JP4550542B2 - セメント組成物およびそれを用いたセメント硬化体 - Google Patents
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Description
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
しかしながら、微細な連行空気を所定量導入して硬化体を得るには、不安定要因を多く生じ、構造物の美観や耐久性を損なう場合があった。
これら不安定要因が原因で連行空気量が変動し、その調整のためにAE剤の使用量を増減し、連行空気量を3〜6%の所定量導入する作業が行われている。
所定の連行空気量が得られないと充分な耐久性が得られないが、必要以上の連行空気量は、空気量に比例して強度低下や美観の低下を生じ、乾燥収縮量が増加する傾向がある。
そのため、生コンプラントやコンクリート二次製品製造プラントでは、日に何度か空気量を確認し、調整を行なっているが、これら不安定要因の日内変動や月内変動が大きな場合があり、大変な労力を必要としている。
即ち、フライアッシュ中に含まれる未燃焼カーボンが、AE剤に吸着するため、連行空気量が減少し、専用のAE剤を使用しなければならない、AE剤の使用量を増減しなければならないなどの対策が必要となり、対応が複雑となる。
しかしながら、その反面、硬化体組織が緻密になる結果、凍結膨張圧が高まりやすくなるマイマスの面もあり、AE剤による良質な連行空気量の確保が期待されている(非特許文献3参照)。
本発明者は、特定のセメント組成物を使用することによって前記課題が解消できるという知見を得て、本発明を完成するに至った。
本発明において、セメント使用量は、セメントコンクリートの配合等により異なるが、300〜1,000kg/m3が好ましい。300kg/m3未満では混練後の成形ができない場合があり、1,000kg/m3を超えると作業性が得られない場合や、水和発熱や乾燥収縮によるひび割れを生じる場合がある。
中空微小球の径は、300μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。径が300μmを超えると使用量が同じでも強度の低下が大きい場合や耐久性が得られない場合がある。
シリカフュームを用いることにより、マイクロフィラー効果による単位水量の減少やポゾラン反応による高強度化、塩害防止、ポンプ圧送における加圧時の水の分離の減少による閉塞の改善がなされる。
シリカフュームの粉末度は、凝集していない1次粒子状態で、BET比表面積値15〜25m2/gが好ましい。
シリカフュームの使用量は、セメント100部に対して、3〜35部であり、5〜20部が好ましい。3部未満では耐久性向上効果が少ない場合があり、35部を超えるとプラステイックひび割れの発生や強度改善効果が得られない場合がある。
フライアシュは、流動性の改善、単位水量の減少、長期強度の増進、及び水和熱の減少効果がある。
本発明で使用するフライアッシュは、JIS A 6201付属書2に規定される、フライアシュの活性度指数が、材齢28日で80%以上、フロー比95%以上のものがより好ましい。
フライアシュの使用量は、セメント100部に対して、5〜35部であり、5〜20部が好ましい。5部未満では流動性の改善や単位水量の減少減効果が少ない場合があり、35部を超えると強度改善効果得られない場合がある。
高性能減水剤は、コンクリート二次製品製造用のモルタル又はコンクリートに使用されるもので、縮合メラミンスルホン酸塩、縮合芳香族スルホン酸塩、及びポリカルボン酸塩等が挙げられる。
また、高性能AE減水剤は、高性能減水剤に比べてスランプ保持性能が優れ、高強度コンクリート、高流動コンクリート、及び高耐久性コンクリートなどに使用されるもので、ポリカルボン酸エーテル、架橋ポリマー、配向ポリマー、ポリエーテルカルボン酸、マレイン酸共重合物、マレイン酸エステル共重合物、マレイン酸誘導体共重合物末端スルホン基を有するカルボキシル基含有多元ポリマー、及びポリカルボン酸グラフトコポリマー又はそれらが複合されたものがある。
減水剤の使用量は、セメント、シリカフューム、及び20μ以下に分級したフライアッシュムからなる結合材100部に対して、0.2〜5部である。0.2部未満では、所定のフレッシュ性状やその保持が難しく、5部を超えると材料分離や凝結遅延が生じる場合がある。
消泡剤は、コンクリートに連行される空気を消泡できれば品種は特に限定されるものではない。
消泡剤の使用量は、コンクリートに連行される空気量により変動し、結合材100部に対して、1部以下が好ましい。1部を超えて使用してもそれ以上の消泡効果が得られにくい。
空気量の減少は、乾燥収縮量、中性化速度の減少、及び強度増加を生じる。そのため、所定の中空微小球が使用される場合は、空気量は少ない方が好ましい。
調製したコンクリートを用い、空気量、圧縮強度、及び相対的動弾性係数比を測定した。結果を表1に併記する。
比較のため、耐久性向上材を使用しないでAE剤を使用し、連行空気量を4.0%に調整したコンクリートを調製し同様に試験を行った。結果を表1に併記する。
セメントα:普通ポルトランドセメント、太平洋セメント社、住友大阪セメント社、及び宇部三菱セメント社の普通ポルトランドセメントの等量混合品
細骨材 :川砂、5mm下、密度2.58g/cm3
粗骨材 :砕石、20mm下、密度2.68g/cm3
耐久性向上材A:中空微小球、塩化ビニリデン、粒径40μm、固形分15%
シリカフューム:密度2.20g/cm3、比表面積値20m2/g
減水剤イ :高性能AE減水剤、主成分ポリカルボン酸エーテルと配向ポリマーの複合体、市販品
AE剤 :変性アルキルカルボン酸系陰イオン界面活性剤、市販品
空気量 :JIS A 1128 フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法、空気室圧力方法
圧縮強度 :JIS A 1132「コンクリートの強度用供試体の作り方」とJIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じ測定
相対的動弾性係数比:凍結融解試験で、JIS A 1148「コンクリートの凍結融解試験方法」のA法水中凍結水中融解試験方法に準じて測定
フライアッシュ:四国電力社産、20μ以下に分級したもの、密度2.44g/cm3
消泡剤a :ジメチルシリコーン、市販品
比較のため、耐久性向上材と消泡剤を使用しないで、AE剤を使用し、空気量5%のコンクリートを調製し、同様に実験を行った。結果を表5に併記する。
セメントβ:低熱セメント
耐久性向上材B:中空微小球、塩化ビニリデン、粒径60μm、固形分15%
消泡剤b :ポリアルキレングリコール誘導体、市販品
減水剤ロ :高性能減水剤、主成分ポリカルボン酸エーテル系、市販品
Claims (5)
- セメント、中空微小球を主体とする耐久性向上材、シリカフューム及び/又は20μ以下に分級したフライアッシュ、並びに減水剤を含有してなり、セメント100部に対して、該耐久性向上材が固形分換算で0.01〜5部、シリカフューム及び/又は20μ以下に分級したフライアッシュがそれぞれ3〜35部で、セメントとシリカフューム及び/又は20μ以下に分級したフライアッシュの合計100部に対して、減水剤が0.2〜5部であるセメント組成物中のセメントとシリカフューム及び/又は20μ以下に分級したフライアッシュからなる結合材100部に対して、水15〜35部とを含有してなるセメントコンクリート。
- さらに、結合材100部に対して、消泡剤1部以下を含有してなるセメント組成物であることを特徴とする請求項1に記載のセメントコンクリート。
- 請求項1又は請求項2に記載のセメントコンクリートを用いてなるセメント硬化体。
- 請求項2に記載のセメントコンクリートを用いてなる、圧縮強度が72.5N/mm 2 以上、300サイクルの相対的動弾性係数比92以上であるセメント硬化体。
- セメント、中空微小球を主体とする耐久性向上材、シリカフューム及び/又は20μ以下に分級したフライアッシュ、並びに減水剤を含有してなり、セメント100部に対して、該耐久性向上材が固形分換算で0.01〜5部、シリカフューム及び/又は20μ以下に分級したフライアッシュがそれぞれ3〜35部で、セメントとシリカフューム及び/又は20μ以下に分級したフライアッシュの合計100部に対して、減水剤が0.2〜5部であるセメント組成物中のセメントとシリカフューム及び/又は20μ以下に分級したフライアッシュからなる結合材100部に対して、水15〜35部とを含有してなるセメントコンクリートの配合を用い、セメント、耐久性向上材、シリカフューム及び/又は20μ以下に分級したフライアッシュ、細骨材、及び粗骨材をミキサに投入し空練りした後、コンクリートのスランプフローを減水剤を混合して調整し、水と消泡剤を投入後練り混ぜて得られるセメントコンクリートを用いた圧縮強度が72.5N/mm 2 以上、300サイクルの相対的動弾性係数比92以上のセメント硬化体の製造方法。
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