッカード(株)製、HP4284AプレシジョンLCRメーターにより測定した。
【0039】
実施例1
撹拌装置及び温度計を備えた500ml容量の四つ口フラスコにp−フェニレンジアミン(PDA)16.2g(150mmol)と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)227gとを加えて、室温で攪拌して溶液とした。次に、この溶液に3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(ジフタル酸二無水物;BPDA)39.7g(135mmol)と、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)3.0g(15mmol)を加え、室温で24時間攪拌して、ポリイミド樹脂前駆体の溶液を得た。
このポリイミド樹脂前駆体溶液に重量平均分子量500のポリエチレングリコールジメチルエーテルオリゴマを、ポリイミド樹脂前駆体100重量部に対して50重量部加えて、攪拌して透明な均一の溶液を得た。この溶液を厚み25μmのステンレス箔(SUS304)上にスピンコータを用いて塗布し、90℃で15分乾燥して溶媒を除去した後、さらに180℃で10分間加熱処理して、オリゴマのミクロ相分離構造を有するポリイミド樹脂前駆体膜を得た。前記オリゴマからなる非連続相の平均径は0.63μmであった。
このポリイミド樹脂前駆体膜を、1.3×10-5atm(1.3×10-6MPa)の減圧下、360℃に加熱して前記オリゴマを除去し、厚み10μmのポリイミド多孔質体膜を得た。得られた多孔質体膜断面のSEM観察像を画像処理して求めた気泡のサイズは0.49μmであった。このポリイミド多孔質体膜の誘電率はε=3.00(1MHz)であった。
【0040】
実施例2
実施例1と同様の方法で調製したポリイミド樹脂前駆体溶液に、実施例1で使用したオリゴマをポリイミド樹脂前駆体100重量部に対して120重量部加えて、攪拌して透明な均一の溶液を得た。この溶液を実施例1と同様の方法でステンレス箔上に塗布後、乾燥、加熱処理してポリイミド樹脂前駆体膜を得た。この時の前記オリゴマからなる非連続相の平均径は1.32μmであった。
得られたポリイミド樹脂前駆体膜を実施例1と同様の方法で減圧加熱して、厚み10μmのポリイミド多孔質体膜を得た。得られた多孔質体膜断面のSEM観察像を画像処理して求めた気泡のサイズは0.77μmであった。このポリイミド多孔質体膜の誘電率はε=2.51(1MHz)であった。
【0041】
実施例3
実施例1と同様の方法で調製したポリイミド樹脂前駆体溶液に、重量平均分子量400のメトキシポリエチレングリコールアリルエーテルオリゴマをポリイミド樹脂前駆体100重量部に対して50重量部加えて、攪拌して透明な均一の溶液を得た。この溶液を実施例1と同様の方法でステンレス箔上に塗布後、乾燥、加熱処理してポリイミド樹脂前駆体膜を得た。この時の前記オリゴマからなる非連続相の平均径は0.63μmであった。
得られたポリイミド樹脂前駆体膜を実施例1と同様の方法で減圧加熱して、厚み10μmのポリイミド多孔質体膜を得た。得られた多孔質体膜断面のSEM観察像を画像処理して求めた気泡のサイズは0.38μmであった。このポリイミド多孔質体膜の誘電率はε=2.83(1MHz)であった。
【0042】
比較例1
実施例1で得られたポリイミド樹脂前駆体溶液を厚さ25μmのステンレス箔(SUS304)上にスピンコータを用いて乾燥後のポリイミド樹脂前駆体膜の厚さが15μmとなるように塗布し、90℃で15分乾燥して溶媒を除去した後、さらに180℃で10分間加熱処理して、ポリイミド樹脂前駆体膜を得た。このポリイミド樹脂前駆体膜を、1.3×10-5atm(1.3×10-6MPa)の減圧下、360℃に加熱して、厚み10μmのポリイミド樹脂膜を得た。得られたポリイミド樹脂膜断面のSEM観察を行ったが気泡は観察されなかった。このポリイミド樹脂膜の誘電率はε=3.20(1MHz)であった。
以上より明らかなように、実施例により得られる耐熱性のあるポリマからなる多孔質体膜は、10μm未満の微細な気泡からなるセル構造を有し、しかも誘電率の低い膜であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた多孔質体膜の断面構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例2で得られた多孔質体膜の断面構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例3で得られた多孔質体膜の断面構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】比較例1で得られた膜の断面構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
Claims (3)
- ポリイミド前駆体の連続相に平均径10μm未満の非連続相が分散したミクロ相分離構造を有するポリマ組成物を、減圧下で加熱することにより、前記非連続相を構成する成分を除去しつつ、ポリイミド前駆体をポリイミドに変化させて、ポリイミド多孔質体を得ることを特徴とする多孔質体の製造方法。
- 非連続相を構成する成分の重量平均分子量が10,000以下である請求項1記載の多孔質体の製造方法。
- 非連続相を構成する成分をポリイミド前駆体100重量部に対して10〜150重量部の範囲で用いる請求項1又は2記載の多孔質体の製造方法。
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