JP4551642B2 - 晶析処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ素、リン、金属元素をはじめとする晶析対象成分を含む原水から、当該晶析対象成分を晶析により除去する晶析処理方法に関する。
工場などからの排水の水質については厳しい制限がなされているが、その規制は年々厳しくなる傾向にある。電子産業(特に半導体関連)、発電所、アルミニウム工業などから排出される排水中には、フッ素、リン、金属元素という、近年厳しい排水基準が設けられている元素が含まれている場合が多い。このため、これらを排水から効率良く除去することが求められており、フッ素、リン、金属元素を除去する従来技術の1つとして晶析除去法が知られている。
フッ素の晶析除去法としては、フッ素を含む排水に、水酸化カルシウム(Ca(OH))、塩化カルシウム(CaCl)、炭酸カルシウム(CaCO)をはじめとするカルシウム化合物を添加し、式(I)に示されるように、難溶性のフッ化カルシウムを生じさせることを基本とする。
Ca2++2F→ CaF↓ (I)
特許文献1には、フッ素とカルシウムを含有する種晶を充填した反応槽にフッ素含有排水をカルシウム剤と共に導入して、種晶上にフッ化カルシウムを析出させる、いわゆるフッ化カルシウム晶析法が開示されている。この晶析法においては、一般的に、反応槽の底部から排水を導入し、種晶を流動化させながら上向流で通水して処理を行い、必要に応じて反応槽からの流出水を循環している。この方法によると、フッ素含有量が低減された処理水を得ることができるだけでなく、析出するフッ化カルシウムをペレットとして比較的高純度で回収でき、用途に応じてこれを再利用することも可能である。
リンの晶析除去法としては、リン酸の形態でリンを含む排水に、水酸化カルシウム(Ca(OH))、塩化カルシウム(CaCl)をはじめとするカルシウム化合物を添加し、式(II)および(III)に示されるように、難溶性のリン酸カルシウムおよびリン酸ヒドロキシアパタイト(以下、リン酸カルシウム等という)を生じさせることを基本とする。
3Ca2++2PO 3− → Ca(PO↓ (II)
5Ca2++OH+3PO 3− → CaOH(PO↓ (III)
リンの晶析除去法の1つとしては、リンとカルシウムを含有する種晶、または砂や活性炭などの微細粒子を充填した反応槽に、リン含有排水をカルシウム化合物と共に導入して、種晶上にリン酸カルシウム等を析出させる、いわゆるリン酸カルシウム晶析法がある。
また、晶析除去法は、金属元素、例えば、銅をはじめとする重金属元素、およびカルシウムをはじめとする重金属以外の金属元素を晶析除去する場合にも適用可能である。
フッ素、リンおよび金属元素(例として、カルシウムおよび銅)の晶析除去における代表的な晶析反応を以下に示す。
2HF+CaCl → CaF↓+2HCl (IV)
2HPO+3CaCl → Ca(PO↓+6HCl (V)
Ca(OH)+NaCO → CaCO↓+2NaOH (VI)
Cu(OH)+NaCO → CuCO↓+2NaOH (VII)
式(IV)および(V)においては、弱酸であるHFやHPOが、晶析用薬液に含まれる晶析反応成分であるCaと反応してCa塩が析出するとともに、強酸であるHClが生成するため、処理水のpHが低下する。ここで、晶析反応成分であるカルシウムのソースとしては、水への溶解度、経済性などからCaClを使用するのが一般的である。また、経済性という観点から、Ca(OH)やCaCOを使用する場合があるが、この場合、これらのカルシウム化合物は酸、特にHClで溶解して使用されるのが一般的であり、この場合においても、晶析反応によりHClが生成して処理水のpHは低下する。また、カルシウムのソースとして塩化物塩以外を使用する場合であっても、原水を晶析処理する際にpHの変化が生じる。
式(VI)および(VII)は弱塩基であるCa(OH)とCu(OH)がCO 2−と反応してCO塩が析出するとともに、強塩基であるNaOHが生成して処理水のpHが上昇する。ここで、晶析反応成分であるCO 2−のソースとしては、水への溶解度、経済性などからNaCOを使用するのが一般的である。また、CO 2−ソースとして、炭酸ガスや炭酸水素塩も使用可能であるが、この場合はNaOH等のアルカリを併用してpHを上昇させて、これら炭酸化合物からCO 2−を生じさせ、これを反応に用いるのが一般的であり、この場合においても、NaOHが生成して処理水のpHが上昇する。
上記式(IV)〜(VII)で例示される場合だけでなく、晶析反応においては、一般に、晶析反応によって酸、塩基が生じるので、晶析反応に供される原水と、晶析反応により生じる処理水のpHは相違することとなる。すなわち、晶析反応においては、反応が進行するにつれて晶析反応の反応場でのpHが変化する。晶析反応においては、その反応場でのpHの変化が晶析反応におけるペレット生成および晶析処理水の水質に影響を及ぼすだけでなく、その他にも、晶析装置の接液部における腐食、スケーリング等をもたらす場合がある。また、晶析反応場でのpHが晶析物質の生成速度や生成状態に関与しており、特に、反応場でのpHを制御することが、微細結晶の発生による処理水の白濁を防止する制御方法としても重要であることが解明されつつある。このため、晶析反応においては、晶析反応槽内での晶析反応の制御と効率化を図るべく、晶析反応場でのpHが適切な範囲に維持されることが望まれる。
しかし、従来より、晶析反応場のpHを直接的に適切な範囲に維持する具体的なフローは知られておらず、代替的な方法として、原水のpHを予め一定範囲に調整することにより、間接的に晶析反応場のpHを管理しようとする方法が一般
的となっている。
特開昭60−206485号
晶析反応において、原水のpHをあらかじめ一定範囲に調節するという従来方法では、原水の性状、すなわち、原水中の晶析対象物質や、その他の共存物質の濃度の変動が小さい場合には大きな問題が生じない。しかし、これら原水中の晶析対象物質や、その他の共存物質の濃度の変動が大きい場合には、原水のpHを一定範囲にしたとしても、晶析対象成分などの濃度変動に伴って、上述したような晶析反応によるpH変動も大きくなり、これにより、ペレットの純度低下、処理水の水質低下が生じるなど、安定した晶析処理が行えない。
一般に、工場などから排出される排水は、その性状の変動が大きいため、これを上記従来法で晶析処理する場合には、多くの場合において様々な問題が生じることがある。例えば、フッ化カルシウム晶析を例にあげると、原水のフッ素濃度の変動は、晶析反応量の変動をもたらし、それにより晶析反応場でのpH変動を生じさせる。そして、このpH変動は除去対象物質であるフッ素以外の析出をもたらすとともに、CaFの溶解度も変化させることから、処理水質、ペレット純度の点で問題が生じることとなる。
このように、従来法では原水のpHを一定範囲に調節したとしても、晶析対象物質、その他共存物質が変動することにより、晶析反応場でのpH変動をもたらし、それによる晶析反応の不安定化をもたらすという問題があった。
本発明者らは、原水、晶析用薬液、晶析反応部内液、または存在する場合には循環水のいずれか1以上に対して、晶析反応により生じた処理水のpHが所定の範囲内となるように、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うと共に、当該処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行うことにより、従来法と比較して、著しく安定した晶析処理を行うことができることを見出した。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、晶析処理方法において、原水、晶析用薬液、晶析反応部内液、または存在する場合には循環水のいずれか1以上に対して、晶析反応により生じた処理水のpHが所定の範囲内となるように、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うと共に、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行うことにより、従来法よりも著しく安定した晶析処理を行うことができる晶析処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、晶析対象成分を含む原水と、晶析反応成分を含む晶析用薬液とを晶析反応槽に供給し、該晶析反応槽内の種晶上に、晶析対象成分と晶析反応成分との反応物を析出させてペレットを形成させることにより、晶析対象成分が低減された処理水を生じさせ、該処理水の少なくとも一部を循環水として該晶析反応槽内に返送する晶析処理方法において、晶析対象成分がフッ素であり、晶析用薬液がカルシウム化合物を含む薬液であり、種晶がフッ化カルシウムであり、循環水に対して、処理水のpHが4.5〜5.5の範囲内となるように、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行い、さらに処理水のpHに連動したpH調整剤の供給とは独立して、原水に対して、原水のpHが6.5±0.5の範囲内となるように、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行うことを特徴とする晶析処理方法を提供する。
本発明は、晶析処理方法において、循環水に対して、晶析反応により生じた処理水のpHが4.5〜5.5の範囲内となるように、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うと共に、原水に対して、原水のpHが6.5±0.5の範囲内となるように、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行うことにより、原水中のフッ素濃度など、原水の性状の変動が大きく、従来の晶析処理法では安定的な晶析処理を行うことが困難な場合であっても、処理水中のフッ素濃度を安定的に低減でき、処理水のpHを安定化できるといった、従来の晶析処理方法におけるよりも著しく安定した晶析処理を行うことができるという有利な効果を有する。
本発明の第1の態様は、晶析対象成分を含む原水と、晶析反応成分を含む晶析用薬液とを晶析反応槽に供給し、該晶析反応槽内の種晶上に、晶析対象成分と晶析反応成分との反応物を析出させてペレットを形成させることにより、晶析対象成分が低減された処理水を生じさせる晶析処理方法において、原水、晶析用薬液および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHが所定の範囲内となるように、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行い、さらに処理水のpHに連動したpH調整剤の供給とは独立して、原水、晶析用薬液および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行うことを特徴とする、前記晶析処理方法に関する。
本発明の第2の態様は、晶析対象成分を含む原水と、晶析反応成分を含む晶析用薬液とを晶析反応槽に供給し、該晶析反応槽内の種晶上に、晶析対象成分と晶析反応成分との反応物を析出させてペレットを形成させることにより、晶析対象成分が低減された処理水を生じさせ、該処理水の少なくとも一部を循環水として該晶析反応槽内に返送する晶析処理方法において、原水、晶析用薬液、循環水および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHが所定の範囲内となるように、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行い、さらに処理水のpHに連動したpH調整剤の供給とは独立して、原水、晶析用薬液、循環水および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行うことを特徴とする、前記晶析処理方法に関する。
本発明において、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給とは、処理水のpHの変動に対応してpH調整剤を供給する態様をいい、本発明においては、処理水のpHが所定の範囲内となるように、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われる。供給方法は処理水のpHが所定の範囲内となるようなものであれば特に限定されるものではないが、例えば、処理水のpHがあらかじめ設定された範囲外となった場合に、処理水のpHを当該範囲内に戻すようにpH調整剤が供給される態様が挙げられる。より詳細には、処理水のpHを測定し、測定された処理水のpHが設定されたpHより大きくなる場合には、酸性のpH調整剤を対象に供給し、また測定された処理水のpHが設定されたpHより小さくなる場合には、アルカリ性のpH調整剤を対象に供給することにより、処理水のpHを所定の範囲内とする態様が挙げられる。ここで、所定の範囲として定められるpHの範囲としては、ある1点のpHの値であっても良いし、幅があっても良い。
所定の範囲内に維持されることが求められる処理水のpHの範囲は、晶析対象成分、晶析反応成分の種類、量、晶析条件、使用される装置、処理水に求められる水質、ペレット中の晶析対象成分の純度などに応じて適宜設定されるものであり、特に限定されるものではないが、最適なpHに対して±1.0の範囲であるのが好ましく、最適なpHに対して±0.5の範囲であるのがより好ましく、最適なpHに対して±0.2の範囲であるのがさらにより好ましい。
処理水のpHに連動したpH調整剤の供給は、所定の範囲として定められたpHに対する変動の程度が大きくなるにつれて、pH調整剤の供給量を増加させる態様が可能である。pH調整剤の供給量の調節は、単位時間あたりのpH調整剤の供給量を調節する態様であっても良いし、単位時間あたりのpH調整剤の供給量は同じであるが、供給時間を調節するような態様であっても良い。pH調整剤の供給量、種類、濃度などの諸条件は、pH調整剤が供給される対象、供給される装置中の場所、晶析対象成分、晶析反応成分の種類、量、晶析条件、使用される装置などに応じて適宜設定されるものであり、特に限定されるものではない。
処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われる対象は、晶析処理方法が処理水の循環を行わない態様においては、原水、晶析用薬液および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上であり、晶析処理方法が処理水の少なくとも一部を循環水として晶析反応槽内に返送する態様においては、原水、晶析用薬液、循環水および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上である。なお、本発明の方法において、処理水の少なくとも一部が循環水として使用され、当該循環水にpH調整剤の供給が行われる場合があるが、このような場合の循環水のpHは、本発明の「処理水のpHに連動したpH調整剤の供給」における「処理水のpH」には該当しない。
いずれの場合においても、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われる対象は単一であっても良いし、複数であっても良い。また、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給は、上述の対象に対して行われるのであれば、晶析処理方法に使用される晶析反応装置の任意の部分で供給されても良い。例えば、後述するが、原水が原水槽に貯留され、原水供給ラインを介して晶析反応槽に供給されるような態様において、原水に対して処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われる場合には、原水槽にpH調整剤が供給されても良いし、原水供給ラインにpH調整剤が供給されても良いし、この両方にpH調整剤が供給されても良い。
処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給とは、pH調整剤の供給が処理水のpHの変動に対応して行われるものではないことを意味し、すなわちpH調整剤の供給が処理水のpH以外の何らかのパラメータに対応して行われることを意味する。処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給は、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給とは独立して行われるものである。
なお、pH調整剤の供給が処理水のpH以外の何らかのパラメータに対応して行われるのであれば、当該pH調整剤の供給の結果、処理水のpHが変動したとしても、当該pH調整剤の供給は「処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給」に該当する。
処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給における供給方法は特に限定されるものではないが、例えば、原水および/または循環水のpHを所定の範囲内にするようにpH調整剤の供給が行われる、原水中の晶析対象成分の濃度に応じてpH調整剤の供給が行われる、処理水中の晶析対象成分の濃度に応じてpH調整剤の供給が行われる、一定量のpH調整剤の供給が行われるなどの、処理水のpH以外の何らかのパラメータに応じてpH調整剤が供給される態様が挙げられる。処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給としては、原水および/または循環水のpHを所定の範囲内にするように、原水および/または循環水にpH調整剤を供給する態様が好ましい。
処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給が行われる対象は、晶析処理方法が処理水の循環を行わない態様においては、原水、晶析用薬液および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上であり、晶析処理方法が処理水の少なくとも一部を循環水として晶析反応槽内に返送する態様においては、原水、晶析用薬液、循環水および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上である。いずれの場合においても、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給が行われる対象は単一であっても良いし、複数であっても良い。また、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給は、上述の対象に対して行われるのであれば、晶析処理方法に使用される晶析反応装置の任意の部分で供給できる。
処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給が行われる対象は、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われる対象と同一であっても、異なっていても良い。また、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給と、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が同一の対象に対して行われる場合には、これら双方の供給が、晶析処理方法に使用される晶析反応装置の同一の部分で行われても良いし、異なる部分で行われても良く、特に限定されるものではないが、これら双方の供給が晶析反応装置の異なる部分で行われるのが好ましい。
本発明の好ましい態様として、以下の態様が挙げられる。なお、以下の態様のそれぞれが組合わされるような態様も本発明の範囲内のものである。
1態様として、原水、晶析用薬液および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行い、前記供給が行われた原水、晶析用薬液および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行う態様が挙げられる。
他の態様として、原水、晶析用薬液および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行い、前記供給が行われた原水、晶析用薬液および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行う態様が挙げられる。
さらなる態様として、原水、晶析用薬液および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行い、前記供給が行われない、原水、晶析用薬液および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行う態様が挙げられる。
また、晶析処理方法が処理水の少なくとも一部を循環水として晶析反応槽内に返送する場合における、本発明の好ましい態様として、以下の態様が挙げられる。なお、以下の態様のそれぞれが組合わされるような態様も本発明の範囲内のものである。
1態様として、原水、晶析用薬液、循環水および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行い、前記供給が行われた原水、晶析用薬液、循環水および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行う態様が挙げられる。
他の態様として、原水、晶析用薬液、循環水および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行い、前記供給が行われた原水、晶析用薬液、循環水および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行う態様が挙げられる。
さらなる態様として、原水、晶析用薬液、循環水および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行い、前記供給が行われない、原水、晶析用薬液、循環水および晶析反応部内液からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行う態様が挙げられる。
本発明において晶析処理される原水は、晶析処理により除去される晶析対象成分を含むものであれば、如何なる由来の原水であっても良く、例えば、半導体関連産業をはじめとする電子産業、発電所、アルミニウム工業などから排出される原水が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明における原水中の晶析対象成分としては、晶析反応により晶析し、原水から除去可能である任意の元素が挙げられ、特に限定されるものではない。また、晶析対象成分となる元素の種類は1種類であっても良いし、2種類以上であっても良い。特に、原水中における存在が問題となるという観点から、本発明の晶析対象成分としては、フッ素、リンおよび金属元素(特に重金属元素)、並びにこれらの混合物が挙げられる。また、重金属元素としては、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ag、Cd、Hg、Sn、Pb、Teが挙げられるが、これに限定されるものではない。
晶析対象成分となる元素は、晶析反応により晶析するのであれば、任意の状態で原水中に存在することが可能である。原水中に溶解しているという観点から、晶析対象成分はイオン化した状態であるのが好ましい。晶析対象成分がイオン化した状態としては、例えば、F、Cu2+等をはじめとする原子がイオン化したもの、メタリン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、三リン酸、四リン酸、亜リン酸等をはじめとする化合物がイオン化したもの、また、重金属等の錯イオンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明で処理することができる、原水中の晶析対象成分の濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、晶析対象成分がフッ素の場合には、好ましくはフッ化物イオン濃度として5ppm以上、より好ましくは、20ppm以上、さらにより好ましくは50ppm以上である。また、晶析対象成分がリン酸イオン(リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンの合計として)の場合には、リン酸イオン濃度として1ppm以上、より好ましくは、5ppm以上、さらにより好ましくは10ppm以上である。また、晶析対象成分がカルシウムの場合には、カルシウムイオン濃度として5ppm以上、より好ましくは、10ppm以上、さらにより好ましくは20ppm以上である。また、晶析対象成分が銅の場合には、銅イオン濃度として5ppm以上、より好ましくは、10ppm以上、さらにより好ましくは20ppm以上である。
また、本発明の晶析処理方法は原水中の晶析対象成分が変動する場合であっても良好な晶析処理を行うことができる。よって、晶析処理の過程における、原水中の晶析対象成分の最大濃度/最少濃度の比率が5倍以下である場合に本発明の晶析処理方法が適用されるのが好ましく、より好ましくは、当該最大濃度/最少濃度の比率は10倍以下であり、さらにより好ましくは、当該最大濃度/最少濃度の比率は20倍以下である。
晶析用薬液としては、晶析対象成分と反応して難溶性化合物を形成することにより、原水中から晶析対象成分を除去できるものであれば、任意の化合物を含む薬液を使用することができ、除去されるべき晶析対象成分に応じて適宜設定される。また、晶析用薬液に含まれる、晶析対象成分と反応する晶析反応成分は1種類であっても良いし、複数種類であっても良い。なお、本明細書における「晶析反応成分」とは、例えば、フッ素を晶析除去する場合のカルシウムのように、晶析対象成分と反応して不溶性化合物を晶析させる成分をいう。また、薬液を構成する液体媒体としては、本発明の目的に反しない限りは任意の物質が可能であり、好ましくは水である。
例えば、晶析対象成分がフッ素の場合には、晶析用薬液としては、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウムをはじめとするカルシウム化合物、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウムをはじめとするマグネシウム化合物、水酸化ストロンチウム、塩化ストロンチウムをはじめとするストロンチウム化合物を含む薬液、またはこれらの混合物を含む薬液が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、フッ素と反応して形成されるフッ化物の溶解度が低いという観点から、晶析用薬液としては、マグネシウム化合物および/またはカルシウム化合物を含む薬液が好ましく、より好ましくは、カルシウム化合物を含む薬液である。
晶析対象成分がリン元素であり、原水中にリン酸等のリン化合物として存在している場合には、晶析用薬液としては、水酸化カルシウム、塩化カルシウムをはじめとするカルシウム化合物、塩化バリウムをはじめとするバリウム化合物、塩化マグネシウムをはじめとするマグネシウム化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。リン酸等の形態のリンと反応して形成される化合物の溶解度が低いという観点から、晶析用薬液としては、カルシウム化合物および/またはバリウム化合物を含む薬液が好ましい。また、リン酸をMg(PO、MgNHPOの形態で容易に晶析させることができるという観点から、マグネシウム化合物を含む薬液も好ましい。
晶析対象成分が上述の重金属である場合には、晶析用薬液としては、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムをはじめとする、水に溶解された場合にアルカリ性を示すアルカリ化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
晶析対象成分が原水中に複数種類存在し、この中の全部もしくは2以上の成分の晶析除去が望まれる場合には、除去が望まれる晶析対象成分のいずれに対しても難溶性塩を形成できる晶析用薬液が適宜選択される。例えば、晶析対象成分としてフッ素とリン酸を含む場合には、晶析用薬液としては、フッ素およびリン酸のいずれにも適したカルシウム化合物を含む薬液が使用されても良いし、また、それぞれに適した複数の化合物を含むものでも良い。また、晶析用薬液は、これら1種類の化合物から調製されるものであっても良いし、2以上の化合物から調製されるものであっても良い。さらに、晶析用薬液は、晶析反応成分が完全に液体媒体中に溶解された溶液状態であっても良いし、晶析反応成分の全部または一部が固体として残存するスラリーの状態でも良い。
晶析用薬液中の晶析反応成分の濃度は、原水中の晶析対象成分の濃度、処理水中の晶析対象成分の濃度、晶析反応槽の処理能力等に応じて適宜設定されるものであり、本発明の目的に反しない限りは特に限定されるものではない。
例えば、フッ化カルシウムを晶析する場合には、原水中に含まれるフッ素量に相当する量(フッ素量に対する当量相応分)、すなわちモル比でいうとフッ素(Fとして):カルシウム(Caとして)=2:1となる量のカルシウムが少なくとも存在することが望ましく、フッ素量に対する当量相応分にあたるカルシウム要求量は、次の式(VIII)により求めることができる。
式(VIII):カルシウム要求量=原水中に含まれるフッ素濃度×20/19
フッ素を晶析させるためには、式(VIII)で示されるカルシウム要求量に対し、カルシウムが大過剰に存在していることが望ましく、具体的には式(VIII)のカルシウム要求量に対して、さらに200〜600mgCa/Lのカルシウムが過剰になるようにカルシウムを添加することが望ましい。フッ素を析出させるためのカルシウム量の調整はフッ素を晶析した後の処理水中の残留カルシウム濃度を指標として制御することができ、すなわち、残留カルシウム濃度が200〜600mgCa/Lとなるように制御することが望ましい。
本発明の方法においては、晶析反応槽内に晶析対象成分を含む原水および晶析反応成分を含む晶析用薬液が供給され、晶析反応槽内において種晶が充填されている部分である晶析反応部において、種晶上に反応物が析出する晶析反応が起こりペレットが形成される。また、晶析対象成分が低減された処理水が晶析反応部から排出される。また、本発明の方法においては、処理水の少なくとも一部分、好ましくは処理水の一部分を循環水として晶析反応槽内に返送することができる。本発明においては、原水、晶析用薬液、および存在する場合には循環水の供給量は、原水中の晶析対象成分の濃度、要求される処理水中の晶析対象成分の濃度、晶析反応槽の処理能力等に応じて適宜設定される。
本発明の方法において晶析反応部内液とは、晶析反応槽内において種晶および/またはペレットが充填された部分、すなわち晶析反応槽の晶析反応部に存在する液体をいう。ただし、本明細書においては、原水が晶析反応部に導入される前に、晶析反応槽内で循環水と混合される態様においては、当該原水と循環水の混合物も晶析反応部内液に包含される。
pH調整剤としては、原水、晶析用薬液、晶析反応部内液および循環水に添加可能であって、処理水のpHを所定の範囲内にでき、本発明の目的に反しないものであれば特に限定されるものではない。例えば、pH調整剤としては、塩酸、硝酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを使用することが可能である。また、pH調整剤は前記酸、アルカリの水溶液であっても良く、この場合の酸、アルカリの濃度は特に限定されるものではない。
処理水のpHに連動したpH調整剤の供給と処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給に使用されるpH調整剤としては、同一の化合物が使用されても良いし、異なる化合物が使用されても良い。
本発明の晶析処理方法に使用可能な晶析反応装置としては、本発明の晶析処理方法を行うことができる晶析反応装置であれば、特に限定されるものではない。
好ましい晶析反応装置の1態様として、
晶析反応部に種晶が充填された晶析反応糟と、
原水を貯留する原水槽と、原水槽から晶析反応槽に原水を供給する原水供給ラインと、
晶析用薬液を貯留する晶析用薬液貯留槽と、晶析用薬液貯留槽から晶析反応糟に晶析用薬液を供給する晶析用薬液供給ラインと、
晶析反応槽から処理水を排出する処理水排出ラインと、
処理水のpHを測定するpH測定手段と、
原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ラインおよび晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上に、処理水のpHに連動してpH調整剤を供給する、処理水pH連動性pH調整剤供給手段と、
原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ライン、および晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動せずにpH調整剤を供給する、処理水pH非連動性pH調整剤供給手段とを具備する晶析反応装置が挙げられる。
前記晶析反応装置を用いた本発明の晶析処理方法の1態様としては、前記晶析反応装置を用いて、晶析対象成分を含む原水と、晶析反応成分を含む晶析用薬液とを晶析反応槽に供給し、該晶析反応槽内の種晶上に、晶析対象成分と晶析反応成分との反応物を析出させてペレットを形成させることにより、晶析対象成分が低減された処理水を生じさせる晶析処理方法において、原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ライン、および晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHが所定の範囲内となるように、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行い、さらに処理水のpHに連動したpH調整剤の供給とは独立して、原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ライン、および晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行うことを特徴とする前記晶析処理方法が挙げられる。
本発明の晶析処理方法のより好ましい態様としては、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われない、原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ライン、および晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行う晶析処理方法が挙げられる。
また、好ましい晶析反応装置の他の態様として、
晶析反応部に種晶が充填された晶析反応糟と、
原水を貯留する原水槽と、原水槽から晶析反応槽に原水を供給する原水供給ラインと、
晶析用薬液を貯留する晶析用薬液貯留槽と、晶析用薬液貯留槽から晶析反応糟に晶析用薬液を供給する晶析用薬液供給ラインと、
晶析反応槽から処理水を排出する処理水排出ラインと、
該晶析反応糟から排出される処理水の少なくとも一部を循環水として貯留する循環水槽と、循環水槽から晶析反応槽に循環水を供給する循環水供給ラインと、
処理水のpHを測定するpH測定手段と、
原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ライン、循環水槽、循環水供給ラインおよび晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上に、処理水のpHに連動してpH調整剤を供給する、処理水pH連動性pH調整剤供給手段と、
原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ライン、循環水槽、循環水供給ラインおよび晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動せずにpH調整剤を供給する、処理水pH非連動性pH調整剤供給手段とを具備する晶析反応装置が挙げられる。
前記晶析反応装置を用いた本発明の晶析処理方法の1態様としては、前記晶析反応装置を用いて、晶析対象成分を含む原水と、晶析反応成分を含む晶析用薬液とを晶析反応槽に供給し、該晶析反応槽内の種晶上に、晶析対象成分と晶析反応成分との反応物を析出させてペレットを形成させることにより、晶析対象成分が低減された処理水を生じさせ、該処理水の少なくとも一部を循環水として該晶析反応槽内に返送する晶析処理方法において、原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ライン、循環水槽、循環水供給ラインおよび晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHが所定の範囲内となるように、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行い、さらに処理水のpHに連動したpH調整剤の供給とは独立して、原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ライン、循環水槽、循環水供給ラインおよび晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行うことを特徴とする前記晶析処理方法が挙げられる。
本発明の晶析処理方法のより好ましい態様としては、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われない、原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ライン、循環水槽、循環水供給ラインおよび晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上に対して、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行う晶析処理方法が挙げられる。
上記晶析処理装置を用いた本発明の態様においては、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われる場所は、晶析処理方法が処理水の循環を行わない態様においては、原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ラインおよび晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上であり、晶析処理方法が処理水の少なくとも一部を循環水として晶析反応槽内に返送する態様においては、原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ライン、循環水槽、循環水供給ラインおよび晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上である。いずれの場合においても、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われる場所は単一であっても良いし、複数であっても良い。
上記晶析処理装置を用いた本発明の態様においては、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給が行われる場所は、晶析処理方法が処理水の循環を行わない態様においては、原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ラインおよび晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上であり、晶析処理方法が処理水の少なくとも一部を循環水として晶析反応槽内に返送する態様においては、原水槽、原水供給ライン、晶析用薬液貯留槽、晶析用薬液供給ライン、循環水槽、循環水供給ラインおよび晶析反応槽の晶析反応部からなる群から選択される1以上である。いずれの場合においても、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給が行われる場所は単一であっても良いし、複数であっても良い。
処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われる場所と、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給が行われる場所は、上記例示された場所において、同一の場所であっても良いし、異なる場所であっても良いが、より精密な晶析処理の制御を行うという観点から、異なる場所でそれぞれによるpH調整剤の供給が行われるのが好ましい。
処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われる場所が、原水槽または循環水槽である場合には、これらの槽は容量が大きいので精度の高い調整を行うことができるという利点がある。また、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われる場所が、原水供給ライン、晶析用薬液供給ライン、または循環水供給ラインである場合には、水質変動に伴う急速なpHの変動に対して良好に追従できるという利点がある。
本発明の好ましい態様として、以下の態様が挙げられる。
1.晶析反応槽への原水流入量が晶析用薬液の供給量および循環水流入量よりも多く、原水中の晶析対象成分濃度をはじめとする原水の性状が比較的安定している場合には、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給として、原水槽に貯留された原水のpHに応じたpH調整剤の供給が原水槽において行われ、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が原水供給ラインにおいて行われるのが好ましい。原水のpHを調整するだけでは晶析処理条件を高度なレベルまで安定化するのは困難であるが、原水供給ラインにおいて処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うフィードバック制御により、晶析処理条件の微調整が可能となる。
2.晶析反応槽への原水流入量が晶析用薬液の供給量および循環水流入量よりも多く、原水中の晶析対象成分濃度をはじめとする原水の性状が比較的安定している場合には、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給として、原水槽に貯留された原水のpHに応じたpH調整剤の供給が原水槽において行われ、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が晶析用薬液供給ラインにおいて行われるのが好ましい。原水のpHを調整するだけでは晶析処理条件を高度なレベルまで安定化するのは困難であるが、晶析用薬液供給ラインにおいて処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うフィードバック制御により、晶析処理条件の微調整が可能となる。
3.原水中の晶析対象成分濃度をはじめとする原水の性状の変動が比較的大きい場合には、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給として、原水槽に貯留された原水のpHに応じたpH調整剤の供給が原水槽において行われ、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が循環水槽において行われるのが好ましい。原水のpHを調整するだけでは晶析処理条件を高度なレベルまで安定化するのは困難であるが、循環水槽において処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うフィードバック制御により、晶析処理条件の微調整が可能となる。なお、この態様は、上記1および2の態様よりも晶析処理条件の安定化に優れている。
4.晶析反応槽への原水流入量が循環水流入量よりも少ない場合、原水のpHが弱酸性から弱アルカリ性であり晶析反応槽内でのpH変動に影響が少ない場合、および/または原水中にカルシウムなど、pH調整によって懸濁物質が生じる可能性のある物質が共存する場合には、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給として、循環水槽に貯留された循環水のpHに応じたpH調整剤の供給が循環水槽において行われ、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が循環水供給ラインにおいて行われるのが好ましい。循環水槽での循環水のpHを調整するだけでは晶析処理条件を高度なレベルまで安定化するのは困難であるが、循環水供給ラインにおいて処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うフィードバック制御により、晶析処理条件の微調整が可能となる。
5.晶析反応槽への循環水流入量が原水流入量よりも多い場合、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給として、循環水のpHに応じたpH調整剤の供給が循環水供給ラインにおいて行われ、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が原水供給ラインにおいて行われるのが好ましい。循環水のpHを調整するだけでは晶析処理条件を高度なレベルまで安定化するのは困難であるが、原水供給ラインにおいて処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うフィードバック制御により、晶析処理条件の微調整が可能となる。また、この態様は、急速なpHの変動に対して追従可能である。
6.晶析反応槽への原水流入量が循環水流入量よりも多い場合、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給として、原水のpHに応じたpH調整剤の供給が原水供給ラインにおいて行われ、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が循環水供給ラインにおいて行われるのが好ましい。原水のpHを調整するだけでは晶析処理条件を高度なレベルまで安定化するのは困難であるが、循環水供給ラインにおいて処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うフィードバック制御により、晶析処理条件の微調整が可能となる。また、この態様は、急速なpHの変動に対して追従可能である。
7.晶析反応槽への原水流入量が循環水流入量よりも多く、より高精度の晶析処理条件の微調整が求められる場合、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給として、原水槽に貯留された原水のpHに応じたpH調整剤の供給が原水槽において行われ、また循環水槽に貯留された循環水のpHに応じたpH調整剤の供給が循環水槽において行われ、さらに処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が原水供給ラインにおいて行われるのが好ましい。原水槽での原水、および循環水槽での循環水のpHを調整するだけでは晶析処理条件を高度なレベルまで安定化するのは困難であるが、これらと組合わせて、原水供給ラインにおいて処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うことにより、晶析処理条件の微調整が可能となる。また、この態様は、急速なpHの変動に対して追従可能である。
8.晶析反応槽への循環水流入量が原水流入量よりも多く、より高精度の晶析処理条件の微調整が求められる場合、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給として、原水槽に貯留された原水のpHに応じたpH調整剤の供給が原水槽において行われ、また循環水槽に貯留された循環水のpHに応じたpH調整剤の供給が循環水槽において行われ、さらに処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が循環水供給ラインにおいて行われるのが好ましい。原水槽での原水、および循環水槽での循環水のpHを調整するだけでは晶析処理条件を高度なレベルまで安定化するのは困難であるが、これらと組合わせて、循環水供給ラインにおいて処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うことにより、晶析処理条件の微調整が可能となる。また、この態様は、急速なpHの変動に対して追従可能である。
9.晶析反応槽への晶析用薬液の供給量が比較的多く、より高精度の晶析処理条件の微調整が求められる場合、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給として、原水槽に貯留された原水のpHに応じたpH調整剤の供給が原水槽において行われ、また循環水槽に貯留された循環水のpHに応じたpH調整剤の供給が循環水槽において行われ、さらに処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が晶析用薬液供給ラインにおいて行われるのが好ましい。原水槽での原水、および循環水槽での循環水のpHを調整するだけでは晶析処理条件を高度なレベルまで安定化するのは困難であるが、これらと組合わせて、晶析用薬液供給ラインにおいて処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うことにより、晶析処理条件の微調整が可能となる。また、この態様は、急速なpHの変動に対して追従可能である。
図1に本発明の晶析処理方法に使用可能な晶析反応装置の1態様の概略図を示し、これに基づいて本発明を詳述する。晶析反応装置は、晶析処理が行われ、晶析対象成分が低減された処理水を排出する晶析反応槽1と、晶析対象成分を含む原水を晶析反応槽1に供給する原水供給手段と、晶析用薬液を晶析反応槽1に供給する晶析用薬液供給手段とを具備し、任意に、該晶析反応槽1から排出される処理水の少なくとも一部を循環水として晶析反応槽1に返送する循環水循環手段とを具備する。本発明の方法においては、晶析反応槽から排出される処理水の少なくとも一部を循環水として晶析反応槽1に返送する態様が好ましい。
晶析反応槽1の晶析反応部2には種晶が充填されており、該種晶の表面上に、原水中に含まれる晶析対象成分と晶析用薬液中の晶析反応成分との反応物を析出させてペレットを形成させる晶析処理により、晶析対象成分が低減された処理水を得ることができる。例えば、晶析対象成分がフッ素であり、晶析反応成分がカルシウムの場合には、フッ化カルシウムペレットが形成され、フッ素が低減された処理水を得ることができる。晶析反応槽1は前記機能を有するものであれば、長さ、内径、形状などについては、任意の態様が可能であり特に限定されるものではない。また、晶析反応槽とあるが、本発明の目的に反しない限りは、名称に限定されるものではなく、反応塔、反応容器なども包含する。
晶析反応槽1の晶析反応部2に充填される種晶の充填量は、晶析対象成分を晶析処理により低減できるのであれば特に限定されるものではなく、原水中の晶析対象成分の濃度、晶析用薬液中の晶析反応成分の濃度、また、晶析反応装置の運転条件等に応じて適宜設定される。晶析反応装置においては、晶析反応槽1内に上向流を形成し、該上向流によってペレットが流動するような流動床の晶析反応槽1が好ましいので、種晶は流動可能な量で晶析反応槽1に充填されるのが好ましい。なお、晶析反応槽1内でペレットが流動する場合には、ペレットが展開している部分が晶析反応部2に該当する。
種晶は、本発明の目的に反しない限りは、任意の材質が可能であり、例えば、ろ過砂、活性炭、およびジルコンサンド、ガーネットサンド、サクランダム(商品名、日本カートリット株式会社製)などをはじめとする金属元素の酸化物からなる粒子、並びに、フッ化カルシウムなど晶析対象成分と晶析用薬液との晶析反応により生じる化合物等であることができるが、これらに限定されるものではない。個体粒子上で晶析反応が起こりやすく、晶析物の再利用にも有利であるとの観点から、晶析反応により生じる化合物と同じ化合物、例えば、原水中の晶析対象成分がフッ素であり、晶析用薬液がカルシウム化合物を含む薬液の場合には、フッ化カルシウムが種晶として使用されるのが好ましい。種晶の形状、粒径は、晶析反応槽1内での流速、晶析対象成分の濃度および晶析反応成分の濃度等に応じて適宜設定され、本発明の目的に反しない限りは特に限定されるものではない。
原水供給手段は、晶析対象成分を含む原水を晶析反応槽1に供給できるものであれば任意の態様が可能である。図1の態様においては、晶析反応槽1に連結された原水供給ライン3から、晶析対象成分を含む原水が晶析反応槽1に供給される。図1の態様においては、晶析対象成分を含む原水を送液するために、原水供給ライン3にポンプが介装されており、さらに原水供給ライン3には、原水を一旦貯留することができる原水槽4が連結されている。
晶析用薬液供給手段は、晶析用薬液を晶析反応槽1に供給できるものであれば任意の態様が可能である。図1の態様においては、晶析用薬液供給ライン5が、晶析用薬液を貯留する晶析用薬液貯留槽6と晶析反応槽1とを連結しており、晶析用薬液が当該晶析用薬液供給ライン5から晶析反応槽1に供給される。
原水供給ライン3および晶析用薬液供給ライン5は晶析反応槽1の任意の部分に接続することができる。本発明に使用可能な晶析反応装置においては、晶析反応槽1内に上向流を形成すると効率的に晶析反応を行うことができるという観点から、原水供給ライン3および晶析用薬液供給ライン5は晶析反応槽1の底部に接続されるのが好ましい。また、図1の態様においては、原水供給ライン3および晶析用薬液供給ライン5はそれぞれ1つであるが、これに限定されるものではなく、これらが複数設けられていても良い。
晶析反応槽1は、晶析処理により生じた、晶析対象成分が低減された処理水を該晶析反応槽1の外部に排出する。処理水は晶析反応槽1内において晶析反応部2から排出され、次いで晶析反応槽1における液体の流れに従って任意の部分から晶析反応槽1の外部に排出され得る。晶析反応槽1内で上向流が形成される場合には、晶析反応槽1の上部から処理水が排出される。図1の態様では、晶析反応部2の上方に排出される処理水は、次いで晶析反応槽1の上部から排出され、処理水排出ライン7を通って最終的に系外に排出される。図1の態様においては、処理水排出ライン7には循環水槽8が介装されているがこの設置は任意であり、また、通常の原水処理で使用されるその他の手段を設けることも可能である。
図1の晶析処理装置は、晶析反応槽1から排出される処理水の少なくとも一部を該晶析反応槽1に返送する循環水循環手段を有する。循環水循環手段としては、処理水の少なくとも一部を循環水として晶析反応槽1に返送できるものであれば任意の態様が可能であり、特に限定されるものではない。図1の態様においては、循環水循環手段として、循環水槽8と晶析反応槽1を連結する循環水供給ライン9が設けられており、該循環水循環ライン9には循環水移送のためのポンプが介装されている。循環水循環手段は、処理水を循環水として晶析反応槽1に循環させることにより、晶析反応槽1内に供給される原水を希釈すると共に、晶析用薬液と原水を混合し、さらに、晶析反応槽1内で所定の流れ、好ましくは上向流を形成させることができる。よって、晶析反応槽1内で上向流が形成される場合には、図1のように、循環水供給ライン9は晶析反応槽1の底部に接続されるような態様が好ましい。
また、図1の態様において循環水槽8は、循環される循環水と、系外に排出される処理水との分岐のための手段として機能し、循環水循環手段を形成しているが、循環水循環手段の形成はこの態様に限定されるものではなく、処理水排出ライン7から循環水供給ライン9が直接分岐するような態様など、任意の態様が可能である。
本発明においては、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うために、pH測定手段10によって、処理水のpHが測定される。処理水のpHの測定場所については特に限定されるものではなく、図1の態様においては、処理水排出ライン7にpH測定手段10が設けられ、処理水排出ライン7上で処理水のpHを測定するが、この態様に限定されるものではなく、例えば、晶析反応槽1から処理水が排出される出口付近など、晶析反応槽1内で処理水のpHを測定するようにpH測定手段10が設置されてもよい。pH測定手段としては、処理水のpHを測定できる任意の公知の装置を使用することができ、例えば、pH計、pHセンサーなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
また、本発明においては、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行うために、処理水pH連動性pH調整剤供給手段11によって、対象に対してpH調整剤の供給が行われる。図1の態様においては、処理水pH連動性pH調整剤供給手段11は、循環水槽8に対してpH調整剤を供給するが、これに限定されるものではなく、原水槽4、原水供給ライン3、晶析用薬液貯留槽6、晶析用薬液供給ライン5、晶析反応部2、または循環水供給ライン9にpH調整剤が供給される態様であってもよい。
処理水pH連動性pH調整剤供給手段11としては、pH測定手段10によって測定された処理水のpHに応じて、該処理水のpHが所定の範囲内となるように、対象に対してpH調整剤を供給できるのであれば任意の態様が可能であり、特に限定されるものではない。例えば、図1の態様のように、アルカリ性pH調整剤を貯留するアルカリ性pH調整剤貯槽12、アルカリ性pH調整剤を対象に供給するアルカリ性pH調整剤供給ライン13、酸性pH調整剤を貯留する酸性pH調整剤貯槽14、および酸性pH調整剤を対象に供給する酸性pH調整剤供給ライン15とを具備し、pH測定手段10により測定された処理水のpHに応じて、アルカリ性pH調整剤供給ライン13および酸性pH調整剤供給ライン15に介装されたポンプの流量を制御する態様であっても良いし、またpH測定手段10により測定された処理水のpHに応じて、開閉される流量制御弁がアルカリ性pH調整剤供給ライン13および酸性pH調整剤供給ライン15に介装される態様であってもよい。
また、図1の態様においては、処理水pH非連動性pH調整剤供給手段16により、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給が行われる。処理水pH非連動性pH調整剤供給手段16としては、処理水のpH連動せずに、対象に対してpH調整剤を供給できるのであれば任意の態様が可能であり、特に限定されるものではない。例えば、図1の態様のように、アルカリ性pH調整剤を貯留するアルカリ性pH調整剤貯槽17、アルカリ性pH調整剤を対象に供給するアルカリ性pH調整剤供給ライン18、酸性pH調整剤を貯留する酸性pH調整剤貯槽19、および酸性pH調整剤を対象に供給する酸性pH調整剤供給ライン20とを具備する態様が挙げられるがこれらに限定されるものではない。図1の態様においては、処理水pH非連動性pH調整剤供給手段16は、原水槽4に設けられたpH測定手段21により測定された原水のpHに応じて、アルカリ性pH調整剤供給ライン18および酸性pH調整剤供給ライン20に介装されたポンプの流量を制御して、pH調整剤を原水槽4に供給する態様であるが、この態様に限定されるものではなく、例えば、原水槽4に設けられた晶析対象成分測定手段によって測定された晶析対象成分の濃度に応じてpH調整剤を供給するような態様も可能である。
図1の態様においては、処理水pH非連動性pH調整剤供給手段16は原水槽4にpH調整剤を供給するように設置されているが、pH調整剤が供給される対象は原水槽4に限定されるものではない。
以下、実施例で本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1
精製水にフッ化ナトリウムおよびリン酸を溶解することにより調製した、フッ素およびリン酸を含有した原水を、図1に示される装置を用いて晶析処理を行った。原水中のフッ素濃度は、図2に示されるように、一定時間ごとにフッ素濃度で100〜500mgF/Lの範囲で変動させることにより、工場排水を模することとした。原水中のリン酸濃度は、リン酸濃度で100mgPO/L(リン濃度に換算すると32.6mgP/L)とした。なお、リン酸濃度は通水時間中変動させなかった。晶析反応槽としては、内径50mm×高さ2500mmの円柱型アクリルカラムを使用した。晶析部には種晶として蛍石(98.0%フッ化カルシウム含有)を充填量500mLで充填した。晶析反応槽に供給される原水の流量は20L/時間であった。また、晶析反応槽から排出される処理水を、流量60L/時間で晶析反応槽に循環させた。晶析用薬液として、塩化カルシウム溶液を、処理水中の残留カルシウム濃度が300〜500mgCa/Lの範囲となるように晶析反応槽に供給した。処理水のpHに連動したpH調整剤、および処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給には、pH調整剤として5%塩酸および5%水酸化ナトリウム水溶液を使用した。
処理水のpHに連動したpH調整剤の供給は、処理水排出ライン上に設けられたpHセンサーで処理水のpHを測定し、pH5.5を超えると循環水槽にpH調整剤である塩酸が供給され、pH4.5を下回ると循環水槽にpH調整剤である水酸化ナトリウム水溶液が供給され、pH4.5〜5.5の範囲ではこれらが供給されないように、pH調整剤供給ラインに介装されたポンプを駆動して行った。
処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給は、原水槽に設けられたpHセンサーで原水のpHを測定し、原水のpHが6.5±0.5となるようにpH調整剤を原水槽に供給することにより行われた。
晶析処理開始から、1時間ごとに処理水を採取し、処理水中のフッ素濃度を測定した。処理水中のフッ素濃度が図2および3に示される。なお図2と図3は同じ結果を表わすものであり、縦軸の値が異なっているだけである。測定されるフッ素濃度は、処理水に酸を添加して、該処理水中の微細粒子を溶解した後に、該溶解液中のフッ素濃度を測定することにより得られるトータルフッ素濃度である。なお、フッ素濃度の測定は、ランタン−アリザリンコンプレキソン吸光光度法に基づいて行われた。
また、1時間ごとの処理水のpHが図4に示される。
比較例1
比較例1においては、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行わなかったことを除き、実施例1と同じ操作が行われた。
晶析処理開始から10時間目までの処理水中のフッ素濃度が図2および3に示され、処理水のpHが図4に示される。
比較例2
比較例2においては、原水槽に対して処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われ、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給が行われなかったことを除き、実施例1と同じ操作が行われた。なお、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給は、処理水排出ライン上に設けられたpHセンサーで処理水のpHを測定し、pH5.5を超えると原水槽にpH調整剤である塩酸が供給され、pH4.5を下回ると原水槽にpH調整剤である水酸化ナトリウム水溶液が供給され、pH4.5〜5.5の範囲ではこれらが供給されないように、pH調整剤供給ラインに介装されたポンプを駆動して行った。
晶析処理開始から10時間目までの処理水中のフッ素濃度が図2および3に示され、処理水のpHが図4に示される。
原水のpHが所定の範囲内に調整されるだけで、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われない比較例1においては、原水中のフッ素濃度の変動に伴って処理水中に含まれるフッ素濃度が変動しただけでなく、フッ素濃度も晶析処理開始から3時間目以降は10mg/Lを超えており、フッ素の低減という点では満足できるものではなかった。また、処理水のpHもほぼ4〜6の範囲で変動した。
また、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給が行われたが、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給が行われなかった比較例2においては、比較例1よりも変動の幅は小さかったものの、原水中のフッ素濃度の変動に伴って処理水中のフッ素濃度に変動が認められ、原水中のフッ素濃度が高いときには、処理水中のフッ素濃度は約9.5mg/Lまで上昇した。また、処理水のpHについても約4.6〜5.3の範囲の変動が認められた。処理水に連動したpH調整剤の供給だけでは、晶析処理の制御という点で、若干のタイムラグが生じている可能性が考えられる。
これら比較例に対して、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給と、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給とが行われた実施例1においては、処理水中のフッ素濃度は、原水中のフッ素濃度の変動にほとんど影響を受けることなく、常に約8mg/Lの低い値で安定していた。また、処理水のpHについても、pH5.0±0.1程度で安定していた。
このように、本願発明の晶析処理方法は、原水中の晶析対象成分の濃度の変動にかかわらず、晶析処理を安定的に行うことができることが明らかとなった。
図1は、本発明の晶析処理方法に使用可能な晶析反応装置の1態様を示す概略図である。 図2は、実施例および比較例における原水および処理水中のフッ素濃度の変動を示すグラフである。 図3は、実施例および比較例における処理水中のフッ素濃度の変動を示すグラフである。 図4は、実施例および比較例における処理水のpHの変動を示すグラフである。
符号の説明
1 晶析反応槽
2 晶析反応部
3 原水供給ライン
4 原水槽
5 晶析用薬液供給ライン
6 晶析用薬液貯留槽
7 処理水排出ライン
8 循環水槽
9 循環水供給ライン
10 pH測定手段
11 処理水pH連動性pH調整剤供給手段
12 アルカリ性pH調整剤貯槽
13 アルカリ性pH調整剤供給ライン
14 酸性pH調整剤貯槽
15 酸性pH調整剤供給ライン
16 処理水pH非連動性pH調整剤供給手段
17 アルカリ性pH調整剤貯槽
18 アルカリ性pH調整剤供給ライン
19 酸性pH調整剤貯槽
20 酸性pH調整剤供給ライン
21 pH測定手段

Claims (1)

  1. 晶析対象成分を含む原水と、晶析反応成分を含む晶析用薬液とを晶析反応槽に供給し、該晶析反応槽内の種晶上に、晶析対象成分と晶析反応成分との反応物を析出させてペレットを形成させることにより、晶析対象成分が低減された処理水を生じさせ、該処理水の少なくとも一部を循環水として該晶析反応槽内に返送する晶析処理方法において、
    晶析対象成分がフッ素であり、
    晶析用薬液がカルシウム化合物を含む薬液であり、
    種晶がフッ化カルシウムであり、
    循環水に対して、処理水のpHが4.5〜5.5の範囲内となるように、処理水のpHに連動したpH調整剤の供給を行い、さらに
    処理水のpHに連動したpH調整剤の供給とは独立して、原水に対して、原水のpHが6.5±0.5の範囲内となるように、処理水のpHに連動しないpH調整剤の供給を行うことを特徴とする晶析処理方法。
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