JP3476343B2 - 熱電変換材料 - Google Patents

熱電変換材料

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明に属する技術分野】本発明は、熱電素子に利用さ
れる熱電変換材料に関するものである。 【0002】 【従来の技術】熱電変換材料の高効率化はこの技術の実
用化が始まったころからの課題であり、近年長い低迷期
を脱して比較的組織だった研究開発が行われるようにな
った。このような状況が生まれた原因の一つとしてはエ
ネルギー・環境問題への関心の高まりである。熱電発電
技術は特に未利用の熱エネルギーの有効利用技術として
応用することが強く望まれており、また、逆変換である
熱電冷却技術は文字通りのフロンフリー冷却・冷凍技術
として、電子デバイスの冷却やIC製造プロセスにおける
温度調整システムばかりでなく冷蔵庫や空調機への応用
が期待されている。 【0003】熱電変換材料の変換効率は、各々の材料の
物性値を反映する熱電性能指数Zで決まる。Z=α2 /
ρκ(αはゼーベック係数,ρは電気抵抗率,κは熱伝
導率,μは移動度,μL は全熱伝導率の格子振動による
熱伝導成分。尚、Zはm13/2 μ/κL (m1 は電子ま
たは正孔の有効質量)に比例する)で表される熱電性能
指数が大きい材料ほど、優れた熱電変換効率が得られ
る。すなわち、熱を通しにくく(熱伝導率が小さく)、
電気を良く通し(比抵抗が小さい)、熱起電力が大きい
(セーベック係数が大きい)材料が高効率材料となる。
また、このときの発電変換効率η[%]はZを用いてη
=[ΔT/{(4/Z)+2Th −(ΔT/2)}]×
100[%](ΔTは高温部と低温部の温度差,Zは材
料の熱電性能指数,Th は高温部の絶対温度)のように
表せる。α、ρおよびκは温度により変化することか
ら、もちろんZも温度依存性を持ち、材料によって最大
値をとる温度も異なる。したがって、熱電変換材料の高
効率化を進めるにあたって、使用温度範囲全般において
Zが大きいことが重要であり、さらに、ΔTを大きくで
きる材料ほど有利となる。 【0004】従来から知られている熱電変換材料にはB
2 Te3 化合物,PbTe化合物,Si−Ge化合
物,Fe−Si化合物等があるが、いずれの材料も無次
元性能指数ZTが1を超えることはない。唯一、Bi2
Te3 化合物だけが200〜400K程度の温度範囲で
ZT=1に極めて近い値を示す。しかしながら、優れた
性能を持つBi2 Te3 化合物も高温で不安定になりや
すいという問題を抱えており、573K以下で使用され
るのが通例となっているため、専ら発電用としてよりも
電子冷却用として用いられている。熱電変換材料がガス
タービン等の廃熱利用発電等に実際に利用されるために
は1000K付近までの耐熱性が要求される。従来から
知られている材料では、Fe−Ni化合物がこの温度域
でも比較的安定で良好な性能を示すが、それでも878
KでZT=0.2程度であり、得られる電力はごく僅か
である。したがって、より多くの電力を得るためには、
100〜1000K程度の比較的高温までの広い温度範
囲において、優れた性能を示す発電用熱電変換材料が必
要であり、そのような材料開発が望まれている。 【0005】最近、スクッテルダイト構造を持つXY3
化合物(X=Co,Rh,Ir;Y=P,As,Sb)
が新しい熱電変換材料として注目されている。XY3
合物の中でもCoSb3 ,RhSb3 ,IrSb3 アン
チモナイドは特有のバンド構造とキャリア輸送特性を持
つ半導体であり、優れた熱電特性を有する。このCoS
b3 系化合物において、現在最も優れた熱電特性を示す
物質はCoSb3 にTe,AsおよびIrをわずかに添
加したCo0.97Ir0.03Sb2.81Te0.04As0.15であ
り、650〜750KにおいてZT=0.6程度の優れ
た特性を示すが、この温度範囲以外では急激に特性が悪
くなる。ところが、例えばガスタービンなどの廃熱を利
用した発電プラントにおいて、LNGを冷却媒体、ケー
シング等から得られる熱源を高温媒体とした場合、20
0〜900Kの温度差が得られ、この廃熱を有効に電気
に変換しようとするとこの全温度範囲で優れた熱電特性
を示す材料が必要になる。したがって、既存の材料ある
いは先に述べたこれまでのCoSb3 系化合物よりも広
い温度範囲で優れた特性を持つ材料の開発が望まれる。
このような材料が発見されれば、これまでにない発電用
熱電変換材料として実用化されることが予想され、工業
的価値も大きい。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上述したように、Bi
2 Te3 化合物は573K付近で優れた特性を示すもの
の、高温で非常に不安定なことから、主に電子冷却用と
して使用されており、耐熱性が要求される発電用として
は使用できない。Fe−Si化合物等の優れた耐熱性を
示す熱電変換材料も多数発見されているが、いずれの材
料においても、その熱電特性はBi2 Te3 化合物に比
べて著しく悪い。したがって、より多くの電力を得るた
めには、低温から比較的高温までの広い温度範囲におい
て優れた熱電特性を示す熱電変換材料が必要とされる。
最近、CoSb3 系化合物がこのような問題を解決でき
る物質として興味が持たれているが、熱電特性としては
650〜700KにおいてZT=0.6と適用範囲は狭
い。したがって、より広い範囲で安定して優れた特性が
得られる材料開発が必要である。 【0007】本発明は、このような問題を解決するため
になされたものであり、100Kから1000K程度の
非常に広い温度域で、特に700K以上の高温で優れた
熱電特性を示す熱電変換材料を提供する。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、Co,Rhお
よびIrから選ばれる少なくとも1種類の元素からなる
Mと、Fe,RuおよびOsから選ばれる少なくとも1
種類の元素からなるM' と、Ni,PdおよびPtから
選ばれる少なくとも1種類の元素からなるM''と、P,
AsおよびSbから選ばれる少なくとも1種類の元素か
らなるAから構成される物質(M(1-2x)M 'x M''x
3 (0 <x ≦0.5 )に、B,C,NおよびOから選ば
れる少なくとも1 種類の元素を0.001 〜60at.%添加
した熱電変換材料である。 【0009】CoSb3 相は、1043K以下において
安定でCoSb2 相とSb相からの包晶反応によって形
成され、CoAs3 に代表されるIm3 型の結晶構造を
持つ。この構造は、スクッテルダイト構造と呼ばれ、単
位格子内に8 個のCo原子と24個のSb原子の計32個の
原子から構成される立方格子である。このとき、Sb原
子は特異な結晶状態にあり、単位格子中に4個のSb原
子から形成されるアンチモンリングを6 個形成する。単
位格子は8個の小格子で形成されるが、このアンチモン
リングが形成される小格子は6個であり、残りの2個に
は形成されない。すなわち、単位格子中にアンチモンリ
ングの存在しない2個のボイドが含まれることになる。 【0010】ところで、B,C,NおよびOのような軽
元素は一般的に侵入型元素として知られ、化合物中の格
子の隙間を埋めるように位置する。CoSb3 相におい
ても例外ではなく、これらの軽元素は格子の隙間を埋め
るように侵入する。したがって、スクッテルダイト構造
特有のアンチモンリングの存在しない2個のボイドにも
これらの元素は侵入し、ボイドの存在しない密な構造が
作られる。このような構造を持つ物質では、ボイド中に
充填された軽元素の存在によりフォノン散乱が抑制さ
れ、熱伝導率を大幅に減少させることができる。それに
加えて、本来のこの構造が持つ移動度が大きい利点を利
用することから、性能指数を大幅に向上させることがで
きる。 【0011】本発明における熱電材料は、このような
B,C,NおよびOから選ばれる少なくとも1種類の元
素を添加したCoSb3 系物質において、VIII族元素で
あるCo,Rh,Irを周期律表の両隣の原子であるF
e,Ru,OsとNi,Pd,Ptで置き換えることを
特徴としている。このような元素の置き換えを行っても
その物質の基本的な構造は置換しない物質と同様であ
る。例えばCoSb3 において、CoをFe0.5 Ni
0.5 と完全に置き換えた場合、格子常数,融点等に僅か
な変化が生ずるがその物質の基本的な構造はCoSb3
と変わらない。しかし、この置き換えを行うことによ
り、物質中のフォノン散乱が効果的に抑制され、置換し
ていない物質に比して熱伝導率が大幅に低下するととも
に、100 〜1000 Kの広い温度範囲において安定して高い
ゼーベック係数が得られる。同様にVb族原子であるP,
As,Sbをその両隣の原子であるSi,Ge,Snと
S,Se,Teで置き換えても、同様の効果が期待でき
る。このような効果を利用することにより、これまで問
題であったCoSb3 系熱電材料の高温側での熱電特性
を格段に向上させ、広い温度範囲での使用が可能とな
る。 【0012】また、これまでのCoSb3 系熱電材料は
原料に高純度材を用いないと良い特性が得られないとい
った問題を有していたが、本発明の材料では純度による
影響はそれほど問題にならず、99.9%程度の原材料
純度があればよいため、大幅なコストダウンが可能とな
る。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。本発明の熱電変換材料は、Co,
RhおよびIrから選ばれる少なくとも1種類の元素か
らなるMと、Fe,RuおよびOsから選ばれる少なく
とも1種類の元素からなるM' と、Ni,PdおよびPtか
ら選ばれる少なくとも1種類の元素からなるM''と、
P,AsおよびSbから選ばれる少なくとも1種類の元
素からなるAから構成される物質(M(1-2x)M 'x M''
x )A3 (0 <x ≦0.5 )に、B,C,NおよびOから
選ばれる少なくとも1種類の元素を0.001 〜60at.%
添加することを特徴としている。 【0014】この熱電変換材料は、例えば焼結法,アー
ク溶解法あるいは傾斜凝固法によって形成することがで
きるが、予備熱処理を加えて固相反応させた粉末に高温
焼結法を用いるのが簡便で適当な手法である。 【0015】以下に具体的な方法を記す。原料の純度は
99.9以上であることが望ましい。また、作製した試料の
(M(1-2x)M 'x M''x )とAの比は正確に1:3とな
る方が好ましく、この組成比から10%以上ずれると特性
が著しく低下する。正確に1:3の組成物を得るために
は、蒸気圧が高く試料作製段階での損失量が多いA元素
を若干過剰に混合するとよい。 【0016】所定量秤量した各粉末を、Vミキサー、瑪
瑙乳鉢等を用いた混合、あるいはボールミル等を用いた
メカニカルアロイング等の手法により十分攪拌した後、
アルミナ管に混合粉末を詰め、さらに石英管中に真空封
入する。このとき、試料の酸化を防ぐために石英管中の
真空度を1 ×10-3Pa以上の高真空にすることが好まし
い。封入した石英管をその物質の融点以下の温度で熱処
理し、固相反応させる。この熱処理としては873 〜1123
Kで1〜100 時間で十分である。固相反応して凝集した
反応物を瑪瑙乳鉢で粉砕し、再度粉末状にした後、ホッ
トプレスによりその物質の融点以下の温度で焼結する。
このときの焼結条件としては、プレス圧力10〜100 MP
a,873K〜1123K、0.1〜100時間で十分
であり、この条件で理論密度の99 %以上の密度を持つ物
質が得られる。また、この熱処理は石英管中雰囲気を真
空ではなく、ArやHe等の不活性ガス雰囲気とすると
蒸気圧の高いA元素の蒸発を抑制することができ、目的
とする組成の物質が得易くなる。 【0017】BやCを添加する際には、その粉末を単純
に添加すれば良いが、NやOの添加は困難である。よっ
て、NやOの添加はN,O無添加物質を作製した後に、
窒素分圧あるいは酸素分圧10Pa以下の雰囲気中で熱
処理を加えることによって行う。あるいは、原料粉に窒
化物や酸化物を使用しても同様にNやOを含有させるこ
とができる。 【0018】このようにしてB,C,NおよびOから選
ばれる少なくとも1種類の元素を0.001 〜60at.%添
加することができる。添加量が多いと起電力が低下する
問題が生じ、少ないと比抵抗や熱伝導率が大きくなる傾
向がある。そのため0.1 〜20at.%の範囲にすること
がより望ましい。 【0019】また、x の値を増加させるとゼーベック係
数のピークが高温側に移動するため、使用する温度範囲
によって、x 値を変化させると良い。すなわち、高温仕
様とするにはx 値を増加させれば良い。例えば、300 〜
600 K程度で使用する時にはxの値を0.01〜0.1 に,60
0 〜900 K程度で使用する時にはxの値を0.15〜0.2で
使用すればよい。但し、Xが少ないかったり、多すぎた
りすると、熱電変換効率が低下するため、xの値は0.01
〜0.2 の範囲内に設定することが望ましい。 【0020】また、本願発明において、M’とM’’の
比率はxで同一であるが、厳密に同一である必要はな
く、具体的には10%程度の差であればその量に違いが
あっても許容される。 【0021】また、同一試料内で低温側から高温側に向
かってx 値を増加させるような傾斜型の試料を作製すれ
ば、さらに広い温度域で優れた特性を持つ材料が得られ
る。以上、本発明によれば、100 〜1000Kの広い温度域
で優れた熱電特性を示す熱電変換材料が作製でき、かつ
大幅な低コスト化が達成される。 【0022】 【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。 実施例1 純度99.9 %,粒径325 メッシュ以下のFe粉末,Co粉
末,Ni粉末とSb粉末と純度99 %,粒径325 メッシュ
以下のB粉末を原子当量比で2:16:2:60:20の割合
で混合した。 【0023】得られた混合物をVミキサーを用いて十分
攪拌した後、混合粉末をアルミナ管に詰め、さらに石英
管中に真空封入した。このときの真空度は1 ×10-6Paで
あった。封入した石英管を873Kで24時間予備熱処理し、
固相反応させた。固相反応して凝集した反応物を瑪瑙乳
鉢を用いて粉砕し再度粉末状にした後、ホットプレスに
よりその物質の融点以下の温度で焼結した。このときの
焼結条件としては、1×10-6Paの真空中でプレス圧
力40MPa,873K、1時間とした。作製した試料の
密度を測定したところ、理論密度の99% 以上の密度を持
つ物質が得られた。この焼結体を断面積2cm2 ,高さ
1cmの円柱状に加工した後、低温側を40K に固定し高
温側を徐々に加熱し、温度差を与え開放端電圧と内部抵
抗を測定した。 【0024】測定した値からその物質のゼーベック係数
αと比抵抗ρを測定したところ350Kにおいてα=25
0[mV/K]、ρ=0.0015[Wcm]、700
Kにおいてα=280[mV/K]、ρ=0.0010
[Wcm] であった。40K〜1000Kまでを1 回の測定
とし、30回の測定を繰り返したが、その特性に変化は見
られなかった。また、1000 Kにおいて1 時間保持した後
に同様の測定を行っても特性に変化は見られなかった。
以上の結果から、作製した試料の350 Kにおけるパワー
因子は4.167×10-5W/cmK2 、700Kにお
けるパワー因子は7.840×10-5W/cmK2 とな
り、十分実用的な値となった。 【0025】実施例2 純度99.9% 、 粒径325 メッシュ以下のRu粉末,Rh粉
末,Pd粉末とAs粉末と純度99.99 %,粒径325 メッ
シュ以下のC粉末を原子当量比で5:10:5:60:20の
割合で混合した。Vミキサーを用いて十分攪拌した後、
混合粉末をアルミナ管に詰め、さらに石英管中に真空封
入した。このときの真空度は1×10-6Paであった。
封入した石英管を873 Kで24時間予備熱処理し、固相反
応させた。固相反応して凝集した反応物を瑪瑙乳鉢を用
いて粉砕し再度粉末状にした後、ホットプレスによりそ
の物質の融点以下の温度で焼結した。このときの焼結条
件としては、1×10-6Paの真空中でプレス圧力40M
Pa,873 K、1時間とした。作製した試料の密度を測
定したところ、理論密度の99% 以上の密度を持つ物質が
得られた。この焼結体を断面積2cm2 ,高さ1cmの
円柱状に加工した後、低温側を40Kに固定し高温側を徐
々に加熱し、温度差を与え開放端電圧と内部抵抗を測定
した。測定した値からその物質のゼーベック係数αと比
抵抗ρを測定したところ350 Kにおいてα=180[m
V/K],ρ=0.0014[Wcm]、700Kにおいて
α=230[mV/K],ρ=0.0009=[Wc
m]であった。40K〜1000K までを1回の測定とし、30
回の測定を繰り返したが、その特性に変化は見られなか
った。また、1000Kにおいて1時間保持した後に同様の
測定を行っても特性に変化は見られなかった。以上の結
果から、作製した試料の350 Kにおけるパワー因子は
2.314×10-5W/cmK2 、700 Kにおけるパワ
ー因子は5.878×10-5W/cmK2 となり、十分
実用的な値となった。 【0026】実施例3 純度99.9%,粒径325 メッシュ以下のOs粉末,Ir粉
末,Pt粉末,Sb粉末と純度99 %,粒径325 メッシュ以
下のB 粉末を原子当量比で20:10:40:10:20の割合で
混合した。Vミキサーを用いて十分攪拌した後、混合粉
末をアルミナ管に詰め、さらに石英管中に真空封入し
た。このときの真空度は1×10-6Paであった。封入
した石英管を873 Kで24時間予備熱処理し、固相反応さ
せた。固相反応して凝集した反応物を瑪瑙乳鉢を用いて
粉砕し再度粉末状にした後、ホットプレスによりその物
質の融点以下の温度で焼結した。このときの焼結条件と
しては、1×10-6Paの真空中でプレス圧力40MP
a,873 K、1時間とした。作製した試料の密度を測定
したところ、理論密度の99%以上の密度を持つ物質が得
られた。この焼結体を断面積2cm2 ,高さ1cmの円
柱状に加工した後、低温側を40Kに固定し高温側を徐々
に加熱し、温度差を与え開放端電圧と内部抵抗を測定し
た。測定した値からその物質のゼーベック係数αと非抵
抗ρを測定したところ350 Kにおいてα=270[mV
/K],ρ=0.0016[Wcm]、700 Kにおいて
α=300[mV/K]、ρ=0.0012[Wcm]
であった。40K〜1000Kまでを1回の測定とし、30回の
測定を繰り返したが、その特性に変化は見られなかっ
た。また、1000Kにおいて1時間保持した後に同様の測
定を行っても特性に変化は見られなかった。以上の結果
から、作製した試料の350 Kにおけるパワー因子は4.
5563×10-5W/cmK2 、700 Kにおけるパワー
因子は7.500×10-5W/cmK2 となり、十分実
用的な値となった。 実施例4 図1は本実施例の熱電モジュールの概略平面図、図2は
その断面図である。 【0027】次に、本発明の熱電変換材料を熱電モジュ
ールとして応用した時の実施例を図1、2を用いて説明
する。p 型熱電変換材料2として実施例1で作製した焼
結体を用い、同様の方法で得られた20Co−60Sb−20
B(at.%)焼結体をn型熱電変換材料2として用い
以下の方法で熱電モジュールを作製した。 【0028】2枚のアルミナ基板に図1に示すような配
線パターンとなるように銀ペーストを印刷した後、1m
m×1mm×1.8mmに切断したp型およびn型熱電
変換材料を図1のように配置し、銀ペーストを乾燥させ
てp型およびn型熱電変換材料を固着させた。図2はこ
のようにして作製した基体にリード線を取り付けて完成
した熱電モジュールの断面図である。以上のように作製
した熱電モジュール(素子数:42対,モジュール大きさ
18.5mm×21.5mm,厚さ2mm)の発電性能は、アル
ミナ基板間の温度差(室温付近)が3°Cのときに約60
mVの出力であった。この値は、発電モジュールとして
十分要求を満たすものであり、冷却用の熱電モジュール
としての性能も十分に有していることを示唆する結果で
もある。 【0029】冷却素子としての評価は、アルミニウム製
のヒートシンクを発熱面に取り付けて、温度30℃,湿度
90%の環境下で、素子に1Vの電圧を印加して行った。
このとき、冷却側の表面は数十秒で約−5°Cまで低下
すると同時に結露が始まり、その後、ほぼ一定の温度を
保った。この結果は、本熱電モジュールが冷却素子とし
ての性能も十分に備えていることを示唆するものであ
り、この条件で100 時間保持した場合においても、素子
の劣化は認められず、耐久性にも優れることを確認し
た。 【0030】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の熱電変換
材料は低温から比較的高温までの広い範囲において安定
して優れた熱電特性を示し、冷却用素子だけでなく廃熱
利用発電用にも利用できる高性能材料であり、かつ低コ
スト化が達成できるため、工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】 【図1】銀ペーストを印刷したアルミナ基板にp 型およ
びn 型熱電変換材料を配置した概略を示す図である。 【図2】完成した熱電モジュールの概略を示す図であ
る。 【符号の説明】 1・・・アルミナ基板 2・・・p型熱電変換材料 3・・・n型熱電変換材料 4・・・銀ペースト(表側) 5・・・銀ペースト(裏側) 6・・・リード線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 35/20 C22C 5/04 C22C 12/00 C22C 28/00 H01L 35/32

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】Co,RhおよびIrから選ばれる少なく
    とも1 種類の元素からなるMと、Fe,RuおよびOsか
    ら選ばれる少なくとも1 種類の元素からなるM'と、N
    i,PdおよびPtから選ばれる少なくとも1 種類の元素か
    らなるM''と、P,AsおよびSbから選ばれる少なく
    とも1種類の元素からなるAから構成される物質(M
    (1-2x)M' x M''x )A3 (0<x ≦0.5 )に、B、
    C、NおよびOから選ばれる少なくとも1種類の元素を
    0.001 〜60at.%添加することを特徴とする熱電変換
    材料。
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JPH11103098A (ja) 1999-04-13

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