JP4556257B2 - ジカルボン酸誘導体の製造方法およびそれを用いたポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性または感放射線性のポジ型フォトレジスト組成物、ならびにこの組成物の耐熱性保護膜およびレリーフ構造体の製造に使用されるポリベンゾオキサゾール前駆体の製造法とそれを合成するための原料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には耐熱性が優れ、又卓越した電気特性、機械特性等を有するポリイミド樹脂が用いられているが、近年半導体素子の高集積化、大型化、パッケージの薄型化、小型化、半田リフローによる表面実装への移行等により耐熱サイクル性、耐熱ショック性等の著しい向上の要求があり、更に高性能の樹脂が必要とされるようになってきた。
一方、ポリイミド樹脂自身に感光性を付与する技術が最近注目を集めてきており、例えば下記式(III)で示される感光性ポリイミド樹脂が挙げられる。
【0003】
【化7】
【0004】
これを用いるとパターン作成工程の一部が簡略化でき、工程短縮の効果はあるが、現像の際にN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤が必要となるため、安全性、取扱い性に問題がある。そこで最近、アルカリ水溶液で現像ができるポジ型の感光性樹脂が開発されている。例えば、特公平1−46862号公報においてはポリベンゾオキサゾール前駆体とジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂が開示されている。これは高い耐熱性、優れた電気特性、微細加工性を有し、ウェハーコート用のみならず層間絶縁用樹脂としての可能性も有している。このポジ型の感光性樹脂の現像メカニズムは、未露光部のジアゾキノン化合物はアルカリ水溶液に不溶であるが、露光することによりジアゾキノン化合物が化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるものである。
【0005】
このポジ型感光性樹脂のベースポリマーであるポリベンゾオキサゾール前駆体の合成法については、Polymer Letter.,Vol.2,pp655-659(1964)に示されているように、ジカルボン酸クロライドとジアミンとを反応させるのが一般的である。ところがこの方法では、ポリマー中に塩素イオンが残留し回路金属を腐食するため、半導体に用いるのは事実上困難である。
【0006】
そこで特開平9−183846号公報では、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとジカルボン酸とを反応させたジカルボン酸誘導体を経由して、ポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する方法が開示されている。この方法を用いると、上のような残留する塩素イオンの問題は起こらない。さらにその反応において、アミノ基への選択性は高まるが、水酸基への反応は起こりにくいため、ゲル化が起こらないという利点がある。
【0007】
この特開平9−183846号公報では、ジカルボン酸誘導体自身を合成する方法は記載されていないが、従来からの有機化学の分野では縮合剤にジシクロヘキシルカルボジイミドを用いることが一般的手法である。ところがこの反応で合成したジカルボン酸誘導体とジアミンとを反応させポリベンゾオキサゾール前駆体を合成すると、次のような問題が起こる。すなわちジシクロヘキシルカルボジイミドは脱水反応した後、ジシクロヘキシルウレアになるが、これがしばしば単離したポリマー中に残存する。ポリベンゾオキサゾール前駆体は溶剤に溶かして使用され、その溶液を冷凍保存すると残存したジシクロヘキシルウレアが析出し、微細パターンの形成を困難にするという問題を起こす。従ってジシクロヘキシルウレアは完全に除去し純粋に単離したジカルボン酸誘導体を用いることが不可欠である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成原料であるジカルボン酸誘導体を高純度で効率よく、高収率で合成する方法とそのジカルボン酸誘導体とジアミンとを反応後、その分子鎖末端を封止して得られる高純度なポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明はジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸と1―ヒドロキシベンゾトリアゾールとを、縮合剤としてジシクロヘキシルカルボジイミドを用いて反応させた後、 OH基を含む物質によって反応溶液から単離してなる一般式(I)で示されるジカルボン酸誘導体の製造方法である。更に好ましい態様としては、ジシクロヘキシルウレアを除いた濾液にOH基を含む物質を投入し、析出させ、単離する一般式(I)で示されるジカルボン酸誘導体の製造方法である。また、上記のOH基を含む物質が、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールからなる群より選ばれてなる1種類の物質あるいは2種類以上の混合物であり、該ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1モルに対してジシクロヘキシルカルボジイミドを1.9〜2.3モルの範囲で反応させるジカルボン酸誘導体の製造方法である。
【化8】
【0010】
また、上記のジカルボン酸誘導体と、ジアミンとの反応物の分子鎖末端を、アルケニル基またはアルキニル基を有するカルボン酸誘導体で封止してなる事を特徴とする一般式(II)で示されるポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法である。
【化9】
【0011】
【発明の実施の形態】
一般に反応終了後の反応混合物から、目的の生成物を単離する方法には、蒸留による分別蒸留、再結晶、カラムを用いた分離、貧溶剤の使用による析出などがある。これらの単離方法を検討した結果、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸と1―ヒドロキシベンゾトリアゾールとからなる一般式(I)の反応物を単離する際、OH基を含む物質を用い、反応溶液より析出させ、単離するという方法が最も簡単で高純度、高収率であることを見いだした。
【0012】
一般式(I)のような物質は一般に活性エステルとよばれ、例えば活性水素を有するOH基を含む物質では分解されやすいとされているが、本発明ではジカルボン酸としてジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸を用いているのでほとんど分解することはない。この理由はジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールからなる一般式(I)のジカルボン誘導体は、反応性が低いため、析出のためのOH基を含む物質によって分解されにくいことと、 OH基を含む物質が一般式(I)で示されるジカルボン誘導体に対して最も貧溶剤であることによると考えられる。
【0013】
本発明では一般式(I)で示されるジカルボン酸誘導体を合成するにあたり、縮合剤としてジシクロヘキシルカルボジイミドを用いる。ジシクロヘキシルカルボジイミドと1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを用いて活性エステルを作るという方法は公知であるが、本発明ではそれをごく限られたジカルボン酸に適用し、かつ単離において、本来使用不能とされていたOH基を含む物質を使用するということを特徴にしている。
【0014】
この方法を、例えば最も一般的な酸であるイソフタル酸に適応した場合、イソフタル酸と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとがジシクロヘキシルカルボジイミドによって縮合され、活性エステルは得られる。しかし、それを単離するためにOH基を含む物質として、例えば水を添加すると加水分解を起こし、生成物の一部がイソフタル酸と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールに分解してしまう。
【0015】
本発明における一般式(I)の合成にあたっては、あらかじめジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを溶剤に溶かしておき、−5〜10℃の低温下でジシクロヘキシルカルボジイミドを加え、さらに20〜80℃で、好ましくは20〜50℃で攪拌する。反応終了後、 OH基を含む物質によりジカルボン酸誘導体の単離を行い目的とする物質を得る。更に好ましい手順としては、析出したジシクロヘキシルカルボジウレアをろ過して取り除き、OH基を含む物質で濾液を処理する場合、OH基を含む物質を攪拌しながらそれに濾液を投入して目的とする沈殿物であるジカルボン酸誘導体を得る方法と、濾液を攪拌しながらそれにOH基を含む物質を投入して目的とする沈殿物であるジカルボン酸誘導体を得る方法とがあるが、後者の方が好ましい。後者の方が不純物の含有量が少ないため収率が高く、これを用いた製品の歩留まりも良好になる。
この方法では、OH基を含む物質に対してもっとも溶解性が低い目的物のジカルボン酸誘導体が先ず析出し、不純物である未反応ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジシクロヘキシルウレアなどは析出しにくい。
【0016】
また本発明ではその反応においてジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1モルに対してジシクロヘキシルカルボジイミドを1.9〜2.3モル反応させることを特徴としている。ジシクロヘキシルカルボジイミドが1.9モル未満であると目的物のジカルボン酸誘導体の収率が低くなり、また2.3モルを越えると未反応で残ったジシクロヘキシルカルボジイミドが多くなり、これがジシクロヘキシルウレアになっものが不純物として残存しやすくなるため好ましくない。
【0017】
OH基を含む物質としては水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等を使用することができる。またそれらを2種類以上の混合物として使用する事もできる。これらの中で収率の観点より好ましいのは水を50%以上含む液状化合物であり、最も好ましいものは水である。
反応に用いることができる溶剤としてはN―メチル−2−ピロリドン、N、N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどが挙げれるがこれらに特に限定されない。
【0018】
本発明の方法で合成、単離した一般式(I)で示されるジカルボン酸誘導体は次にジアミンと溶剤中で反応させ、ポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する。
ジカルボン酸誘導体とジアミンとの反応温度は20〜150℃の温度が有効である。更にこの反応終了前に酸無水物のようなカルボン酸誘導体を加え、前駆体の末端アミンを封止する。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、更に適当な沈殿剤に投入して反応生成物を沈殿させる。濾過して得られた沈殿物を乾燥し目的とする式(II)で示されるポリベンゾオキサゾール前駆体を得る。沈殿剤としては水及び水とエタノール及びイソプロパノールのようなアルコールとの混合物が適している。反応に用いることができる溶剤としてはN―メチル−2−ピロリドン、 N、N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなとが挙げることができがこれらに特に限定されない。
【0019】
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体(II)のXは、例えば、
【0020】
【化10】
【0021】
等であるがこれらに限定されるものではない。
この中で特に好ましいものとしては、
【0022】
【化11】
【0023】
より選ばれるものである。
又式(II)のZは、例えば、
【0024】
【化12】
等であるがこれらに限定されるものではない。
【0025】
式(II)のZは、基板などに対する高い密着性が必要な場合に用い、その使用割合bは最大40モル%まで使用することができる。40モル%を越えると樹脂の溶解性が極めて低下し、現像残り(スカム)が発生し、パターン加工ができない。
【0026】
本発明における式(II)のEは、一般式(I)のジカルボン酸誘導体とジアミンを反応させポリベンゾオキサゾール前駆体を合成した後、末端のアミノ基をアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有するカルボン酸誘導体、例えば酸無水物を用いて末端を封止するものである。酸無水物としては無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等が有効であるが、特に5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物が有効である。なお、これらX、Z、Eの使用にあたっては、それぞれ1種類であっても2種類以上の混合物であっても構わない。
【0027】
本発明の一般式(I)で示されるジカルボン酸誘導体は、ポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する以外に一般的なポリアミド、ポリエステルなどを合成する原料としても使用することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
《実施例1》
*ジカルボン酸誘導体の合成
ジフェニルエーテル−4、4’−ジカルボン酸258.2g(1モル)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール270.3g(2モル)とをN−メチル−2−ピロリドン1500gに溶解した後、 N−メチル−2−ピロリドン500gに溶解したジシクロヘキシルカルボジイミド412.7g(2モル)を反応系の温度を0〜5℃に冷却しながら滴下する。滴下終了後、反応系の温度を室温に戻し、そのまま12時間攪拌した。反応終了後、析出したジシクロヘキシルカルボジウレアをろ過を行うことによって取り除き、次ぎに濾液に純水2000gを滴下する。沈殿物を濾集し、イソプロピルアルコールで充分に洗浄した後、真空乾燥を行った。赤外吸収スペクトルで分析したところ1780cm-1にエステル結合由来の吸収がみられることにより、これが目的物のジカルボン酸誘導体であり、かつ分解していないことが確認できた。このときの収率は95%と高い値を示した。
【0029】
*ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成
得られたジカルボン酸誘導体147.7g(0.3モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン120.9g(0.33モル)を N−メチル−2−ピロリドン1000gに溶解した。その後反応系を75℃にして12時間反応した。次ぎにN−メチル−2−ピロリドン50gに溶解した5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物11.5g(0.07モル)を加えて、更に12時間反応した。反応混合液を水/メタノール=3/1の溶液に投入、沈殿物を回収し純水で充分に洗浄した後、真空下で乾燥しポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。次ぎに1H―NMRよりジシクロヘキシルカルボジウレアの残留量を調べた所、0.2wt%と非常に少なかった。
【0030】
*析出物有無の評価
ポリベンゾオキサゾール前駆体30gをN−メチル−2−ピロリドン70gに溶解した後、0.2μmのフィルターで濾過を行った。それを−20℃の冷凍庫に1週間保管したが、析出物等は観察されなかった。
【0031】
【化13】
【0032】
《実施例2》
実施例1のジカルボン酸誘導体の合成において、析出に用いた純水2000gの代わりに、純水/メタノール=1/1の混合液を3000g使用して製造し、生成物を分析したところ、赤外吸収スペクトルで1780cm-1にエステル結合由来の吸収がみられることより、これが目的物であり、分解していないことが確認できた。このときの収率は90%と高い値を示した。実施例1と同様にポリベンゾオキサゾール前駆体の合成を行い、1H―NMRよりジシクロヘキシルカルボジウレアの残留量を調べた所、0.1wt%と非常に少なかった。また析出物有無の評価においても析出物等は観察されなかった。
【0033】
《実施例3》
実施例1のジカルボン酸誘導体の合成において析出の際、用いた純水2000gの代わりに、純水/エタノール=1/1の混合液を3000g使用して製造し、生成物を分析したところ、赤外吸収スペクトルで1780cm-1にエステル結合由来の吸収がみられることより、これが目的物であり、分解していないことが確認できた。このときの収率は86%と高い値を示した。実施例1と同様にポリベンゾオキサゾール前駆体合成を行い、1H―NMRよりジシクロヘキシルカルボジウレアの残留量を調べた所、0.2wt%と非常に少なかった。また析出物有無の評価においても析出物等は観察されなかった。
【0034】
《実施例4》
実施例1のジカルボン酸誘導体の合成においてジフェニルエーテル−4、4’−ジカルボン酸258.2g(1モル)に対してジシクロヘキシルカルボジイミド474.6g(2.3モル)を反応させた他は実施例1と同様の操作を行った。生成物を分析したところ、赤外吸収スペクトルで1780cm-1にエステル結合由来の吸収がみられることより、これが目的物であり、分解していないことが確認できた。このときの収率は97%と高い値を示した。実施例1と同様にポリベンゾオキサゾール前駆体合成を行い、1H―NMRよりジシクロヘキシルカルボジウレアの残留量を調べた所、0.4wt%と少なかった。
また析出物有無の評価においても析出物等は観察されなかった。
【0035】
《実施例5》
実施例1のジカルボン酸誘導体の合成においてジフェニルエーテル−4、4’−ジカルボン酸258.2g(1モル)に対してジシクロヘキシルカルボジイミド515.8g(2.5モル)を反応させた他は実施例1と同様の操作を行った。生成物を分析したところ、赤外吸収スペクトルで1780cm-1にエステル結合由来の吸収がみられることより、これが目的物であり、分解していないことが確認できた。このときの収率は98%と高い値を示した。実施例1と同様にポリベンゾオキサゾール前駆体合成を行い、1H―NMRよりジシクロヘキシルカルボジウレアの残留量を調べた所、0.7wt%であった。また析出物有無の評価においても析出物等は観察されなかった。
【0036】
《実施例6》
実施例1のジカルボン酸誘導体の合成においてジフェニルエーテル−4、4’−ジカルボン酸258.2g(1モル)に対してジシクロヘキシルカルボジイミド392.0g(1.9モル)を反応させた他は実施例1と同様の操作を行った。生成物を分析したところ、赤外吸収スペクトルで1780cm-1にエステル結合由来の吸収がみられることより、これが目的物であり、分解していないことが確認できた。このときの収率は89%と高かった。実施例1と同様にポリベンゾオキサゾール前駆体合成を行い、1H―NMRよりジシクロヘキシルカルボジウレアの残留量を調べた所、0.1wt%以下であった。また析出物有無の評価においても析出物等は観察されなかった。
【0037】
《実施例7》
*ジカルボン酸誘導体の合成
ジフェニルエーテル−4、4’−ジカルボン酸258.2g(1モル)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール270.3g(2モル)とをN−メチル−2−ピロリドン1500gに溶解した後、 N−メチル−2−ピロリドン500gに溶解したジシクロヘキシルカルボジイミド412.7g(2モル)を反応系の温度を0〜5℃に冷却しながら滴下する。滴下終了後、反応系の温度を室温に戻し、そのまま12時間攪拌した。反応終了後、析出したジシクロヘキシルカルボジウレアをろ過を行うことによって取り除き、次ぎにこの濾液を純水2000gに投入した。沈殿物を濾集し、イソプロピルアルコールで充分に洗浄した後、真空乾燥を行った。赤外吸収スペクトルで分析したところ1780cm-1にエステル結合由来の吸収がみられることにより、これがジカルボン酸誘導体であり、かつ分解していないことが確認できた。このときの収率は72%であった。
【0038】
*ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成
得られたジカルボン酸誘導体147.7g(0.3モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン120.9g(0.33モル)を N−メチル−2−ピロリドン1000gに溶解した。その後反応系を75℃にして12時間反応した。次ぎにN−メチル−2−ピロリドン50gに溶解した5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物11.5g(0.07モル)を加えて、更に12時間反応した。反応混合液を水/メタノール=3/1の溶液に投入、沈殿物を回収し純水で充分に洗浄した後、真空下で乾燥しポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。次ぎに1H―NMRよりジシクロヘキシルカルボジウレアの残留量を調べた所、1.1wt%とやや多かった。
【0039】
*析出物有無の評価
ポリベンゾオキサゾール前駆体30gをN−メチル−2−ピロリドン70gに溶解した後、0.2μmのフィルターで濾過を行った。それを−20℃の冷凍庫に1週間保管した結果、析出物等が僅かに観察された。
【0040】
《比較例1》
実施例1のジカルボン酸誘導体の合成において、ジフェニルエーテル−4、4’−ジカルボン酸の代わりにイソフタル酸を用いて合成を行った。得られた沈殿物を分析したところ、エステル結合由来(1780cm-1)のピークの他に、一部分解したと考えられる吸収(1720cm-1)が見られ、混合物であることが確認された。この時の回収率は62%と低い値を示した。
【0041】
《比較例2》
ジフェニルエーテル−4、4’−ジカルボン酸258.2g(1モル)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール270.3g(2モル)とをN−メチル−2−ピロリドン1500gに溶解した後、 N−メチル−2−ピロリドン500gに溶解したジシクロヘキシルカルボジイミド412.7g(2モル)を反応系の温度を0〜5℃に冷却しながら滴下した。滴下終了後、反応系の温度を室温に戻し、そのまま12時間攪拌した。反応終了後、析出したジシクロヘキシルカルボジウレアを取り除いた後、ただちにヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン402.9g(1.1モル)を加え、反応系の温度を75℃にして12時間反応した。次ぎにN−メチル−2−ピロリドン50gに溶解した5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物32.8g(0.2モル)を加えて、更に12時間反応した。反応混合液を水/メタノール=3/1の溶液に投入、沈殿物を回収し純水で充分に洗浄した後、真空下で乾燥しポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。1H―NMRよりジシクロヘキシルカルボジウレアの残留量を調べた所、3.1wt%と非常に多く含まれていることが判った。次ぎに実施例1と同様に保存性の評価を行ったところ、−20℃の冷凍庫に1週間保管すると析出物が観察された。
【0042】
《比較例3》
実施例1のジカルボン酸誘導体の合成において、純水の代わりに酢酸エチルを使用したところ、析出する物がなく、目的物は取り出せなかった。
【0043】
《比較例4》
実施例1のジカルボン酸誘導体の合成において、純水の代わりにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを使用したが、析出する物がなく、目的物は取り出せなかった。
【0044】
【発明の効果】
本発明によればポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する際に使用するジカルボン酸誘導体を高純度で、効率よく高収率で合成する方法とその合成方法で合成したジカルボン酸誘導体から得られる高純度なポリベンゾオキサゾール前駆体を提供することができる。
Claims (7)
- 前記OH基を含む物質が、50%以上の水を含んでなる物質である請求項1記載の一般式(I)で示されるジカルボン酸誘導体の製造方法。
- 前記ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1モルに対してジシクロヘキシルカルボジイミドを1.9〜2.3モルの範囲で反応させる請求項1記載の一般式(I)で示されるジカルボン酸誘導体の製造方法。
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JPH09194431A (ja) * | 1995-08-31 | 1997-07-29 | Siemens Ag | ジカルボン酸誘導体及びその製造方法 |
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