JP4549525B2 - 熱転写プリンター及び熱転写記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロール形態の熱転写受像シートを熱転写プリンターに装着して使用する際に、供給用コアを用いることなく、安価に、また手間をかけずに熱転写受像シートを用意でき、かつ優れた画質を有する熱転写印画物が得られる熱転写受像シートロールと、それを使用する熱転写記録方法及び熱転写プリンターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、種々の熱転写方法が知られているが、この方法は基材上に着色転写層を形成した熱転写シートを用い、その背面からサーマルヘッド等により、文字や図形あるいは模様等の画像を、イエロー、マゼンタ、シアン等の色毎に、その画像状に加熱して、上記の着色転写層を被転写材の表面に熱転写するものである。この熱転写方法は、その着色転写層の構成によって、昇華転写型と熱溶融転写型の2方式に大別される。昇華転写型は、熱によって昇華または移行する染料を適当なバインダーにより、基材上に着色転写層として担持させた熱転写シートを用いて、その背面からの加熱によって、着色転写層中の染料を被転写材表面に熱移行させるものである。但し、被転写材表面には、染料の染着しやすい受容層を設けているものである。
それに対し、熱溶融転写型は、基材上に加熱により容易に軟化、溶融して転写可能な着色転写層を形成した熱転写シートを用いて、その背面からの加熱によって、被転写材表面に着色転写層を転写するものである。
両方式ともに、モノカラーおよび多色カラー画像の形成が可能であり、多色カラー画像の場合には、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンさらに必要に応じてブラックの三色ないし四色の熱転写シートを用意し、同一の被転写材の表面に各色(各種)を熱転写して、カラー画像を形成できる。
【0003】
このような熱転写方法において、使用する被転写材である熱転写受像シートはシート状の形態で多数枚を積み重ねて、プリンターに供給したり、長尺状の連続した受像シートを巻き取ったロール状の形態で、プリンターに供給されている。
特に、最近は大量に熱転写記録を行なう用途が多く、ロール形態の熱転写受像シートを使用することが行なわれている。そして、そのロール状の熱転写受像シートは一般的に、供給用コア(ボビン)の上に巻かれ、その巻かれた受像シートの端を巻上用コア(ボビン)に接着させて巻上げたり、熱転写記録後に断裁してシート状にして排出している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなロール状の熱転写受像シートは、供給用コアが必要であり、受像シートを使い切った後に、そのコアを廃棄したり、またはコアの再使用を行なったりしている。ところが、そのコアは熱転写受像シートをシワ無く、均一に巻上げるために、寸法精度の高いものが要求され、それに伴ないコアのコストが高くかかってしまうという問題がある。
上記のコアのコストを低減させるために、材質をプラスチックではなく、紙パルプを主体とした、いわゆる「紙管」にした場合、受像シートロールをプリンター内で回転させる時に、その紙管とプリンター側の駆動部とを接触させる。しかし、受像シートロールの回転時に紙管と駆動部との間の摩擦により、紙管から紙粉が発生し、プリンター内に飛散し、熱転写印画物にもピンホール等の画質低下につながったりする。
また供給用コアを購入するだけではなく、そのコアを保管し、受像シートを巻上げる際に、そのコアを巻上げ機に装着させたり、コア部材の保管や、巻上作業における手間がかかる点も問題である。
【0005】
したがって、本発明は、このような実情に鑑みて創出されたものであり、ロール形態の熱転写受像シートを熱転写プリンターに装着して使用する際に、供給用コアを用いることなく、安価に、また手間をかけずに熱転写受像シートを用意でき、かつ優れた画質を有する熱転写印画物が得られる熱転写受像シートロールと、それを使用する熱転写記録方法及び熱転写プリンターを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱転写プリンターは、巻芯を使用せずに、巻取の巻き始め部分を、熱転写受像シートロールと接触する部分で固定し、巻き取られた該熱転写受像シートロールの収納部と、該熱転写受像シートロールに対して接触、加圧する回転駆動部と、該回転駆動部と熱転写受像シートロールとが一体的に連動し回転して、熱転写記録を行なう熱転写記録部を備え、前記の回転駆動部が、熱転写受像シートロールの両側の端面と接触する位置に、第一のフランジと第二のフランジとを有し、前記第二のフランジは熱転写受像シートロールの中空部に挿入する中心軸を備え、前記中心軸の先端部を、第一のフランジと組み合わせて、熱転写受像シートロールの両側の端面を、前記第一のフランジ及び前記第二のフランジで接触、加圧するものであって、前記第一のフランジ及び前記第二のフランジは、熱転写受像シートロールの端面を加圧する部分で、テーパーの形状であり、熱転写受像シートの巻き始め部分と該テーパーとが接触するものであって、さらに前記中心軸の前記第二のフランジ側の外径を、先端部の外径よりも大きくして、中心軸と熱転写受像シートロールの接触する圧力強度が高められた構成である。また、前記の回転駆動部に熱転写受像シートロールを加圧させるためのスプリングを使用することが好ましく行なわれる。
【0007】
前記の熱転写受像シートロールの幅に応じて、熱転写受像シートロール中空部に挿入する回転駆動部の中心軸の長さが可変であることが好ましく、それにより受像シートロールの幅の変化に対応して、回転駆動部と受像シートロールの接触、加圧が可能である。また、本発明の熱転写記録方法は、巻芯を使用せずに、巻取の巻き始め部分を、熱転写受像シートロールと接触する部分で固定させて、巻き取られた該熱転写受像シートロールと、熱転写プリンター側の回転駆動部とを接触、加圧して、該熱転写受像シートロールと回転駆動部とを一体的に連動し回転して、熱転写記録を行ない、前記の回転駆動部が、熱転写受像シートロールの両側の端面と接触する位置に、第一のフランジと第二のフランジとを有し、前記第二のフランジは熱転写受像シートロールの中空部に挿入する中心軸を備え、前記中心軸の先端部を、第一のフランジと組み合わせて、熱転写受像シートロールの両側の端面を、前記第一のフランジ及び前記第二のフランジで接触、加圧するものであって、前記第一のフランジ及び前記第二のフランジは、熱転写受像シートロールの端面を加圧する部分で、テーパーの形状であり、熱転写受像シートの巻き始め部分と該テーパーとが接触するものであって、さらに前記中心軸の前記第二のフランジ側の外径を、先端部の外径よりも大きくして、中心軸と熱転写受像シートロールの接触する圧力強度を高めたことを特徴としている。
【0008】
本発明の熱転写プリンターは、巻芯を使用せずに、巻取の巻き始め部分を、熱転写受像シートロールと接触する部分で固定し、巻き取られた該熱転写受像シートロールを使用し、該熱転写受像シートロールの収納部と、該熱転写受像シートロールに対して接触、加圧する回転駆動部と、該回転駆動部と熱転写受像シートロールとが一体的に連動し回転して、熱転写記録を行なう熱転写記録部を備え、前記の回転駆動部が、熱転写受像シートロールの両側の端面と接触する位置に、第一のフランジと第二のフランジとを有し、前記第二のフランジは熱転写受像シートロールの中空部に挿入する中心軸を備え、前記中心軸の先端部を、第一のフランジと組み合わせて、熱転写受像シートロールの両側の端面を、前記第一のフランジ及び前記第二のフランジで接触、加圧するものであって、前記第一のフランジ及び前記第二のフランジは、熱転写受像シートロールの端面を加圧する部分で、テーパーの形状であり、熱転写受像シートの巻き始め部分と該テーパーとが接触するものであって、さらに前記中心軸の前記第二のフランジ側の外径を、先端部の外径よりも大きくして、中心軸と熱転写受像シートロールの接触する圧力強度が高められた構成であり、部材として供給用コアを用いることなく、安価に、また手間をかけずに熱転写受像シートロールを用意でき、かつ優れた画質を有する熱転写印画物が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の熱転写プリンターである一つの実施形態を示す概略図であり、熱転写プリンター1は熱転写受像シートロール2を回転させるための回転駆動部4と、その回転駆動部4により接触、加圧されて、受像シートロール2が設置される受像シートロール収納部3と、熱転写記録部5と、熱転写受像シート切断部10から構成されている。熱転写受像シートは、受像シートロール収納部3を始点にして、受像シートをロール16(搬送ロールと言われ、また上側のロールをピンチロール、下側のロールをグリップロールと言われる)によって、矢印の方向に引張り、印画する開始位置に合わせ、そしてロール16の逆回転により、受像シートロール2を巻き戻しながら(矢印と反対方向に進み)、印画を行なう。
熱転写受像シートは回転駆動部4とロール16の間で、テンションが加えられるが、ロール16の正転、逆転により、熱転写受像シートの搬送制御が主に行なわれ、回転駆動部4はそのロール16の回転運動に連動して、受像シートロール2を回転させて、熱転写受像シートの搬送を補助している。したがって、熱転写受像シートロール2と回転駆動部4との固定は、スリップしないほうが好ましいが、多少スリップしても受像シートに折れや、しわ等の影響を与えない程度であれば問題ない。
印画は、熱転写シート15の背面側をサーマルヘッド13に接触するようにして、さらに、熱転写シートの転写層側(背面側と反対側)と受像シートの受像面が重なるように配置して、受像シートの裏面側(受像面と反対側)と接する位置にプラテンロール14を設置させ、熱転写記録時には、サーマルヘッド13が矢印の向きに降りて、熱転写シート15から画像状に色材が受像シート上に転写される。
【0010】
受像シートロール収納部3と熱転写記録部5との間に、図示はしていないが、受像シート幅の両側に沿って、ガイド部材を取り付け、受像シートの幅方向の蛇行を防止することが好ましい。
また、このガイド部材は、熱転写受像シート幅に応じて、2つのガイド部材の間隔を変えられるようにすることが望ましい。例えば、プリンター側の各ガイド部材を取り付ける部分に、互いに噛み合うピンとダイスを取り付け、ダイスを予め一つの部材に複数個取り付け、ピンの設けられた部材と、ダイスの設けられた部材同士が、受像シート幅方向で自由にスライドできるもので、受像シート幅の寸法に応じた位置のダイスにピンを嵌め込めば良い。これによって、搬送される受像シートの端とガイド部材とが接触して、ガイド部材が受像シートの幅方向の動きを規制して、受像シートの蛇行を防止できる。
尚、図示した熱転写プリンターは切断部10でシートカットされるものであるが、巻取りの熱転写受像シートロールを供給して、熱転写記録後もロール状に巻き取って仕上げることも可能である。
【0011】
図2は、本発明の熱転写プリンターである一つの実施形態を示す部分断面図であり、熱転写受像シートロール2の収納部3における熱転写受像シートロール2と回転駆動部4との接触、加圧状態を示している。回転駆動部4の両側にあるフランジ18の内面側に、テーパーの形状をもたせてあり、熱転写受像シートロール2の端面における巻き始め付近17、言い換えると受像シートロール2の内径付近と、回転駆動部4のフランジ18の内面中心よりの19で示される周辺で、互いに接触、加圧され、熱転写プリンター1側の制御から回転駆動部4が熱転写記録に合わせて、正回転及び逆回転の向きで、受像シートの流れ方向の印画サイズに合わせて回転する。その回転駆動部4の回転と一体的に、熱転写受像シートロール2も同様の回転が行なわれる。また、熱転写受像シートロール2の端面22と、回転駆動部4のフランジ18内面との接触、圧力の強度を高めるために、図示したようなスプリング8をフランジ18の外面側とフランジ20の間に装着して、使用することが好ましい。
上記における回転駆動部4の受像シートロールの端面を加圧する部分のテーパーについて、そのテーパー角度は5°〜20°程度が好ましい。
上記の熱転写受像シートロール2の端面を加圧する回転駆動部4の部分はテーパーの形状を示したが、この形状に限定されずロール端面と平行に均一な平面であっても良い。また、スプリング8を使用して、熱転写受像シートロール2の端面と、回転駆動部4のフランジ18内面との接触、圧力の強度を高めた例を示したが、それに限定されず、回転駆動部4の中心軸21の端と、その中心軸の先端が挿入され、フランジ18ないし20の中空部の固定すべき位置に、互いに噛み合うようなネジ加工(雄ネジと雌ネジ)を設け、両者の接触、圧力を高めるように、そのネジで回転して押し込むことも可能である。
【0012】
図4には、本発明の熱転写受像シートロールの端面に接触、加圧する回転駆動部の一つの実施形態を示す動態断面図である。図4(a)に示すように、熱転写受像シートロール2の端面222側にある中空部9に、フランジ182、202付きの中心軸21の先端部を挿入して、矢印の方向に移動させ、受像シートロール2の他端面221側の中空部9から外に該先端部を出させ、そしてその中心軸21の先端部の延長上に、フランジ181、201の中空部23が位置するようにしておき、中心軸21の先端部をフランジ181、201の中空部231の中に入れ、最終的に図4(b)に示すような位置で、熱転写受像シートロール2の両側の端面221、222と回転駆動部4のフランジ181、182とを接触、加圧した状態にする。
このように、熱転写受像シートロール2と回転駆動部4とが、互いの摩擦と圧力により、一体的に回転運動がなされ、熱転写記録が行なわれる。この熱転写受像シートロール2と回転駆動部4との間で、スリップしないことが好ましいが、多少スリップしても印画物に影響しない程度であれば問題ない。
【0013】
図3は、本発明の熱転写受像シートロールの概略図であり、熱転写受像シートロール2の巻き始め部分6が該巻き始め6と接触する部分7で、粘着テープで覆って接着したり、両面テープで接着したり、あるいは液体ないし固体の接着剤を用いて両者を接着したりして、両者がずれることなく固定させる。それによって、受像シートロールの中心部分が中空部9を有し、巻芯の無い巻取りが得られる。このような熱転写受像シートロール2は図2に示すような回転駆動部4の両側に設置したフランジ18に挟まれて、熱転写受像シートロール2と熱転写プリンター側の回転駆動部4とが接触、加圧され、該回転駆動部4と熱転写受像シートロール2が一体的に回転し、熱転写記録が行なわれる。
【0014】
また、図4、5には熱転写受像シートロール2の幅に応じて、熱転写受像シートロール2中空部9に挿入する回転駆動部4の中心軸21の長さを、可変にできる例を示したものである。熱転写受像シートを断裁した後のシートサイズがA3、B3、A4、B4、A5、B5等になるように、受像シートロールの幅は、その対応する仕上げサイズの幅そのものの長さにして、受像シートの流れ方向の長さに限定して断裁することが多く行なわれる。したがって、例えばA4サイズの仕上げの場合、仕上げ幅の長さが受像シートロールの幅の大きさであり、流れ方向のみを切断部でカットして仕上げる。
【0015】
回転駆動部4の中心軸21の長さを変えるには、まず中心軸21に設けてある溝112の突起部t2の位置に、フランジ182の中空部232の周面に沿った位置に設けてあるピン122を嵌め込む。(図4(b)、図5(a))これにより、フランジ182の位置が中心軸21に対して固定される。次に、中心軸21の先端部付近にある溝111の突起部s1の位置に、フランジ201の中空部231の周面に沿った位置に設けてあるピン121を嵌め込む。(図4(b)、図5(a))これにより、フランジ201の位置が中心軸21に対して固定され、それに伴ない、フランジ201がスプリング8を介してフランジ181を受像シートロール端面側に押し付ける。
以上の位置関係で、幅の広めの熱転写受像シートロールが、回転駆動部に圧接される。
【0016】
また、幅の狭めの熱転写受像シートロールを回転駆動部に圧接させるには、図5(b)に示すように、まず中心軸21に設けてある溝112の突起部t1の位置に、フランジ182の中空部232の周面に沿った位置に設けてあるピン122を嵌め込む。これにより、フランジ182の位置が中心軸21に対して固定される。次に、中心軸21の先端部付近にある溝111の突起部s2の位置に、フランジ201の中空部231の周面に沿った位置に設けてあるピン121を嵌め込むことにより、フランジ201の位置が中心軸21に対して固定され、それに伴ない、フランジ201がスプリング8を介してフランジ181を受像シートロール端面側に押し付ける。
以上のような、回転駆動部の中心軸の長さを調整する際に、溝の各突起部付近に、その突起部にピンを嵌め込めば得られるシートサイズ(A4、A5等)を表示しておけば、作業者の操作性が向上するために好ましい。
【0017】
上記の図2、4、5で示したものは、全て熱転写受像シートロール端面と、回転駆動部のフランジ部分との接触、加圧する例であるが、それ以外に例えば、熱転写受像シートロールの中空部に沿った内周面と、回転駆動部の中心軸の外周面との接触により受像シートロールを回転駆動部に固定させることも可能である。
この場合は、回転駆動部の中心軸を熱転写受像シートロールの中空部への挿入しやすさと、取り外しやすさの操作性を考慮すると、中心軸の先端部ではなく、フランジ182側の中心軸の外径を他の中心軸の外径よりも大きくして(テーパーの形状にする等して)、中心軸と受像シートロールの接触する圧力の強度を高めることが好ましい。
【0018】
本発明では、ロール状の熱転写受像シートと回転駆動部との接触で、相互にスリップしないか、または相互に少しスリップしたとしても、印画物に影響しないことが重要であり、両者の接触する部分の材質について、説明する。本発明で使用する熱転写受像シートは、基材上に熱転写シートの転写層からの色材を受容し、定着させるために従来から用いられている受容層を設けることが好ましい。
熱転写受像シートに用いる基材としては、各種の紙、合成紙、プラスチックシート等を用い、受容層を直接またはプライマー層を介して形成しても良いが、より高い印字感度を有すると共に、濃度ムラや白抜けのない高画質を得るためには、微細空隙を有する層を設けることが好ましい。微細空隙を有する層としては、内部に微細空隙を有するプラスチックシートや合成紙を用いることができる。また、各種支持体の上に、各種の塗工方式で微細空隙を有する層を形成できる。微細空隙を有するプラスチックシート又は合成紙としては、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを主体として、それに無機顔科及び/又はポリプロピレンと非相溶なポリマーをブレンドし、これらをボイド作製開始剤として用い、これらの混合物を延伸、成膜したプラスチックシート又は合成紙が好ましい。
【0019】
また、上述のプラスチックシートや合成紙は、それ自体が、微細空隙を含む層の単層であっても良いし、複数の層構成であっても良い。複数の層構成の場合には、その構成する全ての層に微細空隙を含有しても良いし、微細空隙が存在しない層が存在しても良い。そして、このプラスチックシートや合成紙には、必要に応じて隠蔽剤として、白色顔料を混入させても良い。また、白色性を増すために、蛍光増白剤等の添加剤を設けても良い。
微細空隙を有する層としては、支持体の上にコーティング法によって微細空隙を有する層を形成することも可能である。使用するプラスチック樹脂としては、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の公知の樹脂を単独或は、複数をブレンドして使用することができる。支持体は、従来公知のものでよく、上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、グラシン紙等各種の紙、合成紙、不織布そしてポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックシート等を用いることができる。
【0020】
基材は各種の紙、合成紙、プラスチックシート等を用いたものでも良いが、上記のように支持体に微細空隙層を設けることが好ましい。その際に、微細空隙層がプラスチックシートや合成紙の場合は、接着剤層により支持体と貼り合わせることができる。貼り合わせ方法としては、例えば、ドライラミネーション、ノンソルベント(ホットメルト)ラミネーション、ECラミネーション方法等の公知の積層方法が使用できる。
【0021】
次に、本発明の熱転写プリンターを構成する回転駆動部は、その材質として、耐久性のあるアルミ、鉄、ステンレス等の金属で製造したり、ポリスチレン、塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエステル等の射出成形樹脂で構成したりすることができる。そして、回転駆動部の受像シートロールと接触、加圧する部分には、ダイヤカット状、梨地状等の任意の模様で、表面に凹凸を有するエンボス加工を施すことが好ましい。そのエンボス加工の深度(凹部と凸部の高低差)は、その接触する回転駆動部と、受像シートロールとの摩擦抵抗を大きくして、接触部で互いにスリップしにくいように、調整することが好ましい。例えば、エンボス加工の深度は、5μm〜500μm程度で充分である。
【0022】
本発明の熱転写記録方法は、巻芯を使用せずに、巻取の巻き始め部分を該巻き始めと接触する部分で固定させて、巻き取られた熱転写受像シートロールを設置している受像シートロール収納部から、熱転写プリンター側の回転駆動力の回転に連動して、該熱転写受像シートロールと接触、加圧した状態にある回転駆動部を回転することにより、該回転駆動部と熱転写受像シートロールとが一体的に連動して回転し、熱転写記録が行なわれる。すなわち、搬送ロール16の回転運動により、熱転写受像シートの搬送制御が主に行なわれ、回転駆動部4はそのロール16の回転運動に連動して、受像シートロール2を回転させて、熱転写受像シートの搬送を補助している。よって、熱転写受像シートロール2と回転駆動部4との固定は、スリップしないほうが好ましいが、多少スリップしても受像シートに折れや、しわ等の影響を与えない程度の遊びがあっても、問題ない。
熱転写記録の時に、例えばイエロー、マゼンタ、シアンの三色を用いたフルカラーの画像を形成する場合、印画領域の端から他端にかけてサーマルヘッド加熱により熱転写シートのイエロー転写層から色材が受像シートに画像に応じて転写される。その時には、熱転写シートと受像シートが一体になって、印画サイズの流れ方向の長さ分だけ進む。(戻る方向でもよい。)そして、熱転写シートは、次に転写するマゼンタ転写層がサーマルヘッドの当たる相当位置になるように、シート送りされる。また、受像シートの方は、イエローの印画された部分の印画開始点がサーマルヘッドの当たる相当位置になるように、印画方向とは逆方向に進む。
【0023】
次に、印画領域の端から他端にかけてサーマルヘッド加熱により熱転写シートのマゼンタ転写層から色材を受像シートに画像に応じて転写する。そして、上記と同様の工程を経て、印画領域の端から他端にかけてサーマルヘッド加熱により熱転写シートのシアン転写層から色材を受像シートに画像に応じて転写して、フルカラー画像の印画物が得られ、排出方向に出され、枚葉で仕上げる場合は、切断されて排出される。
【0024】
上記のように、本発明の熱転写記録方法においては、熱転写受像シートがサーマルヘッドの下で、往復の運動を行ない、言い換えれば、熱転写受像シートロールで見れば、正回転の向きと逆回転の向きの動きにより、熱転写記録が行なわれる。フルカラー画像等の多色の画像を重ねて転写する場合、各色の転写位置にずれが生じると、いわゆる印刷見当ずれが生じ、画質の低下となってしまう。
したがって、本発明の記録方法及び記録装置、さらに熱転写受像シートロールを用いることにより、熱転写受像シートロールと回転駆動部とが、ずれにくく、確実に熱転写受像シートロールの回転制御を行なうことが可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱転写プリンターは、巻芯を使用せずに、巻取の巻き始め部分を、熱転写受像シートロールと接触する部分で固定し、巻き取られた該熱転写受像シートロールを使用し、該熱転写受像シートロールの収納部と、該熱転写受像シートロールに対して接触、加圧する回転駆動部と、該回転駆動部と熱転写受像シートロールとが一体的に連動し回転して、熱転写記録を行なう熱転写記録部を備え、前記の回転駆動部が、熱転写受像シートロールの両側の端面と接触する位置に、第一のフランジと第二のフランジとを有し、前記第二のフランジは熱転写受像シートロールの中空部に挿入する中心軸を備え、前記中心軸の先端部を、第一のフランジと組み合わせて、熱転写受像シートロールの両側の端面を、前記第一のフランジ及び前記第二のフランジで接触、加圧するものであって、前記第一のフランジ及び前記第二のフランジは、熱転写受像シートロールの端面を加圧する部分で、テーパーの形状であり、熱転写受像シートの巻き始め部分と該テーパーとが接触するものであって、さらに前記中心軸の前記第二のフランジ側の外径を、先端部の外径よりも大きくして、中心軸と熱転写受像シートロールの接触する圧力強度が高められた構成であり、部材として供給用コアを用いることなく、安価に、また手間をかけずに熱転写受像シートロールを用意でき、かつ優れた画質を有する熱転写印画物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写プリンターである一つの実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の熱転写プリンターである一つの実施形態を示す部分断面図である。
【図3】本発明の熱転写受像シートロールの概略図である。
【図4】本発明の熱転写受像シートロールの端面に接触、加圧する回転駆動部の一つの実施形態を示す動態断面図である。
【図5】熱転写受像シートロールの幅に応じて、熱転写受像シートロール中空部に挿入する回転駆動部の中心軸の長さを可変にできる一例を示した概略断面図である。
【符号の説明】
1 熱転写プリンター
2 熱転写受像シートロール
3 収納部
4 回転駆動部
5 熱転写記録部
6 巻き始め部分
7 接触する部分
8 スプリング
9 熱転写受像シートロール中空部
10 切断部
11 溝
12 ピン
13 サーマルヘッド
14 プラテンロール
15 熱転写シート
16 ロール
17 巻き始め付近(ロール内径付近)
18、181、182 フランジ
19 フランジ内面の中心よりの位置
20、201、202 フランジ
21 中心軸
22、221、222 端面
23、231、232 中空部(フランジ)
Claims (4)
- 巻芯を使用せずに、巻取の巻き始め部分を、熱転写受像シートロールと接触する部分で固定し、巻き取られた該熱転写受像シートロールの収納部と、該熱転写受像シートロールに対して接触、加圧する回転駆動部と、該回転駆動部と熱転写受像シートロールとが一体的に連動し回転して、熱転写記録を行なう熱転写記録部を備え、
前記の回転駆動部が、熱転写受像シートロールの両側の端面と接触する位置に、第一のフランジと第二のフランジとを有し、
前記第二のフランジは熱転写受像シートロールの中空部に挿入する中心軸を備え、
前記中心軸の先端部を、第一のフランジと組み合わせて、熱転写受像シートロールの両側の端面を、前記第一のフランジ及び前記第二のフランジで接触、加圧するものであって、
前記第一のフランジ及び前記第二のフランジは、熱転写受像シートロールの端面を加圧する部分で、テーパーの形状であり、
熱転写受像シートの巻き始め部分と該テーパーとが接触するものであって、
さらに前記中心軸の前記第二のフランジ側の外径を、先端部の外径よりも大きくして、中心軸と熱転写受像シートロールの接触する圧力強度が高められた、ことを特徴とする熱転写プリンター。 - 前記の回転駆動部に熱転写受像シートロールを加圧させるためのスプリングを使用していることを特徴とする請求項1に記載する熱転写プリンター。
- 前記の熱転写受像シートロールの幅に応じて、熱転写受像シートロール中空部に挿入する回転駆動部の中心軸の長さが可変であることを特徴とする請求項1または2に記載する熱転写プリンター。
- 巻芯を使用せずに、巻取の巻き始め部分を、熱転写受像シートロールと接触する部分で固定させて、巻き取られた該熱転写受像シートロールと、熱転写プリンター側の回転駆動部とを接触、加圧して、該熱転写受像シートロールと回転駆動部とを一体的に連動し回転して、熱転写記録を行ない、
前記の回転駆動部が、熱転写受像シートロールの両側の端面と接触する位置に、第一のフランジと第二のフランジとを有し、
前記第二のフランジは熱転写受像シートロールの中空部に挿入する中心軸を備え、
前記中心軸の先端部を、第一のフランジと組み合わせて、熱転写受像シートロールの両側の端面を、前記第一のフランジ及び前記第二のフランジで接触、加圧するものであって、
前記第一のフランジ及び前記第二のフランジは、熱転写受像シートロールの端面を加圧する部分で、テーパーの形状であり、
熱転写受像シートの巻き始め部分と該テーパーとが接触するものであって、
さらに前記中心軸の前記第二のフランジ側の外径を、先端部の外径よりも大きくして、中心軸と熱転写受像シートロールの接触する圧力強度を高めたことを特徴とする熱転写記録方法。
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