JP2001206879A - ジカルボン酸誘導体の製造方法及びそれを用いたポリベンゾオキサドール樹脂 - Google Patents

ジカルボン酸誘導体の製造方法及びそれを用いたポリベンゾオキサドール樹脂

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JP2001206879A
JP2001206879A JP2000016658A JP2000016658A JP2001206879A JP 2001206879 A JP2001206879 A JP 2001206879A JP 2000016658 A JP2000016658 A JP 2000016658A JP 2000016658 A JP2000016658 A JP 2000016658A JP 2001206879 A JP2001206879 A JP 2001206879A
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hydroxy
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Junya Kusuki
淳也 楠木
Takashi Hirano
孝 平野
Toshio Banba
敏夫 番場
Naoji Takeda
直滋 竹田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩化物不含のポリベンゾオキサゾール前駆体
の合成原料であるジカルボン酸誘導体の合成を芳香族以
外のジカルボン酸との反応でも高純度で高収率のジカル
ボン酸誘導体の製造方法を提供する。 【解決手段】 ジカルボン酸と1−ヒドロキシ−1,
2,3−ベンゾトリアゾールを縮合剤であるジシクロヘ
キシルカルボジイミドの存在下で反応させる際、系内温
度を−5〜20℃で15時間以上保持し、好ましくはジ
カルボン酸1モルに対し1−ヒドロキシ−1,2,3−
ベンゾトリアゾールを2〜2.5モルの範囲で反応させ
るジカルボン酸誘導体の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリベンゾオキサ
ゾール前駆体を合成するための原料であるジカルボン酸
誘導体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド樹脂は、半導体プロセス温度
に耐えうる優れた耐熱性を有し、応力の緩和、段差の平
坦化、メモリーセルのソフトエラーの防止等の理由で半
導体工業におけるパッシベーション膜、α線シールド
層、層間絶縁膜として利用されている。これらの用途に
利用する場合、パターン加工を施す必要があり、そのた
め、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール前駆体に感光
性を付与した感光性ポリイミド、感光性ポリベンゾオキ
サゾール前駆体が広く実用化されており、感光性ポリベ
ンゾオキサゾール前駆体は、加熱により閉環反応を起こ
しポリベンゾオキサゾール樹脂となる。
【0003】アルカリ可溶性のポリベンゾオキサゾール
前駆体の製造に最もよく行われている方法は、ジカルボ
ン酸塩化物を適当なビス−o−アミノフェノールと反応
させるものである。反応の際に生じる塩化水素を補足す
るために通常ピリジンのような可溶性塩基を添加する
(欧州特許出願公開第0264678号及び欧州特許出
願公開第0291779号)。この方法によりアルカリ
可溶性のポリベンゾオキサゾール前駆体を製造できる
が、塩素イオンがポリマー中に残留するという欠点があ
る。塩素イオンが腐食の原因となり、デバイスの機能を
著しく損傷しかねないためこの種のポリマーを半導体の
被覆材料として使用することはできない。従って、この
ポリマーをイオン交換体により精製する必要がある。し
かし、この精製方法は経費を要してしまう。
【0004】塩化物不含のポリベンゾオキサゾール前駆
体の合成方法も欧州特許出願公開第0158726号か
ら公知である。この場合、ジアミノジヒドロキシ化合物
をカルボジイミドの存在下でジカルボン酸と反応させ
る。しかし、この反応の場合、尿素の転移反応により残
留する尿素基がしばしば問題を起こす。また、特許出願
公開平第2−294328号公報から芳香族ジカルボン
酸とジアミノジヒドロキシ化合物を1−エトキシカルボ
ニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,
1’−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾト
リアゾール又はジシクロヘキシルカルボジイミド/1−
ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールの存在下
で反応させる製造方法がある。この反応は、一旦芳香族
ジカルボン酸と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾト
リアゾールで活性エステルを形成し、その後、ジアミノ
ジヒドロキシ化合物を反応してポリベンゾオキサゾール
前駆体を形成する。しかし、脂肪族又は脂環式ジカルボ
ン酸を用いてこの製造方法で合成した場合、脂肪族又は
脂環式ジカルボン酸と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベ
ンゾトリアゾールのエステル化合物の収率が悪いという
欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した欠
点を解決するためになされたもので、その目的とすると
ころは、塩化物不含のポリベンゾオキサゾール前駆体の
合成原料であるジカルボン酸誘導体の合成を芳香族以外
のジカルボン酸との反応でも高純度で高収率のジカルボ
ン酸誘導体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ジカルボン酸
と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールを
ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下で反応させる
際、系内温度を−5〜20℃で15時間以上保持するジ
カルボン酸誘導体の製造方法である。更に好ましい形態
としては、ジカルボン酸誘導体が一般式(1)で示さ
れ、ジカルボン酸1モルに対し1−ヒドロキシ−1,
2,3−ベンゾトリアゾールを2〜2.5モルの範囲で
反応させ、さらに好ましくは、反応をテトラヒドロフラ
ンとジメチルホルムアミドの混合溶媒で行い、その内ジ
メチルホルムアミドが1−ヒドロキシ−1,2,3−ベ
ンゾトリアゾール100重量部に対して60重量部以上
であるジカルボン酸誘導体の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる反応の系内温
度は−5〜20℃であり、その温度を15時間以上保持
することを特徴とする。
【0008】また、本発明により合成されるジカルボン
酸誘導体は一般式(1)で示される構造からなることが
好ましい。
【0009】
【化2】
【0010】上記の一般式(1)中のRは2価の有機基
であり、例えば、
【0011】
【化3】 等があるがこれらに限定されるものではない。
【0012】本発明におけるジカルボン酸誘導体の合成
は、まず、あらかじめジカルボン酸と1−ヒドロキシ−
1,2,3−ベンゾトリアゾールを溶剤に溶かしてお
く。その後、−5〜10℃の低温下でジシクロヘキシル
カルボジイミドを加え、さらに−5〜20℃で、収率の
点から好ましくは−5〜10℃で攪拌する。攪拌温度が
−5℃未満であると反応がうまく進まないという問題が
あり、20℃を越えると縮合剤による副生成物が出来る
という問題がある。反応終了後、析出したジシクロヘキ
シルカルボジウレアを濾過して取り除き、濾液を減圧に
よりテトラヒドロフランを除去し、残留溶液をn−ヘキ
サンに投入して析出させることにより目的物であるジカ
ルボン酸誘導体を得る。この時、反応に用いる溶剤とし
てはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラ
ン等が使用できる。この中で、生成したジカルボン酸誘
導体と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾー
ルを溶解させる点から好ましいものは、テトラヒドロフ
ラン/ジメチルホルムアミド混合溶媒である。さらに好
ましくは、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリア
ゾールを完全に溶解させる点から1−ヒドロキシ−1,
2,3−ベンゾトリアゾールが100重量部に対してジ
メチルホルムアミドは60重量部以上である。
【0013】また、本発明ではこの反応においてジカル
ボン酸1モルに対して1−ヒドロキシ−1,2,3−ベ
ンゾトリアゾールを2〜2.5モル反応させることを特
徴としている。1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾト
リアゾールが2モル未満であると目的物のジカルボン酸
誘導体の収率が悪くなり、2.5モルを越えると未反応
の1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールが
多くなり、不純物として残存しやすくなるため好ましく
ない。
【0014】本発明の一般式(1)で示されるジカルボ
ン酸誘導体は、ポリベンゾオキサゾール前駆体を合成す
る以外に一般的なポリアミド、ポリエステル等を合成す
る原料としても使用することができるが、特にポリベン
ゾオキサゾール前駆体用として好ましい。ポリベンゾオ
キサゾール前駆体は加熱により閉環反応を起こし、耐熱
性に優れたポリベンゾオキサゾール樹脂となる。ポリベ
ンゾオキサゾール樹脂は半導体のパッシベーション膜、
α線シールド層、層間絶縁膜等として有効である。
【0015】
【実施例】<実施例1>アジピン酸73.05gと1−
ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール155.
0gを無水のテトラヒドロフラン1630gとジメチル
ホルムアミド100gに溶解し、5℃まで冷却する。こ
の溶液にテトラヒドロフラン250gにジシクロヘキシ
ルカルボジイミドを206.35g溶解した溶液を系内
5℃に保持しながら1時間かけて滴下する。さらに、テ
トラヒドロフランを125g加え、系内を5℃に保持し
ながら20時間攪拌放置する。次に、室温にて10時間
攪拌放置した後、この反応溶液の沈殿物(ジシクロヘキ
シルカルボジウレア)を濾別し、テトラヒドロフラン2
50gで洗浄する。次に、この濾液をエバポレーターに
てテトラヒドロフランを除去し、約1/10に濃縮した
後、この溶液をn−ヘキサン500gに滴下する。この
時析出した固形物を回収して、イソプロピルアルコール
250gで1時間攪拌し洗浄する。洗浄した固形物を回
収し、真空下で40℃18時間乾燥し、目的物であるジ
カルボン酸誘導体が得られる。赤外吸収スペクトルで分
析したところ1820cm-1にエステル結合由来の吸収
が見られることによりこれが目的物のジカルボン酸誘導
体であり、かつ分解していないことが確認できた。この
時の収率は67%と高い値を示した。
【0016】<比較例1>アジピン酸73.05gと1
−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール15
5.0gを無水のテトラヒドロフラン1630gとジメ
チルホルムアミド100gに溶解し、5℃まで冷却す
る。この溶液にテトラヒドロフラン250gにジシクロ
ヘキシルカルボジイミドを206.35g溶解した溶液
を系内5℃に保持しながら1時間かけて滴下する。さら
に、テトラヒドロフランを125g加え、系内を23℃
に保持しながら20時間攪拌放置する。次に、この反応
溶液の沈殿物(ジシクロヘキシルカルボジウレア)を濾
別し、テトラヒドロフラン250gで洗浄する。次に、
この濾液をエバポレーターにてテトラヒドロフランを除
去し、約1/10に濃縮した後、この溶液をn−ヘキサ
ン500gに滴下する。この時析出した固形物を回収し
て、イソプロピルアルコール250gで1時間攪拌し、
洗浄する。洗浄した固形物を回収し、真空下で40℃1
8時間乾燥し、目的物であるジカルボン酸誘導体が得ら
れる。赤外吸収スペクトルで分析したところ1820c
-1にエステル結合由来の吸収が見られることによりこ
れが目的物のジカルボン酸誘導体であり、かつ分解して
いないことが確認できた。この時の収率は30%であっ
た。
【0017】<比較例2>アジピン酸73.05gと1
−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール15
5.0gを無水のテトラヒドロフラン1630gとジメ
チルホルムアミド100gに溶解し、5℃まで冷却す
る。この溶液にテトラヒドロフラン250gにジシクロ
ヘキシルカルボジイミドを206.35g溶解した溶液
を系内5℃に保持しながら1時間かけて滴下する。さら
に、テトラヒドロフランを125g加え、系内を50℃
に保持しながら20時間攪拌放置する。次に、この反応
溶液の沈殿物(ジシクロヘキシルカルボジウレア)を濾
別し、テトラヒドロフラン250gで洗浄する。次に、
この濾液をエバポレーターにてテトラヒドロフランを除
去し、約1/10に濃縮した後、この溶液をn−ヘキサ
ン500gに滴下する。この時析出した固形物を回収し
て、イソプロピルアルコール250gで1時間攪拌し、
洗浄する。洗浄した固形物を回収し、真空下で40℃1
8時間乾燥した。赤外吸収スペクトルで分析したところ
1820cm-1のエステル結合由来の吸収が見られなか
ったことにより目的物のジカルボン酸誘導体が得られな
かったことが確認された。
【0018】<比較例3>アジピン酸73.05gと1
−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール13
5.08gを無水のテトラヒドロフラン1630gとジ
メチルホルムアミド100gに溶解し、5℃まで冷却す
る。この溶液にテトラヒドロフラン250gにジシクロ
ヘキシルカルボジイミドを206.35g溶解した溶液
を系内5℃に保持しながら1時間かけて滴下する。さら
に、テトラヒドロフランを125g加え、系内を5℃に
保持しながら20時間攪拌放置する。次に、室温にて1
0時間攪拌放置した後、この反応溶液の沈殿物(ジシク
ロヘキシルカルボジウレア)を濾別し、テトラヒドロフ
ラン250gで洗浄する。次に、この濾液をエバポレー
ターにてテトラヒドロフランを除去し、約1/10に濃
縮した後、この溶液をn−ヘキサン500gに滴下す
る。この時析出した固形物を回収して、イソプロピルア
ルコール250gで1時間攪拌し、洗浄する。洗浄した
固形物を回収し、真空下で40℃18時間乾燥し、目的
物であるジカルボン酸誘導体が得られる。赤外吸収スペ
クトルで分析したところ1820cm-1にエステル結合
由来の吸収が見られることによりこれが目的物のジカル
ボン酸誘導体であり、かつ分解していないことが確認で
きた。この時の収率は37%であった。
【0019】
【発明の効果】本発明の方法に従うと塩化物不含のポリ
ベンゾオキサゾール前駆体の合成原料であるジカルボン
酸誘導体の合成を芳香族以外のジカルボン酸との反応で
も高純度で高収率のジカルボン酸誘導体を提供すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹田 直滋 東京都品川区東品川2丁目5番8号 住友 ベークライト株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA10 AA20 AB16 BC70 CB26 CC20 4J043 RA52 TA12 TA32 TB01 UA012 UA022 UA032 UA042 UA122 UA132 UA362 UB012 UB022 UB062 UB122 UB152 UB222 UB282 UB302

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸と1−ヒドロキシ−1,
    2,3−ベンゾトリアゾールを縮合剤であるジシクロヘ
    キシルカルボジイミドの存在下、溶媒中で反応させる
    際、系内温度を−5〜20℃で15時間以上保持するこ
    とを特徴とするジカルボン酸誘導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 該ジカルボン酸誘導体が一般式(1)で
    示される請求項1記載のジカルボン酸誘導体の製造方
    法。 【化1】
  3. 【請求項3】 該ジカルボン酸1モルに対し該1−ヒド
    ロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールを2〜2.5
    モルの範囲で反応させる請求項1又は2記載のジカルボ
    ン酸誘導体の製造方法。
  4. 【請求項4】 反応をテトラヒドロフランとジメチルホ
    ルムアミドの混合溶媒で行う請求項1、2又は3記載の
    ジカルボン酸誘導体の製造方法。
  5. 【請求項5】 該1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾ
    トリアゾールが100重量部に対して該ジメチルホルム
    アミドが60重量部以上である請求項4記載のジカルボ
    ン酸誘導体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のジカル
    ボン酸誘導体の製造方法を用いて製造されたポリベンゾ
    オキサドール樹脂。
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