JP4554033B2 - クラスレート化合物半導体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラスレート化合物半導体に係わり、特に広い禁制帯幅(バンドギャップ)を有し、青色レーザダイオードとして有用な、高温・高圧下でも安定して作動するクラスレート化合物半導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、エレクトロニクスを始めとするハイテク分野においては、従来の物質とは大きく異なる物性を有する新たな高機能素材の開発が望まれている。
例えば、半導体分野では光通信技術を担っているレーザ素子はシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)あるいはガリウム砒素(GaAs)などのIIIーV族化合物半導体が利用されている。これらの化合物半導体は安定作動する温度領域が低く、いかにして放熱性を確保するかが大きな課題となっており、より高温度でも安定して作動する半導体の開発が望まれている。
また、光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)等の高密度記録に必要な短波長のレーザ発光素子としては、禁制帯幅の広い半導体が使用される。これらの広禁制帯幅(ワイドギャップ)半導体としては、ZnS、ZnSe、GaN、SiCあるいはダイヤモンド等が知られている。
【0003】
半導体レーザ素子の発光波長は、半導体材料に固有の禁制帯幅で決まり、発光波長と禁制帯幅とは発光波長をλ(nm)、禁制帯幅をEg(eV)とすると次の(1)式の関係にある。
λ(nm)=1240/Eg(eV)・・・・・(1)
可視光領域は波長380〜760nmであり、これに相当する禁制帯幅は1.63〜3.26eVである。従来、波長が550nm以上の緑色から赤色の発光素子にはGaPやGaAsあるいはGaAlAsといった禁制帯幅が2以下のIIIーV族化合物半導体が使用されている。
ところが、波長が500nm以下の青色系発光素子とするには、(1)式の関係から禁制帯幅が2.5eV以上の広禁制帯幅(ワイドギャップ)半導体が必要である。これらのワイドギャップ半導体としては、IIーVI族化合物半導体であるZnS(禁制帯幅:3.39eV)、ZnSe(禁制帯幅:3.39eV)、IIIーV族化合物半導体であるGaN(禁制帯幅:3.39eV)またはSiC(禁制帯幅:3.39eV)等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの半導体は安定作動する温度領域が低く、使用環境が常温に近い温度環境に限られていた。
従来、半導体デバイスが安定した作動をするには発熱を抑えるために、大がかりな放熱装置を必要としていた。例えば通常よく使用されているシリコンデバイスは、一般に安定作動温度領域は125℃以下とされ、シリコンデバイスを使用する電子機器には大型のヒートシンクが必要であった。シリコンデバイスの安定作動温度領域は、ヒートシンクを使用してもせいぜい200℃以下であるり、自動車部品、高温ガスセンサー、宇宙ロケットのエンジン制御部、地下探索用測定機器、原子力等の分野では、使用に耐える半導体デバイスが無いのが実状である。化合物半導体においても事情は同じである。
【0005】
また、半導体として使用するには、ドーピング原子を導入して導電型をp型又はn型にする必要がある。しかしながら、GaN、SiCにp型又はn型のドーピング原子を導入するには、新たに人工的な超格子構造化が必要となり、結晶成長工程が難しいという欠点がある。また、ZnSも安価に結晶が入手できない欠点がある。さらにダイヤモンドに至ってはドーピング原子の制御は困難である。
このため、高温・高圧環境下で安定して作動する広禁制帯幅を有する半導体は得られていないのが実状である。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、高温・高圧下でも安定して作動し、広禁制帯幅を有する優れた半導体を提供することを目的の1つとする。この広禁制帯幅を有する半導体は青色発光素子等の用途に極めて有用である。
また本発明は、上述のような高音・高圧特性に優れた半導体を容易に製造することができる方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような背景から、最近クラスターを結晶の構成単位とするクラスレート化合物が注目されている。クラスレート化合物は物質を構成する元素間の結合様式が従来の結合様式とは大きく異なるため、クラスレート構造の完全性により結晶欠陥の数を大幅に軽減できるので、物質の持つ基本特性を大きく向上させることができると考えられ、半導体または超伝体等の新たな材料とすることが期待されている。
【0007】
第1の発明は、C原子20個のクラスターとC原子24個のクラスターの中に、Ca原子が内包されてなることを特徴とするn型のクラスレート化合物半導体である。
第2の発明は、結晶記号がPm3(バー)mのSi 46 構造のバリウム−シリコンクラスレート構造に置換原子としてAlが添加されてなることを特徴とするp型のクラスレート化合物半導体である。
第3の発明は、結晶記号がPm3(バー)mのカルシウム−カーボンクラスレート構造であることを特徴とするn型のクラスレート化合物半導体である
【0008】
第4の発明は、C原子20個のクラスターとC原子28個のクラスターの中に、Ca原子が内包されてなることを特徴とするn型のクラスレート化合物半導体である。
第5の発明は、結晶記号がFd3(バー)m origin at center 3(バー)mのカルシウム−アルミニウム−カーボンクラスレート構造であることを特徴とするn型のクラスレート化合物半導体である。
第6の発明は、シリコン原子20個のシリコンクラスターとシリコン原子28個のシリコンクラスターの中に、Ba原子が内包されていることを特徴とするn型のクラスレート化合物半導体である。
本発明のクラスレート化合物半導体の製造方法は、前記第1、第4、第6のいずれかに記載の発明のクラスレート化合物半導体を製造するに際し、クラスレート化合物半導体を構成する元素の化合物を、不活性雰囲気中で溶融し、凝固させた後徐冷して500℃以上の温度で10時間以上保持した後冷却し、次いで粉砕した後洗浄処理を施して余剰の元素を除去した後、ホットプレス成形することを特徴とする。
本発明の製造方法は、前記第2または第5に記載の発明のクラスレート化合物半導体を製造するに際し、クラスレート化合物半導体を構成する元素の化合物を、不活性雰囲気中で100μm以下に粉砕し、耐熱性容器中に薄膜状に広げて静置して、500℃以上の温度で10時間以上保持した後冷却し、次いで、洗浄処理を施して余剰の元素を除去した後、ホットプレス成形することを特徴とする。
本発明の製造方法は、第3の発明のクラスレート化合物半導体を製造するに際し、Caを含むインターカラント黒鉛層間化合物を粉砕して耐熱性容器中に薄膜状に広げて静置し、500℃以上の温度で10時間以上保持した後冷却し、次いで、洗浄処理を施して余剰の元素を除去した後、ホットプレス成形することを特徴とする
【0009】
4B族元素のクラスレート格子は、基本的には半導体的または絶縁体的な性質を有し高ゼーベック係数を有するが、電気伝導性は低く、熱伝導率は高い。このクラスレート格子に周期律表1A〜3B族、4A〜6A族もしくは8族のクラスレート格子原子よりも電気陰性度の小さな原子を侵入させ、クラスレート格子を構成している原子に電荷を移動させることで、クラスレート格子間の結合を強くし、クラスレート格子の振動を抑制して熱伝導性を下げるとともに、金属的な性質を付与して電気伝導性を向上させる。更に、クラスレート格子に侵入させた原子による金属的な性質の付与を調整するためにクラスレート格子の一部を、価電子数が格子原子よりも多いか又は少ない周期律表の1A〜3B族、5A〜7B族もしくは8族の元素で置換することで金属的な性質を半金属的性質、即ち、半導体的な性質に近づけ、特に広禁制帯幅を有する優れたp型あるいはn型の半導体を可能にしたものである。
【0010】
本発明のクラスレート化合物半導体は、前記クラスレート格子が炭素(C)又は珪素(Si)のクラスレート格子であるものが好ましい。特に、炭素(カーボン)クラスレート格子を使用した場合は、広い禁制帯幅が得られる利点がある。
前記クラスレート格子がCの場合には、C原子の12面体からなるC20クラスタと、C原子の14面体からなるC24クラスタの混合格子であるカーボンクラスレート46(C46)であるものを使用することができる。
あるいはまた前記クラスレート格子が、C原子の12面体からなるC20クラスタと、C原子の16面体からなるC28クラスタの混合格子であるカーボンクラスレート34(C34)であるものを使用することができる。
【0011】
前記クラスレート格子がSiの場合には、Si原子の12面体からなるSi20クラスタと、Si原子の14面体からなるSi24クラスタの混合格子であるシリコンクラスレート46(Si46)であるものを使用することができる。
あるいはまた前記クラスレート格子が、Si原子の12面体からなるSi20クラスタと、Si原子の16面体からなるSi28クラスタの混合格子であるシリコンクラスレート34(Si34)であるものを使用することができる。
【0012】
本発明のクラスレート化合物半導体において、前記クラスレート格子に内包されるドーピング原子としては、クラスレート格子を構成している原子よりも電気陰性度が小さい、周期律表の1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族の原子が利用できる。ドーピング原子の電気陰性度がクラスレート格子を構成している原子の電気陰性度よりも大きいと、電荷がクラスレート格子を構成している原子内包される原子に集まることになり、電荷が内包原子からクラスレート格子に移動しないため、クラスレート格子間の結合は強くならない。
ここで、原子の電気陰性度とは、結合している原子が電子を引きつける能力を表す。結合する2原子の電気陰性度の差が大きいほど、電子は一方の原子に引きつけられ、その結合のイオン性は大きい。また、電気陰性度はその原子の持つ電子の供与性及び受容性を示す尺度となる。電気陰性度の値の小さいものほど供与性が大きく、逆に大きいものほど受容性が強い。
各原子の電気陰性度は、Paulingによって図1のように示されている。
【0013】
図1に示すようにクラスレート格子を構成する周期律表第4B族原子の電気陰性度は、炭素(C)が2.5、珪素(Si),ゲルマニウム(Ge),錫(Sn),鉛(Pb)が1.8である。また、図1では電気陰性度の大きさを円の大きさで表している。従って、クラスレート格子に内包される原子は、4B族原子よりも小さな円で示される原子ということのなる。4B族原子よりも電気陰性度の小さな原子としては、おおむね周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族から選ばれた遷移金属元素の原子が該当する。
図1に示すように、炭素(C)の電気陰性度は2.5と大きく、1A〜3B族、4A〜6A族もしくは8族のほとんどの原子の電気陰性度は2.5より小さく、ドーピング原子として利用可能である。
これに対して、Si、Ge、Snの電気陰性度はいずれも1.8であり、1B〜3B族、7A族及び8族原子の中には、電気陰性度が1.9以上でドーピング原子となり得ないものがある。
【0014】
例えば、クラスレート格子を構成する原子が炭素(電気陰性度=2.5)の場合、電気陰性度が2.5よりも大きい窒素(N;電気陰性度=3.0)、酸素(O;電気陰性度=3.5)、フッ素(F;電気陰性度=4.0)、塩素(Cl;電気陰性度=3.0)はドーピング原子にはなり得ない。
【0015】
クラスレートが形成されるのは、原子の電気陰性度によって決まる。例えば、n個の原子からなるクラスターのクラスレート格子原子、ドーピング原子、置換原子の関係が、以下のような条件によってクラスレートが形成されるか否かが決まる。
a) クラスレート格子原子のみの場合
ドーピング原子の電気陰性度 : Pd
クラスレート格子原子の電気陰性度: PC
とした場合、
d <PC ならクラスレートが成立する。
d ≧PC ならクラスレートは成立しない。
b) クラスレート格子原子が作るクラスターがn個からなり、置換原子が混在する場合
ドーピング原子の電気陰性度 : Pd
クラスレート格子原子の電気陰性度 : PiC
クラスレート格子置換原子の電気陰性度: PjS
とした場合、
【0016】
【数1】
Figure 0004554033
【0017】
ならクラスレートが成立する。
【0018】
【数2】
Figure 0004554033
【0019】
ならクラスレートは成立しない。
【0020】
本発明のクラスレート化合物半導体において、前記クラスレート格子を構成する原子と置換される置換原子としては、p型半導体の場合にはクラスレート格子を構成している原子よりも価電子数の少ない原子を利用する。また、n型半導体の場合にはクラスレート格子を構成している原子よりも価電子数の多い原子を利用する。
ここで原子の価電子数とは、原子構造の電子配置において最外殻の電子を指し、原子の化学的性質を決定するものである。
クラスレート化合物半導体においては、クラスレート格子を構成する原子の価電子数は4であるから、p型半導体の場合には価電子数が4よりも少ない原子を使用する。これらの原子には周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族の原子が該当する。また、n型半導体の場合には価電子数が4よりも多い原子を使用する。これらの原子には周期律表5A族、6A族、7A族、5B族、6B族、7B族、8族の原子が該当する。
【0021】
例えば、4B族の原子であるクラスレート格子の空いたサイトに、ドーピング原子として価電子の数が1〜3個である1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族のいずれかの原子を侵入させると、その中にある1〜3個の価電子はクラスレートを構成する4B族原子へ移る。そのため、クラスレート格子は全体として金属的になる。ここでクラスレート格子を構成している原子の少なくとも一部を1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族のいずれかの原子で置換すると金属的な性質から半導体的な性質に変換することができ、ゼーベック係数は高くなる。
また、クラスレート格子を構成する4B族原子は基本的には半導体であるために、4B族原子だけでは電気伝導度は上がらない。そこで金属的な性質を有する1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族のいずれかの原子をクラスレート基本構成単位の空いたサイトに導入することで電気伝導度を上昇させることができる。
これらの結果として本発明のクラスレート化合物半導体は禁制帯幅が広く、従来の半導体には見られない低い熱伝導率と高いゼーベック係数と高い電気伝導度を兼ね備えた特性を有し、クラスレート化合物特有の性質である高温・高圧環境下でも安定した作動特性を示す、従来の半導体よりも優れた半導体となる。
【0022】
本発明による半導体のクラスレート化合物の禁制帯幅は、例えばカーボンクラスレート34では5.00eV、カーボンクラスレート46では5.16eV、シリコンクラスレート34では1.92eV、シリコンクラスレート46では
1.5Vのものが得られる。これらの広禁制帯幅クラスレート化合物半導体を利用すれば、波長400nmの紫色のレーザ発光素子の実現も可能となる。
【0023】
一般に、半導体デバイスが高温下で作動しなくなる理由は、デバイスの温度上昇に伴い漏れ電流が増加するようになるからである。漏れ電流が増加すると素子の接合界面が劣化する。例えば、p−n接合の場合は接合間の漏れ電流の増加により、耐電圧が劣化することが挙げられる。漏れ電流密度は以下の(4)式で与えられる。
【0024】
【数3】
Figure 0004554033
【0025】
ここで、JGO≒2qni(T0 )VB/EGτe、EGは禁制帯幅、qは電子の電荷、niは真性キャリア密度、kはボルツマン定数、τeは電子の緩和時間、Tは絶対温度である。
(4)式をもとに、p−n接合の逆方向の漏れ電流密度を各半導体材料について概算すると図2に示すような関係になる。漏れ電流は温度の上昇に伴って増加する。例えば本発明のNa8@(C30、B16) クラスレート化合物半導体や、SiC,GaN等の広禁制帯幅半導体あるいはダイヤモンドなどは、通常使用されている半導体であるSiやGaAsにくらべて高温における漏れ電流密度が十分に小さいことが判る。このように本発明のクラスレート化合物半導体は、禁制帯幅が大きいため高温になっても漏れ電流が小さく、安定した作動が達成される。
【0026】
前述のとおり、半導体の発光波長が半導体材料に固有の禁制帯幅によって決まる発光遷移過程の場合が直接遷移型である。直接遷移型では、伝導帯に励起された電子が、フォノン(格子振動)の放出・吸収に関与すること無しに価電子帯に遷移(バンド間遷移)するので、極めて高い発光効率が得られる。
一方、電子がフォノン(格子振動)の放出・吸収過程を伴って価電子帯に遷移する間接遷移型の場合は、一旦励起された電子を結晶中に内包されたドーパント原子で束縛し、その後価電子帯に遷移する過程で発光させる方式を取る。この結果、半導体材料に固有の禁制帯幅に基づく波長以外の発光波長を得ることができるようになる。
【0027】
本発明のクラスレート化合物半導体の製造方法の一つは、p型半導体の場合には、周期律表4B族元素の化合物であって、該4B族元素の原子よりも電気陰性度の小さな周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族の元素のうちの少なくとも1種の元素及び該4B族元素の原子よりも価電子数の少ない周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族の元素のうちの少なくとも1種の元素を含む周期律表4B族元素の化合物を、不活性雰囲気中で溶融し、凝固させた後徐冷して500℃以上の温度で10時間以上保持した後冷却し、次いで粉砕した後洗浄処理を施して余剰の元素を除去した後、ホットプレス成形するクラスレート化合物半導体の製造方法とした。
また、n型半導体の場合には、周期律表4B族元素の化合物であって、該4B族元素の原子よりも電気陰性度の小さな周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族の元素のうちの少なくとも1種の元素及び該4B族元素の原子よりも価電子数の多い周期律表5A族、6A族、7A族、5B族、6B族、7B族もしくは8族のうちの少なくとも1種の元素の化合物もしくは単体を、不活性雰囲気中で溶融し、凝固させた後徐冷して500℃以上の温度で10時間以上保持した後冷却し、次いで粉砕した後洗浄処理を施して余剰の元素を除去した後、ホットプレス成形するクラスレート化合物半導体の製造方法とした。
高温で溶融することにより、ドーピング原子または置換原子を確実にクラスレート格子の中に取り込むことができる。
【0028】
本発明のクラスレート化合物半導体の他の一つの製造方法は、p型半導体の場合には、周期律表4B族元素の化合物であって、該4B族元素の原子よりも電気陰性度の小さな周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族の元素のうちの少なくとも1種の元素及び該4B族元素の原子よりも価電子数の少ない周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族の元素のうちの少なくとも1種の元素を含む周期律表4B族元素の化合物を、不活性雰囲気中で100μm以下に粉砕し、耐熱性容器中に薄膜状に広げて静置して、500℃以上の温度で10時間以上保持した後冷却し、次いで、洗浄処理を施して余剰の元素を除去した後、ホットプレス成形するクラスレート化合物半導体の製造方法とした。
また、n型半導体の場合には、周期律表4B族元素の化合物であって、該4B族元素の原子よりも電気陰性度の小さな周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族の元素のうちの少なくとも1種の元素及び該4B族元素の原子よりも価電子数の多い周期律表5A族、6A族、7A族、5B族、6B族、7B族もしくは8族のうちの少なくとも1種の元素の化合物もしくは単体を、不活性雰囲気中で100μm以下に粉砕し、耐熱性容器中に薄膜状に広げて静置して、500℃以上の温度で10時間以上保持した後冷却し、次いで、洗浄処理を施して余剰の元素を除去した後、ホットプレス成形するクラスレート化合物半導体の製造方法とした。
この方法によれば、あらかじめドーピング原子または置換原子となる原子を取り込んだ化合物を、クラスレート格子を構成する物質として使用するので、高温溶融等の処理をすることなしに、ドーピング原子または置換原子を確実にクラスレート格子の中に取り込むことができる。
【0029】
本発明のクラスレート化合物半導体の別の製造方法は、p型半導体の場合には、周期律表4B族元素のインターカラント黒鉛層間化合物であって、該4B族元素の原子よりも電気陰性度の小さな周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族の元素のうちの少なくとも1種の元素を含むインターカラント黒鉛層間化合物の微粒子及び該4B族元素の原子よりも価電子数の少ない周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族の元素のうちの少なくとも1種の元素の単体を、耐熱性容器中に薄膜状に広げて静置して、500℃以上の温度で50時間以上保持した後冷却し、次いで、洗浄処理を施して余剰の元素を除去した後、ホットプレス成形するクラスレート化合物半導体の製造方法とした。
また、n型半導体の場合には、周期律表4B族元素のインターカラント黒鉛層間化合物であって、該4B族元素の原子よりも電気陰性度の小さな周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族の元素のうちの少なくとも1種の元素を含むインターカラント黒鉛層間化合物の微粒子及び該4B族元素の原子よりも価電子数の多い周期律表5A族、6A族、7A族、5B族、6B族、7B族もしくは8族のうちの少なくとも1種の元素の化合物もしくは単体を、耐熱性容器中に薄膜状に広げて静置して、500℃以上の温度で50時間以上保持した後冷却し、次いで、洗浄処理を施して余剰の元素を除去した後、ホットプレス成形するクラスレート化合物半導体の製造方法とした。
この方法によれば、あらかじめドーピング原子または置換原子となる原子を取り込んだインターカラント黒鉛層間化合物を、クラスレート格子を構成する物質として使用するので、高温溶融等の処理をすることなしに、ドーピング原子または置換原子を確実にクラスレート格子の中に取り込み、特に広禁制帯幅を有するカーボンクラスレート化合物半導体を容易に得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明に係るクラスレート化合物は、4B族元素の少なくとも1種が構成するクラスレート格子(クラスレート基本構成単位)と、このクラスレート格子の内部にドーピングされたドーピング原子と、前記クラスレート格子を構成する複数の原子のうちの少なくとも一部を置換した置換原子とから構成される。
【0031】
(第1実施形態)
図3と図4は、本発明の第1実施形態を示すもので、カーボンクラスレート格子を使用したものである。この第1実施形態のカーボンクラスレート格子1は、図4に示すC原子の12面体からなるC20クラスタ12と、C原子の14面体からなるC24クラスタ13とが組み合わされたカーボンクラスレート46からなる構成単位11が、複数組み合わせられて図3に示すようにカーボンクラスレート格子1を構成しているものである。
また、図4に示すカーボンクラスレート格子1のうち、C20クラスタ12の2aサイトあるいはC24クラスタ13の6dサイトの少なくとも一方の少なくとも一部にCよりも電気陰性度が小さい周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族の原子のうち少なくとも1種がドーピングされている。
各カーボンクラスレート格子の基本単位構造の頂点部分にCが存在し、カーボンクラスレート格子1の2aサイト(C20クラスタの内部)にドーピング原子Xが侵入した状態を示す。
【0032】
ここで用いられる最も好ましいドーピング原子として、電気陰性度がCよりも小さな周期律表1A族の原子であるLi、Na、K、Rb、Cs、Frを例示することができる。これらの1A族元素がカーボンクラスタの先のサイトに入ると、1A族の原子は1価であり、その中にある1個の最外殻電子はクラスレートを構成する原子へ移る。そのため、全体としてクラスレート化合物は金属的な性質を有するようになる。また、これらの元素は、クラスレート格子1の原子の振動を抑制し、格子振動を散乱させて熱伝導を低くする作用をする。
【0033】
前記クラスレート格子1にドーピングする原子として1A族の原子の他に、2A族の元素のうち、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raを例示することができ、3A族の原子として、Sc、Y、La、ランタノイド元素として、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ac、アクチノイド元素としてTh、Pa、U、Np、Pu、Am、Cm、Bk、Cf、Es、Fm、Md、No、Lrを例示することができる。
さらに、1B族のドーピング原子として、Cu、Ag、Auを例示することができ、2B族元素としてZn、Cd、Hgを例示することができ、3B族のドーピング原子としてB、AlGa、In、Tlを例示することができる。
また、4A族の原子として、Ti、Zr、Hf、Thを例示することができ、5A族の原子として、V、Nb、Ta、Paを例示することができ、6A族の原子として、Cr、Mo、Wを例示することができ、8族の原子として、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptの元素を例示することもできる。
【0034】
次に、カーボンクラスレート格子1を構成する複数のC原子のうち、少なくとも一部のC原子が、C原子よりも価電子数の少ない周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族のいずれかの原子で置換されるとp型の半導体となる。また、カーボンクラスレート格子1を構成する複数のC原子のうち、少なくとも一部のC原子が、C原子よりも価電子数の多い周期律表5A族、6A族、7A族、5B族、6B族、7B族または8族のうちのいずれかの原子で置換されるとn型の半導体となる。
これらの原子でC原子の一部を置換するのは、先のドーピング原子の侵入により金属的とされたカーボンクラスレート格子1の金属的な性質を抑制するために行うもので、この元素置換により熱伝導性が向し、ゼーベック係数も大きくなり、より半導体的な性質が付与される。
【0035】
前記n型を構成する各族の置換原子のうち、5B族の原子としては、N、P、As、Sb、Biを例示することができ、6B族の原子としては、O(酸素)、S、Se、Te、Poを例示することができ、7B族の原子としては、F、Cl、Br、I、Atを例示することができ、8族の原子としては、Cr、Mn、Fe,Co、Niの遷移金属の原子を挙げることができる。
【0036】
次に、前記クラスレート化合物が半導体材料として好適なものであるためには、次のような性質が要求される。
1) 熱伝導率の低減
クラスレート化合物の熱伝導率を下げるためには、クラスレート化合物の格子振動を散乱させることで可能だと考えられる。具体的には、クラスレートの骨格を構成している原子よりも電気陰性度の大きい原子をドーピング原子として選択し、クラスレートの骨格の空いたサイトに導入する。その結果、ドーピング原子はその骨格を構成している原子の振動を抑制する。これによりフォノンの散乱が起こり、熱伝導率を下げることができる。
【0037】
次に、平面波基底による第1原理擬ポテンシャル法の計算によると、ドーピング原子がカーボンクラスレートに多く固溶する方がエネルギー的に安定であり、カーボンクラスレート格子のボイドのサイトの全てにドーピング原子が侵入し易くなり、フォノンの散乱により熱伝導率を下げることができる。
【0038】
2) ゼーベック係数の向上
4B族の原子であるカーボンクラスレート格子1の空いたサイトに、ドーピング原子として例えば価電子の数が1〜3個である1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族のいずれかの原子を侵入させると、その中にある1〜3個の価電子はクラスレートを構成する4B族原子へ移る。そのため、カーボンクラスレート格子1を全体として金属的にすることができる。ここでカーボンクラスレート格子1を構成しているC原子の少なくとも一部を1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族のうちの少なくとも1種の原子で置換すると金属的な性質からp型の半導体的な性質に変換することができる。また、5A族、6A族、7A族、5B族、6B族、7B族、8族のうちの少なくとも1種の原子で置換すると金属的な性質からn型の半導体的な性質に変換することができ、いずれの場合においてもゼーベック係数を高くすることができる。
【0039】
3) 電気伝導率の向上
カーボンクラスレート格子1を構成する4B族原子は半導体であるために、4B族原子だけでは電気伝導度は上がらない。そこで金属的な性質を有する1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族のいずれかの原子をカーボンクラスレート基本構成単位の空いたサイトに導入することで電気伝導度を上昇させることができる。
【0040】
4) 広い禁制帯幅
カーボンクラスレートについては、ダイヤモンドと同等な広い禁制体幅が期待できる。長所として、カーボンクラスレートは決まった種類の不純物原子を指定した位置へ導入することが可能である。
【0041】
これらの結果として本第1実施形態のカーボンクラスレート化合物は広禁制帯幅を有し、低い熱伝導率と高いゼーベック係数を兼ね備えた特性を有し、従来の広禁制帯幅の半導体材料よりも優れた特性を有するものとなる。
例えば、カーボンクラスレート格子内に1A族のNa原子をドーピングし、カーボンクラスレート格子原子の一部を3B族のB原子で置換したNa8@(C30,B16)p型カーボンクラスレート化合物半導体の禁制帯幅は5.11eVとなる。
また、カーボンクラスレート格子内に1A族のNa原子をドーピングし、カーボンクラスレート格子原子の一部を5B族のN原子で置換したNa8@(C30,N16)n型カーボンクラスレート化合物半導体の禁制帯幅は5.08eVとなる。
【0042】
(第2実施形態)
クラスレート格子を構成するカーボン原子(C)が、同じ4B族原子のシリコン(Si)の変わった以外は、第1実施形態と同様なシリコンクラスレート46を使用したシリコンクラスレート化合物半導体である。
ドーピング原子や置換原子に対する考え方もそっくり第1実施形態の考え方が適用でき、ドーピング原子や置換原子は第1実施形態と同じ原子が使用できる。
ただし、シリコンクラスレートを利用する方が禁制帯幅はカーボンクラスレートの場合よりも若干狭くなり、ほぼ2eV程度となる。
【0043】
(第3実施形態)
図5と図6は、本発明の第3実施形態を示すもので、カーボンクラスレート34を使用したものである。この第3実施形態のカーボンクラスレート格子2は、図6に示すC原子の12面体からなるC20クラスタ12と、C原子の16面体からなるC28クラスタ14とが組み合わされたカーボンクラスレート34からなる構成単位21が、複数組み合わさって図5に示すようなカーボンクラスレート格子2を構成しているものである。
また、図6に示すカーボンクラスレート34からなる構成単位21のうち、C20クラスタ12の2aサイトあるいはC24クラスタ14の6dサイトの少なくとも一方の少なくとも一部に、Cよりも電気陰性度が小さい周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族の原子のうち少なくとも1種の原子がドーピングされている。
図6は、各カーボンクラスレート格子の基本単位構造の頂点部分にCが存在し、カーボンクラスレート格子1の2aサイト(C20クラスタの内部)及びC28クラスタ14の6dサイトにドーピング原子Xが侵入した状態を示す。
【0044】
各カーボンクラスレート格子における基本単位構造の頂点部分のC原子は置換可能であって、C原子よりも価電子数の少ない、周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族の原子原子で置き換えた場合には、p型の導電型の半導体となり、C原子よりも価電子数の多い周期律表5A族、6A族、7A族、5B族、6B族、7B族もしくは8族の原子の内から選ばれた1種の原子と置き換えた場合にはn型の導電型の半導体となる。
ドーピング原子あるいは置換電子として利用できる元素は第1実施例の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0045】
(第4実施形態)
クラスレート格子を構成するカーボン原子(C)が、同じ4B族原子のシリコン(Si)の変わった以外は、第2実施形態と同様なシリコンクラスレート34を使用したシリコンクラスレート化合物半導体である。
ドーピング原子や置換原子に対する考え方もそっくり第1実施形態もしくは第3実施形態の考え方が適用でき、ドーピング原子や置換原子は第1実施形態もしくは第3実施形態と同じ原子が使用できるので、ここでは詳しい説明は省略する。
ただし、シリコンクラスレートを利用するとカーボンクラスレートを利用した場合よりも禁制帯幅は若干狭くなり、ほぼ2eV程度となる。
【0046】
次に、前述の構成のシリコンクラスレート化合物半導体の製造方法について説明する。
(第5実施形態)
本発明のクラスレート化合物半導体の第1の製造方法は、溶融法である。
p型半導体を製造する場合には、ドーピング原子となる周期律表4B族元素の化合物であって、該4B族元素の原子よりも電気陰性度の小さな周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族の元素のうちの少なくとも1種の元素及び置換原子となる該4B族元素の原子よりも価電子数の少ない周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族の元素のうちの少なくとも1種の元素を含む周期律表4B族元素の化合物を、不活性雰囲気中で溶融し、凝固させた後徐冷して500℃以上の温度で50時間以上保持した後冷却し、次いで、洗浄処理を施して余剰のアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素もしくは遷移金属を除去した後、ホットプレス成形する方法である。
本発明では反応を効率的に促進させるために、原料として前述のドーピング原子または置換原子となる周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族元素のうち少なくとも1種の元素を含む周期律表4B族元素の化合物を使用する。このような化合物として好ましくは炭化物、珪化物もしくはゲルマニウム化合物を使用する。
なお、n型半導体を製造する場合には、上記原料の他に4B族原子よりも価電子数の多い周期律表5A族、6A族、7A族、5B族、6B族、7B族の単体を加えたものを使用する。使用する原料を変更した以外は、処理方法はp型半導体を製造する場合と同様である。
【0047】
この際、反応後の余剰な原料を水洗又は酸洗によって除去できるものを選ぶ必要がある。周期律表第1A族、2A族、3A族、もしくは8族の元素を含む周期律表第4B族の化合物であるのが最も好ましいが、周期律表第4B族の化合物に別途1A族、2A族、3A族、もしくは8族の元素の単体を加えて成分調整を図ったものでも良い。
このような周期律表第4B族の化合物としては、カルシウム炭化物(CaC2 )、バリウムシリサイド(BaSi2 )、ナトリウムシリサイド(NaSi)等が挙げられる。カルシウムシリサイド(CaSi2 )は非水溶性であるので好ましくない。
【0048】
所望の組成になるように配合した原料は、先ず均一に溶解する。溶解方法は特に制限はなく、アーク溶解や高周波溶解が適宜利用できる。均一に溶解した原料を凝固させ徐々に冷却して1000℃近くまで冷却する。凝固は非晶質にならないよう急冷は避けて行う。
次いで、凝固体を500℃以上1500℃以下の温度で10時間以上保持する。保持温度はドーピング元素や置換元素の融点以上であれば良く、ドーピング元素が1A族金属のような場合は500℃以上あれば十分であるが、8族金属のような場合には1500℃近くまで上げる必要がある。しかしあまり高温にするもは得策ではなく、好ましくは、1000℃以上1200℃以下とするのが実用的である。
保持時間は保持温度によっても変わるが、ドーピング元素や置換元素の固体内拡散を促進させるためには50時間以上は必要である。より好ましくは、50時間以上である。例えば、カーボンクラスレート格子C46を利用する場合には100時間以上必要である。この工程で電荷を放出しやすい元素の周りに炭素原子が凝集してクラスターを形成し、冷却と共にそれらクラスターが3次元的に配列し、クラスレート結晶構造を作り易くしているので、従来の製造方法に比べてクラスレート化合物の生成速度が速く、収率も高まる利点が生じる。
次いで、所定の温度で所定の時間保持した後、室温まで冷却する。
【0049】
次に、凝固体を粉砕した後、過剰に含まれているドーピング元素や置換元素を洗浄して除去する。洗浄方法は水洗によりアルカリ金属が除去できるほかは、0.1N塩酸等の希釈酸による酸洗を行う。
【0050】
さらに、洗浄後の粉末をホットプレス成形して、クラスレート化合物を合成する。ホットプレス条件としては、温度:800℃以上、圧力:数十MPa〜数万MPa、加圧時間:数分〜数十時間の範囲で適宜選択すればよい。
ホットプレス方法も特に制限はなく、ダイヤモンドアンビル型高圧装置を利用したり、放電プラズマ焼結法を利用しても良い。
放電プラズマ焼結とは、混合粉末に一対のパンチで数十MPa〜数万MPa程度の圧力で加圧すると同時に、パンチ内の原料に電流を印加して1000℃以上に加熱しながら数分〜数時間程度焼結する加圧焼結法の1種である。
このようにしてドーピング元素や置換元素を取り込んだバルク状のクラスレート化合物を、容易に効率よく合成することができる。このクラスレート化合物は半導体的な特性を具備している。
【0051】
(第6実施形態)
次に、本発明のクラスレート化合物半導体の第2の製造方法について説明する。
使用する原料は第5実施形態の場合と同様で、p型半導体を製造する場合には、ドーピング原子となる周期律表4B族元素の化合物であって、該4B族元素の原子よりも電気陰性度の小さな周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族の元素のうちの少なくとも1種の元素及び置換原子となる該4B族元素の原子よりも価電子数の少ない周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族の元素のうちの少なくとも1種の元素を含む周期律表4B族元素の化合物を、不活性雰囲気中で100μm以下に粉砕し、耐熱性容器中に薄膜状に広げて静置して、500℃以上の温度で10時間以上保持した後冷却し、次いで、洗浄処理を施して余剰の元素を除去した後、ホットプレス成形する。
なお、n型半導体を製造する場合には、上記原料の他に4B族原子よりも価電子数の多い周期律表5A族、6A族、7A族、5B族、6B族、7B族の単体を加えたものを使用する。使用する原料を変更した以外は、処理方法はp型半導体を製造する場合と同様である。
所望の組成になるように配合した原料は、先ず100μm以下、数十μm程度に微粉砕する。粉砕方法は特に制限はないが、酸化を避けるため不活性雰囲気中で行う。
【0052】
ここで粉砕工程として、メカニカルアロイング処理又はメカニカルグラインディング処理を施して目的の組成比の混合粉末を得ることもできる。メカニカルアロイング処理又はメカニカルグラインディング処理とは、ステンレス鋼球などの金属球を多数収納した中空のアトライタの内部に粉砕する粉末を投入後、アトライタを高速回転させて高エネルギーを使用して金属球の間で粉末を粉砕・混合して均一な組成の混合粉末を得る方法である。メカニカルグラインディング処理の場合は混合粉末が得られるが、多くの場合は微粉砕された混合粉末の構成微粒子が互いに噛合して均一組織の微粒子となり、あたかも合金(アロイ)のような組織を呈したものとなる。このような工程をメカニカルアロイング処理と呼ぶ。このようにメカニカルアロイング処理を施して得られた原子同士が密接に結合した微粉末を加熱処理し、更にホットップレスすることによって、クラスレート化合物をより容易に得ることができる。
【0053】
次いで、微粉末を耐熱性の容器内に薄い膜状に広げて静置し、不活性雰囲気の加熱炉中で500℃以上1500℃以下の温度で10時間以上保持する。
その後、第5実施形態の場合と同様に、過剰の原料を洗浄除去した後、ホットプレス成形してクラスレート化合物を合成する。この方法により得られたクラスレート化合物も、半導体的な特性を具備したものである。
この方法は、多少時間がかかるものの溶解手段等を必要としないので、容易にクラスレート化合物半導体を得られる利点を有する。
【0054】
(第7実施形態)
次に、本発明のクラスレート化合物半導体の第3の製造方法について説明する。
使用する原料は第5実施形態や第6実施形態の場合と異なり、インターカラント黒鉛層間化合物を使用する。使用する原料を変更した以外は、製造方法は第6実施形態の場合と同様である。この方法はカーボンクラスターを利用したクラスレート化合物半導体を得るのに適用される。
先ず、インターカラント黒鉛層間化合物について説明する。
黒鉛は、共役結合によって強固に構成された六角網目黒鉛層(C−C間距離0.142nm)がファンデルワールス力で積層した典型的な層間化合物である(層間距離0.335nm)。炭素原子は電気陰性度からみても中性であるので、陰性・陽性両方の原子を層間に取り込み、黒鉛層間化合物( Graphite Intercalation Compound:GID)を形成することができる。インターカラント黒鉛層間化合物は、層状物質である黒鉛をホストとして、その層間内にゲストとなる化学種(インターカラント)を取り込んだものである。
【0055】
炭素原子よりも電気陰性度が小さい化学種を取り込んだ場合は、ドナー型インターカラント黒鉛層間化合物を構成する。このようなドナー型インターカラント黒鉛層間化合物としては、周期律表第1A族、2A族、3A族もしくは8族元素を取り込んだものが知られている。例えば、LiC6 、NaC64、KC8 、RbC8 、CsC8 、CaC6 、SrC6 、BaC6 、SmC6 、EuC6 、YbC6 等が知られており、このほかに金属鉄等の遷移金属が黒鉛層間に挿入されたものも報告されている。
【0056】
これらのインターカラント黒鉛層間化合物の構造的な特徴は、挿入された化学種がn枚の黒鉛層を挟んで規則的に繰り返す、ステージ構造を取ることである。
また、ドナー型インターカラント黒鉛層間化合物の化学的性質の特徴は、超伝導能を発揮したり、水素吸蔵能を発揮することである。
インターカラント黒鉛層間化合物の製造方法としては、黒鉛と化学種を真空系内に隔離して置き、両者の温度を独立して制御して反応温度と蒸気圧を選択して、目的の化合物を得る気相反応法や、溶融したアルカリ金属に黒鉛を含浸させる溶融法等の他に、電解法や還元反応法も提案されている。
【0057】
本発明のクラスレート化合物半導体の製造方法では、p型半導体の場合には、周期律表4B族元素のインターカラント黒鉛層間化合物であって、該4B族元素の原子よりも電気陰性度の小さな周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族、4A族、5A族、6A族もしくは8族の元素のうちの少なくとも1種の元素を含むインターカラント黒鉛層間化合物の100μm程度以下の微粒子及び該4B族元素の原子よりも価電子数の少ない周期律表1A族、2A族、3A族、1B族、2B族、3B族の元素のうちの少なくとも1種の元素の単体を、耐熱性の容器内に薄い膜状に広げて静置し、不活性雰囲気の加熱炉中で500℃以上1500℃以下の温度で10時間以上保持する。
なお、n型半導体を製造する場合には、上記原料の他に4B族原子よりも価電子数の少ない周期律表5A族、6A族、7A族、5B族、6B族、7B族の単体を加えたものを使用する。使用する原料を変更した以外は、処理方法はp型半導体を製造する場合と同様である。
インターカラント黒鉛層間化合物が微粒子で得られる場合はそのままでも良いが、粗粒である場合には不活性雰囲気中で100μm以下、数十μm程度に微粉砕したものを使用する。
その後、第5、第6実施形態の場合と同様に、過剰の原料を洗浄除去してから、ホットプレス成形してクラスレート化合物を合成する。このようにして得られたカーボンクラスレート格子を使用したクラスレート化合物は、半導体的な特性を具備しており、特に広禁制帯幅を有する半導体となる。
【0058】
【実施例】
(実施例1)
炭化カルシウム(CaC2 )を2,500℃まで加熱溶融し、凝固後炉内で保温して1,000℃まで徐冷した。引き続き炉内を1,000±10℃に保持して120時間(5日間)保持した。その後インゴットを微粉砕し、水で洗浄した。乾燥後の粉末をホットプレス装置に充填し、1,000℃、100MPaで20時間かけて焼結した。得られた結晶をX線回折により構造解析した結果、格子定数は0.68nmとなり、その回折ピークから炭素原子20個のクラスターと炭素原子24個のクラスターの中に、Ca原子が内包されていることが判った。
また、EPMAによる組成分析では、Ca:Cの原子量比は目標値のCa:C=8:46に対してCa:C=7.62:45.62であった。また、硬さ試験を行った結果、立方晶窒化硼素と同等の硬さが得られていた。さらに、hot-probe 法を用いて電流の向きを確認したところ、n型半導体であることが確認された。
【0059】
(実施例2)
珪化バリウム(BaSi2 )を不活性雰囲気下でボールミルを使用して100μm以下に微粉砕した。次いで、この珪化バリウム微粉末と100μm以下のアルミニウム微粉末を、アルミナ製の試料皿の表面に極薄く散布して広げ、不活性雰囲気下の加熱炉に入れて850±10℃で150時間(約6日間)保持した。
次いで、冷却した微粉末を水洗した。乾燥後の微粉末をホットプレス装置に充填し、850℃、40MPaで30分かけて焼結した。得られた結晶をX線回折により構造解析した結果、格子定数は1.04nmとなり、結晶記号がPm3(バー)mのSi46構造のバリウム−シリコンクラスレート構造であることが確認された。EPMAによる組成分析の結果、原子量比はほぼ目標値通りのBa:Si:Al=7.5:23.5:22.5であった。さらに、hot-probe 法を用いて電流の向きを確認したところ、p型半導体であることが確認された。
【0060】
(実施例3)
カルシウム(Ca)を含むインターカラント黒鉛層間化合物(CaC6 )を不活性雰囲気下でボールミルを使用して100μm以下に微粉砕した。ついで、このカルシウムを含むインターカラント黒鉛層間化合物の微粉末を、アルミナ製の試料皿の表面に極薄く散布して広げ、不活性雰囲気下の加熱炉に入れて1200±20℃で150時間(約6日間)保持した。次いで、冷却した微粉末を水洗したのち、さらに稀釈塩酸で洗浄した。乾燥後の微粉末をホットプレス装置に充填し、1000℃、40MPaで20時間かけて焼結した。得られた結晶をX線回折により構造解析した結果、格子定数は0.68nmとなり、結晶記号がPm3(バー)mのカルシウム−カーボンクラスレート構造であることが確認された。
EPMAによる組成分析の結果、原子量比は目標値のCa:C=8:46に対してCa:C=6.5:46であった。さらに、hot-probe 法を用いて電流の向きを確認したところ、n型半導体であることが確認された。
【0061】
(実施例4)
炭化カルシウム(CaC2 )を2,500℃まで加熱溶融し、凝固後炉内で保温して700℃まで徐冷した。引き続き炉内を700±10℃に保持して120時間(5日間)保持した。その後インゴットを粒径100μm程度に微粉砕し、水で洗浄した。乾燥後の粉末をホットプレス装置に充填し、1,000℃、100MPaで20時間かけて焼結した。得られた結晶をX線回折により構造解析した結果、格子定数は0.95nmとなり、その回折ピークから炭素原子20個のクラスターと炭素原子28個のクラスターの中に、Ca原子が内包されていることが判った。また、EPMAによる組成分析では、Ca:Cの原子量比は目標値のCa:C=6:34に対してCa:C=4.6:33.5であった。また、硬さ試験を行った結果、立方晶窒化硼素と同等の硬さが得られていた。さらに、hot-probe 法を用いて電流の流れる向きを確認したところ、n型半導体であることが判った。
【0062】
(実施例5)
炭化カルシウム(CaC2 )を不活性雰囲気(アルゴン雰囲気)下でボールミルを使用して100μm以下に微粉砕した。次いで、この炭化カルシウム(CaC2 )微粉末と100μm以下のアルミニウム微粉末を、アルミナ製の試料皿の表面に極薄く散布して広げ、不活性雰囲気下の加熱炉に入れて700±10℃で120時間(5日間)保持した。次いで、冷却した微粉末を水洗した。乾燥後の微粉末をホットプレス装置に充填し、850℃、40MPaで30分かけて焼結した。得られた結晶をX線回折により構造解析した結果、格子定数は1.04nmとなり、結晶記号がFd3(バー)m origin at center 3(バー)mのカルシウム−アルミニウム−カーボンクラスレート構造であることが確認された。
EPMAによる組成分析の結果、原子量比はほぼ目標値のCa:Al:C=5.5:23.4:22.6であった。さらに、hot-probe 法を用いて電流の向きを確認したところ、n型半導体であることが確認された。
【0063】
(実施例6)
珪化バリウム(BaSi2 )を1,200℃まで加熱溶融し、凝固後炉内で保温して300℃まで徐冷した。引き続き炉内を300±10℃に保持して120時間(5日間)保持した。その後インゴットを粒径100μm程度に微粉砕し、水で洗浄した。乾燥後の粉末をホットプレス装置に充填し、1,000℃、50MPaで20時間かけて焼結した。得られた結晶をX線回折により構造解析した結果、格子定数は0.95nmとなり、その回折ピークからシリコン原子20個のシリコンクラスターとシリコン原子28個のシリコンクラスターの中に、Ba原子が内包されていることが判った。また、EPMAによる組成分析ではBa:Siの原子量比は目標値のBa:Si=6:34に対してBa:Si=4.6:33.5であった。また、硬さ試験を行った結果、立方晶窒化硼素と同等の硬さが得られていた。さらに、hot-probe 法を用いて電流の向きを確認したところ、n型半導体であることが確認された。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明のクラスレート化合物半導体は、C原子20個のクラスターとC原子24個のクラスターの中にCa原子が内包されてなる構造、結晶記号がPm3(バー)mのSi 46 構造のバリウム−シリコンクラスレート構造に置換原子としてAlが添加されてなる構造、結晶記号がPm3(バー)mのカルシウム−カーボンクラスレート構造、C原子20個のクラスターとC原子28個のクラスターの中にCa原子が内包されてなる構造、結晶記号がFd3(バー)m origin at center 3(バー)mのカルシウム−アルミニウム−カーボンクラスレート構造、シリコン原子20個のシリコンクラスターとシリコン原子28個のシリコンクラスターの中にBa原子が内包されている構造のいずれかであるために、クラスレート化合物本来の絶縁物的性質を金属的性質に近づけた半導体の性質を具備し、かつ、クラスレート格子構成原子よりも価電子数の多いか又は少ない原子で格子原子を置換することにより、p型又はn型半導体を得ることができる
本発明のクラスレート化合物半導体は、クラスレート化合物が有する広い禁制帯幅を具備しているので、高温でも漏れ電流が少なく、安定した動作が確保される。従って、高温ガスセンサー、自動車制御部品、宇宙ロケットエンジンの制御部品、原子力設備の制御部品あるいは地下探索用測定機器等への応用の道が開ける。また、広い禁制帯幅を具備していることから、波長の短い青色系レーザ素子としても利用できる。
【0065】
また、本発明の第1のクラスレート化合物半導体の製造方法によれば、
従来の製造方法に比べてクラスレート化合物の生成速度が速く、収率も高まり容易に効率よく合成することができる。
本発明の第2のクラスレート化合物半導体の製造方法によれば、多少時間がかかるものの溶解手段等の特別な手段を必要としないので、容易にクラスレート化合物半導体を得られる。
本発明の第3のクラスレート化合物半導体の製造方法によれば、あらかじめドーピング原子を取り込んだインターカラント黒鉛層間化合物を使用するので、カーボンクラスレート化合物の生成が容易で、得られたカーボンクラスレート化合物半導は、広い禁制帯幅を具備しているので、高温・高圧下でも安定して作動する青色系レーザ素子を、簡単な方法で得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 原子の電気陰性度を表す図である。
【図2】 温度と漏れ電流密度の関係を示す図である。
【図3】 カーボンクラスター46を使用したクラスレート化合物半導体の結晶構造を説明する模式図である。
【図4】 図3のクラスレート化合物半導体の部分構成単位を説明する模式図である。
【図5】 カーボンクラスター34を使用したクラスレート化合物半導体の結晶構造を説明する模式図である。
【図6】 図5のクラスレート化合物半導体の部分構成単位を説明する模式図である。
【符号の説明】
1,2・・・・・カーボンクラスレート格子、11・・・・・カーボンクラスレート46からなる構成単位、12・・・・・C20クラスタ、13・・・・・C24クラスタ、14・・・・・C28クラスタ、21・・・・・カーボンクラスレート34からなる構成単位、C・・・・・炭素原子、X・・・・・ドーピング原子、Y・・・・・置換原子

Claims (9)

  1. C原子20個のクラスターとC原子24個のクラスターの中に、Ca原子が内包されてなることを特徴とするn型のクラスレート化合物半導体。
  2. 結晶記号がPm3(バー)mのSi 46 構造のバリウム−シリコンクラスレート構造に置換原子としてAlが添加されてなることを特徴とするp型のクラスレート化合物半導体。
  3. 結晶記号がPm3(バー)mのカルシウム−カーボンクラスレート構造であることを特徴とするn型のクラスレート化合物半導体。
  4. C原子20個のクラスターとC原子28個のクラスターの中に、Ca原子が内包されてなることを特徴とするn型のクラスレート化合物半導体。
  5. 結晶記号がFd3(バー)m origin at center 3(バー)mのカルシウム−アルミニウム−カーボンクラスレート構造であることを特徴とするn型のクラスレート化合物半導体。
  6. シリコン原子20個のシリコンクラスターとシリコン原子28個のシリコンクラスターの中に、Ba原子が内包されていることを特徴とするn型のクラスレート化合物半導体。
  7. 請求項1、4、6のいずれかに記載のクラスレート化合物半導体を製造するに際し、
    クラスレート化合物半導体を構成する元素の化合物を、不活性雰囲気中で溶融し、凝固させた後徐冷して500℃以上の温度で10時間以上保持した後冷却し、次いで粉砕した後洗浄処理を施して余剰の元素を除去した後、ホットプレス成形することを特徴とするクラスレート化合物半導体の製造方法。
  8. 請求項2または請求項5に記載のクラスレート化合物半導体を製造するに際し、
    クラスレート化合物半導体を構成する元素の化合物を、不活性雰囲気中で100μm以下に粉砕し、耐熱性容器中に薄膜状に広げて静置して、500℃以上の温度で10時間以上保持した後冷却し、次いで、洗浄処理を施して余剰の元素を除去した後、ホットプレス成形することを特徴とするクラスレート化合物半導体の製造方法。
  9. 請求項3に記載のクラスレート化合物半導体を製造するに際し、
    Caを含むインターカラント黒鉛層間化合物を粉砕して耐熱性容器中に薄膜状に広げて静置し、500℃以上の温度で10時間以上保持した後冷却し、次いで、洗浄処理を施して余剰の元素を除去した後、ホットプレス成形することを特徴とするクラスレート化合物半導体の製造方法。
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