JP6584309B2 - コンクリート硬化体 - Google Patents
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Description
本発明のコンクリート硬化体を製造するためのフレッシュコンクリート(以下、単に「フレッシュコンクリート」とも言う)は、所定サイズの樹脂製の中空ビーズと、AE剤とが、それぞれが、所定量範囲で混入又は添加されていることを特徴とする。中空ビーズ及びAE剤の上記所定量範囲は、コンクリート硬化体における空気量、即ち全ての気泡部の体積の合計の硬化体体積に対する比率を6%以下に保持することができる量であることを前提として、その範囲内で、以下に詳細を示す通りに最適化された量であればよい。フレッシュコンクリートの配合比の好ましい具体的としては、下記実施例に例示される配合を挙げることができる。フレッシュコンクリートのその他の材料の配合比は、特段限定されない。従来公知の材料を実施用途に応じて適宜、設定すればよい。
フレッシュコンクリートに混入させる中空ビーズは、硬化時に直径0.01mm以上0.1mm以下の微細気泡部を形成可能な樹脂製の中空ビーズであればよい。本明細書において「ビーズ」とは球形や長円形や円筒形の球を意味する。本発明に用いる中空ビーズは、凍結融解に伴う水圧を緩和して凍結融解抵抗性を発揮させるに足る可撓性を有するものであればよく、その形状は、中空であり、且つ、略球形状であることが好ましい。又、中空ビーズの粒径は、中空部の内径が、0.01mm以上0.1mm以下の範囲であればよく、その外径の0.95倍以上程度であることが好ましい。又、中空ビーズの粒径(外径)は、上記範囲内で一定の分散があってもよいが、粒径が0.1mm前後であって、その分散が少ないものが、より好ましい。具体的には、中空ビーズの全粒数のうち70%の粒が、粒径0.1mm±0.05mmの範囲にあるものが好ましい。
フレッシュコンクリートにおいて結合材として用いるセメント材としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメント以外に高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等を挙げることができる。これらを上記の通り、コンクリート硬化体の使用用途により使い分けることが好ましい。
フレッシュコンクリートのその他の材料と組成物の配合比については特段限定されない。用途を考慮して適宜設定すればよい。具体的には例えば、水結合材比40〜60%、細骨材率(s/a)20〜60%、単位水量110〜185kg/m3、単位結合材量210〜450kg/m3、単位細骨材量450〜1000kg/m3、単位粗骨材量650〜1500kg/m3の範囲で配合を設定すればよい。フライアッシュ等の粉体で結合材の一部を置換してもよい。
本発明のコンクリート硬化体(以下、単に「コンクリート硬化体」とも言う)は、上記のフレッシュコンクリートを硬化させて得ることができる。
本発明のフレッシュコンクリートを製造するための材料は上述した通りである。本願独自の樹脂製の中空ビーズを含むそれらの材料を混錬するためには、従来公知の一般的なフレッシュコンクリートの混錬方法、混錬手段を用いることができる。
この工程では、直径0.01mm以上0.1mm以下の樹脂製の中空ビーズを、フレッシュコンクリート材料に混入する。この処理は、空気除去工程に先行して行うことが好ましい。中空ビーズの混入量は、フレッシュコンクリートの硬化後におけるコンクリート硬化体に対する前記中空ビーズの体積比が0.4%以上0.8%以下とすることができる範囲で適宜調整する。
この工程では、AE剤をフレッシュコンクリート中に適量比で添加する。これにより、セメント、水、中空ビーズ、及び、必要に応じて添加されるその他の材料からなるフレッシュコンクリート中に存在する直径0.01mm以上0.1mm以下の気泡部である微細気泡部を増加させて、微細気泡部のコンクリート硬化体に対する体積比が1.0%以上となるようにする。尚、後に実施例において示す通り、中空ビーズ由来の気泡部のみにより微細気泡部のコンクリート硬化体に対する体積比を、上記のように、1.0%以上とすると、フレッシュコンクリートの施工性が低下してしまう。適量のAE剤を添加することによりこれを回避することができる。又、AE剤の適切な添加により、高価な中空ビーズの添加量を半減させることも可能であり、経済性の面においても適量のAE剤の添加は極めて好ましい。
細骨材:5mm以下、表乾密度2.63g/cm3
粗骨材:25mm〜5mm、表乾密度:2.65g/cm3
AE減水剤(No.70、BASFジャパン社製)
AE助剤(マイクロエア202、BASFジャパン社製)
消泡剤(マイクロエア404、BASFジャパン社製)
中空ビーズ:平均粒径0.04mm、密度0.16kg/l、直径の分散が、10.0×10−3〜30.0×10−3の範囲にある、中空の樹脂製のビーズを用いた。
実施例、比較例について、JIS A 1148−A法に従ってコンクリートの凍結融解試験を行った。同試験により、凍結融解サイクルと相対動弾性係数(%)の関係を求めた。結果は図1及び表3に示す通りである。比較例5については、600サイクル時点において相対動弾性係数が80%以上を維持可能であった。そして、これらの結果に基づいて、凍結融解抵抗性を評価した。具体的な評価は、600サイクル時点においても、相対動弾性係数が60%以上を確保することをもって良品(表中「○」と記載)、それ以外を非良品(表中「×」と記載)とする評価基準の下に行った。
実施例、比較例について、JIS A 1101「コンクリートのスランプ試験方法」に従ってコンクリートの施工性試験を行った。試験は、実施例、比較例の各フレッシュコンクリートについてスランプを測定することにより行った。結果は表3に示す通りである。具体的な評価は、スランプ値が8.0cm以上のものを、施工性に優れるフレッシュコンクリート(表中「○」と記載)とする評価基準の下に行った。
実施例、比較例の硬化体についてJlSA1108−1999に準じて圧縮強度を測定した。結果は表3に示す通りである。比較例6の試験結果より、中空ビーズ由来の気泡部が所定量以下である場合、これをAE剤の増量等で補填することによって微細気泡部の体積を確保すれば、耐凍結融解性は担保できるが、この場合、全空気量の増大によって強度の低下が免れえないことが分かる。
Claims (3)
- 気泡部を分散形成したコンクリート硬化体であって、
前記気泡部の前記コンクリート硬化体に対する体積比である空気量が6%以下であり、
直径0.01mm以上0.1mm以下の気泡部である微細気泡部の前記コンクリート硬化体に対する体積比が、1.0%以上であって、
直径0.01mm以上0.1mm以下の樹脂製の中空ビーズによって形成されている樹脂製微細気泡部の前記コンクリート硬化体に対する体積比が0.4%以上0.8%以下であるコンクリート硬化体。 - 気泡間隔係数が0.4mm以下である、請求項1に記載のコンクリート硬化体。
- セメントと、水と、を含んでなるフレッシュコンクリートの製造方法であって、
直径0.01mm以上0.1m以下の樹脂製の中空ビーズを、フレッシュコンクリート材料に混入する弾性中空体混入工程と、
AE剤をフレッシュコンクリート中に添加することによって、該フレッシュコンクリート中に存在する直径0.01mm以上0.1mm以下の気泡部である微細気泡部を増加させる工程と、を備え、
前記弾性中空体混入工程における前記中空ビーズの混入量を、前記フレッシュコンクリートの硬化後におけるコンクリート硬化体に対する前記中空ビーズの体積比が0.4%以上0.8%以下、となる量に調整し、
前記AE剤添加工程におけるAE剤の添加量を、前記弾性中空体混入工程における前記中空ビーズの混入量に応じて、直径0.01mm以上0.1mm以下の気泡部である微細気泡部の前記コンクリート硬化体に対する体積比が1.0%以上となる量に調整し、
前記コンクリート硬化体に対する気泡部の体積比である空気量を6%以下に保持するために必要な場合には、消泡剤を添加することによって、前記空気量が6%以下となるようにする、
フレッシュコンクリートの製造方法。
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