(全体構成)
図1には、本実施の形態に係るパチンコ機10が示されている。パチンコ機10は外枠12を備え、外枠12の前面には、窓部を有する額縁状の内枠14の一側部(図1の左辺部)が開閉可能に取付けられている。
内枠14には、複数の表示灯62やスピーカ64が設けられている。また、内枠14の中央には、窓部となっており、この窓部には紙面奥行き方向に所定の間隔で互いに平行とされた一対のガラス16(二重構造)が装着されたガラス枠20が設けられている。また、内枠14の図1の右辺部には施錠装置(シリンダ)22が設けられている。
ガラス枠20の下方位置には、球皿部24を備えた一体皿26が配設されている。この一体皿の球皿部24には、貯球タンク(図示省略)と連通し、この貯球タンク内のパチンコ球を球皿部24へ流出させる連通口23が設けられている。
この貯球タンクには、図3に示される如く、パチンコ機10の上端に設けられた貯留部70に貯留されたパチンコ球が、送出機構部72の動作によって、沿って払い出されるようになっている。この払い出しには、遊技者にパチンコ球を貸し出すとき(球貸)と、遊技の進行に応じて遊技者に付与するとき(賞球)と、の2種類があり、いずれにしても、送出機構部72の動作によって、所定数のパチンコ球が貯球タンクへ払い出さされるようになっている。
貯留部70は、パチンコ球が重なり合うようにランダムに貯留される受入部70Aと、受入部70Aに受け入れたパチンコ球を整列させて送り出す送出部70Bとで構成されており、送出部70Bは、本実施の形態では、所定の勾配(傾斜角度)のスロープ状とされた2条の案内路74(図5参照)で構成されている。
前記送出機構部72では、この2条の案内路74にそれぞれ1列に整列されたパチンコ球を1個ずつ貯球タンクへ送出す構成となっている。なお、この貯留部70並びに送出機構72の詳細構造については、後述する。
一体皿26は、その一側部(図1の左辺部)が内枠14に対して開閉可能に取付けられている。一体皿26の前面には、左側下部に灰皿28が配置され、右側下部には発射装置164(図8参照)から発射する打球の飛距離を調整するための発射ハンドル30が設けられている。
また内枠14の窓部には、遊技盤載置台に載せて交換可能とされた遊技盤32が窓部に対応して設置されている。
図2に示される如く、遊技盤32は、外バンド36及び内バンド38によって囲まれた略円形状の遊技領域40が形成されている。
遊技領域40には、図示しない釘や風車の他、センター役物42、当該センター役物42に設けられた表示部43、並びに大入賞口(変動入賞装置)44等の役物、特別図柄始動口46や通過装置48、入賞装置49等の遊技部品が取り付けられており、最下位置にアウト口54が配置されている。なお、センター役物42の上端部には、普通図柄表示装置42Aが設けられている。
通過装置48(図2の向かって左側の通過装置48のみの場合もある)は、前記普通図柄表示装置42Aの始動トリガとなっており(普通図柄始動口)、通過装置48をパチンコ球が通過すると普通図柄抽選が実行され、当たりの場合、普通図柄表示装置42Aの表示が当りを表示し、電動チューリップ47が開放し、特別図柄始動口46への入賞の確率が物理的に高まるようになっている。
また、表示部43の上部には、保留ランプ100が設けられており、本実施の形態では、最大4個の保留が可能であるため、この数に対応した4個の保留ランプ100が設けられている。
保留とは、前記表示部43において、図柄変動パターン演出を実行中に新たに特別図柄始動口46に入賞した場合に、この入賞により実行された特別図柄抽選の結果の報知を待機することを言う。なお、大当たり処理中に特別図柄始動口46に入賞した場合も、表示部43が大当たり処理演出の動画パターンを再生しているため、保留の対象となる。但し、保留する数には限度があり(本実施の形態では4個)、これ以上の特別図柄始動口46への入賞は保留の対象とはならない。
(貯留部70及び送出機構部72の構造)
図4及び図5には、前述した貯留部70並びにこの貯留部70に取り付けられた送出機構部72の詳細構造が示されている。
貯留部70は、受入部70Aと送出部70Bとで構成されており、受入部70Aには、パチンコ球が複数層重なった状態で貯留されている。この受入部70Aの底部は、所定の角度の勾配となっており、貯留されたパチンコ球は、徐々に送出部70B方向へ流動する構成となっている。
なお、この受入部70Aと送出部70Bとの間には、流動を円滑するためのローラ形状のガイド部76が設けられ、所謂球噛みによる流動性の悪化を防止するようになっている。
送出部70Bは、図5に示される如く、パチンコ球の直径に相当する幅寸法の2条の案内路74で構成されており、受入部70Aから流動してくるパチンコ球は、この案内路74の何れかに入り込むようになっている。なお、この案内路74の底部も前記受入部70Aの底部と同様に所定の角度の勾配が形成され、パチンコ球の流動は継続する。
2条の案内路74のパチンコ球流動方向下流側端部近傍のそれぞれには、送出機構部72の一部を構成するスプロケット78が同軸上に配置されている。スプロケット78の上流側には、貯留部70からのパチンコ球の払い出しを許可或いは阻止するためのゲート機構部80が配設されている。
前記スプロケット78は、案内路74の幅寸法よりも小さく、周面に複数(本実施の形態では6個)の半円状の凹陥部78Aが形成され、星型となっている。
この一対のスプロケット78の回転軸78Bは、変速ギヤ部82を介して払出モータ84(図5参照)の回転軸と連結されている。
払出モータ84は、ステッピングモータが適用されており、1ステップの速度を変更することで、回転速度を調整することができる。
払出モータ84が回転すると、スプロケット78が図4の半時計回り方向に回転して、スプロケット78よりも上流側に位置するパチンコ球を前記凹陥部78Aにパチンコ球の一部を収容し(図6(A)参照)、スプロケット78の配置位置の通過を許可する(図6(B)参照)。
一方、凹陥部78Aを仕切る仕切り壁によって、次の凹陥部78Aに収容されたパチンコ球の流動は阻止される。
この結果、凹陥部78Aが所定角度回転する毎に、パチンコ球は各案内路74から1個ずつ案内路74におけるパチンコ球流動方向下流側端部へと送出されることになる。
ここで、一対のスプロケット78の凹陥部78Aの角度には、位相差があり、同時に回転する一対のスプロケット78によって、それぞれ時間差を持って交互にパチンコ球が送出されるようになっている。
案内路74におけるパチンコ球流動方向下流側端部には、それぞれ払出計数スイッチ86が取り付けられ、それぞれの案内路74から排出されるパチンコ球を独立して検出することができるようになっている(計数信号検出)。
前記払出モータ84の回転状態は、払出モータ位置検出部88(図5参照)によって検出されるようになっている。すなわち、スプロケット78の回転軸78Bには、周縁に沿って均等にスリットが形成されたスリット板(図示省略)が設けられ、このスリット板のスリットを挟むように光電センサ(図示省略)が配設されている。
このスリット板と光電センサによってパルスエンコーダを構成しており、光電センサからは、回転軸78Bの所定角度(ここでは、前記凹陥部78Aの1/2ピッチに対応)の回転によって1パルスの信号が払出制御部154(図8参照)へ送出されるようになっている。
すなわち、1パルスの信号が、何れか一方の案内路74からの払出モータ84による1個のパチンコ球を払い出すための動作回数信号ということができる。この動作回数信号に基づいて、パチンコ球を払い出すと共に、前記計数信号の検出で、払出の真偽(適否)を判別することが可能となる。
動作回数信号と計数との関係は、図7に示される如く、動作回数信号が1パルス出力される毎に、何れかの案内路74から1個のパチンコ球が払い出されることになる。
払出モータ84を駆動するためのステップ周期は、通常状態において2msecの周期で出力され、この結果、1分間(60sec)に600〜800個のパチンコ球の払出速度が確保される(動作回数信号が600〜800となる)。
なお、払出モータ84の駆動開始時(過渡期)では、その回転速度が通常回転速度の1/2とされており、本実施の形態では、2パルス分の動作信号出力が終了(2パルス目の立ち下がりエッジ検出)するまでの払出モータ84を駆動するためのステップ周期を4msec、その後の通常時のステップ周期を2msecとしている。
これは、案内路74に沿って緩やかなスロープに沿って流動するパチンコ球が、急激な移動開始で隙間が生じないように動作開始時を遅くして、互いにほぼ密着した状態で流動させることが目的であり、スプロケット78による空送りを防止することができるようになっている。
(制御系の構成)
図8には、パチンコ機10を制御するための制御系の概略が示されている。制御系は、主制御部150を中心として構成されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
この主制御部150には、特別図柄始動口46に設けられた始動入賞センサ168、普通図柄始動口である通過装置48や、入賞装置49に設けられた通過/入賞センサ172並びに大入賞口44に入賞したパチンコ球を検出する大入賞口センサ173、アウト口54を通過して回収されるパチンコ球を検出するアウト球検出センサ179が接続されている。なお、大入賞口44には、大入賞口の開閉動作を継続するためのVゾーンが設けられており、このVゾーンにもVゾーンセンサ177が設けられており、主制御部150に接続されている。なお、Vゾーンセンサ177を省略し、大入賞口センサ173のみにするものでもよい。
さらに、主制御部150には、特別図柄始動口46に設けられた可動部材としての電動チューリップ47(図2参照)を開閉させるためのソレノイド174、大入賞口44を開閉させるためのソレノイド175が接続されている。
また、主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータへ遊技の進行状態を示す情報が出力されるようになっている。
ここで、パチンコ球が特別図柄始動口46に入賞すると、これを始動入賞センサ168で検出することで特別図柄抽選が実行されるようになっており、当選した場合は、通常遊技状態から特別遊技状態へ遊技状態が移行されるようになっている。
一方、この主制御部150には、演出制御部152と、払出制御部154とが接続されている。
演出制御部152には、図柄・音声制御部156を介してスピーカ64、センター役物42の表示部(LCD)43、普通図柄表示装置42A、並びに保留ランプ100が接続されている。また、演出制御部152は、パチンコ機10のガラス枠20に取り付けられた複数の表示灯62の点灯・消灯を制御する。なお、表示部43では、前記特別図柄抽選の結果を報知するための図柄変動パターン演出画像を表示すると共に、スピーカ64からは当該図柄変動パターン演出時のBGMが出力されるようになっている。すなわち、遊技者は、視覚及び聴覚を通じて、特別図柄抽選の結果を含む演出を楽しむことができる。なお、普通図柄表示装置42A、保留ランプ100は表示部43にて表示するものでもよい。
ここで、前記抽選の結果が当たりとなり、表示部43における図柄変動パターン演出並びにスピーカ64からのBGM出力によって、当該当選を報知し終えると、特別遊技状態である大当たり処理が実行される。
この大当たり処理は、前記大入賞口44が所定回数(ラウンド)開放するものである。1ラウンドの開放時間は約30秒とされ、この間に最大10個のパチンコ球が入賞可能となる。すなわち、時間制限である30秒、或いは数制限である10個の何れか一方が先に満足されると、そのラウンドの権利は消滅し、当該大当たり処理中に大入賞口44内のVゾーンへの入賞があった場合に、次のラウンドへ移行することが約束される。なお、Vゾーンを省略し、単に所定個数のカウントをし、それを基に、次に継続するものでもよい。
このため、特別遊技状態では、通常遊技状態よりも短期間で多くの入賞が期待され、遊技者にとって有利な遊技状態とすることができる。
また、前述したように、前記表示部43において、図柄変動パターン演出を実行中に新たに特別図柄始動口46に入賞した場合、並びに大当たり処理中に特別図柄始動口46に入賞した場合、保留ランプ100の表示がその分、点灯数が増えていく(最大4個)。
一方、前回の図柄変動パターン演出が終了する、或いは大当たり処理が終了すると、表示部43では、保留分の抽選結果の報知を行うべく、新たな図柄変動パターン演出が開始される。これに伴い、保留ランプ100が1個消灯し、保留分の消化を遊技者に報知する。
次に、前記主制御部150と払出制御部154とは、相互通信が可能な状態で接続されている。
図9に示される如く、払出制御部154には、発射装置164、払出装置206、貸出装置208がそれぞれ接続されており、それぞれ払出制御部154からの信号に基づいて動作する。
すなわち、発射装置164には、貸出装置接続信号が送出されることで、発射装置164の機能が有効となる。
前記払出装置154には、送出機構部72の駆動源である払出モータ84、この払出モータ84の位置(1個のパチンコ球を排出するための動作回数に相当)を検出する払出モータ位置検出部88、払出路球切れスイッチ212、球皿部満タンスイッチ(貯球タンクを含む)214が接続されている。なお、払出モータ位置検出部88としては、パルスエンコーダが適用可能である。
ここで、前記払出モータ84へ、払出制御部154から払出モータ駆動信号が送出されることで、払出モータ84が駆動を開始し、この払出モータ84の駆動状態を払出モータ位置検出部88によって検出し、払出制御部154へフィードバックするようになっている。
また、前記貸出装置208は、パチンコ機10とは別にホール側に設置されるものであるため、互いの通信プロトコルを確立するために、貸出装置208から払出制御部154に対して、当該貸出装置208の電源投入状態を判別する信号、貸出装置208に搭載されたカードユニットのready状態を示す信号及び台端末貸出要求完了信号が送出される共に、払出制御部154から貸出装置208に対して、台端末貸出完了信号、台ready信号が送出されるようになっている。
さらに、払出制御部154では、主制御部150からのコマンド信号に基づいて、賞球及び貸出に関する全ての制御を実行すると共に、主制御部150へその結果(払出路球切れ状態、球皿部24(図1参照)及び貯球タンクの満タン状態、払出エラー状態の各信号)をフィードバックするようになっている。
また、前記貯留部70を構成する送出部70Bの2条の案内路74のそれぞれの最下流側(送出機構部72よりも下流側)には、それぞれ払出計数スイッチ86、86が設けられており、この払出計数スイッチ86、86からの計数信号も前記払出制御部154を介して主制御部150へ送出されるようになっている。
なお、図示は省略したが、払出制御部154では、貸出装置未接続状態表示灯、払出エラー状態表示灯、払出路球切れ状態表示灯並びに電源表示灯の点灯制御を行っている。
(払出監視制御)
ここで、パチンコ球の払い出しは、店側及び遊技者側の双方にとって、最も重要な要素であり、この払い出しが正確に行われないと、パチンコ遊技そのものの意義が失われ、信頼性を損失することになりかねない。
一方、払い出しの際の速度(払出速度)は、迅速性が要求されており、一般的に1分間に600個〜800個の払い出される速度が維持されることで、遊技者は満足することが経験的、統計的に認識されている(以下、「許容払出速度」という)。
従来の払出装置の送出機構部は、鉛直方向に延長された案内路の途中に設けられているため、パチンコ球の落下速度が充分に確保され、1個ずつ払出数を検出しても充分に前記許容払出速度を維持することができる。
ところが、本実施の形態のように比較的に緩やかの傾斜角度(勾配)の貯留部70に送出機構部72を配設した場合に、その流動速度が、鉛直方向の落下速度よりも劣るため、1個ずつの検出では、前記許容払出速度を維持することができない。
そこで、許容払出速度を維持することができる程度の複数のパチンコの払出数毎に、その適否を判断する構成とすると共に、エラーが生じた場合の、最適な対処(回復のための動作)並びに回復しない場合における過払出等の無駄が発生しない早期の払出停止を考慮した払出監視制御を構築した。
図10は、払出制御部154における払出管理制御を主体とする機能ブロック図を示している。
主制御部150(図9参照)からのコマンドは、コマンド解析部300へ入力され、払出(賞球又は貸出)の種別並びに払出数等を解析し、払出数に関する情報を払出数演算部302へ送出する。
払出数演算部302では、払い出すべきパチンコ球の数を演算し、当該演算結果に基づいて払出実行部304を起動する。本実施の形態では、総払出数を所定数毎(例えば、25個単位)に分割して払い出すようになっている。
この所定数(25個)は、送出機構部72が設けられる位置のパチンコ球が流動する勾配と相関関係を持っており、通常は、1分間に600個〜800個のパチンコ球を払い出すことができるように設計される。従って、所定数が決まれば、勾配が決まり、逆に勾配が固定であれば、所定数を調整することになる。
払出実行部304には、駆動部306を介して払出モータ84が接続されており、前記払出数演算部302からの起動信号に基づいて、駆動部306による駆動を開始する。
払出モータ84の駆動によって、スプロケット78が回転し、パチンコ球は2条の案内路74のそれぞれに沿って交互に払い出されていく。
スプロケット78の回転軸78Bには、払出モータ位置検出部88(パルスエンコーダ)が取り付けられており、その検出信号は、動作回数カウント部308へ送出される。
動作回数カウント部308では、検出信号(パルス信号)を動作回数としてカウントする。なお、この動作回数のカウント値は、1カウントで1個のパチンコ球の払い出しに相当する。
動作回数カウント部308は、前記払出実行部304及び比較部310と接続されている。
払出実行部304では、動作回数カウント値に基づいて、払出数演算部302から入力される払い出すべき数分、払出モータ84を駆動させる。これにより、演算上での所定数の払い出しが実行されることになる。
一方、2条の案内路74の最下流側には、それぞれ払出計数スイッチ86が配設されており、実際に払い出された(スプロケット78を通過した)パチンコ球を検出し、その検出信号(1個のパチンコ球が通過する毎に1パルスの出力)を払出数カウント部312へ送出する。
払出数カウント部312では、2個の払出計数スイッチ86からの検出信号を加算していき、その加算値を前記比較部310へ送出する。
比較部310では、前記演算上の払出数となる動作回数カウント値と、実際の払出数となる計数カウント値とを比較し、適否(OK/NG)を判断する。
比較部310は、状態報知制御部314及びエラー処理制御部316と接続されている。前記カウント値の比較照合の結果、OKの場合には、状態報知制御部314へOK信号が出力され、適正に払い出しが実行されたことを報知(実際は、なにもしないことがOK報知)する。
一方、比較部310での比較照合の結果、双方のカウント値が合わない場合には、NG信号をエラー処理制御部316へ送出する。エラー処理制御部316には、エラー処理パターンメモリ318が接続されており、エラーとなりうる要因毎のエラー解消処理パターンを読み出すようになっている。エラー処理は、基本的に払出モータ84の駆動(正転、逆転、振動等)によって回復させるようになっており、エラー処理制御部316は、前記駆動部306を制御する。
エラー処理パターン1は、パチンコ球が2条の案内路74を流動する際に、隣接するパチンコ球との間に隙間が生じ、スプロケット78による空送りが発生していることを予測して処理する空送り解消動作であり、後述する機構障害エラー処理としての前記払出モータ84を逆転、かつ振動させるプログラムが記憶されている。
予測される空送り動作原因によっては、空送り解消動作として、逆転或いは振動のどちらか一方のプログラムが記憶されている構成でもよい。
また、エラー処理パターン2は、前記送出機構部72自体の動作に不具合があると予測して処理する送出機構部回復動作であり、後述する払出モータエラー処理としての前記払出モータ84を逆転するプログラムが記憶されている。
上記エラー処理制御部316によるエラー処理後は、案内路74の条数分(ここでは、2条であるので2個)以下の払い出しを実行することで、エラーの解消を判断するようになっており、上記のような演算上の動作回数カウント値と、実際のパチンコ球の計数カウント値との比較が実行されるようになっている。
なお、所定のエラー処理動作を行ってもエラーが解消されない場合には、エラー処理制御部316から状態報知制御部314へNG信号を送出することで、払い出しが適正に行われなかったことを報知するようになっている。
以下に、本実施の形態の作用を説明する。
まず、通常遊技の流れを説明する。
遊技者がハンドル30を把持し、発射のための操作を行なうと、このハンドル操作量(回転量)に応じた強度で、パチンコ球が打ち出される。
パチンコ球が打ち出されると、外バンド36及び内バンド38に案内されて盤面32の釘や風車等に当接しながら、予測し得ない移動をしながら落下していく。ここで、特別図柄始動口46にパチンコ球が入賞すると、所定の確率下で特図抽選が開始される。例えば、乱数カウンタ等から乱数を取得する。なお、大当たり判定は、前記取得した乱数値と予め設定した当たり値との照合をすることで、当たり/外れを判定するものである。
一方、普通図柄始動口としての通過装置48にパチンコ球が入賞すると、所定の確率下で普図抽選が開始される。
普図抽選の結果が当たりの場合は、電動チューリップ47を所定回数、所定期間開放し、特別図柄始動口46への入賞の確率を高めることができる。なお、通常遊技中の電動チューリップ47の動作は、開閉回数が1回、開放時間が0.5秒程度である。また、特別遊技中の電動チューリップ47の動作は、開閉回数が2回、開放時間が2秒程度である。
前記特図抽選の結果が当りの場合は、大当たり処理の実行が開始され、予め設定したラウンド数(例えば、15ラウンド)の特別遊技状態(大当たり処理)が実行される。この大当たり処理中は、大入賞口44がほとんど開放状態であるため、遊技者によって有利な状態とすることができる。所定ラウンドの大当たり処理が終了すると、通常の遊技に戻る。
上記のような遊技の進行において、特別図柄始動口46や大入賞口44へパチンコ球が入賞すると、その賞球としてパチンコ機10に搭載された貯留部70から複数(1回の入賞で5個〜15個程度)のパチンコ球が球皿部24へ払い出される。
また、遊技者が遊技を開始する際、店側からパチンコ球を投資額に応じて貸し出すようにしており、本実施の形態では、この貸し出すパチンコ球もパチンコ機10に搭載された貯留部70から払い出される。
以下、図11のフローチャートに従い、払出制御部154における払出制御の全体の流れを説明する。
ステップ400では、主制御部150からコマンドを受信したか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ402へ移行して、受信したコマンドを解析処理し、ステップ404へ移行する。また、ステップ400で否定判定の場合は、ステップ404へ移行する。
ステップ404では、貯留部70の受入部70Aにパチンコ球が無い(球切れ)状態か否かが判断され、肯定判定されると、ステップ406へ移行して主制御部150へ貯留部70の球切れ状態であることを示す信号を送出し、ステップ408へ移行する。また、ステップ404で否定判定の場合はステップ408へ移行する。
ステップ408では、球皿部24(及び貯球タンク)が満タン状態か否かが判断され、肯定判定されると、ステップ410へ移行して主制御部150へ、球皿部24(及び貯球タンク)が満タン状態であることを示す信号を送出し、ステップ412へ移行する。また、ステップ408で否定判定の場合はステップ412へ移行する。
ステップ412では、払出ケース異常状態、すなわち払い出しが適正に行われていない状態か否かが判断される。このステップ412で否定判定の場合には、ステップ414へ移行して、払出モータ84が異常状態か否かが判断される。
ステップ412で肯定判定、又はステップ414で肯定判定されると、ステップ416へ移行して、主制御部150へ払出エラー状態であることを示す信号を送出し、ステップ418へ移行する。また、ステップ414で否定判定の場合には、ステップ418へ移行する。
ステップ418では、払い出しが不可能な状態か否かが判断され、肯定判定されると、ステップ420へ移行して電源断判定を行い、所定の処理時間となるまでウェイト状態とし、このルーチンはリセットされる。
また、ステップ418で否定判定された場合には、ステップ422へ移行して払い出しの残数があるか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ424へ移行して賞球制御が実行される。また、ステップ422で否定判定されると、ステップ426へ移行して貸出装置208からの貸し出し要望があったか否かが判断される。このステップ426で肯定判定された場合には、ステップ428へ移行して球貸制御が実行される。また、ステップ426で否定判定された場合には、ステップ420へ移行して電源断判定を行い、所定の処理時間となるまでウェイト状態とし、このルーチンは終了する。
上記図11に示すルーチン(払出制御)が繰り返し実行されることで、払い出しが実行されるとともに、払い出しが適正に実行されなかった場合(エラー発生時)、その状況に応じてエラー処理が実行されるが、実際の払い出しの実行並びにエラー発生時の処理の実行は、図11のルーチンの処理に対して時分割で実行されるようになっており、見掛け上は、同時進行となる。
例えば、図11の払出制御実行中の所定の時期に割込がかかり、払い出し制御又はエラー処理制御の1ステップ或いは複数ステップが実行され、リセット後の次の所定の時期を待って払い出し制御又はエラー処理制御が継続される。
ここで、簡易的に1つの払出実行管理ルーチンの流れとして、上記払い出しの実行並びにエラー発生時の処理に関する処理を抽出したフローチャートを構成すると、図12乃至図14に示すようになる。
図12に示される如く、ステップ500、ステップ502、ステップ504では、歯抜け処理ステータス、機構障害ステータス、払出モータエラーステータスのそれぞれをクリアし、次いでステップ506へ移行して、主制御部150へのエラー出力を停止し、ステップ508へ移行する。
ステップ508では、払い出し(賞球又は貸出)の残数があるか否かが判断され、否定判定の場合は、このステップ508での待機状態となる。
また、ステップ508で肯定判定されると、ステップ510へ移行して払出個数Nをセットして払出モータ84の動作を開始する。なお、払出個数Nの最大値は25個であり、払出計数スイッチ86で払出球を検出する毎に、払出個数Nと払出残数を減算する。
次のステップ512では、払出モータ位置検出部88からパルス信号が出力(パルスエンコーダにおける光電センサがスリット板のスリットの透光→遮光のエッジを検出)されたか否かが判断され、否定判定されるとステップ514へ移行して所定時間(500msec)経過したか否かが判断される。このステップ514で否定判定の場合には、ステップ512へ戻る。
また、ステップ514で肯定判定されると、払出モータエラーが発生していると予測し、ステップ516へ移行して払出モータエラー処理(図13参照)を実行する。
また、ステップ512で肯定判定されると、ステップ518へ移行して払出モータエラーステータスをクリアとし、次いでステップ520へ移行して動作回数の検出がN回となったか否かが判断される。
ステップ520で否定判定の場合には、ステップ512へ戻る。また、ステップ520で肯定判定されると、ステップ522へ移行して、払出モータ84の駆動を停止した後、所定時間(300msec)待機し、ステップ524へ移行して払出計数スイッチ86によりNカウント(N個)検出したか否かが判断される。
このステップ524で肯定判定されると、N個の正常に払い出しが完了したと判断し、ステップ500へ戻る。
また、ステップ524において否定判定された場合には、ステップ526へ移行して歯抜け処理ステータスがセットされているか否かが判断される。このステップ526で否定判定の場合には、ステップ528へ移行して歯抜け処理ステータスをセットし、次いでステップ530へ移行して所定時間(1sec)待機した後、ステップ532へ移行して払い出し個数Nの再設定(案内路74の条数以下であるため、ここでは、N=1又は2とする)し、ステップ512へ戻る。
また、ステップ526で肯定判定された場合には、1回の歯抜け解消処理が終わっていると判断し、ステップ534へ移行して機構障害エラー処理(図14参照)を実行する。
本実施の形態において、ステップ524で否定判定された場合に、即、機構障害エラー処理(ステップ534)に移行せず、ステップ526乃至ステップ532を経て、再度、ステップ512乃至ステップ524を行っている理由は、たまたまスプロケットによる払い出し速度の球の流れ(スプロケットへの球の受け入れ)がついていけずに、予定した払い出しを行うことができず、ステップ524において否定判定となってしまったことを想定したためであり、無駄な機構障害エラー処理を行わないようにするためである。
図13には、図12のステップ516における払出モータエラー処理ルーチンが示されている。
ステップ550では、払出モータ84を逆転させ、次いでステップ552へ移行して、払出モータ位置検出部88において、スリットエッジを2回検出したか否かが判断される。このステップ552で肯定判定されると、払出モータ84の主として球噛みに起因するエラーが解消されたと判断し、ステップ554へ移行して回転停止して1sec待機して、図12のステップ500へ戻る。
また、ステップ552で否定判定された場合には、ステップ556へ移行して所定時間(3sec)経過したか否かが判断され、否定判定の場合には、ステップ550へ戻る。また、ステップ556で肯定判定された場合には、球噛みが解消されないと判断し、ステップ558へ移行して主制御部150へエラー信号を出力し、次いでステップ560へ移行して回転停止して1sec待機し、ステップ562へ移行する。
なお、エラー信号の出力により、当該エラー信号が入力された主制御部150では、表示灯62及び/又はスピーカ64等で、エラー報知を行う。
ステップ562では、払出モータエラーステータスがセットされているか否かが判断され否定判定された場合には、最初の払出モータエラーであると判断して、ステップ564へ移行し、払出モータステータスをセットし、次いでステップ566へ移行して払出個数の再設定(案内路74の条数以下であるため、ここでは、N=1又は2とする)して、図12のステップ512へ戻る。
また、ステップ562で肯定判定された場合には、1回の払出モータエラー解消処理が終了していると判断し、ステップ568へ移行して60sec待機した後、ステップ566へ移行する。
次に、図14には、図12ステップ534における機構障害エラー処理ルーチンが示されている。
ステップ570では、主制御部150へエラー出力を実行し、次いでステップ572へ移行して払出モータ84を逆転させ、さらに、ステップ574へ移行して3sec振動させる。
なお、エラー信号の出力により、当該エラー信号が入力された主制御部150では、表示灯62及び/又はスピーカ64等で、エラー報知を行う。
この振動は、払出モータ84の小刻みな正転逆転動作であり、これにより、払出モータ84、小刻みな正転逆転動作をしながら、徐々に逆転していくことになる。この動作によって、間隔があいているパチンコ球を隙間なく詰めることができる。
次のステップ576では、1sec停止状態を維持し、次いでステップ578で歯抜け処理ステータスをクリアし、ステップ580へ移行する。
ステップ580では、機構障害ステータスがセットされているか否かが判断され、否定判定の場合は、ステップ582へ移行して機構障害エラーステータスをセットし、ステップ584へ移行する。
本実施の形態において、ステップ586で60secと比較的長時間の待機を行っているのは、ホールの店員が手作業でエラーの原因を取り除くことができるようにするためである。
また、ステップ580で肯定判定された場合には、ステップ586へ移行して60sec待機した後ステップ584へ移行する。
ステップ584では、払出残数が0か否かが判断され、肯定判定された場合には、図12のステップ500へ戻り、否定判定された場合には、ステップ588へ移行して払出個数の再設定(案内路74の条数以下であるため、ここでは、N=1又は2とする)して、図12のステップ512へ戻る。
本実施の形態において、払い出しが行えなかった分の払い出しが完了するまで、上記制御が繰り返し行われるので、手作業でエラーの原因を取り除くことを行わない場合でも、自動復帰の可能性を残す制御となっている。
上記構成によれば、貯留部70から貯球タンクを介して球皿部24へパチンコ球を払い出すための流路において、送出機構部72を鉛直方向の流路となる位置に取り付ける必要がなくなり、貯留部70の構成部材として、一体的に組み付けることができ、作業効率を向上させることができる。
以上説明したように本実施の形態では、払出制御にエラーが発生した場合、当該予測したエラーの回復を行うと共に、エラーの回復の状態を案内路74の条数に対してそれぞれ1個ずつのパチンコ球の払い出しを実行し、これが適正に実行されたか否かで、エラーの回復状態を判別するようにした。
言い換えれば、1条の案内路74に対してとりあえず1個のパチンコ球の払い出しを実行し、これが、適正に払出計数スイッチ86で検出できるか否かで、エラーの状態を判別することができるため、必要最小限の払出数で、複数条の案内路74の状態を認識することができる。このため、比較的多数(本実施の形態では、25個)単位でパチンコ球を払い出し、その後、払い出しの適否を判断する構成においても、エラー発生時に再度25個払い出すような不具合が生じることがなく、無駄な払い出しを防止することができる。