JP4555441B2 - 帯電部材および電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置に用いられる帯電部材及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子複写機、静電記録装置等の電子写真装置は、被帯電体を均一に帯電する工程を含んでいる。その帯電処理方法として、一般的にはコロナ帯電法が用いられているが、コロナ帯電法はオゾン等の生成物の発生が多く、その対処のための付加手段、機構を必要とし、そのため装置が大型化、高コスト化しやすい問題を有している。
【0003】
そこで最近では、コロナ帯電法に代わる新しい帯電法として、接触帯電法の検討が行われ、一部で実用化されている。
【0004】
接触帯電法は電圧を印加した帯電部材を被帯電体に所定の押圧力で当接させて被帯電体を帯電するものである。オゾンの発生がコロナ帯電法に比べて大幅に減少することから、コロナ帯電法では不可欠な付加手段、機構が不要であるといった長所がある。印加電圧には、直流電圧あるいは交流電圧を重畳した電圧を用いる。
【0005】
帯電部材は、通常、導電性支持体とその周囲に形成されたゴムや発泡体等からなる導電性弾性層と、さらにその上に、例えば耐摩耗性向上や耐感光体汚染性向上等の目的に応じて、一層以上の導電性被覆層を設けた構成のものが使用されることが多い。
【0006】
導電性被覆層を設ける手段としては、(1)導電性を付与した塗料をディッピング、スプレー法等により薄くコーティングする方法、(2)導電性を付与したチューブ状に成形したものを被覆、あるいは、直接弾性層上に押し出し成形する方法等がある。
【0007】
導電性被覆層等を設ける手段がコーティングである場合、(3)材料を溶剤に溶かし塗料としなければならないため、使用材料に制限がある。(4)チューブ被覆と比較し製造工程が複雑であるため、製造コストがかさむ。(5)チューブ被覆と比較し、表面を平滑に仕上げにくい。特に支持体に発泡体を用いた場合、その表面の凹凸に影響されやすい。表面の平滑性が不十分である場合、帯電が不均一となり、画像不良を発生したり、放電量の増加によりドラム削れが増大することがある。
【0008】
そのため、上記問題点の解決策としては、導電性被覆部材を押し出し成形機やインフレーション成形機を用いてチューブ形状に加工し、得られたチューブを導電性支持部材、導電性弾性層上に被覆して帯電部材を得る方法が提案されている。例えば、特開平5−092466号公報では、導電性ゴム弾性体上に抵抗層となる多層のチューブを被覆した多層ローラーについて開示がなされている。これによれば、従来と比較して簡単な製法で安価に多層ローラーが得られるという利点を有している。
【0009】
このような、チューブが被覆された帯電部材には被帯電体を所定の電位に保持させる機能が必要であり、そのためチューブの電気抵抗を一定の範囲に制御することが重要となる。
【0010】
この抵抗制御には、通常カーボンブラック等の導電性顔料を用いる。コスト等の面からカーボンブラックを用いるのが普通である。カーボンブラックについては粉体抵抗が10-2〜100 Ω・cmのものが用いられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記帯電部材を用いた帯電装置には、次のような問題がある。
【0012】
被覆部材であるチューブの主な構成材料は、樹脂特に熱可塑性エラストマーと顔料である。樹脂特に熱可塑性エラストマーの体積固有抵抗は、少なくとも1010Ω・cmである。このように高い体積固有抵抗を示す樹脂、特に熱可塑性エラストマーに導電性を付与するために粉体抵抗が10-2〜100 Ω・cmのカーボンブラックを分散させる。このため、ミクロ的に見ると層内に抵抗値の高いところと低いところ、すなわち抵抗ムラが存在する。したがってこのような構成層を有する接触帯電部材を用いた電子写真装置では、被帯電体を帯電処理した場合、被帯電体表面の電位に微少な帯電ムラが生じやすく、これが原因で画像上に斑点状の黒点等の画像不良を起こすことがある。特にハーフトーン画像領域で顕著である。
【0013】
そこで、本発明の目的は、安定かつ良好な均一帯電特性と出力画像品質が得られる帯電部材を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、被帯電体に接触し電圧を印加して帯電を行う帯電部材であって、該帯電部材は少なくとも支持部材と導電性被覆部材を有してなり、該導電性被覆部材は、外層がスチレン系熱可塑性エラストマー、内層がウレタン系熱可塑性エラストマーの2層のシームレスチューブからなり、少なくとも該スチレン系熱可塑性エラストマー中に、カーボンブラックの導電性指標が10〜500(好ましくは12〜480)の範囲の上限領域と中間領域と下限領域にある少なくとも各一種類以上のカーボンブラックを含有することを特徴とする帯電部材である。カーボンブラックは、導電性指標が200〜500(好ましくは220〜480)の高導電性カーボンブラックと40〜100(好ましくは40〜80)の中導電性カーボンブラックを、あるいは200〜500(好ましくは220〜480)の高導電性カーボンブラックと10〜30(好ましくは12〜28)の低導電性カーボンブラックを、あるいは200〜500(好ましくは220〜480)の高導電性カーボンブラックと40〜100(好ましくは40〜80)の中導電性カーボンブラックと10〜30(好ましくは12〜28)の低導電性カーボンブラックを併用する。
【0015】
カーボンブラックの導電性指標(フィラー研究会編「フィラー活用辞典」大成社参照)とは、式(1)で表示されるように、カーボンブラックの比表面積、DBP吸油量、揮発分から規定されるものである。
【0016】
導電性指標={比表面積(m2/g)×DBP吸油量(ml/100g)}0.5 /{1+揮発分(%)}…式(1)
上記のようにカーボンブラックの導電性指標が上限領域と中間領域と下限領域のものを併用する。これにより導電性の異なる二種類以上のカーボンブラックが相互に連結することにより、被覆導電部材中の抵抗ムラが解消され、抵抗特性が安定し、均一な帯電が達成できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の導電性被覆部材は、カーボンブラックの導電性指標が10〜500(好ましくは12〜480)かつ、導電性指標が異なる二種類以上のカーボンブラックを含有する熱可塑性エラストマーで成形されたシームレスチューブである。
【0018】
カーボンブラックは、導電性指標が10〜500(好ましくは12〜480)の範囲にあり、かつ、導電性指標が異なる二種類以上のカーボンブラックからなる。
【0019】
具体的には、カーボンブラックの導電性指標が200〜500(好ましくは220〜480)の範囲にある高導電性カーボンブラックと、40〜100(好ましくは40〜80)の範囲にある中低導電性カーボンブラック及び10〜30(好ましくは12〜28)の範囲にある低導電性カーボンブラックの両方または一方と併用する。
【0020】
本発明は、感光体、潜像形成手段、形成した潜像を現像する手段及び現像した像を転写材に転写する手段を有する電子写真装置において、該潜像形成手段として該感光体を帯電処理するのに上記帯電部材を用いることを特徴とする電子写真装置である。
【0021】
上記、カーボンブラックの導電性指標が200〜500の範囲にある高導電性カーボンブラックとしては、ケッチェンブラックEC、ケッチェンEC600JD(ライオンアクゾ製)、プリンテックスXE2(デグサ製)、ブラックパールズ−2000(キャボット製)等が挙げられる。
【0022】
カーボンブラックの導電性指標が40〜100の範囲にある中導電性カーボンブラックとしては、トーカブラックシリーズ(東海カーボン製)、シーストシリーズ(東海カーボン製)等が挙げられる。
【0023】
カーボンブラックの導電性指標が10〜30の範囲にある低導電性カーボンブラックとしては、スペシャルブラックシリーズ(デグサ製)、ブラックパールズ−1400、ブラックパールズ−1300、ブラックパールズ−1000(キャボット製)等が挙げられる。
【0024】
カーボンブラックの使用割合は、例えば重量比で、高導電性カーボンブラック:中導電性カーボンブラック:低導電性カーボンブラック=1:2:3〜1:3:5である。高導電性カーボンブラック:中導電性カーボンブラック=1:1〜1:5であり、より好ましくは1:2〜1:4である。高導電性カーボンブラック:低導電性カーボンブラック=1:1〜1:11であり、より好ましくは1:2〜1:10である。また、カーボンブラックの配合割合は、全重量に対して10〜30重量%である。カーボンブラックの配合割合がこれ以上であると、バインダー樹脂の硬度が大きくなり、チューブ成形が困難になる。また、これ以下であると、導電性が発現できなかったり、導電性が不均一になり、帯電が困難になる。
【0025】
シームレスチューブのバインダーとして用いられるものとして樹脂特に熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0026】
具体的には、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が挙げられる。また、これらをブレンドしてもよい。
【0027】
上記バインダーに添加する添加剤としては、必要に応じて導電性充填剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、補強剤、充填剤等が挙げられる。導電性充填剤としては、上記カーボンブラックを必須成分とし、その他にグラファイト、金属酸化物を使用してもよい。金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0028】
次に本発明の導電性被覆部材の製造方法を説明する。バインダー樹脂を二種類以上のカーボンブラック及び必要な添加剤と共に混練し、続いてペレット化する。得られたペレットを押出成形機によりシームレスチューブとする。また、シームレスチューブは、多層式チューブ押出成形機で成形した多層型シームレスチューブとしてもよい。成形加工されたシームレスチューブを支持部材に被覆し、帯電部材とする。
【0029】
シームレスチューブ内径を被覆すべき支持体の外径よりも大とし、物理的、例えば熱によりチューブを収縮させ嵌合させるか、シームレスチューブ内径を被覆すべき支持体の外径よりも小とし、空気圧によりチューブを押し広げ嵌合させるかの手段が取られる。その例として、特開平10−228156号公報等がある。シームレスチューブの厚みは、上限は1mm以下、好ましくは500μm以下、更に好ましくは、300μm以下とする。厚みの下限は特に規定しないが、例えば製造工程や取り扱いの困難さを考慮すると、10μm以上、好ましくは100μm以上が下限であろう。
【0030】
本発明において用いられる、被覆される支持部材としての構成、材質あるいは製造方法を例示する。
【0031】
その形態としては、弾性ローラー及び弾性ブレード等が用いられる。材質としては、例えば、ローラーの場合は、例えば特開平1−211799号公報等に開示があるが、導電性基体として、鉄、銅及びステンレス等の金属、カーボン分散樹脂、金属あるいは金属酸化物分散樹脂等が用いられ、その形状としては、棒状及び板状等が使用できる。例えば、弾性ローラーの構成としては、導電性基体上に弾性層その上に導電層及び抵抗層を設けたもの等が用いられ、ローラー弾性層としては、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、EPDMゴム、ポリウレタンゴム、エポキシゴム及びブチルゴム等のゴムまたはスポンジや、スチレン、ブタジエン、ポリウレタン、ポリエステル及びエチレン−酢ビ等の熱可塑性樹脂で形成することができる。
【0032】
導電性の発現手段としては、例えば、金属蒸着膜、導電性粒子分散樹脂及び導電性樹脂等が用いられ、具体例としては、アルミニウム、インジウム、ニッケル、銅及び鉄等の蒸着膜、導電性粒子分散樹脂の例としては、カーボン、アルミニウム、ニッケル及び酸化チタン等の導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体及びポリメタクリル酸メチル等の樹脂中に分散したもの等が挙げられる。導電性樹脂としては、4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン及びポリエチレンイミン等が挙げられる。抵抗層は、導電性樹脂及び導電性粒子分散絶縁樹脂等を用いることができる。導電性樹脂としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、共重合ナイロン、ポリビニルヒドリン及びカゼイン等の樹脂が用いられる。導電性粒子分散樹脂の例としては、カーボン、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化チタン等の導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体及びポリメタクリル酸メチル等の絶縁性樹脂中に少量分散したもの等が挙げられる。
【0033】
帯電部材として、支持部材とシームレスチューブを有する本発明の構成のものは、製造安定性に優れ、従来安定生産が難しいとされた中抵抗領域のものを安定して生産できる。
【0034】
本発明の帯電部材を用いた画像形成装置の一例の概略構成図を図1に示す。
【0035】
図1において符号1は、被帯電体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)であり、矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0036】
2は接触帯電部材であり、本例では感光ドラム1面にドラム母線方向に略平行にして所定の押圧力で当接させて配設したローラー体(以下帯電ロールと記す)で、感光ドラム1の回転に従動回転する。
【0037】
本例の帯電ロール2は、図2に示すように、導電性芯金2aと該芯金に同心一体に金型成形等でローラー状に成形した導電性ゴム等の弾性層2bと、さらにその外周に形成した導電性被覆部材2dとからなる複合層構造のものである。さらに、必要に応じて弾性層2bと導電性被覆部材2dの間に中間層2cを設けることができる。本例の帯電ロール2は、被帯電体である感光ドラム1の面に接する層である導電性被覆部材2dに上述の導電性指標の異なる二種類以上のカーボンブラックを用いている。また、この導電性指標の異なる二種類以上のカーボンブラックは、中間層2cの導電性顔料としても利用できる。
【0038】
3は帯電ロール2に対する電圧印加電源であり、この電源から帯電ロール2の芯金2aに所定の電圧を印加することで、回転する感光ドラム1の周面が所定の極性、電位に接触帯電式で帯電処理される。
【0039】
帯電ロール2に対する電圧は直流電圧だけでもよいが、被帯電体としての感光ドラム1面を均一に帯電処理するために、直流電圧と交流電圧の重畳電圧(振動電圧)を印加する方が好ましい。
【0040】
帯電ロール2より所定の電位に均一に一次帯電処理された感光ドラム1面に対して、不図示のレーザースキャナ(画像露光手段)による目的画像の情報のレーザービーム走査露光(像露光手段)4、現像器(現像手段)5によるトナー現像、形成トナー像の転写手段6による転写材7に対する転写の工程が順次に実行され、トナー像転写を受けて感光ドラム1から分離された転写材7が不図示の定着手段へ導入されて画像形成物(プリント)として出力される。トナー像転写後の感光ドラム1面はクリーニング装置(クリーニング手段)8で転写残りトナーの付着汚損物の除去がなされて清浄面化され、繰り返して作像に供される。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。なお、実施例は接触式の帯電ロールを用いて説明しているが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0042】
[実施例1]
(弾性体の作製)
バンバリーミキサーで導電性カーボンを分散させたEPDMゴムに、加硫剤と発泡剤を2本ロールで配合し、押出成形にてチューブ状に成形した。このチューブ状成形物を加硫缶内で発泡させたところ、長さ240mm、内径5mm、外径15mmのスポンジチューブが得られた。
【0043】
(芯金と弾性体の接着)
前記スポンジチューブの内側に、接着剤を塗布した長さ240mm、外径6mmの芯金を挿入し、熱オーブン内で芯金と弾性体を接着し弾性層を形成した。
【0044】
(弾性層の形状の調整)
突っ切りにより、芯金の両端が10mmずつ残るように、スポンジ弾性層を長さ220mmに調整した。この芯金付き弾性層を研磨により、端部外径10.70mm、中央部外径11.35mmのクラウン形状に仕上げた。
【0045】
(中間層の作製)
導電性カーボンを分散させた熱可塑性ウレタンエラストマー(クラミロンU,クラレ製)を押出成形により、内径10.2mm、平均肉厚400μmのシームレスチューブに成形し、中間層となるシームレスチューブを得た。
【0046】
(導電性被覆部材の作製)
カーボンブラックの導電性指標が、358のケッチェンブラックECを5重量%、78のトーカブラック#5500を10重量%、15のスペシャルブラック4を14重量%を分散させたスチレン系熱可塑性エラストマー(ダイナロン、JSR製)を押出成形により、内径10.6mm、平均肉厚200μmのシームレスチューブに成形し、導電性被覆部材となるシームレスチューブを得た。このシームレスチューブの体積抵抗値を測定したところ3×107 Ωcmであった。
【0047】
(中間層と導電性被覆部材の被覆)
上記中間層の内径を加圧エアーで拡幅し、前記弾性層をその内側に挿入し、エアーを遮断して、弾性層に中間層を被覆した。同様に、導電性被覆部材も中間層上に被覆した。
【0048】
以上のようにして3層構成の帯電部材を作製した。
【0049】
上記のようにして製作した帯電部材をそれぞれ、芯金両端部に500gずつの押圧力をかけて感光体に当接させ、接触式帯電装置を得た。
【0050】
この接触式帯電装置を電子写真装置(レーザービームプリンター、ヒューレットパッカード製レーザージェット4000)に組み込み、高温高湿環境で画像評価を行ったところ、画像は帯電領域全長にわたり良好であった。更に、画像評価のためA4サイズ8千枚を続行しても帯電不良等を発生せず、良好な画像が得られた。
【0051】
[実施例2]
(弾性体の作製)実施例1に同じ。
(芯金と弾性体の接着)実施例1に同じ。
(弾性層の形状の調整)実施例1に同じ。
(中間層の作製)実施例1に同じ。
(導電性被覆部材の作製)
カーボンブラックの導電性指標が、466のケッチェンブラックEC600JDを4重量%、62のトーカブラック#4500を10重量%、15のブラックパールズ−1400を16重量%を使用した以外は、実施例1に同じ。このシームレスチューブの体積抵抗値を測定したところ1×107 Ωcmであった。
【0052】
(中間層と導電性被覆部材の被覆)実施例1に同じ。
【0053】
以上のようにして3層構成の帯電部材を作製した。
【0054】
上記のようにして製作した帯電部材をそれぞれ、芯金両端部に500gずつの押圧力をかけて感光体に当接させ、接触式帯電装置を得た。
【0055】
この接触式帯電装置を電子写真装置(レーザービームプリンター、ヒューレットパッカード製レーザージェット4000)に組み込み、高温高湿環境で画像評価を行ったところ、画像は帯電領域全長にわたり良好であった。更に、画像評価のためA4サイズ8千枚を続行しても帯電不良等を発生せず、良好な画像が得られた。
【0056】
[実施例3]
(弾性体の作製)実施例1に同じ。
(芯金と弾性体の接着)実施例1に同じ。
(弾性層の形状の調整)実施例1に同じ。
(中間層の作製)実施例1に同じ。
【0057】
(導電性被覆部材の作製)
カーボンブラックの導電性指標が、358のケッチェンブラックECを7重量%、78のトーカブラック#5500を13重量%を使用した以外は、実施例1に同じ。このシームレスチューブの体積抵抗値を測定したところ2×108 Ωcmであった。
【0058】
(中間層と導電性被覆部材の被覆)実施例1に同じ。
【0059】
以上のようにして3層構成の帯電部材を作製した。
【0060】
上記のようにして製作した帯電部材をそれぞれ、芯金両端部に500gずつの押圧力をかけて感光体に当接させ、接触式帯電装置を得た。
【0061】
この接触式帯電装置を電子写真装置(レーザービームプリンター、ヒューレットパッカード製レーザージェット4000)に組み込み、高温高湿環境で画像評価を行ったところ、画像は帯電領域全長にわたり良好であった。更に、画像評価のためA4サイズ8千枚を続行しても帯電不良等を発生せず、良好な画像が得られた。
【0062】
[実施例4]
(弾性体の作製)実施例1に同じ。
(芯金と弾性体の接着)実施例1に同じ。
(弾性層の形状の調整)実施例1に同じ。
(中間層の作製)実施例1に同じ。
【0063】
(導電性被覆部材の作製)
カーボンブラックの導電性指標が、358のケッチェンブラックECを6重量%、40のトーカブラック#4300を20重量%を使用した以外は、実施例1に同じ。このシームレスチューブの体積抵抗値を測定したところ2×109 Ωcmであった。
【0064】
(中間層と導電性被覆部材の被覆)実施例1に同じ。
【0065】
以上のようにして3層構成の帯電部材を作製した。
【0066】
上記のようにして製作した帯電部材をそれぞれ、芯金両端部に500gずつの押圧力をかけて感光体に当接させ、接触式帯電装置を得た。
【0067】
この接触式帯電装置を電子写真装置(レーザービームプリンター、ヒューレットパッカード製レーザージェット4000)に組み込み、高温高湿環境で画像評価を行ったところ、画像は帯電領域全長にわたり良好であった。更に、画像評価のためA4サイズ8千枚を続行しても帯電不良等を発生せず、良好な画像が得られた。
【0068】
[実施例5]
(弾性体の作製)実施例1に同じ。
(芯金と弾性体の接着)実施例1に同じ。
(弾性層の形状の調整)実施例1に同じ。
(中間層の作製)実施例1に同じ。
【0069】
(導電性被覆部材の作製)
カーボンブラックの導電性指標が、358のケッチェンブラックECを9重量%、15のスペシャルブラック4を17重量%を使用した以外は、実施例1に同じ。このシームレスチューブの体積抵抗値を測定したところ2×107 Ωcmであった。
【0070】
(中間層と導電性被覆部材の被覆)実施例1に同じ。
【0071】
以上のようにして3層構成の帯電部材を作製した。
【0072】
上記のようにして製作した帯電部材をそれぞれ、芯金両端部に500gずつの押圧力をかけて感光体に当接させ、接触式帯電装置を得た。
【0073】
この接触式帯電装置を電子写真装置(レーザービームプリンター、ヒューレットパッカード製レーザージェット4000)に組み込み、高温高湿環境で画像評価を行ったところ、画像は帯電領域全長にわたり良好であった。更に、画像評価のためA4サイズ8千枚を続行しても帯電不良等を発生せず、良好な画像が得られた。
【0074】
[実施例6]
(弾性体の作製)実施例1に同じ。
(芯金と弾性体の接着)実施例1に同じ。
(弾性層の形状の調整)実施例1に同じ。
(中間層の作製)実施例1に同じ。
【0075】
(導電性被覆部材の作製)
カーボンブラックの導電性指標が、233のブラックパールズ−2000を4重量%、25のカラーブラックFW2000を26重量%を使用した以外は、実施例1に同じ。このシームレスチューブの体積抵抗値を測定したところ8×109 Ωcmであった。
【0076】
(中間層と導電性被覆部材の被覆)実施例1に同じ。
【0077】
以上のようにして3層構成の帯電部材を作製した。
【0078】
上記のようにして製作した帯電部材をそれぞれ、芯金両端部に500gずつの押圧力をかけて感光体に当接させ、接触式帯電装置を得た。
【0079】
この接触式帯電装置を電子写真装置(レーザービームプリンター、ヒューレットパッカード製レーザージェット4000)に組み込み、高温高湿環境で画像評価を行ったところ、画像は帯電領域全長にわたり良好であった。更に、画像評価のためA4サイズ8千枚を続行しても帯電不良等を発生せず、良好な画像が得られた。
【0080】
[実施例7]
(弾性体の作製)実施例1に同じ。
(芯金と弾性体の接着)実施例1に同じ。
(弾性層の形状の調整)実施例1に同じ。
【0081】
(中間層及び導電性被覆部材で構成される多層シームレスチューブの作製)
縦型押出機を用いて、カーボンブラックの導電性指標が、358のケッチェンブラックECを6重量%、40のトーカブラック#4300を20重量%を分散させた熱可塑性ウレタンエラストマー(クラミロンU,クラレ製)が内側(中間層)に、カーボンブラックの導電性指標が、358のケッチェンブラックECを6重量%、14のスペシャルブラック250を12重量%を分散させたスチレン系熱可塑性エラストマー(ダイナロン、JSR製)が外側(表面層)になるように、一つのクロスヘッドで二層となるように合流し、内径10.2mm、外径11.4mm、平均肉厚600μm(中間層肉厚400μm、表面層肉厚200μm)の二層のシームレスチューブを得た。このシームレスチューブの体積抵抗値を測定したところ3×108 Ωcmであった。
【0082】
(多層シームレスチューブの被覆)
上記多層シームレスチューブの内径を加圧エアーで拡幅し、前記弾性層をその内側に挿入し、エアーを遮断して、弾性層に多層シームレスチューブを被覆した。
【0083】
以上のようにして3層構成の帯電部材を作製した。
【0084】
上記のようにして製作した帯電部材をそれぞれ、芯金両端部に500gずつの押圧力をかけて感光体に当接させ、接触式帯電装置を得た。
【0085】
この接触式帯電装置を電子写真装置(レーザービームプリンター、ヒューレットパッカード製レーザージェット4000)に組み込み、高温高湿環境で画像評価を行ったところ、画像は帯電領域全長にわたり良好であった。更に、画像評価のためA4サイズ8千枚を続行しても帯電不良等を発生せず、良好な画像が得られた。
【0086】
[比較例1]
(弾性体の作製)実施例1に同じ。
(芯金と弾性体の接着)実施例1に同じ。
(弾性層の形状の調整)実施例1に同じ。
(中間層の作製)実施例1に同じ。
【0087】
(導電性被覆部材の作製)
カーボンブラックの導電性指標が、358のケッチェンブラックECを10重量%のみを使用した以外は、実施例1に同じ。このシームレスチューブの体積抵抗値を測定したところ2×108 Ωcmであった。
【0088】
(中間層と導電性被覆部材の被覆)実施例1に同じ。
【0089】
以上のようにして3層構成の帯電部材を作製した。
【0090】
上記のようにして製作した帯電部材をそれぞれ、芯金両端部に500gずつの押圧力をかけて感光体に当接させ、接触式帯電装置を得た。
【0091】
この接触式帯電装置を電子写真装置(レーザービームプリンター、ヒューレットパッカード製レーザージェット4000)に組み込み、高温高湿環境で画像評価を行ったところ、A4サイズ8千枚経過した時点で、帯電ムラによる斑点状の黒点の画像不良がハーフトーン画像で発生した。
【0092】
[比較例2]
(弾性体の作製)実施例1に同じ。
(芯金と弾性体の接着)実施例1に同じ。
(弾性層の形状の調整)実施例1に同じ。
(中間層の作製)実施例1に同じ。
【0093】
(導電性被覆部材の作製)
カーボンブラックの導電性指標が、62のトーカブラック#4500を26重量%のみを使用した以外は、実施例1に同じ。このシームレスチューブの体積抵抗値を測定したところ8×106 Ωcmであった。
【0094】
(中間層と導電性被覆部材の被覆)実施例1に同じ。
【0095】
以上のようにして3層構成の帯電部材を作製した。
【0096】
上記のようにして製作した帯電部材をそれぞれ、芯金両端部に500gずつの押圧力をかけて感光体に当接させ、接触式帯電装置を得た。
【0097】
この接触式帯電装置を電子写真装置(レーザービームプリンター、ヒューレットパッカード製レーザージェット4000)に組み込み、高温高湿環境で画像評価を行ったところ、A4サイズ3千枚経過した時点で、帯電ムラによる斑点状の黒点の画像不良がハーフトーン画像で発生した。更に、画像評価を続行したところ、A4サイズ8千枚を印刷時まで、黒点状の画像不良は消滅しなかった。
【0098】
[比較例3]
(弾性体の作製)実施例1に同じ。
(芯金と弾性体の接着)実施例1に同じ。
(弾性層の形状の調整)実施例1に同じ。
(中間層の作製)実施例1に同じ。
【0099】
(導電性被覆部材の作製)
カーボンブラックの導電性指標が、15のスペシャルブラック4を30重量%のみを使用した以外は、実施例1に同じ。このシームレスチューブの体積抵抗値を測定したところ8×109 Ωcmであった。
【0100】
(中間層と導電性被覆部材の被覆)実施例1に同じ。
【0101】
以上のようにして3層構成の帯電部材を作製した。
【0102】
上記のようにして製作した帯電部材をそれぞれ、芯金両端部に500gずつの押圧力をかけて感光体に当接させ、接触式帯電装置を得た。
【0103】
この接触式帯電装置を電子写真装置(レーザービームプリンター、ヒューレットパッカード製レーザージェット4000)に組み込み、高温高湿環境で画像評価を行ったところ、初期より帯電不良による斑点状の黒点の画像不良が発生した。更に、画像評価を続行したところ、A4サイズ8千枚を印刷時まで、黒点状の画像不良は消滅しなかった。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、被帯電体に接触し電圧を印加して帯電を行う帯電部材であって、該帯電部材は少なくとも支持部材と導電性被覆部材を有してなり、該導電性被覆部材は、カーボンブラックの導電性指標が10〜500の範囲の上限領域と中間領域と下限領域にある少なくとも各一種類以上のカーボンブラックを含有するシームレスチューブである帯電部材を用いることで導電性とカーボンブラック添加量のチューブ硬度への影響を制御することが可能となり、均一帯電特性と出力画像品質を確保できるもので、接触帯電装置の帯電部材として有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による帯電部材を用いた電子写真装置の一例の概略構成図である。
【図2】本発明による帯電部材の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1 感光ドラム
2 帯電ロール
2a 芯金
2b 弾性層
2c 中間層
2d 導電性被覆部材
3 電圧印加電源
4 像露光手段
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 クリーニング手段
Claims (9)
- 少なくとも支持部材と導電性被覆部材を有した帯電部材であって、該導電性被覆部材は外層がスチレン系熱可塑性エラストマー、内層がウレタン系熱可塑性エラストマーの2層のシームレスチューブからなり、少なくとも該スチレン系熱可塑性エラストマー中に、導電性指標が200〜500の高導電性カーボンブラックと、導電性指標が40〜100の中導電性カーボンブラックと、導電性指標が10〜30の低導電性カーボンブラックを含有することを特徴とする帯電部材。
- 前記高導電性カーボンブラックの導電性指標が220〜480であり、前記中導電性カーボンブラックの導電性指標が40〜80であり、前記低導電性カーボンブラックの導電性指標が12〜28である請求項1に記載の帯電部材。
- 少なくとも支持部材と導電性被覆部材を有した帯電部材であって、該導電性被覆部材は外層がスチレン系熱可塑性エラストマー、内層がウレタン系熱可塑性エラストマーの2層のシームレスチューブからなり、少なくとも該スチレン系熱可塑性エラストマー中に、導電性指標が200〜500の高導電性カーボンブラックと、導電性指標が40〜100の中導電性カーボンブラックを含有することを特徴とする帯電部材。
- 前記高導電性カーボンブラックの導電性指標が220〜480であり、前記中導電性カーボンブラックの導電性指標が40〜80である請求項3に記載の帯電部材。
- 少なくとも支持部材と導電性被覆部材を有した帯電部材であって、該導電性被覆部材は外層がスチレン系熱可塑性エラストマー、内層がウレタン系熱可塑性エラストマーの2層のシームレスチューブからなり、少なくとも該スチレン系熱可塑性エラストマー中に、導電性指標が200〜500の高導電性カーボンブラックと、導電性指標が10〜30の低導電性カーボンブラックを含有することを特徴とする帯電部材。
- 前記高導電性カーボンブラックの導電性指標が220〜480であり、前記低導電性カーボンブラックの導電性指標が12〜28である請求項5に記載の帯電部材。
- 前記スチレン系熱可塑性エラストマー中に含まれる導電性カーボンブラックの含有量が全量で10〜30重量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の帯電部材。
- 該導電性被覆部材の体積抵抗値が、106〜1011Ωcmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の帯電部材。
- 感光体、潜像形成手段、形成した潜像を現像する手段及び現像した像を転写材に転写する手段を有する電子写真装置において、該潜像形成手段として該感光体を帯電処理するのに請求項1〜8のいずれか1項に記載の帯電部材を用いることを特徴とする電子写真装置。
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