JPH09202609A - クラスレート - Google Patents

クラスレート

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JPH09202609A
JPH09202609A JP8007814A JP781496A JPH09202609A JP H09202609 A JPH09202609 A JP H09202609A JP 8007814 A JP8007814 A JP 8007814A JP 781496 A JP781496 A JP 781496A JP H09202609 A JPH09202609 A JP H09202609A
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JP
Japan
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fullerene
clathrate
lattice
carbon
calculation
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JP8007814A
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English (en)
Inventor
Koji Moriguchi
晃治 森口
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 C20フラーレンを構成要素とする炭素クラス
レートが合成されると、非常に固く安定な新しいエレク
トロニクス材料となることが予想されるが、未だにC20
フラーレンを構成要素とする籠状構造物質は合成されて
いなかった。 【解決手段】 包接格子が炭素原子からなるクラスレー
トであって、C20フラーレンが体心立方構造の体心位
置、及び頂点位置に配置され、頂点位置のC20フラーレ
ンの向きが、体心位置のC20フラーレンをx軸、y軸、
またはz軸のまわりに90度回転させた向きであり、各
フラーレン間に1つの炭素原子が配置されて前記包接格
子が構成されていることを特徴とするクラスレートを提
供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属元素等のドーピ
ングで広域の電気伝導度が得られるC20フラーレンを構
成要素とするクラスレート(包接化合物)(理化学辞
典、第3版増補版、岩波書店、p.1266、文献1)に関
し、より詳細にはクラスレートの材料強度を決定する、
20フラーレンを構成要素とする籠状結晶構造を有する
クラスレートに関する。
【0002】
【従来の技術】1990年 W.Kratschmer 等により炭素元素
が60個からなる籠状炭素クラスター(「フラーレン」
と総称される)(Nature、318 〔14〕(1985)、 H.W.Krot
o, J.R.Heath, S.C.O'Brien, R.F.Curl, and R.E.Small
ey、 p.162 、文献2)が大量合成され、その固体結晶が
生成された(Nature、347 〔27〕(1990)、W.Kraschmer,
L.D.Lamb, K.Fostiropolos, and D.R.Huffman、 p.354
、文献3)。さらに1991年、固体C60にアルカリ金属
をドーピングすることによって、比較的高い温度で超伝
導となることが発見されたため(Nature、350 〔18〕(1
991)、A.F.Hebard,M.J.Rosseinsky, R.C.Haddon, D.W.M
urphy, S.H.Glarum, T.T.M.Palstra, A.P.Ramirez, and
A.R.Kortan、p.600 、文献4)、新しい固体材料とし
てフラーレンが注目を集めるようになった(日本物理学
会誌、第47巻 No.7 (1992)、 阿知波洋次、p.563 、文献
5)。C60以外にも、C70、C76、C84など様々なサイ
ズのフラーレンがグラファイトのアーク放電などにより
できる「すす」の中から発見されている。
【0003】C60は12個の5員環と20個の6員環と
からなるサッカーボール模様の閉じた球面状クラスター
であるが、6員環を減らすことにより理論的にはC60
りも小さなフラーレンの構築も可能である。実際に5員
環と6員環とからなる炭素フラーレンでは、C20(図
2)が最小フラーレンとなることが数学的に証明されて
いる(Nature、323 〔23〕(1986)、D.J.Klein, W.A.Sei
tz, and T.G.Schmalz 、p.703 、文献6)。これは12
面体クラスターとなるフラーレンであるが、現在のとこ
ろC60のように単離には成功していない。この原因は次
のように考えられている(固体物理、第30巻 No.5 (199
5)、 斉藤 晋、p.477 、文献7)。5員環と6員環とか
らなる炭素フラーレン上の原子は3本の結合手を持つ。
60をはじめとする単離済み(安定な)フラーレンで
は、どの炭素原子も2つ以上の6員環に囲まれており、
グラファイトの炭素原子と同様に、sp2 混成に近い電
子状態をとっている。しかしながらC60よりも、小さい
原子数を持つ5員環と6員環とからなる炭素フラーレン
では2つ以上の5員環に囲まれた炭素原子が必ず存在す
る。正5角形の内角108°はsp3 混成軌道間の理想
角度109°47′に非常に近いため、2つ以上の5員
環に囲まれた炭素原子では、その電子状態がsp2 混成
よりもsp3 混成に近いものと考えられる。このような
炭素原子上では、π軌道というよりもダングリングボン
ドに近い軌道が炭素クラスターの外に突き出しているこ
とになる。このような軌道は周囲の原子との間で相互作
用が強く働くため(周囲の原子との結合を作りやすいた
め)、C60フラーレンなどの製造の際に行われる、溶媒
による単離が困難となる。
【0004】一方、同じIV族元素でもシリコン(Si)
とゲルマニウム(Ge)では事情が異なってくる。シリ
コンではシリコンクラスレートと呼ばれる化合物が比較
的古くから知られている。これはシリコンだけで構成さ
れる多面体クラスターを基本単位として、それを非常に
巧みに3次元的に連結して作られる固体物質である(固
体物理、第30巻 (1995) 、山中昭司、川路 均、堀江洋
臣、石川満夫、p.488、文献8)。最近基本単位格
子としてBa Na2 Si46という組成をとるシリコ
ンクラスレートが合成され、さらにこの物質の超伝導性
が発見されて注目されている(PHYSICAL REVIEW LETTER
S 74〔8 〕(1995)、 H.Kawaji, H.Horie, S.Yamanaka, a
nd M.Ishikawa、 p.1427 、文献9)。この物質は本発明
により提供するクラスレートの結晶構造と同様の結晶構
造(図1)をとる、Si20フラーレンを構成要素とする
籠状構造をとる物質である。第一原理計算により、金属
未ドープのシリコンのみからなる籠状構造だけでも、通
常のシリコン単相で見られる立方ダイヤモンド構造と同
程度に安定であることが示唆されている(PHYSICAL REV
IEW B 51〔4 〕(1995)、 S.Saito and A.Oshiyama、 p.26
28、文献10)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】炭素原子で同様なC20
フラーレンを構成要素とする炭素クラスレートが合成さ
れると、非常に固く安定な新しいエレクトロニクス材料
となることが期待される(文献7)が、同じIV族元素で
も炭素原子については、C20フラーレンを構成要素とす
る籠状構造をとる物質は未だに合成されていない現状に
ある。
【0006】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
って、高硬度材料であるC20フラーレンを構成要素とす
るクラスレートを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段及びその効果】上記目的を
達成するために本発明に係るクラスレートは、包接格子
が炭素原子からなるクラスレートであって、C20フラー
レンが体心立方構造の体心位置、及び頂点位置に配置さ
れ、頂点位置のC20フラーレンの向きが、体心位置のC
20フラーレンをx軸、y軸、またはz軸のまわりに90
度回転させた向きであり、各フラーレン間に1つの炭素
原子が配置されて前記包接格子が構成されていることを
特徴としている。
【0008】C20フラーレンを構成要素とする炭素クラ
スレートは、ダイヤモンドの84%程度の固さを有する
高硬度材料であり、さらにこの籠状結晶構造に金属元素
をドープすることにより、金属的な電気伝導を得ること
ができることが予想される。C20フラーレンを構成要素
とする炭素クラスレートにより、その材料強度を籠状の
包接格子が保証し、電気伝導等の電気特性をドープされ
る元素が受け持つという新しいタイプの材料を提供する
ことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るC20フラーレ
ンを構成要素とするクラスレート及びその製造方法の実
施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】最近の材料科学における計算機シミュレー
ションの果たす役割は、非常に大きくなっている。材料
科学における計算機シミュレーションは大きく分けて2
つに分類される。一つは材料の物性を大きく支配する物
質中の電子の状態を把握することにより、物質の構造や
物性を量子力学の原理に基づいて計算していく第一原理
計算と呼ばれるものである。近年ハードウエアの進歩に
ともない第一原理計算が扱える現象の領域は猛烈な勢い
で広がっている。しかしながら原子間の相互作用といっ
た情報を電子状態から導きだす第一原理計算は計算量と
して非常に重く、精度の高い計算を必要とするものに対
してはたかだか100個程度の原子からなる系の計算が
現状では限界である。
【0011】一方計算機シミュレーションにおけるもう
一つの分類は、原子間の相互作用に経験的なポテンシャ
ル(原子間相互作用モデル)を用いるものである。化学
結合等の原子間相互作用は量子力学的起因によるもので
あるから第一原理計算で行うに越したことはない。しか
しながら近年の経験的ポテンシャルは非常に正確に未知
物質の物性予測を行うことが可能になってきているこ
と、さらに精度の高い計算を第一原理計算の数千分の1
程度の計算量で行えることから、計算機シミュレーショ
ンにおける大きな分野としてその功績が認められてい
る。
【0012】例えばIV族元素の重要な元素である炭素
(C)、シリコン(Si)、とゲルマニウム(Ge)の
ポテンシャルが提出されているTersoff 型ポテンシャル
(PHYSICAL REVIEW B 39〔8 〕(1989)、 J.Tersoff、 p.5
566 、文献11)では、立方ダイヤモンド型構造に対し
下記の表1のような精度での結晶構造の再現が可能であ
る。
【0013】
【表1】
【0014】表1はTersoff 型ポテンシャルを用いた本
発明者の計算で得た、立方ダイヤモンド型構造でのC、
Si、Geの格子定数(Å)、凝集エネルギー(eV/
atom)、体積弾性率(Mbar)を示している。実
験値との誤差は格子定数、凝集エネルギーで1%未満、
体積弾性率では2%未満の精度を有している。さらにTe
rsoff 型ポテンシャルは、実験で得ることの難しい準安
定相の再現性にも優れている。例えばSi、Geでは、
立方ダイヤモンド型構造を圧縮していくことにより、β
スズ構造への圧力誘起相転移が観測されている(PHYSIC
AL REVIEW B 26〔10〕(1982)、 M.T.Yin and M.L.Cohen、
p.5668 、文献12)。その相転移圧力を下記の表2の
精度で予測することができる。
【0015】
【表2】
【0016】表2はTersoff 型ポテンシャルを用いた本
発明者が計算で得た、立方ダイヤモンド型構造からβス
ズ構造への圧力誘起相転移時の立方ダイヤモンド型構造
の原子1個当たりの体積(Vt d:T=0K、圧力0での
立方ダイヤモンド型構造での実測体積との比)、βスズ
構造の原子1個当たりの体積(Vt(β) :T=0K、圧
力0での立方ダイヤモンド型構造での実測体積との
比)、相転移にともなう原子1個当たりの体積の変化
(Vt(β) /Vt d)、及び相転移圧力(kbar)を示
している。計算はT=0Kでのもの、実験値は室温測定
での値を示しているが、前記文献12によるとこの温度
差で相転移圧力は±15%程度変化することが指摘され
ている。さらに興味深いことに、Tersoff 型ポテンシャ
ルではC60フラーレンのような籠状構造をとる物質に対
しても、見事にその構造を再現することができる。本発
明者はこれを確かめるためにC60、Si60、Ge60フラ
ーレンに対する安定構造探索の計算を行った。下記の表
3にその結果を示す。
【0017】
【表3】
【0018】実測値のあるC60フラーレンの2種類の結
合長さがともに3%以内の精度で求められている。Si
60、Ge60フラーレンは未だ合成に成功されていない
が、Si及びGeについても同程度の精度をもつことが
予測される。
【0019】本実施の形態に係る炭素クラスレートとの
比較のために行ったSi20フラーレンを構成要素とする
シリコンクラスレート(Si46格子)の計算方法と結果
を説明する。まず適当な大きさのシュミレーションセル
(立方体)を用意し、その中に46個のSi原子を配置
する。共約勾配法(NUMERICAL RECIPES in FORTRAN (19
92) CAMBRIDGE UNIVERSITY PRESS, New York、 W.H.Pres
s, S.A.Teukolsky, W.T.Vetterling, B.P.Flannery、 p.
413 、文献13)により系のエネルギーが、極小値をと
る構造を探索する。シミュレーションセル(立方体)の
体積を変化させながら、同様に安定構造探索を行い、体
積に対する系のエネルギーの変化を次のMurnaghan の状
態方程式(化1)(文献12)、
【0020】
【化1】
【0021】にフィッティングして、平衡体積V0 、体
積弾性率B0 と体積弾性率の圧力微分B0 ′を得る。こ
のようにして得られた、原子体積に対するSi46格子の
エネルギー曲線を図3に示す。図3には比較のためシリ
コン立方ダイヤモンド構造(CD)及びシリコングラフ
ァイト(graphite)構造のエネルギー曲線も示した。さ
らにSi46格子の計算によって求められた、Si46格子
の格子定数、内部座標、原子間結合長を下記の表4に示
した。
【0022】
【表4】
【0023】表4には比較のため第一原理計算による結
果(文献7、10)とBa6 Na2Si46(文献7、
8、9)の実験値も示した。Si46格子は立方空間群P
m3バーnに属し、3種類の等価でない原子と4種類の
等価でない結合から結晶が構成されている。クラスレー
トでは包接される金属元素と包接格子との相互作用が比
較的弱く、包接格子の構造に対しては金属元素の影響は
極めて小さいことが知られている(文献1)。本計算、
及び第一原理計算の結果はまさにこれを裏づけるもので
ある。Si46格子と立方ダイヤモンド構造(CD)との
原子1個当たりの凝集エネルギーの差は本計算では0.
07eVであり、これは第一原理計算の0.09eV
(文献10)とよく一致し、本計算の信頼性を示してい
る。
【0024】次にC20フラーレンを構成要素とする炭素
クラスレート(C46格子)で同様な計算を行った。図4
に計算によって求められたC46格子、炭素立方ダイヤモ
ンド構造(CD)及び炭素グラファイト(graphite)構
造と仮想的な炭素単体結晶構造のエネルギー曲線を示し
た。図4からC46格子が非常に安定な結晶構造であるこ
とがわかる。炭素とシリコンの大きな違いは、グラファ
イト構造が安定相として存在するか否かである。図3に
示したようにシリコンのグラファイト構造はエネルギー
的に非常に高い。一方炭素ではよく知られているように
グラファイト構造が立方ダイヤモンド構造と同程度に安
定である(図4)。そこで炭素グラファイトからの圧力
誘起相転移によって、炭素クラスレートの製造が可能で
あるかどうかを次のように検討した。図4で原子体積の
関数としての凝集エネルギー曲線が得られている。これ
をルジャンドル変換(「物理学辞典(増刷版)」(1994)
培風館 p.2267 、文献14)することによって、圧力に
対するエンタルピー変化を得ることができる。それを図
5に示した。98kbarを境にC46格子と炭素グラフ
ァイト相のエンタルピーの上下関係が入れ替わってい
る。これはT=0Kで98kbarで炭素グラファイト
からC46格子に圧力誘起相転移が起こることを示してい
る。
【0025】以上の結果から明らかなように、Tersoff
型ポテンシャルを用いた計算で、構造予測、体積弾性率
予測、圧力相転移における転移圧が実験に劣らない精度
で求められる。そこで前述の計算結果をもとにグラファ
イトに圧縮圧力をかけることにより、C20フラーレンを
構成要素とする炭素クラスレートの合成に成功するに至
った次第である。
【0026】実施の形態に係るクラスレートは炭素原子
からなる骨格結晶構造が、基本単位格子中に46個の炭
素原子を有し、C20フラーレンを構成要素とし、各々の
20フラーレンが次のような位置に配置されている。
【0027】正12面体型C20フラーレンを仮定し、こ
れからなる体心立方(bcc)格子を考えると、正12
面体型C20フラーレンのような正20面体群の対称性を
持つユニットを立方対称場の中に置く場合、点群として
実現可能な最も高い対称性はTh対称である。さらにこ
の場合、x軸(あるいはy軸またはz軸)のまわりに9
0°回転してお互いと入れ替わる2つの同等な置き方が
存在する。体心立方格子は、体心位置の格子点からなる
単純立方(sc)格子と立方体頂点の格子点からなる単
純立方格子の2つの同等な副格子の組み合わせから得ら
れる。
【0028】上記C20フラーレンからなる体心立方格子
で、一方の副格子上にTh対称となる2種の置き方の1
つでC20フラーレンを配置し、他方の副格子上に90°
回転したもう1つのTh対称となる置き方でC20フラー
レンを配置する。
【0029】上記C20フラーレンからなる体心立方格子
では、1つの体心に位置したC20フラーレンを考える
と、これは8個の最近接C20フラーレンに囲まれる。こ
の最近接C20フラーレン間の最も近い炭素原子同士は化
学結合で結ばれる。
【0030】上記方法で1つの体心に位置したC20フラ
ーレンを考えると、このフラーレン上の炭素原子でまだ
4配位になっていない炭素原子が12個存在する。上述
のように2種の方向を向いてC20フラーレンを配置する
ことにより、格子点あたり6個ある体心立方格子の歪ん
だ4面体型格子間位置のうち半数(3個)は、その格子
間位置を取り囲む4つのC20フラーレンの4配位してい
ない炭素原子のダングリングボンドが、この格子間位置
に向いたものとなる。この格子間位置に新たに炭素原子
を加えることにより、全ての炭素が4配位となる。その
組成はC20フラーレンの向きの違いを考慮すると、(C
3202 =C46となる。
【0031】本発明の炭素クラスレートは、グラファイ
トを圧縮することにより、製造される。
【0032】また、グラファイトからの圧縮という合成
方法に限定されるものではなく、文献8、9に示されて
いるようなSi系と同様な化学的な合成方法も考えられ
る。さらに5員環を基調とする請求項(1)に示すC46
籠状格子は、アモルファス炭素との局所的な構造の類似
性が見られ、アモルファス相からのアニーリングプロセ
スでC46籠状格子が得られる可能性もある。
【0033】また、炭素単体の炭素クラスレートに金属
元素等の他の元素が混じっていてもかまわない。重要な
のは包接格子の構造が、請求項(1)に示した構造をと
ることであり、金属元素等は他のクラスレートのように
空間的に広い籠内を占有することが予想される。例えば
アルカリ金属元素を包接させる場合には、アルカリ金属
の蒸気と蒸気炭素クラスレートとを混合して加熱すれば
よく、かかる方法により、アルカリ金属を炭素クラスレ
ート内に吸着させることができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明に係るクラスレート及びその製
造方法の実施例について説明する。
【0035】ダイヤモンドアンビル型高圧装置(「物理
学辞典(増刷版)」(1994) 培風館p.1193 、文献1
5)にグラファイトを挿入し、室温で140kbar程
度の静水圧を加えた。1週間程度の放置後試料を取り出
し、X線回折で試料の構造解析を行った。
【0036】構造解析によって得られた、C46格子の格
子定数、単位格子内の内部座標、原子間結合長を下記の
表5に示す。
【0037】
【表5】
【0038】さらに図6にC46格子の基本単位格子の結
合角分布を示した。C46格子は立方空間群Pm3バーn
に属し、3種類の等価でない原子と4種類の等価でない
結合から結晶が構成されている。これらのことから目的
とするクラスレートが合成されていることが確認され
た。
【0039】引っ張り試験等の材料強度解析を行ったと
ころ、体積弾性率でダイヤモンドの約84%程度の硬度
を有していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るC46格子の結晶構造を説明する原
子配置図。四角で囲った部分がC20フラーレンを示す。
【図2】本発明に係るC46格子を構成する構成要素であ
るC20フラーレンを示す原子配置図。
【図3】Si46格子、シリコン立方ダイヤモンド構造、
シリコングラファイト構造の原子体積に対する凝集エネ
ルギー曲線を示す図。横軸はシリコン立方ダイヤモンド
構造の原子体積を実験値で規格化した値を示す。
【図4】C46格子、炭素立方ダイヤモンド構造、炭素グ
ラファイト構造及び仮想的な結晶構造の原子体積に対す
る凝集エネルギー曲線を示す図。横軸は炭素立方ダイヤ
モンド構造の原子体積を実験値で規格化した値を示す。
【図5】C46格子と炭素グラファイト構造の静水圧に対
するエンタルピー曲線を示す図。
【図6】本発明の実施例に係るC46格子における基本単
位格子内の結合角分布を示す図。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 包接格子が炭素原子からなるクラスレー
    トであって、C20フラーレンが体心立方構造の体心位
    置、及び頂点位置に配置され、頂点位置のC20フラーレ
    ンの向きが、体心位置のC20フラーレンをx軸、y軸、
    またはz軸のまわりに90度回転させた向きであり、各
    フラーレン間に1つの炭素原子が配置されて前記包接格
    子が構成されていることを特徴とするクラスレート。
JP8007814A 1996-01-19 1996-01-19 クラスレート Pending JPH09202609A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001335309A (ja) * 2000-05-24 2001-12-04 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd クラスレート化合物半導体およびその製造方法
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