JP4555785B2 - 固定パターン雑音除去装置、固体撮像装置、電子機器、及び固定パターン雑音除去プログラム - Google Patents

固定パターン雑音除去装置、固体撮像装置、電子機器、及び固定パターン雑音除去プログラム Download PDF

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Description

本発明は、固体撮像素子が出力する撮像信号から暗電流に起因する固定パターン雑音成分の除去を行う固定パターン雑音除去装置並びにこれを備える固体撮像装置及び電子機器に関する。また、本発明は、コンピュータを、固体撮像素子が出力する撮像信号から暗電流に起因する固定パターン雑音成分の除去を行う固定パターン雑音除去装置として機能させるための固定パターン雑音除去プログラムに関する。
今日、ディジタルスチルカメラやムービーカメラなどの撮影装置が広く普及している。これらの撮影装置には、被写体を撮像する固体撮像素子として、主に、CCD(Charge Coupled Device)が備えられている。CCDでは、通常、撮像信号に変換可能な入射光のダイナミックレンジが狭い。そのため、CCDによって撮像された画像内に、被写体の白とびや黒つぶれなどが生じるおそれがある。これらの白とびや黒つぶれは、画像の品質を損ねるものであるため、出来る限り生じないようにすることが好ましい。
このような問題を解決するために、対数変換型固体撮像素子が用いられている。対数変換型固体撮像素子では、入射光量を対数変換して撮像信号を出力するため、撮像信号に変換可能な入射光のダイナミックレンジが広くなる。対数変換型固体撮像素子は、一般に、MOSトランジスタの弱反転領域の電流特性を利用して対数変換を行っている。
しかし、対数変換型固体撮像素子の出力には、対数変換を行うMOSトランジスタ、画素内信号読み出し回路、コラム読み出し回路等の特性がばらつくことに起因する固定パターン雑音が含まれているため、対数変換型固体撮像素子によって撮像された画像の品質が上記固定パターン雑音によって大きく損なわれるという問題がある。
このような問題を改善する方法が、非特許文献1に開示されている。すなわち、非特許文献1は、対数変換型固体撮像素子の出力の定式化を行い、固定パターン雑音の原因をオフセット,ゲイン,暗電流という3つのばらつき要素に分解して示した後、各ばらつき要素の補正方法を開示している。この非特許文献1に開示されている従来の固定パターン雑音除去方法では、暗電流が無視できるほどの大きな光電流がフォトダイオードに発生する2種類の高照度条件と、暗電流のみがフォトダイオードに発生する遮光状態との3種類の条件であらかじめ撮像を行い、その結果を元に、対数変換型固体撮像素子の出力に含まれるオフセット,ゲイン,暗電流の各ばらつき要素の補正を行う。
非特許文献1によると、対数変換型固体撮像素子においては、画素毎のフォトダイオードで発生する光電流xと、対数応答出力yとの関係は、以下の式(101)で表すことができる。
Figure 0004555785
式(101)において、aはオフセット、bはゲイン、cは暗電流を表す。対数変換型固体撮像素子では、これらのオフセットa,ゲインb,暗電流cが、画素毎にばらつくことによって、固定パターン雑音が発生する。非特許文献1で開示されている従来の固定パターン雑音除去方法では、これらのオフセットa,ゲインb,暗電流cを画素毎に算出し、式(101)に適用して補正を行うことにより、光電流xと対数応答出力yとの正しい関係を求めている。
非特許文献1で開示されている従来の固定パターン雑音除去方法の詳細について、図4を参照して以下に説明する。図4は、従来の固定パターン雑音除去装置の構成を示すブロック図である。従来の固定パターン雑音除去方法では、実際の撮像動作に先立って、後述する一連のキャリブレーション動作を行う。
キャリブレーション動作では、暗電流が無視できるほどの大きな光電流がフォトダイオードに発生する2種類の高照度条件と、暗電流のみがフォトダイオードに発生する遮光条件との3種類の条件であらかじめ撮像を行う。
第1の条件では、固体撮像素子2の撮像面に、後述する照度L1の一様光を照射する。この条件における固体撮像素子2の複数フレームに亘る出力を、画素毎に算術平均してランダムノイズ成分を除去し、その結果をフレームメモリ31に記録する。
第2の条件では、固体撮像素子2の撮像面に、後述する照度L2の一様光を照射する。この条件における固体撮像素子2の複数フレームに亘る出力を、画素毎に算術平均してランダムノイズ成分を除去し、その結果をフレームメモリ32に記録する。
第3の条件では、固体撮像素子2の撮像面を遮光状態にする。この条件における固体撮像素子2の複数フレームに亘る出力を、画素毎に算術平均してランダムノイズ成分を除去し、その結果をフレームメモリ33に記録する。
上述の照度L1および照度L2は、固体撮像素子2の撮像面上でこれらの照度となる一様光が固体撮像素子2の撮像面に入射したとき、固体撮像素子2の撮像面上のフォトダイオードに発生する光電流が、フォトダイオードの暗電流と比較して十分大きくなる照度とする。具体的には、光電流と暗電流の比が少なくとも100倍となる照度とする。また照度L1は照度L2と比較して少なくとも10倍の照度となるように、一様光を調整する。
次に、パラメータ算出部34において、上述のフレームメモリ31ないし33に記録された撮像信号より、式(101)のオフセットa,ゲインb,暗電流cを、以下に述べる手順で画素毎に算出する。初めにフレームメモリ31に記録された撮像信号y1とフレームメモリ32に記録された撮像信号y2とから、式(102)よりゲインbを画素毎に算出する。式(102)のx1は、固体撮像素子2の撮像面に照度L1の一様光を照射したときの光電流であって、照度L1の値によって定まる。また、式(102)のx2は、固体撮像素子2の撮像面に照度L2の一様光を照射したときの光電流であって、照度L2の値によって定まる。光電流x1、x2の値は、測定等により予め得られた、撮像素子毎の照度と光電流の関係を示す直線から求めることができ、予め求めておいた照度L1と照度L2に対応する光電流値をパラメータ算出部34があらかじめ記憶していてもよく、フォトダイオードに発生する光電流あるいは照射光の照度を検出する検出部を固体撮像素子2に設け当該検出部の検出結果を元にパラメータ算出部34が求めてもよい。上記の方法が困難な場合は、光電流x、xの代わりに、照度L1、照度L2の値を直接用いても良い。この場合、式(101)においては、光電流xと対数応答出力yとの関係ではなく光電流xを照度Lと置き換えたときの、照度Lと対数応答出力yとの関係を求めることになる。
Figure 0004555785
次に、フレームメモリ31に記録された撮像信号y1から、式(103)よりオフセットaを画素毎に算出する。ゲインbの算出において、光電流の代わりに照度を用いた場合、式(103)の光電流xを照度L1に置き換えれば良い。
Figure 0004555785
最後に、フレームメモリ33に記録された撮像信号ydから、式(104)より暗電流cを画素毎に算出する。ゲインbの算出において、光電流の代わりに照度を用いた場合、式(104)においてcは、暗電流そのものではなく、暗電流値に依存する限界照度を表す。言い換えれば、限界照度の光が各画素のフォトダイオードにおいて発生させ得る光電流値は、当該画素の暗電流値と等しくなる。以降において、光電流の代わりに照度を用いた場合は、cを限界照度として扱えば良い。
Figure 0004555785
上述の手順で算出されたオフセットa,ゲインb,暗電流cを、夫々フレームメモリ61、フレームメモリ62およびフレームメモリ63に記録する。
上述のキャリブレーション動作により、実際の撮像動作に先立って、暗電流が無視できるほどの大きな光電流がフォトダイオードに発生する2種類の高照度条件と、暗電流のみがフォトダイオードに発生する遮光条件との3種類の条件であらかじめ撮像を行った結果を用いて、オフセットa,ゲインb,暗電流cが画素毎に算出され、夫々フレームメモリ61、フレームメモリ62およびフレームメモリ63に記録される。
実際の撮像動作では、フレームメモリ61、フレームメモリ62およびフレームメモリ63に画素毎に夫々記録されたオフセットa,ゲインb,暗電流cを用いて、撮像信号の補正を行う。以下では図4を参照して、実際の撮像動作時の撮像信号の補正手順を説明する。オフセット補正部71は、式(101)で表される固体撮像素子2の出力yに対し、フレームメモリ61に記録されたオフセットaを用いて、画素毎に減算処理を行う。その結果、オフセットaと無関係の撮像信号Y1が得られる(式(105)を参照)。
Figure 0004555785
ゲイン補正部72は、オフセット補正部71の出力Y1に対し、フレームメモリ62に記録されたゲインbを用いて、画素毎に除算処理を行う。その結果、ゲインbと無関係の撮像信号Y2が得られる(式(106)を参照)。
Figure 0004555785
暗電流補正部73は、ゲイン補正部72の出力Y2の指数変換信号に対し、フレームメモリ63に記録された暗電流cを用いて、画素毎に減算処理を行う。ここで、暗電流補正部73の構成を図5に示す。図5の符号73Aは線形化部を、符号73Bは減算部をそれぞれ示す。線形化部73Aは、指数関数を用いてゲイン補正部72の出力Y2の線形化を画素毎に行い、ゲイン補正部72の出力Y2の指数変換信号を出力する。減算部73Bは、線形化部73Aの出力に対し、フレームメモリ63に記録された暗電流cを用いて、画素毎に減算処理を行う。その結果、暗電流cと無関係の撮像信号Y3が得られる(式(107)を参照)。
Figure 0004555785
Bhaskar Choubey, Satoshi Aoyama, Dileepan Joseph, Stephen Otim and Steve Collins, "An Electronic Calibration Scheme for Logarithmic CMOS Pixels, " Proceedings of the IEEE International Symposium on Circuits and Systems, vol. IV, pp. 856-9, May 2004
しかし、固体撮像素子2のフォトダイオードに発生する暗電流は、温度の上昇と共に指数関数的に増大するため、キャリブレーション動作時の固体撮像素子2の温度と、実際の撮像時の固体撮像素子2の温度が、固体撮像素子自身の内部発生熱や、外部からの熱の影響で異なると、フレームメモリ63に記録された暗電流cと、実際の撮像時のフォトダイオードに発生する暗電流とが一致しなくなる。従って、非特許文献1に開示されている固定パターン雑音除去方法を用いて、暗電流に起因する固定パターン雑音成分の除去を行っても、固定パターン雑音は効果的に除去されない。特に低照度条件で、キャリブレーション動作時の固体撮像素子2の温度と、実際の撮像時の固体撮像素子2の温度とが大きく異なると、撮影画面上に暗電流に起因する固定パターン雑音が大きく現れ、撮影画面の品質が大きく損なわれるという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑み、固体撮像素子の温度に関わらず、暗電流に起因する固定パターン雑音成分を効果的に除去することができる固定パターン雑音除去装置並びにこれを備える固体撮像装置及び電子機器を提供することを目的とする。また、本発明は、上記の問題点に鑑み、コンピュータを、固体撮像素子の温度に関わらず、暗電流に起因する固定パターン雑音成分を効果的に除去することができる固定パターン雑音除去装置として機能させるための固定パターン雑音除去プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る固定パターン雑音除去装置は、入射光の光量を対数変換する対数変換型の固体撮像素子が出力する撮像信号から暗電流に起因する固定パターン雑音成分を除去する固定パターン雑音除去装置であって、予め取得した前記固体撮像素子の遮光画素の出力信号を元に算出される前記固体撮像素子の遮光画素が有する光電素子の暗電流である第1暗電流と、入射光が無い状態で予め取得した前記固体撮像素子の有効画素の出力信号を元に算出される前記固体撮像素子の有効画素が有する光電素子の暗電流である第2暗電流と、撮像時の前記固体撮像素子の遮光画素の出力信号を元に算出される前記固体撮像素子の遮光画素が有する光電素子の暗電流である第3暗電流とを用いて、撮像時の前記固体撮像素子の有効画素の出力信号から暗電流に起因する固定パターン雑音成分を除去する固定パターン雑音除去装置であって、前記第1暗電流と前記第2暗電流とをそれぞれ線形形式で記憶する記憶部を備え、前記第3暗電流が線形形式であって、前記第1暗電流と前記第3暗電流との比から温度係数を算出し、前記第2暗電流と前記温度係数との積を、撮像時の前記固体撮像素子の有効画素の出力信号に基づく信号を線形処理した信号から減算するようにしている。これにより、予め出力信号を取得した時の固体撮像素子の温度と実際の撮像時の固体撮像素子の温度とが一致しない場合でも、第1暗電流、第2暗電流、及び第3暗電流を用いることで、 前記固体撮像素子の有効画素が有する光電素子に実際の撮像時に発生する暗電流を予測することができるので、前記固体撮像素子の温度に関わらず、暗電流に起因する固定パターン雑音成分を効果的に除去することができる。
また、上記目的を達成するために本発明に係る固定パターン雑音除去装置は、入射光の光量を対数変換する対数変換型の固体撮像素子が出力する撮像信号から暗電流に起因する固定パターン雑音成分を除去する固定パターン雑音除去装置であって、予め取得した前記固体撮像素子の遮光画素の出力信号を元に算出される前記固体撮像素子の遮光画素が有する光電素子の暗電流である第1暗電流と、入射光が無い状態で予め取得した前記固体撮像素子の有効画素の出力信号を元に算出される前記固体撮像素子の有効画素が有する光電素子の暗電流である第2暗電流と、撮像時の前記固体撮像素子の遮光画素の出力信号を元に算出される前記固体撮像素子の遮光画素が有する光電素子の暗電流である第3暗電流とを用いて、撮像時の前記固体撮像素子の有効画素の出力信号から暗電流に起因する固定パターン雑音成分を除去する固定パターン雑音除去装置であって、前記第1暗電流と前記第2暗電流とをそれぞれ対数形式で記憶する記憶部を備え、前記第3暗電流が対数形式であって、前記第1暗電流と前記第3暗電流との差から温度係数を算出し、前記第2暗電流と前記温度係数との和を線形化した信号を、撮像時の前記固体撮像素子の有効画素の出力信号に基づく信号を線形処理した信号から減算するようにしている。これにより、予め出力信号を取得した時の固体撮像素子の温度と実際の撮像時の固体撮像素子の温度とが一致しない場合でも、第1暗電流、第2暗電流、及び第3暗電流を用いることで、 前記固体撮像素子の有効画素が有する光電素子に実際の撮像時に発生する暗電流を予測することができるので、前記固体撮像素子の温度に関わらず、暗電流に起因する固定パターン雑音成分を効果的に除去することができる。
さらに、上記各構成の固定パターン雑音除去装置において、光電素子の暗電流を光電素子の暗電流値に依存する限界照度に置き換え、第1暗電流を第1限界照度に置き換え、第2暗電流を第2限界照度に置き換え、第3暗電流を第3限界照度に置き換えてもよい。また、上記目的を達成するために本発明に係る固体撮像装置は、固体撮像素子と、前記固体撮像素子が出力する撮像信号から暗電流に起因する固定パターン雑音成分を除去する上記各構成の固定パターン雑音除去装置とを備えるようにする。また、上記目的を達成するために本発明に係る電子機器は、上記固体撮像装置を備えるようにする。また、上記目的を達成するために本発明に係る固体パターン雑音除去プログラムは、コンピュータを、上記各構成の固定パターン雑音除去装置として機能させるためのプログラムにする。かかるプログラムを用いることで、専用装置によらずとも本発明に係る固体パターン雑音除去プログラムを実現することができる。
本発明によると、固体撮像素子の温度に関わらず、暗電流に起因する固定パターン雑音成分を効果的に除去することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1を参照して以下に説明する。図1は、本発明に係る固体撮像装置の一構成例を示すブロック図である。図1に示す固体撮像装置1は、固体撮像素子2と、補正データ算出部3と、固定パターン雑音除去装置4とを備えている。そして、固定パターン雑音除去装置4は、補正データ記憶部6と、オフセット補正部71と、ゲイン補正部72と、暗電流補正部73とを備えている。固体撮像装置1の出力は、固定パターン雑音除去装置4において固定パターン雑音を除去された後、画像表示装置5上で映像として再生される。
固体撮像素子2は、対数変換型固体撮像素子であり、被写体を撮像する。具体的には、固体撮像素子2は、被写体が発するもしくは反射する光がレンズ等の光学系を介して固体撮像素子面に入射する際の光量を輝度レベルに対数変換する。これにより、固体撮像素子2は、被写体の画像を表す撮像信号を生成し、出力する。固体撮像素子2の撮像面上には、フォトダイオードを有する画素が二次元アレイ状に配置されている。
固体撮像素子2の画素には、遮光画素と有効画素との区別がある。遮光画素と有効画素の差異はフォトダイオードの上部をメタル配線等で覆われているか覆われていないかであり、その他の画素構造は通常同一である。したがって、固体撮像素子2の画素は通常図6Aに示すようにアレイ状に配置する。図6Aの画素アレイに配置された遮光画素の撮像信号は、有効画素の撮像信号と同様に、走査を行うことで順次利用可能となる。なお、図6A〜図6Dにおいては、各有効画素を斜線の入っていない長方形で示し、各遮光画素を斜線の入っている長方形で示している。
本発明に係る固体撮像装置では、後述するように、有効画素の撮像信号のみならず遮光画素の撮像信号を用いるが、必ずしも全ての遮光画素の撮像信号を用いる必要はない。例えば、他の遮光画素で囲まれているため入射光の影響を受けにくい遮光画素を複数選択し、その選択した遮光画素の撮像信号のみを遮光画素の撮像信号として用いてもよい。
また、図6Bに示すように、遮光画素を画素アレイの外部に配置してもよい。遮光画素を画素アレイの外部に配置した場合は、走査を行うことなく、遮光画素の撮像信号を独立に利用できるという利点がある。さらには、図6Cや図6Dに示すように、画素アレイの外部に配置した遮光画素を、画素アレイ内の画素とは異なるサイズとしてもよい。図6Cのように、画素アレイの外部に配置した遮光画素GBを、画素アレイ内の画素より大きいサイズとした場合は、画素内のフォトダイオードの暗電流値が大きくなるため、暗電流ショットノイズの影響が小さくなり、遮光画素GBの撮像信号を用いて温度係数を算出する際に、算出精度が向上するという利点がある。図6Dのように、画素アレイの外部に配置した遮光画素GSを、画素アレイ内の画素より小さいサイズとした場合は、遮光画素のチップ占有面積を小さくできるという利点がある。
固体撮像素子2による撮像動作は、主として前述の入射光に応じた撮像信号を生成する有効画素を用いて行われる。本発明に係る固体撮像装置では、有効画素の撮像信号のみならず遮光画素の撮像信号を用いる。以下では、単に撮像信号という場合は、有効画素の撮像信号と遮光画素の撮像信号の両方を指すものとする。
対数変換型固体撮像素子である固体撮像素子2においては、画素毎のフォトダイオードで発生する光電流xと、対数応答出力yとの関係は、以下の式(1)で表すことができる。なお、式(1)において、aはオフセット、bはゲイン、cは暗電流を表す。
Figure 0004555785
補正データ算出部3は固体撮像素子2の撮像信号より、オフセットa,ゲインb,暗電流cの各補正データを算出する。補正データ算出部3の動作の詳細については後述する。
補正データ記憶部6は、補正データ算出部3で算出されたオフセットa,ゲインb,暗電流cの各補正データを記憶する。この動作については後述する。
オフセット補正部71は、補正データ記憶部6から読み出されたオフセット補正データを用いて、固体撮像素子2の出力から、オフセットばらつきに起因する固定パターン雑音成分の除去を行う。ゲイン補正部72は、補正データ記憶部6から読み出されたゲイン補正データを用いて、オフセット補正部71の出力から、ゲインばらつきに起因する固定パターン雑音成分の除去を行う。暗電流補正部73は、補正データ記憶部6から読み出された暗電流補正データを用いて、ゲイン補正部72の出力から、暗電流ばらつきに起因する固定パターン雑音成分の除去を行う。これら各種の固定パターン雑音成分の除去の詳細については後述する。
図1に示す固体撮像装置1は、実際の撮像動作に先立って、後述する一連のキャリブレーション動作を行う。キャリブレーション動作は、補正データ算出部3において実行され、その結果は補正データ記憶部6に記録される。また、キャリブレーション動作は、固体撮像素子2および固定パターン雑音除去装置4の製造後、出荷検査時に、一度行えば良い。このため、補正データ算出部3は、汎用ワークステーション、パーソナルコンピュータ、もしくは出荷検査用のテスター等を用いて実現し、固体撮像装置に外付けする即ち固体撮像装置1の構成要素から外すことが可能である。また、補正データ算出部3を半導体メモリやLSIを用いて実現すれば、補正データ算出部3を固定パターン雑音除去装置4の内部に搭載すること即ち補正データ算出部3を固定パターン雑音除去装置4の構成要素とすることも可能である。
キャリブレーション動作では、暗電流が無視できるほどの大きな光電流がフォトダイオードに発生する2種類の高照度条件と、暗電流のみがフォトダイオードに発生する遮光条件との3種類の条件であらかじめ撮像を行う。
第1の条件では、固体撮像素子2の撮像面に、後述する照度L1の一様光を照射する。この条件における固体撮像素子2の複数フレームに亘る出力を、画素毎に算術平均してランダムノイズ成分を除去し、その結果を補正データ算出部3内の記憶装置に記録する。
第2の条件では、固体撮像素子2の撮像面に、後述する照度L2の一様光を照射する。この条件における固体撮像素子2の複数フレームに亘る出力を、画素毎に算術平均してランダムノイズ成分を除去し、その結果を補正データ算出部3内の記憶装置に記録する。
第3の条件では、固体撮像素子2の撮像面を遮光状態にする。この条件における固体撮像素子2の複数フレームに亘る出力を、画素毎に算術平均してランダムノイズ成分を除去し、その結果を補正データ算出部3内の記憶装置に記録する。
ここで、キャリブレーション動作における固体撮像素子2の温度は、撮像中一定かつ素子内部で一様にTcalであったとする。また、上述の照度L1および照度L2は、固体撮像素子2の撮像面上でこれらの照度となる一様光が固体撮像素子2の撮像面に入射したとき、固体撮像素子2の撮像面上のフォトダイオードに発生する光電流が、フォトダイオードの暗電流と比較して十分大きくなる照度とする。具体的には、光電流と暗電流の比が少なくとも100倍となる照度とする。また、照度L1は照度L2と比較して少なくとも10倍の照度となるように、一様光を調整する。
次に、補正データ算出部3は、補正データ算出部3内の記憶装置に記録された、上述の各条件における撮像結果より、式(1)のオフセットa、ゲインb、暗電流cを、以下に述べる手順で画素毎に算出する。初めに第1の条件における撮像結果y1と第2の条件における撮像結果y2とにより、式(2)よりゲインbを画素毎に算出する。式(2)のx1は、固体撮像素子2の撮像面に照度L1の一様光を照射したときの光電流であって、照度L1の値によって定まる。また、式(2)のx2は、固体撮像素子2の撮像面に照度L2の一様光を照射したときの光電流であって、照度L2の値によって定まる。なお、遮光画素における光電流x1、x2の値は零としている。有効画素における光電流x1、x2の値は、測定等により予め得られた、撮像素子毎の照度と光電流の関係を示す直線から求めることができ、予め求めておいた照度L1と照度L2に対応する光電流値を補正データ算出部3があらかじめ記憶していてもよく、フォトダイオードに発生する光電流あるいは照射光の照度を検出する検出部を固体撮像素子2に設け当該検出部の検出結果を元にパラメータ算出部34が求めてもよい。上記の方法が困難な場合は、光電流x、xの代わりに、照度L1、照度L2の値を直接用いても良い。この場合、式(1)においては、光電流xと対数応答出力yとの関係ではなく光電流xを照度Lと置き換えたときの、照度Lと対数応答出力yとの関係を求めることになる。
Figure 0004555785
次に、第1の条件における撮像結果y1から、式(3)よりオフセットaを画素毎に算出する。ゲインbの算出において、光電流の代わりに照度を用いた場合、式(3)の光電流xを照度L1に置き換えれば良い。
Figure 0004555785
最後に、第3の条件における撮像結果ydから、式(4)よりキャリブレーション動作における撮像時の固体撮像素子2の温度Tcalに依存する暗電流c(Tcal)を算出する。ゲインbの算出において、光電流の代わりに照度を用いた場合、式(4)においてc(Tcal)は、暗電流そのものではなく、温度Tcalのときの暗電流値に依存する限界照度を表す。言い換えれば、限界照度の光が温度Tcalのときの各画素のフォトダイオードにおいて発生させ得る光電流値は、当該画素の暗電流値と等しくなる。以降において、光電流の代わりに照度を用いた場合は、c(Tcal)を温度Tcalのときの限界照度として扱えば良い。
Figure 0004555785
上述の手順で算出されたオフセットa,ゲインb,暗電流c(Tcal)を夫々補正データ記憶部6に記録する。
上述のキャリブレーション動作により、実際の撮像動作に先立って、暗電流が無視できるほどの大きな光電流がフォトダイオードに発生する2種類の高照度条件と、暗電流のみがフォトダイオードに発生する遮光条件との3種類の条件であらかじめ撮像を行った結果を用いて、オフセットa,ゲインb,暗電流c(Tcal)が画素毎に算出され、夫々補正データ記憶部6に記録される。
実際の撮像動作では、補正データ記憶部6において画素毎に記録されたオフセットa,ゲインb,暗電流c(Tcal)を用いて、撮像信号の補正を行う。以下では図1を参照して、実際の撮像動作時の撮像信号の補正手順を説明する。
暗電流の温度依存性を考慮すると、対数変換型固体撮像素子である固体撮像素子2においては、画素毎のフォトダイオードで発生する光電流xと、実際の撮像動作時の対数応答出力ψとの関係は、以下の式(5)で表すことができる。
Figure 0004555785
式(5)において、aはオフセット、bはゲイン、c(Tact)は実際の撮像動作時の固体撮像素子2の温度Tactにおける暗電流を表す。対数変換型固体撮像素子では、これらのオフセットa,ゲインb,暗電流c(Tact)が、画素毎にばらつくことによって、固定パターン雑音が発生する。
オフセット補正部71は、実際の撮像動作時の固体撮像素子2の出力ψに対し、補正データ記憶部6に記録されたオフセットaを用いて、画素毎に減算処理を行う。その結果、オフセットaと無関係の撮像信号Ψ1が得られる(式(6)を参照)。
Figure 0004555785
ゲイン補正部72は、オフセット補正部71の出力Ψ1に対し、補正データ記憶部6に記録されたゲインbを用いて、画素毎に除算処理を行う。その結果、ゲインbと無関係の撮像信号Ψ2が得られる(式(7)を参照)。
Figure 0004555785
上述のようにして、オフセットおよびゲインばらつきの補正が行われた撮像信号Ψ2のうち、有効画素の撮像信号をΨos、遮光画素の撮像信号をΨobとすると、これらの撮像信号はそれぞれ式(8)および式(9)で表せる。
Figure 0004555785
式(8)において、cos(Tact)は実際の撮像動作時の固体撮像素子2の温度Tactにおける有効画素の暗電流、xosは実際の撮像動作時の固体撮像素子2の有効画素の光電流を表す。式(9)において、cob(Tact)は実際の撮像動作時の固体撮像素子2の温度Tactにおける遮光画素の暗電流を表す。
固体撮像素子2は、有効画素の撮像信号Ψosと遮光画素の撮像信号をΨobとを時系列で順次出力する。オフセット補正部71およびゲイン補正部72は、時系列で出力された有効画素と遮光画素の撮像信号に対しパイプライン処理を行う。従って、ゲイン補正部72は有効画素の撮像信号Ψosおよび遮光画素の撮像信号Ψobを時系列で順次出力する。暗電流補正部73の動作は、ゲイン補正部72が遮光画素の撮像信号Ψobを出力する間に温度係数を算出する第一の期間における動作と、ゲイン補正部72が有効画素の撮像信号Ψosを出力する間に第一の期間で算出された温度係数を用いて暗電流の補正を行う第二の期間における動作とに分けられる。
暗電流補正部73の一構成例を図2に示す。図2の符号73Aは線形化部を、符号73Bは減算部を、符号73C,73D,73G,73Hはスイッチを、符号73Eは除算部を、符号73Fは温度係数記憶部を、符号73Iは乗算部をそれぞれ示す。
初めに、上述の第一の期間における暗電流補正部73の動作を説明する。ゲイン補正部72が遮光画素の撮像信号Ψobを出力する際、暗電流補正部73内のスイッチ73Cおよびスイッチ73Dは短絡され、スイッチ73Gおよびスイッチ73Hは開放される。線形化部73Aは遮光画素の撮像信号Ψobを指数関数で線形化処理を行う。この処理により、線形化部73Aは遮光画素の暗電流cob(Tact)を出力する。
除算部73Eは線形化部73Aから出力された遮光画素の暗電流cob(Tact)と、補正データ記憶部6に記録された遮光画素の暗電流cob(Tcal)との比を求め、温度係数κとして出力する(式(10)を参照)。なお、固定パターン雑音除去処理に用いる遮光画素が複数ある場合は、温度係数κが複数求まるので、それらを算術平均するとよい。
Figure 0004555785
一般に絶対温度Tにおける暗電流cは、式(11)のように表すことができるため、式(10)に示す温度係数κは、式(12)のεを用いると、式(13)で表すことができる。ここでqは電荷素量、Nは活性化エネルギー、kはボルツマン定数を示す。また、I0は画素毎に固有の暗電流係数である。
Figure 0004555785
温度係数記憶部73Fは、除算部73Eから出力された温度係数κを記憶する。温度係数記憶部73Fは、上述の第一の期間では温度係数κを乗算部73Iに出力せず、上述の第二の期間では温度係数κを乗算部73Iに出力する。
次に、上述の第二の期間における暗電流補正部73の動作を説明する。ゲイン補正部72が有効画素の撮像信号Ψosを出力する際、暗電流補正部73内のスイッチ73Cおよびスイッチ73Dは開放され、スイッチ73Gおよびスイッチ73Hは短絡される。乗算部73Iは、補正データ記憶部6に記録された温度Tcalにおける有効画素の暗電流cos(Tcal)と、温度係数記憶部73Fに記憶された温度係数κとの積を算出する。線形化部73Aは有効画素の撮像信号Ψosを指数関数で線形化処理を行う。減算部73Bは、線形化部73Aの出力から乗算部73Iの出力を有効画素毎に減算することで、Ψ3を出力する(式(14)を参照)。
Figure 0004555785
式(14)に式(8)および式(13)を代入し、さらに式(11)および式(12)を代入すると、Ψ3は式(15)で表される。ここでIosは有効画素毎に固有の暗電流係数である。
Figure 0004555785
式(15)から明らかなように、式(15)の第1項に示した実際の撮像時の温度Tactにおける有効画素の暗電流は、式(15)の第3項に示した式(13)で示す温度係数κとキャリブレーション時の温度Tcalにおける有効画素の暗電流cos(Tcal)との積によってキャンセルされる。これより、暗電流と無関係の撮像信号Ψが得られる。
暗電流補正部73は、上述の第一の期間と第二の期間との二つの期間を適当な間隔で交互に繰り返すことにより、固体撮像素子2の温度変動による暗電流の時間変動に対して追随対応が可能となる。したがって、固体撮像素子2の温度に関わらず、暗電流に起因する固定パターン雑音成分を効果的に除去することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について図1を参照して以下に説明する。本発明の第2実施形態は、本発明の第1実施形態に対して、補正データ算出部3の一部の動作並びに暗電流補正部73の内部構成及び動作が異なるだけであるので、以下ではこれらの相違点に絞って詳細に説明する。
本発明の第1実施形態と同様に、本発明の第2実施形態においても図1に示す固体撮像装置1は、実際の撮像動作に先立って、後述する一連のキャリブレーション動作を行う。キャリブレーション動作は、補正データ算出部3において実行され、その結果は補正データ記憶部6に記録される。
キャリブレーション動作では、本発明の第1実施形態で説明した手順で算出されたオフセットa,ゲインb,暗電流c(Tcal)の対数値を夫々補正データ記憶部6に記録する。即ち、補正データ算出部3において、式(4)の代わりに式(16)に示す対数形式で表された暗電流ln[c(Tcal)]が算出され、その結果が補正データ記憶部6に記録される。
Figure 0004555785
実際の撮像動作では、補正データ記憶部6において画素毎に記録されたオフセットa,ゲインb,暗電流ln[c(Tcal)]を用いて、撮像信号の補正を行う。以下では図1を参照して、実際の撮像動作時の撮像信号の補正手順を説明する。ただし、オフセット補正部71およびゲイン補正部72の動作は、本発明の第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
本発明の第2実施形態における暗電流補正部73の一構成例を図3に示す。図3の73Aは線形化部を、73Bは減算部を、73C,73D,73G,73Hはスイッチを、73Jは減算部を、73Fは温度係数記憶部を、73Kは加算部をそれぞれ示す。
暗電流補正部73の動作は、本発明の第1実施形態と同様に、ゲイン補正部72が遮光画素の撮像信号Ψobを出力する間に温度係数を算出する第一の期間における動作と、ゲイン補正部72が有効画素の撮像信号Ψosを出力する間に第一の期間で算出された温度係数を用いて暗電流の補正を行う第二の期間における動作とに分けられる。
初めに、上述の第一の期間における暗電流補正部73の動作を説明する。ゲイン補正部72が遮光画素の撮像信号Ψobを出力する際、暗電流補正部73内のスイッチ73Cおよびスイッチ73Dは短絡され、スイッチ73Gおよびスイッチ73Hは開放される。減算部73Jはゲイン補正部72から出力された対数形式の遮光画素の暗電流ln[cob(Tact)]と、補正データ記憶部6に記録された対数形式の遮光画素の暗電流ln[cob(Tcal)]との差を求め、対数形式の温度係数ln(κ)として出力する(式(17)を参照)。
Figure 0004555785
一般に絶対温度Tにおける暗電流cは、式(11)のように表すことができるため、式(17)に示す対数形式の温度係数ln(κ)は、式(12)のεを用いると、式(18)で表すことができる。
Figure 0004555785
温度係数記憶部73Fは、減算部73Jから出力された対数形式の温度係数ln(κ)を記憶する。温度係数記憶部73Fは、上述の第一の期間では対数形式の温度係数ln(κ)を加算部73Kに出力せず、上述の第二の期間では対数形式の温度係数ln(κ)を加算部73Kに出力する。
次に、上述の第二の期間における暗電流補正部73の動作を説明する。ゲイン補正部72が有効画素の撮像信号Ψosを出力する際、暗電流補正部73内のスイッチ73Cおよびスイッチ73Dは開放され、スイッチ73Gおよびスイッチ73Hは短絡される。加算部73Kは、補正データ記憶部6に記録された温度Tcalにおける対数形式の有効画素の暗電流ln[cos(Tcal)]と、温度係数記憶部73Fに記憶されたln(κ)との和を算出する。線形化部73Aは有効画素の撮像信号Ψosと加算部73Kの出力とに対し、夫々指数関数で線形化処理を行う。減算部73Bは、線形化部73Aの出力のうち、線形化された有効画素の撮像信号Ψosから、線形化された加算部73Kの出力を減算することで、式(14)に示すΨ3を出力する。ここで、式(18)の両辺を指数変換すると式(13)となる。従って、式(14)に式(8)および式(13)を代入し、さらに式(11)および式(12)を代入すると、Ψ3は本発明の第1実施形態と同様の式(15)で表される。
本発明の第1実施形態と同様、式(15)から明らかなように、式(15)の第1項に示した実際の撮像時の温度Tactにおける有効画素の暗電流は、式(15)の第3項に示した式(13)で示す温度係数κとキャリブレーション時の温度Tcalにおける有効画素の暗電流cos(Tcal)との積によってキャンセルされる。これより、暗電流と無関係の撮像信号Ψが得られる。
なお、図1に示す固体撮像装置1においては、固体撮像素子2から出力される撮像信号のオフセットばらつき或いはゲインばらつきが、実用上補正の必要が無い程小さいと判断できる場合は、オフセット補正部71およびゲイン補正部72は、適宜ブロック構成からそれぞれ独立して省略して良く、その際にも、暗電流起因による固定パターン雑音を良好に除去して、ざらつきの少ない撮像画面を得ることができる。
上述した固定パターン雑音除去装置4内の各ブロックは、いずれも機能ブロックである。したがって、固定パターン雑音除去装置4内の各ブロックを専用回路で構成することによって本発明に係る固定パターン雑音除去装置を実現することができ、コンピュータを上述した固定パターン雑音除去装置4として機能させるための固定パターン雑音除去プログラムを、コンピュータが実行することによっても本発明に係る固定パターン雑音除去装置を実現することができる。
上記固定パターン雑音除去プログラムは、上記固定パターン雑音除去プログラムを格納しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体を通じてコンピュータに供給されてもよく、有線または無線の通信路を介してデータを伝送する通信ネットワークを通じてコンピュータに供給されてもよく、あらかじめコンピュータ内のメモリに格納されていてもよい。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上述した実施形態では固体撮像素子を対数変換型固体撮像素子としたが、対数変換型固体撮像素子以外の固体撮像素子(例えば、線形変換型固体撮像素子が挙げられる。また、MOS型のみならずCCD型も含む。)についても、対数変換型固体撮像素子ほど顕著ではないが、固体撮像素子の温度変動による暗電流の時間変動に関する問題が生じるため、対数変換型固体撮像素子以外の固体撮像素子の出力信号から、暗電流に起因する固定パターン雑音成分の除去を行う固定パターン雑音除去装置にも本発明を適用することができる。
例えば、線形変換型固体撮像素子の出力信号から、暗電流に起因する固定パターン雑音成分の除去を行う固定パターン雑音除去装置に本発明を適用することを考えると、対数変換型固体撮像素子の場合には、暗電流補正において温度係数を算出する際、上述した式(17)に示す減算処理が行われるのに対して、線形変換型固体撮像素子の場合には当該減算処理の代わりに除算処理が行われることになる。また、対数変換型固体撮像素子の場合には、式(14)の第2項を計算する際、対数形式の有効画素の暗電流値と対数形式の温度係数との加算処理が行われるのに対して、線形変換型固体撮像素子の場合には当該加算処理の代わりに線形形式の有効画素の暗電流値と線形形式の温度係数との乗算処理が行われることになる。
本発明に係る固定パターン雑音除去装置は、固体撮像素子が出力する撮像信号から暗電流に起因する固定パターン雑音成分の除去を行う装置として、固体撮像装置に組み込んで利用することができる。また、固体撮像装置は、ディジタルスチルカメラ、ムービーカメラ等の各種電子機器に組み込んで利用することができる。
は、本発明に係る固体撮像装置の一構成例を示すブロック図である。 は、本発明の第1実施形態において、図1に示す固定パターン雑音除去装置が備える暗電流補正部の一構成例を示すブロック図である。 は、本発明の第2実施形態において、図1に示す固定パターン雑音除去装置が備える暗電流補正部の一構成例を示すブロック図である。 は、従来の固定パターン雑音除去装置の構成を示すブロック図である。 は、図4に示す固定パターン雑音除去装置が備える暗電流補正部の構成を示すブロック図である。 は、固体撮像素子の画素配置を示す図である。 は、固体撮像素子の画素配置を示す図である。 は、固体撮像素子の画素配置を示す図である。 は、固体撮像素子の画素配置を示す図である。
符号の説明
1 固体撮像装置
2 固体撮像素子
3 補正データ算出部
4 固定パターン雑音除去装置
5 画像表示装置
6 補正データ記憶部
31〜33 フレームメモリ
34 パラメータ算出部
61〜63 フレームメモリ
71 オフセット補正部
72 ゲイン補正部
73 暗電流補正部
73A 線形化部
73B 減算部
73C、73D スイッチ
73E 除算部
73F 温度係数記憶部
73G、73H スイッチ
73I 乗算部
73J 減算部
73K 加算部

Claims (6)

  1. 入射光の光量を対数変換する対数変換型の固体撮像素子が出力する撮像信号から暗電流に起因する固定パターン雑音成分を除去する固定パターン雑音除去装置において、
    予め取得した前記固体撮像素子の遮光画素の出力信号を元に算出される前記固体撮像素子の遮光画素が有する光電素子の暗電流である第1暗電流と、
    入射光が無い状態で予め取得した前記固体撮像素子の有効画素の出力信号を元に算出される前記固体撮像素子の有効画素が有する光電素子の暗電流である第2暗電流と、
    撮像時の前記固体撮像素子の遮光画素の出力信号を元に算出される前記固体撮像素子の遮光画素が有する光電素子の暗電流である第3暗電流とを用いて、
    撮像時の前記固体撮像素子の有効画素の出力信号から暗電流に起因する固定パターン雑音成分を除去する固定パターン雑音除去装置であって、
    前記第1暗電流と前記第2暗電流とをそれぞれ線形形式で記憶する記憶部を備え、
    前記第3暗電流が線形形式であって、
    前記第1暗電流と前記第3暗電流との比から温度係数を算出し、
    前記第2暗電流と前記温度係数との積を、撮像時の前記固体撮像素子の有効画素の出力信号に基づく信号を線形処理した信号から減算することを特徴とする固定パターン雑音除去装置。
  2. 入射光の光量を対数変換する対数変換型の固体撮像素子が出力する撮像信号から暗電流に起因する固定パターン雑音成分を除去する固定パターン雑音除去装置において、
    予め取得した前記固体撮像素子の遮光画素の出力信号を元に算出される前記固体撮像素子の遮光画素が有する光電素子の暗電流である第1暗電流と、
    入射光が無い状態で予め取得した前記固体撮像素子の有効画素の出力信号を元に算出される前記固体撮像素子の有効画素が有する光電素子の暗電流である第2暗電流と、
    撮像時の前記固体撮像素子の遮光画素の出力信号を元に算出される前記固体撮像素子の遮光画素が有する光電素子の暗電流である第3暗電流とを用いて、
    撮像時の前記固体撮像素子の有効画素の出力信号から暗電流に起因する固定パターン雑音成分を除去する固定パターン雑音除去装置であって、
    前記第1暗電流と前記第2暗電流とをそれぞれ対数形式で記憶する記憶部を備え、
    前記第3暗電流が対数形式であって、
    前記第1暗電流と前記第3暗電流との差から温度係数を算出し、
    前記第2暗電流と前記温度係数との和を線形化した信号を、撮像時の前記固体撮像素子の有効画素の出力信号に基づく信号を線形処理した信号から減算することを特徴とする固定パターン雑音除去装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の固定パターン雑音除去装置において、
    光電素子の暗電流を光電素子の暗電流値に依存する限界照度に置き換え、
    第1暗電流を第1限界照度に置き換え、
    第2暗電流を第2限界照度に置き換え、
    第3暗電流を第3限界照度に置き換える固定パターン雑音除去装置。
  4. 固体撮像素子と、
    前記固体撮像素子が出力する撮像信号から暗電流に起因する固定パターン雑音成分を除去する請求項1〜3のいずれかに記載の固定パターン雑音除去装置とを備えることを特徴とする固体撮像装置。
  5. 請求項4に記載の固体撮像装置を備えることを特徴とする電子機器。
  6. コンピュータを、請求項1〜3のいずれかに記載の固定パターン雑音除去装置として機能させるための固定パターン雑音除去プログラム。
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