JP2001044519A - クラスレート化合物と高効率熱電材料およびそれらの製造方法と高効率熱電材料を用いた熱電モジュール - Google Patents

クラスレート化合物と高効率熱電材料およびそれらの製造方法と高効率熱電材料を用いた熱電モジュール

Info

Publication number
JP2001044519A
JP2001044519A JP11220567A JP22056799A JP2001044519A JP 2001044519 A JP2001044519 A JP 2001044519A JP 11220567 A JP11220567 A JP 11220567A JP 22056799 A JP22056799 A JP 22056799A JP 2001044519 A JP2001044519 A JP 2001044519A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clathrate
lattice
atoms
group
atom
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11220567A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4413323B2 (ja
Inventor
Haruki Eguchi
晴樹 江口
Kazuo Tsuburaya
和雄 円谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IHI Corp
Original Assignee
IHI Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IHI Corp filed Critical IHI Corp
Priority to JP22056799A priority Critical patent/JP4413323B2/ja
Priority to EP00402200.0A priority patent/EP1074512B1/en
Priority to US09/631,176 priority patent/US6461581B1/en
Publication of JP2001044519A publication Critical patent/JP2001044519A/ja
Priority to US10/214,857 priority patent/US6797199B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP4413323B2 publication Critical patent/JP4413323B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/10Process efficiency
    • Y02P20/129Energy recovery, e.g. by cogeneration, H2recovery or pressure recovery turbines

Landscapes

  • Silicon Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、熱伝導率が高く、ゼーベック係数
が高く、電気伝導率も高いという3条件を満たすべく、
性能指数が1を超えるような高効率熱電材料に適用が期
待されるクラスレート化合物を提供することを目的の1
つとする。 【解決手段】 本発明は、SiまたはGe等の周期律表
IVB族元素の少なくとも1種の原子を主体としてなる
クラスレート格子と、該クラスレート格子の格子間隙に
内包され該クラスレート格子の構成原子よりも質量の大
きな周期律表IA族、IIA族、IIIA族、IB族、
IIB族、IIIB族の原子のうちの少なくとも1種の
ドーピング原子と、前記クラスレート格子を構成する原
子の少なくとも一部と置換された周期律表IA族、II
A族、IIIA族、IB族、IIB族、IIIB族の原
子のうちの少なくとも1つの置換原子とを主体としてな
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラスレート化合
物とそれを利用した高効率熱電材料とそれらの製造方法
および熱電モジュールに関するもので、導電性とゼーベ
ック係数に優れ、低熱伝導性の熱電材料を提供すること
ができる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から熱電材料の利用方法が種々検討
されているが、従来の熱電材料は熱電変換効率が悪く、
特に信頼性を要する用途、または特殊な用途に限られて
いた。従って一般的な利用として考えられる廃熱発電等
の目的に熱電材料を供することは困難と考えられてい
た。
【0003】また、この種の熱電材料の効率を向上させ
て高効率熱電材料として使用するためには、 1)低熱伝導率であること、 2)ゼーベック係数が高いこと、 3)電気伝導率が高いこと、 の条件を満たす必要がある。
【0004】しかしながら、従来の熱電材料の開発技術
では経験的に組成を選択して材料開発を行っている程度
であった。このため、現状で開発されている熱電材料に
おいて、700K以上の温度で無次元指数(ZT)が1
を越えた例は、p型熱電材料として知られるGeTe-
AgSbTe2のみであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような背景におい
て従来の熱電材料について考察すると、高効率熱電材料
となるための条件を完全に満たしているものは見当たら
ない状況である。例えば金属の場合は長所として大きな
電気伝導を有するが、短所として熱伝導性が大きく、ゼ
ーベック係数も小さい。半導体の場合は、長所として小
さな熱伝導率と大きなゼーベック係数を有するが、電気
伝導率が小さくなるために高効率熱電材料としては成立
しない。また、熱電材料としてBiTeが知られている
が、効率が悪く、実用には耐えない材料である。
【0006】また、熱電材料として一般的な発電等に利
用するためには、p型の熱電材料とn型の熱電材料を組
み合わせて発電システムとして構成しなくてはならない
が、前記従来のGeTe-AgSbTe2にあっては、n
型のものは存在しないとされている。
【0007】本発明は、上述の事情に鑑みてなされたも
ので、熱伝導率が高く、ゼーベック係数が高く、電気伝
導率も高いという3条件を満たすべく、性能指数が1を
超えるような高効率熱電材料に適用が期待されるクラス
レート化合物を提供することを目的の1つとする。更に
本発明は、熱伝導率が高く、ゼーベック係数が高く、電
気伝導率も高いという3条件を満たすべく、性能指数が
1を超えるような高効率熱電材料を提供することを目的
の1つとする。
【0008】本発明は、一般的な廃熱発電等の用途に供
し得る優れた熱電材料と熱電モジュールの提供を目的の
1つとする。
【0009】本発明は、上述のような優れたクラスレー
ト化合物と高効率熱電材料を容易に製造することができ
る方法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のクラスレート化
合物は前記事情に鑑みてなされたもので、SiまたはG
e等の周期律表IVB族元素の少なくとも1種の原子を
主体としてなるクラスレート格子と、該クラスレート格
子の格子間隙に内包され該クラスレート格子の構成原子
よりも質量の大きな周期律表IA族、IIA族、III
A族、IB族、IIB族、IIIB族の原子のうちの少
なくとも1種のドーピング原子と、前記クラスレート格
子を構成する原子の少なくとも一部と置換された周期律
表IA族、IIA族、IIIA族、IB族、IIB族、
IIIB族の原子のうちの少なくとも1種の置換原子と
を主体としてなることを特徴とする。
【0011】IVB族元素のクラスレート格子は基本的
には半導体的または絶縁体的な性質を有し高ゼーベック
係数を有するが、電気伝導性は低く、熱伝導率も高いの
で、このクラスレート格子に価電子数1〜3個のIA〜
IIIB族元素の元素の比重の大きな原子を侵入させる
ことでクラスレート格子の振動を抑制して熱伝導性を下
げるとともに、金属的な性質を付与して電気伝導性を向
上させる。更に、クラスレート格子に侵入させた原子に
よる金属的な性質の付与を調整するためにクラスレート
格子の一部をIA〜IIIB族元素で置換することで金
属的な性質を半金属、即ち、半導体的な性質に近づけ、
これらの相乗効果として適切な熱伝導率と高ゼーベック
係数と電気伝導率のバランスを取り、性能係数の優れた
ものを得る。
【0012】本発明のクラスレート化合物は先の構成に
おいて、前記クラスレート格子がSiあるいはGeのク
ラスレート格子であり、前記ドーピング原子がBaであ
り、前記置換原子がAlであることを特徴とする。
【0013】本発明のクラスレート化合物は先の構成に
おいて、前記クラスレート格子が、Si原子の12面体
からなるSi20クラスタと、Si原子の14面体からな
るSi24クラスタの混合格子であるシリコンクラスレー
ト46であることを特徴とする。本発明のクラスレート
化合物は先の構成において、前記クラスレート格子が、
Si原子の12面体からなるSi20クラスタと、Si原
子の16面体からなるSi28クラスタの混合格子である
シリコンクラスレート34であることを特徴とする。
【0014】本発明のp型またはn型の高効率熱電材料
は、SiまたはGe等の周期律表IVB族元素の原子を
主体としてなるクラスレート格子と、該クラスレート格
子の格子間隙に内包され該クラスレート格子の構成原子
よりも質量の大きな周期律表IA族、IIA族、III
A族、IB族、IIB族、IIIB族の原子のうちの少
なくとも1種のドーピング原子と、前記クラスレート格
子を構成する原子の少なくとも一部と置換された周期律
表IA族、IIA族、IIIA族、IB族、IIB族、
IIIB族の原子のうちの少なくとも1種の置換原子と
を主体としてなることを特徴とする。
【0015】本発明の高効率熱電材料は、前記クラスレ
ート格子がSiあるいはGeのクラスレート格子であ
り、前記ドーピング原子がBaであり、前記置換原子が
Alであることを特徴とする。本発明の高効率熱電材料
は、前記クラスレート格子が、Si原子の12面体から
なるSi20クラスタと、Si原子の14面体からなるS
24クラスタの混合格子であるシリコンクラスレート4
6であることを特徴とする。本発明の高効率熱電材料
は、前記クラスレート格子が、Si原子の12面体から
なるSi20クラスタと、Si原子の16面体からなるS
28クラスタの混合格子であるシリコンクラスレート3
4であることを特徴とする。
【0016】本発明のクラスレート化合物の製造方法
は、SiまたはGe等の周期律表IVB族元素の少なく
とも1種の原子を主体としてなるクラスレート格子と、
該クラスレート格子の格子間隙に内包され該クラスレー
ト格子の構成原子よりも質量の大きな周期律表IA族、
IIA族、IIIA族、IB族、IIB族、IIIB族
の原子のうちの少なくとも1種のドーピング原子と、前
記クラスレート格子を構成する原子の少なくとも一部と
置換された周期律表IA族、IIA族、IIIA族、I
B族、IIB族、IIIB族の原子のうちの少なくとも
1種の置換原子とを主体としてなるクラスレート化合物
を製造するに際し、前記クラスレート格子を構成するた
めの原子と前記ドーピング原子と前記置換原子を所定比
率で混合し、所望の形状に加圧成形後、予備熱処理を施
し、更に加圧焼結法によって焼結することを特徴とす
る。
【0017】本発明のp型またはn型の高効率熱電材料
の製造方法は、SiまたはGe等の周期律表IVB族元
素の少なくとも1種の原子を主体としてなるクラスレー
ト格子と、該クラスレート格子の格子間隙に内包され該
クラスレート格子の構成原子よりも質量の大きな周期律
表IA族、IIA族、IIIA族、IB族、IIB族、
IIIB族の原子のうちの少なくとも1種のドーピング
原子と、前記クラスレート格子を構成する原子の少なく
とも一部と置換された周期律表IA族、IIA族、II
IA族、IB族、IIB族、IIIB族の原子のうちの
少なくとも1種の置換原子とを主体としてなる高効率熱
電材料を製造するに際し、前記クラスレート格子を構成
するための原子と前記ドーピング原子とを所定比率で混
合し、所望の形状に加圧成形後、予備熱処理を施し、更
に加圧焼結法によって焼結することを特徴とする。
【0018】本発明の熱電材料は、p型の熱電素子とn
型の熱電素子が電極を介して1対以上組み合わされ、両
熱電素子の接続部分側に熱交換部が形成され、該接続部
分に対向する側に電気回路が接続されてなり、前記p型
の熱電素子の構成材料として請求項5〜8のいずれかに
記載の高効率熱電材料が適用されてなることを特徴とす
る。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明に係るクラスレート化合物
は、C、Si、Ge、SnなどのIVB族元素の少なく
とも1種が構成するクラスレート格子(クラスレート基
本構成単位)と、このクラスレート格子の内部にドーピ
ングされたドーピング原子と、前記クラスレート格子を
構成する複数の原子のうちの少なくとも一部を置換した
置換原子とから構成される。
【0020】「第1実施形態」図1と図2は、本発明に
シリコンクラスレート格子を適用した第1実施形態を
示すもので、この第1実施形態のシリコンクラスレート
格子1は、図2にも示すSi原子の12面体からなるS
20クラスタ2と、Si原子の14面体からなるSi24
クラスタ3とが組み合わせられた構成単位4が複数組み
合わせられて図1に示すようにシリコンクラスレート格
子1として構成されたものである。また、図1に示すシ
リコンクラスレート格子1のうち、Si20クラスタ2の
2aサイトあるいはSi24クラスタ3の6dサイトの少
なくとも一方の少なくとも一部にSiよりも質量の大き
な周期律表IA族、IIA族、IIIA族、IB族、I
IB族、IIIB族の原子の少なくとも1種がドーピン
グされてなる。図3はシリコンクラスレート格子1の格
子構造を示すもので、各格子の基本単位構造の頂点部分
にSiが存在する。図4はシリコンクラスレート格子1
の2aサイト(Si20クラスタの内部)にBa原子が侵
入した状態を示し、図5はシリコンクラスレート格子1
の6dサイト(Si24クラスタの内部)にBa原子が侵
入した状態を示す。
【0021】ここで用いられる最も好ましいドーピング
原子として、周期律表IIA族の元素のうち、Be、M
g、Ca、Sr、Ba、Raを例示することができる。
これらのIIA族元素がSiクラスタの先のサイトに入
ると、IIA族の原子は2価であり、その中にある2個
の電子はクラスレートを構成する原子へ移る。そのた
め、全体としてクラスレート化合物は金属的な性質を有
するようになる。また、これらの元素はクラスレート格
子1を構成するSiよりも質量が大きいので、クラスレ
ート格子1の原子の振動を抑制し、格子振動を散乱させ
て熱伝導を低くする。
【0022】前記クラスレート格子1にドーピングする
原子としてIIA族の原子の外に、IA族の原子として
Li、Na、K、Rb、Cs、Frを例示することがで
き、IIIA族の原子として、Sc、Y、La、ランタ
ノイド元素として、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、L
u、Ac、アクチノイド元素としてTh、Pa、U、N
p、Pu、Am、Cm、Bk、Cf、Es、Fm、M
d、No、Lrを例示することができる。更に、IB族
のドーピング原子として、Cu、Ag、Auを例示する
ことができ、IIB族元素としてZn、Cd、Hgを例
示することができ、IIIB族のドーピング原子として
B、Al、Ga、In、Tlを例示することができる。
【0023】次に、シリコンクラスレート格子1を構成
する複数のSi原子のうち、少なくとも一部のSi原子
が周期律表IB族、IIB族、IIIB族、IA族、I
IA族、IIIA族のいずれかの原子で置換されてな
る。これらの原子でSi原子の一部を置換するのは、先
のドーピング原子の侵入により金属的とされたシリコン
クラスレート格子1の金属的な性質(金属的な性質のう
ち、高熱伝導性)を抑制するか消すために行うもので、
この元素置換により半導体的な性質を付与し、熱伝導性
を向上させるとともに、ゼーベック係数を大きくする。
【0024】前記各族の置換元素のうち、化合物を生成
し易いとされているIIIB族の原子が最も好ましく、
B、Al、Ga、In、Tlの少なくとも1種または2
種以上が好ましい。他の置換原子は、IB族原子として
Cu、Ag、Auを例示することができ、IIB族原子
としてZn、Cd、Hgを例示することができる。更に
外の置換原子として、IA族のLi、Na、K、Rb、
Cs、Fr、IIA族のBe、Mg、Ca、Sr、B
a、Ra、IIIA族のSc、Y、La、ランタノイド
元素として、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、アク
チノイド元素として、Ac、Th、Pa、U、Np、P
u、Am、Cm、Bk、Cf、Es、Fm、Md、N
o、Lrを例示することができる。
【0025】次に、前記クラスレート化合物を熱電材料
として好適なものとするための本発明者が考察する材料
開発指針を記載する。従来、この種の熱電材料の材料設
計において、明確な開発指針は存在しないので、この開
発指針は本発明者が独自に提起するものである。 1).熱伝導率の低減 クラスレート化合物の熱電材料の熱伝導率を下げるため
には、クラスレート化合物の格子振動を散乱させること
で可能だと考えられる。具体的には、クラスレートの骨
格を構成している原子の質量よりも重い原子をドーピン
グ原子として選択し、クラスレートの骨格の空いたサイ
トに導入する。その結果、ドーピング原子はその骨格を
構成している原子の振動を抑制する。これによりフォノ
ンの散乱が起こり、熱伝導率を下げることができる。
【0026】次に、平面波基底による第1原理擬ポテン
シャル法の計算によると、Baの固有エネルギー
(EBa)の計算は、EBa=(1/x)・(Bax@Si46
−Si46)−Ba1 (isolate-atom)の式で表すことがで
きる。ここで、xは固溶バリウムの原子の数、Bax@S
46はシリコンクラスレート46にバリウム原子x個を
固溶させた場合の電子系の全エネルギー、Si46はシリ
コンクラスレート46単体の電子系の全エネルギー、B
1 (isolate-atom)はバリウム孤立原子1個の電子系の
全エネルギーである。以下に、バリウム原子2個、6
個、8個をシリコンクラスレートに侵入させた場合のバ
リウム固溶エネルギーを示す。 Ba2@Si46(2aサイト、12ヘドラ) バリウム固溶エネルギー:−91.150/(eV/a
tm) Ba6@Si46(6dサイト、14ヘドラ) バリウム固溶エネルギー:−92.805/(eV/a
tm) Ba8@Si46(2aサイト+6dサイト) バリウム固溶エネルギー:−93.628/(eV/a
tm)
【0027】この結果から、バリウム原子がシリコンク
ラスレートに多く固溶する方がエネルギー的に安定であ
るので、本発明に係るシリコンクラスレート格子のボイ
ドのサイトの全てにBaが侵入し易くなり、格子振動の
散乱により熱伝導率を下げることができる。
【0028】2).ゼーベック係数の向上 IVB族の原子であるシリコンクラスレート格子1の空
いたサイトにドーピング原子として価電子の数が1〜3
個であるIA族、IIA族、IIIA族、IB族、II
B族、IIIB族のいずれかの原子を侵入させると、そ
の中にある1〜3個の価電子はクラスレートを構成する
IVB族原子へ移る。そのため、シリコンクラスレート
格子1を全体として金属的にすることができる。ここで
シリコンクラスレート格子1を構成しているSi原子の
少なくとも一部をIA族、IIA族、IIIA族、IB
族、IIB族、IIIB族のいずれかの原子で置換する
と金属的な性質から半導体的な性質に変換することがで
き、ゼーベック係数を高くすることができる。
【0029】3).電気伝導率の向上 シリコンクラスレート格子1を構成するIVB族原子は
半導体であるために、IVB族原子だけでは電気伝導度
は上がらない。そこで金属的な性質を有するIA族、I
IA族、IIIA族、IB族、IIB族、IIIB族の
いずれかの原子をシリコンクラスレート基本構成単位の
空いたサイトに導入することで電気伝導度を上昇させる
ことができる。
【0030】これらの結果として本第1実施形態のシリ
コンクラスレート化合物は、従来の熱電材料には見られ
ない低い熱伝導率と高いゼーベック係数と高い電気伝導
度を兼ね備えた特性を有し、従来の熱電材料よりも優れ
た性能指数を有する。また、本実施形態のシリコンクラ
スレート化合物はp型の熱電材料となる。
【0031】次に、前述の構成のシリコンクラスレート
化合物の製造方法の一例について説明する。シリコンク
ラスレート46の基本構成単位を用いる場合は、Siと
ドーピング原子の粉末とクラスレート基本構成単位の置
換用の原子粉末を目的の組成比になるように秤量して混
合し、これらの混合粉末をアーク溶解により溶解して溶
製し目的の組成のインゴットを得る。ここで用いる原料
粉末は、各元素の純粋粉末でも化合物粉末でも差し支え
ないが、不純物となる元素ができる限り入っていない純
粋なものを用いることが好ましい。次にこのインゴット
を粉砕し、粉砕後の粉末が目的の組成比となっているか
否かX線分析により検査して目的の組成となっているも
のを使用する。即ち、目的の組成になっているならば次
の工程に進むが、目的の組成になっていない場合は再度
粉末混合からインゴットの溶製を行い、再度作成したイ
ンゴットの分析を行う。また、使用する粉砕物の粉末は
できるだけ粒径の微細な粒径の整ったものを使用するこ
とが好ましい。
【0032】組成比が良好な粉砕物の粉末を得たなら
ば、Arガス雰囲気あるいは真空雰囲気において熱処理
(仮焼き処理)を施し、不要成分等をガス状態にして除
去し、仮焼き処理後の粉末を更に粉砕して粒径を揃え、
更にX線で分析し、組成比が正しいか否か検査し、目的
の組成比になっているものを選択して粒径を揃え、この
粉砕物を放電プラズマ装置を用いて加熱加圧焼結し、所
望の形状、例えば柱状の焼結物としてのシリコンクラス
レート化合物の熱電材料からなる目的の熱電素子を得る
ことができる。放電プラズマ焼結とは、混合粉末に一対
のパンチで数MPa〜数10MPa程度の圧力で加圧す
ると同時に電流を印加して約1000℃程度に加熱しな
がら数分〜数時間程度焼結する加圧焼結法の1種であ
る。
【0033】なお、前記熱処理を行う場合、シリコンク
ラスレート46を製造する場合はArガス雰囲気中で熱
処理を行い、シリコンクラスレート34を製造する場合
は真空雰囲気中で熱処理を行うことが好ましい。また、
先のX線分析により組成比が目的の組成から外れている
場合は再度アーク溶解からインゴットを得る工程に戻っ
て同じ工程を繰り返す。加熱加圧焼結により得られたシ
リコンクラスレート化合物の熱電素子はp型の熱電材料
として使用することができる。
【0034】ところで、前述の製造工程において、アー
ク溶解の代わりに、メカニカルアロイング処理を施して
目的の組成比の混合粉末を得ることもできる。メカニカ
ルアロイング処理とは、ステンレス鋼球などの金属球を
多数収納した中空のアトライタの内部に混合する粉末を
投入後、アトライタを高速回転させて粉末を混合し、金
属球の間で粉末を粉砕混合して組成均一な混合粉末を得
る方法である。このようにメカニカルアロイング処理を
施して得られた混合粉末を成形してから予備熱処理し、
更に焼結することで本発明に係るシリコンクラスレート
化合物の熱電素子を得ることもできる。
【0035】また、上記の製造方法において、ドーピン
グ原子としてBaを置換原子としてAlを選択した場合
は、Baが核になって、まずSiを引き付け、クラスタ
が多数生成され、次いでクラスタどうしが結合してクラ
スタ格子を構成するものと思われる。よって、必要な元
素を混合して仮焼き処理を行い、その後に焼結するとい
う極めて簡易な方法でクラスレート化合物を生成するこ
とができる。従って本発明のクラスレート化合物は、従
来の熱電材料と比較して製造方法が簡単であり、しか
も、700K以上で高い性能指数を示す高効率のものが
得られる。
【0036】「第2実施形態」図6は本発明に係るシリ
コンクラスレート化合物の第2実施形態の基本構成単位
を構成するシリコンクラスレート34の結晶構造の模式
図である。このシリコンクラスレート34の結晶構造1
0は、図7に示すような、Siの12面体からなるSi
20クラスレート11と、Siの16面体からなるSi28
クラスレート12からなる基本構成単位13がシリコン
クラスレート34になるように複数組み合わされて構成
されている。
【0037】この第2実施形態のシリコンクラスレート
34を構成するSi20クラスレート11の2aサイト
に、または、Si24クラスレート12の6dサイトに、
先の第1実施形態の場合と同様にSiよりも質量の大き
な周期律表IA族、IIA族、IIIA族、IB族、I
IB族、IIIB族のいずれかの原子、例えばBaがド
ーピングされてなる。更に、シリコンクラスレート34
を構成するSiの一部が先の第1実施形態の場合と同様
に、周期律表IB族、IIB族、IIIB族のいずれか
の原子、例えばAlで置換されてなる。この第2実施形
態のシリコンクラスレート化合物においても先の第1実
施形態のシリコンクラスレート化合物と同様に熱電材料
としての優れた特徴を得ることができる。
【0038】「第3実施形態」図8は本発明に係るシリ
コンクラスレート化合物の熱電材料を用いて構成された
熱電モジュールの一実施形態を示すもので、この実施形
態の熱電モジュール30は、上下に対向配置された絶縁
物の基板31、32の間に、p型の柱状の熱電材料から
なる複数の熱電素子33と、n型の柱状の熱電材料から
なる複数の熱電素子34が交互に配置され、相互に隣接
する1組の熱電素子33、34の下端部どうしが電極板
35で接続され、相互に隣接する他の熱電素子33、3
4の上端部どうしが電極板36で接続されると同時に、
隣接するp型の熱電素子33の端部とn型の熱電素子3
4の端部とが互い違いに交互に接続されて全ての熱電素
子が直列接続されるように複数の電極板35、36で接
続されている。また、上下の基板間の複数の熱電素子3
3…、34…のうち、一側の端部の熱電素子33に接続
配線37が、他側の端部の熱電素子34に接続配線38
がそれぞれ接合されて構成されている。ここで前記熱電
素子33のうち、p型のものが先に記載のクラスレート
化合物からなる熱電材料から構成される。また、n型の
熱電材料としては、従来材料の熱電性能指数を示す図1
2に示すような従来材料から適宜選択して用いることが
できる。
【0039】図8に示す構成の熱電モジュール30は、
図9(a)に示すように上部側の電極板36側を加熱す
ることで接続配線37、38の間に負荷としての抵抗3
9などを接続して電気回路41を構成しておくならば、
電極板36側を他の熱源で連続加熱し、電極板35側を
放熱することで接続配線37、38間に電位差を生じさ
せて電流を流すことができ、熱電発電用に供することが
できる。更に図8に示す熱電モジュール30は、図9
(b)に示すように接続配線37、38に電源40を接
続し、矢印に示す方向に電流を流すことで、上部側の電
極板36側にて吸熱作用を行うことができ、下部側の電
極板35側で発熱させて熱電冷却器として使用すること
ができる。
【0040】図10は本発明の熱電材料を用いた発電ス
タックの一例を示すもので、この例の発電スタック50
は、内部を排気ガスなどが流れる偏平型の多穴管からな
るインナーシェル51の外周部に6基の発電モジュール
52が装着され、発電モジュール52の外部側にこれら
を覆うように偏平型のアウターシェル54が設けられて
いて、インナーシェル51の内部を流れる排気ガスの熱
を利用して発電を行うことができるように構成されたも
のである。この実施形態の発電スタックにおいても先の
実施形態の熱電モジュール30と同様に発電モジュール
52を構成することで、熱電モジュール30を発電用に
供することができる。
【0041】ここで以下に、熱電材料の性能指標として
多用される性能指数(ZT)について説明する。熱電材
料の性能は、熱電能をα、熱伝導率をκ、比抵抗をρと
すると、Z=α2/κρ …(1)式で示される。ま
た、図9に示す熱電モジュールの性能指数は、Zpn
(αp−αn2/(κpρp+κnρn2 …(2)式で
示され、添え字はp型の成形体とN型の成形体の各値に
対応する。熱電材料の最大発電効率は、高温端と低温端
の温度をそれぞれThとTcとすると、ηmax=(Th/T
h−Tc)・{(M−1)/(M+Th/Tc)}…(3)
式、M=(1+Z(Th+Tc)/2)1/2 …(4)式
で示される。
【0042】一方、熱電冷却の最大成績係数は、φmax
=(Th/Th−Tc)・{(M−Th/Tc)/(M+
1)}…(5)式で示され、熱電加熱ではφmax+1で
与えられる。また、吸熱部が完全断熱され、熱の流入が
ないと、Tcは最も低下した状態になり、φmax=0とお
くと、最大冷却温度差は、ΔTmax=(Th−Tcmax
=(1/2)・ZT2 c …(6)式の関係が得られる。
【0043】ここで一般に、熱電冷却・加熱は、室温近
傍の温度差(Th−Tc)≦100Kの範囲で利用される
ため、Zが高い方が必要条件になり、現在では3.4×
10- 3-1以上のものが要求されている。一方、熱電発
電はZが比較的低くてもThを高くして効率を高めるこ
とができるが、高温で化学的に安定な耐熱材料であるこ
とが必要とされる。一般に性能指数Zは材料に固有の温
度依存性を有するが、最大値を示す温度は材料によって
異なる。この性能指数Zの最大値ZTが1を超える材料
は、現在のところ、GeTe-AgSbTe2であり、他
の大部分の材料はZTが1よりも低い値を示す。図11
と図12は従来知られているこの種熱電材料においてp
型のものとn型のものの性能指数の絶対温度依存性を示
すもので、これらの図からも明らかなように性能指数の
最大値ZT=1を超えるものは、p型では600〜90
0Kの温度範囲においてGeTe-AgSbTe2のみで
あり、外には存在しない。また、n型においては、特定
の狭い温度範囲においてSiGe(GaP)のみが有望
であり、常温〜700Kにおいては存在しない。
【0044】これに対して本発明に係る熱電材料である
ならば、後述の実施例からも明らかなようにZTが1を
超えるp型の熱電材料を提供することができる。よっ
て、本発明の熱電材料を用いて熱電モジュールを構成す
るならば、従来の熱電材料によるものよりも格段に優れ
た高効率の熱電モジュールを提供することができる。
【0045】図11と図12は従来知られているこの種
熱電材料においてp型のものとn型のものの性能指数の
絶対温度依存性を示すもので、これらの図からも明らか
なように性能指数の最大値ZT=1を超えるものは、p
型では600〜900Kの温度範囲においてGeTe-
AgSbTe2のみであり、その外には存在しない。ま
た、n型においては、特定の狭い温度範囲においてSi
Ge(GaP)のみが有望であり、常温〜700Kにお
いては存在しない。
【0046】これに対して本発明に係る熱電材料である
ならば、後述の実施例からも明らかなようにZTが1を
超えるp型の熱電材料を提供することができる。よっ
て、本発明の熱電材料を用いて熱電モジュールを構成す
るならば、従来の熱電材料によるものよりも格段に優れ
た高効率の熱電モジュールを提供することができる。
【0047】次に、ゼーベック係数について説明する。
図9(b)に示す熱電モジュールにおいて電源40から
矢印方向に電流を流すと、電気回路42に電流Iが流れ
て上部の電極板36側にペルチェ発熱が生じ、n型熱電
素子34のゼーベック係数を−αn、p型素子のゼーベ
ック定数をαp、電極板のゼーベック係数をαmとする
と、上部の電極板とPn素子ペルチェ吸熱Qcpは、 Qcp =(−αn−αm )TcI+(αm −αp)TcI=
−(αn+αp)TcI となり、αm は無視できる。ここでTcは接合部の温度
である。αe=αn+αpとして、吸熱量の絶対値Q
cpは、Qcp=αecIとなる。このように熱電モジュー
ルの熱計算を行う場合に指標となるのがゼーベック係数
であるので、この数値は熱電モジュールの性能向上に大
きな影響を有するものとして知られている。
【0048】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をより詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。BaとSiとAlをBa:Si:Al=8:2
6:20の組成比(原子%)になるようにそれぞれの粉
末を秤量し、メカニカルアロイング処理により混合粉末
を作製した。この混合粉末をArガス雰囲気中において
800℃に24時間加熱する予備熱処理を施し、更にこ
の予備熱処理後に予備焼結物を平均粒径100μmにな
るように粉砕し、これをプラズマ焼結装置にかけて85
0℃で40MPaの圧力で30分プラズマ焼結した。得
られた焼結物をX線回折した結果、 space group : Pmm origin at 4 m(なお、結
晶分析学的にはPmmの3の上にオーバーラインで標
記されるのが通常であるが、ここでは3のオーバーライ
ンについてで標記する)、格子定数10.3Åの構造
を有するシリコンクラスレート46 Ba8@(Si26,
Al20)であることを確認することができた。また、こ
の焼結物の700Kにおける性能指数(ZT)を測定し
た結果、1を超える値の1.01であることを確認する
ことができた。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明のクラスレー
ト化合物によれば、基本的な格子がSiまたはGe等の
周期律表IVB族のクラスレート格子であり、このクラ
スレート格子の内部にクラスレート格子構成元素よりも
比重の大きな原子がドーピングされているので、クラス
レート格子の振動が抑制されて熱伝導性が低くされると
同時に電気伝導度が向上されるともに、クラスレート格
子を構成する原子の一部が価電子数1〜3個の元素で置
換されて半導体的な性質に置換される結果としてゼーベ
ック係数が向上されたクラスレート化合物を提供するこ
とができる。本発明においてクラスレート格子構成元素
としてSiあるいはGeを選択し、ドーピング原子とし
てBaを選択し、置換原子としAlを選択することで、
熱伝導性と電気伝導度とゼーベック係数をバランス良く
良好にすることができる。本発明においてクラスレート
格子として、シリコンクラスレート46あるいはシリコ
ンクラスレート34を選択することができる。
【0050】次に、本発明の熱電材料によれば、基本的
な格子がSiまたはGe等の周期律表IVB族のクラス
レート格子であり、このクラスレート格子の内部にクラ
スレート格子構成元素よりも比重の大きな原子がドーピ
ングされているので、クラスレート格子の振動が抑制さ
れて熱伝導性が低くされると同時に電気伝導度が向上さ
れるともに、クラスレート格子を構成する原子の一部が
価電子数1〜3個の元素で置換されて半導体的な性質に
置換される結果としてゼーベック係数が向上されたp型
の熱電材料を提供することができる。本発明においてク
ラスレート格子構成元素としてSiあるいはGeを選択
し、ドーピング原子としてBaを選択し、置換原子とし
Alを選択することで、熱伝導性と電気伝導度とゼーベ
ック係数をバランス良く良好にすることができる。本発
明においてクラスレート格子として、シリコンクラスレ
ート46あるいはシリコンクラスレート34を選択する
ことができる。
【0051】本発明に係るクラスレート化合物あるいは
熱電材料を製造するに際し、構成元素を混合し、加圧成
形後、予備熱処理し、加圧焼結するならば、上述した良
好な熱伝導性と電気伝導性とゼーベック係数とを発揮す
る優れたクラスレート化合物あるいは熱電材料を得るこ
とができる。
【0052】更に本発明の熱電モジュールであるなら
ば、先に説明の如く、低い熱伝導率と電気伝導性と良好
なゼーベック係数を有し、優れた性能係数を有する熱電
性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係るシリコンクラスレート化
合物のクラスレート格子と侵入原子を含む結晶構造を示
す模式図。
【図2】 図2は図1に示すシリコンクラスレート化合
物の部分構成単位となるSiの12面体のSi20とSi
の14面体のSi24を示す模式図。
【図3】 図3は本発明に係るシリコンクラスレート化
合物の基本結晶格子構造を示す平面図。
【図4】 図4は本発明に係るシリコンクラスレート化
合物の基本結晶格子の2aサイトにBa原子が侵入され
た構造を示す平面図。
【図5】 図5は本発明に係るシリコンクラスレート化
合物の基本結晶格子の6dサイトにBa原子が侵入され
た構造を示す平面図。
【図6】 図6は本発明に係るシリコンクラスレート化
合物を構成するためのシリコンクラスレート34の結晶
構造を示す模式図。
【図7】 図7は図6に示すシリコンクラスレート34
の部分構成単位となるSiの12面体のSi20とSiの
16面体のSi28を示す模式図。
【図8】 図8は本発明に係る熱電素子を用いて構成さ
れた熱電モジュールの一実施形態を示す断面図。
【図9】 図9は図8に示す熱電モジュールの使用形態
例を示すもので、図9(a)は熱電反応を生じさせる場
合の構成図、図9(b)は吸熱作用を起こす場合の構成
図。
【図10】 図10は本発明に係る熱電モジュールを発
電スタックに用いた例を示す断面図。
【図11】 従来のp型熱電材料と本発明に係る熱電材
料の性能指数の絶対温度依存性を示す図。
【図12】 従来のn型熱電材料の性能指数の絶対温度
依存性を示す図。
【符号の説明】
1…シリコンクラスレート格子、2…Si20クラスタ、
3…Si24クラスタ、10…シリコンクラスレート3
4、11…Si28クラスタ、30…熱電モジュール、3
3…p型熱電素子、34…n型熱電素子、37、38…
接続配線、41、42…電気回路、50…発電スタッ
ク、52…熱電モジュール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 円谷 和雄 神奈川県厚木市森の里1−16−1 Fターム(参考) 4G072 AA02 BB08 GG01 GG03 HH01 JJ08 JJ09 MM01 MM02 MM37 QQ02 QQ03 RR13 UU30

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiまたはGe等の周期律表IVB族元
    素の少なくとも1種の原子を主体としてなるクラスレー
    ト格子と、該クラスレート格子の格子間隙に内包され該
    クラスレート格子の構成原子よりも質量の大きな周期律
    表IA族、IIA族、IIIA族、IB族、IIB族、
    IIIB族の原子のうちの少なくとも1種のドーピング
    原子と、前記クラスレート格子を構成する原子の少なく
    とも一部と置換された周期律表IA族、IIA族、II
    IA族、IB族、IIB族、IIIB族の原子のうちの
    少なくとも1つの置換原子とを主体としてなることを特
    徴とするクラスレート化合物。
  2. 【請求項2】 前記クラスレート格子がSiあるいはG
    eのクラスレート格子であり、前記ドーピング原子がB
    aであり、前記置換原子がAlであることを特徴とする
    請求項1記載のクラスレート化合物。
  3. 【請求項3】 前記クラスレート格子が、Si原子の1
    2面体からなるSi 20クラスタと、Si原子の14面体
    からなるSi24クラスタの混合格子であるシリコンクラ
    スレート46であることを特徴とする請求項1または2
    に記載のクラスレート化合物。
  4. 【請求項4】 前記クラスレート格子が、Si原子の1
    2面体からなるSi 20クラスタと、Si原子の16面体
    からなるSi28クラスタの混合格子であるシリコンクラ
    スレート34であることを特徴とする請求項1または2
    に記載のクラスレート化合物。
  5. 【請求項5】 SiまたはGe等の周期律表IVB族元
    素の少なくとも1種の原子を主体としてなるクラスレー
    ト格子と、該クラスレート格子の格子間隙に内包され該
    クラスレート格子の構成原子よりも質量の大きな周期律
    表IA族、IIA族、IIIA族、IB族、IIB族、
    IIIB族の原子のうちの少なくとも1種のドーピング
    原子と、前記クラスレート格子を構成する原子の少なく
    とも一部と置換された周期律表IA族、IIA族、II
    IA族、IB族、IIB族、IIIB族の原子のうちの
    少なくとも1種の置換原子とを主体としてなることを特
    徴とするp型またはn型の高効率熱電材料。
  6. 【請求項6】 前記クラスレート格子がSiあるいはG
    eのクラスレート格子であり、前記ドーピング原子がB
    aであり、前記置換原子がAlであることを特徴とする
    請求項5記載の高効率熱電材料。
  7. 【請求項7】 前記クラスレート格子が、Si原子の1
    2面体からなるSi 20クラスタと、Si原子の14面体
    からなるSi24クラスタの混合格子であるシリコンクラ
    スレート46であることを特徴とする請求項5または6
    に記載の高効率熱電材料。
  8. 【請求項8】 前記クラスレート格子が、Si原子の1
    2面体からなるSi 20クラスタと、Si原子の16面体
    からなるSi28クラスタの混合格子であるシリコンクラ
    スレート34であることを特徴とする請求項5または6
    に記載の高効率熱電材料。
  9. 【請求項9】 SiまたはGe等の周期律表IVB族元
    素の少なくとも1種の原子を主体としてなるクラスレー
    ト格子と、該クラスレート格子の格子間隙に内包され該
    クラスレート格子の構成原子よりも質量の大きな周期律
    表IA族、IIA族、IIIA族、IB族、IIB族、
    IIIB族の原子のうちの少なくとも1種のドーピング
    原子と、前記クラスレート格子を構成する原子の少なく
    とも一部と置換された周期律表IA族、IIA族、II
    IA族、IB族、IIB族、IIIB族の原子のうちの
    少なくとも1種の置換原子とを主体としてなるクラスレ
    ート化合物を製造するに際し、 前記クラスレート格子を構成するための原子と前記ドー
    ピング原子と前記置換原子を所定比率で混合し、所望の
    形状に加圧成形後、予備熱処理を施し、更に加圧焼結法
    によって焼結することを特徴とするクラスレート化合物
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 SiまたはGe等の周期律表IVB族
    元素の少なくとも1種の原子を主体としてなるクラスレ
    ート格子と、該クラスレート格子の格子間隙に内包され
    該クラスレート格子の構成原子よりも質量の大きな周期
    律表IA族、IIA族、IIIA族、IB族、IIB
    族、IIIB族の原子のうちの少なくとも1種のドーピ
    ング原子と、前記クラスレート格子を構成する原子の少
    なくとも一部と置換された周期律表IA族、IIA族、
    IIIA族、IB族、IIB族、IIIB族の原子のう
    ちの少なくとも1種の置換原子とを主体としてなるp型
    またはn型の高効率熱電材料を製造するに際し、 前記クラスレート格子を構成するための原子と前記ドー
    ピング原子とを所定比率で混合し、所望の形状に加圧成
    形後、予備熱処理を施し、更に加圧焼結法によって焼結
    することを特徴とする高効率熱電材料の製造方法。
  11. 【請求項11】 p型の熱電素子とn型の熱電素子が電
    極を介して1対以上組み合わされ、両熱電素子の接続部
    分側に熱交換部が形成され、該接続部分に対向する側に
    電気回路が接続されてなり、 前記p型の熱電素子の構成材料として請求項5〜8のい
    ずれかに記載の高効率熱電材料が適用されてなることを
    特徴とする熱電モジュール。
JP22056799A 1999-08-03 1999-08-03 熱電材料およびその製造方法と熱電材料を用いた熱電モジュール Expired - Fee Related JP4413323B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22056799A JP4413323B2 (ja) 1999-08-03 1999-08-03 熱電材料およびその製造方法と熱電材料を用いた熱電モジュール
EP00402200.0A EP1074512B1 (en) 1999-08-03 2000-08-01 Clathrate compounds, manufacture thereof, and thermoelectric materials, thermoelectric modules, semiconductor materials and hard materials based thereon
US09/631,176 US6461581B1 (en) 1999-08-03 2000-08-02 Clathrate compounds and manufacturing method thereof
US10/214,857 US6797199B2 (en) 1999-08-03 2002-08-08 Clathrate compounds, manufacture thereof, and thermoelectric materials, thermoelectric modules, semiconductor materials and hard materials based thereon

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22056799A JP4413323B2 (ja) 1999-08-03 1999-08-03 熱電材料およびその製造方法と熱電材料を用いた熱電モジュール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001044519A true JP2001044519A (ja) 2001-02-16
JP4413323B2 JP4413323B2 (ja) 2010-02-10

Family

ID=16753024

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22056799A Expired - Fee Related JP4413323B2 (ja) 1999-08-03 1999-08-03 熱電材料およびその製造方法と熱電材料を用いた熱電モジュール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4413323B2 (ja)

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003002652A (ja) * 2001-06-20 2003-01-08 Japan Science & Technology Corp 磁性クラスレート化合物及びその製造方法
JP2005089243A (ja) * 2003-09-17 2005-04-07 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd クラスレート化合物、発光素子、クラスレート化合物の製造方法
JP2008198720A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Denso Corp 熱電変換材料、熱電変換素子、及びクラスレート化合物の製造方法
JP2010103468A (ja) * 2008-09-24 2010-05-06 Denso Corp クラスレート化合物、熱電変換材料、及びそれらの製造方法
JP2010245273A (ja) * 2009-04-06 2010-10-28 Denso Corp クラスレート化合物、熱電変換材料、及びそれらの製造方法
JP2010245274A (ja) * 2009-04-06 2010-10-28 Denso Corp クラスレート化合物、熱電変換材料、及びそれらの製造方法
JP2011249385A (ja) * 2010-05-24 2011-12-08 Furukawa Electric Co Ltd:The 熱電材料の製造方法
JP2014157876A (ja) * 2013-02-14 2014-08-28 Furukawa Electric Co Ltd:The 熱電変換材料およびその製造方法
JP2015002181A (ja) * 2013-06-13 2015-01-05 古河電気工業株式会社 熱電変換材料およびその製造方法
JP2016072594A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 国立大学法人東北大学 熱電材料、並びにそれを用いた熱電変換素子及び熱電変換モジュール
JP2016115866A (ja) * 2014-12-17 2016-06-23 古河電気工業株式会社 熱電変換素子および熱電変換モジュール
JPWO2014014126A1 (ja) * 2012-07-17 2016-07-07 株式会社東芝 熱電変換材料およびそれを用いた熱電変換モジュール並びに熱電変換材料の製造方法
JP2018046090A (ja) * 2016-09-13 2018-03-22 古河電気工業株式会社 熱電変換素子および熱電変換モジュール
JP2018160621A (ja) * 2017-03-23 2018-10-11 古河電気工業株式会社 熱電変換材料、熱電変換素子、熱電変換モジュール、及び移動体
JP2018160620A (ja) * 2017-03-23 2018-10-11 古河電気工業株式会社 熱電変換材料及びその製造方法、並びに、熱電変換素子、熱電変換モジュール、移動体

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4976567B2 (ja) 2010-07-08 2012-07-18 古河電気工業株式会社 熱電変換材料

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003002652A (ja) * 2001-06-20 2003-01-08 Japan Science & Technology Corp 磁性クラスレート化合物及びその製造方法
JP2005089243A (ja) * 2003-09-17 2005-04-07 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd クラスレート化合物、発光素子、クラスレート化合物の製造方法
JP4493960B2 (ja) * 2003-09-17 2010-06-30 株式会社Ihi クラスレート化合物、発光素子、クラスレート化合物の製造方法
JP2008198720A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Denso Corp 熱電変換材料、熱電変換素子、及びクラスレート化合物の製造方法
JP2010103468A (ja) * 2008-09-24 2010-05-06 Denso Corp クラスレート化合物、熱電変換材料、及びそれらの製造方法
JP2010245273A (ja) * 2009-04-06 2010-10-28 Denso Corp クラスレート化合物、熱電変換材料、及びそれらの製造方法
JP2010245274A (ja) * 2009-04-06 2010-10-28 Denso Corp クラスレート化合物、熱電変換材料、及びそれらの製造方法
JP2011249385A (ja) * 2010-05-24 2011-12-08 Furukawa Electric Co Ltd:The 熱電材料の製造方法
JPWO2014014126A1 (ja) * 2012-07-17 2016-07-07 株式会社東芝 熱電変換材料およびそれを用いた熱電変換モジュール並びに熱電変換材料の製造方法
US9570667B2 (en) 2012-07-17 2017-02-14 Kabushiki Kaisha Toshiba Thermoelectric conversion material, thermoelectric conversion module using the same, and manufacturing method of the same
JP2014157876A (ja) * 2013-02-14 2014-08-28 Furukawa Electric Co Ltd:The 熱電変換材料およびその製造方法
JP2015002181A (ja) * 2013-06-13 2015-01-05 古河電気工業株式会社 熱電変換材料およびその製造方法
JP2016072594A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 国立大学法人東北大学 熱電材料、並びにそれを用いた熱電変換素子及び熱電変換モジュール
JP2016115866A (ja) * 2014-12-17 2016-06-23 古河電気工業株式会社 熱電変換素子および熱電変換モジュール
JP2018046090A (ja) * 2016-09-13 2018-03-22 古河電気工業株式会社 熱電変換素子および熱電変換モジュール
JP2018160621A (ja) * 2017-03-23 2018-10-11 古河電気工業株式会社 熱電変換材料、熱電変換素子、熱電変換モジュール、及び移動体
JP2018160620A (ja) * 2017-03-23 2018-10-11 古河電気工業株式会社 熱電変換材料及びその製造方法、並びに、熱電変換素子、熱電変換モジュール、移動体

Also Published As

Publication number Publication date
JP4413323B2 (ja) 2010-02-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6461581B1 (en) Clathrate compounds and manufacturing method thereof
US6342668B1 (en) Thermoelectric materials with filled skutterudite structure for thermoelectric devices
JP4413323B2 (ja) 熱電材料およびその製造方法と熱電材料を用いた熱電モジュール
TW200933940A (en) Extrusion process for preparing improved thermoelectric materials
US8772622B2 (en) Doped tin tellurides for thermoelectric applications
CN101101954A (zh) 一种镉锑基p型热电材料及其制备方法
JP2013016685A (ja) 熱電変換材料、熱電変換素子およびその作製方法
CN113421959B (zh) 一种n型碲化铋基室温热电材料及其制备方法
JP4374578B2 (ja) 熱電材料及びその製造方法
Kang et al. Enhanced thermoelectric performance of variable-valence element Sm-doped BiCuSeO oxyselenides
Wumao et al. Effect of manganese doping on the thermoelectric properties of Zintl phase EuCd2Sb2
JP4372276B2 (ja) クラスレート化合物と高効率熱電材料およびそれらの製造方法と高効率熱電材料を用いた熱電モジュール
JP4554033B2 (ja) クラスレート化合物半導体およびその製造方法
JP2012174849A (ja) 熱電材料
CN107032763A (zh) 一种制备n型CaMnO3基热电陶瓷的方法
WO2022059443A1 (ja) 熱電材料、その製造方法、および、熱電発電素子
CN103050618B (zh) 一种热电材料及其制备方法
CN101118946B (zh) 一种钡锌锑基p型热电材料及其制备方法
KR20140045799A (ko) 열전재료의 제조방법 및 그에 따라 제조된 열전재료
JP4804638B2 (ja) クラスレート化合物と高効率熱電材料およびその製造方法と高効率熱電材料を用いた熱電モジュール
JP2012129516A (ja) p型熱電変換材料及びその製造方法、並びに、熱電変換素子及び熱電変換モジュール
JP3476343B2 (ja) 熱電変換材料
KR20110092762A (ko) 기계적 합금화에 의한 Mg2Si 열전재료 제조방법 및 이에 의해 제조된 Mg2Si 열전재료
JP2021044424A (ja) 熱電変換材料
JP2008227321A (ja) 熱電変換材料及びこれを用いた熱電変換モジュール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060724

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090602

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090724

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090818

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091015

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091110

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091118

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121127

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131127

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees