JP4555966B2 - 半導体超微粒子、蛍光体および発光デバイス - Google Patents

半導体超微粒子、蛍光体および発光デバイス Download PDF

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Description

本発明は、半導体超微粒子、蛍光体、これらの製造方法、該蛍光体を用いた照明装置、及び表示装置に関する。
現在進行中の情報技術革命において、表示素子とその集合体であるディスプレイなどの表示装置は、各種の機器類と人間とを仲立ちする重要な役割を果たしている。この様な表示素子の高輝度高精細化に対する要求は止まるところを知らず、しかもできるだけ薄く、軽いことが要求されている。この様な要求に応えるためには、発光効率が高く、高輝度の蛍光体が不可欠である。さらにこのような蛍光体は、照明材料としても広い用途がある。このため、これら蛍光体の研究は20世紀初頭より行なわれ、約100年の歴史がある。
これまで、蛍光体としては色素と金属イオンが知られてきた。そして表示素子や照明のための蛍光体としては、金属イオン、その中でも特に希土類イオンや遷移金属イオンを分散させた無機マトリックスが多く用いられてきた。その研究は膨大であり、今日においてもたえず改良が加えられている。これは、希土類イオンや遷移金属イオンが、有機色素に比べて光照射による劣化や経時変化が少ないという特長を持つためである。しかしながら、希土類イオンや遷移金属イオンの遷移は、多くの場合禁制遷移の性格を持ち、このため発光寿命は1ミリ秒程度である。従って、輝度を上げようとして強い励起光を照射してもそれを素早く必要な光に変換することができず、輝度飽和という現象が起きる。この現象は、希土類イオンや遷移金属イオンを使用する場合の輝度上昇の障害となっている。また、一般的には、発光波長に合わせて励起波長を変える必要がある。
なお、この10年ほどの間、超微粒子中に上記の遷移金属イオンや希土類イオンをドープした材料での蛍光特性の研究も進んでいる。しかしながら、ドープされたイオンの発光寿命はバルクにドープした場合と変わらない。このため、これらは、上記の従来型の延長線上の蛍光体であると捉えられる。
一方、近年、表面処理を施した半導体超微粒子(遷移金属イオン又は希土類イオンがドープされていないもの)が高効率の発光を示すことが見出され、注目されている。この半導体超微粒子としては、II−VI族化合物が代表的なものであり、直径は数ナノメートル程度である。これらは、いわゆる量子サイズ効果を示し、粒径が小さくなるほどバンドギャップが広がるという性質がある。このため、同じ波長の紫外光を照射しても粒径によって発光色が変わり、粒子が小さいほど短波長の発光を示す。例えばセレン化カドミウムでは、紫外光照射により、直径2ナノメートル程度の粒子は青色の発光を示し、直径5ナノメートル程度の粒子は赤色の発光を示す。この半導体超微粒子の発光では、発光寿命はおよそ10ナノ秒程度である。このため、前記の希土類イオン又は遷移金属イオンの蛍光体と比較すると、励起光を5桁も素早く必要な光に変換し、再び光を吸収、放出できるので、著しく輝度を高くできる。さらに、励起光のON、OFFに素早く追随するという利点もある。
但し、このような半導体超微粒子は、粒径が小さいために比表面積が大きく、このため表面処理を施して表面欠陥を減らして無輻射失活を抑えることが発光効率を上げるために重要である。この表面処理には、硫黄を含む化合物が好適に用いられている。例えば、チオールなどの有機界面活性剤や硫化亜鉛が代表的なものである。これらの化合物により表面が良好に被覆された半導体超微粒子は、非常に明るく発光するために、最近の研究では粒子1個毎からの発光を別々に検出して分光できることが示されている。これは、希土類及び遷移金属蛍光体では決して達成できない優れた特性である。さらに半導体超微粒子は、バンドギャップより波長の短い光、即ちエネルギーの高い1つの波長の光を照射すれば、粒径に応じて様々な発光色を示すという大きな利点がある。つまりこの蛍光体は、励起波長を自由に選択でき、同じ材料でも粒径を変えることで必要な波長の発光が得られるという利点がある。
この様な半導体超微粒子は、現在コロイド法によって作製されており、水溶液中で作製されるものと非水溶媒中で作製されるものの2種類がある。
水溶液中で作製されるものとしては、蛍光発光効率数%程度のテルル化カドミウムが代表的なものとして知られている(ガオら、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー、ビー、102巻、8360ページ(1998年)参照)。この方法で作製した超微粒子は、水に分散したままでしばらくの間安定であるが、次に述べる非水溶媒中で作製される超微粒子よりも発光効率が小さいという欠点がある。
これに対し、近年、水溶液法で作製した超微粒子について、該超微粒子の生成後に溶液のpHを減少させる方法や、光照射してエッチングする方法によって発光効率が40%程度のものが作製されたという報告がなされている(ガポーニックら、ジャーナル オブ フィジカルケミストリー、ビー、106巻、7177ページ(2002年)参照)。しかしながら、溶液のpHを減少させて得られる超微粒子は不安定であり、空気中では7日程度の間に発光効率が半分以下に減少する。また、超微粒子を光照射でエッチングする方法は5日間程度の時間がかかり、作製される粒子の粒径分布が広がるために発光スペクトルの幅も広がるという難点がある。
非水溶媒中での作製方法に関しては、有機金属を熱分解して超微粒子を作製する方法がある(バベンディーら、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー、ビー、101巻、9463ページ(1997年)参照)。例えば、この方法により得られるカドミウムセレナイド超微粒子は20%を超える発光効率を得ることができ、しかも得られた超微粒子は水に不溶であるが、表面をイオン性の有機分子に置換することで水溶性になり、水溶液から得られるカドミウムテルライドと同様に扱うことが可能である。しかしながら、この方法では高価で複雑な実験装置を必要とし、安全面でかなりの配慮が必要である。しかも、この方法で作製された超微粒子は、水の中では数時間程度しか安定ではいられないという欠点がある。これらのことが非水溶媒中で得られた粒子の実用化を妨げている大きな要因となっている。
以上の通り、表面被覆された半導体超微粒子は、非常に明るく発光するが、水溶液中で安定した状態を持続させることは難しい。また、水溶液法で作ったテルル化カドミウムについても、室温、大気中では通常5日程度で凝集し、沈殿して発光性能を失う。
この様な状況にあるため、従来の半導体微粒子は、たとえ非常に明るく発光する材料であっても、溶液の形態では大気中、室温で長く発光効率を保つことが出来ず、工学材料としての実用性に欠けるものであった。
このため、表面被覆半導体微粒子を固体マトリックス中に担持し、安定化する方法が幾つか試みられてきた。例えば、有機物からなるポリマーに固定する方法が報告されている(バベンディーら、アドバンスト マテリアル、12巻、1103ページ(2000)参照)。しかしながら、マトリックスとして用いるポリマーは、耐光性、耐熱性などが不十分であり、しかも水や酸素を少しずつ透過させるので、固定化された超微粒子が徐々に劣化する。また、無機材料である超微粒子と有機材料であるポリマーとの混合状態では、超微粒子の分散濃度を上げると凝集を生じやすく、発光材料としての特性が低下する傾向にある。
このようなポリマーマトリックスの欠点を克服するために、テトラアルコキシシランを用いたゾル−ゲル法により、ガラスマトリックス中に超微粒子を分散させることも試みられている(セルバンら、アドバンスト マテリアル、13巻、985ページ(2001)参照)。しかしながら、この方法では、超微粒子が水溶性ではないために、用いるゾル−ゲル法の手段が限られることとなり、しかもゲル状ものしか得られなかった。また、この場合の発光効率は最大で10%程度と報告されている。
本発明は、上記した如き従来技術の現状に鑑みてなされものであり、その主な目的は、従来の希土類イオン、遷移金属イオン等の分散蛍光体に優る輝度を有し、しかも耐光性、経時安定性などに優れた新規な蛍光体を提供することである。
さらに、本発明は、この様な蛍光体を用いた高輝度の表示装置や照明装置などの光デバイスを提供することも目的とする。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、水溶液から半導体超微粒子を製造する際に、界面活性剤の使用量、水の純度等の条件を適切に設定することによって、水分散性が良好であって高い発光効率を有し、しかも、開放した大気雰囲気下で水を含む溶液中においても長期間高い発光効率を維持できる新規な半導体超微粒子が得られることを見出した。そして、この様にして得られた半導体超微粒子は、ゾルゲル法を利用して、ガラスマトリックス中に分散させる場合に、金属アルコキシドからガラスが形成される間、良好な分散性と蛍光性能を維持することができ、優れた性能を有する蛍光体となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の半導体超微粒子、蛍光体、これらの製造方法、該蛍光体を用いた照明装置、及び表示装置を提供するものである。
項1.開放された大気雰囲気下において、水に分散させた状態で10〜20℃で5日間保持した場合に、50%以上のフォトルミネッセンスの発光効率を維持することを特徴とする半導体超微粒子。
項2.II−VI族半導体の超微粒子である項1に記載の半導体超微粒子。
項3.II−VI族半導体超微粒子の原料であるII族元素を含む水溶性化合物(0.001〜0.05モル/リットル程度)及び界面活性剤(水溶液中に含まれるII族元素1モルに対し1〜1.5モル程度)を含むpH10〜12の水溶液に分散させた状態で測定されたものである項2に記載の半導体超微粒子。
項4.テルル化カドミウムの超微粒子である項2に記載の半導体超微粒子。
項5.ゾルゲル法によって形成されたガラスマトリックス中に項1〜4のいずれかに記載された半導体超微粒子を分散させてなる蛍光体。
項6.ゾルゲル法によって形成されたガラスマトリックス中に、フォトルミネッセンスの発光効率が20%以上の半導体超微粒子を分散させてなる蛍光体。
項7.ガラスマトリックス中の半導体超微粒子の濃度が2×10−6〜2×10 モル/リットルである項6に記載の蛍光体。
項8.ガラスマトリックスがオルガノアルコキシシランを原料としてゾルゲル法によって形成されたものである項5〜7のいずれかに記載の蛍光体。
項9.開放された大気雰囲気下において室温で8ヶ月保持した場合に、フォトルミネッセンスの発光効率の低下率が20%以下の半導体超微粒子を分散させてなる項5〜8のいずれかに記載の蛍光体。
項10.II族元素を含む水溶性化合物及び界面活性剤を溶解したアルカリ性水溶液中に、不活性雰囲気下において、VI族元素化合物を導入して項2〜4のいずれかに記載された半導体超微粒子を製造する方法であって、界面活性剤の使用量が、II族元素1モルに対して1〜1.5モル程度であり、溶媒として用いる水が、比抵抗18MΩ・cm以上、且つ水中の有機系化合物の総量(TOC)5ppb以下の超純水であることを特徴とする半導体超微粒子を製造する方法。
項11.金属アルコキシドを含むゾル溶液中に、項1〜4のいずれかに記載された半導体超微粒子の分散液を添加し、加水分解及び縮重合反応によってガラスマトリックスを形成することを特徴とする項5〜9のいずれかに記載された蛍光体の製造方法。
項12.金属アルコキシドを含むゾル溶液中に、項1〜4のいずれかに記載された半導体超微粒子の分散液を添加し、加水分解及び縮重合反応によってガラスマトリックスを形成する方法であって、金属アルコシキドを含むゾル溶液の粘度が300〜3000センチポアズとなった時点で半導体超微粒子の分散液を添加することを特徴とする項11に記載の製造方法。
項13.項5〜9のいずれかに記載された蛍光体からなる発光体と、該蛍光体を励起するための波長320〜600ナノメートルの励起光を発する光源を備えた発光装置。
図1は、実施例1で得た半導体超微粒子について、カドミウムイオンに対するチオグリコール酸(TGA)の濃度比と、超微粒子分散溶液のフォトルミネッセンス発光効率との関係を示すグラフである。
図2は、実施例2で作製した蛍光体ガラスの吸収スペクトル(a)と発光スペクトル(b)を示す図面である。
図3は、本発明の蛍光体を用いた表示装置を模式的に示す図面である。
図4は、本発明の蛍光体を用いた表示装置のその他の例を模式的に示す図面である。
図5は、実施例10で作成した蛍光体ガラスの発光スペクトルおよび溶液状態の超微粒子の発光スペクトルおよび吸収スペクトルを示す図面である。
発明の詳細な記述
以下、本発明の半導体超微粒子、該微粒子を用いた蛍光体、及びその用途について順次説明する。
半導体超微粒子
本発明の半導体超微粒子は、開放された大気雰囲気下において、水に分散させた状態で10〜20℃で5日間保持した場合に、フォトルミネッセンスの発光効率が50%以上の値を維持できるものである。
該半導体超微粒子を用いると、後述する方法でガラスマトリックス中に分散させた場合に、発光効率を高くすることができる。この様な特徴を有する半導体超微粒子は、従来の製造方法では得ることができない新規な物質であり、水を含む溶液中において長期間安定であることから、例えば、ゾルゲル法によって形成されるガラス中に高濃度で分散担持させることが可能であり、機械的特性、耐熱性、化学的安定性などに優れ、高い発光効率を有する蛍光体とすることができる。
尚、本願明細書における「半導体超微粒子のフォトルミネッセンスの発光効率」とは、吸収された光子(フォトン)数(Φ)に対するフォトルミネッセンスとして発光される光子(フォトン)数(ΦPL)の割合(ΦPL/Φ)として定義される。この発光効率は、当該技術分野において標準的に用いられる値であり、「内部量子収率」と同義である。発光効率は、発光効率が既知の色素分子を用いて、該色素分子溶液と測定対象物における励起光波長での吸光度と発光効率とを比較することにより算出される。測定時には、通常は色素分子溶液と測定対象物の励起波長での吸光度を一致させて比較する。(例えば、既報の方法、ドーソンら、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー、72巻、3251ページ(1968年)を参照)。なお、本明細書中「フォトルミネッセンスの発光効率」を「発光効率」と略記する場合もある。
本発明の半導体超微粒子としては、直接遷移を示すII−VI族半導体であって、可視領域で発光するもの、例えば、硫化カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウムなどを例示することができる。
これらの半導体超微粒子において、上記した特性、即ち、水に分散させた状態で、開放された大気雰囲気下において10〜20℃で5日間保持した場合に、フォトルミネッセンスの発光効率が50%以上を維持できるという特性を有するものは、例えば、下記の方法で作製することができる。
即ち、II族元素を含む水溶性化合物及び界面活性剤を溶解したアルカリ性水溶液中に、不活性雰囲気下において、VI族元素化合物を導入することによって、II−VI族半導体を得ることができる。VI族元素化合物は、気体状のものを用いることもできる。
この方法において、II族元素を含む水溶性化合物としては、過塩素酸塩が好ましく、例えば、II族元素がカドミウムである場合には、過塩素酸カドミウムを用いることができる。界面活性剤としては、疎水基であるチオール基と親水基を有するものが好ましい。親水基としては、カルボキシル基などのアニオン性基、アミノ基などのカチオン性基、水酸基などを例示できるが、特に、カルボキシル基などのアニオン性基が好ましい。界面活性剤の具体例としては、チオグリコール酸、チオグリセロール、メルカプトエチルアミン等を例示できる。
VI族元素化合物としては、例えば、VI族元素の水素化物などを用いることができ、VI族元素がテルルである場合には、テルル化水素を用いることができる。その他、テルル化水素を水酸化ナトリウムと反応させて得られるテルル化水素ナトリウムを水溶液として導入することも可能である。
本発明では、上記した特性を満足する超微粒子を得るためには、超微粒子作製時に用いる界面活性剤の使用量を、水溶液中に含まれるII族元素に対して、モル比で1〜1.5程度とする。この様な界面活性剤の使用量は、従来知られている水溶液から超微粒子を製造する方法における界面活性剤の使用量(II族元素に対してモル比で2.43)と比較するとかなり少量であるが、本発明では、上記した特定範囲の界面活性剤の使用量とすることによって、従来の半導体超微粒子と比較して高い発光効率を有する超微粒子を得ることができる。
界面活性剤の使用量が上記範囲を上回ると、得られる超微粒子の発光効率が低下する傾向がある。これは、超微粒子の表面に吸着する界面活性剤量が多くなると、該超微粒子表面の欠陥が増大するためであると考えられる。一方、上記使用量範囲を下回ると、やはり発光効率が低下する。これは、界面活性剤の使用量が少なすぎると、超微粒子が凝集しやすくなるためであると考えられる。
更に、本発明では、超微粒子を製造する際に用いる水として高純度の水を用いる。特に、比抵抗18MΩ・cm以上、且つ水中の有機系化合物の総量(TOC)が5ppb以下、好ましくは3ppb以下の超純水を用いることが適切である。この様な高純度の水で反応容器等を十分に洗浄し、更に、反応溶媒としても高純度の水を用いることよって、優れた発光性能を有する半導体超微粒子を得ることが可能となる。
半導体超微粒子を作製する場合、水溶液中のII族元素を含む水溶性化合物の濃度については特に限定的ではないが、濃度が低すぎると反応効率が悪く、一方、濃度が高すぎると沈殿が発生する場合がある。そのため、0.001〜0.05モル/リットル程度、さらに0.01〜0.02モル/リットル程度、特に0.013〜0.018モル/リットル程度の濃度とすることが好ましい。
VI族元素化合物の使用量についても、特に限定はないが、通常、II族イオン1モルに対して、VI族イオンを0.3〜1.5モル程度とすることが好ましく、0.4〜0.9モル程度とすることがより好ましい。
上記反応は、通常、不活性雰囲気下において、II族元素を含む水溶性化合物及び界面活性剤を溶解した水溶液中に、気体状のVI族元素化合物をバブリングさせるか、気体状のVI族化合物を水酸化ナトリウム溶液と反応させて水溶液とした後、注射器等でII族元素を含む水溶性化合物及び界面活性剤を溶解した水溶液中に注入することよって行うことができる。
不活性雰囲気としては、反応に関与しない気体の雰囲気であればよく、例えば、アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス等の不活性ガス雰囲気を好適に利用できる。
上記反応は、通常、室温(例えば、10〜30℃程度)において行うことができる。水溶液のpHは、10〜12程度、特に10.5〜11.5であることが好ましい。反応は、通常、VI族化合物を導入後、10分程度以内に終了する。
上記の方法により半導体超微粒子の分散液が製造される。該分散液中の該超微粒子の濃度は反応条件によって適宜選択されるが、通常、1×10−6モル/リットルから1.5×10−7モル/リットルであるが、典型的には2×10−6モル/リットルから1.0×10−7モル/リットル程度、特に3×10−6モル/リットル程度である。
上記した方法で得られる半導体超微粒子の粒径は、通常、ナノメートルオーダーである。上記した方法で半導体超微粒子を作製した後、還流を行うことによって、該超微粒子の粒径を制御することが可能であり、還流時間を長くすると、粒径を大きくすることができる。
該半導体超微粒子の発光色は粒径によって決まり、粒径が小さいほど短波長の発光を示す。該半導体超微粒子の粒径は、通常、2〜10ナノメートル程度であることが好ましい。
単色で発光する超微粒子を得るためには、還流時間を一定に制御し、その粒径分布の分散の標準偏差が、粒径の平均値に対して20%以下、好ましくは15%以下となる様に調整すればよい。粒径分布の分散の標準偏差が20%を超える場合には、各種の発光が混ざり合って、表示材料で求められる色調を得難くなるので好ましくない。
この様にして得られる半導体超微粒子の分散液には、目的とする半導体超微粒子の他に、通常、原料として用いたII族元素のイオン、界面活性剤、1ナノメートルを下回る微細なクラスターなどが含まれる。この半導体超微粒子の分散液を用いて、後述する方法によって、そのまま該超微粒子をガラスマトリックス中に分散させて蛍光体とすることができる。さらに、該分散液に含まれる超微粒子を、近似した粒径を有する超微粒子毎に分離して狭い粒径範囲の超微粒子を得る。該超微粒子を再度水に分散させた分散液を用いてガラスマトリックス中に半導体超微粒子を分散固定化させることにより、発光効率が高く、発光スペクトル幅が狭い蛍光体とすることができる。
粒径の近似した超微粒子に分離する方法としては、例えば、超微粒子の粒径が大きくなるほど溶解度が低くなることを利用して粒径の大きい超微粒子から順次析出させ、遠心分離などの方法を採用できる。この際、該超微粒子の分散液にアルコールを加えると超微粒子の溶解度が低下するので、該分散液に少量ずつアルコールを添加することによって、粒径の大きい超微粒子から順に析出させて、近似した粒径を有する超微粒子を精製することが可能である。
この様にして精製した超微粒子を水に再分散させて分散液(または水溶液)とした場合、該超微粒子は高い発光効率が得られる。該分散液はそのままでもある程度は安定であるが、該分散液に、さらにII族元素を含む水溶性化合物、及び界面活性剤を添加することによって、分散液の安定性を向上さて、凝集を防ぎ発光効率を保つことができる。II族元素化合物の種類、該化合物の濃度、界面活性剤の量、分散液のpH等は、上述したII−VI族半導体超微粒子を作製するために用いる水溶液と同様の範囲に調製すればよい(以下、「調製液」とも呼ぶ)。
該調製液として具体的には、II−VI族半導体超微粒子の原料であるII族元素を含む水溶性化合物(0.001〜0.05モル/リットル程度、好ましくは0.01〜0.02モル/リットル程度、より好ましくは0.013〜0.018モル/リットル程度)、及び界面活性剤(水溶液中に含まれるII族元素に対しモル比で0.5〜5程度、好ましくは1〜1.5程度)を含むpH10〜12程度(好ましくは、10.5〜11.5程度)の水溶液が好適である。
ここで示されるII族元素を含む水溶性化合物、界面活性剤等の成分は、超微粒子を水に再分散させた水性分散液(水溶液)に直接添加して上記の調製液と同様の組成を有する水性分散液(水溶液)としてもよく、或いは、調製液を予め作製しておき該超微粒子を該調製液に添加したり、或いは濃度が高めの該調製液を該超微粒子を水に再分散させた水性分散液(水溶液)に添加して上記の濃度の調製液にしても良い。
この様にして、分散液中の超微粒子を精製し、これを水に再分散させて、II族元素を含む水溶性化合物、及び界面活性剤を添加し、更に、pH調整を行った分散液を用いる場合には、後述した方法でガラスマトリックス中に該超微粒子を分散させることによって、特に、高い発光効率を有する蛍光体とすることができる。
以上の方法で得られる半導体超微粒子は、水分散性が良好であって高い発光効率を有し、しかも、開放した大気雰囲気下で水を含む溶液中でも長期間高い発光効率を維持し得る。特に、開放された大気雰囲気下において、上記の水溶液に超微粒子を分散させた状態で10〜20℃で5日間保持した場合に、50%以上のフォトルミネッセンスの発光効率を維持することができる。
従って、ゾルゲル法を利用してガラスマトリックス中に該超微粒子を分散させる場合に、金属アルコキシドからガラスが形成される過程において、該超微粒子は良好な分散性と蛍光性能を維持することができ、優れた性能を有する蛍光体を得ることが可能となる。
以下、ゾルゲル法を利用してガラスマトリックス中に該超微粒子を分散させる方法、及び得られる蛍光体について説明する。
半導体超微粒子を分散した蛍光体
本発明では、上記した半導体超微粒子を分散させるマトリックスとして、ゾルゲル法によって形成されるガラスマトリックスを用いる。ここで、ゾルゲル法としては、溶液状態の金属アルコキシドを室温付近の温度で加水分解、縮重合させてガラス状の固体マトリックスを形成する公知の方法を利用できる。
上記した通り、本発明の半導体超微粒子は、水分散性が良好であって高い発光効率を有し、しかも、開放した大気雰囲気下で水を含む溶液中でも長期間高い発光効率を維持することができる。従って、ゾルゲル法を利用して、ガラスマトリックス中に該半導体超微粒子を分散させる場合に、金属アルコキシドからガラスが形成される間、該超微粒子は良好な分散性と蛍光性能を維持することができ、優れた性能を有する蛍光体とすることができる。形成されるガラスマトリックスは、ポリマーマトリックスと比較すると、機械的特性、耐熱性、化学的安定性などに優れ、経時変化も少ないために、耐久性に優れた高性能の蛍光体となる。
本発明では、特に、金属アルコキシドとしては、オルガノアルコキシシランと称される一群の化合物を用いることが好ましい。このオルガノアルコキシシランとは、ケイ素を含む骨格構造をもち、そのケイ素の4つの結合手のうち少なくとも1つが炭素原子と結合している化合物であり、一般式:
−Si(OR)4−n(n=1,2又は3)
で表されるものである。官能基Xとしては、ビニル基を含む基、エポキシ基を含む基、アミノアルキル基、アクリロイルアルキル基、メタクリロイルアルキル基、メルカプトアルキル基、フェニル基等が例示される。アルコキシ基(−OR)としては、メトキシ基(−OCH)、エトキシ基(−OC)、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等が例示される。
この一般式で表される化合物の中でも、n=1のものが好適に用いられる。
ビニル基を含む基としては、例えば、CH=CH−、CH=CH−Ph(Phはフェニル基)で示される基が挙げられる。
エポキシ基を含む基としては、例えば、CCO−(CH−OC−(CCOはエポキシ基を示す、kは1〜6の整数)で示される基が挙げられる。kが1〜4、特に1又は2が好ましい。
アミノアルキル基としては、例えば、NH2m−(mは1〜6の整数)で示される基が挙げられる。mが2〜4、特に3が好ましい。中でも、直鎖のHN(CH−(mが2〜4の整数)で示される基が好ましく、特に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APS)が好ましい。
アクリロイルアルキル基としては、例えば、CH=C(CH)CO−O−C2p−(pは1〜5の整数)で示される基が挙げられる。pが2〜4、特に3が好ましい。
メタアクリロイルアルキル基としては、例えば、CH=CHCO−O−C2j−(jは1〜5の整数)で示される基が挙げられる。jが2〜4、特に3が好ましい。
メルカプトアルキル基としては、例えば、HSC2q−(qは1〜10の整数)で示される基が挙げられる。qが2〜4、特に3が好ましい。中でも、直鎖のHS(CH−(qが2〜4の整数)で示される基が好ましく、特にメルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)が好適である。
これらの化合物では、アルコキシ基の加水分解、縮重合という通常のゾル−ゲル反応によってガラス網目構造((−O−Si−);l>1)を形成する一方で、上記Xで示した官能基が超微粒子表面と結合を作り安定化するものと考えられる。
チオグリコール酸などのチオール基及びカルボキシル基を有する界面活性剤を用いて得られる半導体超微粒子を用いる場合には、オルガノアルコキシシランとしては、官能基としてアミノアルキル基を有するトリアルコキシシランを用いることが好ましい。具体的には、HN(CH−(mが2〜4の整数)で示される基が挙げられる。この場合には、半導体超微粒子の表面に吸着した界面活性剤のカルボキシル基とアミノ基の親和性が良いために、超微粒子の分散性を高くすることができる。
更に、ゾル溶液中に塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)等の水溶性カルボジイミドを添加することも有用である。該カルボジイミドは、アミンとカルボキシル基とを脱水縮合させる働きを有し、これを用いることによって超微粒子の表面の界面活性剤とガラスマトリックスとを化学結合させて分散性をより一層向上させることができる。カルボジイミドの使用量は、精製後の超微粒子を水に再分散させた水性分散液(水溶液)に調製液として加えた界面活性剤中のカルボキシル基のモル数の0.5〜8倍程度とすることが好ましく、さらに2〜4倍程度とすることがより好ましい。
上記したオルガノアルコキシシランを用いて、ゾルゲル法によってガラスマトリックスを形成する方法としては、公知の方法を適宜適用できる。その一例を挙げると、上記オルガノアルコキシシラン;エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール化合物;及び水(例えば、それぞれ1:1〜60:1〜20程度のモル比)に、塩酸、酢酸、硝酸、アンモニア等の触媒を少量加えてゾル溶液を調製する。但し、オルガノアルコキシシランがアミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を含むオルガノアルコキシシランの場合には、触媒を加えなくても反応が進む。該ゾル溶液に、上記した半導体超微粒子の水性分散液を添加し、室温〜100℃程度で加水分解、縮重合反応を生じさせることによってガラスマトリックスを形成することができる。
更に、該半導体超微粒子の分散性を向上させるために、該ゾル溶液に必要に応じて界面活性剤を10−5〜10−3モル/リットル程度の濃度となるように添加してもよい。該ゾル溶液のpHを9〜10程度に調整して、室温程度で反応を行うことによって、ガラス中に半導体超微粒子を固定化することができる。界面活性剤としては、チオグリセロール、チオグリコール酸、メルカプトエチルアミン等のチオール基と親水性基の両方を有する界面活性剤を用いることが好ましい。
該ゾル溶液への半導体超微粒子の水性分散液の添加量は、製造される蛍光体におけるガラスマトリックス中の半導体超微粒子の濃度が2×10−6〜2×10 モル/リットル程度、好ましくは1×10−5〜2×10−4モル/リットル程度となるように調製するのが好く、この範囲にすると高い輝度を示す蛍光体を得ることができる。
ここで、ガラスマトリックス中の超微粒子の濃度は、文献(ラジら、ジャーナル オブ フィジカルケミストリー、97巻、11999ページ、1993年)にあるように、吸収スペクトル(吸光度)を測ることで、ほぼ正確に見積もることができる。即ち、超微粒子の吸光係数εは、例えば、カドミウムテルライド超微粒子の場合、およそ4×10リットル/モル・センチメートルであるので、吸光度Aと厚みL(単位センチメートル)がわかれば、濃度c(単位モル/リットル)は、c=A/(L×ε)により容易に求められる。
上記した溶液には、更に、ガラスマトリックスの結晶性を上げることや所望の物質の分散性を上げること、硬度を上げること、劣化をさらに少なくすることなどを目的として、他のアルコキシド、例えば、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等)、テトラアルコキシチタン(チタンテトライソプロポキシド等)、トリアルコキシアルミニウム(アルミニウムイソプロポキシド等)等を加えることができる。
本発明方法では、ガラスマトリックスを製造する際に、半導体超微粒子の分散液を該ゾル溶液の反応開始時から添加するのではなく、ゾルゲル反応が開始した後、一定時間経過してゾル溶液の粘度が上昇して一定の粘度になった後に添加することが好ましい。この様な方法によれば、超微粒子が凝集することなく、直ちに溶液中に均一に分散され、そのままガラスマトリックス中に固定化されて、超微粒子が均一に分散した蛍光体を得ることができる。さらに、半導体超微粒子の表面の劣化が最小限に抑えられ、ガラスマトリックス中における半導体超微粒子の分散濃度を2×10−4モル/リットル程度という高濃度に上げても凝集が起きない。そのため、ガラスマトリックス中において20%以上の発光効率を有する半導体超微粒子を含む蛍光体を得ることができる。さらに30%以上、40%以上という高い発光効率を達成することも可能である。この場合、半導体超微粒子の分散濃度は良好な輝度を得るためには、2×10−6〜2×10−4モル/リットル程度であることが好ましく、1×10−5〜2×10−4モル/リットル程度であることがより好ましい。
上記方法において、半導体超微粒子を添加する際のゾル溶液の粘度については、添加する半導体超微粒子の量などによって異なるが、添加した超微粒子の凝集が生じることなく、均一な分散状態を維持できる程度の粘度であればよい。通常、ゾル溶液の粘度は300〜3000センチポアズ程度、好ましくは300〜1500センチポアズ程度、より好ましくは700〜1200センチポアズ程度であればよい。なお、1センチポアズは、SI単位系で表すと1ミリパスカル秒である。
上記した方法によれば、通常、室温では1週間程度でゾル溶液が固化して、透明で散乱のないガラス蛍光体を得ることができる。
尚、ゾルゲル反応開始後、一定時間経過して溶液の粘度が上昇した後に半導体超微粒子を添加する方法を採用する場合には、ガラスマトリックス中に分散された半導体超微粒子の劣化が抑制される。そのため、水に分散させた状態で10〜20℃で5日間保持した場合に50%程度以上のフォトルミネッセンスの発光効率を維持できる半導体超微粒子を用いる場合だけでなく、例えば、同様の条件下において30%程度のフォトルミネッセンスの発光効率を有する半導体超微粒子を用いる場合であっても、本発明の蛍光体、即ち、ガラスマトリックス中にフォトルミネッセンスの発光効率が20%以上の半導体超微粒子を分散させた蛍光体を作製することができる。
以上の方法で得られる蛍光ガラスは、更に、80〜200℃程度で0.5〜5時間程度加熱することによって、ガラス網目構造が発達して硬度が上昇し、良質のガラスとすることができる。この場合、得られる蛍光体の硬度は、その用途によって異なるが、例えば、ビッカース硬度20程度以上、好ましくは30〜200程度、より好ましくは40〜100程度とすればよい。ここで、ビッカース硬度(Vickers hardness)とは、正4角錐(対面角136°)のダイヤモンド圧子を試料に押しこんだとき,荷重とくぼみの表面積の比から定義される硬さであり、圧力の単位を持つ。ビッカース硬度が100のとき、それは圧力のSI単位系で980メガパスカルである。
尚、本願明細書において、「蛍光ガラス中の半導体超微粒子の発光効率」は、蛍光ガラス中の半導体超微粒子に吸収された励起光の光子(フォトン)数(Φ)に対する蛍光ガラス中の該超微粒子からフォトルミネッセンスとして放出される光子(フォトン)数(ΦPL)の割合(Φ/ΦPL)として定義される。具体的には、吸光度と発光効率とが既知の色素分子溶液を入れたガラスセル、及び同一の厚さを有する測定対象物となるガラスを用意し、該色素分子溶液と測定対象物における吸光度と発光効率とを比較することにより算出される値である。
以上の方法によって本発明の蛍光体を製造できる。該蛍光体は、使用目的に応じた任意の形状に成形して用いることができる。例えば、ゾルゲル法における半導体超微粒子が分散されたゾル状反応液を、スピンコート法、ディップコート法などによって基板等に塗布して、膜厚100ミクロン程度以下の蛍光体薄膜とすることも可能である。この様な蛍光体薄膜は、例えば、ミラーやレンズ上に設置して色調を調整するために用いることができる。
上記した方法によって形成される本発明の蛍光体は、全体としては基本的にガラスの性質を示すものであり、機械的特性、耐熱性、化学的安定性などの諸特性に優れたものである。さらに、該蛍光体に内包された半導体超微粒子は、外部雰囲気から遮断されているため、耐光性に優れ、経時安定性も極めて良好である。
特に、本発明の蛍光体は、高い経時安定性を有している。例えば、開放された大気雰囲気下において室温で8ヶ月保持した場合に、ガラスマトリックス中においてフォトルミネッセンスの発光効率の低下率が25%以下の安定な半導体超微粒子を分散させてなる蛍光体を製造することができる。さらに該低下率が20%以下、18%以下の該超微粒子を含む蛍光体も製造可能である。ここで、室温とは10〜30℃程度を意味する。また、発光効率の低下率とは、本発明の蛍光体の製造直後の発光効率に対する、8ヶ月保持後の蛍光体の発光効率の減少の割合を意味する。測定方法は、具体的には実施例11に従う。
蛍光体の用途
以上の方法で得られる蛍光体は、輝度が高く、単一波長の光照射で様々な発色光を示すものであり、従来の蛍光体に替えて照明や表示素子などの発光装置として有効に利用できる。以下、本発明蛍光体の用途の一例を示す。
(1)照明装置
本発明の蛍光体を用いる照明装置は、該蛍光体からなる発光体と該蛍光体を励起する光源を備えたものである。
本発明蛍光体中に分散した半導体超微粒子は、バンドギャップよりも短波長の光を全て吸収し、励起光波長に依らず同じ発光効率でバンドギャップのエネルギーに相当する光を放出する。このため、波長320ナノメートル〜600ナノメートルの内の励起に必要な波長の光を吸収して、所望の波長の光を発光するように設計することができる。
この蛍光体を励起する光源としては、例えば、波長365ナノメートルの水銀灯(正確には、例えば中心波長365.08ナノメートル、水銀のi線と呼ばれる)が挙げられる。該水銀灯は強い光を出す点で好適である。また光源として、窒化ガリウム、窒化インジウムガリウム等を用いた紫外から青色のLED(波長370,382,455,470ナノメートル等)、青緑色から黄色のLED(波長503,505,525,590ナノメートル等)等が挙げられる。これらは、強度は水銀灯に劣るが熱をほとんど出さないので、超微粒子の劣化を防ぐには好都合であり、しかも非常に安価に市販されているので、低コスト化には非常に有利である。
このような励起光源を用いた照明装置は、通常の明かりをとるための照明のほか、冷陰極蛍光ランプなどのように液晶のバックライトとしての照明、水銀灯を用いるプレゼンテーション用の液晶プロジェクター用の光源などとして利用できる。また、この蛍光体をレーザー媒質として用いることも可能である。更に、超微粒子から出た緑色、黄色等の発光を赤色発光する超微粒子に吸収、発光させることで、さらに色調を整える効果も実現できる。
(2)表示装置
本発明の蛍光体を表示素子として用いてディスプレイパネル等の表示装置を作製するには、基板上に本発明の蛍光体からなる表示素子を形成し、この表示素子に対し、情報信号に従って強度を変調して光を照射できるように、励起光源を配置すればよい。励起光源については、マトリックスの吸収のない範囲の波長の光を選択する必要がある。波長320ナノメートル未満では多くの場合マトリックスの吸収が出てくるので、例えば、水銀ランプ、LED、固体レーザーなどの波長320ナノメートル〜600ナノメートル程度の光源を利用することが好ましい。
励起光として紫外線を用いる場合には、赤、緑及び青に発光する表示素子を形成する必要があるが、例えば、青色発光ダイオードを励起光源とする場合には、励起光を青色発光として利用できるので、赤及び緑に発光する表示素子を形成すればよい。
表示素子は、基板上に微小領域のスポットとして形成することが好ましい。この様な方法としては、特開2002−211935号公報に記載されているインクジェットプリンターと類似の方式を用いて、上記蛍光体を作製する際に用いるガラス化される前のゾル溶液(ガラス前駆体溶液)を複数のノズルから基板に吹き付ける方法が有利である。この場合、高精度表示のためには、各スポットを直径200ミクロン以下の微小領域のスポットとして形成し、これらの微小領域の集合体とすることが好ましい。この場合に用いるゾル溶液は、上記したゾルゲル法によって蛍光体ガラスを作製する際に用いる溶液の内で、ノズルから吹き付けることが可能な状態の溶液であればよい。この様な溶液を基板に吹き付けた後、ゾルゲル反応の進行が不十分な溶液の場合には、更に、反応を進行させればよい。その後、必要に応じて80〜200℃程度で0.5〜5時間程度熱処理することによって、ガラス前駆体が十分にガラス化して、良好な表示素子が得られる。
基板としては、例えば、石英ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、ソーダ石灰ガラス基板などのガラス基板、ポリカーボネート基板、ポリメチルメタクリレート基板などの高分子基板などの通常用いられる基板が挙げられる。蛍光体との良好な接着強度を得ることができるため、ガラス基板を好適に用いることができる。さらには、電球及び蛍光灯の内外面、液晶プロジェクターなどに備えられた光の反射鏡面等のガラス基体等に蛍光体を取り付けることも可能である。
情報信号に従って強度変調して光を照射する方法としては、励起光源を情報信号に従って直接に強度変調する方式、偏光子および液晶分子を用いて、光のON、OFFおよび強度変調を行なう方式等を利用できる。液晶分子を用いる場合には、光学異方性と誘電率異方性を適切に設定したものを準備し、これに偏光子を組み合わせればよい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
ガオら、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー、102巻、8360ページ(1998)に記載の方法に改良を加えた以下の方法により、II−VI族半導体であるカドミウムテルライド超微粒子を作製した。
即ち、クリーンルーム(クラス10000以下)でアルゴンガス雰囲気にした丸底フラスコ中で、界面活性剤であるチオグリコール酸(HOOCCHSH)(TGA)を含むpH11.4に調整した過塩素酸カドミウム水溶液(濃度0.013モル/リットル)を激しく攪拌しながら、テルル化水素ガスを加えた後に、さらに攪拌することにより、カドミウムテルライド超微粒子分散液を得た。該超微粒子分散液は、紫外光照射により赤色発光を示した。水は超純水(日本ミリポア社製の純水製造機ミリQシンセシス、比抵抗18MΩ・cm以上、TOC(トータル オルガニック カーボン、水中の有機系化合物の総量)5ppb)を用いた。該前駆体液中のカドミウム、テルルおよびチオグリコール酸のモル比を、1:0.47:X(X=0.90,1.00,1.25,1.50,1.75又は2.43)に設定し、Xによって超微粒子の発光効率がどのように変わるかを調べた。反応の始まる前の水溶液の量は60cmとした。
超微粒子の発光効率の値は、吸光度(吸収係数×濃度×光路長)と発光効率とが知られているキニーネ分子の硫酸水溶液(硫酸濃度1モル/リットル)との比較により既報の方法(ドーソンら、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー、72巻、3251ページ(1968年))で算出した。
この結果を図1に示す。カドミウムイオンに対するTGAの濃度比が1〜1.5の範囲内で発光効率50%以上の超微粒子が得られることがわかる。このような結果が得られる理由については、界面活性剤の量が少なすぎると、超微粒子が凝集して光らなくなり、一方、界面活性剤が多すぎると超微粒子表面に欠陥が増えて無輻射失活の割合が増え、発光効率が低下することによるものと考えられる。
このようにして作製した溶液を、水の著しい蒸発を防ぐため、小さく口をあけた小ビンに入れて大気下、室温で放置しながら、蛍光の経時変化を測定した。その結果、一旦3日ほどかけて発光強度が上昇し、そのあと、徐々に強度が減少し、5日ほどで作製直後の発光効率と同程度となり、さらに8日ほど経過すると沈殿して光らなくなった。
界面活性剤のみを同じpHの水に入れて放置しても、同じタイムスケールで界面活性剤の劣化が進むので、超微粒子の劣化は、界面活性剤の劣化により、溶液中でのブラウン運動で超微粒子同士が凝集し、不完全な結合を作ることが原因と思われた。また、途中で一旦、発光強度が上昇するのは、やはり界面活性剤の分解により、SH基が遊離し、それが超微粒子の表面に付いて欠陥の数が減少するためと推測された。
この超微粒子分散液を、既報の文献(タラピンら、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティー、124巻、5782ページ(2002年))に従って、サイズ選択的沈殿法により良く光る部分のみ粉体として取り出した。その後、該粉体約0.02グラムを再び水約1ミリリットルに再分散したところ、該分散液中の超微粒子の発光効率は70%であった。この分散液に、もとの超微粒子作製時の成分とほぼ同量のカドミウムイオンと界面活性剤(過塩素酸カドミウムの6水和物5.4ミリグラム、チオグリコール酸1.5ミリグラム)を入れ、水酸化ナトリウムを入れてpHを11程度にすると、超微粒子の表面状態が保持されて、5日以上の間、発光効率が50%以上に保たれた。
アミノプロピルトリメトキシシラン3グラムとメタノール28グラムを十分に撹拌し、この混合物を10ミリリットル採取して直径5センチのフッ素樹脂製シャーレに入れた。
このシャーレに小型の攪拌子を入れ、さらに水2.8ミリリットルを入れて、上から覆いをして埃を遮断して攪拌し、下記反応式に従った加水分解とその後の脱水縮重合を進行させた。
N−(CH−Si−(OCH+3HO→
N−(CH−Si−(OH)+3CHOH
温度23℃、湿度60%で約12時間経過後、溶液の粘度(振動式粘度計 CBCマテリアルズ株式会社製のビスコメイトVM−1Gを用いて、約5ミリリットルの液量を測定した値を示す。以下、特に断りのないかぎり同様にして粘度を測定した)が約1000センチポアズとなった時点で、実施例1で作製した赤色発光を示すカドミウムテルライド超微粒子分散液1.2ミリリットル(x=1.50のもので製造直後の分散液)を入れてさらに10分間攪拌し、ガラス前駆体液とした。
ガラス前駆体液から攪拌子を取り出してさらにゾル−ゲル反応を進行させた。7日後、溶液は完全に固化し、透明なガラスとなった。このとき、ガラス中の超微粒子の濃度は、約1x10−5モル/リットルであった。
超微粒子が分散されたガラス(蛍光体)の光吸収スペクトルと発光スペクトルを測定すると、図2のようになった。この結果から、ガラス中に分散している超微粒子のフォトルミネッセンスの発光効率を見積もると28%であった。
実施例2で作製したガラスを、アルゴン雰囲気下100℃で2時間加熱した。このとき、昇温、降温のスピードは0.5℃/分として、ガラスに亀裂が入らないように注意した。この熱処理で、重量が5%程度減少した。得られた硬化ガラス中の超微粒子の発光効率は、実施例2のガラス中の超微粒子の発光効率を保持していた。
このように熱処理したガラスの硬度を、硬度計(Akashi製、マイクロビッカース硬度計MVK−E)にて測定するとビッカース硬度が約50(SI単位系で490メガパスカルである)であることがわかった。熱処理前のガラスでは、やわらかすぎて圧痕が生じず、硬度を測定することはできなかった。このように、熱処理によって脱水縮合反応を進行させてガラスの質を向上させることが出来た。
この熱処理により、ガラス粒が成長するものと思われ、光は少し散乱されることがわかった。
実施例2において、超微粒子を分散させた溶液を混合すると、一旦粘度が低下し、反応が進むと粘度が再び上昇した。この溶液の粘度が1000センチポアズ程度となった時点で、刷毛で高圧水銀灯の反射鏡に塗布し、室温で一晩放置した後、80℃で2時間加熱した。
この様にして半導体超微粒子を含む蛍光体薄膜を形成した反射鏡は、高圧水銀灯から出た波長365ナノメートルの紫外光を効率よく赤色光に変換できた。さらに、光源からの光に含まれる441、547、570ナノメートルの光もこの蛍光体ガラスは同時に吸収し、赤色光に変換できた。
この方法では、使用する蛍光体の発光効率が高いために、効率的に赤色成分への変換が可能であった。
フッ酸でエッチングして0.5ミリ程度の深さの文字状の溝をつけたホウ珪酸ガラス基板を用意した。その後、実施例2で作製途中の超微粒子を添加したガラス前駆体液の粘度が700センチポアズ程度となった時点で、この溝に流し込んだ。これを室温で一晩放置し、その後60℃で5時間熱処理してゾル−ゲル反応を進行させた。これにより、ガラス基板上に文字状に発光する蛍光体ガラスを作製できた。この蛍光体ガラスは、ガラス基板に固く密着した状態であり、3回に分けて流し込む方がガラス基板への密着性が上がった。
実施例1で作製したカドミウムテルライド超微粒子分散液(x=1.50のもの)26ミリリットルを用意し、これを濃縮して7ミリリットルとした。この液に、イソプロパノールを0.9ミリリットル加え、さらに0.1ミリリットル加えると超微粒子が析出して濁りが生じたので、これを遠心分離機により3000回転/分の速度で5分間かけて完全に沈殿させ、取り出した。
さらに、上澄み液に0.2ミリリットルのイソプロパノールを加えて、残りの超微粒子を析出させ、同様に遠心分離により取り出した。この超微粒子の粉体をイソプロパノールで洗浄し乾燥させた後、直ちに2ミリリットルの超純水に入れ、超微粒子の単分散溶液を得た。吸収スペクトルを測定してこの溶液中の超微粒子濃度を見積もると、超微粒子作製直後の約15倍であることがわかった。ここで、濃度の比較は、特定波長での吸光度(透過率の逆数の対数)を比べることにより行った。
上記の超微粒子の単分散溶液に、下記に示す調製液及び水溶性のカルボジイミドを加え混合し半導体超微粒子分散液を調製した。
該調製液は、超微粒子製造開始時の各原料の濃度とほぼ同じ濃度を有しており、カドミウムイオン(0.013モル/リットル)、TGA(0.020モル/リットル)を含み、pHを水酸化ナトリウムで11.4に調整したものである。
水溶性のカルボジイミド−は、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(C−N=C=N−CHCHCHN(CH・HCl)(WSCと略記)を用いた。
これらの成分を表1に示す割合となるように混合して1から5の番号で示した5種類の超微粒子分散液を調製した。まず、該調製液、WSC及び水を混合し、最後に精製したカドミウムテルライド超微粒子溶液(濃度およそ1.9×10−4M)を加えた。
Figure 0004555966
一方、3−アミノプロピルトリメトキシシラン2gとメタノール18g(モル比で約50:1)を混合、攪拌した溶液を10ミリリットル採取し、直径5センチのフッ素樹脂製シャーレに入れ、水を1ミリリットル加えて、室温14℃、湿度45%の条件で約24時間攪拌すると、加水分解と脱水縮合反応が進んで、溶液は1000センチポアズ程度の粘度となった。
このようにして加水分解及び脱水縮合を進めた溶液の入ったシャーレを5つ用意し、表1に1から5で示した5種類の溶液1ミリリットルずつを加えて、1分間攪拌した。その後、同じ室温と湿度の条件で5日間放置したところ、固化してガラス蛍光体となった。
表1に示した各溶液からは、表1に右端に示したように、最小で1x10−5モル/リットル、最大で2x10−4モル/リットルの濃度の超微粒子を分散したガラス蛍光体が作製された。このガラス中の超微粒子の発光効率は、表1の上から順に、36%、25%、26%、20%、21%となった。つまり、フォトルミネッセンスの発光効率は、いずれも20%以上を示した。なお、このときの励起光の波長は400ナノメートルであった。
また、この方法では、脱水縮合剤であるカルボジイミドを加えることによって、アミノ基を有する化合物である3−アミノプロピルトリメトキシシランから形成されるガラスマトリックスに超微粒子を化学結合させることができ、超微粒子の凝集防止と表面状態保護に有効であった。
上記方法では、赤色発光の蛍光体を作製したが、緑色発光のものでも20%以上の発光効率を示すものが同じ方法により作製できた。
実施例2で作製途中の超微粒子を添加したガラス前駆体液で、粘度が350センチポアズ程度のものを用い、特開2002−211935号公報の実施例3に記載された方法に従い蛍光体を作成した。溶液だめに取り付けたノズルを加熱することでその先端からガラス前駆体溶液の細かい液滴を基板上に噴出させ、その基板を室温で一晩放置した。その後、100℃で2時間熱処理してゾルゲル反応を進行させて、基板上に直径100ミクロン程度の多数の微小領域からなる蛍光体を作製した。カドミウムテルライド超微粒子は、粒径により赤色や緑色に発光するので、多数の青色発光LED(オーディオQ社製、波長470ナノメートル)で励起することにより、任意の色調の発光を得ることが出来た。
光源として青色発光LEDを用い、図3に示す構造のディスプレイ装置を作製した。
このディスプレイ装置は、通常の液晶ディスプレイに用いるものと同様の方式であり、支持基板上に、光拡散板、偏光子、透明電極、配向膜、液晶セル及び検光子を配置し、その上に本発明のガラス蛍光体を接着したガラス基板を配置した構造である。また、ガラス蛍光体間には漏れ光を減少させるためにブラックマトリックスを配置し、さらにその上に、表面保護基板を配置した。
該ディスプレイ装置では、ガラス蛍光体としては、赤(610ナノメートル)の発光をするものと緑(540ナノメートル)の発光をするものを用い、ガラス蛍光体を塗布しない場所(空洞)では、励起光が素通りとなるため、青色の発光を示すことができる。
また、図4に示すように、ガラス蛍光体を塗布しない空洞部には、半導体超微粒子の替わりに直径100ナノメートル程度のシリカガラス球を分散させたガラスを配置することで励起光を拡散させることができる。この構造のディスプレイ装置では、青色の光が、赤色、緑色と同じ光の進み方をした。さらに、図4のディスプレイ装置では、支持基板の上に反射鏡を設けることで、励起光とそれによって発光した蛍光を効率よく上面方向へ導くことができた。
上記図3及び図4に示すディスプレイ装置では、情報信号に従って印加電圧を変化させることで、それぞれの液晶セルの配向方向を制御し、蛍光体ガラスに照射される青色励起光強度を変化させることができる。これにより、所望の発光色と階調とを得ることができ、良好な性能を有するカラーディスプレイ装置が得られた。
現状の液晶カラーディスプレイは、本実施例での青色光源と蛍光体ガラスの組み合わせの替わりに、白色光源と赤、緑、青フィルターの組み合わせが使われている。この方式では、光の大部分が必ず吸収されてエネルギーの損失が出る。それに比べて実施例8の装置では、必要な色が直接に得られるのでエネルギー効率が良く、しかも四方に発光するので視野角が広いという利点があった。また、青色光源の替わりに紫外発光LEDを励起光源として用い、カドミウムセレナイド超微粒子を用いて青色発光を得ることも可能であった。
実施例2で作製途中の超微粒子を添加したガラス前駆体液の粘度が700センチポアズ程度となった時点で、ガラス鏡上に滴下し、回転数を毎分500回転程度でスピンコートした。これにより、約1ミクロンの厚みのガラス蛍光体薄膜を得ることができた。この薄膜を、徐々に昇温して(昇温速度0.5℃/分)、100℃で2時間保持した後、冷却して(冷却速度0.5℃/分)硬化ガラス膜を得た。更に、この上から重ね塗りをして、もう一度熱処理することで、膜厚を増加させた。
この様にして作製したガラス鏡に高圧水銀ランプの光を当てると、青色成分の一部が赤色に変換され、より暖かみのある光が得られた。
実施例6で示した表1の一番上のカラム(番号1)の溶液組成の超微粒子分散液を用意した。但し、合計の液量が3倍になるように実験のスケールを大きくした。また、溶液のpHを8として水溶性カルボジイミド(WSC)がアミド結合を作る反応を開始しやすい条件に整えた。一般にWSCはpH4から8で反応しやすくなる。振動式粘度計で測定してゾル液が1000センチポアズとなったときに上記の超微粒子分散液を投入して、1分間攪拌した。その後、室内で5日間放置したところ、固化してガラス蛍光体となった。
超微粒子分散液及び得られたガラスの蛍光スペクトルを測定すると、図5のようになった。この超微粒子分散液の吸収スペクトルも参考のために併せて示す。図5において、両者は蛍光スペクトルにほとんど差が見られないことから、超微粒子の表面状態がガラスマトリックス中に分散させた後も溶液中とほぼ同じ状態に保たれていることが分かる。これにより、超微粒子をガラスに入れてもの発光効率はほとんど変化せず、実際、このガラスを波長365ナノメートルで励起すると、発光効率として43%が得られることがわかった。また、超微粒子の表面状態が維持されるため、超微粒子の高分散性も維持されている。
実施例10と同様の作製法で超微粒子分散ガラス蛍光体を作製したところ、該蛍光体中の超微粒子の発光効率は39%であった。このときの発光ピーク波長は644.0ナノメートル、発光スペクトルの半値全幅は57.8ナノメートルであった。これを室内(10〜20℃程度)に8ヶ月放置した後、同じ方法で測定すると、発光効率は32%、発光ピーク波長は644.5ナノメートル、発光スペクトルの半値全幅は58.6ナノメートルであった。つまり、発光効率の低下率は18%であった。
水溶液の状態で室温の大気中に放置すると数週間で劣化してほとんど光らなくなってしまうが、このようにガラス中に安定化させると長くその特性を維持できることが示された。
なお、本明細書に記載された公知文献は、参考として援用される。
発明の効果
本発明の半導体超微粒子は、水分散性が良好であって高い発光効率を有し、しかも、開放した大気雰囲気下で水を含む溶液中において、長期間高い発光効率を維持できるという優れた特性を有するものである。
従って、ゾルゲル法を利用してガラスマトリックス中に該半導体超微粒子を分散させることにより、金属アルコキシドからガラスが形成される間、該超微粒子は良好な分散性と蛍光性能を維持することができ、優れた性能を有する蛍光体を得ることができる。特に、ゾルゲル反応が開始した後、一定時間経過して溶液の粘度が上昇した後に半導体超微粒子を添加する方法によれば、高い発光効率を保ちながら、高濃度に半導体超微粒子が分散した高い発光性能を有する蛍光体を得ることができる。
この様にして得られる蛍光体は、全体としては基本的にガラスの性質を示すものであり、機械的特性、耐熱性、化学的安定性などに優れたものである。しかも半導体超微粒子は、外部雰囲気から遮断されているため耐光性に優れ、経時安定性も極めて良好である。更に、該蛍光体は、輝度が高く、単一波長の光照射で様々な発色光を示すものであり、従来の蛍光体に替えて照明や表示素子などの各種用途に有効に用いることができる。

Claims (13)

  1. カドミウムを含む水溶性化合物及び界面活性剤を溶解したアルカリ性水溶液中に、不活性雰囲気下において、テルル化合物を導入して
    開放された大気雰囲気下において、水に分散させた状態で10〜20℃で5日間保持した場合に、50%以上のフォトルミネッセンスの発光効率を維持するテルル化カドミウム半導体超微粒子を製造する方法であって、
    界面活性剤の使用量が、該カドミウム1モルに対して1〜1.5モルであり、
    溶媒として用いる水が、比抵抗18MΩ・cm以上、且つ水中の有機系化合物の総量(TOC)5ppb以下の超純水である
    ことを特徴とするテルル化カドミウム半導体超微粒子を製造する方法。
  2. 界面活性剤が、チオール基と親水性基の両方を有する界面活性剤である請求項1に記載の方法。
  3. 界面活性剤が、チオグリセロール、チオグリコール酸、又はメルカプトエチルアミンである請求項1に記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法によって得ることができるテルル化カドミウム半導体超微粒子。
  5. ゾルゲル法によって形成されたガラスマトリックス中に請求項4に記載されたテルル化カドミウム半導体超微粒子を分散させてなる蛍光体。
  6. ガラスマトリックス中のテルル化カドミウム半導体超微粒子の、フォトルミネッセンスの発光効率が20%以上である請求項5に記載の蛍光体。
  7. ガラスマトリックス中のテルル化カドミウム半導体超微粒子の濃度が2×10−6〜2×10−4モル/リットルである請求項5又は6に記載の蛍光体。
  8. ガラスマトリックスがオルガノアルコキシシランを原料としてゾルゲル法によって形成されたものである請求項5〜7のいずれかに記載の蛍光体。
  9. 開放された大気雰囲気下において室温で8ヶ月保持した場合に、フォトルミネッセンスの
    発光効率の低下率が20%以下のテルル化カドミウム半導体超微粒子を分散させてなる請求項5〜8のいずれかに記載の蛍光体。
  10. 金属アルコキシドを含むゾル溶液中に、請求項4に記載されたテルル化カドミウム半導体超微粒子の分散液を添加し、加水分解及び縮重合反応によってガラスマトリックスを形成することを特徴とする蛍光体の製造方法。
  11. 金属アルコキシドを含むゾル溶液中に、請求項4に記載されたテルル化カドミウム半導体超微粒子の分散液を添加し、加水分解及び縮重合反応によってガラスマトリックスを形成するにあたり、金属アルコシキドを含むゾル溶液の粘度が300〜3000センチポアズとなった時点でテルル化カドミウム半導体超微粒子の分散液を添加することを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
  12. 請求項10又は11に記載の方法によって得ることができる蛍光体。
  13. 請求項5〜9、及び12のいずれかに記載された蛍光体からなる発光体と、該蛍光体を励起するための波長320〜600ナノメートルの励起光を発する光源とを備えた発光装置。
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