JP4840823B2 - 半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子及びその作製方法 - Google Patents

半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子及びその作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体ナノ粒子を含有するガラス微粒子に関し、特に蛍光(フォトルミネッセンス)を発する半導体ナノ粒子を分散含有するガラス微粒子とその作製方法に関する。
近年、高輝度で高精細、かつ、駆動に要するエネルギー(消費電力)が小さい高性能かつ省エネタイプのカラーディスプレイが必要となっている。このようなディスプレイを実現する鍵となるのは発光効率及び輝度が高く光の3原色RGBのような種々の色で発光する高性能な蛍光体である。また、需要が高まりつつある新しい省エネタイプの固体照明にも高性能な蛍光体が不可欠である。
従来、希土類イオンや遷移金属イオンを用いた蛍光体が、有機色素等に比べると耐久性に優れていたためディスプレイ等に使用されてきたが、輝度や演色性は必ずしも十分ではなかった。そのため、それらを凌ぐ高輝度の蛍光体が要望されていた。
それを実現する可能性が高い新しい高性能蛍光体として、同一波長の紫外線を照射した場合でも粒径に応じて様々な波長の明るい蛍光を発する半導体ナノ粒子が注目されている。さらに、ディスプレイ、照明以外では、生体分子に結合し蛍光プローブとして用いる応用分野があり、ここでも、従来用いられてきた有機色素よりも蛍光強度が経時的に低下しにくい半導体ナノ粒子が注目されている。
このような蛍光体となる半導体は、主にII-VI族半導体(硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化カドミウム(CdTe)等)であり、これらの半導体は直接遷移を示し、発光寿命が約10ナノ秒と、従来の、禁制遷移の性格をもつものが多い希土類イオンや遷移金属イオンを用いた蛍光体よりも約5桁短く、励起光の吸収と蛍光の放出を著しく急速に繰り返すことができるので、はるかに高輝度の蛍光が得られる。発光寿命が短いことは、励起光のON、OFFに対する応答も速いことを意味する。また、有機色素と比較すると、半導体ナノ粒子ははるかに劣化しにくい。
これまでに、このような半導体ナノ粒子については、水溶液中で合成する方法と非水溶液中で合成する方法が開発されている。しかしながら、溶液中で合成した半導体ナノ粒子は、合成した直後から、次第に粒子の凝集等が起こって発光特性が劣化し、また、特に非水溶液中で合成したナノ粒子は、水分に弱く、微量の水分の共存によって蛍光が急速に衰え、さらに、ナノ粒子の溶液のままでは材料として工学的に応用しにくいという問題があった。そのため、半導体ナノ粒子を透明なガラス等のマトリックス中に分散固定する形で閉じ込め、種々の環境下で長期にわたって高輝度発光特性を維持する工学的応用に適した固体材料とする必要がある。
ナノ粒子を保持する固体マトリックスとしては、ガラスや透明な有機高分子材料がある。ガラスは、有機高分子と比較して透明性が良く、紫外線にも強く、また、水分や酸素等を通しにくいためマトリックス中に分散したナノ粒子の化学変化による劣化を長期にわたって防ぐことができる等の利点があるので優れている。ガラスの生成にはゾル−ゲル法が有利である。ゾル−ゲル法では、常温常圧という穏やかな条件下でガラス化が進むので、半導体ナノ粒子が、水溶液法で合成された直後の粒径と高い発光効率を保持したまま、透明なガラス中に分散固定される。一旦固体となれば、ナノ粒子の凝集や酸化劣化も進みにくく、高輝度の蛍光を長期にわたり安定に発する材料ができる。
半導体ナノ粒子をゾル−ゲル法でガラス中に分散固定した蛍光性ガラスとしては、これまでに、バルク状のガラスとガラス微粒子、及び、ガラス薄膜の作製方法がいくつか試みられている。この内、半導体ナノ粒子を分散含有したガラス微粒子は、ディスプレイや照明等の発光デバイスを作製する際に粉体状の蛍光体として基材上に堆積させて用いる場合、および、生体分子に結合して蛍光プローブとして用いる場合に重要である。以下では、半導体ナノ粒子をゾル−ゲル法でガラス中に分散固定した蛍光性のガラス微粒子に限定して記述する。
従来、半導体ナノ粒子をゾル−ゲル法でガラス中に分散固定した蛍光性のガラス微粒子、及び、その作製方法が以下のようにいくつか試みられている。
第1のナノ粒子分散ガラス微粒子は、半導体ナノ粒子をゾル−ゲル法でガラス中に分散固定した蛍光性のガラス微粒子であって、その発光効率が1〜20%程度のものである。その作製方法は、疎水性の有機溶媒中で界面活性剤の逆ミセルを生成させ、次にその溶液にナノ粒子分散水溶液を添加して、ナノ粒子水溶液を内包した逆ミセルを生成させ、その後、反応溶液中にガラス生成のための反応物としてテトラエトキシシラン(TEOS)等のアルコキシドを加えて、逆ミセルにおいてゾル−ゲル反応を進行させることにより、最終的に、ナノ粒子を分散固定したガラス微粒子を作製するものである(特許文献1及び非特許文献1〜5)。
この第1の作製方法によれば、ナノ粒子は1個1個の逆ミセル中に分かれて存在するので、ゾル−ゲル反応によるガラス生成過程において、ナノ粒子の凝集を抑制することが期待された。実際に、この方法を適用して、ナノ粒子を分散固定化したガラス粒子を作製することができた。
しかし、第1の作製方法で得られるナノ粒子分散ガラス微粒子の発光効率は、特許文献1および非特許文献1では5-10%、非特許文献2では14-20%、非特許文献3では7%、非特許文献4では1-11%であり、いずれも20%以下と小さく、実用的には満足できるものではなかった。
また、第1の作製方法のうち特許文献1及び非特許文献1の方法では、半導体ナノ粒子がガラス粒子の内部ではなく外表面付近に固定されたものであった。半導体ナノ粒子がガラス粒子の外表面付近で固定された場合、ガラス内部への固定と比較して、半導体ナノ粒子の外部雰囲気からの遮断が不十分であるため、蛍光特性の長期安定性が不十分になり易いという問題があった。このように半導体ナノ粒子がガラス粒子の外表面に偏在する理由の1つは次のように考えられる。ゾル−ゲル反応の進行過程でアルコキシドが加水分解しシリカの網目構造が発達する際に、粘度の低い未反応のアルコキシドと半導体ナノ粒子の混合物から、次第にアルコキシドの加水分解が進み徐々に粘度の高いゲルと半導体ナノ粒子の混合物へと変化する。その過程において、半導体ナノ粒子がシリカの網目構造から排除され易く、その結果、ゾル−ゲル反応が完了してガラス化した後に、半導体ナノ粒子は生成したガラス粒子の内部ではなく外表面付近に固定されてしまったと推測された。
第2の作製方法として、半導体ナノ粒子をゾル−ゲル法でガラス中に分散固定した蛍光性のガラス微粒子、及び、その作製方法が、バベンディらによって報告されている(非特許文献6)。この第2の作製方法は、予め有機溶媒中で合成したナノ粒子を、シランカップリング剤等およびアミノ基を有するアルコールを溶解した溶液中に分散させ、ナノ粒子の合成過程でナノ粒子表面にコートされているチオグリコール酸等の有機分子を、アミノ基を有するアルコールおよびシランカップリング剤等に置換する。次に、このナノ粒子分散液を、ナノ粒子を含まない微小シリカ系ガラス微粒子と有機高分子のアルコール分散液に加えた後、アンモニア水とアルコキシドを添加し、ゾル−ゲル反応を行わせる方法である。
この方法によれば、ナノ粒子を含まないガラス微粒子の表面に、ナノ粒子を含有するゾル−ゲルガラス層がコートされた構造の蛍光性ガラス微粒子が得られる。しかし、ガラス微粒子の表層付近にのみナノ粒子が存在し、ガラス微粒子の核にはナノ粒子が含まれていないため、ガラス微粒子中のナノ粒子の分散濃度を高めることができず、そのため強い発光及び高い発光効率を得ることが困難であるという問題があった。
第3の作製方法として、表面が界面活性剤でコートされた半導体ナノ粒子を用いて、その表面をシランカップリング剤やアルコキシド等で化学修飾した後、シランカップリング剤やアルコキシド等を加水分解することにより、半導体ナノ粒子を含有するガラス微粒子を作製する方法が報告されている(非特許文献7及び8)。しかし、この方法では、1個のガラス微粒子の中に1個の半導体ナノ粒子だけしか含有させることができず、したがって、ガラス微粒子中のナノ粒子の濃度が非常に低く、明るい蛍光を得ることが難しく、実用的には不利である。
特開2002-211935号公報 セルバン、李、安藤、村瀬、ケミストリー レターズ、33巻、4号、434頁(2004) セルバン、タン、イン、アドバンスド マテリアルズ、17巻、1620頁(2005) ヤン、ガオ、アドバンスド マテリアルズ、17巻、2354頁(2005) イ、セルバン、リー、パパエフシミオウ、クンダリヤ、イン、ジャーナル オブ アメリカンケミカルソサエティー、127巻、4990頁(2005) ダーバンディ、トーマン、ナン、ケミストリー オブ マテリアルズ、17巻、5720頁(2005) チャン、ツィンマー、ストロー、ステッケル、ジャイン、バベンディ、アドバンスド マテリアルズ、16巻、2092頁(2004) ゲリオン、ピノー、ウィリアムス、パラック、ザンチェト、ワイス、アリビサトス、ジャーナル オブ フィジカルケミストリー ビー、105巻、8861頁(2001) ナン、マルバニー、アンゲバンテ ヒェミー インターナショナル エディション、43巻、5393頁(2004)
本発明は、従来の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子に優る発光効率と濃度で可視波長の明るい蛍光を発し、蛍光強度の経時安定性等に優れた半導体ナノ粒子分散微小シリカ系ガラス微粒子、及びその作製方法を提供することを目的とする。ここで、シリカ系ガラスとは、少なくとも一部分にSi-O-Si結合を有する物質のことを意味する。
本発明者は、従来、半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子における蛍光の発光効率が高々20%程度であった理由は、その作製方法及びその構造に原因があると考えた。
すなわち、従来の第1の作製方法では、未反応のアルコキシドと半導体ナノ粒子の混合物から出発するため、ゾル−ゲル反応が十分に進行してガラス微粒子が生成するまでに、反応溶液を1〜3日間程度撹拌する必要があるが、そのような長時間の撹拌過程で、溶液中のナノ粒子が次第に劣化し蛍光強度が低下すると考えられる。
また、反応初期の未反応のアルコキシドは加水分解が進んだ状態に比べて粘度が低いため、ゾル−ゲル反応の進行過程でシリカの網目構造が発達する際に、半導体ナノ粒子がシリカの網目構造から排除され易いと推測される。その結果、ゾル−ゲル反応が完了してガラス化した後に、半導体ナノ粒子は生成したガラス微粒子の内部ではなく外表面付近に集まって固定され、半導体ナノ粒子同士の凝集による発光効率の低下や、被覆するガラス層が薄いことによる外部雰囲気との接触し易さから来る蛍光強度の経時的低下等を招いたと考えられた。
また、イオン性の界面活性剤を用いていたため、溶液中に生成した逆ミセル中に存在する電荷が、ナノ粒子表面をコートしている別の界面活性剤の有する電荷と静電反発を起こし、その結果、ナノ粒子が逆ミセル中に高濃度で取り込まれず、得られたガラス微粒子の蛍光強度が高まらなかった可能性も考えられる。
一方、従来の第2の作製方法では、前述のように、ガラス微粒子の表層付近にのみナノ粒子が存在し、ガラス微粒子の核にはナノ粒子が含まれていないため、ガラス微粒子中のナノ粒子の分散濃度を高めることが原理的にできず、そのため強い発光、高い発光効率を得ることが困難であった。
また、従来の第3の作製方法では、1個のガラス微粒子の中に1個の半導体ナノ粒子だけしか含有させることができず、したがって、ガラス微粒子中のナノ粒子の濃度が非常に低く、強い発光、高い発光効率を得ることが困難であった。
本発明者は、上記の点を考慮し鋭意研究を行った結果、逆ミセル法を用いるという点では上記した従来技術第1と共通点があるが、部分的に加水分解して粘度が高くなった状態のアルコキシドの部分的分解生成物と半導体ナノ粒子を混合してから、別途、非イオン性の界面活性剤を用いて生成させた逆ミセル中に取り込ませ、さらにアルコキシドの加水分解を進行させてゾル−ゲルガラス化させる新しい作製方法を開発した。
この方法を用いることにより、従来よりも反応時間を短縮でき、ナノ粒子が劣化する前に分散したガラス微粒子を作製可能であり、加えて、逆ミセル中で半導体ナノ粒子がシリカの網目構造から排除されにくく半導体ナノ粒子がガラス微粒子の外表面付近に偏らず内部に分散固定することが可能である。その結果、従来と比較してはるかに高い発光効率(最高60%以上)を有する明るい蛍光を発する半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子を作製し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、下記の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子とその作製方法を提供する。
項1.アルコキシドの加水分解生成物を含む平均粒径10ナノメートル以上5マイクロメートル以下のシリカ系ガラス微粒子中に、半導体ナノ粒子が2x10-5モル/リットル以上1x10-2モル/リットル以下の濃度で分散されてなる半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子であって、当該半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子が分散した溶液における蛍光の発光効率(量子収率)が25%以上である半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子。
項2.前記シリカ系ガラス微粒子1個当たりに平均して半導体ナノ粒子が1個を越えて内包されている項1に記載の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子。
項3.前記半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子が分散した溶液における蛍光の発光効率(量子収率)が60%以上である項1又は2に記載の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子。
項4.半導体ナノ粒子が、硫化カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウム、硫化亜鉛、及び硫化鉛からなる群から選ばれた少なくとも1種である項1〜3のいずれかに記載の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子。
項5.ガラス微粒子表面に、アミノ基、チオール基、及びカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する項1〜4のいずれかに記載の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子。
項6.半導体ナノ粒子分散水溶液にアルコキシドを加え、加水分解を一部進行させたゾル−ゲル反応溶液を生成させる第1工程、疎水性の有機溶媒に界面活性剤を加えて逆ミセル溶液を生成させる第2工程、及び、第1工程で得た溶液と第2工程で得た溶液を混合し、半導体ナノ粒子を分散含有したガラス微粒子を生成させる第3工程、を含むことを特徴とする半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子の作製方法。
項7.第1工程において、半導体ナノ粒子分散水溶液中にさらにアルカリ性水溶液を加えることを特徴とする、項6に記載の作製方法。
項8.アルカリ性水溶液がアンモニア水又は水酸化ナトリウム水溶液である、項7に記載の作製方法。
項9.アルカリ性水溶液が、半導体ナノ粒子を構成する金属イオンを含有している項7又は8に記載の作製方法。
項10.第1工程において、さらに、半導体ナノ粒子被覆用界面活性剤を加える、項7〜9のいずれかに記載の作製方法。
項11.半導体ナノ粒子表面用界面活性剤がチオグリコール酸である、項10に記載の作製方法。
項12.アルコキシドが、一般式(I):
R1 r-Si(OR2)4-r (I)
(式中、R1及びR2は同一又は異なった低級アルキル基を示し、rは0、1、2又は3を示す)
で表される化合物である項6〜11のいずれかに記載の作製方法。
項13.半導体ナノ粒子分散水溶液が、硫化カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウム、硫化亜鉛、及び硫化鉛からなる群から選ばれた少なくとも1種の半導体ナノ粒子が分散した水溶液である項6〜12のいずれかに記載の作製方法。
項14.半導体ナノ粒子がテルル化カドミウムである項6〜13のいずれかに記載の作製方法。
項15.疎水性の有機溶媒が炭素数4〜12の炭化水素である項6〜14のいずれかに記載の作製方法。
項16.疎水性の有機溶媒がシクロヘキサンである項6〜14のいずれかに記載の作製方法。
項17.界面活性剤がポリオキシエチレンエーテル型非イオン性界面活性剤である項6〜16のいずれかに記載の作製方法。
項18.アルコキシドがテトラエトキシシラン(TEOS)である項6〜17のいずれかに記載の作製方法。
項19.前記第1工程〜第3工程に加えて、第3工程で生成したガラス微粒子の溶液に、さらにアルコキシド及びアルカリ性水溶液を添加して撹拌する第4工程を含むことを特徴とする項6〜18のいずれかに記載の作製方法。
項20.前記第1工程〜第3工程に加えて、第3工程で生成したガラス微粒子の溶液に、さらにアルコキシド、シランカップリング剤及びアルカリ性水溶液を添加して撹拌する第4工程を含むことを特徴とする項6〜18のいずれかに記載の作製方法。
項21.項6〜20のいずれかに記載の作製方法により製造される半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子。
項22.項1、2、3、4、5又は21に記載の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子を含む蛍光体。
項23.項1、2、3、4、5又は21に記載の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子を基板上に分散固定した試料をステージ上に載せ、レーザー光をこの試料に照射し、ステージを少しずつ動かしてレーザー光の照射位置を変えながら基板上の1個1個の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子から出てくる蛍光スペクトルを分光器を使って分光測定することを特徴とするガラス微粒子の識別方法。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明による半導体ナノ粒子の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子は、球状のシリカ系ガラスをマトリックスとして、その中に半導体ナノ粒子を分散させた形態を有する。
半導体ナノ粒子
半導体ナノ粒子としては、可視〜近赤外領域で発光するII-VI族半導体等、例えば、硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化鉛(PbS)などが挙げられる。特に、テルル化カドミウム、セレン化亜鉛が好適である。
また、半導体ナノ粒子は、2種以上の半導体の合金からなるものであっても良い。例えば、セレン化亜鉛とテルル化亜鉛の合金(ZnSe1-xTex)、セレン化亜鉛とセレン化カドミウムの合金(Zn1-yCdSe)、硫化亜鉛と硫化カドミウムの合金(Zn1-zCdS)などを好適に用いることができる。ここで、0<x<1,0<y<1,0<z<1である。このような合金に含まれる2種以上の半導体の比率を適宜選択することによって、半導体ナノ粒子のバンドギャップを制御し、蛍光の発光波長を調節することができる。また、半導体ナノ粒子の粒径や形状などを均一にでき、その結果、発光スペクトルの幅が狭め、単色性に優れた蛍光が得ることができる場合もある。
また、半導体ナノ粒子は、コアシェル構造を有していてもよい。コア部及びシェル部の金属の組み合わせは限定的でない。例えば、コア部/シェル部が、1種のII-VI族半導体/1種のII-VI族半導体、1種のII-VI族半導体/2種以上のII-VI族半導体の合金、2種以上のII-VI族半導体の合金/1種のII-VI族半導体、2種以上のII-VI族半導体の合金/2種以上のII-VI族半導体の合金等のいずれの組み合わせであってもよい。
本発明では、水に単分散し、かつ発光効率が25%以上の半導体ナノ粒子を用いることが好ましい。単分散性の半導体ナノ粒子は、水と良好に分散混合する性質を有するので、ゾル−ゲル法によるガラス作製の際に、適当な条件下で、凝集することなくシリカ系ガラス中に単分散させることができる。得られたガラス微粒子材料の発光効率の上限は、一般に半導体ナノ粒子の発光効率を超えることはない。そのため、半導体ナノ粒子の発光効率が25%未満と低い値の場合には、ガラス微粒子材料が一定の輝度を示すためには、励起光の強度を大きくすることが必要となり、実用的な利点が少ない。
ここで、蛍光発光効率とは、吸収された光子(フォトン)数(ΦA)に対する蛍光(フォトルミネッセンス)として発光される光子(フォトン)数(ΦPL)の割合(ΦPL/ΦA)として定義される。この発光効率は、当該技術分野において標準的に用いられる値であり、「内部量子収率」と同義である。発光効率は、発光効率が既知の色素分子を用いて、該色素分子溶液と測定対象物における励起光波長での吸光度と発光強度とを比較することにより算出される。測定時には、通常は色素分子溶液と測定対象物の励起波長での吸光度を一致させて比較する。(例えば、既報の方法、ドーソンら、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー、72巻、3251ページ(1968年)、村瀬ら、日本セラミックス協会2004年年会要旨集2K35およびその中の文献等を参照)。
このような水に単分散し25%以上の発光効率で明るい蛍光を発する半導体ナノ粒子は、例えば、ロガシュら、ベリヒテ デア ブンゼン−ゲゼルシャフト フュア フィジカーリッシェ ヒェミー、100巻、1772頁(1996)をもとに改良を加えた、李、村瀬、ケミストリー レターズ、34巻、92頁(2005)による水溶液法によって作製できる。
この方法では、pHを11〜12、特に好ましくは11.4に調整した過塩素酸カドミウム水溶液に界面活性剤としてチオグリコール酸を、カドミウムに対するモル比で1.25前後になるように加え、不活性雰囲気下でテルル化水素またはテルル化水素ナトリウムを導入した後、還流することにより、テルル化カドミウムナノ粒子を作製することができる。テルル化カドミウム以外のセレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛等、さらには、これらの合金(例えばテルル化亜鉛及びセレン化亜鉛の合金、セレン化カドミウム及びセレン化亜鉛の合金)等の半導体ナノ粒子も、ナノ粒子の組成に対応する材料を用いて、同様の方法により作製できる。
なお、これらの化学的組成の異なる半導体を用いる場合には、化学的組成に応じて、他の界面活性剤を用いることにより、発光効率を向上させることができる。例えば、セレン化亜鉛ナノ粒子の作製に際しては、チオグリコール酸に代えて、チオグリセロールを用いることもできる。さらに、必要に応じて、ナノ粒子の表面欠陥を減らし発光効率を向上させるために、ナノ粒子の表面を別の半導体で覆う。
水に単分散するII-VI族半導体ナノ粒子は、或いは、国際公開WO 00/17655号公報、WO 00/17656号公報、WO 2004/000971号公報等に記載されている方法に準じて作製することもできる。この方法では、まず有機金属法によってナノ粒子を作製する。すなわち、有機リン化合物(具体的には、トリオクチルリン酸、トリオクチルリン酸オキサイド等の、アルキル基とリンが直接化学結合している化合物)に有機金属化合物(ジメチルカドミウム等、アルキル基と金属が直接化学結合している化合物)を300℃程度の高温下で注入して、半導体ナノ粒子を得る。さらに、必要に応じて、その表面を別の半導体で覆う。次いで、チオール等の疎水基とカルボキシル基等の親水基を併せて有する界面活性剤分子を表面に結合させることにより、水に単分散する半導体ナノ粒子を作製することができる。
これらの方法で作製した半導体ナノ粒子の発光色は粒径によって決まり、平均粒径が小さいほど短波長の発光を示す。通常、平均粒径は2〜8ナノメートル程度(特に、3〜7ナノメートル程度)の範囲にあることが好ましい。粒径は還流時間によって制御することができる。単色の発光を得るためには、還流時間を一定に制御し、半導体ナノ粒子の粒径分布の分散の標準偏差が、平均粒径に対して20%以下となるようにすればよい。粒径分布の分散の標準偏差が20%を超えると、各種の発光が混ざり合ってしまい、表示材料で求められる色調を得難くなるので、好ましくない。
本発明の半導体ナノ粒子分散蛍光性ガラス粒子の製造方法は、半導体ナノ粒子分散水溶液にアルコキシドを加え、加水分解を一部進行させたゾル−ゲル反応溶液を生成させる第1工程(必要に応じてアルカリ性水溶液を加えても良い)、疎水性の有機溶媒に界面活性剤を加えて逆ミセル溶液を生成させる第2工程、第1工程で得た溶液と第2工程で得た溶液を混合し、半導体ナノ粒子を分散含有したガラス微粒子を生成させる第3工程、及び必要に応じて第3工程で生成したガラス微粒子の溶液に、さらにアルコキシド及びアルカリ性水溶液を添加して撹拌する第4工程を含むことを特徴とする。
以下、これら4つの工程について順次説明する。
第1工程
第1工程では、半導体ナノ粒子分散水溶液にアルコキシドを加え、加水分解を一部進行させたアルコキシドと半導体ナノ粒子を含むゾル−ゲル反応溶液を生成させる。また、必要に応じてアルカリ性水溶液を添加してもよい。
第1工程で用いられる半導体ナノ粒子分散水溶液としては、蛍光(フォトルミネッセンス)を発する半導体ナノ粒子が均一に分散した水溶液を意味する。
半導体ナノ粒子としては、上述した可視〜近赤外領域で発光するII-VI族半導体等が挙げられ、硫化カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウム等、及びこれらの合金を例示でき、特にテルル化カドミウム、セレン化亜鉛が好適である。また、これらは上述したコアシェル構造であってもよい。
第1工程で用いられる半導体ナノ粒子分散水溶液における半導体ナノ粒子の濃度は、通常5x10-7〜1x10-3モル/リットル程度、好ましくは5x10-7〜5x10-4モル/リットル程度、より好ましくは1x10-6〜5x10-4モル/リットル程度、最も好ましくは1x10-6〜2x10-4モル/リットル程度である。
半導体ナノ粒子の配合量は、最終的に得られるシリカ系ガラス微粒子中の濃度が2x10-5モル/リットル以上1x10-2モル/リットル以下、好ましくは2x10-5モル/リットル以上4x10-3モル/リットル以下、より好ましくは2x10-4モル/リットル以上4x10-3モル/リットル以下となる量とすればよい。
第1工程では、上記の半導体ナノ粒子分散水溶液とアルコキシドを溶解した水溶液とを混合する。ここで用いられるアルコキシドは、一般式(I):
R1 r-Si(OR2)4-r (I)
(式中、R1及びR2は同一又は異なって低級アルキル基を示し、rは0,1,2又は3を示す)
で表されるものである。
上記一般式(I)で表される化合物の中でも、r=0,1又は2、特にr=0又は1のものが好適に用いられる。
R1及びR2で示される低級アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基があげられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル等が挙げられ、特にメチル、エチルが好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物の好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等が例示され、特にTEOSが好ましい。
アルコキシドの配合量は、アルコキシドのモル数:半導体ナノ粒子の個数のモル数が、1000:1〜1:1程度、好ましくは100:1〜10:1程度であればよい。なお、半導体ナノ粒子の個数のモル数とは、半導体ナノ粒子の個数をアボガドロ数で割った値をモル数として用いるという意味である。
なお、アルコキシドを溶解した水溶液におけるアルコキシドと水の混合比率(モル比)は、通常、1:5〜1:500程度であり、好ましくは1:10〜1:300程度であり、より好ましくは1:15〜1:200程度である。
第1工程では、上記の混合で得た、半導体ナノ粒子とアルコキシドを含む水溶液中で、アルコキシドを部分的に加水分解させる。このようなアルコキシドの部分的な加水分解は、半導体ナノ粒子とアルコキシドを含む水溶液を撹拌することによって達成される。
必要に応じアルカリ性水溶液を加えても良い。アルカリ性水溶液は、pHが8以上(好ましくは9〜12)であれば限定的でなく、アルカリ性水溶液として好適に用いうるものとして、例えば、アンモニア水の他、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液が挙げられる。これにより、アルコキシドの部分的加水分解をより促進することができる。これらの中でも、特にアンモニア水又は水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
アルカリ性水溶液の添加量は限定的でなく、例えば、半導体ナノ粒子分散水溶液のpHが8〜11程度(好ましくは8.5〜10程度)となるように、当該水溶液に加えればよい。
さらに、これらアルカリ性水溶液に加え、さらに、半導体ナノ粒子を構成する金属イオン及び/又は半導体ナノ粒子被覆用界面活性剤を加えてもよい。
半導体ナノ粒子を構成する金属イオンとしては、上述した半導体ナノ粒子の金属イオンが挙げられ、具体的には、亜鉛イオン、カドミウムイオンが挙げられる。
第1工程で加えてもよい半導体ナノ粒子被覆用の界面活性剤は、半導体ナノ粒子の表面を被覆する性質を有する限り限定的でなく、具体的には、チオグリコール酸、チオグリセロール、2―メルカプト―エチルアミン、グリシン等からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。この中でもチオグリコール酸が好ましい。
これら金属イオン及び/又は界面活性剤を更に添加することにより、半導体ナノ粒子に、当該ナノ粒子表面から界面活性剤が剥離したり、当該ナノ粒子が水溶液に溶解したりすることを防止できるため、当該ナノ粒子の劣化を抑制することができる。
この第1工程では、アルコキシドが完全にではなく部分的に加水分解した状態の溶液を得ることが必要である。なぜなら、第3工程において、未反応のアルコキシドよりも粘度の高まったアルコキシドの部分的加水分解生成物を用いることにより、半導体ナノ粒子を逆ミセル中に取り込むことができ、その後速やかにアルコキシドの加水分解を進めてガラス化することができるからである。もし、第1工程でアルコキシドの加水分解が進み過ぎると、逆ミセルに取り込む前にガラス化してしまうので、逆ミセルのサイズによって最終的に生成するガラス微粒子のサイズを制御することができなくなる。
第1工程において、撹拌の温度は特に限定されないが、通常、室温前後の5〜50℃であり、10〜40℃が好ましい。また、第1工程におけるアルコキシドの部分的加水分解時間(撹拌時間)は特に限定されないが、通常、1〜6時間であり、2〜4時間が好ましい。撹拌の際に溶液の温度が高過ぎると、アルコキシドの加水分解が急速に進み過ぎ、部分的に加水分解した状態の溶液を得ることが難しい。また、撹拌の際に溶液の温度が低過ぎると、アルコキシドの加水分解速度が遅過ぎ、アルコキシドを部分的に加水分解した状態の溶液を得るまでに長時間かかり、そのような長時間の撹拌過程において、半導体ナノ粒子が次第に劣化し蛍光の発光効率が低下する。
また、第1工程における溶液の撹拌は、溶液中で均一にアルコキシドを加水分解させ、かつ、部分的に加水分解したアルコキシドと半導体ナノ粒子を均一に混合させるために必要である。
第2工程
第2工程では、疎水性の有機溶媒中に界面活性剤を加えて逆ミセル溶液を生成させる。
第2工程で用いられる疎水性の有機溶媒としては、炭素数4〜12の炭化水素が挙げられ、具体的には、炭素数4〜12の直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族炭化水素、或いは炭素数6〜12の芳香族炭化水素が挙げられる。上記脂肪族炭化水素は、融点及び沸点が10〜35℃の範囲になく常温で液体であれば、飽和又は不飽和のいずれであってもよく、炭素数5〜10の直鎖状、分岐状又は環状の飽和脂肪族炭化水素が好ましい。より具体的には、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等が挙げられ、特にシクロヘキサン、イソオクタンが好ましい。上記芳香族炭化水素は、単環又は2環の芳香族炭化水素であり、該芳香環上に脂肪族炭化水素基を有していてもよい。より具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
第2工程で用いられる界面活性剤としては、疎水性有機溶媒に溶解し、溶解した状態において、界面活性剤の疎水基側が外側に配向し、界面活性剤の親水基側が内側に配向した、いわゆる逆ミセルを生成することができるものであれば用いることができる。
例えば、親水基や疎水基が電荷を持つイオン性(カチオン性、アニオン性又は両性)界面活性剤、親水基や疎水基が電荷を持たない非イオン性界面活性剤が挙げられる。
イオン性(アニオン性)界面活性剤としては、例えば、ビス(2-エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム(商品名「エーロゾルOT」、和光純薬工業(株)製)等が例示される。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンエーテル型非イオン性界面活性剤が挙げられ、特にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型非イオン性界面活性剤が挙げられる。そのうち、ポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル(商品名「イゲパルCO-520」、アルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(2)ノニルフェニルエーテル(商品名「イゲパルCO-210」、アルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル(商品名「イゲパルCO-630」、アルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(12)ノニルフェニルエーテル(商品名「イゲパルCO-720」、アルドリッチ社製)等のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル型非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン(2)イソオクチルフェニルエーテル(商品名「イゲパルCA-210」、アルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(5)イソオクチルフェニルエーテル(商品名「イゲパルCA-520」、アルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(12)イソオクチルフェニルエーテル(商品名「イゲパルCA-720」、アルドリッチ社製)等のポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテル型非イオン性界面活性剤などが好ましい。
なお、上記のポリオキシエチレンの後に記載した括弧内の数字は、オキシエチレン単位の繰り返し数を意味する。
好適な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であり、さらにポリオキシエチレンエーテル型非イオン性界面活性剤、特にポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル型非イオン性界面活性剤、とりわけポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルである。これは、前述したように、逆ミセルとナノ粒子が静電反発を起こさないため、ナノ粒子が逆ミセル中に均一に取り込まれ易いと考えられるからである。
逆ミセルは、疎水性の有機溶媒中に界面活性剤を加えて撹拌することにより製造される。界面活性剤の使用量は、疎水性有機溶媒1モルに対し、0.001〜0.1モル程度、好ましくは0.005〜0.02モル程度であればよい。撹拌時の温度は、特に限定はないが、通常、10〜35℃程度であればよい。なお、均一なサイズの逆ミセルを生成するために、溶液を激しく撹拌することが必要である。これにより平均径(外径)が10ナノメートル〜5マイクロメートル程度の逆ミセルが形成される。逆ミセルの平均径(外径)は、界面活性剤の量、水の量、及び疎水性有機溶媒量の相互の比率によって変えることができる。
第2工程において、撹拌の温度は特に限定されないが、通常、室温前後の5〜50℃であり、10〜40℃が好ましい。
第3工程
第3工程では、第2工程で得られる逆ミセルが分散した溶液と、第1工程で得られる部分的に加水分解したアルコキシドと半導体ナノ粒子を含む溶液とを混合し、逆ミセル内部に部分的に加水分解したアルコキシドと半導体ナノ粒子を取り込ませた後、さらにアルコキシドの加水分解を進めゾル−ゲル反応を進行させて、内部に半導体ナノ粒子を分散含有したガラス微粒子を作製する。
逆ミセルの内部に、アルコキシドの部分的加水分解生成物と半導体ナノ粒子を均一に取り込ませるために、溶液を激しく撹拌することが必要である。これにより、該混合物は、逆ミセルの界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンエーテル型非イオン性界面活性剤、特にイゲパルCO-520等)膜内部に浸潤し、逆ミセル内部でゾル−ゲル反応が進行する。
前述した従来技術の第1の作製方法では、逆ミセル中に加水分解が開始する前のアルコキシドと半導体ナノ粒子を取り込ませた後、アルコキシドの加水分解を行いゾル−ゲル反応を進行させて半導体ナノ粒子を分散含有したガラス微粒子を作製した。しかし、この方法では、アルコキシドが加水分解してガラス化するまでに1〜3日間、溶液を撹拌し続ける必要があり、そのような長時間の撹拌の過程で、半導体ナノ粒子が劣化し蛍光の発光効率が低下し、その結果、発光効率のあまり高くないガラス微粒子しか得られなかった。
しかし、本発明では、アルコキシドが部分的に加水分解した状態で半導体ナノ粒子と共に逆ミセル中に取り込ませ、アルコキシドの加水分解を行いゾル−ゲル反応を進行させて半導体ナノ粒子を分散含有したガラス微粒子を作製するので、反応時間が短くて済む。その結果、半導体ナノ粒子の劣化が抑制され、発光効率の非常に高いガラス微粒子が得られるのである。
また、本発明の作製方法では、逆ミセル中でのガラス化は、アルコキシドが部分的に加水分解した状態、すなわち、シリカの網目構造が部分的に形成されたある程度高い粘度を有する流動性の低い状態から進む。そのため、ガラス化の過程で半導体ナノ粒子がシリカの網目構造から押し出されてガラス微粒子の外表面付近へと移動し固定され、ガラス微粒子内部での分散濃度が低下したり、ナノ粒子同士が凝集して発光効率の低下を招いたり、ナノ粒子がガラスによって外部雰囲気から十分に遮断されていないために長期安定性が低くなる等の望ましくない状況が発生しにくい。
このように、本発明の作製方法は、ナノ粒子がガラス微粒子の外表面付近に偏らず内部に良く分散した状態で複数個以上取り込ませる上で有利である。
アルコキシドと水の混合比率(モル比)は、通常、1:5〜1:500程度であり、好ましくは1:10〜1:300程度であり、より好ましくは1:15〜1:200程度程度である。このような混合比率を選ぶと、加水分解のための水が十分な量あるためアルコキシドをゾル−ゲル反応で全てガラス化することができ、また、ゾル−ゲル反応によるガラス化の速度が適切となるため好ましい。
なお、第3工程において、撹拌の温度は特に限定されないが、通常、室温前後の5〜50℃であり、10〜40℃が好ましい。また、第3工程におけるアルコキシドの加水分解時間(撹拌時間)は特に限定されないが、通常、1〜6時間であり、2〜4時間が好ましい。
その後、反応が完了すると、疎水性有機溶媒中に、半導体ナノ粒子が内部に固定されたガラス微粒子蛍光体が分散した状態となる。これから溶媒を除去し、また、必要に応じて、生成したガラス微粒子の表面に付着している過剰の界面活性剤を適当な溶媒、例えば界面活性剤がポリオキシエチレンエーテル型非イオン性界面活性剤の場合はアセトニトリルやトルエン等で洗浄して除去し、乾燥すれば、半導体ナノ粒子が多くは内部に、一部は表面付近に固定されたほぼ球形(例えば、真球、楕円球などを含む。以下同じ。)の蛍光性ガラス微粒子の粉末が得られる。得られる蛍光性ガラス粒子の平均粒子径は、10ナノメートル〜5マイクロメートル程度となる。
第4工程
さらに、第3工程の後に、必要に応じて以下に述べるような後処理(第4工程)を行っても良い。この後処理は、第3工程を終了した後の反応溶液に、TEOS等のアルコキシドをさらに添加し、必要に応じてその追加したアルコキシドの加水分解のためにアルカリ性水溶液を追加してさらに1〜6時間、好ましくは3〜5時間撹拌する工程である。
撹拌時の温度は、特に限定されないが、通常、5〜70℃であり、10〜60℃が好ましい。この後処理の際に、溶液に超音波を印加したり、溶液を35〜70℃程度に暖めても良い。
このような後処理の工程を加える理由は以下の通りである。すなわち、上記第3工程終了直後の溶液中で、生成している半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子において、ガラス微粒子の外表面付近に一部の半導体ナノ粒子が固定されていると、そのような半導体ナノ粒子は被覆しているガラス層が薄く外部雰囲気と接触し易いため経時的に蛍光強度が低下する恐れがあり、また、第3工程終了直後にはまだ十分に硬いガラス微粒子となっていない可能性がある。
そのような状態の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子を含む溶液に、さらに上記一般式(I)で表されるアルコキシドを加えて加水分解させることにより、第3工程終了直後の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子の表面にさらに硬いガラス層がコートされる。ここで、アルコキシドの加水分解の促進のために、アルカリ性水溶液を加えることが好ましい。
アルカリ性水溶液としては、第1工程で上述したものが挙げられる。
アルカリ性水溶液の添加量は限定的でなく、当該アルカリ性水溶液のpH等に応じて適宜決定すればよい。
また、これらアルカリ性水溶液に加え、さらに、半導体ナノ粒子を構成する金属イオン及び/又は半導体ナノ粒子被覆用界面活性剤を加えてもよい。
これら半導体ナノ粒子を構成する金属イオン及び半導体ナノ粒子被覆用の界面活性剤としては、第1工程で上述したものと同様である。特にアルカリ性水性溶液としては、特にアンモニア水又は水酸化ナトリウム水溶液が好ましく、また、半導体ナノ粒子被覆用界面活性剤としては、チオグリコール酸が好ましい。これにより、半導体ナノ粒子が実質的に全てガラス微粒子の内部に分散固定され、蛍光強度が経時的に低下しにくいガラス微粒子が得られる。
さらに、上記一般式(I)で表されるアルコキシドに、一般式(II):
R3 -Si(OR4)4-p (II)
(式中、R3はアミノ基、チオール基、又はカルボキシル基を有する低級アルキル基、R4は低級アルキル基を示し、pは1,2又は3を示す)で表される化合物を加えてガラス層を形成することもできる。この、一般式(II)で表される化合物は、1個のSi原子に、上記R3で表される有機官能基と、上記OR4で表されるアルコキシ基の両方が結合しているものであり、アルコキシドの中でも、特にシランカップリング剤と総称される。或いは、一般式(I)で表されるアルコキシドで処理してガラス層を形成した後、次いで一般式(II)で表されるシランカップリング剤で処理して第2のガラス層を形成することもできる。これにより、ガラス微粒子表面にOH基以外の官能基を有するガラス微粒子を作製することが出来る。
この一般式(II)で表されるシランカップリング剤の中でも、p=1のものが好適に用いられる。
R3で示される低級アルキル基としては、炭素数1〜6(特に炭素数3)の直鎖又は分岐鎖のアルキル基があげられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル等が挙げられ、特にn−プロピルが好ましい。R3で示される低級アルキル基には、アミノ基、チオール基、又はカルボキシル基のいずれか1個を有している。
R4で示される低級アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基があげられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル等が挙げられ、特にメチル、エチルが好ましい。
一般式(II)で示されるシランカップリング剤のうち、特に、p=1の3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
この様に、一般式(II)で表されるシランカップリング剤を用いて作製されるガラス微粒子は、その表面に−OH、−NH、−SH、−COOH等の官能基を有している。そのため、該ガラス微粒子は、その官能基を利用して生体由来分子に結合させることができ、蛍光標識として用いることができる。
また、後処理の際に、溶液中にアルコキシドを添加する速度を遅くすると、比較的粒径の小さな半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子が得られ、溶液中にアルコキシドを添加する速度を速くすると、比較的粒径の大きな半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子が得られる。これは、溶液中にアルコキシドをゆっくりと添加すると、核となる半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子の1個1個が独立したままそれぞれにガラス層がコートされるが、溶液中にアルコキシドを急速に添加すると、核となる半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子が何個かまとまった状態のものにガラス層がコートされ、そのため、最終的に得られるガラス微粒子の粒径が大きくなるためではないかと推測される。
また、上記のような後処理を行う際に、溶液に超音波を印加したり溶液を暖めたりするのは、上記後処理中にアルコキシドが加水分解してガラス化する速度を大きくし、後処理時間を短縮することによって、後処理中に半導体ナノ粒子が劣化することを防ぐためである。但し、後処理中に溶液を加熱し過ぎると、第3工程までに生成した、まだ十分に硬くなっていないナノ粒子分散ガラス微粒子が熱によって分解あるいは凝集を起こしたり、ナノ粒子そのものも熱によって凝集・劣化を起こす恐れがあるので、溶液を温める場合、その温度は35〜70℃、好ましくは40〜60℃である。
上記の後処理後、反応が完了すると、疎水性有機溶媒中に、半導体ナノ粒子が内部に固定されたガラス微粒子蛍光体が分散した状態となる。これから溶媒を除去し、また、必要に応じて、生成したガラス微粒子の表面に付着している過剰の界面活性剤を適当な溶媒、例えば界面活性剤がポリオキシエチレンエーテル型非イオン性界面活性剤の場合はアセトニトリルやトルエン等で洗浄して除去し、乾燥すれば、半導体ナノ粒子が内部に固定されたほぼ球形の蛍光性ガラス粒子の粉末が得られる。
本発明の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子では、シリカ系ガラス微粒子内の半導体ナノ粒子の濃度が2x10-5モル/リットル以上1x10-2モル/リットル以下(特に2x10-5モル/リットル以上4x10-3モル/リットル以下)の範囲において、シリカ系ガラス微粒子1個当たりに平均して半導体ナノ粒子が1個を越えて(さらに1.5個以上、特に2個以上)内包されている。
例えば、直径10ナノメートルのシリカ系ガラス微粒子中の半導体ナノ粒子の濃度が4x10-3モル/リットルである場合には、ガラス微粒子1個当たりに平均して半導体ナノ粒子1.5個程度が内包されている状態となる。
また、直径30ナノメートルのシリカ系ガラス微粒子中の半導体ナノ粒子の濃度が2x10-4モル/リットル〜4x10-3モル/リットルである場合には、ガラス微粒子1個当たりに平均して半導体ナノ粒子2〜40個程度が内包されている状態となる。
また、直径60ナノメートルのシリカ系ガラス微粒子中の半導体ナノ粒子の濃度が2x10-5モル/リットル〜4x10-3モル/リットルである場合には、ガラス微粒子1個当たりに平均して半導体ナノ粒子1.6〜320個程度が内包されている状態となる。
また、直径が90ナノメートルを超えるシリカ系ガラス微粒子においては、ガラス微粒子中の半導体ナノ粒子の濃度が上記の範囲の下限(2x10-5モル/リットル)以上であれば、ガラス微粒子1個当たりに平均して半導体ナノ粒子5個程度以上が内包されている状態となる。
ガラス微粒子中の半導体ナノ粒子の濃度が上記の濃度範囲よりも低過ぎると、十分な明るさの発光が得られないので実用的には不適である。
得られる蛍光性ガラス微粒子の平均粒子径は、10ナノメートル〜5マイクロメートル程度、特に20ナノメートル〜1マイクロメートルとなる。さらに、遠心分離やフィルタリング等により、ガラス微粒子蛍光体の粒径分布を揃えることができる。
上記のようにして得られる半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子では、該ガラス微粒子の分散溶液中における可視〜近赤外領域、特に可視波長域(通常、360〜830nm、特に400nm〜760nmの間の波長域)の蛍光の発光効率(量子収率)が25%以上であり、好ましくは35%以上であり、より好ましくは60%以上である。この発光効率を測定する該ガラス微粒子の分散溶液は、通常、第3工程乃至第4工程終了後の溶液が用いられるため、溶媒としては、通常、疎水性有機溶媒(例えば、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒)が用いられる。或いは、溶媒として水を用いて測定しても良い。また、発光効率は、溶液中の該ガラス微粒子の濃度によらず通常一定となる。
発光効率の測定方法は、ガラス微粒子が分散した溶液を石英セルに入れ、通常の蛍光分光光度計および吸光分光光度計で測定した蛍光スペクトルおよび吸収スペクトルを用いて、発光効率を算出する。
このように、本発明の製造方法は、逆ミセル法とゾル−ゲル法を組み合わせ、アルコキシドの部分的加水分解生成物と半導体ナノ粒子の混合物を逆ミセルに取り込ませてガラス化するものであり、高い発光効率を示すガラス微粒子蛍光体を得るために非常に有効な手段である。特に、製造工程が簡便であり、しかも、第1工程で用いる半導体ナノ粒子分散水溶液における半導体ナノ粒子の発光効率(量子収率)をほとんど低下させることなく、ガラス微粒子内部に収容することができるという利点がある。
また、半導体ナノ粒子をガラス粒子の表面だけではなく内部に固定することができるため、外部環境に左右されることなく長期間半導体ナノ粒子の発光効率を維持することができる。
さらに、この半導体ナノ粒子を分散固定した蛍光性ガラス微粒子は、その粉末を所定の形状に成形し、必要に応じて加熱処理(焼成)することによって、半導体ナノ粒子を分散固定した蛍光体(蛍光性ガラス材料)とすることもできる。
このようにガラス微粒子が強く光ることを利用して、ガラス微粒子1個からの光を取り出して分光することが出来る。その分光結果を元に、赤色発光の半導体ナノ粒子が多く入った微粒子、緑色発光の半導体ナノ粒子が多く入った微粒子、赤色発光と緑色発光の両方が入った微粒子の識別等が可能になる。このような識別の方法としては、文献(村瀬、ケミカル フィジクス レターズ、368巻、76ページ、2003年)に示された単一粒子分光の装置と方法が例示される。
例えば、半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子を基板上に分散固定した試料をステージ上に載せ、光源からのレーザー光をそのまま、またはレンズで絞り込んだレーザー光をこの試料に照射し、ステージを少しずつ動かしてレーザー光の照射位置を変えながら基板上の1個1個の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子から出てくる蛍光スペクトルを分光器を使って分光測定することにより、ガラス微粒子を識別することができる。
具体的には、蛍光スペクトルの異なるナノ粒子を含むガラス微粒子を、10μm四方に10個程度となるように無蛍光石英製ガラス板に分散させて試料を作製する。この試料に、アルゴンレーザーの短波長側の光(488 nm)を40倍の対物レンズで絞り込んで照射し、そこから出てくる蛍光をCCD付きの分光器に導く装置を使って分光する。観察時には、ガラス板上のアルゴンレーザーの照射位置をX,Yの2軸のマイクロメーターを使って走査しながら蛍光を検出することで、ガラス微粒子を確認できる。これにより、蛍光の発光色に応じて、蛍光発光スペクトルの異なる半導体ナノ粒子を含むガラス微粒子の識別が可能となる。
さらに、ガラス微粒子製造の第4工程において、一般式(II)で表されるシランカップリング剤を加えた場合には、ガラス微粒子の表面にアミノ基、チオール基、カルボキシル基などの官能基が結合している。これを利用して、タンパク質などの生体由来分子に結合させて蛍光標識として用いることが出来る。このように結合させたものを含む特定の細胞などを、フローサイトメトリーの方法を応用することにより、選択的に分取することも可能である。
本発明による半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子は、溶液中に分散した状態でも、溶媒を蒸発除去して粉末とした状態でも、単一波長の紫外線を照射した際に、分散含有されているナノ粒子の組成と粒子径に応じて、可視〜近赤外領域特に可視域の様々な発光色を示し、その発光効率は25%以上、さらに60%以上と、従来よりも格別高く、1個のガラス微粒子中にナノ粒子を複数個、高濃度で含有するため、高輝度が得られる。また、半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子は、全体として基本的にガラスの性質を示すものであり、外部雰囲気に対する化学的安定性や機械的強度、耐熱性等に優れているため、蛍光特性の長期安定性に優れている。
本発明はまた、上記のような、半導体ナノ粒子がマトリックスであるガラス微粒子の内部に複数個分散固定されているので、蛍光の発光効率が高く蛍光特性の長期安定性に優れたガラス微粒子蛍光体を作製する方法を提供する。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
李、村瀬、ケミストリー レターズ、34巻、92頁(2005)による方法に従って、II-VI族半導体であるテルル化カドミウムナノ粒子を合成した。すなわち、アルゴンガス雰囲気下、界面活性剤としてのチオグリコール酸(HOOCCH2SH)の存在下でpH 11.4に調整した過塩素酸カドミウム水溶液を激しく撹拌しながら、テルル化水素ガスを反応させた。これにより、テルル化カドミウムのクラスターが生成し、この水溶液を大気雰囲気下で6日間還流することにより、紫外線励起での発光ピーク波長が646ナノメートルで赤色の発光を示す、平均粒径4ナノメートルのテルル化カドミウムナノ粒子を得た。この赤色発光テルル化カ
ドミウムナノ粒子の発光効率は81%であった。
このようにして合成した半導体ナノ粒子を、以下のように逆ミセル法とゾル−ゲル法を組み合わせた方法で、ガラス微粒子中に分散固定することができた。
[第1工程]
上記のテルル化カドミウムナノ粒子分散水溶液に、アルカリ性水溶液としてアンモニア水を加えた溶液約2ミリリットルを撹拌しながら、これに、TEOS 6.7x10-4モルを加えた。この溶液を室温で2〜3時間激しく撹拌してTEOSを部分的に加水分解した。次にこの溶液を毎分4000回転で遠心処理し、微量の沈殿を除いた透明な上澄み液だけを分離した。この上澄み液は、紫外線照射で強い赤色の蛍光を発した。
[第2工程]
シクロヘキサンとポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル(商品名「イゲパルCO-520」、アルドリッチ社製)を、モル比が29:1となるように混合し、撹拌して溶解した。
[第3工程]
第2工程で調製したポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルのシクロヘキサン溶液を室温で撹拌しながら、この溶液に、第1工程で調製した、TEOSの部分的加水分解生成物とナノ粒子を含む上澄み液を滴下して混合した。得られた溶液は、紫外線照射でやや強い赤色の蛍光を発した。
[第4工程(後処理工程)]
上記の溶液に、さらにTEOS 1.3x10-3モルを加え、続いてアルカリ性水溶液として6.25%アンモニア水100マイクロリットルを滴下して混合した。この溶液をさらに4時間撹拌した。得られたテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子分散溶液にさらに室温で30分間超音波を印加した。
以上の、第1〜3工程および第4工程(後処理工程)の操作により、テルル化カドミウムナノ粒子を含有するガラス微粒子を分散した溶液を得た。この溶液を毎分4000回転で遠心処理した結果、褐色の沈殿と透明の上澄み液に分離した。紫外線励起によって、沈殿と上澄み液共に強い赤色の蛍光を示した。
TEM観察により、テルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子はほぼ球状であることを確認した。その粒径(直径)は、透明の上澄み液においては10ナノメートル〜300ナノメートル程度に分布しており、平均粒径は約20〜30ナノメートルと見積もられた。褐色の沈殿においては50ナノメートル〜5マイクロメートル程度まで分布しており、上澄み液中よりも粒径の大きなガラス微粒子を含んでいた。
その上澄み液に存在するテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子のTEM写真を図1に示す。粒径70〜100ナノメートル程度のガラス微粒子(濃い灰色の円)の内部に、テルル化カドミウムナノ粒子(黒色の小さな点)が多数存在している様子が認められた。これ以外の粒径、例えば粒径20〜30ナノメートルのガラス微粒子についても、同様に、ガラス微粒子の内部にテルル化カドミウムナノ粒子が存在している様子が認められた。
褐色の沈殿に存在するテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子のTEM写真を図2に示す。
透明の上澄み液におけるテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子の粒径は、光散乱式粒径測定装置(マイクロトラック社製 ナノトラック150型)でも測定し、TEM観察の結果とほぼ同じ値となった。
赤色の蛍光を発する透明の上澄み液の蛍光スペクトルは、原料として用いた半導体ナノ粒子分散水溶液とほぼ同様であり、発光ピーク波長は642ナノメートルであった。発光効率は75%と見積もられた。
なお、第4工程(後処理工程)でTEOSを添加する速度を速めると、遠心処理後の上澄み液中におけるガラス微粒子の平均粒径を、100ナノメートル前後まで大きくすることができた。その場合、発光効率は75%と変わらなかった。さらに、上記の方法で遠心処理後に得た沈殿を、細孔径450ナノメートルのフィルター(ミリポア社製マイレックス)を用いて、粒径の大きなガラス微粒子と粒径の小さなガラス微粒子に分級することができた。
また、第4工程(後処理工程)において、上述した30分間の超音波印加操作に続いて、溶液を40℃で30分間暖める操作を加えると、上記と同様の遠心処理後に得られる上澄み液が示す赤色の蛍光の発光効率は81%となり、原料として用いた半導体ナノ粒子分散水溶液の発光効率と同じ値となった。
また、原料のテルル化カドミウムナノ粒子分散水溶液が示す赤色の蛍光スペクトル(a)、及び、30分超音波印加および30分40℃処理を含む第4工程(後処理工程)後に遠心分離して得た上澄み液であるテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子分散液が示す赤色の蛍光スペクトル(b)を、図3に示す。
一方、第4工程(後処理工程)を行わなかった場合にも、遠心処理後に赤色発光を示すテルル化カドミウムナノ粒子を含有するガラス微粒子の沈殿と上澄み液が得られた。ガラス微粒子の輪郭はあまり明確ではなく、発光効率は60〜70%程度であり、後処理工程を行った場合に比べて低い値となった。
なお、発光効率は、ガラス微粒子が分散した溶液を石英セルに入れ、通常の蛍光分光光度計および吸光分光光度計で測定した蛍光スペクトルおよび吸収スペクトルを用いて算出した。具体的には、超微粒子の発光効率の値は、吸光度(吸収係数×濃度×光路長)と発光効率とが知られているキニーネ分子の硫酸水溶液(硫酸濃度0.5モル/リットル)との比較により既報の方法(ドーソンら、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー、72巻、3251ページ(1968年))で算出した。以下同じ。
さらに、上記の、テルル化カドミウムナノ粒子を含有するガラス微粒子の沈殿と上澄み液をアセトニトリルで洗浄し過剰のポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルを除去した後、溶媒を蒸発乾固させることにより強い赤色の蛍光を示す粉末が得られた。
また、テルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子は、ガラス微粒子に分散しないテルル化カドミウムナノ粒子に比べて安定性に優れていた。赤色発光を示すテルル化カドミウムナノ粒子の分散水溶液は、大気中、室温で2ヶ月放置すると、水溶液中でナノ粒子が凝集沈殿し発光しなくなった。
これに対して、赤色発光を示すテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子は、シクロヘキサン分散液の状態で、室温・大気中で2ヶ月放置した後にも、溶液中で凝集沈殿せずに強い赤色発光を発した。また、このガラス微粒子を固体粉末化したものも、大気中、室温で2ヶ月放置した後にも、強い赤色発光を発した。
実施例2
李、村瀬、ケミストリー レターズ、34巻、92頁(2005)による方法に従って、II-VI族半導体であるテルル化カドミウムナノ粒子を合成した。すなわち、アルゴンガス雰囲気下、界面活性剤としてのチオグリコール酸(HOOCCH2SH)の存在下でpH 11.4に調整した過塩素酸カドミウム水溶液を激しく撹拌しながら、テルル化水素ガスを反応させた。これにより、テルル化カドミウムのクラスターが生成し、この水溶液を大気雰囲気下で2時間還流することにより、紫外線励起での発光ピーク波長が548ナノメートルで緑色の発光を示す、平均粒径3ナノメートルのテルル化カドミウムナノ粒子を得た。この緑色発光テルル化カドミウムナノ粒子の発光効率は35%であった。
このようにして合成した半導体ナノ粒子を用い、実施例1と同様にして第1〜3工程および第4工程(後処理工程)の操作を行い、テルル化カドミウムナノ粒子を含有するガラス微粒子を分散した溶液を得た。得られたテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子分散溶液に、さらに室温で30分間超音波を印加した。この溶液を毎分4000回転で遠心処理した結果、褐色の沈殿と透明の上澄み液に分離した。紫外線励起によって、沈殿と上澄み液共に強い緑色の蛍光を示した。
TEM観察により、テルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子は球状であることを確認した。その粒径(直径)は、透明の上澄み液においては10ナノメートル〜300ナノメートル程度に分布しており、平均粒径は約20〜30ナノメートルと見積もられた。褐色の沈殿においては、50ナノメートル〜5マイクロメートル程度まで分布しており、上澄み液中よりも粒径の大きな微小ガラス球を含んでいた。
透明の上澄み液におけるテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子の粒径は、前記の光散乱式粒径測定装置でも測定し、TEM観察の結果とほぼ同じ値となった。
緑色の蛍光を発する透明の上澄み液の蛍光スペクトルは、原料として用いた半導体ナノ粒子分散水溶液と大きく異ならず、発光ピーク波長は539ナノメートルであった。発光効率は28%と見積もられた。
なお、第4工程(後処理工程)でTEOSを添加する速度を速めると、遠心処理後の上澄み液中におけるガラス微粒子の平均粒径を、100ナノメートル前後まで大きくすることができた。その場合、発光効率は28%と変わらなかった。さらに、上記の方法で遠心処理後に得た沈殿を、細孔径450ナノメートルのフィルター(ミリポア社製マイレックス)を用いて、粒径の大きなガラス微粒子と粒径の小さなガラス微粒子に分級することができた。
また、第4工程(後処理工程)において、上述した30分間の超音波印加操作に続いて、溶液を40℃で30分間暖める操作を加えると、上記と同様の遠心処理後に得られる上澄み液が示す緑色の蛍光の発光効率は35%となり、原料として用いた半導体ナノ粒子分散水溶液と同じ値となった。
原料のテルル化カドミウムナノ粒子分散水溶液が示す緑色の蛍光スペクトル(a)、及び、30分超音波印加および30分40℃処理を含む工程後に遠心分離して得た上澄み液であるテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子分散液が示す緑色の蛍光スペクトル(b)を、図4に示す。
一方、第4工程(後処理工程)を行わなかった場合にも、遠心処理後に緑色発光を示すテルル化カドミウムナノ粒子を含有するガラス微粒子の沈殿と上澄み液が得られたが、TEM写真におけるガラス微粒子の輪郭はあまり明確ではなく、発光効率は25〜30%程度であり、後処理工程を行った場合に比べて低い値となった。
さらに、実施例1と同様の方法で処理することにより、強い緑色の蛍光を示す粉末を得ることができた。
また、緑色発光テルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子は、実施例1に記載した赤色発光テルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子と同様に、ガラス微粒子に分散しないナノ粒子に比べて安定性に優れていた。この緑色発光ナノ粒子の分散水溶液は、大気中、室温で2ヶ月放置すると、水溶液中でナノ粒子が凝集沈殿し、ほとんど発光しなくなった。これに対して、同条件下で、ナノ粒子分散ガラス微粒子は、シクロヘキサン分散液中で凝集沈殿せず発光強度を維持し、固体粉末の状態でも発光強度を維持した。
実施例3
村瀬、ガオ、ガポニック、矢澤、フェルドマン、インターナショナル ジャーナル オブ モダーン フィジックス ビー、15巻、3881頁(2001)による方法に従って、II-VI族半導体であるセレン化亜鉛ナノ粒子を合成した。すなわち、アルゴンガス雰囲気下、界面活性剤としてのチオグリコール酸(HOOCCH2SH)の存在下でpH6.5に調整した過塩素酸亜鉛水溶液を激しく撹拌しながら、セレン化水素ガスを反応させた。これにより、セレン化亜鉛のクラスターが生成し、この水溶液を大気雰囲気下で数十時間還流することにより、紫外線励起で青紫色の発光を示す、平均粒径3ナノメートルのセレン化亜鉛ナノ粒子を得た。
ナノ粒子の表面欠陥を減らし発光効率を高めるために、このセレン化亜鉛ナノ粒子を、亜鉛イオンとチオグリコール酸を溶解した水溶液中に分散し、pHを10〜11に調節して紫外線を照射する後処理を行った。これにより、セレン化亜鉛ナノ粒子コアの表面が薄い硫化亜鉛シェル層で被覆されたコアシェル型のナノ粒子を作製した。このコアシェル型のナノ粒子は、紫外線励起での発光ピーク波長が438ナノメートルで青紫色の発光を示し、発光効率は40%であった。
このようにして合成した半導体ナノ粒子を用いて、実施例1と同様にして第1〜3工程および第4工程(後処理工程)の操作を行った。但し、第1工程および第4工程において用いるアルカリ性水溶液として、アンモニア水の代わりに、亜鉛イオン及びチオグリコール酸を含有する水酸化ナトリウム水溶液を用いた。なお、この水酸化ナトリウム水溶液は、過塩素酸亜鉛及びチオグリコール酸を蒸留水に加え、次いで、当該蒸留水に1モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えて、pH10〜11程度にすることにより得られた。
その結果、セレン化亜鉛/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子を含有するガラス微粒子を分散した溶液を得た。この溶液を毎分4000回転で遠心処理して得た沈殿と上澄み液は、共に強い青紫色の蛍光を示した。
その上澄み液に存在するセレン化亜鉛/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子分散ガラス微粒子のTEM写真を図5に示す。粒径20〜50ナノメートル程度の球状のガラス微粒子(濃い灰色の円)の内部に、セレン化亜鉛/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子(黒色の小さな点)が多数存在している様子が認められた。
青紫色の蛍光を発する透明の上澄み液の蛍光スペクトルは、原料として用いた半導体ナノ粒子分散水溶液と大きく異ならず、発光ピーク波長は432ナノメートルであった。発光効率は27%と見積もられた。
原料のセレン化亜鉛/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子分散水溶液が示す青紫色の蛍光スペクトル(a)、及び、遠心分離して得た上澄み液であるセレン化亜鉛/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子分散ガラス微粒子分散液が示す青紫色の蛍光スペクトル(b)を、図6に示す。
さらに、上記の、セレン化亜鉛/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子を含有するガラス微粒子の沈殿と上澄み液をアセトニトリルで洗浄し過剰のポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルを除去した後、溶媒を蒸発乾固させることにより強い青紫色の蛍光を示す粉末が得られた。
実施例4
李、村瀬、ケミストリー レターズ、34巻、92頁(2005)による方法に従って、II-VI族半導体であるセレン化亜鉛及びセレン化カドミウムナノの合金粒子を合成した。すなわち、アルゴンガス雰囲気下、界面活性剤としてのチオグリコール酸(HOOCCH2SH)の存在下でpH6.5に調整した、過塩素酸亜鉛と過塩素酸カドミウムの混合物の水溶液を激しく撹拌しながら、セレン化水素ガスを反応させた。これにより、セレン化亜鉛及びセレン化カドミウムが添加されたクラスターが生成し、この水溶液を大気雰囲気下で数十時間還流することにより、紫外線励起で青色の発光を示す、平均粒径3ナノメートルの、セレン化亜鉛及びセレン化カドミウムの合金ナノ粒子を得た。
ナノ粒子の表面欠陥を減らし発光効率を高めるために、この、セレン化亜鉛及びセレン化カドミウムの合金ナノ粒子を、亜鉛イオン、カドミウムイオン、およびチオグリコール酸を溶解した水溶液中に分散し、pHを10〜11に調節して紫外線を照射する後処理を行った。これにより、セレン化亜鉛及びセレン化カドミウムの合金粒子であるコアの表面が、硫化亜鉛及び硫化カドミウムの合金からなる薄いシェル層で被覆されたコアシェル型のナノ粒子を作製した。このコアシェル型のナノ粒子は、紫外線励起での発光ピーク波長が450ナノメートルで青色の発光を示し、発光効率は50%であった。
このようにして合成した半導体ナノ粒子を用いて、実施例1と同様にして第1〜3工程および第4工程(後処理工程)の操作を行い、(セレン化亜鉛及びセレン化カドミウムの合金)/(硫化亜鉛及び硫化カドミウムの合金)コアシェル型ナノ粒子を含有するガラス微粒子を分散した溶液を得た。この溶液を毎分4000回転で遠心処理して得た沈殿と上澄み液は、共に強い青色の蛍光を示した。
第1工程および第4工程において、亜鉛イオン及びチオグリコール酸を含む水酸化ナトリウム水溶液を用いたところ、アンモニア水を用いた場合に比べて、より強い蛍光を示す沈殿および上澄み液が得られた。
第1工程および第4工程において、亜鉛イオン及びチオグリコール酸を含む水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、上澄み液に存在する、(セレン化亜鉛及びセレン化カドミウムの合金)/(硫化亜鉛及び硫化カドミウムの合金)コアシェル型ナノ粒子分散ガラス微粒子の平均粒径は、光散乱式粒径測定装置で測定したところ、約30ナノメートルであった。また、青色の蛍光を発する透明の上澄み液の蛍光スペクトルは、原料として用いた半導体ナノ粒子分散水溶液と大きく異ならず、発光ピーク波長は449ナノメートルであった。発光効率は30%と見積もられた。
さらに、実施例3と同様の方法で、強い青色の蛍光を示す(セレン化亜鉛及びセレン化カドミウムの合金)/(硫化亜鉛及び硫化カドミウムの合金)コアシェル型ナノ粒子を含有するガラス微粒子の粉末が得られた。
実施例5
李、村瀬、ケミストリー レターズ、34巻、92頁(2005)による方法に従って、II-VI族半導体であるセレン化亜鉛にテルル化亜鉛が添加されたナノ粒子を合成した。すなわち、アルゴンガス雰囲気下、界面活性剤としてのチオグリコール酸(HOOCCH2SH)の存在下でpH6.5に調整した過塩素酸亜鉛の水溶液を激しく撹拌しながら、セレン化水素ガスおよびテルル化水素ガスを反応させた。これにより、セレン化亜鉛にテルル化亜鉛が添加されたクラスターが生成し、この水溶液を大気雰囲気下で数十時間還流することにより、紫外線励起で青紫色の発光を示す、平均粒径3ナノメートルの、セレン化亜鉛及びテルル化亜鉛の合金ナノ粒子を得た。
この、セレン化亜鉛及びテルル化亜鉛の合金ナノ粒子を、亜鉛イオンおよびチオグリコール酸を溶解した水溶液中に分散し、pHを10〜11に調節して紫外線を照射する後処理を行った。これにより、セレン化亜鉛及びテルル化亜鉛の合金粒子であるコアの表面が、薄い硫化亜鉛シェル層で被覆された、紫外線励起で青紫色の発光を示すコアシェル型のナノ粒子を作製した。
このようにして合成した半導体ナノ粒子を用いて、実施例4と同様にして第1〜3工程および第4工程(後処理工程)の操作を行った。第1工程および第4工程において、亜鉛イオン、チオグリコール酸を含む水酸化ナトリウム水溶液を用いた。その結果、(セレン化亜鉛及びテルル化亜鉛の合金)/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子を含有するガラス微粒子を分散した溶液を得た。この溶液を毎分4000回転で遠心処理して得た沈殿と上澄み液は、共に強い青紫色の蛍光(発光波長430nm)を示した。
さらに、実施例3と同様の方法で、強い青紫色の蛍光を示す(セレン化亜鉛のテルル化亜鉛の合金)/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子を含有するガラス微粒子の粉末が得られた。
実施例6
実施例1と同様にして合成した、赤色の発光を示す、平均粒径4ナノメートルのテルル化カドミウムナノ粒子半導体ナノ粒子を用い、実施例1と同様にして第1〜3工程を行った。続く第4工程(後処理工程)を行う際に、上記の溶液に、まずTEOS 1.0x10-3モルとアンモニア水を加え、4時間撹拌した後、室温で30分間超音波を印加した。
このようにして得られたテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子の最外表面に、OH基だけでなく、ガラス微粒子を生体由来分子と結合させるために有効に利用できるアミノ基を存在させるため、テルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子分散溶液に、次に3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APS) 3.4x10-4モルとアンモニア水を加え、1時間撹拌した後、室温で30分間超音波を印加した。
この後、得られた溶液を毎分4000回転で遠心処理した結果、褐色の沈殿と透明の上澄み液に分離した。紫外線励起によって、沈殿と上澄み液共に強い赤色の蛍光を示した。これにより得られたテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子の形状(球状)、その粒径(直径)、および、蛍光波長と発光効率は、実施例1と同様であった。
また、APS添加前に比べて、APS添加後にはガラス微粒子の粒径が大きくなったことから、上記第4工程(後処理工程)において加えたAPSが加水分解して、テルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子の最外表面にガラス層を形成し、最終的に得られたテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子の最外表面には、-OH基とアミノ基の両方が存在していることが示された。
また、上記の第1〜4工程において、実施例2と同様にして合成した緑色の発光を示すテルル化カドミウムナノ粒子を用いた場合には、最外表面層に、-OH基とアミノ基の両方が存在し、緑色発光を示すナノ粒子分散ガラス微粒子が得られ、実施例3、4、5と同様にして合成した青紫色〜青色の発光を示すコアシェル型ナノ粒子を用いた場合には、最外表面層に、-OH基とアミノ基の両方が存在し、青紫色〜青色の発光を示す、セレン化亜鉛/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子、(セレン化亜鉛及びセレン化カドミウムの合金)/(硫化亜鉛及び硫化カドミウムの合金)コアシェル型ナノ粒子、および、(セレン化亜鉛及びテルル化亜鉛の合金)/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子をそれぞれ分散したガラス微粒子が得られた。
さらに、上記の第4工程において、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APS) 1.7x10-4モルに代えて3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS) 1.7x10-4モルを用いると、最外表面層に-OH基とチオール基の両方が存在し、赤色発光、緑色発光および青紫色〜青色の発光を示す、テルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子、および、セレン化亜鉛/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子分散ガラス微粒子が得られた。
実施例7
本方法で作製したナノ粒子分散ガラス微粒子は非常に輝度の高い発光を示すので、1個1個のガラス微粒子からの発光を別々に検出して分光することが出来る。
まず、実施例1の第1工程で得られる赤色発光(直径4ナノメートル程度)のテルル化カドミウムナノ粒子分散水溶液に、実施例2で作製した緑色発光(直径3ナノメートル程度)のものをほぼ等量混合した。この混合したテルル化カドミウムナノ粒子分散水溶液を用いて、実施例1の方法によりナノ粒子分散ガラス微粒子を作製した。これにより、得られる1つのガラス微粒子中には、赤色発光と緑色発光のナノ粒子が混在して取り込まれることになる。
作製後の上澄み液から、直径30ナノメートル前後のガラス微粒子を取り出して水で薄め、無蛍光石英製ガラス板に滴下した。これをデシケーター中で乾燥させることで、表面にガラス微粒子の濃度が10μm四方に10個程度存在するガラス板の試料を作製した。ここでは、特にガラス微粒子の凝集がないように注意した。
この試料を、文献(村瀬、ケミカル フィジクス レターズ、368巻、76ページ、2003年)に説明のように、アルゴンレーザーの短波長側の光(488 nm)を40倍の対物レンズで絞り込んで、そこから出てくる蛍光をCCD付きの分光器に導く装置を使って分光した。
観察時には、ガラス板上のアルゴンレーザーの照射位置をX,Yの2軸のマイクロメーターを使って走査しながら蛍光を検出することで、微粒子を見つけた。
その結果、最初の位置(位置1)にあるガラス微粒子では、ほとんど赤色の発光のみが検出されたので、大きいナノ粒子(直径4ナノメートル程度)が数多く含まれていることがわかった。
一方、他の位置(位置2)のガラス微粒子では、青色発光の強度が著しいので、小さいナノ粒子(直径3ナノメートル程度)が多く含まれていることがわかった。
さらに走査すると別の位置(位置3)にある微粒子では、赤色発光と緑色発光の両方が観察されたので、そのガラス微粒子には、大きいナノ粒子と小さいナノ粒子の両方が含まれていることがわかった。
このような装置を用いて蛍光スペクトルを取ることで、それぞれの位置(位置1−3)にあるガラス微粒子をスペクトルに基づいて識別することが出来た。
実施例1において、第4工程後に遠心分離して得た上澄み液中に存在するテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子のTEM写真を示す。 実施例1において、第4工程後に遠心分離して得た沈殿中に存在するテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子のTEM写真を示す。 実施例1において、原料のテルル化カドミウムナノ粒子分散水溶液が示す赤色の蛍光スペクトル(a)、及び、上澄み液であるテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子分散液が示す赤色の蛍光スペクトル(b)を示す。 実施例2において、原料のテルル化カドミウムナノ粒子分散水溶液が示す緑色の蛍光スペクトル(a)、及び、上澄み液であるテルル化カドミウムナノ粒子分散ガラス微粒子分散液が示す緑色の蛍光スペクトル(b)を示す。 実施例3において、第4工程後に遠心分離して得た上澄み液中に存在するセレン化亜鉛/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子分散ガラス微粒子のTEM写真を示す。 実施例3において、原料のセレン化亜鉛/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子分散水溶液が示す青紫色の蛍光スペクトル(a)、及び、上澄み液であるセレン化亜鉛/硫化亜鉛コアシェル型ナノ粒子分散ガラス微粒子分散液が示す青紫色の蛍光スペクトル(b)を示す。

Claims (18)

  1. 半導体ナノ粒子分散水溶液にアルコキシドを加え、加水分解を一部進行させたゾル−ゲル反応溶液を生成させる第1工程、疎水性の有機溶媒に界面活性剤を加えて逆ミセル溶液を生成させる第2工程、及び、第1工程で得た溶液と第2工程で得た溶液を混合し、半導体ナノ粒子を分散含有したガラス微粒子を生成させる第3工程、を含むことを特徴とする半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子の作製方法。
  2. 第1工程において、半導体ナノ粒子分散水溶液中にさらにアルカリ性水溶液を加えることを特徴とする、請求項に記載の作製方法。
  3. アルカリ性水溶液がアンモニア水又は水酸化ナトリウム水溶液である、請求項に記載の作製方法。
  4. アルカリ性水溶液が、半導体ナノ粒子を構成する金属イオンを含有している請求項に記載の作製方法。
  5. 第1工程において、さらに、半導体ナノ粒子被覆用界面活性剤を加える、請求項2〜4のいずれかに記載の作製方法。
  6. 半導体ナノ粒子表面用界面活性剤がチオグリコール酸である、請求項に記載の作製方法。
  7. アルコキシドが、一般式(I):
    −Si(OR4−r (I)
    (式中、R及びRは同一又は異なった低級アルキル基を示し、rは0、1、2又は3を示す)
    で表される化合物である請求項1〜6のいずれかに記載の作製方法。
  8. 半導体ナノ粒子分散水溶液が、硫化カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウム、硫化亜鉛、及び硫化鉛からなる群から選ばれた少なくとも1種の半導体ナノ粒子が分散した水溶液である請求項1〜7のいずれかに記載の作製方法。
  9. 半導体ナノ粒子がテルル化カドミウムである請求項1〜8のいずれかに記載の作製方法。
  10. 疎水性の有機溶媒が炭素数4〜12の炭化水素である請求項1〜9のいずれかに記載の作製方法。
  11. 疎水性の有機溶媒がシクロヘキサンである請求項1〜10のいずれかに記載の作製方法。
  12. 第2工程における界面活性剤がポリオキシエチレンエーテル型非イオン性界面活性剤である請求項1〜11のいずれかに記載の作製方法。
  13. アルコキシドがテトラエトキシシラン(TEOS)である請求項1〜12のいずれかに記載の作製方法。
  14. 前記第1工程〜第3工程に加えて、第3工程で生成したガラス微粒子の溶液に、さらにアルコキシド及びアルカリ性水溶液を添加して撹拌する第4工程を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の作製方法。
  15. 前記第1工程〜第3工程に加えて、第3工程で生成したガラス微粒子の溶液に、さらにアルコキシド、シランカップリング剤及びアルカリ性水溶液を添加して撹拌する第4工程を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の作製方法。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の作製方法により製造される半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子。
  17. 請求項16に記載の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子を含む蛍光体。
  18. 請求項16に記載の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子を基板上に分散固定した試料をステージ上に載せ、レーザー光をこの試料に照射し、ステージを少しずつ動かしてレーザー光の照射位置を変えながら基板上の1個1個の半導体ナノ粒子分散ガラス微粒子から出てくる蛍光スペクトルを分光器を使って分光測定することを特徴とするガラス微粒子の識別方法。
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