JP4555422B2 - ポリオレフィン系樹脂フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂フィルムに関し、詳しくは長期間に亘って優れた防曇性を持続し得る農業用温室ハウスやトンネル用被覆資材に好適なポリオレフィン系樹脂フィルムに関する。
【従来の技術】
【0002】
温室栽培は年間を通じて各種野菜、果物、花等の農作物を供給するための栽培手法として広く普及している。その被覆資材としては、従来からポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等からなるフィルムが汎用されているが、近年、環境保護の観点から、特にポリオレフィン系樹脂フィルムの使用が急速に広まっている。
【0003】
ところが、上記ポリオレフィン系樹脂フィルムは、その表面が疎水性であるために、作物に与える水分や作物自身から出る水分によって、気象条件によってはフィルムの温室内面で水分が凝結し、小さな水滴が無数に発生する。
このような状態では日中の太陽光線の透過が阻害されて、温室内の温度上昇不足を招いたり、水滴が落下して作物に害を与えるといった問題があった。
【0004】
このような害を防ぐために、防曇剤として多価アルコール脂肪酸エステルを練り混む方法が一般的に採られている。この方法により、フィルム表面で凝結した水分は水滴となることなく水膜を形成するので水滴の落下が防止される。
しかしながら、水分の流下に伴い、フィルム表面の防曇剤は流されてしまい、長期間の防曇持続性を発現させることが困難である。これを解決するために、ブリード性の遅い防曇剤を使ったり、防曇剤の練り混み量を増やしたりすれば、防曇性を発現させるまでに長期間エージングさせる必要が生じたり、防曇剤のブリード過多によりフィルム表面が著しく白化したり、べたつきを発生させたりする等の問題点があった。
【0005】
このようなブリード過多による白化やべたつきを防止する方法として、特開平3−59046号公報及び特開平3−59047号公報には、遅効性のソルビタン系防曇剤と速効性のグリセリン系防曇剤を特定の比率で混合する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、防曇剤のブリードアウトを完全に防止することは困難であり、白化と防曇持続性の両方を同時に満足させることはできなかった。
【0006】
さらに、特開昭60−26048号公報には、非イオン系界面活性剤にヒドロキシ脂肪酸の多価アルコールエステルを混合する方法が開示されている。
しかしながら、この方法においても十分な白化改善が得られなかったり、防曇持続性を低下させてしまうという問題点があった。また、特開平10−35号公報には、多価アルコール飽和脂肪酸エステルに直鎖パラフィンスルホン酸金属塩を混合する方法が開示されている。しかしながら、直鎖パラフィンスルホン酸金属塩を配合すると、界面活性剤のブリードアウト性が著しく低下するため、初期防曇性及び防曇持続性を著しく低下させてしまうという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、防曇剤のブリードアウトによる白化が少なく、且つ、初期防曇性及び防曇持続性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂100重量部、融点が23〜60℃でHLBが2〜12であって、一般式(1)で表されるポリグリセリン系脂肪酸エステルからなる防曇剤(A)0.2〜5重量部、融点50℃以下の、グリセリン不飽和脂肪酸エステル又はジグリセリン不飽和脂肪酸エステルからなる防曇剤(B)0.1〜0.6重量部、並びに、融点50℃以下の、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びその10モル以下のアルキレンオキサイド付加物よりなる群から選ばれた防曇剤(C)0.2〜5重量部からなることを特徴とする。
【0009】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メチル(メタ)アクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等が挙げられる。上記α−オレフィンとしては、例えば、ポリプロピレン、ブテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、オクテン等が挙げられる。
【0010】
上記ポリエチレン或いは上記エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、得られるポリオレフィン系樹脂フィルムの透明性、柔軟性、耐熱融着性の点から0.910〜0.940g/cm3 が好ましい。
また、酢酸ビニル含有量が0.1〜30重量%、メルトフロレートが0.2〜5g/10分のEVAが透明性、柔軟性、強度、加工性の点で好ましい。
なお、上記メルトフローレートはJIS K 7210に準拠して測定されたものをいう。
【0011】
上記防曇剤(A)としては、融点が23〜60℃でHLBが2〜12であって、一般式(1)で表されるポリグリセリン系脂肪酸エステルが用いられる。
【0012】
【化2】
【0013】
式中、R1 はアシル基を示し、R2 〜R5 はH又はアシル基を示し同一であっても異なっていてもよい。m,n,pは、m+n+p≦10を満たす1〜8の整数を示す。
【0014】
上記防曇剤(A)の融点が、23℃未満になると押出し変動によるフィルムの成形不良、フィルムのべたつきや防曇持続性が低下する原因となり、60℃を超えるとフィルムが著しく白化する。
また、HLBが、2未満になると親水性が低いために良好な防曇性が得られ難くなり、12を超えると水への溶解度が大きくなり、防曇持続性が低下する。
【0015】
上記HLB値は、次式で表されるGriffinの式を用いて算出した。
HLB値=20(1−S/A)
ここで、Sは多価アルコールエステルのケン化価、Aは原料脂肪酸の中和価をそれぞれ示す。
【0016】
上記防曇剤(A)としては、例えば、トリグリセリンモノステアレート、トリグリセリンジステアレート、トリグリセリントリステアレート、トリグリセリンモノパルミテート、トリグリセリンジパルミテート、トリグリセリントリパルミート、トリグリセリンモノベヘネート、トリグリセリンジベヘネート、トリグリセリントリベヘネート、テトラグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンジステアレート、テトラグリセリントリステアレート、テトラグリセリンテトラステアレート、テトラグリセリンペンタステアレート、テトラグリセリンモノパルミテート、テトラグリセリンジパルミテート、テトラグリセリントリパルミテート、テトラグリセリンテトラパルミテート、テトラグリセリンペンタステアレート、テトラグリセリンモノベヘネート、テトラグリセリンジベヘネート、テトラグリセリントリベヘネート、テトラグリセリンテトラベヘネート、テトラグリセリンペンタステアレート、ヘキサグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンジステアレート、ヘキサグリセリントリステアレート、ヘキサグリセリンテトラステアレート、ヘキサグリセリンペンタステアレート、ヘキサグリセリンモノベヘネート、ヘキサグリセリンジベヘネート、ヘキサグリセリントリベヘネート、ヘキサグリセリンテトラベヘネート、ヘキサグリセリンペンタベヘネート、デカグリセリントリステアレート、デカグリセリンテトラステアレート、デカグリセリンペンタステアレート、デカグリセリンヘキサステアレート、デカグリセリンデカステアレート、デカグリセリンドデカステアレート、デカグリセリントリベヘネート、デカグリセリンテトラベヘネート等のポリグリセリン系脂肪酸エステルが例示される。
【0018】
上記ポリグリセリン系脂肪酸エステルは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0019】
上記ポリグリセリン系脂肪酸エステルの配合量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、合計で0.2〜5重量部に制限される。
ポリグリセリン系脂肪酸エステルの合計が、0.2重量部未満では良好な防曇持続性が得られず、5重量部を超えると防曇剤のブリードアウト過多により白化が著しくなる。
【0020】
上記防曇剤(B)としては、融点50℃以下の、グリセリン不飽和脂肪酸エステル又はジグリセリン不飽和脂肪酸エステルが用いられる。
上記防曇剤(B)の融点が、50℃を超えると著しい白化の原因になることがある。また、防曇剤(B)のHLBは、特に制限はないが、2〜12の範囲が防曇持続性の観点から好ましい。
【0021】
上記グリセリン不飽和脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリンモノオレート、グリセリンセスキオレート、グリセリンジオレート、グリセリンモノリノレート、グリセリンセスキリノレート等が挙げられる。
上記ジグリセリン不飽和脂肪酸エステルとしては、例えば、ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンセスキオレート、ジグリセリンジオレート、ジグリセリンモノリノレート、ジグリセリンセスキリノレート、ジグリセリンジリノレート等が挙げられる。
【0023】
上記グリセリン不飽和脂肪酸エステル又はジグリセリン不飽和脂肪酸エステルは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0024】
上記グリセリン不飽和脂肪酸エステル又はジグリセリン不飽和脂肪酸エステルの配合量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜0.6重量部に制限される。配合量が、0.1重量部未満では他の多価アルコール脂肪酸エステルのブリードアウトをコントロールすることができず、著しい白化の原因になることがあり、0.6重量部を超えると押出し変動による成形不良を引き起こしたり、べたつきの原因となる。
【0025】
上記防曇剤(C)としては、融点50℃以下の、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びその10モル以下のアルキレンオキサイド付加物から選ばれた1種が用いられる。上記防曇剤(C)の融点が50℃を超えると、著しい白化の原因になることがある。また、防曇剤(C)のHLBは、特に制限はないが、2〜12の範囲が防曇持続性の観点から好ましい。
【0026】
上記ソルビトール脂肪酸エステルとしては、例えば、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールセスキラウレート、ソルビトールジラウレート、ソルビトールモノオレート、ソルビトールセスキオレート、ソルビトールジオレート、ソルビトールモノリノレート、ソルビトールセスキリノレート、ソルビトールジリノレート等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0027】
上記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタンジオレート、ソルビタンモノリノレート、ソルビタンセスキリノレート、ソルビタンジリノレート等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0028】
上記ソルビトール脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルは、アルキレンオキサイド付加物であってもよい。アルキレンオキサイドとしては、特に限定されないが、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。アルキレンオキサイドの付加モル数は、多くなると水への溶解度が高くなり、防曇持続性が低下するので、10モル以下に限定される。
【0029】
上記ソルビトール脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルの配合量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.2〜5重量部に制限される。 配合量が、0.2重量部未満では良好な防曇性能と防曇持続性が得られず、5重量部を超えると著しい白化の原因となる。
【0030】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムには、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、アンチブロッキング剤、無機充填剤、防霧剤、顔料、防錆剤等が添加されてもよい。
【0031】
上記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の一般に使用されているものが使用可能であり、これらを単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記紫外線吸収剤としては、一般に使用されているベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系のものが挙げられ、これらを単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記光安定剤としては、ヒンダードアミン系の一般に使用されているものが使用可能であり、これらを単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
上記滑剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド等の飽和高級脂肪酸アミド;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和高級脂肪酸アミド;エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のアルキレンビス脂肪酸アミドなどが挙げられる。
【0033】
上記無機充填剤としては、一般式(2)で表される、保温効果の高いハイドロタルサイト類や、一般式(3)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物を用いるのが好ましい。
【0034】
【化3】
【0035】
式中、M2+は、Mg、Ca及びZnから選ばれる2価金属イオンを示し、xは0<x<0.5を満足する数値、mは0≦m≦2を満足する数値をそれぞれ示す。また、A1 n-はn価のアニオンを示し、例えば、Cl- 、Br- 、I- 、NO3 - 、ClO4 - 、SO4 2-、CO3 2-、SiO3 2-、HPO4 3- 、HBO4 3- 、PO4 3- 、Fe(CN)4 3-、Fe(CN)4 4-、CH3 COO- 、C6 H4 (OH)COO- 、(COO)2 2- 、テレフタル酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0036】
【化4】
【0037】
式中、mは0≦m≦3を満足する数値を示す。また、A2 n-はn価のアニオンを示し、例えば、上記A1 n-と同様のイオンが挙げられる。
【0038】
上記以外の無機充填剤として、例えば、炭酸マグネシウム、マグネシウム珪酸塩、酸化珪素、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を用いることができる。
【0039】
上記無機充填剤の粒径は、透明性の点から粒径10μm以下が好ましく、屈折率は1.45〜1.55が好ましい。
また、上記無機充填剤の分散性を向上させるために、高級脂肪酸や高級脂肪酸のアルカリ金属塩で表面処理を施してもよい。
【0040】
上記防霧剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が好ましく、上記フッ素系界面活性剤としては、非イオン系、アニオン系、カチオン系、両性の界面活性剤がある。
【0041】
上記非イオン系のフッ素系界面活性剤としては、例えば、一般式Rf −OH、Rf (CH2)n −OH、Rf (CH2)n −COOH、Rf −B−N(R')(C2 H4 O) n H等で表されるものが挙げられる。
上記アニオン系のフッ素系界面活性剤としては、例えば、一般式Rf −COOM、Rf −B−N(R')CH2 COOM、Rf −B−N(R')C2 H4 O−SO3 M、Rf −SO3 M等で表されるものが挙げられる。
上記カチオン系のフッ素系界面活性剤としては、例えば、Rf −B−NH(C2 H4)N+ (CH3)2 −X- 等で表されるものが挙げられ、上記両性のフッ素系界面活性剤としては、例えば、Rf −B−NH(C2 H4)N+ (R')2 C2 H4 COO- 等で表されるものが挙げられる。
【0042】
上記一般式中、Rf は炭素数1〜20のフッ素化脂肪族基又はフッ素化芳香族基を示し、脂肪族基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。
Bは、2価の連結基(例えば、−SO2 −、−CO−等)、R' は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、Mは水素原子、アルカリ金属又はNH4 、Xはハロゲン原子をそれぞれ示す。nは1〜50の整数を示す。
【0043】
上記フッ素系界面活性剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
上記防霧剤の添加量は、少なくなると良好な防霧効果が得られず、多くなるとポリオレフィン系樹脂フィルムの成形性が低下するので、上記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部が好ましい。
【0045】
上記シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。
上記シリコーン系界面活性剤の添加量は、少なくなると良好な防霧効果が得られず、多くなるとポリオレフィン系樹脂フィルムの成形性が低下するので、上記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部が好ましい。
【0046】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、単層又は2層以上の多層構成のいずれであってもよい。多層構成とする場合は、同種のポリオレフィン系樹脂を積層してもよく、異種のポリオレフィン系樹脂を積層してもよい。
多層構成の場合は、防曇剤は少なくとも温室内面側の層に添加されていればよい。
【0047】
上記ポリオレフィン系樹脂フィルムの製造方法は、従来からフィルムの製造に用いられている方法を採用することができ、例えば、インフレーションフィルム成形法、Tダイ法、カレンダー法等を用いることができる。また、多層構成の場合の積層方法としては、共押出法、ラミネート法等公知の技術を挙げることができる。
【0048】
上記ポリオレフィン系樹脂フィルムの厚みは、強度、作業性、高速成形性等の観点から、0.01〜0.3mmが好ましい。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例を説明する。
(実施例1,2、比較例1〜4)
EVA(酢酸ビニル含有量=10重量%)100重量部、表1及び2に示す配合量の防曇剤(A)、(B)及び(C)、並びに、無機充填剤としてハイドロタルサイト(協和化学社製「DHT−4A」)5重量部を押出機に供給して溶融混練し、インフレーション法により厚さ0.1mmの単層のポリオレフィン系樹脂フィルムを得た。
【0050】
(実施例3)
低密度ポリエチレン(密度=0.920g/cm3)100重量部、表1に示す配合量の防曇剤(A)、(B)及び(C)、並びに、無機充填剤としてハイドロタルサイト(協和化学社製「DHT−4A」)5重量部を押出機に供給して溶融混練し、インフレーション法により厚さ0.1mmの単層のポリオレフィン系樹脂フィルムを得た。
【0051】
上記実施例1〜3及び比較例1〜4で得られたポリオレフィン系樹脂フィルムの白化性及び防曇性を下記方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0052】
(白化性)
得られたポリオレフィン系樹脂フィルムの製造直後、並びに、23℃及び40℃に保持した状態で1ケ月経過させた後のヘイズ値を、JIS K 6714に準拠してヘイズメーターを用いて測定し、白化性とした。
【0053】
(防曇性)
10℃に保持された水が入れられ且つ0℃に保持された低温室内に置かれたウォーターバスの開口部にポリオレフィン系樹脂フィルムをしわがない状態で展張し、1時間経過後及び1ケ月経過後のポリオレフィン系樹脂フィルムの状態を目視観察し、下記の基準で評価した。なお、ポリオレフィン系樹脂フィルムは、その製造後に23℃で1週間養生させた後のものを用いた。
【0054】
○;表面に水滴の付着が殆どなく、透けて中が見えた。
△;表面の一部に小さな水滴が付着して中が見えなかった。
×;表面全面に小さな水滴が付着して中が全く見えなかった。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、上述の構成であり、透明性及び長期防曇性に優れているので、温室栽培用のハウス被覆資材やトンネル被覆資材に好適に用いられる。
Claims (1)
- ポリオレフィン系樹脂100重量部、融点が23〜60℃でHLBが2〜12であって、一般式(1)で表されるポリグリセリン系脂肪酸エステルからなる防曇剤(A)0.2〜5重量部、融点50℃以下の、グリセリン不飽和脂肪酸エステル又はジグリセリン不飽和脂肪酸エステルからなる防曇剤(B)0.1〜0.6重量部、並びに、融点50℃以下の、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びその10モル以下のアルキレンオキサイド付加物よりなる群から選ばれた防曇剤(C)0.2〜5重量部からなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂フィルム。
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